原 著 :秋 田大学医短紀要
7 :3 3‑40,1 999.
小児看護学実習 における外来実習の効果
‑ 外来実習導入前後 の経験状況の比較 ‑
TheEf f e c t soft heCl i ni ca lPr a c t i c eon Chi l d Nur s i ng;A Compar a t i veSt udy on t heLear ni ng St a t e " Be f or e" a nd " Af t e r"I nt r oduc t i on oft heCl i ni c a lPr ac t i c e
平 元 泉 * 長谷部 真木子 * 野 村 誠 子 * 石 井 範 子 *
I z umiHI RAMOTO*Ma ki koHAS EBE*se i ko NoMURA*Nor i ko l s HI *
Ⅰ. は じめに
小児看護学では,小児看護の対象お よび役割 の拡大 に伴い,教育内容は拡大 している。その 一方,小児 を対象 とする診療科が多岐にわたる ことや,入院患児 の減少お よび入院の短期化 な ど,小児看護学実習 に伴 う実習施設の確保 に関 す る困難 さは,教育上の深刻 な問題 となってい る
1)
。 また,小児看護 に必要 とされる技術 (以 下,小児看護技術) をどのように学ばせ るかに ついて も,実習の課題 とされている2)0筆者 らは平成
7
年度か ら,秋 田大学医療技術 短期大学部看護学科 (以下,本学)の小児看護 学実習 を担当 している。そ こで,学生数が多 く,1カ所の病棟 に集中するため,学生 に対 して有 効 な指導が行 われに くい ことを痛感 した。 また, 受け持 ち患児 を中心 に した実習のみでは,小児 看護技術が経験で きない ことが問題 となった。
そのため,小児科外来 における実習 (以下,外
来実習) を平成
8
年度 か ら取 り入れてい る。
1ケ月児健康診査 (
以下, 1ケ月健診)あるい は新生児特殊外来のいずれかで,主に乳幼児の 成長発達評価のための計測や診察の場面 を通 し て保健指導の実際 を学ぶ機会 としている。そ こで,外来実習の効果 について検討す るこ とを目的 として,外来実習導入前 の平成
7
度 と 外来実習導入後の平成9
年度の学生 を対象 に, 小児看護技術の経験状況の比較 を行 った。 また, 導入後 の学生 の記録 か ら学 びの内容 の分析 を 行 った。Ⅱ.
方 法1
)対象 :本学3
年次生で,小児看護学実習 を行 った学生の うち,平成7
年度 に実習 を行 った学生79
名 (以下, A
群)お よび 平成9
年度 に実習 を行 った学生 (以下,B
群)82名。秋 田大学医療技術短期大学部
*看護学科
Ke yWo r ds:
小児看護学,小児看護学実習, 外来実習‑ 3 3‑
2
)方法( 1 )
小児看護技術 の経験状況 :小児看護学実 習で,実施 または見学 した項 目について, 学生 自身がチ ェ ック した小児看護学実習 経験 録 を対 象 と した。小 野沢3)
が選定 した小児看護技術60
項 目の うち,外来実 習での体験が影響す る とみなされ る24
項 目を選定 し,実施状 況 をA ・B群 でx 2
検定 を用いて比較 した。
( 2 )
外 来実習の学 び :外来実習 の うち, 1
ケ月健診で実習 を した学生5
6
名の実習記録 を対象 と した。 「外 来実習 の ま とめ」 に ついて,文章 または段落 を対象 に,類似 す る内容 を分類 した。その中で共通 した 内容の もの をまとめて項 目名 をつけ,各 項 目毎 の記述件数 を算 出 した。Ⅲ.
外来実習の概要1.臨床実習 における小児看護学実習の位置 づけ
本学 の臨床実習 は
, 1
年次 に基礎看護学実習Ⅰ45
時間, 2年次 に基礎看護学実習Ⅱ9 0
時間,3
年次 に成 人 ・老 人看護学実習630時 間,母性 看護学実習135
時間,小児看護学実習135
時間 を 行 っている。 3
週間の実習 を7
ブロ ックに分 け てお り,その他 に地域保健実習45時間,老人施 設実習45時間が組み込 まれている。′J、児看護学 実習 は母性看護学実習の次 に組 まれてお り,第1
回 目の学生 を除いて,母性看護学実習 は既習 している。2.
小児看護学実習 における外来実習 の位置 づけ1
回の実習学生 は11‑12
名で,実習病棟 は秋 田大学医学部附属病 院の小児科病棟 である。 1 カ所 の病棟 に学生が集 中 しない ように,保育園(2
日間),小児科外来 (午前),新生児室実習 (午前) を組 み入 れてい る。
3.
