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理科教育分科会 .

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(1)

理科教育分科会 .

「物質とエネルギー領域における指導過程の研究」

一「金属とさび」の学習指導を通して

1.はじめに

昨年度は・地学教材についての自然探究の過程の研究を実施してきたカ㍉本年度1よ・物質とエ ネルギ噸域・に目を向け・研究を進めてきた・とくに,・鋸とさび、を研究の文橡として,今 回の指導要領の改訂にともない・どう・・う点髄ってきているかを分析し,明確1・内容.指導目 標をとらえ・児童の論理に沿ったより効率的な単元構成・授業構成はいかにしたらよ・・か,児童 の実態゜小中学校の関連・専門的繍から,実際の授業展開を分析して洪同研究を進めてきた。

ある醸の解決をみたものもあるし澗題点を浮きぼりにして,轍の研究の課題として整理 されたものもある。

2.小学校教材「金属とさび」についての学習指導

一とくに「鉄の赤さびのできる原因追求」の指導過程に焦点を当てて一

(1)指導要領の内容分析と単元の基本構造

①指導要領の内容

(3)金属がさびると,その質が変わることを理解させる。

ア,鉄の黒さびは,熱や空気が関係してできること。

イ・鉄の赤さびは,水や空気中の酸素などが関係してできること。

ウ,銅・アルミニウムなどの金属にもさびができること。

エ・さびは,もとの金属と質が変わっていること。

②単元構成の柱(視点)

さびという現象を,変化するものと変化させるものとの関係において追究していくためにつぎ のように内容をおさえた。

A 現象=さび     ・さびの条件を明確にとらえさせる。

(結果)

\       (変化させるもの)

変化するもの (原因)変化させるもの ・さびはもとの鋪と違ったものであ

(鉄・銅・アルミニウム) (空気.熱.水)  る・(分析的に質砒較)

(2)

80      教育研究所紀要第四号 B

学習経験 一単元の主軸内容

05年,酸素と二酸化炭素 さびるための条件の追求 中学 物質の分離

・空気中には,酸素が ・赤さびと黒さびとそ ・空気などの混合体か 含まれている。 の条件である水・空 ら特定の気体が分離

・火が燃える現象と酸 気(酸素)熱を因果 される。

素との関係 関係的・分析的にと

らえ,変化を量や時 間を意識して考える。

○さびそのものの性質を明

06年 水溶液の変化       中学 物質と原子

らかにする。

・金属には水溶液に ・金属とそのさびの比 ・金属が酸化すると重 よって変化するもの 較から,さびる現象 さが変わる。

がある。 を質の変化としてと

・濃さや温度によって らえる。

変化の速さが変わる

こと。

本単元の展開にあたっては,「金属を○○の条件下にお・けぽどのように変化するか」という点 を課題として,「○○の条件下では,○○の現象が起こる」という見方を育てることを基本とす

る。

C

また,っぎのような視点から, 本単元を位置づけてみることもできる。

目に見える物と目

目に見える物と目1

目に見えない物と

に見えるもの に見えない物 目に見えない物

水溶液の性質 金属とさび ろうそくの燃焼

(金属と水溶液)

(3)

③体単元のねらい

以上のことをふまえて,本単元のねらいを金属のさびる現象をとらえ,その変化の過程を「変 化させるもの」・「変化するもの」の関係で分析的に追求することにより,さびの原因は,空気・

水・熱などであり,さらにさびは,金属が変化したものであるがさびそのものは,もとの金属 の性質をもたないことを明らかにし,空気・水・熱による金属の質の変化を理解させることに置

くことができる。

3.授業研究の分析検討

〜鉄の赤さびと酸素との関係追求の過程に研究の焦点を当てて〜

(1)指導案

第6学年3組理科学習指導案  1971.11.18

指導者  和 田 吉 郎 単   元  金属とさび

目  標  金属のさびる現象をとらえ,その変化の過程を,変化させるもの,変化するもの の関係で,分析的に追求することにより,さびの原因は,空気・水・熱などであ り,さらに,さびは金属が変化したものである魁さびそのものは,もとの金属 の性質をもたないことを明らかにし,空気・水・熱による金属の質の変化を理解

