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し始め,賃金率の上昇は利潤~-Sの低下をもたらしていく。(好況末期) L E

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(1)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ. 資本過剰説のー研;究 安 井 修. I 課題設定 本稿の課題は,字野恐慌論に代表される資本過剰説を検討することにある。 資本過剰説が提起した問題は多岐にわたっているが,その中心的な主張はいう までもなく次の点にある。即ち,好況過程が進行すると,労働力需要が急激に 拡大し始め,労働力供給増加率を上回るようになる。そラなると賃金率が上昇 し始め,賃金率の上昇は利潤~-Sの低下をもたらしていく。(好況末期). そして. 最後には'.蓄積(投資)によコてかえって利潤総量が減少すると Lヴ 状 態 ( 資 本の絶対的過剰生産〉に到達し, ここに恐慌が勃発することになる, と。資本 過剰説が提起したもう一つの重要な問題は,信用と恐慌の問題であるが,本紙i でも前稿までと同様に,信用と恐慌の問題は捨象することにするので,以下で は,先に要約した点に限定して分析を加えることにしよう。 しかし,そのよラに限定しても,検討すべき問題点はいくつかある。そのな 5 )の主張,即ち貨幣賃金率が好況過程=上方への累積過穏でたと かて守も置塩 (. えよ昇したとしても,価格騰貴がそれ以上に激しければ,実質賃金率は低下し, 容は低下するどころかかえって上昇しさえするという批判が最も重 それ故利潤 E 大なものである。ところが置塩 ( 5 )は,貨幣賃金率と実質賃金率とを明確に区 別すべきであるというだけでなく,更に,好況過程では, (技術進歩の問題を捨 象すれば〉実質賃金率は必ず低下するとし,. r w資本論』でのいくつかの主要な. r. 命題Jのうち, ただ一つ,景気循環の上昇局面末期で搾取率が下落するという 命題」は理解でさず,. r 逆に上昇すると考えている」と主張している。(10頁). この主張は,単なる資本過剰説への批判をこえた重大な問題提起であるといっ.

(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 2 9 3. 資本過剰説のー研究. ー ‑293. てよい。 そこで本稿では,まず I IとI I Iで,好況過程における実質賃金率の運動を置塩. Vで , この点についての宇野理論からの反論 等の主張を通して検討し,その後I をみることにしよう。. I I 実質賃金率の決定理論(その1) 5 ) ・( 6 ) では,実質賃金 E 容は二つの角度から分析されている。第一は, 置塩 (. 生産能力を所与とした短期的決定である。その分析は,まず,各、部門の需給均 等式と各部門の生産決定態度から,実質賃金事の一時的均衡点(もちろん, 時的均衡点が必ず存在する保証はないが〉を与える。そして,実質賃金率が与 えられれば,各部門の利潤率の定義式から利潤率の一時的均衡点も与えられ る。次に,それらの式で所与とされていた資本家の投資需要,資本家の消費, 各部門の生産技術,各部門の生産決定態度の関数形を変化させ,それらが実質 賃金率(や利潤率〕の一時的均衡点をどのよろに変化させたかをみるといラも のである。第二は,勤学的分析である。そこで、は,たとえば今期の貯蓄は次期 以降の生産能力増加分となるとつながれて,長期的な時間的推移が分析され る。もちろん,全体は微分方程式か定差方程式の体系として与えられ,まず, (生産能力や生産量等は拡大していくが)実質賃金率や資本蓄積率等が一定で ある均衡経路を与える。その上で,均衡経路の安定性が分析される。たとえば, 資本蓄積率が}度均衡経路から上方に弟離すると, (技術進歩がない状態では〉 実質賃金率は累積的に低下していくというようにである。 このこつの分析視角のうち,第一の視角は,生産能力所与の短期的分析であ り,更に需給不一致の場合は稼働率が変化する形で数量が調整される(各部門 の生産決定態度がそれを示す)ことになっている。数量調整型モデノレに対する (1) なお,霞塩 (6)第 1章第 3節には, wage‑pI ' ic es p i r a l とよばれるもう一つの分. 析がある。しかしこれは,一方に強い価格支配力をもっ寡占企業と,他方に強い賃金 引き上げカをもっ労働組合を前援にして始めて成立する分析であり,マルクス経済学 の立場でいえば,恐慌・産業循環の形態変化論との関連でとりあげられるべき問題で あろう。.

(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑294‑. 第5 6巻 第 1号. 294. 批判もすでに数多く出されているが,産業循環過程を対象とする本稿では,そ もそも生産能力所与の短期的分析はほとんど利用することはできないといわな ければならない。そこで以下では,置塩理論のうち,第二の動学的分析のみを みることにしよう。 5 ) の方からみてみよう。すでにのべたように,貨幣賃金率と実 まず,置塩 (. 質賃金率を明確に区別すべきであるといろ主張からは,実質賃金率が上昇する 場合も低下する場合もあり,どちらとも一義的にはいえないという主張が導さ だされてくるように思われるが,置塩 ( 5 )はかかる見解を次のように批判して いる。少し長いが引用してみよう。 「このような見解は支持されるであろろか。もしできるとすれば恐慌に関す る一つの可能な場合の説明として,賃金上昇説をあげることができる。ところ が筆者は支持しえないと考える。もしたんに,景気の上昇局面で実質賃金率が 上昇するかどうかだけが問題であるのであれば,それはたしかに上昇しうる場 もある(これは,現実の統計によっても示し得る〉。だが,ここでの問題はそう ではなく,利潤率を下落させる程度の実質賃金率の上昇があるかどうかが問題 なのである。実際,もし実質賃金率が上昇しても,生産技術の変化によってJ 労働生産性が上昇し,利潤率が下落することがなければ,この説は恐慌論とい う資格をもたない。」 「貨幣賃金率が労働力市場の需給緊迫のために大幅に上昇したとき,どのよ うな事態が生じるかをみてみよラ。われわれは,諸商品市場は資本家の蓄積需 要の盛行の結果,超過需要状態にあると想定している。さて,貨幣賃金率が上 昇すると,労働者階級の消費財需要(貨幣で測った〉は増大する。ところが, すでに消費財需要は超過需要状態にあるのだから,消費財価格は労働者階級の 消費財需要(消費財で測った)をもとの水準に近いところまで引下げるよラに 上昇する。生産財、価格はどうか。もし,生産財価格が貨幣賃金率の上昇にもか かわらず一定であるとしたら,生産財部門の利潤率は下落するから,生産財部 門の資本家は生産を縮小させるであろラ。にもかかわらず,生産財に対する需 要はこの局面では減少しないから,生産財部門における超過需要の状態はいつ.