外来実習の概要1)
目標( 1 )
乳幼児 の諸計測 お よび評価 の実際 を理解 す る。
( 2)
診察の介助,治療 ・処置の実際 を理解する
。
( 3
)小児や家族 を通 して,家庭 における生活 について理解す る。( 4)
家族 (母親) の訴 えや不安お よび指導 の 実際 を理解す る。2)
実習内容( 1)
身体計測( 2)
バ イタルサ インの測定( 3)
診療 の介助 (診察 の介助,採尿,与薬 な ど)( 4)
保健指導3
)方法( 1)
実習時間:8
時30分‑12
時( 2)
実習施設 :秋 田大学医学部附属病 院小児 科外来( 3)
実習方法 :①
1
回の実習学生 は2‑ 3
名 とす る。② 月曜 日の新生児外来 (低 出生体重児 の 健診) または,金曜 日の
1
ケ月健診の いずれか指定 された 日に実習す る。③健診 を受診 した児 を
1
名受 け持 ち,計 測 ・診療 の介助 ・受診後の指導 を行 う。(教員が必ず同行 し,外来看護婦 の確 認 を得 なが ら指導 にあたる。)
④記録 はルーズ リーフに,受 け持 ち患児 の情報,実施お よび評価,全体 の まと め について まとめる。
Ⅳ.
結 果1.受 け持 ち患児 について
主 な受 け持 ち患児 を発達段 階別 ・疾患別 に分 類 した結果 は,表
1
の通 りであった。発達段 階 別ではA
群 は乳児30
名,幼児25名,学童24名,B
群 は乳児24
名,幼児31名,学童27名で有意 な 差 は認め られなか った。疾患別では白血病 な どの血液疾患 お よび小児 がんが, A群 は44名, B群 は5
0
名 と共 に半数以 上 を占めていた。A
群 とB
群 に有意 な差 は認められなか った。
2.
小児看護技術 の実施状況各経験項 目について,実施 または見学 を した 者 を経 験あ りとして
,A・B
群で比較 した (表表
1
受 け持 ち患児i 平成
7
年度 平成9
年度発達段階別 乳児
30 24
幼児
25 31
学童
24 27
疾患別 血液疾 患
34 25
上記 以外の小児がん
10 25
心疾患
ll 12
腎疾患
2 1
消化器疾患
1 0
神経 .筋 .内分泌 .代謝疾 患
13 12
感染症 その他
8 7
表
2
小児看護技術 の実施状況経 験 項 目 冥施平成
7年昏 N= 見学 計 7 9
!実施平成9 見 年 学 I 誓 N= 計 8 2
γ 2検 定日
常
生酒の援助 ##乳児の便性観察おむつのあて方 3921
0 39 7 28
75722 3 77 75
**おむつによる尿量測定 5
1 2 53
589 67
与薬 乳児の経 口与薬幼児の経 口与薬8 6 4 12 2 8 23 2
53 1 4 4 47 67 ****
座薬
3 5 8 2 4 6
測定 .計測 乳児の体温測定 (直腸温) 0
7 7 1 3 4 * **********
乳児の呼吸測定 50 2 52 67 0 67
乳児の心拍測定 4 7 0 47 63 2 65
乳幼児の血圧測定 4 3 10 53 41 1 0 51
乳児の体重測定
15 18 33 72 5 77
乳児の身長測定 36 1 37 69 6 75
乳児の頭囲測定 25 4 29 70 4 74
乳児の胸囲測定 25 3 28
70 3 78
大泉門の観察 16 9 25
12 3 15
検査 .処置 点滴静脈内注射
施行中の観察 3
818 56
46 1 5 61 * **** * * *
自動輸液ポンプの取 り扱い l l 12 23
23 2 9 52
酸素吸入 ( テント.ボックス) 1
0 19 29 4 4 0 44
乳児の採血時の体位固定 3
8 18 56
33 2 0 53
腰椎穿刺時の体位固定 8 25 33
20 4 3 63
乳児の診察の介助 3
0 7 37
56 8 64
採炭パ ックの取り扱い 10 14 24
21 1 8 39
症状の観察 発熱 56
7 63
606 66
*
pく 0 . 0
5 **p
く0.012
)。 日常生活 の援助 であ る排浬 で は,乳児 の 便性 の観察 において,B
群がA
群 よ り有意 に多 か った(p<0. 0 1)
。お むつのあて方お よび尿 の重量測定 については差 は認め られなか った。与薬 では,乳児の経 口与薬,幼児の経 口与薬 共 に
,A
群 よ りB
群 の経験 が多 か った( p<
0. 01 ) 。
測 定 ・計 測 で は , 乳 児 の 呼 吸 測 定
( p<
0. 05)
,心拍測定(p<0. 0
1)
, 身長 ・体重 ・頭 囲 ・胸 囲測定(p<0. 01 )
において,A
群 よ りB
群が多か った。直腸検温お よび血圧測定,大 泉門の観察 については差 はなかった。検査 ・処置の介助 については, 自動輸液 ポ ン プの取 り扱 い,酸素吸入,腰椎穿刺時の体位 固 定,乳児 の診察 の介助 において
,B
群 よ りA
群 が有 意 に多 か った(p<0. 0
1)
。点滴 静脈 内注 射施行 中の観 察,乳児 の採血時の体位 固定,揺 尿 パ ックの取 り扱 い につ い て は差 はみ られ な かった。症状 の観 察 で は,発熱 お よび黄垣 につ い て
‑ 3 5‑
A・B
群 に差 はなかった。3.