させる。

指導計画  第1次鉄の赤さびのできる原因を調べる…一………・一・3時間(本時は第3時)

第2次鉄の黒さびのできる原因を調べる…・……一・…・………2時間 第3次鉄の赤さび・黒さびの性質の変化を調べる…………1時間 第4次 その他の金属(銅・アルミ)の

さびについて調べる…一…一一一・・……一………1時間 関   連  O学年内「水溶液の性質」・「ものの燃え方」

0隣接学年「酸素と二酸化炭素」

本時の指導

(1)目 標 O赤さびのできたことによって,閉じ込められた空気が減った事実と,減った気 体の追求から,鉄の赤さびができるためには,水のほかに酸素が関係すること

を理解させる。

(2)資 料 O前時からの実験中の装置・ゴム栓・線香・ろうそく・マッチ・石灰水 準備 O教師実験用装置・スチールウール・観察記録・説明用図解・0・H・P

(シート)

(4)

82      教育研究所紀要第四号

(3)展 開

ね  ら い 学習内容と活動 留  意  事  項

○赤さびができる         一P.前時にセットした実験の結果 ・直接実験結果に目を向けさせ,学 には,水のほか を観察し話し合う。 習の連続をはかる。

に空気が関係し ・水をつけた ・さびるにしたがって,空気が減る ていることに気 ほうが赤く 現象を教師実験でみせる。

つく。 さび管中の

水面が上がっ

※2・3日前にセットして

っている。 おいたもの

スチール

Eール ・かわいたほ ゴム管

 うは,ほとんどさびていない。

Eどれも,試験管気柱の÷位上

      ピンチコック

Aびた /

スチール

、ヒ

がっている。(どうして水が上がったか, ウ_ルぞ ∈〒

空気が減ったからだ。)

0赤さびができる 2.試験管の中には,どんな気体 ・水面が上がったことから,空気の には,空気中の が残っているか。 一部が使われたことを推論させる。

酸素が使われた (空気中の何が使われたか) ・5年の「酸素と二酸化炭素」の先

ことを知る。 調べる。 行経験を判断のきめ手として,気

・予想し,その調べ方を考える。 体の追求にあたらせる。

・水を吸い上げた広口びんに, ・どの試験管も÷ほど水が上昇した 水中でゴム栓をし,広口びん 事実からも迫っていく。(事実とし

を水中から出してゴム栓をと て押えて,あとにつなぐ)

り,すばやく火のついたろう ・0・H・Pシートを使用してのモ そくを入れる。 デル思考を入れる。

(火がすぐ消えた。酸素がな ・酸素が使われたのではないかとの くなっている。) 先行経験からの転移(前提条件)

・二酸化炭素ができているかも ・試験管→広口びん(方法の転移

知れない。 前提)

・月完腸器で中の気体をすばやく ・空気中の酸素が8〜12%(3〜6 吸いとり,次に石灰水を吸入 %)減ずれば火は燃えない。ろう し,口先を指で押えて,よく そくの消えたあとには,14〜17%

振り,テストチューブにとり の酸素があるわけである。残って 白濁のようすをみる。 いる気体は厳密には窒素とは言い

(二酸化炭素は,できていな 切れない。

い。物が燃えるときの変化と ・空気中で酸素が変化させられたと

は違う) いう現象と使われたという現象と

○鉄の赤さびがで 3.鉄の赤さびができるのに関係す の区別を明確にする。

きるには,水と る条件をまとめる。 ・第1時の実験結果にブイードバッ 空気中の酸素の (酸素は使われてなくなった クし,再吟味して一般化をはかる。

両方が使われた のだ,残っている気体は二酸 ・「赤さびの生成をはやめるには…

ことを理解する。 化炭素ではない。) …。」の追い込みによって,次時学

・第1時の実験結果などの問題 習への発展の糸口とする。

点について再考察してみる。

(5)