(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 2 9 5. ‑295‑. 資本過剰説の一研究. そろはげしくなり,生産財価格は,利潤率をも fとの水準にもどすまで少なくと も上昇するであろう。このようにして,貨幣賃金率のよ昇は諸価格を上昇させ る。どこまで上昇させるかは,諸商品に対する需要,これを規定する資本家の. 2 1 6頁 . . . . . . 2 1 8頁 〕 蓄積需要によるのである。 J( さて,以上の引用のなかには,いくつかの重要な論点が含まれている。第ー に,ここでは労働生産性の上昇(技術進歩〉が実質賃金率や利潤率にし、かなる 影響を与えるかという問題がとりあげられていることである。この問題は,現. I Iで , 実の産業循環過程をみる場合,きわめて重要な論点となるが,本稿では I 別の角度から改めてとりあげることにしよろ。第二に,技術進歩を捨象した場 合,好況局面で,たとえ貨幣賃金率が上昇しても,実質賃金率が不変もしくは 低下しうる(利潤率が不変もしくは上昇しうる)のは何枚であろうかという点 である。この点についての置惚 ( 5 1には次のような疑問が生ずる。. (1) ここでは,消費財需要のうち資本家の消費が捨象されているが,もし 資本家の消費を導入すれば,貨幣賃金率の上昇がもたらす消費需要の拡大の大 きさと,資本家の消費需要の拡大の大きさとの関係如何によって,その配分比 率の変更(実質賃金率の変更)の可能性が残されていることになる。. (2) よ. り重要な疑問点は,置塩 C 5 Jが価格の問題を導入しながら,少なくとも引用し た文章では,価格を規定する需要供給両要因のうち,供給面の分析があまりな し超過需要状態に更に需要が加わつでも,その需要は価格を引きf 上げるだけ で,物財的な変化をひきおこさないという説明になっているという点である。 かかる疑問に対して置塩は,たとえ供給面を考慮しても同じことになると反論 するであろう。即ち,まず消費財市場からみると,供給側はその期の生産能力 とその期の稼働率によって決まり,需要側は, (労働者が,. うけとった賃金をす. べて時間的遅れもなく支出するものとすれば)その期の総労働時間数とその期 の貨幣賃金率によって決まる。総労働時間数は労働力需要の大きさによって決 まり,労働力需要の大きさはその期の生産水準=供給側によって決まる。たと えば,稼働率が上昇すれば,労働者数が増加するか. 1人当り労働時間数が増. 加するが,いずれにせよ総労働時間数が増加することになる,と。このように,.

(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑296ー. 第5 6 巻 第 1号. 296. 供給側(消費財生産量〉と需要側(労働時間数)が並行して運動することにな るから両者の関係即ち実質賃金率は変化しないことになり,貨幣賃金率の上 昇 は,たとえ供給面を考慮しても,すべて消費財価格の上昇に吸収されてしま u. うことになる。これに対して,生産財市場では事情ーが異なる。供給側は消費財 I Jを構成するのは更新投資+新投 市場の場合と同じように考えてよいが,需要佃.. 資であり,需要側とりわけ新投資が活発に行なわれ,貨幣賃金率の上昇を打ち 消す程生産財価格を引き上げない限りは,生産財部門の資本家の利潤率は回復 しない。したがっ‑(,問題を解決するためには,貨幣賃金率が上昇してくるよ うな局面で,両部門の資本家がいかに投資を決定するかを明らかにしなければ ならない。 とにろで,. 6 )第 1章第 2節 この問題を本格的にとりあげているのは,置塩 (. である。そこでは, (1)労働力の需要供給関係によって貨幣賃金率が変化する とし, (2)商品市場の需要供給関係によって価格が変化するとし, (3)資 本 家 は商品の需要供給関係をみながら資本蓄積率を決定するとした上で,実質賃金. r. 率の運動が分析されている。そして,技術進歩が導入されているため, 実質賃 金率はよ昇しても,労働生産性・の上昇率に遅れ,ブームがさらに強くなると,. ( 4 0頁〉と結論づけられているが,技術進歩 実質賃金率は低下することもある J のない生産関数を前提にすれば,この勤学的分析から実質賃金率は低下する という結論を導くことができる。とはいえ,注意すべきことは,そのことが成. 、 (2) このような結論を導くことができるのは,次のような理由からである。第ーに,霞 塩 (6)第 1章第 2節では, 生産要素聞の代替性が認められ, 限界生産力説が採用さ れている。したがって,もし実質賃金率が上昇すれば,資本家は,労働の投入量を減 少させ,資本設備を増加させるという行動をとる。これは,初 =F(N/L),F'>0(w: 貨幣賃金率,N:雇用量 ,L :労働供給量〉の右辺の雇用率 (N/L)に影響を与え, ωの 増加率にプレーキをかけることになる。つまり,貨幣賃金事の変化には,実質賃金率 が大きく変化しないように,いわば自動制御装置がついていることになる。第二に, これに対して価格の運動は,実質賃金率の動向とは関係なく,一方的な累積運動を行 なうことになっ!ている。即ち,拙稿 ( 1 8 )でみたように.g = < =ψ( I/S),'i">0,ψ(1)= 0,(g: 資本蓄積率 1 :投資.S :貯蓄) という投資関数は,一度 I/S>1となる と,g>O→It !Kt>It ‑ l /K t ‑ l→I t /h‑l>Kt/K t ̲ lとなり ,1は需要を,Kは供給を規 定するから,これは需要供給関係、を-.fÇR~離させ,それはまた資本蓄積率を一騎高め. ることになる。他方, P=h( I/ S ) . h'>O,h ( 1 )=0,とされているから,価格は,資.

(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 297. 資本過剰説のー研究. ‑297‑. 立するのは,第ーに, g=ct( I /S),< t'>O,c t (l )=O,(g=l/K),即ち「商品市 場の相対的な超過需要状態に反応して,計画資本増加率 gを加減してゆくよろ な資本家の投資態度を想定 J ( 3 4 頁〉した場合で‑あって,置塩 ( 6 )自身が確認し ているように, もし資本家の投資関数を 定すれば,体系は安定となる。第二に,. g=ゆ( r ),< t'>O(r: ~ミリ潤率〉と想 ローズ ( 9 )が示しているように,貨幣. 賃金率が単純に雇用率によって決まるとするのではなし更に完全雇用か過少 雇用の近傍で無限に弾力的になるという想定をつけ加えると,均衡点が不安定 である場合,体系は循環運動を示すことになる。つまり,好況過程 ( u p s w i n g ) では,実質賃金率の低下が進行していくが,好ン況末期で完全雇用の近傍 ( b ∞m) になると,貨幣賃金率が急上昇する(無限に弾力的になる〉ため,価格の累積 的運動(それをもたらしたのは資本蓄積率の運動である)を打ち消しむ実質 賃金率. (z=w.̲p,z :実質賃金率〉の運動を逆転させ,上昇させてしまうの. である。ここで,宇野恐慌論における好況末期の貨幣賃金率の運動が, (もちろ ん,ローズが想定するように,無限に弾力的であるということはありえないが) 完全雇用近くになって始めて急上昇すると想定されていることに注意すべきで あろう。 いずれにせよ,技術進歩を捨象した場合,たとえ貨幣賃金率が上昇しても, 実質賃金率は低下するといえるのは,特定の投資関数が前提され,更に(貨幣 賃金率の運動が非線形で示されるような)特殊な労働市場が前提されない場合 であって,その意味で,決して無条件にはいえないのである。もちろん,先に 長く引用した置塩 ( 5 )での説明は, この置;盗 ( 6 )第 1章第 2節の場合とは異な り,ニ部門分割での説明であるから,実質賃金率の動向を同じような手法を使 って与えることは一般的にはできないが,それでも,貨幣賃金率が上昇するな かで,それを上回る形で生産財の価格が騰貸し,その結果生産財部門の利潤率 本苦手積率や需要供給関係と連動して累積的に増大することになる。かくして,実質賃 金率の運動 ( 2 =~-p. Z: 実質賃金率〕は,価格の運動 t 仁一方的に規定されること になり ,g>oが続く好況過程では当然実質賃金率は低下,することになるのであるイ (3) 注 (2)での表現を使用すれば,雇用率が高くなって,完全雇用の近傍になると,貨 l iJ御装置のプレーキがきかなくなるので 幣賃金率が無限に上昇してしまうので,自動i ある。.