外来実習で学んだこと平成
9
年度 に外来実習 を行 った学生の うち,1
ケ月健診 を経験 した学生5 6
名の記録 を対象 に, 全体のまとめについて内容 を分析 した結果は, 表3
の通 りであった。記述件数 は451
であった。記述内容 を分析 した結果, 1)乳児の成長発達 に対す る理解
76 ( 1 7
%), 2)
計測 の技術 に対 す る理解79 ( 1 8%), 3)
診療 に対す る理解69
( 1 5%), 4)
与薬技術 に対す る理解5 0 ( 1 1%)
,5
) 健診 の必要性 に対 す る理 解38 (8
%),6
)家庭生活お よび家族 (母親)の訴 えや不安 に対す る理解9 0 ( 2 0%)
, 7)外来看護 の役割 お よび実際に対する理解49 (
11%)の項 目に分 類 された。各項 目の記述内容 は以下 に述べ る通 りであっ た。
1) 乳児 の成長発 達 に対 す る理解 の項 目は,
「計測値 か らの評価 の実際が理解で きた」
「母性看護学実習で受け持 った児の成長 に 対する喜 び」「成長 に個人差がある」
「1
ケ 月間での成長 に対す る驚 き」「1ケ月児 の 成長発達 に対 す る系統 的 な理解」 な どで あった。2
)計測 の技術 に対す る理解 の項 目は, 「迅速, 安全,正確 な測定方法 に対す る留意事項の 理解」「泣 く ・動 くな ど人形や新生児 とは 異 な り困難」 「正常値 を念頭 において測定 す る必要がある」「測定時 に観察 をす ることが重要」 などの内容が記述 されていた。
3
)診察の実際お よび介助 に対する理解の項 目 は,「各種反射 の実際,診察 の実際が理解 で きた」「診察の順序 に対す る根拠の理解」「母親の不安 を軽減で きるような対応が必 要」 など診察の実際に対す る理解の深 まり に対する内容であった。 また,診察の介助 について,「診察が 円滑 にすすめ られる よ うな配慮が必要」「医師 と母親 の会話 を聞 くことが,保健指導 に結 びつ く」 など,香 護婦 の関わ り方に対す る内容の記述が見 ら れた。
4)
与薬技術 に対す る理解 の項 目は,「体位 ・注入量 ・注入速度な ど留意事項 に対する理 解」「与薬の必要性 を再確認」「注射器の取 り扱いが困難」 などの記述内容であった。
5
)健診の必要性 の理解 に関す る項 目は,「健 康 な生活 を送 るため に健診が大切」「異常 の早期発見 につなが る」 などの記述があっ た。6
)家庭生活お よび家族 (母親) の訴 えや不安 に対す る理解 の項 目は,「母親 は子 どもに ついて様 々な不安 を抱 いてい る」「子 ども に関す る観察力 の鋭 さを実感」 「家族 の生 活 は子供 中心で,睡眠不足 など疲労感 もあ る」 「育児姿 勢 に対 す る初 産 と経 産 の違 い」 などの内容であ った。特 に母親の不安 とそれに対する医師の対応 は表4
に示す と お りであった。学生が記述 した母親の不安 は61
件で,その うち薬剤 の処方や他科受診 の紹介,再受診 による経過観察 など医師が 何 らかの対応 をした ものは28
件 と半数以下 であった。なかで も湿疹 など皮膚の トラブ ルが22
件で最 も多 く,対応 として軟膏の処 方が1 8
件であった。7)外来看護の役割お よび実際 に対する理解の 項 目は,「わずか な機会 を利用 して,情報 収集 し,必要 なケアを実施す ることが求め られる」「医師 と母親の橋渡 し役」「入院 し ている小児の経過 に,外来 とい う存在があ ることを再認識 した」 などの内容の記述が 見 られた。
Ⅴ.