      、 A指導後の共同討議

一問題点の分析と考察一一

①児童の論理をたいせっにした単元構成の問題点。

「金属とさび」の単元の展開にあたって,いちばん問題になるのは,黒さびから赤さびへ展開 するのがよいか。赤さびから黒さびへ進めるのがよいか。ということである。

結論的にいうと,後者の方が,児童の認識の筋道に沿ってより自然であり効果的であろうとい うことである。すなわち,児童の認識にある金属のさびは,鉄の赤さびが大半であり,すでにで きている黒さびを見てもさびとしてとらえるものは少ない。また,赤さびは自然に目にふれで生 活に密着しており,観察実験に入る際も条件吟味がきわめて容易で,便利である。

ただ,ここで問題になるのは,赤さびから黒さびへの移行である。

加熱すると変化が速くなるという先行経験(ほう酸の溶解,塩酸とアルミの反応・赤さびの進 行と温度等)を手がかりとして,「赤さびの生成を早めることはできないか」との問題意識をもた せ,仮説を立てての移行がいちばん論理に沿った展開であろう。

赤さびの生成を速めることはできないだろうか。

(酸素を濃くしたら)      (温度を高くしたら)

酸素を濃くし,温度を高くすると赤さびの生成は速くなる(時間・比較)

湯であたためるかわりに火で加熱しても赤さびはできるだろうか。

②授業構成(指導過程)の問題点

先ず・赤さびも黒さびも,それぞれの条件のもとに鉄と酸素とが結びついたことに起因する質 の変化であるが,どちらにしても空気の印象は弱い(事前調査の結果,その成因について,水だ けが関係する86%,空気だけが関係する2.0%,水と空気が関係する9.2%,その他2.8%)と いうことをふまえて,指導過程の問題点を考察してみることにする。

ア,授業の切り込み方(導入の在り方)

導入については・先行経験や前時との関連を単的に生かし,ねらいとの関連において,実質的 な意昧ある切り込み方をくふうしなければいけない。その点,前時にセットした試験管内の水上 昇の事実の観察から入ったことはよい。しかし,ここで教師実験(たとえば,フラスコ内でさびさ せ・管で水中に導入し・ピンチコックでおさえたもの)を,最初に提示し問題構成を試みてみるのも 一方法でなかったかと思う。

イ,指導効率の面からの検討

(児童の論理の発展と児童の実態)

40分という授業時間を考え,その効率から見た場合,児童が酸素であることを,早くわかって

(6)

84       教育研究所紀要第四号

いたか気づいていたのではないか。だとすれば,検証的にもっていって早く問題に入ってみてよ かったのではないか。ちなみに,そのことについて追跡調査をしてみたら,ほとんどの子は,事 前に知っていたという結果が出たこととも考え合わせ,問題のぶっつけ方の質の問題として今後 一考を要する。

また,水位上昇の観察の際,約去位の水分上昇に一般化しようとした眠(あとで,ろうそくの 火での検証と合わせて,残った気体の追求の手がかりにするために)空気の成分の割合がはっき

りっかむ経験が先にない段階で無理がいくし,深入り過ぎたのではないか。

反面,水分上昇という事実をもとにして,どうしてこうなったのか。どうしてそうとらえたか。

また,どのようにしたら検証できるか,などについて,もう少し時間をかけて話し合わせ,子ど もの論理の展開のいかによっては,別な実験計画(追い込み方)がくふうされてもよいのではな いか。たとえば,ろうそくの火で酸素がなくなっていることを検証した気体を,水中置換法で取 り出し,再び鉄の変化を調べる実験をするなど……。深め広めるくふうをすることもたいせっで

あろう。

っぎに,酸素がない事実をっかんだ段階で,石灰水による二酸化炭素の検出にもっていく前に・

いろいろなこどもの思考を整理吟味する時間のゆとりがたいせつになってこよう。

また,まとめの段階で,一応,第1時の実験結果についてフィードバックし,統一的なものの 見方で再吟味したことは結構だが,もし時間が許されるならば,空気(酸素)と水の両方が同時

