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雑誌名 茨城大学人文社会科学部紀要. 人文コミュニケーシ

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(1)

就業力育成支援PBL科目「プロジェクト実習」の6年 : 地域志向教育科目「プロジェクト演習」への移行 に向けて

タイトル(英) Success and problems of Practical Training Using‑PBL in the last 6 years, one of the subjects in the Education Program for

Development of Employability : Challenges to the smooth shift to a new subject, Practical Seminar Using‑PBL in the Education Program for Community Studies

著者 鈴木, 敦, 神田, 大吾

雑誌名 茨城大学人文社会科学部紀要. 人文コミュニケーシ

ョン学論集

号 2

ページ 169‑190

発行年 2018‑03

URL http://hdl.handle.net/10109/13525

(2)

『人文コミュニケーション学論集』2, pp. 169-190. © 2018茨城大学人文社会科学部(人文社会科学部紀要)

-地域志向教育科目「プロジェクト演習」への移行に向けて-

  鈴木  敦  神田 大吾

要旨

 人文学部開講の専門科目「プロジェクト実習」は、

2017

年春の学部改組に伴い

2018

年度 からサブメジャー専用プログラム「人文社会科学部地域志向教育プログラム」の一科目へと 位置づけを改められることとなる。この機会に過去

6

年間を振り返り、成果と課題を整理し た。

はじめに

 人文学部は、

2017

4

月を以て人文社会科学部へと改組された。これに伴い就業力育成支 援

PBL

科目「プロジェクト実習」も、「人文学部根力育成プログラム」を構成する一科目か ら、新たに設定されたサブメジャー専用プログラム「人文社会科学部地域志向教育プログラ ム」の一科目へと位置づけを改められることとなった。同科目は

2

年次生以上向けの専門科 目であることから、今年度が人文学部プロジェクト実習として最後の年となる。この機会に

2012

4

月の初開講以来

6

年間の足跡を振り返り、成果と課題を整理する。

Ⅰ:プロジェクト実習の基本設計

1:開講の経緯

 茨城大学は、

2010

年度に文部科学省補助金「大学生の就業力育成支援事業

GP

」(以下、「就 業力

GP

」)(注1に採択され、鈴木は同補助金の申請原案策定者として、プロジェクト実習を 含む事業の全体設計に当たることとなった。

 同補助金は、単なる就職試験対策に留まらず就職後も一貫して活躍できる能力を「就業力」

と規定し、大学としてその育成を支援するカリキュラムを構築することを目的としていた。

そこで、まず本学学生が卒業時に身につけておくべき就業力を「根力(ねぢから)」と名付け、

社会人基礎力(注2をベースに本学独自の要素を加えて、根力の構成要素として一覧表にまと めた(図

1

)。

(3)

170 鈴木  敦/神田 大吾

 その上で、具体的なカリキュラムとして、「根力養成」「根力強化」「根力実践」の

3

段階の 正課カリキュラムと、正課外カリキュラムの「スキル養成プログラム」、加えて学生一人一 人の学習過程を記録し学びの設計に活かすツールである「電子ポートフォリオ」からなる「根 力育成プログラム」を、構築・運用することとした(図

2

)。詳細は、『茨城大学就業力育成

1:根力の構成要素 1

就 業 力 育 成 支 援 PBL 科 目 「 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 」 の 6 年

- 地 域 志 向 教 育 科 目 「 プ ロ ジ ェ ク ト 演 習 」 へ の 移 行 に 向 け て -

鈴 木 敦 ・ 神 田 大 吾

要 旨 :

人 文 学 部 開 講 の 専 門 科 目 「 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 」 は 、 2017 年 春 の 学 部 改 組 に 伴 い 2018 年 度 か ら サ ブ メ ジ ャ ー 専 用 プ ロ グ ラ ム 「 人 文 社 会 科 学 部 地 域 志 向 教 育 プ ロ グ ラ ム 」 の 一 科 目 へ と 位 置 づ け を 改 め ら れ る 事 と な る 。 こ の 機 会 に 過 去 6 年 間 を 振 り 返 り 成 果 と 課 題 を 整 理 し た 。

は じ め に

人 文 学 部 は 、2017 年 4 月 を 以 て 人 文 社 会 科 学 部 へ と 改 組 さ れ た 。こ れ に 伴 い 就 業 力 育 成 支 援 PBL 科 目「 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 」も 、「 人 文 学 部 根 力 育 成 プ ロ グ ラ ム 」を 構 成 す る 一 科 目 か ら 、 新 た に 設 定 さ れ た サ ブ メ ジ ャ ー 専 用 プ ロ グ ラ ム 「 人 文 社 会 科 学 部 地 域 志 向 教 育 プ ロ グ ラ ム 」 の 一 科 目 へ と 位 置 づ け を 改 め ら れ る こ と と な っ た 。 同 科 目 は 2 年 次 生 以 上 向 け の 専 門 科 目 で あ る こ と か ら 、 今 年 度 が 人 文 学 部 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 と し て 最 後 の 年 と な る 。 こ の 機 会 に 2012 年 4 月 の 初 開 講 以 来 6 年 間 の 足 跡 を 振 り 返 り 、 成 果 と 課 題 を 整 理 す る 。

Ⅰ : プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 の 基 本 設 計 1 : 開 講 の 経 緯

茨 城 大 学 は 、 2010 年 度 に 文 部 科 学 省 補 助 金 「 大 学 生 の 就 業 力 育 成 支 援 事 業 GP」( 以 下 、

「 就 業 力 GP」)( 注 1) に 採 択 さ れ 、 鈴 木 は 同 補 助 金 の 申 請 原 案 策 定 者 と し て 、 プ ロ ジ ェ ク

図 1:根 力 の構 成 要 素

読み 文章読解能力、論理的思考力、分析力 書き 文章作成能力、論理的思考力、分析力 ソロバン 基本的なIT能力

話す 説明能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力 生活力 自立した生活を実践できる力

人間関係構築力 生活を送る上で必要な、人間関係を円滑にするための力 情報収集力 生活を送る上で必要な情報のありかや、入手方法を把握する力 主体性 物事に進んで取り組む力

働きかけ力 他人に働きかけ巻き込む力 実行力 目的を設定し確実に行動する力

対応力 物事に流されず、疑問に思い主体的に対応する力 課題発見能力 現状を分析し目的や課題を明らかにする力 計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

想像力 課題が抱える影響、課題解決方法の影響など、ものごとをイメージする力 課題解決能力 課題の本質を捉え、適切な解決に導く力

発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力 傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力

柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力 状況把握力 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 規律性 社会のルールや人との約束を守る力

ストレスコントロール力 ストレスの発生源に対応する力

5.チームワーキング 能 力 4.思考力 3.行動力 2.社会生活力

1.基礎的素養

 *この素養の上に    「根力」を構築していく

2

ト 実 習 を 含 む 事 業 の 全 体 設 計 に 当 た る こ と と な っ た 。

同 補 助 金 は 、 単 な る 就 職 試 験 対 策 に 留 ま ら ず 就 職 後 も 一 貫 し て 活 躍 出 来 る 能 力 を 「 就 業 力 」 と 規 定 し 、 大 学 と し て そ の 育 成 を 支 援 す る カ リ キ ュ ラ ム を 構 築 す る こ と を 目 的 と し て い た 。 そ こ で 、 ま ず 本 学 学 生 が 卒 業 時 に 身 に つ け て お く べ き 就 業 力 を 「 根 力 ( ね ぢ か ら )」

と 名 付 け 、 社 会 人 基 礎 力 ( 注 2) を ベ ー ス に 本 学 独 自 の 要 素 を 加 え て 、 根 力 の 構 成 要 素 と し て 一 覧 表 に ま と め た ( 図 1)。

そ の 上 で 、具 体 的 な カ リ キ ュ ラ ム と し て 、「 根 力 養 成 」「 根 力 強 化 」「 根 力 実 践 」の 3 段 階 の 正 課 カ リ キ ュ ラ ム と 、正 課 外 カ リ キ ュ ラ ム の「 ス キ ル 養 成 プ ロ グ ラ ム 」、加 え て 学 生 一 人 一 人 の 学 習 過 程 を 記 録 し 学 び の 設 計 に 活 か す ツ ー ル で あ る 「 電 子 ポ ー ト フ ォ リ オ 」 か ら な る 「 根 力 育 成 プ ロ グ ラ ム 」 を 、 構 築 ・ 運 用 す る こ と と し た ( 図 2)。 詳 細 は 、『 茨 城 大 学 就 業 力 育 成 支 援 事 業 報 告 書 ( 平 成 22 年 度 - 平 成 26 年 度 )』 を 参 照 さ れ た い ( 注 3)。

図 2:根 力 育 成 プログラム

2 : プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 の 位 置 づ け

プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 は 、「 根 力 強 化 プ ロ グ ラ ム 」な ら び に「 根 力 実 践 プ ロ グ ラ ム 」の 一 環 と し て 人 文 学 部 が 開 講 し て い る 通 年 2 単 位 の 専 門 科 目 で あ り 、 昨 今 、 そ の 導 入 ・ 拡 充 が 強 く 求 め ら れ て い る ア ク テ ィ ブ・ラ ー ニ ン グ の 中 で も 、最 も 負 荷 の 高 い も の の 一 つ と さ れ る PBL

( Project Based Learning) 授 業 で あ る 。 同 授 業 は 、 本 学 を 構 成 す る 他 の 4 学 部 に 対 し て は 勿 論 、 連 携 関 係 に あ る 茨 城 キ リ ス ト 教 大 学 ・ 常 磐 大 学 に 対 し て も 、 単 位 互 換 科 目 と し て 開 放 さ れ て い る 。

加 え て 、2014 年 度 か ら は 茨 城 県 立 水 戸 農 業 高 等 学 校 食 品 化 学 科 と の 連 携 を 開 始 し 、高 大 連 携 の 一 形 式 と し て も 機 能 し て い る 。

3 : プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 の 枠 組 み

プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 は 、2012 年 の 初 開 講 以 来 、順 次 体 制 を 整 備・拡 充 し つ つ 2017 年 度 で 6 年 目 を 迎 え た 。現 行 の 構 成 を 図 3 に 示 す 。A~ D の 4 カ テ ゴ リ と 、ス タ ッ フ 編・リ ー ダ ー 編 ・ メ ン タ ー 編 の 3 カ テ ゴ リ を 組 み 合 わ せ た マ ト リ ク ス 構 造 を 採 っ て い る 。

3

4

根力実践プログラム 1

根力養成プログラム

①フレッシュマンゼミナール

根力(ねぢから)育成プログラム 各期の全学目標

2

②ステップアップ 科目群

根力強化 プログラム 根力養成プログラム:

学生の自発的学びを後押しし、

社会で活躍するための基盤となる能力 =根力を育成するための土台を築く

①フレ ッシュマンゼミナール:

高校生から大学生へ

②ステップアップ科目群:

自らの方向性を確認して

次の段階へ

根力強化プログラム:

座学と実地体験を通じて 社会人として要求される能力を

理解・養成する

根力実践プログラム:

実際の活動を通じて、これまで 培ってきた力を確認し、

不足点を自覚して、自らを高めて行く

2:根力育成プログラム

(4)

支援事業報告書(平成

22

年度-平成

26

年度)』を参照されたい。(注3

2:プロジェクト実習の位置づけ

 プロジェクト実習は、「根力強化プログラム」ならびに「根力実践プログラム」の一環と して人文学部が開講している通年

2

単位の専門科目であり、昨今、その導入・拡充が強く求 められているアクティブ・ラーニングの中でも、最も負荷の高いものの一つとされる

PBL

Project Based Learning

)授業である。同授業は、本学を構成する他の

4

学部に対しては勿論、

連携関係にある茨城キリスト教大学・常磐大学に対しても、単位互換科目として開放されて いる。

 加えて、

2014

年度からは茨城県立水戸農業高等学校食品化学科との連携を開始し、高大 連携の一形式としても機能している。

3:プロジェクト実習の枠組み

 プロジェクト実習は、

2012

年の初開講以来、順次体制を整備・拡充しつつ

2017

年度で

6

目を迎えた。現行の構成を図

3

に示す。

A

D

4

カテゴリと、スタッフ編・リーダー編・メ ンター編の

3

カテゴリを組み合わせたマトリクス構造を採っている。

(1)

カテゴリ

A

D

 活動の特性に基づく分類である。個々のプロジェクトのカテゴリ分けに当たっては「授業 ならびにプロジェクトとしての運用のしやすさ」を第一に決定しており、「分類学的厳密さ」

