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製造間軽費管理における固定予算 と変動予算 浦_ 和 夫

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(1)

製造間軽費管理における固定予算  

と変動予算  

浦_ 和 夫  

Ⅰ製造間接費管理の意義  

製造間接費が製造原価のなか紅占める位置は,必ずしも大きいものでほな   い。喧接材料費と直接労務費とが製造原価の主要部分を占めるこ.とほ,間接費   本来の意義からも認めることができよう。特殊な企業を除いては,製造原価管   理の金額的観点よりみた重点ほ,直接材料費および連接労務費にあるととほ認   めなければならない。しかし,製造原価中に.製造間接費の占める比率が30%を  

こえる場合も少なくないことは,十分認識されなければならない。また,大患   生産化あるいほ省力化を目的とする機械化あるいは装置工業化の進展紅伴って   製造間接費,特に.そのうちの減価償却費ほ増大しつつある。ここに.製造間接費   管理の重要性が主張される第1の理由がある。   

また,製造間接費管理がとくに.重視されなければならない第2の理由ほ,製   造間接費には多数の項目があり,それらがさまざまな源泉から把握されるとい  

うことであり,そして−また,それらほ原則的に.生産量の変化紅比例して変化す   るものでほないということである。   

かように・,製造間接費の管理ほ.直接費のそれと異なり,著しくその性格を異   にする。製造間接費の管理ほ,金額的紅小えば直接費に及ばないとしても,原   価管理の一環として重要視されるべきものであり,その管理が困難であり比較   的等閑視されやすいという意味紅・おいていっそう重要視されるぺきであろう。  

(l)  製造間接費の記録と計算は,・−・般的紅.,次のように.して把捏される。  

(1)この記録と計算については,溝口一機著『 管理会計』1957,232ぺ−汐以下に負う   ところが大きい。参照されたい。   

(2)

製造間接費管理における固定予算と変動予算   −ヱ27−   

411  

間接材料費ほ,原価計算係が庫出請求書風.ついて製造指図書番号の記入のな   い分を材料仕訳帳(materialdistribution sheet)に記入,集計するという操   作を通じて.引算され,それからこれらが製造間接費内訳帳に記録されるこ.と紅   なる。この場合紅部門費計算が行われているとすれば,庫出請求書の発行部門   を識別することに.よって,これが材料仕訳帳の当該部門栗欄に記入され,またこ   れが部門費元帳の当該部門費口座把記入される。すなわち,製造間接費が発生   の場所別に把握されるのである。そしてさらに.,これが部門間の配賦引算/をお   こなってから,製品別(指図書別)の配賦計算をして,製造原価を算出する。   

間接労務費の場合は,摩出請求書のかわりに,作業時間表ないし出勤表など   から記録・計算される。材料仕訳帳と同様の機能をはたすものほ,賃金仕訳帳  

(1abor distribution sheet)である。部門費封算が行われている場合にほ,労   務費をその発生部門別に区別し,記録・計算する。  

\ご\   

経費の計算ほ.,その費目紅応じて−,月割計算,測定言1算,支払計算および発   生額計算などの種別が考えられ,そのために叔料費,労務費とほやや取扱いを   異にする。しかし,最終的に.ほ部門別紅把捏されて部門費元帳に記録される点  

ほ前二者と同様である。  

ⅠⅠ固定予算と変動予算    1 標準原価割算に.よる製造間接費管理   

今世紀紅入って,製造間接費を管理する手段として,費目別実際発生額の期  

(き)  

間比較が行われた。しかし,この方法によると,実際発生額のなか紅.,製造  

(2)製造間接費の経費にほ,間接経費の他に直接経費をも含むのが一・般である。  

ただし,ドイツでほ,古くからSondereinzelkostenとして間接費から独立させ明   確に.区別している。近時,英・米でもdirect expensesの概念がみられるように.な  

り,直接経費は,直接材料費,連接労務費と並雷されるようになった(ここでの直接費   は,富貴どおりのものであって,変動費の意味ではない)。たとえば,H‥丁..Wheldon,  