考 察外来実習の効果 について,導入前後での小児 看護技術 の実施状況の比較お よび,導入後の実 習記録か ら 「外来実習で学んだこと」か ら考察 す る
。
1.小児看護技術 の実施状況
小児看護学実習では,受 け持 ち患児の年齢 に よって,実習項 目は異なる。 日常生活のすべて に養護が必要 な乳児お よび年少児 と, 日常生活 が 自立 している学童では,援助の内容 に違いが あるのは当然であろう。受け持 ち患児の看護過 程 の展開 を中心 とした実習形態のみでは,小児
表
3
外来実習 (1
ケ月健診) で学 んだこと項 目 項 目合計
内 角 小計
1
)乳
児の成長発達
に対する理解 (7617) ・計測値か ら評価の実際を理解4 7
・母性看護学実習での受持 ち児の成長 に対する喜
び
1 0・成長発達の個人差の理解 8
・出生後か
ら
1ケ月間の成長発達の実感 7・1ケ月IR.
の
成長発達の系嘉森的揮解 42
)計
測の技術に対する理解( 79 1 8
) ・身長 .体重 .頭囲 .胸囲の測定方法に対する28 39 9
留意事項の理解 (正確性 .迅速性 .安全性など)・計測の技術に関する困難な点の実感
(泣 く .動 くなどモデル人形や新生児 との違い)
・正常値を念頭において測定することの必要性
・測定晴に裸に した隙の観察の重要性
3 3)
診察のに対する実際および診察の介助 理解 ( 69 1 5 )診察の実際
8・各種の反射に対する理解 5
・診察の実際に対する理解 (触診 .視診など) 5
・診察のJF序の根拠の理解
18 19
6・医師による母親への対応の重要性 診察の介助
・心音や呼吸音の聴取時は泣かせないための配慮 と して衣服の着脱の順序を考慮すること等の必要性
・安全 .安楽に診察を進行 させるための介助の理解
8
・医師 と母親 との会話 を聞 くことの重要件
4)
与薬技術に対する理解( 50 l l
) '書禦 讐勤 ,・注射器の内筒の取 り扱い方の困難さ実感プ品 島野 施 ;品 貨 '3360島 .#27
12・ビタ ミン
K2
投与の必要性の再確認 8・与薬の準備 (薬液の吸い上げ)の困難 さの実感 3
5
)
健診の必要性 に対する理解 38 ( 8)
・健診後の対応に対する理解 3 3・
異常の早期発見のための観察の重要性 3・
母親の疑問解決の よい機会である 1・晋け持ち患児の入院までの経過 に対する輝解 1
6)
家庭生酒および家族 (の訴えや不安に対する理解母親) (9020) ・・児に対する様々な不安を抱いていることを実感母親 の児 に対する観察力 .関心の大 きさを実感 688・家庭 における児や家族の生活に対する理解
・初産 と経産による違いに対する理解 6
・母親 の育児に対する姿勢 の理解 5
・健診結果に対する安堵感 3
・子 どもに
と
つての母#Lの毒要件7)外来看護の役割および実際対する理解 に
( 49 l l)
・短時間の機会 を利用 した保健指導の重要性22
・短時間で情報収集する必要性
9
・母親 の話 をよ く聞 く姿勢
8
・母親 が医師に質問で きるような仲介の必
要
性3
・診察結果を伝え安心で きるような関わ りの
必要
性3
・安全安楽な診察が受け られるような環境整備
2
・産科病棟の退院指導のあ り方の理解
1
・外来は入院前後
と
つなが
っていることの再認識1