はもとより志向していない。それぞれの内容は、以下の通りである。

3:プロジェクト実習の構成

3

図 3:プロジェクト実 習 の構 成 (1)カ テ ゴ リ A~D

活 動 の 特 性 に 基 づ く 分 類 で あ る 。 個 々 の プ ロ ジ ェ ク ト の カ テ ゴ リ 分 け に 当 た っ て は 「 授 業 な ら び に プ ロ ジ ェ ク ト と し て の 運 用 の し や す さ 」を 第 一 に 決 定 し て お り 、「 分 類 学 的 厳 密 さ 」 は も と よ り 志 向 し て い な い 。 そ れ ぞ れ の 内 容 は 、 以 下 の 通 り で あ る 。

A: 総 合

以 下 の B~D の い ず れ に も 該 当 し な い 、 多 様 な プ ロ ジ ェ ク ト の 受 け 皿 で あ る 。 将 来 、 何 ら か の 纏 ま り を 持 ち 、年 度 を 越 え た 継 続 的 な 活 動 が 見 込 め る テ ー マ が 誕 生 し た 際 に は 、新 た な カ テ ゴ リ「E」「F」・・・と し て 切 り 出 す こ と と な る 。プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 C・ D は 、A か ら 切 り 出 す 形 で 2014 年 度 に 誕 生 し た 。

B: 地 域 連 携 ・ 地 域 貢 献

比 較 的 遠 方 に フ ィ ー ル ド を 持 ち 、地 域 づ く り 系 の 活 動 を 行 う も の 。2012 年 度 の プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 開 設 時 以 来 、常 陸 太 田 市 里 美 地 区 を 主 た る フ ィ ー ル ド と す る プ ロ ジ ェ ク ト が 継 続 的 に 進 め ら れ て い る 。

C: 国 際 交 流 ・ 異 文 化 理 解

「 国 際 」「 異 文 化 」 を キ ー ワ ー ド と す る 活 動 を 行 う も の 。2012 年 度 の プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 開 設 以 来 、茨 城 キ リ ス ト 教 大 学 の 学 生 チ ー ム と 共 同 で 、留 学 生 ・ 日 本 人 学 生 ・ 高 校 生 の 交 流 事 業 に 取 り 組 む プ ロ ジ ェ ク ト が 継 続 的 に 進 め ら れ て い る 。な お 、同 カ テ ゴ リ は 後 述 の 通 り ( Ⅱ - 1 -(7))2015 年 度 か ら 茨 城 キ リ ス ト 教 大 学 が 主 体 と な っ て 開 講 し て 下 さ っ て い る 。

D:PBL型 イ ン タ ー ン シ ッ プ

通 常 の プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 に 、夏 季 休 暇 中 等 を 利 用 し て 2 日 間 以 上 の い わ ゆ る イ ン タ ー ン シ ッ プ を 組 み 合 わ せ た も の 。2013年 度 に 茨 城 交 通 株 式 会 社 の ご 協 力 を 戴 い て 試 行 し 、 2014 年 度 以 降 は 水 戸 市 役 所 を 始 め 多 く の 組 織 の ご 協 力 を 得 て 正 規 開 講 し て お り 、安 定 し た カ テ ゴ リ に 育 ち つ つ あ る 。

(2)ス タ ッ フ 編 ・ リ ー ダ ー 編 ・ メ ン タ ー 編

プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 は 2 年 次 よ り 履 修 可 能 と な る が 、 こ の 区 分 は 学 年 に よ る も の で は な く

「 過 去 の 受 講 経 験 年 数 」 に よ る 。 学 年 に 関 わ ら ず 、 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 を 初 め て 履 修 す る 場

プロジェクト実習 A

プロジェクト実習 B

プロジェクト実習 C

プロジェクト実習 D

段階 (対象学年)履修回数

根力強化 プログラム

初回

(2-4年)

プロジェクト 実習A スタッフ編

プロジェクト 実習B スタッフ編

プロジェクト 実習C スタッフ編

プロジェクト 実習D スタッフ編

2回目

(3-4年)

プロジェクト 実習A リーダー編

プロジェクト 実習B リーダー編

プロジェクト 実習C リーダー編

プロジェクト 実習D リーダー編

3回目

(4年)

プロジェクト 実習A メンター編

プロジェクト 実習B メンター編

プロジェクト 実習C メンター編

プロジェクト 実習D メンター編 根力実践

プログラム 授業科目名

テーマ

PBL型 インターンシップ 国際交流

異文化理解 地域連携

総 合 地域貢献

(5)

172 鈴木  敦/神田 大吾

 

A

:総合

   以下の

B

D

のいずれにも該当しない、多様なプロジェクトの受け皿である。将来、

何らかの纏まりを持ち、年度を越えた継続的な活動が見込めるテーマが誕生した際に は、新たなカテゴリ「

E

」「

F

」・・・として切り出すこととなる。プロジェクト実習

C

D

は、

A

から切り出す形で

2014

年度に誕生した。

 

B

地域連携・地域貢献

   比較的遠方にフィールドを持ち、地域づくり系の活動を行うもの。

2012

年度のプロ ジェクト実習開設時以来、常陸太田市里美地区を主たるフィールドとするプロジェク トが継続的に進められている。

 

C

国際交流・異文化理解

   「国際」「異文化」をキーワードとする活動を行うもの。

2012

年度のプロジェクト実 習開設以来、茨城キリスト教大学の学生チームと共同で、留学生・日本人学生・高校 生の交流事業に取り組むプロジェクトが継続的に進められている。なお、同カテゴリ は後述の通り(Ⅱ-

1

(7)

2015

年度から茨城キリスト教大学が主体となって開講し て下さっている。

 

D

PBL

型インターンシップ

通常のプロジェクト実習に、夏季休暇中等を利用して

2

日間以上の所謂インターン シップを組み合わせたもの。

2013

年度に茨城交通株式会社のご協力を戴いて試行し、

2014

年度以降は水戸市役所を始め多くの組織のご協力を得て正規開講しており、安 定したカテゴリに育ちつつある。

(2)

スタッフ編・リーダー編・メンター編

 プロジェクト実習は

2

年次より履修可能となるが、この区分は学年によるものではなく「過 去の受講経験年数」による。学年に関わらず、プロジェクト実習を初めて履修する場合はス タッフ編、

2

回目はリーダー編、

3

回目はメンター編となる。従って

3

年生のリーダー編受講 者もいれば、

4

年生のスタッフ編受講者もいる、という形となる。

 また、スタッフ・リーダー・メンターという名称は、必ずしもそのままチーム内における 役割分担と直結させなければならないというものではない。チーム内の役割分担はチーム構 成員の合議で決定されるため、スタッフ編受講者がチームリーダーとなるケースもありうる。