COmpletely revised by L.WけJu Oweler andJ.L..Brown,Cost   

の痛Coざf≠紹g〃〃〃わdぶ,1960,pい7..拙稿「直接経肇」太田菅三u黒澤滑・佐藤孝    一・・山下勝治・番場嘉一・郎監修『原価計算辞典』1968,567−568ぺ−ジ参照。  

(3。)経営分析・比較の領域において,ギルマンほ,このような実数による比較分析の方    法を,とく略歴史的比較方法と呼んで重視しており,それを増減法あるいは加減法   

(3)

ー∫2β−  

第47巻 第4・5・6号  

412  

間接費の原価能率のはかに操業度差異が含まれてしまうゆえ,原価能率の良否   を判断することが困難である。なぜならば,製造間接費ほ,後述のよう紅,変   動部分と固定部分とからなっているので,製造間接費の費目別実績のなかから   最小額をとり出しで比較基準として使用することほ,原価能率が良好なために  製造間接費が少くですんだかもしれないが,他方,操業度(操業の度合,生産   還で示されることが多いが,間接費差異分析の場合は生産時間)そのものが低   かったため紅製造間接費の費目別実際発生額が少なかったのかもしれないから   である。   

かくて,製造間接費の正常配賦が提唱され,実際・標準比較の重要性が強調   され,製造間接費軋ついても費目別に実際と標準とを比較するぺきであるとい  

t・11 う考え方が広まってきた。この場合の正常配戚の基準は,正常操業度である。  

ここにノいう正常操業度とほ,過去紅‥おける実際業繚の平均であって,将来改遷さ   れる方法を反映するような調整を行わない。過去の実績平均を基礎として将来   性を加味するという将来の数期間に.わたる平均を意味する正常業績標準とほ異  

なる。この正常配賦に.おいてほ.,操業度の変動紅かかわらず,つね紅.一定の配   賦率で製造間接費を製品に配賦する。それゆえ,正常配威率算定の基礎となっ   た正常操業度に.おける製造間接費を製造間接費の標準と考えたのである。実際   操業度が正常操業度に一・致しなくとも,正常操業度紅おける標準と実績とが比   較された。   

このように.製造直接費管理のためには,まず製品1単位当りの原価標準を予   定し,実際生産最が決定した際に,この実際生産還を乗じて標準原価を計算し,  

これと実際原価を比較して原価差額を析出する。あるいはまた,原価標準と単   位当り実際原価を比較して原価差額を析出する。とれらの標準原価計算紅よる   

(increase and decrease method)とも呼ぶ。S..Gilman,Analyzing Financi    5fα≠β椚β乃f5,1925,pp..49−50.また,ギルマンは,指数による比較分析の方法を   

指摘して,それを趨勢法(trend percentage method)と呼ぶ。S.Gilman;Ob.  

c査f.,p.163ff.  

(4)例えば,H小 A。Evans,Cost KeePing aud Scienii.fic Ma71agemeni,1911,  

pp.90−96.   

(4)

製造間接費管理における固定予算と変動予算   −ヱ29−  

413  

方法は,直接費の管理のために,かつまた,・・・・・J般紅広く損益計算や価格計算の   ための製品原価の算定のためにその機能を・はたす。しかし,こ.れらの方法ほ,  

間接費の管理のため紅ほ有用でない。なぜならば,直接費の原価標準に実際生   産屈を乗じて計算した標準原価と実際原価を比較すれば,価格差異がないかぎ   り,その原価差額は,数壷(たとえば時間)的原価能率を示すが,製造間接費   標準に.実際生産鼻を乗じて計算した標準焼価と実際原価との閲の原価差額の中   に.ほ,価格差異がなかったとして:も,腺価能率差異のほか紅,操業度差異をも   含んでいる場合があるからである。   