(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑298‑. 第5 6 巻 第 1号. 2 9 8. が回復し上昇するといえるためには,更に制限された投資関数等が前提されね ばならないだろう。かくして,われわれは好況末期における実質賃金率の動向 については,置塩の主張とは異なり,土昇ずる場合も低下する場合もあるとい わねばならないのである。. I I I 実質賃金率の決定理論(その 2) 拙稿 ( 2 0.1でみたよろに, 好況過程を第 I部門の不均等的拡大と特定イじするこ とによって,好況過程で実質賃金率が低下することを論証しようとしたのが,. )・由井 ( 2 1 )である。次にこの主張をとりあげることにしよう。 都留(15 好況過程で第 I部門の不均等的拡大が成立するかどうかは,本来前提される べきことて寸土;なしそれ自身が説明されるべきことである。しかし,もし,戦 後の恐慌論研究は生産と消費の矛盾や第 I部門の不均等的拡大をめぐって展開 され‑cきたので,富塚・井村に代表される戦後の恐慌論研究によって,好況過 程を第 I部門の不均等的拡大と特定化しラる根拠がすでに与えられていると理 解するなら, このように前提して分析をすることも許されるであろう。(また, 好況過程を第 I部門の不均等的拡大と統計的に把握することについては松石 (3J の研究もある。)しかもこの分析は, I 置塩 (5)・(6.1にない利点をもっ℃. いる。即ち,一般的にいって,実質賃金率の動向を与えるためには,貨幣賃金 率の動向と価格の動向を与えねばならず,それを与えるためには,投資関数を )・由井 ( 2 1 )の分析では,後にみ 決定しなければならない。ところが,都留(15. るように投資関数等を与えることなし実質賃金率の動向が分析できるのであ. 1 5 )・ る。但し,他方ではとの分析には次のような限界もある。第一に,都留 (. 2 1 )の分析では,技術進歩が捨象されていることである。技術進歩を導入 由井 ( すると,後にみるように,好況過程でも実質賃金率が上昇する場合があること になり,実質賃金率の動向に関する最終的な結論は全く逆になってしまうので. (4) 都留 ( 1 5 )は,本来,第 I部門の不均等的拡大と実質賃金率の上昇とは両立しえない という形で,富塚恐慌論を批判したものである。こラした批判は,拙稿 (19)でも採用 1 5 ) しているが,同じことを,高須賀 (11)が設定した枠組のなかで確認したのが都留 ( .由井 ( 2 1 )である。.

(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 資本過剰j 説のー研究. 299. ‑299‑. ある。そこで本稿では,技術進歩の問題をとり入れることにする。第二に,. 〉. 」. Iでみたよ の分析が適用できるのは,好況過程全般の傾向に対してであって, I うな好況末期といろ特殊なー局面での実質賃金率の動向に対してではない。し たカ:っ‑C, I IとI I Iの分析は, それぞれ別の局面・次元の分析として理解される べさであろう。 さて, 乙の分析を二つの段階にわけてみよろ。第一は, 好況過程で第 I部門 の不均等的拡大が続くことを前提にし,. この下で技術進歩があると実質賃金率. がどのように変化するかという問題である。 この問題を分析するために,上述 の高須賀 C n J・都留 (15)の分析手法を採用し, そこに技術進歩の問題を新しく 投入するととにする。第二は,同じ前提の下で技術進歩があると利潤率はどの よろに変化するかといろ問題である。以下, あらかじめ次のように記号を決め ておくことにしよう。. X: ~生産量(物財表示) , K:生産手段(物財表示), L'雇用労働者数, R:実質賃金率, ω7貨幣賃金率, r :f l J潤率, P:価格,K/X=a, L/X=r,XdX2=入 ,KdK 2 =μ,Kυ + l ) /, Kυ) = G (り(サブスクリプト1, 2は 部門を示す。〉. (1) 第 I部門の不均等的拡大の下で技術進歩がある時, 実質賃金率はいか に変化するか。 消費財方程式は,資本家の消費を捨象するとすれば,. X2ロ R (L1十 L 2 ) ζ れを変形して,. R=l/(n・入十7:2). (1). (5) 第 I部門の不均等的拡大の下で実質賃金率が低下するという論理を好況末期にもあ てはめれば,先の(好況末期の実質賃金率の動向をめぐる)霞塩説を補強できるよう に思われるかもしれない。しかしそれは不可能である。確かに,第 I部門の不均等的 拡大を前提すると とがでぎるとすれば,たとえ貨幣賃金率が上昇したとしても,実質 賃金率は必ず低下していることを示すことができる。しかし,第 I部門の不均等的拡 大を前提することができるのは,好況過程全般の傾向につい℃のことであって,好況 末期につレてではない。そのような一局面では,貨幣賃金率の上昇にょっ℃第 I部門 の不均等的拡大がストップしているかもしれないし,ストップしているかどうかを統 計約に把握するととも困難なことである。 I.