授業設計者としては、このネーミングには少々問題があったかと反省している。

4:基本設計策定の背景

 プロジェクト実習は、就業力育成という事業目的と当時の社会的趨勢に鑑みて、

PBL

Project Based Learning

)技法をベースに設計した。しかし、筆者の専門は中国考古学であ り教育学の専門的トレーニングは受けていない。当時、本学学内には当該分野の専門家も在 籍していなかったため、事業採択と同時に

(6)

 ①

PBL

授業の専門技能を持った教員の招聘  ②先進諸大学の取り組み調査

を開始し、

2012

年度の開講に向けて準備を開始した。

 ①については、幸いにして山形大学より蜂屋大八准教授に赴任して戴けた。同氏は山形大 学の看板事業であり文部科学省の「知(地)の拠点」事業(注4の源流の一つともなった「山 形大学エリアキャンパスもがみ」(注5事業の立ち上げに深く関わった経歴を有する。同事業 の中核授業である

PBL

授業「フィールドワーク共生の森もがみ」(注6での実績を踏まえ、常 陸太田市里美地区をフィールドとする現行の「プロジェクト実習

B

」の基本設計をまとめて 下さった。同氏はその後宇都宮大学を経て現在は金沢大学准教授として活躍されている。本 学におけるご尽力に感謝申し上げますと共に、今後益々のご活躍を祈念申し上げます。

 ②については、筆者が当時あらゆる機会を捉えて実地調査を繰り返し、自らをイソップの

「おしゃれガラス」になぞらえながらも、どうにか「プロジェクト実習

A

」(現在は「プロジェ クト実習

A

」「同

C

」「同

D

」に発展・分化)の基本設計をまとめることができた。

 調査に当たっては、実に沢山の方々にご支援・ご教示を戴いた。ここで逐一お名前を記す ことはできないが、この場を借りて深甚の謝意を表します。中でも、同志社大学

PBL

推進支 援センター(注7主催の諸事業を参観させて戴いたことが、本学プロジェクト実習の設計の基 本となっている。長年に亘って蓄積されてきたノウハウを惜しみなくご教示下さった、同セ ンター長・山田和人先生、ならびに同学職員・平田有喜宏氏を始めとする方々に篤く御礼申 し上げます。また、

PBL

授業における学生-教員-学外協力者との協働関係、いわば「呼吸」

については、聖泉大学教授・有山篤利先生(現・兵庫教育大学准教授)から非常に多くのこ とを学ばせて戴いた。(注8心より御礼申し上げます。

Ⅱ:プロジェクト実習の概要

 プロジェクト実習の枠組みは、毎年の授業改善を経て

2015

年度にほぼ現在の姿となった。

本稿では、

2015

年度の活動報告書に収めた文章(注9をベースにその後の変更を加味しつつ略 記する。以下、ポンチ絵(図

4

・図

6

)に沿って記す。

1:基本構造

(1)

目的と手段(図

4

(1)a

(1)b

 プロジェクト実習は何らかのプロジェクトに取り組むことを通じて、就業力に纏わる「学 び」を得ることを目的としている。この際に注意すべきことは、プロジェクトの完遂という

「手段」が往々にして「目的」とすり替わってしまいがちになることである。

 振り返ると、プロジェクト実習の開講初期においては、教員も学生も両者の区別に対する

(7)

174 鈴木  敦/神田 大吾

認識が明らかに不足していた。勢い、最終報告においても「○○を行った」と言うばかりで

「何を学んだか」が語られることが少なかった。その反省に立ち、この

3

年間は特に「プロジェ クトを通じた学び」の内容を問い、強く意識させるようにしている。(注10

 一方で、このことは教育プログラムとしてはまっとうであるものの、学外の協力者の方々 に対しては甚だ手前勝手な措置と言わざるを得ない。図

4

(1)b

では「社会へ」と「自らへ」

が並置されているものの、学生には「自らへ」に主軸を置くようにと指導しているのである。

後述の

(6)

学外のプロジェクト課題ご提案者の方々には、予めご説明をしてご理解を戴いて はいるものの、本来大学が担うべき教育負担の一端を無償で担って戴いている構造である。

これは本学プロジェクト実習に限らず、学外と連携して展開される

PBL

授業全般について多 かれ少なかれ言えることであり、授業担当者も大学当局も強く自覚しなければならない事柄 である。

(2)

教員の配置とスタンス(図

4

(2)

 

PBL

授業は、受講生だけでなく担当教員にとっても負荷の大きなものである。このため、

プロジェクト実習においては「主担当教員」「副担当教員」「顧問教員」の

3

段階構成を採っ ている。それぞれの役割は、以下の通りである。

 ①主担当教員

  プロジェクト実習

A

D

それぞれのカテゴリについての最終責任者。

  担当カテゴリに関する外部との調整・予算確保・学外引率を含む教育指導・成績評価な らびにチーム予算の執行管理や各種事務手続き等々、授業に関する事柄全般を担当する。

1

図 4 ・ 差 し 替 え 用 図 版

* 別 途 大 本 の ワ ー ド フ ァ イ ル を 添 付 し ま す 。

図 4:プロジェクト実 習 の構 造

図 11( = 構 成 前 の 図 12)・ 差 し 替 え 用 図 版

* 別 途 、 大 本 の エ ク セ ル フ ァ イ ル を 添 付 し ま す 。

プロジェクト実習の構造

PJ課題提案

・学外協力者から

・履修学生自ら

・大学・教員等から

参加メンバー

・茨城大学(5学部)

・茨城キリスト教大学

・常磐大学

・茨城県立 水戸農業高等学校

活動予算

・大学からの支給

・履修生が自ら 外部補助金を獲得

人的支援

・PJ実習担当教員

・PJ課題ご提案者

・地域の方々

・自ら開拓した支援者

・関係教員 など

プロジェクトは手段

目的はプロジェクトを通じた「学び」

・通年のProject Based Learning(PBL)授業

→ 自ら学ぶ・周りから 「盗む」 教員は「指導者」 「伴走者」

・4つのカテゴリー

・A:総合 ・B:地域連携・地域貢献

・C:国際交流・異文化理解・D:PBL型インターンシップ

・チーム活動

1チームは5人~9人 大きなテーマには 「大チーム」

・社会人を疑似体験

→ 自分が動かなければ回らない

欠席手続も 「休暇取得の練習」 等々

就活時就職後に役立つ 社会人基礎力 学外への貢献

大学間高大連携

社会へ 自らへ

(1)b

(4) (5)