この間題点を解決して製造間接契の管理を効果あらしめるために,予算統別   の機能を利用することに.なる。  

2 固定予算に.よる製造間接費管理   

製造間接費の標準設定ほ,生産されるべき生産屈の予定を基礎に.しなければ   ならない。しかし,生産届と間接費との相関関係の把捉は因難である。製造間   接費を生産鼻変化に.関連づけて把捉するこ.とが困難である理由の第1ほ,前述   紅.おいても触れたよう紅,製造間接費に.ほ多数の項目があり,しかもそれらがさ   まざまな源泉から把握され,さらにまた,材料費・労務費の場合のように僻定   の部門で統一一・的に.取り扱うことができず,多様な項目が多くの異なった部門に   おいて把振されるという点である。理由の第2ほ,製造間接費そのものが,原   則としてこ生産鼠の変化に比例して変化するものでほないという点である。それ   ほ製造間接費と呼ばれるもののうちに,生産蔓変化すなわち操業度との関係払   おいて固定費(fixed costs)と変動費(var iablc costs)という異費的な要素   が含まれているからである。さら紅一・方,固定費紅も生産遍に.奮ったく関係な  

く,したがって操業を停止した休其の場合紅.もなお発生する絶対的な既決固定   費(committed costs)と,操業が続く場合それに.伴って−・定額として発生す   る固定費,すなわち操業度の増減紅かかわらず固定的紅発生するが,現在の経   営者の意思に・よってある程度その発生額を左右できる管理固定費(managed  

(5)  

COStS)とがある。他方,変動費に・も純比例的なもの,不足比例的なもの,超過  

(5)作業の機械化,高度の車用機械使用の増加などのため固定費が増加するに及んで閲   

(5)

ーエフクー  

策47巻 第4・5・6弓  

414  

比例的なもの,あるいは不規則変動を示す飛躍費などがある。こ.のため,過去   の生産塁と間接費との比率をそのまま単純に適用して製造間接費を予定するこ   とができない。そ・れが適用されうるのは,生産能力規模において,また生産患   において,ほぼ同一・の場合に限られるであろう。しかしながら,なお製造間接   費の過去の実績がそれの将来の見積りに対して基礎をなすということほ自明の  

ことであり,こ.の意味において計算的把握が必要である。   

製造間接費のうちで,変動的性質を持つ重要なものとして間接材料費,間接   労務費とがある。それらの見積りは,材料予算,労務予算として卑接費ととも   に.包括的に行われている場合があり,この方法ほ,いわゆる「作業柴予鈴」の   作成として実際的に.もー・般に行われているところであるが,管理目的からすれ   ば問題があろう。すなわち,予算の本質的意義は,ゲェッツとクライン(B.  

(6)  

E.Goetzand F.R.Xlein)も述べているように,各自の資任(individual   responsibility)をあらわす手段として編成されるこ.と軋あるのであるから,そ  のような原価要素別の把捉のみでほ,管理目的紅十分にそほいえない。部門別   の責任制度の確立を会引数値を通じて行うための予算を有効にするためには,  

直接費と間接費とを明確紅.区分し,そして間接費についても部門別の見積りを   行うことが望ましい。そのためには,材料予算,労務予算の細目予算として直   接材料費予凱 直接労務費予算をたて,間接材料費,間接労務費ほ.製造間接費  

定費管理の盛宴性が主張されてきた。しかるに,近時,固定費を管理するには,その   

発生源泉紅注目する必要があるとされ,操業度の変動に伴い原価がいかに動くかとい   う立場からの分類にかえて−,原価の発生源泉に着目した分類が重要視されはじめてき   ている。アメリカ会計協会編,染谷恭次郎・新井消光・藤田幸男共訳『キャバレデイ・  

コストの会計』1965,20−21ぺ一汐。ここでは,固定費・変動費の分類から,キャパ   Vタイ・コスト(capacity costs),アクティビティ・コスト(activitycosts)の分類    への移行を示唆しており,キャバレデイ・コストを「将来の沼動を予想してキャパy  