に,条件としてはたらいている事実に目を向けていく場の構成のくふうがもう少し考えられても よいと思う。

とき,授業効率の問題が浮かんでくる。

そのためには,今後の授業効果の視点から児童の論理に沿って指導内容・方法の精選と指導の 重点化を吟味し授業を構成していくことがたいせつになってこよう。

ウ,その他(実験観察の技術上の諸問題)

試験管内の鉄がさびるにつれ,水が上昇する実験で,試験管内柱の吉位上昇することは,理屈 の上で考えられるが,実際はそう簡単に実験結果となって表われない。すなわち,スチールウー ルの体積やスチールウールに含まれる水分などがら考えられる厳密な意味での条件整理の不備。

また,酸素の減少にともなう圧力低下によって,反応速度が急激におそくなる事実など,考慮さ れねばならないからである。

っぎに,鉄の質的変化を調べる点の問題として,電気を通すか通さないか,磁石に吸いつくか どうかということを手がかりにすることである。電気はよいとして,磁気については問題が残る。

勿論,比較実験のかたちをとるので,その違いがでればよいとは思うが,完全な鉄のさびを得が たく,また,磁気の特性上条件整理がむずかしく,完全な結果を期待することはできない。今後 の問題としてより効果的方法を研究する余地が残されている。

(7)

4.おわりに(今後の研究の課題)

以上の検討によって,教材「金属とさび」のうち,「鉄の赤さびのできる原因追求」の指導につ いて,そのあり方を実際の授業を通して考えてきた。

ここで,この教材の底を流れる見方・考え方をとらえてみると,一言でいえば「原因・結果の 関係的な見方・考え方」である。「原因・結果の関係」は2段階に存在する。まず大きくは「金属 がさびる」という「質の変化」と原因との関係がある。その部分として,

①鉄の「黒さび」と「水」および「空気」の関係

②鉄の「赤さび」と「水」および「空気」の関係

③銅・アルミニウムなどの金属のさびと「水」および「空気」の関係      ◎

ェ存在する。

この論文であつかっている授業内容においては,①および②の「原因・結果の関係」を追求し ている。③はこの①と②を基礎として,その発展場面として学習されるのが自然である。

この基礎としての①および②の因果関係を追求するとき,①を先に学習させるか,②を先に学 習させるかは,かなり大きな問題である。①の黒さびを先にすると,加熱によってできる黒さび の現象が著しいので,児童の驚きは強く,また強い問題意識をひき起しやすい。そのため,問題 場面の構成はかなり理想的にできる。ただこの場合は,さびのできる原因のうち,特に「熱」の 印象が強いため,もう一つの原因である「空気中の酸素」がうすらぎやすく,っぎの②の赤さび の原因追求も支障を来すおそれがある。

逆に②の赤さびを先にすると,日常生活経験において身近に観察しているものなので,スムー ズに学習に入りやすい。しかし,一面黒さびに比べると,現象は激しくなく,印象も弱くなりや

すい。

このような黒さびの因果関係から入るか,赤さびの因果関係から入るかは,かなりむずかしい 問題をもっているが,今後検討する価値のある問題である』そして,これは,因果関係の追求と

という各種の教材に共通するテーマの解決につながることでもある。

もう一つの問題は,このことに関連して,鉄の2種のさびの学習の間における移行をどうする かについてである。始めに学んださびを先行経験として,後のさびにおける因果関係の追求に役 立てる必要があるが,この指導過程も工夫を要する重要な問題である。

われわれ理科のグループは,今後も具体的な教材指導を分析し,工夫する中で,理科指導一般 に通ずるものをひき出していきたいと考えて研究を進めていくつもりである。

(小学校・和田吉郎, 中学校・大学・高野恒雄,共同責任執筆)

参照

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