(9) (8)

(6)

(7)

(1)a

(3) (2)

4:プロジェクト実習の構造

(8)

成績評価は、副担当教員・顧問教員の意見も参考にしつつ、最終的には主担当教員の判 断・責任においてなされる。

 ②副担当教員

  

A

D

のカテゴリ単位で、主担当教員の補佐ならびに必要に応じて職務代行を担う。当 該カテゴリに所属するチーム構成員の成績付与に当たっては、主担当教員にセカンドオ ピニオンを提供する。

 ③顧問教員

  a:プロジェクトの特性に鑑み、専門的な知見に基づく指導が必要な場合

  b:他大学との連携チーム等、地理的制約から主担当教員の指導が手薄になる危惧があ る場合

  c:

1

カテゴリに所属するチームが多数に上り、主・副担当教員だけでは指導しきれな い場合

  等に、必要に応じて

1

チーム単位で顧問教員を置く。主担当教員の上記諸業務の内、教 育指導を担うと共に、その成績付与に当たって主担当教員にセカンドオピニオンを提供 する。

 いずれの場合も、教員は

PBL

授業の本質である「学生の自主性」を損なうことのないよう、

「指導者」ではなく「学生の求めに応じて支援を行う伴走者」というスタンスを採る。例え て言うならば「そのまま行くと転ぶと分かっていても、(命に関わるような転び方でない限 り)黙って見守り、実際に転ばせてから立ち上がりに手を貸す」ということになろうか。長 年に亘って「教える」ことに慣れてしまっている教員にとって、これはかなりの忍耐を要す る。

PBL

授業担当教員に最も求められるのが「忍耐」であることは、他大学で

PBL

授業を担 当しておられる方々の殆どと意見が一致する所である。

(3)

カテゴリー(図

4

(3)

)  本稿Ⅰ-

3

を参照されたい。

(4)

チームの人数(図

4

(4)

 プロジェクト実習は、同一プロジェクトへの参加を希望した学生がチームを組んで取り組 む体制を採る。

1

チームの人数は

5

人以上

9

人以下を原則としている。これは、

5

人未満では 過重負担となりプロジェクトの遂行が困難になる一方、

10

人以上となるとどうしてもフリー ライダーが発生してしまう、という筆者らの経験則に基づく設定である。前者は他のプロジェ クトチームへの合流、後者はプロジェクトの具体的な内容に基づき複数のチーム(小チーム)

に分割した上で、複数の小チームが合同で大チームを構成して取り組むことで、個々の構成 員の責任を明確にする措置を採る。

(5)

欠席の「推奨」(図

4

(5)

 プロジェクト実習は、全体として社会人を疑似体験する場である。具体的な体験内容は多 岐に亘るが、特に「責任意識の涵養」と「ペース配分(ワークライフバランス)のトレーニ

(9)

176 鈴木  敦/神田 大吾

ング」に重きを置く。

 プロジェクト実習は通年

2

単位の実習形式の授業である。換言すれば「年間

60

時間の授業

60

時間の自学自習」が求められている。しかし、プロジェクトに関する諸活動の全てに 参加しようとすれば到底これだけでは済まない「過重負担の設計」を採っている。年度初頭 のガイダンスでは、忙しい職場にあっても必要な休暇を取りながら健全に働き続けることも 疑似体験して欲しいとして、然るべき手続を踏んだ上での欠席を「推奨」している(図

5

)。

 同時に、各種活動に際しては参加者と活動内容、活動時間等を明記した「議事録」「活動 記録」の提出を義務づけ、単位の付与条件に適合する活動を確かに行ったことを示すエビデ ンスとしている。(注11

(6)

プロジェクト課題提案(図

4

(6)

 開講初期は「プロジェクト実習履修学生自身による提案」を原則とし、履修生数に比して 提案件数が不足する場合には教員が適宜補足提案をするという形を採っていた。第一義的に は、学生の自発性確保策であったが、同時に学外からご提案を戴くことは難しいだろうとの 消極的判断も働いていた。プロジェクト実習設計時のモデルの一つであった同志社大学(本 稿Ⅰ-

4

)では、全てのプロジェクト課題を学外からご提案戴く形を採っていたが、これは 大都市の名門校にして初めて可能になる手法と考えていたのである。

 しかしながら、開講

3

年目を迎えるに当たり意を決して呼びかけを行った所、

Domaine MITO

株式会社社長・宮本紘太郎様のご尽力を得て意外にも複数の組織からご提案を戴くこ とができ、以来今日まで毎年沢山のご提案を戴いている。本学の位置を再認識すると同時に、

その責任も噛み締めている。

 学外からのプロジェクト課題ご提案者の皆様には、「プロジェクト実習が学生から授業料 を取って開講している正規授業であること」「自主性を重んじる

PBL

授業であり、種々の失 敗と反省、リカバリを通じた<学び>が目的となっていること」かくして「プロジェクト成

7

ム ( 小 チ ー ム ) に 分 割 し た 上 で 、 複 数 の 小 チ ー ム が 合 同 で 大 チ ー ム を 構 成 し て 取 り 組 む こ と で 、 個 々 の 構 成 員 の 責 任 を 明 確 に す る 措 置 を 採 る 。

(5)欠 席 の 「 推 奨 」( 図 4- (5))

プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 は 、 全 体 と し て 社 会 人 を 疑 似 体 験 す る 場 で あ る 。 具 体 的 な 体 験 内 容 は 多 岐 に 亘 る が 、 特 に 「 責 任 意 識 の 涵 養 」 と 「 ペ ー ス 配 分 ( ワ ー ク ラ イ フ バ ラ ン ス ) の ト レ ー ニ ン グ 」 に 重 き を 置 く 。

プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 は 通 年 2 単 位 の 実 習 形 式 の 授 業 で あ る 。換 言 す れ ば「 年 間 60 時 間 の 授 業 と 60 時 間 の 自 学 自 習 」が 求 め ら れ て い る 。し か し 、プ ロ ジ ェ ク ト に 関 す る 諸 活 動 の 全 て に 参 加 し よ う と す れ ば 到 底 こ れ だ け で は 済