ティを保有することから継続的に発生する原価」と定義し,これを既決キャパシテ   ィ・コスト(committed capacity costs)と管理可能キャパVテイ・コスト(managed    CapaCity costs)とK,区分している。また後者をさらに.,操業固定費(operatingfixed   COStS)と政策的固定費(policy costs)と紅区分している。  

(6)B.E.Goetz and F.R.Xlein,AccouniinginAction・IiSMeaning.fbrMan・   

αgβ∽β乃≠−,1960,pハ68・− これ紅ついては,拙稿「管理会計の性格紅関する一考察」   

香川大学経済論叢,算37巻第4号,1961,1ぺ一−ジ以下を参照されたい。   

(6)

製造間接費管理における固定予穿と変動予算  

−J∂ノー   415  

のうちで取り扱うことが正しいと思われる。  

(7)   

クェルVユ(G.A.Welsch)も述べているように製造間接費の部門管理   ほ,主として予算を利用して行われるが,製造間接費予算の取り扱いにほ,次   の2つの方法がある。その1は固定予算(fixed budget)であり,その2ほ   動予算(variable budget−)である。   

固定予算は,1予算期間に.ついて単一・の操業度(一L般にほ予定操業度,前も   っで短期計画が設定されてし、る場合にほ計画操業度)を考慮し,これに対して  定められた製造間接費予算である。したがって,経営の討画機能が蓮祝されて  

きた近代企業における固定予算は計画紅基づく予算(planning budget)の性   格をもつこととなる。さて,渾−・の操業度を予定して編成された固定予算ほ,  

当該予算期間中ほ原則として一変要せず,その予算額と実際額の比較を通じて−製   造間接費の管理をおこなおうとするものである。これに対して,変動予算.ほ,  

予定操業度を基準操業度とし,これを中心として異なった複数の操業度につい   て:,それぞれに.合致する製造間接費の予静額を設定したものである。   

さて,固定予算は,1個の短期討画に基づいて一編成された予算であるが,こ   れはさらに,割当型予算(appropriation type budgets),予測型予算(forecast  

(8)  

typebudgets)僧理型予算(controltypebudgetS)紅大別しる0    割当型予算は,まず費用予算の枠を定め,この費用予算を売上原価予凱 販   売費予算,一般管理費予算に区分し,売上原価予算紅仕掛品,製品の在高原価   予算の増減を考慮して製造原価予算を決定し,これから製造直接費予算を控除   して製造間接費予算を求める。この製造間接費予算を各部門紅割り当て,この   割当額以下に.実際発生額をおさえるにほいかになすべきかの工夫をし,さらに  その実績と予算とを比較して求めた差異によって原価業績を明らかにすること   を通じて,これを統制しようとする。本来,こ.の種の天下り的な原価管理方式   ほ,原価の効果を測定し難い場合,またはそれ紅対する許容額を主として判断  

(7)G.A。Welsch,Budeting:Prqfit−EVanning and Control,1957,p..130,   

諸井勝之助訳『企業予∃凱』1962,17−18ぺ一汐。  

(8)絵本雅男『原価管凰』1970,129−134ぺ−・汐。   

(7)

第47巻 第4・5・6弓  

一J3クー   416  

に基づいて.決定せざるを得ない場合紅用いられる。しかし,このよう軋部門生   産鼻の増減を無視し,現場の実情を考慮しない予算ほ管理のプレ−ムとほ革め   難いものであろう。   

予測型予算ほ,企業全体の立場から,各部門に・進むべき方向を指示するため   に.つくられる予算である。この予算ほ,通常,年度予算としてつくられるが,  

月次に.も区分されている。ここでほ,前述の割当額予算のように天下り的では   なくて:,予測として正常生産患に基づいは編成された製造間接費予算に・予定生   産盈/正常生産遍の比率を乗ずるこ・とによって,次期の予定生産屋に対する予   算を決定する。しかし,製造間接費は必ずしもすべて生産量に・比例して発生す   るものでほないゆえ,この種の予算ほ,その実際発生額を批判するプレ−・ムと   は認め難いであろう。   