(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑300'‑. 3 0 0. 第5 6巻 第 1号. 定義から, 入= μ. a 2 / a J. a t J '. 十. hM‑tA. a. G一. μ一 ‑‑ ︒. 唱 目 ・ 晶. ︑ ︑ J ' ' '. T一 一 ‑ ︐ f l a t ‑. 一 一 R. ︑ ︑T. これを(1)式に代入すると,. (2). oR/o τ 1く 0,oR/on<0,oR/ θaJ>O,θR/oa2く 0,oR/oμく O. 他方,第 I部門の不均等的拡大を,高須賀(l1J にならって,. GI/G2>1. (3). K I ( t + I ) /K 2 ( t + l )>KI(り/K2(り. (4). これは,. d μ/ dt=μで示すとすると, (4)式は,. μ>0. (5). 以上の議論を前提にして,まず技術進歩がない状態を考えてみると, n=0, a i=0,( i= 1,2)となり, θR/oμく 0,μ>0であるから; (2)式から ,RくO. となる。したがって,第 I部門の不均等的鉱大が続く下では,実質賃金率は低 下する。そして, このような関係が成立する理由は次のように与えることがで きる。(イ)GJ /G2=1で示される均等的拡大では, Lゃ X は拡大しても. X2/Lは不変のままにとどまる。但し,出発点の. R7=. p が異なれば, Rも異なり,. その関係は, μ1くμ2 ・~." " ・ く μねなら , RI>R2>…… >Rnとなる。(即ち,均等的. 拡大は決して一つではないのである。)したがって, GI/G2>1で示される第 I 部門の不均等的拡大では,向→μ t + l " → μt + n と上昇する形で均等的拡大を移フ ていくにつれて ,Rt→ Rl+1→…・→ Rt+nと低下し‑cいくと考えることができる。 そこ!で,向から μ t + 1に変化する ( μ sく灼 + 1 ) と,何故 Rtから Rt+1 に変化する (Rt>Rt+l)かをみておけば,全体の変化も同時にわかることになる。(ロ ) μが. I部門より第 I部門の方に比重 上昇するということは,生産手段配分比率が第 I が高まるように変更されることを意味し,技術が不変である限り,このことは,. I部門 ( L 2 )より第 I部門 (L1) の方に比重が高まるよう 雇用労働力の比率で第 I に変更されることを意味する。ところが同じく技術が不変である限り,第 I I部.

(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 0 1 門の生産量. 資本過乗J説の四日研究. ‑301ー. ( X 2 )は , 比 重 が 低 く な る 方 の 第 I I部 門 の 生 産 手 段 や 雇 用 労 働 力. ( L 2 ) と比例するから,結局,第 I部門の不均等的拡大が続く限り , L(L!+L2) と X2の 間 に 業 離 が 発 生 す る こ と に な り , そ れ は 実 質 賃 金 金 率. (R=X/42)の. 低下によってろめあわされねばならないことになる。(ハ〉そうした実質賃金率 の低下には突はその背後で次のよラなメカニズムが成立していたことになる。 先にみたように,第 I部 門 の 不 均 等 的 拡 大 が 続 く 下 で は, L と X2の 聞 に 恭 離 が発生するが,前者は消費財需要を後者は消費財供給を意味するから,. この零. 離は消費財偽:給の逼迫をもたらしていく。これは消費財価格を騰貸させ,も L 貨幣賃金率が不変であるとすると,実質賃金率は低下していくことになる。の みならず,たとえ貨幣賃金率が上昇したとし℃も,第 I部門の不均等的拡大が 進行する以上は,それ以上の消費財価格の騰貴が生じたといラ. ζ. とになる。. (ニ)ところで,第 I部門の不均等的拡大を前提する形で実質賃金率の低下を与 えるこのやり方は,. こうした背後で成立するメカニズム(貨幣賃金率と価格の. 関係)をブラックボックスにしたままで結論が出せるという特徴をもってい る。その意味では,これは実質賃金率の動向とし寸点に限定する限り,便利な やり方であるといってよ L 。 、 (6) なお,このような結論は,資本家の消鐙を導入すると成立しない場合もある。好況 過程で資本家の消費がどのように運動するかを決めることは困難であるが,議穣が活 発に行なわれている以上, (資本家の消費を C とすれば).K ! ( t +l)/K l (わ >Kw+ l)/K2 ( t ) >C(t+l)/ C (りとしてもよいだろラ。とすると ,KZ < l叫 ) /K z(t)=X / X りであるか 2( 2(t叫 ) ら , X zのうち資本家の消費の占める比率は低下していくととになり,これは, X2/L の低下を鈍化させ,更には X z/Lを上昇させる場合があるかもしれない。 このような指摘に対して,由井 ( 2 2 )は次のように反論している。「循環的議積過程で は,資本家の消費は需給の調整要因とはなりえない」し.r 資本主義生産 νステムにお いて,資本家の消費は戦略変数ではない」から,資本家の消費を捨象しても . J議論の 本質を変えるものではない。 J( 1 2 6頁 都 留 ( 1 5 )にも同様の主張がある。)こうした議 論には次のような疑問が生ずる。第一に,資本家の蓄積衝動こそが戦略変数であると いうことはいわば自明の ζ とである。しかし,資本家の消費が資本家の蓄積衝動に規 定されたものでしかないからこそ,逆に,その遂動が X2に占める Cの割合を減少さ せるかもしれないのである。第二に,都留 ( 1 5 )も出井 ( 2 1 )・( 2 2 )も,資本家の消費が 需給の調整婆因ではなく,実質賃金率こそが需給の調整要因であるとしているが,需 給の価格調整モデルを考えるなら,当然,供給側としてはその期の生産能力〈とその 期の稼働本).需要側としては,生産手段部分については更新投資と新投資,消費手段 部分については労働者の消費と資本家の消費が考えられねばならず, ζ れらの要因か.

(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 6 巻 第 1号. ‑‑302ー. 302. 次に技術進歩がある場合を考えてみよう。技術進歩をまず ,a i,! i , (i=l,2) がそれぞれ独立に変化(低下)するものとしよう。すでにみたよラに ,BR/Bn く. 0,e JR /Bτ 2く 0,B R / B a 2く Oであるから. τ2 く. n,' 1 " 2 , a 2が低下すれば ( τ 1く 0,. o,a2く 0),実質賃金率の上昇要因として作用する。逆に ,BR/ 川 α a 仇1>0 で. あるから. a. t E. σ. 仇l が 低 下すれば(何. またこれも十すすでに確認したよラに ,B R/ 川 B μく Oで , μ>0であるから,第 I部門 の不均等的拡大は実質賃金率の低下要因として作用する。したがって,. a 2の低下による実質賃金率上昇要因が. Tl,T2,. a lの低下や μ の 上 昇 か ら く る 実 質 賃. 金率の低下要因をろち消す程強く作用すれば,実質賃金率が上昇する. (R>O). 場合もありうることになる。そして,かかる関係が成立する理由は次のように 与えることができる。 Gt / G2>1で示される第 I部門の不均等的拡大では,先に ろえた説明によって, X2/Lが低下するように作用するが,. そうした作用となら. んで,もしれや'1"2が低下したとすると,雇用労働力をそれぞれの部門で低下 させることになる。同じようにのが低下したとすると,逆に,第 I I部 門 の 生 産. 量 ( X 2 ) を高めることになる。(もちろん , a 2が低下し X2が増加する場合,. 2が不変であると , L 2も増加する。しかし ,L2の増加効果より X2の増加効果. 1 ". の方が. Rに 対 し て は 大 き い の で あ る 。 〕 し た が っ て , そ れ ら は い ず れ も R=. X2/Lを高めるものとして作用し,その低下の程度によっては,第I 部門の不均 ら市場価格が決定される。その意味で,需給の価格調整メカニズムにはこれらのすべ ての要因が入ってくるのであり,資本家の消費も例外ではありえない。そして,労働 者がうけとる賃金が労働者の消費を形成し,労働者の消費が市場価格によって事後的 に調整されたのが実質賃金となるのであるから,同じように,資本家の利潤の一部が 資本家の消費を形成し,その消費が市場価格によって事後的に調整されたものを設定 することもできる。前者を消費財需姶の「調整要因」というのなら,後者も同じであ る 。 1 5 )・由井 ( 2 1 )の分析手法を利用し℃いるので,資本家の消費を捨 本稿でも,都留 ( 象した上で結論を導いている。しかし,これはあくまでも単純化のためであって,資 本家の消費を捨象してよい根拠が別にあるからではない。即ち,このよラに単純化す れば,貨幣賃金率や市場価格の運動をブラックボックスにしたままで実質賃金率の巡 勤が分析できるのでるり,ただそれだけのことである。 但し,資本家の消費を導入すれば,実質賃金率が上昇するかもしれないという点に はそれ程執着する必要はない。なぜなら,次にみるように技術進歩を導入すれば,第 I部門の不均等的拡大の下でも当然実質賃金率は上昇しうるからである。.