ま な い 「 過 重 負 担 の 設 計 」 を 採 っ て い る 。 年 度 初 頭 の ガ イ ダ ン ス で は 、 忙 し い 職 場 に あ っ て も 必 要 な 休 暇 を 取 り な が ら 健 全 に 働 き 続 け る こ と も 疑 似 体 験 し て 欲 し い と し て 、 然 る べ き 手 続 を 踏 ん だ 上 で の 欠 席 を「 推 奨 」 し て い る ( 図 5)。

同 時 に 、 各 種 活 動 に 際 し て は 参 加 者 と 活 動 内 容 、 活 動 時 間 等 を 明 記 し た 「 議 事 録 」

「 活 動 記 録 」 の 提 出 を 義 務 づ け 、 単 位 の 付 与 条 件 に 適 合 す る 活 動 を 確 か に 行 っ た こ と を 示 す エ ビ デ ン ス と し て い る ( 注 11)。

(6)プ ロ ジ ェ ク ト 課 題 提 案 ( 図 4- (6))

開 講 初 期 は 「 学 生 自 身 に よ る 提 案 」 を 原 則 と し 、 履 修 生 数 に 比 し て 提 案 件 数 が 不 足 す る 場 合 に は 教 員 が 適 宜 補 足 提 案 を す る と い う 形 を 採 っ て い た 。 第 一 義 的 に は 、 学 生 の 自 発 性 確 保 策 で あ っ た が 、 同 時 に 学 外 か ら ご 提 案 を 戴 く こ と は 難 し い だ ろ う と の 消 極 的 判 断 も 働 い て い た 。 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 設 計 時 の モ デ ル の 一 つ で あ っ た 同 志 社 大 学 ( 本 稿 Ⅰ - 4 ) で は 、 全 て の プ ロ ジ ェ ク ト 課 題 を 学 外 か ら ご 提 案 戴 く 形 を 採 っ て い た が 、 こ れ は 大 都 市 の 名 門 校 に し て 初 め て 可 能 に な る 手 法 と 考 え て い た の で あ る 。

し か し な が ら 、 開 講 3 年 目 を 迎 え る に 当 た り 意 を 決 し て 呼 び か け を 行 っ た 所 、 Domaine MITO 株 式 会 社 社 長・宮 本 紘 太 郎 様 の ご 尽 力 を 得 て 意 外 に も 複 数 の 組 織 か ら ご 提 案 を 戴 く こ と が で き 、 以 来 今 日 ま で 毎 年 沢 山 の ご 提 案 を 戴 い て い る 。 本 学 の 位 置 を 再 認 識 す る と 同 時 に 、 そ の 責 任 も 噛 み 締 め て い る 。

学 外 か ら の プ ロ ジ ェ ク ト 課 題 ご 提 案 者 の 皆 様 に は 、「 プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 が 学 生 か ら 授 業 料 を 取 っ て 開 講 し て い る 正 規 授 業 で あ る こ と 」「 自 主 性 を 重 ん じ る PBL 授 業 で あ り 、種 々 の 失 敗 と 反 省 、 リ カ バ リ を 通 じ た < 学 び > が 目 的 と な っ て い る こ と 」 か く し て 「 プ ロ ジ ェ ク ト 成 果 に よ る 貢 献 よ り も お 世 話 を か け て し ま う 部 分 の 方 が 多 い こ と 」 等 を 縷 々 ご 説 明 し 、 ご 理 解 を 戴 い て い る 。 た だ た だ 感 謝 あ る の み で あ る 。

(7)参 加 メ ン バ ー ( 図 4- (7))

プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 は 人 文 学 部 開 講 科 目 で あ る が 、 広 く 本 学 の 全 学 部 に 開 放 し て い る 。 し か し 、 2 年 生 以 上 向 け の 科 目 で あ り 本 学 が 日 立 - 水 戸 - 阿 見 の 3 キ ャ ン パ ス か ら な る 所 謂

「 タ コ 足 大 学 」 で あ る こ と か ら 、 他 学 部 か ら の 履 修 者 は 毎 年 極 め て 限 ら れ た も の と な っ て

参加姿勢の考え方

「自分が動かなければ回らない」

「やむを得ない欠席は必ず生じる」

・単位付与の規定時間を自ずと越える活動計画

正当な理由があり、チーム・学外協力者・

担当教員にきちんと報告した上での

<やむを得ない欠席>を一定程度保証

将来、必要な休暇も取りながら、支障なく 職務をこなしていくトレーニング

「欠席は罪」

図 5:ガイダンス PPT(部 分 ) 5:ガイダンスPPT(部分)

(10)

果による貢献よりもお世話をかけてしまう部分の方が多いこと」等を縷々ご説明し、ご理解 を戴いている。ただただ感謝あるのみである。

(7)

参加メンバー(図

4

(7)

 プロジェクト実習は人文学部開講科目であるが、広く本学の全学部に開放している。しか し、

2

年生以上向けの科目であり本学が日立-水戸-阿見の

3

キャンパスからなる所謂「タ コ足大学」であることから、他学部からの履修者は毎年極めて限られたものとなってしまっ ている。

 また、連携関係にある茨城キリスト教大学・常磐大学の両学にも単位互換科目として開放 している。両学の教職員の皆様には、周知と受講の推奨、年度末に本学で開催する活動報告 会へのご参加等、多々ご支援を戴いている。特に記しておかねばならないのは、茨城キリス ト教大学には、本学側のマンパワーの逼迫から

2015

年度以来「プロジェクト実習

C

」の運営 をご担当戴いていることである。当初は本学開講科目への単位互換履修推奨の御願いで始ま りながら、途中から本学側の事情で開講主体の主客転倒を御願いし、かつこれをお受け戴い ている。通常では到底考えられないレベルのご支援であり、感謝以外の言葉が見つからない。

 茨城県立水戸農業高等学校食品化学科とは、

2014

年度以来プロジェクト実習

B

「さとみ・

あいチーム」の活動において連携して戴いている。きっかけはプロジェクト課題提案者のお 一人である

JTB

関東法人営業水戸支店・西島佳子様のご紹介であった。高大連携の新しい形 として、今やプロジェクト実習に不可欠の要素となっている。(注12

(8)

活動予算(図

4

(8)

 プロジェクト実習では、授業運営用に確保した予算の中から一定額を学生チームの活動予 算として宛がってきた。

 プロジェクト実習開講の背景となった、前述の「就業力

GP

」補助金ならびにその事実上 の後継事業である「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」(注13補助金の 交付期間中は、幸いにして同補助金により予算的裏付けが担保されていた。しかし、交付期 間終了後の