管理型固定予算は,予測塑予静が内包していた月次予定生産費と実際生産巌   とが一致しないことが多いことから起因する欠点を除ぐために,予測型の年次   予算と柑並んで月々の予定生産鼠紅基づいて実行予算を編成する。月はじめに   当月の生産量その他の状況を予測し,これに基づいて予算を編成するのである   から,予定の編成条件と現実の条件とが一激することが多いため紅,この予算   ほ,製造間接費の実際発生額を批判するプレ−ムたりうるのである。さらに,  

より重要なことは,製造間接費の実績と予算とを比較分析するに・とどまらず,  

その原価差額を析出し,さら紅進んでその差額がいかなる原因から生じたかを  

(9)  

究明するに.いたったこ.とである。   

上述のように.,固定予算に.おいてほ,将来活動の正確な見積りということが   予算編成の核心をなしている。そこでほ,実際活動が予算編成の際の見積りど 

おりに実現されるか否かが,この固定予算の価値を決定することとなる0 しか   しながら,実際生産塁と予定生産患とが一致するということは,現実乾きわめ   て困難であり,かつ稀である。殊に・,実際生産恩が予定生産量よりも少くなる   場合に.は,固定予算は次に・述べる変動予算に・よる業績統制規準よりも甘くなる  

(9)具体的な差異分析については,拙稿「原価差異分析による業繚の評価と統制(2)」   

溝口ー・雄編『管理会計講義』1972,161ぺ−ジを参照されたい。   

(8)

製造間接費管理における固定予静と変動予昇   一J3β−  

417  

ため把.,固定予算把.よる製造間接費管理の方式ほ浪費を見過すおそれがある。  

この欠点を補なう方式として考えられるものが,ゲェッツとクラインもまた述   べている変動予算概念に基づく複数弾力性予算(multidimensionalflexible  

(10)  

budget)である。   

3 変動予算による製造間接費管理   

変動予算は.,その算定方法に.よって,次の2つに大別できるとするのが】■般  

(11)  

である。すなわち,その1は多桁型(columllaI重心rIn)変動予算であり,その   2は公式型(fofmular・foIm)変動予算である。   

表示方法の種別に.よる多桁型変動予算とは,−・定の基準となる操業度を中心   として,予想される範囲内の複数の操業度を−・定の操業度間隔(通常5ないし   10%の間隔)紅ついて設け,各操業度ごと紅そ・れ紅対応する製造間接費予算を   あらかじめ算定し,これを予算表に多桁様式に列記したもノのをいう。この場合   に各操業度に応ずる製造間接費予算額ほ,個々の費目について−具体的個別的に   調査測定されるものであり,こ.れが算定方法としてこの実査法に.よる変動予算と   呼ばれる所以である。この方法ほ,結局計算担当者の経験紅基づくこととなる   ゆえ,そこ紅ほ一定の限界がある。すなわち,純然たる固定費と比例的紅変化   する純然たる変動費とは識別しうるとしても,その中間紅位する準固定費,準   変動費については,単純紅固定費,変動費となしえない。この実査法に.よる変   動予算に.おいては,固定費と変動費とに分解するには及ばないので原価分析の   不完全さから生ずる欠点を持たないが,そ・れを個々の操業度別に具体的に測定  

(10)B.E.Goetz and F。R.Klein,Ob.cit.,p.461.  