(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑303‑. 資本過剰説の}研究. 3 0 3. 等的拡大からくる実質賃金率の低下作用にろちかつて,実質賃金率を上昇させ ることもありうるのである。そして,こうした実質賃金率の上昇の背後には次 のよろなメカニズムが成立していなければならない。たとえば!"2の低下は消 費財生産量に対する雇用労働者数の割合の低下を意味するから,それは消費財 需要の減少→消費財需給の緩和を意味し,消費財価格の(騰貴率の〉低下をも たらすことになる,と。 1が低下したとすると, これに対して a. それは第I部門の生産費 (X1)を高め. (そのことは,直接的には R=X2/Lには影響を与えないが), n が不変である限 り,第 I部門の雇用労働者数(1.1 ) を高めることになる。そろすると , L(L1十 L2) と X2との聞に事離を発生させ,実質賃金率を低下させることになる。. ところで,技術進歩は上述のようなケースばかりではない。周知のように,. 1は資本家が新しい生産方法を採用する基準を費用節約的なものとして 置塩(4 とらえ,それは労働生産性の高い生産方法とは必ずしも一致しないことを示し た。技術進歩が費用節約的なものであるということは,. ( i= 1 . 2 ). a t ( / + 1 ) P1 ( / )十T叩 +1)ω 〈 り く: a i ( t ) P 1 (り十れ〈り ω ( / ). これは, ( a i ( / + 1 ) ‑ a i (り) P 1 ( t ) j W ( t )十 ( T i ( t + l )一口〈 ρ<0. (6)式は,たとえ ai (またはすも〉が増大したとしても,. (6). i '(または ai) の減少. 率が十分に大さければ,そうした技術進歩は資本家によって採用されうること を示している。しかも )P1(t)jW(t)=P1仰 j(Rω. ・P2(心 で あ る か ら , 実 質 賃 金. 率が高く,相対価格で第 I部門が低い(生産手段の価格が相対的に低い)程, a i (t+1)>ぬ く り, ' i(l+ 1 )くれ〈りという技術進歩が成立しやすく,逆の場合は逆の技. 術進歩が成立しやすい乙とになる。かくして技術進歩には,資本使用的 ( a i (川 〉 >向。))で労働節約的 ( ' i ( / + 1 )く刊の〉というケースも, 資本節約的で労働使用 的というケースも当然成立しうることになる。このうち特に注目すべきは,かか る技術進歩が第 I部門で成立した場合である。資本使用的で労働節約的な技術 進歩が第 I部門で生じた場合,それはそもモも先にみたように実質賃金率が高 い場合に成立しやすいが, a 1が上昇しれが低下するから,第 I部門の不均等的.

(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ "":'304‑. 第5 6 巻 第 1号. 304. 拡大の下,より一層実質賃金率を上昇させる余地をつくりだすことにな三〉。逆 に,実質賃金率が低い時は,資本節約的で労働使用的な技術進歩が成立しやす いが,とれが第 I部 門 で 成 立 す れ ば. a lを低下させ n を上昇させるので,. よ. り一層実質賃金率は低下することになる。 かくして,好況過程=第 I部 門 の 不 均 等 的 拡 大 の 下 で , 実 質 賃 金 率 が 必 ず 低 下するといえるのは,技術進歩を捨象した場合(更に資本家の消費を捨象した 場合)のみである。そして,この点はすでにわれわれが引用した置塩 C5J で強 調されていた点であった。しかし置塩(5)では,たとえ実質賃金率が上昇する としても利潤率が低下することはありえないとされ℃いたし,. これは現実の産. 業循環(好況過程)をとりだすとしばしばみられるケースで必:〉次にその点 が分析されねばならなし、。. (2) 第 I部門の不均等的拡大の下で技術進歩がある時,利潤率はいかに 変 イじするか。 利j 閏率を考える場合,まずニつの次元を区別しておかねばならない。第ーは, 平均利潤率で,これは資本に可変資本を含めないとすると,次のように与えら れる。. P1=(1+ r ' * ) a l P l十 τl R P 2. (7). (7) 但し, 7"1 が低下するということは,先にみたように,消費財価格(の騰食率)を低 下させるが,それは,相対価格で第 I部門が高くなるように作用することを意味する から,資本使用的で労働節約的な技術進歩の進行への古歯止めになるかもしれない。い ずれにせよ,ここでは実質賃金率の一方的な累積過程を与えているのではない。なぜ なら, ζ の説明の媒介項に技術進歩があり,技術進歩のタイプは資本がいつも自由に 選択できるものはないからである。 (8) 都留 ( 1 5 )・由井 ( 2 1 )は,第 I部門の不均等的拡大の下で実質賃金事が低下するとい う論理の延長上に,実質賃金率の下 i 浪を設定し,これと恐慌・産業循環と関連づけよ うとしている。(たとえば,実質賃金率の下限があるから永続しえず,それ故そこに 反転・循環の基底的な根拠があるといラように。〉しかし,技術進歩を考慮すると,実 質賃金率が一義的に低下するとはいえず,それ故実質賃金率の下限を設定するとと も,それと恐慌・産業循環と関連づけることも根本的に無意味であるということにな る 。 (9) たとえば,最近の研究として佐美 ( 1 3 )をみると,大恐慌以前のアメリカでは,実質 賃金率の上昇にもかかわらず利潤準が上昇していたとされている。といっても佑美 ( 1 3 )では,このケースは原論の資本の絶対的過剰生産を直接的には適用しえないクー スであるとされている。.