2015

年度以降は文字通り予算を「かき集める」状態が続いている。

2017

年度の プロジェクト実習運営予算の出所は、以下の通りである。

 ①大学予算(教員が申請)

  a:地域志向教育支援プロジェクト予算(全学)

  b:茨城大学教育改革推進経費(全学)

  c:根力育成プログラム小委員会予算(人文学部)

    aは、本学が獲得した文部科学省「地(知)の拠点整備事業」(注4を背景とする学 内公募予算であり、教員個人での申請となる。(注14

    bは、本学が独自に設定している予算であり、学部単位で優先順位を付けての申請 となる。採択数は極めて限られており、今次採択は本件を今年度の優先順位第一位に するとの学部方針の賜である。

(11)

178 鈴木  敦/神田 大吾

 ②外部補助金(履修学生が申請)

  d:公益社団法人茨城県青少年育成協会「女性・若者企画提案チャレンジ支援事業」補 助金(注15

  e:大好きいばらき県民会議「大好きいばらき地方創生応援事業」補助金(注16   f:茨城県公共交通活性化会議「地域公共交通利用促進活動助成事業」助成金(注17     学部執行部にご配慮を戴いているものの、大学全体の予算が大きく減少している中、

学生チームへの支給上限は

2012

年度初開講時の

5

万円を維持することはできず、

2017

年度は

3

万円まで減少させざるを得なかった。代わって近年重みを増してきたのが外 部補助金であり、担当教員として応募を強く推奨している。今年度は全

8

チームが何 らかの申請を行い、幸いにして

4

チームが採択して戴くに至った。財政面でのプラス は勿論であるが、在学中に外部補助金の申請書を作成して採択され、これを規定を遵 守しつつ有効活用した経験は、学生達の今後にとって大きな糧となるに違いない。

    プロジェクト実習の運営は、上記①②のご支援があって初めて可能となっている。

関係の皆様に篤く御礼申し上げます。

 ③学生の自費負担

   部分的ながら、学生に自費負担を求めなければならないケースもある。原因は獲得予 算総額の不足ではなく、「食糧費」や「交通費」等、予算の「使途制限」にある。上記

①②の予算の大本は国民の税金であり、使途に一定の制限がかかることは十分理解でき る。一方で、大学として授業料を徴収して開講している授業でありながら、受講学生に 一定の自費負担を求めざるをえない現状には、内心忸怩たるものがある。

(9)

人的支援(図

4

(9)

 「プロジェクト実習担当教員」「関係教員」については後述する(Ⅲ-

5

)こととし、ここ ではプロジェクト課題ご提案者を始めとする学外の協力者の方々について記す。

 本学プロジェクト実習は、連携他大学を含む学外の協力者の方々との緊密な連携の下に運 営されている。中でも誇るべき特色として、プロジェクト課題提案者の方々との情報交換の 場、通称「オトナ会議」が挙げられよう。あるプロジェクト課題のご提案者と当該課題に取 り組む学生チームメンバー(時に担当教員も加わる)とのミーティングでは、基本的に当該 プロジェクトの進捗に関する議題が扱われる。これに対して「オトナ会議」はプロジェクト 課題ご提案者の方々と担当教員とによる、授業全体の運営や改善についての、「一歩踏み込 んだ意見交換」の場である。メール等による恒常的な情報交換に加えて節目節目で会合を持 ち、率直な意見交換をさせて戴いており、

2014

年度以来

4

年間に亘り各種授業改善に繋がる 貴重な知見を戴いて来た。個別のプロジェクトのみに留まらず、授業全体についても手厚い ご支援を戴いていることに、厚く御礼申し上げます。

(12)

2:年間スケジュール

 プロジェクト実習は、特定の授業コマに履修生全員が集まって実施する「一斉授業」と、

チームメンバーが任意の時間帯に・任意の場所で活動する「チーム活動」を組み合わせて展 開している。また、セメスター制の中にあっては例外的な通年授業である。少しでも多くの 学生に履修機会を提供できるよう、以下の措置を採っている。

 ①集中講義形式

   一般の授業科目の開講回数は、通年で

30

回である。これに対してプロジェクト実習 の「一斉授業」は、通年で

10

回をやや上回る程度に留まる。限られた回数の一斉授業 とのバッティングが原因で、履修そのものが不可能となることがないように、プロジェ クト実習は、書類上は集中講義の形式を採る。

 ②一斉授業の開講コマ設定と補講

   回数的には限られる一斉授業とはいえ極力バッティングが発生しないよう、一斉授業 は他の授業の開講本数の少ないコマ(

2017

年度は金曜

1

講時)に設定する。それでもバッ ティングしてしまう学生に対しては、別途補講を実施して不利が生ずることがないよう にする。また、他大学からの単位互換履修生については、当該大学での補講と授業録画 の送付を組み合わせて対応する。

(1)4

5

月(図

6

(1)

 一斉授業を主体とする。

6:年間の大まかな流れ

10

年間の大まかな流れ

その他(年度により変動)

社会人特別講義 先進地実地研修(近郊/遠郊) スキル補強講座

4~5月(一斉授業主体)

・履修目的の明確化

・プロジェクト課題提案&質問会

・チーム結成&役割分担

・プランニング手法の実習

(マインドマップ・ブレスト・KJ法等)

・プロジェクト構想立案

・プロジェクト構想報告会

12~1月(一斉授業主体)

・活動報告会準備&リハーサル

・活動報告会(学外にも開放)

・リフレクション

・自己評価と相互評価

・個人レポート作成

・活動報告書作成

6~9月(チーム活動主体)

・チーム活動

・前期末中間報告会

夏休み(チームの自由意志)

・インターンシップ(PJ実習D)

10~11月(チーム活動主体)

・後期キックオフ報告会

・チーム活動

・チーム別ピーク行事

図 6:年 間 の大 まかな流 れ (1)4~ 5 月 ( 図 6- (1))

一 斉 授 業 を 主 体 と す る 。

初 回 の ガ イ ダ ン ス で は 、担 当 教 員 が プ ロ ジ ェ ク ト 実 習 の 目 的・構 造・展 開 等 に つ い て PPT を 用 い て 説 明 す る 。 併 せ て 、 学 外 協 力 者 の 方 々 が 後 日 ご 提 案 予 定 の プ ロ ジ ェ ク ト 課 題 に つ い て 、 予 め 所 定 の フ ォ ー ム に 従 っ て 作 成 し て 戴 い た ポ ン チ 絵 も 紹 介 し 、 学 生 が 早 い 段 階 か ら 各 課 題 に つ い て イ メ ー ジ を 持 て る よ う に す る ( 図 7)( 注 18)。