(11)このような見解は,アメリカの文献に・おいてしばしば認吟られる。これに・対して,   

輯口教授は「変動予算の特質は原価要素の分析的把握の方法いかんによって決定され   

る」という基本的立場から「変動予算の種別として−・つの拠りどころとなるのほ『多   

桁塑変動卓簸対公式型変動予乱』という考え方がある」「私があきたらないとするの   ほ,この区別が予算の表示方法によるものであるか,算定方法に.よるのかが不明瞭な    点である」「それにもかからず,静定方法に.よって変動予算の種別を考えるぺきであ  

り,その場合には『多桁型変動予乳』ぎという名称ほ不適当であるから,これを『実査    法による変動予算』とすることが望ましいというのが私の見解である」と述べておら    れる。溝口一・雄稿「変動予算の種別について」『■産業経理』第18巻第5号,1958年5  

月弓,26−27ぺ−ジ。   

(9)

寛47巻 第4・5・6号  

−ヱ34−   418  

する必要がある。   

これに.対して,公式型変動予算ほ,中間的な性質の製造間接費要素を統計的   方法に.よって純粋の変動費と固定費とに分解し,それを前提としで計算公式の   形で変化する各操業度の予算額を予定するものである。換言すれば,公式型変   動予算ほ,後述の最小自乗法などの方法によって,変動的部分を操業度変動に  対して正比例的に変化するものとし,固定的部分を純粋の固定費と仮定して計   算するのである。すなわち,許容額を引き下げるという管理目的の立場からい   えば問題がないわけではないが,統計的・客観的に決定できる長所を持ってい    る。   

もし原価をすべて固定部分と比例部分とに分解し,これらの総合としての原   価と操業度との関係を把握されるこ.とが是認されるならば;製造間接費に関す  

る変動予算を編成する場合の最大の問題ほ,いかに.して個々の間接費を固定部   分と変動部分とに分類するかである。しかし,製造間接費要素のうち純粋の変   動費項目はなく,多くは準変動費である。こ.の準変動費の分解方法をウエルシ  

ュほ,原価可変性の決定法(method of determining cost variability)と呼   び,次の5方法,①直接見積り法(Direct Estimate Method),④J.H.ウィ  

リアムズ法(J.H.WilliamsMethod),⑧待機原価法(Standby CostMethod),  

④図表による相関関係法(Graphic Correlation Method),⑨最小自乗法(Meth−  

(12)  

Od of Least Squares)をあげている。これらのうち,変動費率を正確に把握   する方法としては最小自乗法の利用がもつとも適当であろう。この方法ほ,同   一・の資料から常に同一・の趨勢線が計算されるという点で客観的であると思われ   るからである。しかし,この統計的方法による分解は,その間接費のすぺてが固   定部分と比例的部分と転分解されうるとの前提に基づいている。この点につい   てほ前にも触れたように,理論的にみれば問題を含んでいないわけではない。  

原価が操業度紅応じて変動する場合には,逓減,逓増,飛躍など種々の形に従   い,しかも同じ間接費についても,生産景の幅を広くとれば,それらが互いに  入り交じった傾向を示すからである。ただ生産豊の変動をきわめて少ない範囲  

(12)G.A.Welsch.,OP。Ciri.,pp..171−179.前掲訳183−191ぺ−iy。   

(10)

製造間接費管理における固定予鈴と変動予鈴   一Jβ5−  

419  

で考慮する場合には,それ紅応ずる間接費の変動もほとんど直線的であり,逓   減逓増のような曲線的な変動あるいは飛躍的と呼ばれる段階的な変動は示さな   いゆえ,この分解法は蚤当といえるであろう。この意味払おいて,準固定費お   よび準変動費を客観的・統計的に.分解可能な最小自乗法による公式型変動予算  

(門)  

の作成が望ましいと考える。  

(ユ4)    ⅠⅠⅠ予算の計画設定機能と統制機能  

固定予算ほ,予算期間に.対応する短期計画の内容を責任割当し,かつそれを   貨幣学位で評価して,日常の業務活動を総合表示したものである。すなわち,  

短期計画に示されている最も実現可能な嘩一・操業度を前提として編成される予   算である。この意味で固定予算ほ.単一・性予算であるといえる。また,固定予算   の特質ほ,実際操業度が予算編成の前提とされた引画操業度と相違したしても,  

