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コアマモの生育に与える干出時間及び底質粒径の影響

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Academic year: 2022

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明条件

暗条件 暗条件

0 4 8 12 16 20 24

経過時間(h/day)

水位cm

10 0 10

0 10

0

0h

6h 3h

コアマモの生育に与える干出時間及び底質粒径の影響

東北大学 学生会員 ○池上 裕輔,長濱 祐美 東北大学 正会員 野村 宗弘,千葉 信男,中野 和典,西村 修

1. はじめに

近年,干潟のもつ水質浄化機能,多様な生物の生息場 としての機能などが見直され,干潟の修復,再生が叫ば れている.一方で,人為的に造成された人工干潟では,

自然干潟と比較して生息生物の種類数,個体数が少ない といった問題がある 1).その解決策として,干潟など主 に潮間帯に生息し,底生動物の種類数,個体数を増加さ せる機能を持つ海草コアマモの利用が提案されている2). コアマモは環境省のレッドデータブックでも絶滅のおそ れがあるが情報不足の種とされており,また,生育環境 に関する既往の知見も少ないことから,生育環境条件を 調べることが重要と考えられる.

コアマモの生育環境条件に関して,島谷らは静穏な閉 鎖性水域での現地調査などから,地盤高や含水比,シル ト分・粘土分含有率,強熱減量といった底質環境の影響 を強く受けている3)としている.一方,比較的開放性の 高い干潟では,これらの底質環境によってコアマモの分 布は規定されないと推察されており,水深と高波浪時の

Shields

数によって生育可能エリアが概ね推定できると結

論付けられている 4).しかし,現地では環境要因が複合 的に作用しており,一概にはどの要因がコアマモの生育 に影響しているとはいえない.本研究では,環境をコン トロールしたコアマモの室内育成実験を行い,その違い がコアマモの生育に及ぼす影響について評価した.

2. 実験条件及び実験方法

コアマモの育成は,異なる干出時間,異なる底質粒径 の生育基盤においてマトリックス的に

3

系ずつ,全

9

系 列で約

3

ヶ月間行った.干出時間は,干潟における低潮 帯,中潮帯,高潮帯を基準に,

12

時間

1

サイクルで

0h/cycle,

3h/cycle

6h/cycle

に設定した.コアマモ生育基盤の各底 質は,奥松島の干潟,松島湾内で実際にコアマモが生育 している桂島の干潟,名取川河口干潟から採取し,底質 の状態からそれぞれ礫(G),砂(S),泥(M)とした.潮 汐を再現するために,水槽の海水は

12

時間に

1

回,ポン プで

15

分かけて排水,注水を行い,光条件は,

12

時間 毎に明暗切り替わるようにした(図

1

).また,海水貯留 タンクの海水の交換は,4日に

1

度行った.全ての水槽

は,小波を想定してエアレーションを行い,水温は恒温 装置を用いて

20℃に保ち,照度は 10klx

とした.水槽の 概念図を図

2

に,各底質の性状を表

1

に示す.

なお,コアマモは,実験日前日

7

30

日に桂島の干潟 で採取したものを各系

30

株ずつ移植し,その初期性状は,

平均葉長

10.5cm

(標準偏差

3.9cm

),平均湿潤重量

5.3g

(標

準偏差

0.6g)であった.また,実験終了時にコアマモの

地上部(葉)と地下部(根)の湿潤重量を測定した.

3. 結果及び考察

(1)実験結果及び現地調査結果との比較

コアマモの湿潤重量を測定した結果を図

3

に示す.移 植前のコアマモの平均湿潤重量が

5.3g

であったことから,

コアマモのバイオマスが非干出系(

0h

)で増加,干出系 (3h,6h)で減少したことがわかる.また,非干出系の中 でも,

M

のコアマモの地上部のバイオマスが多くなった.