(1)

図 7:課 題 提 案 ポンチ絵 上 :ポンチ絵 作 成 用 フォーム 右 :2017 年 度 の提 案 ポンチ絵 (抄

異文化交流プロジェクト 2017

たとえば・・・

1.留学生と高校生、大学生が 交流するフォーラムを開く 2.大学文化祭や小学校で

異文化を紹介する など

茨城キリスト教大学 茨城大学(茨苑会館)

プロジェクト Since2012実習C

高校と大学の連携 異文化理解の促進

留学生と日本人との 交流活動を通じ、

自らも異文化理解を深める 茨城キリスト教大学

(日本人学生と留学生)

茨城大学の留学生 水戸市又は日立市 近辺の高校生

日立市教育委員会

自らへ 地域へ

活動内容を表す、いわゆる「お題」

たとえば・・・

「お題」ご提供者様が期待されて いらっしゃる活動内容

など

主たる活動場所 プロジェクト 実習A/B/C/D

学生のプロジェクト活動か ら期待される内容

学生が目標とすべき「学び」の 内容 1.「お題」をご提供

くださいる機関・団 体名 2.活動の過程でご 協力ご支援いただ けることが期待で きる機関・団体名

関連特記事項

自らへ 地域へ

写真 プロジェクト実習D

Since2015

(1)プロジェクトで検討した内容を、インター ネット検定公式サイトに掲載・公開する ことで、当該活動の内容を社会(特 に大学生等)に向けて発信する (2)インターネット検定「.com Master」のカリ

キュラム等に当該トピックを反映する

(1)自身のIT利活用において、コミュニケーショ ントラブル(リスク)を理解したうえで対処法 を考え実践する (2)Webを活用した簡易プロモーションを設計・

検討する (3)プロジェクトをとおして、企業における

「情報の取り扱い」、「施策検討におけ る意思決定方法」等を経験する

【新たな協力可能性の模索】

(1)NTTグループ内企業

-NTTレゾナント(インターネット ポータル、サービス提供)

-NTT研究所(通信の 基礎技術を研究して いる機関)

-NTTドコモ など (2)IT系教育サービス会社

【NTT Comの期待】

(1)コミュニケーション上の身近なトラブルの確認 アンケート等の検討と実施

-SNS利用/就職活動でのネット利用等 で体験したトラブル

-身の回りで起こったトラブル (2) 結果の分析、対応策検討

-グラフ等データの活用 (3)対策の具体化

対策のとりまとめ Webや学内での告知活動 等

【既存の協力関係】

(1)茨城キリスト教大学 (2)NTTコミュニケーションズ(株)

※略称「NTT Com」

(3)NTT Comが認定する ICT情報リテラシー系資格

「インターネット検ドットコムマス ター(.com Master)」の 協力会社

【主な活動場所】

(1)調査活動:水戸市内(大学等)

(2)インターン&企業見学:

東京都港区(NTT Com のオフィス)

※NTTグループ他施設での活動も検討

自らへ 社会へ

身近なコミュニケーショントラブルの低減に向けて

一年生ワイン醸造株式会社STEP UP!PJ

たとえば・・・

○「水戸ワイン」の特徴をとらえた PR企画立案・実行

○ベンチャーならではの経営企画

○地域貢献、コミュニティ構築

◯ワインツーリズムへの準備

Domaine MITO泉町醸造所

(水戸市泉町二丁目の泉町会館)

県内各葡萄産地 東京都内 プロジェクト Since2016実習D

産学連携、産官学連携のモ デル化/未来の企業家、起 業家育成

企業経営/起業ノウハウ/

実行力/ネゴシエーション力

/発想力/お酒の知識も

○お題提供者 Domaine MITO

株式会社

○活動支援者 いばらきワイン産業 連絡協議会、酒類 業界の皆様、茨城 県、水戸市、JA水戸、

水戸商工会議所、

国税庁、農水省、経 産省、SMBC、MUFG

県内初のまちなかワ イナリー「Domaine  MITO」。2016年8月 からワイン造りを始 めて2年目であり、と ても重要な一年を体 験していく 地域へ 自らへ

産地名を冠し た地域PR型エ チケット

→収穫体験会 市長表敬

自分たちのチカラで、水戸の公共交通を変える

「あそこに行くのに、どうやって行 こうか」―交通の問題は私たち にとってとても身近な問題です。

バスがもっとわかりやすく、便利 なものになったら、自分たちの学 生生活がもっと豊かになるはず。

一緒に水戸の未来を創りましょう

水戸市 プロジェクト

実習D Since2014

自分たちが住む世界を、

実際に変えていくための 能動的なアクション

水戸の未来を創造するために 自ら「生きた」知識を得ること

○お題提供者 水戸市役所 交通政策課

○活動支援者 水戸市都市交通 戦略会議(交通事 業者、市民、関係 行政機関等で組 織する協議会)、

市民団体など

「実践型インター ンーシップ」が 体験できます!

5日間程度の 職場体験付き!

地域へ 自らへ

例えば、

分かりやすいマップを作ってみる。

通学に使いたい乗り物を考えてみる。

学生生活を 豊かにする可能性は 無限大!

(5) (4) (2)

(3)

図 8 :根力の構成要素ルーブリック 11  図 8:根 力 の構 成 要 素 ルーブリック 43 2 1読み文章読解能力論理的思考力分析力難解で長大な文章でも、論旨を的確に捉えることができる。筆者の主張を論理的に理解・分析し、自らの見解を組み立てることができる比較的平易で短い文章であれば、論旨を的確に捉えることができる。筆者の主張を論理的に理解・分析し、自らの見解を組み立てることができる比較的平易で短い文章であれば、最後まで読み通し、筆者の主張を論理的に理解・分析することができる 比較的平易で短い文章であ
図 11 :プロジェクト構想書作成フォーム作成担当リーダー副リーダー書記会計金額(千円) 予算調達支給支給支給支給支給独自調達独自調達独自調達独自調達 2017プロジェクト実習 プロジェクト構想   年    月    日氏  名アドレス(vc)*必要に応じて、適宜枠を拡大/追加して記入して下さい*1:チーム名2:チームメンバー備  考4:プロジェクトの目的:  個人の目的については、既に「個人の達成目標ルーブリック」で文字化していますので、ここには(1)プロジェクトそのものの目的と、(2)チームとしての目

参照

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