当初の製造間接費予算額は実際操業度に.調整されないで実際額と比較される。  

こ.の意味で固定予算は硬直性予界であるということができよう。しかし,近   時,経営方針−経営計画−・予算を,フィードバックを伴う一一・連の管理方式とし   て把握することの重要性が強調されるようになった。例えば,計画策定・プロ   グラム作成・予算編成Vスf・ム(Planning−Programming−Budgeting System)  

(15) の思考に.これをみることができる。ここでほ,短期計画と密着した予算が考え 

られており,予算のもつ計画設定機能が重視されている。しかし,′固定予算が  

(13)変動予鈴の差異分析に・ついては,拙稿「変動予鈴による製造間接費差異とその分    析」雲嶋良雄編『現代企業の基本問題』1974,217−231ぺ一汐を参照されたい。  

04)予算の職能として,一・般に計画機能・調整機能・統制機能があげられる。本稿では   固定予算と変動予算の機能上の対比ないし関連を問題にしているので調整機能につ   いては格別にふれていない。また,−・般にいわれている調整機能の内容として,貨1   

軋経営の諸活動の整合性を維持するための調整例えば製造活動(生産量)と販売活動   

(販売畳)との調整が,第2に経営活動実施中において人々が実際活動を予算数値紅    適合せしめようとする意思を働かせる場合にみられる調整があげられているが,前    者は計画設定・予算編成プロセスで,後者は差異分析をも含んだ広義の業績統制プロ   セスで発揮される機能と考えて−,予鈴職能を体系づけることはできないかという私見    をもっているが,これは後の研究課題としたい。  

(15)宮川公男編著『PPBSの原理と分析〜計画と管理の予算システム〜.』1969,p.  

9.   

(11)

第47巻 第4・5・6弓  

−Jβ6−   420  

統制機能を十分に.ほたしうるのは,実際操業度が計画操業度と・−・致した場合の   みである。   

これに.対して,変動予算ほ,固定予算のもつ欠点を補完するために.予算制度   に導入された仕組昂である。すなわち,変動予算は,実際操業度が計画操業度   から相違したとしても,実際操業度に.対応して許容しうる予算額を直ち紅求め   ることができ,これと実際額とを比較して,予算差異を適確に分析するよう仕   範まれた予算である。この意味で変動予算ほ.複数性予算であるといえる。ま   た,変動予算は,操業度の変化紅対応して弾力的に調整されるように.仕組まれ   た予算である。この意味で変動予算は強力低予算であるということができよ  

う。ただし,弾力性予算という概念紅は,原価変動態様に.大きな影響をもつ操   業度変動紅対応する予算という意味のはかに,より広義に.解し,操業度変動に   対応するのみでなく,原価要素の価格の変動紅も対応する予算を指す場合もあ   る。要するに,変動予算の機能ほ,固定予算の編成に先き立ってあらかじめ変   動予算を編成しておけば,先づ第1に,計画予算の費用許容敬すなわち固定予   算としての製造間接薯予算の作成に.対して役立つ資料を迅速把握供しうるこ  

と,第2準・,弾力的原価管理目的(dynamiccost controlpurposes)のため   に,実際操業度に即応した費用許容額を迅速に.算出するのに.役立つ資料を提供   することができる。かぐて−,変動予算ほ,固定予算のもつ欠陥として指摘され   た経営活動の業績統制機能を十分にはたす。変動予算が計画設定機能をはたす   のほ,上述の第1の場合と差異分析に.よる業績の原因分析の結果のデータを次   期以降の計画設定・予算編成プロセスに提供する場合のみである。   

以上において,固定予算の本質を主としで計画設定機能に・求め,亨た変動予   算の本質を主として業績統制機能に求めた。かかる観点に.立って,両者を一つ   の予算管理制度のなかで有機的な関係のもとに統合することほ,予算管理制度   が管理会計の1つの具体的計算制度として思考され,かつ,管理会計の基本的   体系が意思決定に役立つ会計情報を提供サーる機能としての意思決定会計と業績   統制に役立つ会計情報を提供する機能としての業績統制会計として思考されて   いる現代に.おいて,墓要な意味をもつことになろう。   

参照

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