(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 資本過熱l 説のー研究. 3 0 5. ~3()5 ー. P2=(1十 r * )α2 P l ' 十'T2R P2. (8). 1 " *は平均利潤率で, (7)(8)式に示される P1,P2 は生産価格である。ここで は,未知数はげ ,P l,P2 ,R で,方程式はこつであるが, (7)(8)式から ,P l とP 2を消去すれば. r *と Rを変数とする方程式を構成でまるから,事実上自. 由度 1の 体 系 で あ と 置 塩 (5J の数学付録では, 程式を前提にレて,. この 1 " *と R を変数とする方. ,a iの 変 化 が 刊 と R にいかなる影響を与えるかが分析. τi. ' *とRの関 されている。もちろん,自由度 1の体系であるから,技術進歩は , r 係を示す曲線を上方に乙/フトさせることが示されているだけで,それだけで は, r ' *が上昇する場合も下落する場合もあるということになる。したがって, 技術進歩の川それ自身への影響をみるためには,. もう一つの関係式(たとえ. ば,貨幣賃金率が一定であるというように)が必要となる。 他方,. 生産財需給:右程式と消費財需給方程式(本稿の (2)式がそれにあた. る)を与えることができれば,そこで決まる市場価格から,市場利潤率を次の ように与えることがでさる。. P1=(1十 1 "l ) a l P l十 nRP2. (9). 2 ) a 2 P1十 nRP P2 =(1十 r 2. ( 1 0 ). /w,P2/W,1 "1,1'2 (または,P=P 1 /P2とすると ,P,R, この場合,未知数は P1 1 "1 , 1 "2 )であり,方程式は 4つであるから解くことができる。しかし,拙稿 ( 2 0 J で滝田(12 Jを批判する際述べたように, P l/W (または ,P lそれ故 P1 / P2=P) を与える生産財の需給方程式がまだ十分な形では与えられていないのである。 このこつの異なった関係は,産業循環過程でも同時に作用するが,論理的に は明確に区別されねばならない。需給方程式から決まる市場価格としての相対 価格は, (7)(8)式から決まる生産価格としての相対価格からの講離率を示す ものと考えればよいであろラ。そして,産業循環過程を対象とする本稿では, 当然市場価格としての相対価格や市場利潤率こそが問題とされねばならない ( 1 0 ) あるいは次のようにいってもよい。(7)(8)式に, ρ= ム/ T 2を代入すると. T lとん は消去できるから,未知数は,同.T . R で,方程式はニつになり, 自由度 1の体系. である,と。.

(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 306. 第5 6巻 第 1号. ‑306‑. し,第 I部門の不均等的拡大や技術進歩が,それらにいかなる影響を与えるか が分析されねばならない。 今,く第 I部門の不均等的拡大の下,市場価格としての相対価格は必ず上昇 する〉という関係を導入することにしよう。その上で, (9)( 10 )式に.(2)式 の Rを代入し ,P=P l /P2を代入すると, 1十 r l ) a l P一一 Pー (. τl a1 ̲ ̲ =0 na2μ十 nal. ‑ ( 1+r2)a2P一 一 1‑. (9) '. nal̲ ̲ =0. ( 1 0 ) '. τa 2μ+nal. P=P(μ),P'>O (9)'を f 主 f(n, μ)=0とし, ( 1 0 ) '式を g=g(r2,μ)= 0とすれば, af , aj d r l ‑ 一 一v ‑ 8 μ← ,a r l一 dμ. ag. ,. ag dn̲ ". 一 一 B μ一 ,a r 2 一 dμ一 U. af. r l. 2 _~L_ , 1._(1...L.~.\n.\P'...L. ̲ ̲r ̲ 1a l a 2 こ く o~ー'-={l-(l+rl)a t} P'+ ~_:'_'..-,' ̲ ~n_\2 >0 I P a μ ( τl a Z/ 1 ‑+τ 2 a l ). n̲D̲̲̲̲". 1‑( 1 十 Y!)al>O. P'>O. 与 =‑a2P く O UT2. ag. ォー=一( 1 + r 2 ) a z P '十 づ. 山. T. 12J. L τl a 2μ+ r 2 a ! ) ". U品. 正負は不明である。. かくして,学~>O ,竿三の正負は不明となよう〉 u μ U μ では,技術進歩は r lと r 2にいかなる影響を与えるか。 うに,たとえば,. μ の上昇の場合と同じよ. 部門で技術進歩が導入されると , Pl / 乃は必ず低下す く第I. る〉という関係を導入すれば,体系を解くことができる。しかし,このような ( 1 1 ) 右辺の第一項は, μ の上昇による相対価格の上昇が,第 I I部門の利溜率を低下させ るように作用することを示し,第二項は μ の上昇による実質賃金率の低下が,第 I I 部門の利潤率を上昇させるように作用することを示している。 ( 1 2 ) 由井 ( 2 2 )にこれと同じ分析がみられる。.

(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑307ー. 資本過剰説のー研究. 3 0 7. 技術進歩に伴ラ相対価格の変化は,あくまでも生産価格としての相対価格の変 化であって,決し℃市場価格としての相対価格の変化ではない。したがって, そのような関係を導入して解くとすれば,二つの異なった次元を混同してしま うことになる。かくしてわれわれは,技術進歩が r lと r 2にいかなる影響を与 えるかといろ問題は,今後の課題として残さざるをえなし、。. 。. そこで本稿では,各部門の利潤率の動向を分析する代りに,両部門会体の利 3 ). 潤率 ( r o )をみることにしよう。との概念によっても,各部門の利潤率の動向の 一部はみることができるからである。資本に可変資本部分を含めないとする と,両部門全体の利潤率は,. X1P1‑.aIXIPI‑nX1RP2+X2P2‑a2X2PI' ‑ ' i 2 X 2 R P K1P 汗K 2 P ‑ ‑ ; ‑ ーと ( 1 1 ) r o=一 一 一 十 i2X ことで資本家の消費を捨象するとすれば,X2 P2 =nXIRP 2RP 2 2となるか. ら ,. X1 ' ‑ a 1 X Iー のX2 ro=~ 十 K2. p. a l ( l +μ). ( 1 2 ). 噌. ム. 1 ?そし"C,. こうして,両部門全体の利潤率も,価格体系から独立に決定されよ. 8 r o / aμ>0,a r o / 8 a lく O oに対して第 I部門の不均等的拡大と技術進歩がし、かなる影響 以下では,この r を与えるかを分析することにしよう。まず技術進歩がない状態を考えてみる と,第 I部門の不均等的拡大が続く下では,両部門会体(と第 I部門)の利潤 率は必ず上昇する。両部門会体の利潤率であるから,これが上昇したとしても, 一方の第 I I部門の利潤率が低下することはありうる。しかしいずれにせよ,第. I部門の不均等的拡大の下では,実質賃金率は低下し,両部門全体の利潤率は 上昇する。. lの低下 次に技術進歩がある場合を考えてみよう。ここで特徴的なことは, a. ( 1 3 ) かかる被念は,滝田 ( 1 2 )にも示されている。 ( 1 4 ) ( 1 2 )式では。利潤率が実質賃金率との関係を含まない形で与えられている。しかし, 日 門 ( 1 1部門)の不均等的拡大とが対 すでに (2)式で実質賃金率の低下(上昇)と第 I昔 応するものとされており,その対応と利潤率との関係がこの ( 1 2 )式で与えられている 1 2 )式は,利潤率と実質賃金率の関係を含んでいるということができる。 のだから, (.