合計 (l451oo)看護技術 に偏 りが生 じる結果 となる。一万,着 ルサ インの測定 ,小児 の計測,乳幼児 の養護 の 護基礎教育の中で習得 させ るべ き看護技術 につ 項 目は両者が一致 して基本 的看護技術 である と いて,臨床 と教育の立場では到達度 に対 す る期 み な してい る と報告 され てい る
4㌦
したが っ 得が異 なるが,小児看護学 においては,バ イタ て, これ らの技術項 目については,小児看護学‑ 37‑
表
4 1
ケ月健診 における家族 (母親)の育児上の心配事 と対応心配事の内容 記述件数 対 応 対応件数
湿疹な ど皮膚 の トラブル 22 軟膏処方 18
勝の聞患 5 小児外科紹介涜腸フランセチ ンパ ウダー 2221 便秘 .便 の色な ど 5
噛乳量 .噂乳間隔 5 特 に問題 な し 排気下手 .吐乳 5 特 に問題 な し
体 重増加 3 1ケ月後再受診
耳の形 3 耳鼻科紹介 11
睡眠時間 .寝つ き .夜泣 き 2 特 に問題 な し 鼻汁 .鼻閉 .職場 2 特 に問題 な し
眼脂 1 点眼薬処 方
心雑音 1 循環器外来再受診 1
順調 に発育 しているか 1 特 に問題 な し 先天性股 関節 脱 日 1 特 に闇夜な し
大泉門が小さい 1 特 に問題な し
ベ ッ トか ら転落 1 特 に問題 な し
怒貴 1 特 に闇魔な し
口唇の乾燥 1 特 に問題な し
母親の内服 による影響 1 特 に問題 な し
実習で体験で きるような実習方法 を検討する必 要がある と言 えよう。
本調査 では,バ イタルサ インの測定,計測 を 含め,外来実習での体験が影響するとみなされ る日常生活の援助の中の排涯,診療の援助の項 目について,導入前後で,経験状況 を比較 した。
その結果,2
4
項 目中13
項 巨=こついて,外来実習 導入後の実施率が高いことが明 らかになった。学生の受 け持 ち患児 は,発達段 階お よび疾患別 で も差が ない ことか ら,外来実習 を導入するこ とによって,小児看護技術 の経験 を増加 させ る ことがで きた と考 えられる。看護技術教育 とし て,技術適用の良否や評価,個 々の患児 に合 わ せた技術 の応用の指導 を重視す る場合,受け持 ち以外の患児 にその場 限 りのケアをさせ ること に対する指導上の困難 さが指摘 されている
5)
0 この点において も,原則 として健康児 を対象 と した健診であ り,病児 を対象 とした場合 よりも, 指導上の問題 は少 な く,有効 な方法であると言 える。本学では,平成
8
年度の実習か ら小児看護学 実習の指導教官が1
名か ら2
名に増やす ことが で きた。そのため,実習場所 を数 カ所 に分散 し て も,指導が可能 となった。 1年 目の平成8
年 度は臨床 との調整 を含め, 2
名の教員間で指導 方法 を検討 した。 2
年 目の平成9
年度 には,同 一教員が外来実習 に同行 して指導 を行 うことが で きた。そ こで,本調査では,平成7
年度 と平 成9
年度で比較 を行 った。経験率の上昇 は,早 に外来実習の導入のみではな く,指導教官の増 貞 による成果 とも言 える。 しか し,経験で きる 場 を提供 しなければ,実施 に結 びつけることは 難 しい。 したがって,外来 とい う場 を用いると 共 に,学習効果 を高めるような指導が必要であ ると考 えられる。2.