1

各水槽の水位変化(水槽底面基準)

2

コアマモ育成水槽概念図

1 各底質の性状

礫(G) 砂(S) 泥(M)

中央粒径(mm) 0.58 0.2 0.15 礫(% 6.7 0.1 0.6 砂(%) 92.9 99.1 65.5 シルト分・粘土分(%) 0.4 0.8 33.9

Pomp

2cm 26cm

15.5cm 2cm 8cm 7cm Pomp

2cm 26cm

15.5cm 2cm 8cm 7cm

VII-24

土木学会東北支部技術研究発表会(平成19年度)

(2)

マモバイオg-wet

0h 3h 6h

G S M G S M G S M

0 5 10 15

地上部 地下部

最高値 最低値

含水比(%)

80 60 40 20

0 G S M

0h 3h 6h

G S M G S M 10

10

日の桂島における現地調査でコアマモ場の葉

長と地盤高の測定を行った結果を図

4

に示す.同時に,

実験系のコアマモの葉長も,干出時間を測量データと潮 位ソフトを用いて地盤高に換算し,図示した.現地と実 験系のコアマモの葉長は,地盤高が低くなるほど葉長が 大きくなるという同じ傾向を示した.また,現地より実 験系の葉長の方が小さかった.

(2)干出がコアマモに及ぼす影響

3

4

より,干出するところでコアマモのバイオマス,

葉長が相対的に少ないことは明らかである.そこで干出 による影響が底質の乾燥として表れ,それが制限要因に なったのではないかと考え,各実験系で最も底質が乾燥 すると思われる明条件時の海水流入前の含水比(最低値)

と海水で飽和状態の含水比(最高値)を測定した(図

5

). しかし,現地のコアマモ藻場で図

5

の干出系の値より低 い含水比が観測されていることから 2),底質の含水比は 制限要因でないと考えられる.一方,コアマモは,草体 が乾燥することによって致命的なダメージを受けるとさ れており 5),本実験でも干出系のコアマモの草体自体が 乾燥し,その生育が制限されたのではないかと推察され る.また,一般に海草は根の他にも葉から栄養を吸収す ることが知られており,干出に伴い,葉から直上水の栄 養を吸収する時間が短くなったことも影響した可能性が ある.

(3)底質粒径の違いがコアマモに及ぼす影響 本実験の各底質の有機物含有率として,強熱減量を図

6に示す.

有機物に富む底質ではコアマモの発育がよい6)

7)とされていることから,非干出系の

M

でコアマモのバ イオマスが最も大きくなったのは,有機物由来の無機態 窒素などの栄養塩が間隙水中に比較的豊富だったのでは ないかと考えられる.

新崎によれば,コアマモは砂利地や細礫地には生えな いとされてきた 6).しかし,波の影響の少ない本実験で は,比較的粗い底質でもコアマモが生育することが確認 された.また,越川らは栄養供給さえあれば粗い粒径組 成の底質でもコアマモ草体の増殖は可能であるとしてい る 8).以上のことから,コアマモの生育が粗い粒径組成 の底質に向かないのは,波などの外力に関係する底質の 安定性に関係があることが示唆された.

4.まとめ

コアマモは非干出域で発育がよいことがわかった.そ れはおそらく,コアマモの草体の乾燥がないためである.

また,コアマモが生育できるか否かは,底質の物理的外 力に対する安定性が重要であると考えられた.

3

実験後のコアマモのバイオマス

4

現地と実験系の葉長の比較

5

各実験系の含水比

6

各底質の強熱減量 参考文献

1) 花輪ら: 海洋開発論文集, vol. 18, pp. 43-48, 2002.

2) 長濱ら: 土木学会論文集, vol. 63, pp. 233-240, 2007.

3) 島谷ら: 海岸工学論文集, vol. 51, pp. 1031-1035, 2004.

4) 島谷: 海岸工学論文集, vol. 54, pp. 1071-1075, 2007.

5) Deborah. et al: Aquatic Botany, 87, pp. 161-166, 2007.

6) 新崎: 日本水産学会誌, vol. 15, No. 10, pp. 567-573, 1950.

7) Lee. et al: Aquatic Botany, 83, pp. 263-280, 2005.

8) 越川ら: 海岸工学論文集, vol. 54, pp. 1076-1080, 2007.

0h 3h 6h

G S M G S M G S M

強熱減量(%)

5

4 3 2 1 0

0h 3h 6h

G S M G S M G S M

強熱減量(%)

5

4 3 2 1 0

現地 実験系

葉長(cm)

60

40 20 0

0 50 100

地盤高

T.P.(cm)

現地 実験系

葉長(cm)

60

40 20 0

0 50 100

地盤高

T.P.(cm)

土木学会東北支部技術研究発表会(平成19年度)

参照

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