(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑308‑. 第5 6 巻 第 1号. 308. のみが両部門会体の利潤 E 容を上昇させるのであって,それ以外の τ 1,τ2 ,a 2の 変化は阿部門会体の利潤率とは関係しない点である。このようなことが生じた のは,資本に可変資本部分を含めず,更に資本家の消費を捨象した形で,両部 門会体の利潤率を規定したからである。こうすると,利潤率は生産手段の増加 率であるから,ある期に Xlが与えられ,資本配分比率が与えられると,次期. lと K2が決まる。 Klは a lを通して次期の Xlの大きさを与えるが, のK. この. 時点で生産手段の増加率が決まってしまい,それ故利潤率も決まってしまうか i,' 1 " i ,( i =1,2)がそれ らである。かくして,第 I部門の不均等的拡大の下で ,a. ぞれ独立に変化する形で技術進歩があるとすると,両部門会体の利潤率は確実 に上昇し,実質賃金率は低下する場合と上昇する;場合があるといちことにな る 。 しかし,すでにみたよラに,技術進歩は必ずしもいつも a lを低下させるわけ. lが増大しても, ではない。たとえ a. n. が十分低下す町るなら,その技術進歩は資. 本家によって十分採用されうる。ぬの上昇は,第 I部門の不均等的拡大の下で 生ずる利潤率の上昇要因をうち消して,両部門会体の利潤率を低下させるかも しれない。ということは,少なくともいずれかの部門で,. (両部門全体の利潤. 率を低下させる程に)利潤率は低下していなければならない。そしてその場合 は,a lが上昇しれが十分に低下するのであるから,実質賃金率は上昇するかも しれないのである。. IV 資本過剰説からの反論 以上の I I,I I Iの分析が資本過剰説にとっていかなる意味をもつかは明らかで あろう。まず,好況過程全般について第 I部門の不均等的拡大が成立するとし よう。その場合,技術進歩がないとすると,実質賃金率は低下し,両部門全体 の利潤率は上昇することになる。資本過剰説を代表する宇野恐慌論では,好況 過程においては資本の有機的構成不変の蓄積が進行すると想定しており,これ は技術進歩のない状態を意味するから,. ζ のケースがあてはまることになる。. 他方,好況過程で'1"i, a i, ( i= 1,2)がそれぞれ独立に変化する形での技術進歩.

(18) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 0 9. 資本過剰説のー研究. ‑309‑. ( 1 5 ). が導入されるとすると,たとえ第 I部門の不均等的拡大が続く下でも,実質賃 金率が上昇する場合がでてくる。但し,その場合でも両部門全体の利潤率は上 昇する。にれに対して,第 I部門で資本使用的・労働節約的技術進歩が成立す ると,第 I部門の不均等的拡大の下でも,実質賃金率が上昇し,両部門会体の 利潤率が低下する場合もでてくる。(但し,こうした技術進歩が好況過程で採用 される必然性があるわけではない。〉 次に,労働力の需給が逼迫してくる好況末期ではどうか。この局面では,第. I部門の不均等的拡大が成立しているとは必ずしもいえなし、。そうなると,実 質賃金率は,貨幣賃金率の騰貴と価格騰貴との比較によって決定され,特に後 者は資本家の投資関数に依存するから,結局実質賃金率(それ故利潤率〕は上 昇する場合も低下する場合もあるということになる。 1 4 )・伊藤 かかる主張に対して,字野理論内部からの本格的な反論は,戸原 (. (2)から始まると考えてよいであろう。そこでの議論は,価格騰貴の問題を明 示的にとり入れつつ,字野恐慌論とそれを両立させようとするものである。し かし実質賃金率が低下する場合がある以上は,宇野恐慌論を修正せざるをえな い。以下,その議論を二つの立場にわけて詳しくみることにしよラ。第一の立 場は,戸原(14 )に代表されるもので,この立場では,信用による規制が重視さ 1 4 )は,好況過程で物価騰貴が大幅に生ずる理由 れることになる。即ち,戸原 (. を主として商業資本の投機活動に求めた上で,物価騰貴が賃金上昇を上回る場 合もありうるとし,そこでは利潤率は上昇しさえするとする。そしてそのよう な場合には,恐慌は利子率が「高水準にあるーそし℃場合によってはさらに上. 1 0 8頁),高騰することによっ 昇をつづけさえもする一利潤率に追いこす形で J( て発生するとしている。こうして,戸原(14 ).では,物価騰貴が賃金上昇を上回 る場合は,賃金率上昇→利潤率低下という説明は希薄なものにならざるをえ ず,信用による規制のみが唯一の説明原理となる。 ( 1 5 ) 宇野理論にも好況過程で技術進歩が導入されるとする理解がないわけではない。た とえば,山口 ( 1 7 ) 2 2 6 頁参照。そこでは,好況過程では既存の固定設備を廃棄してま. で新生産方法を採用することはないといラ点だけを確認しておけば十分であるとされ ている。.