外来実習で学んだこと演 中 ら
6)
は,全 国の3 ・2年課程 の看護学 校 (大学 ・短期大学 を含 む)の1/ 4
校 を対象 に,小児看護学臨床実習の実態調査 を行 ってい る。それによると,外来実習は63.1%で行 って
お り,期 間は
2日以上44. 5%, 1日3 2. 5%,辛
日以内23.4%で,方法 は多様である。保育園実
習 と共 に外来実習 も増 える傾向にあ り,効果的な教育方法 を検討する必要性が指摘 されている。
外来実習で何 を学ばせ るかは,その 目的によっ て,学生の学 びに違いが生 じるのは当然であろ う。加藤 ら7)は,小児科外来 で初診患児 を受 け持つ とい う実習 を行 っている。そこでは学生 の学 びの順位が高いのは,「親子関係 (親の愛 情 など
)
」「患児の心理 (不安,退屈,恐怖心 な ど)
」「保護者の心理 (不安,緊張 など)
」 「ノJ、児 の特徴 (よく動 く)
」「待 ち時間の苦痛」であっ た と報告 されている。付 き添いのない病棟 で実 習 しているため,保護者 との関わ りが少 ない こ とか ら, この外 来実習 は親子 の観 察 に有効 で あった としている。 また, 日常生活での小児の 健康 と保健指導, プライマ リ ・ヘルス ・ケアに おける看護の役割 と機能 を考えることを目的に 開業医を含 めた外来実習 を組んでいるとい う報 告 もあ る8)
。それに よる学生 の学 びは,「子 どもや親の理解」「子 どもや親 に とっての開業医 や外来の意味」 「開業医や外来 における看護の 役割」「小児看護技術」であった としている。
本調査 において,外来実習 における学生の学 びは, 7項 目に分類 された。 1ケ月児 を対象 と した健康診査であるため,小児の心理 について の学 びはないが,「小児 お よび母親 に対す る理 解」 「診療 に対 す る理解」 「小 児看護技術 の理 解」 「外来 にお ける看護の機能 ・役割の理解」
については,前述の報告 と同様 に学 び としてあ げ られている。特 に
1
ケ月健診 において,「家 族 (母親)の不安 に対する理解」 について記述 が多か った。 これは, 「1ケ月児 をもつ母親の 育児上 の心配事 に関す る調査9
)や 「病 院 にお ける育児相談10)」で報告 されている問題 と同様 であった。特 に湿疹 など皮膚の トラブルについ ては,皮脂腺 の分泌が さかんになる生後3週 こ ろか らは石鹸で洗顔す るなど,皮膚の清潔に関 す る指導 の必要性 が報告 されている11)
。 この よ うに,母親が多 くの不安 を抱いていることを実 感すると共 に,保健指導の重要性 について理解 することがで きた。一方,母親の育児負担感は月齢別に変化 し, 出産後
1
ケ月では母親の健康状態 も影響すると い う報告がある12)。ほ とん どの学生が母性看護 学実習 を終 えてお り,観察力 は持 っている。 し か し,既習事項 を活用す る段階には至 っていな いため, これ らを結 びつけることがで きるよう な関わ りが必要であることが示唆 された。以上のことか ら
, 1
ケ月健診の外来実習 を取 り入れることは,看護基礎教育において到達す ることが期待 されているが,病棟 での実習のみ では経験が不足 しがちな小児看護技術 を学ぶ有 効 な方法であると言 える。 さらに,対象 である 小児 と母親への理解が深 まると共 に,保健指導 の必要性や実際について学ぶ場 として効果があ ると考 えられる。本学では
, 1
ケ月健診 と新生児特殊外来 を取 り入れている。新生児特殊外来は低出生児 を対 象 とした乳幼児の健康診査である。計測 など小 児看護技術 については共通 しているが,低出生 体重児 の背景 は, さらに多様である。 したがっ て,今 回は学びについて1
ケ月健診のみ を取 り 上 げた。新生児特殊外来で実習 を行 った学生の 学 びについて も調査 し, より効果的な外来実習 の方法 を検討することを今後の課題 としたい。Ⅵ.
結 論本調査では,小児看護学実習 における外来実 習の効果 について検討 した。その結果,以下の ことが明 らかになった。
1.外来実習導入前 の学生 と,導入後の学生 で,小児看護技術 の実施状況 を比較 した。
その結果,特 に計測 ・測定,検査 ・処置 時の援助の項 目において,外来実習導入 後の学生が有意に多かった。
2. 1
ケ月健診の外来で実習 した学生の実習 記録 か ら,「外 来実習で学 んだ こと」 に ついて,内容 を分析 した。その結果,対 象 の理解,計測や診療の援助技術 の理解, 外来看護 の役割や実際の理解 について学 んでいることがわかった。‑ 3 9 ‑
Ⅶ.
あわ りに小児看護技術 の実施状況 を見 る と,実施 また は見学が可能 と思 われ る項 目について も,実施 率9
0%以上 に満 たない ものがある。学生 に積極
的な実習姿勢 を求めるだけでは, なかなか解決 に結 びつ かない ことを実感 している。学生が意 識的 に行動で きるような指導 のあ り方 を今後 も 検討 してい きたい。引用文献
1)吉武香代子 :看護基礎教育 の中の小児看護 学の教育内容 ・方法 に関す る総合的研究, 平成
5・6 ・7
年度文部省科学研究費補助 金 (一般研 究C)成 果報告書, p7.1 9 9 6.
2)
岡本淳子, 山口桂子 :小児看護学臨床実習 にお ける技術経験 について一母親参加 と実 習内容‑ ,愛知県立看護短期大学雑誌24
,3 9‑ 47 ,1 9 9 2 .
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