(19) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑310ー. 第5 6 巻 第 1号. 3 1 0. ところで,伊藤 r 2)ではこの立場が一層強化され℃いる。まず伊藤 C2)は , 信用による規制を与えるためには,商業資本等による投機活動が不可欠である とし,更に,それを与えるためには,不均等的価格騰貴が不可欠であるとし, 不均等的価格騰貴を重視する。戸原(1 4 Jでも不均等的価格騰貨の説明はある が,それは好況末期の諸資本聞の政行性を与えるためのものであって,その意 味では副次的である。これに対して伊藤 C2)は,これを恐慌の説明の中心にも ってくることによって,戸原(14 )のように,. r 好況末期の労賃の上昇が一般物価. の上昇速度より大きい」かどうかという「疑問のたて方には同意でまないj(伊 藤 C2)319頁〉とし,戸原(14 )が提起した(そしてわれわれが本稿で扱った) 問題それ自体を否定してしまちのである。しかしそうすると別の問題が発生す る。即ち,戸原(14 )では物価騰貴が賃金上昇を下回る場合には,. まだ賃金率上. 昇→利潤率低下という説明が基底に存在していたのであるが,伊藤 (2)のよう に,労賃の上昇と一般物価との比較という問題のたて方それ自体を否定してし まうと,賃金率上昇→利潤率低下という説明は,恐慌の説明原理としては一切 登場しなくなる。そこで伊藤(2)では,不均等的価格騰貴を資本蓄積の進行一 労賃の上昇の必然的な結果として位置つ守けようとする。この試みが成功してい るかどうかも疑問であるが,いずれにせよ,労賃の上昇は不均等的価格騰貴を, ( 1 6 ) その試みを要約すれば次の通りである。資本蓄積の進行一労賃の上昇は,生産拡大 を通じた供給の調整・利潤率の均等化を閥害し,また資本構成の低い部門の価格を上 昇させる。他方では,供給の弾力性の乏しい農業生産物の需給逼迫一価格騰貴をもた らし,これらの不均等的価格騰賞に対して,商業資本等の投機活動が活発になされ, 不均等的価格騰貨が激化する,と。かかる主張に対する疑問点は次の通りである。 (イ〉好況末期に,生産拡大を通じた供給の調整・利潤率の均等化が困難になるという 点についていえば, この主張は, I 利潤率が低下すれば,個々の資本はますます資本量 の増大によって利潤査の維持・増大をはかるため,たがいに競争的に資本蓄積を継続 し,生産を拡大しつづけ,全体としての蓄積の困難をいっそう深化させてゆくしかな いのであるJ(大内編 (8)26 頁,伊藤執筆)という主張と矛盾しないであろうか。大内 C7)が批判するように, I 好況末期にも生産そのものが拡大する以上,資本移動や,価 格調整メカニズムが完全にストップするわけはない。 J( 9 5 頁)(ロ)労賃の上昇が資本 構成の低い部門の価格を上昇させるという点についていえば,これは「利潤率均等化 作用の根拠のある場合の『価格体系』の『変化』の問題 J (浦園 ( 1 6 ) 3 5 3 頁〉である。 〈ハ〉かくして残るところは,供給の弾力性の乏しい農業生産物の需給遥迫しかないこ とになる。しかしこれは,必ずしも賃金率の上昇を前提しなくてもよいはずである。 なぜなら,好況過程では労働力の需要が拡大していくのであるから,賃金率が上昇し.

(20) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 311. ‑311‑. 資本過剰説の一研究. それ故商業資本等による投機を,それ故信用逼迫を説明するためのものにすぎ ず,恐慌の説明は信用?とよる規制がその中心とならざるをえなくなるのであ. 1 0 )の 実 証 研 究 と も 矛 盾 る 。 伊 藤 C2)の こ の 立 場 は , 同 じ 頃 出 版 さ れ た 鈴 木 編 ( しておらず,現在では,あるいは字野恐慌論の通説的立場であるのかもしれな. L 。 、 第二の立場は,山口(17 )に代表されるもの十で,. この立場では,商品過剰説を. 1 7 )は , その内部にとり入れることになる。即ち,山口 (. r 物価騰貴が賃銀騰貴. 以下の場合と以上の場合がいわば並列され,それぞれの帰結について検討され れ ば よ い J( 228 頁〉とし,このちち物価騰貴が賃金騰賞以上の場合には,商品 なく亡も賃金総額は増大し,賃金総額の増大一消費支出の増大は,食料等の需給を逼 迫させるかもしれないからである。とすれば,これは所詮ボトノレネック論の一般論に すぎず,宇野が提起した「労働力の商品化J= f 資本主義の基本矛盾 Jから恐慌・産 業循環を説く立場とは結びつかないのである。 ( 1 7 ) 鈴木編(lO J V : J , 1 9世紀のイギリスの産業循環過程において,好況末期に実質賃金率 が停滞ないし下落していたことを明らかにしている。ここから「信用利用の困難によ る利子率の高騰から恐慌の必然性は説かれるべき J (はしがき i頁〕ではないかとし てし、る。 ( 1 8 ) たとえば,大内編 C8J は入門書ではあるが Jもっとも適任の執筆者を揃えることが でまた」とされており,その f 1 恐慌の基礎理論」を伊藤が執筆していることにそ のことは端的に示されている。 ( 1 9 ) 伊藤 (2)が,賃金率の上昇→利潤本の低下を中心に設定しないのは,これだけでは なだらかな低下・停滞を説明するだけで急激な下落過程の説明でをない,急激な下溶 過程の説明には信用による規制が不可欠であると考えているからであるう。(伊藤 (2) 2 4 2 貰参照) しかしこれは疑問である。第ーに,下方への累積過程は,信用恐慌によ ってのみ与えられるのではなしもう一つ「下方への累積過程は,置塩(5)のような 投資関数(但し,過剰生産・価格下落に反応する投資関数)による需要の規定と,余 剰生産手段の余剰率が高いという基礎の上で,過剰生産下でも,否過剰生産下である 故に,稼働率を維持しつづけようとする資本家の生産・供給態度との相互作用のがな かにこそ設定されねばならない。 J(拙稿 (20)127‑128 頁 〉 信用恐慌があったからと いって,後者のような全般的過剰j 生産が必ず発生するものではないが,全般的過剰生 産は必ず信用恐慌を伴うのである。その意味で後者こそが下方への累積過程の葱本で ある。(このことを強調したのが,井村(1)の実現論である。〉第二に,このような下 方への累積過程が始まるのは,資本蓄積率が低下するからであり,資本蓄積率の低下 は,われわれが拙稿 ( 1 8 J・( 1 9 )・( 2 0 Jで追究してきたような実現問題の発生によって ら実質賃金率の上昇による利潤率の低下によっても,また利潤率を上回る利子率の 上昇によっても成立しうる。そして,いずれの場合も,それが成立すれば等しく下方 への累積過程は始まるのである。その意味で,貨幣賃金率と価格の問題はゆ伊藤 (2) のようにではなく,戸原 ( 1 4 )のようにうけとめるのが正しいように思われる。.

(21) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 6巻 第 1号. ‑312 ー. 312. 過剰的な事態が発生するが,それも「資本過剰論を基軸とした恐慌論体系の内. 2 2 9員)としている。 部に積極的な位置づけを与え」ればよい (. もちろんわれ. われは,商品過剰説をとり入れること自体に反対するものではないが,問題は. )には,実質賃金率が低下する それをいかにとり入れるかである。まず山口(17 時,何故生産物の販売が困難になるのかといろ点の説明がない。実質賃金率の 低下(消費制限)があるから販売困難に町なるというなら,万年恐慌論になるの ではないかと批判したのが宇野恐慌論の立場ではなかったか。更にもし販売困 難があるとすれば,消費財市場であるが,投資需要が強ければ,生産財市場で は依然として需要超過でありうるはずであり,そうした部門閣の不均衡は価格 メカニズムによって調整されると批判したのが字野恐慌論の立場ではなかった か。現代の実現理論は,一方で価格による需給調整メカニズムを当然のことと して認めた上で,需給調整が逆に不均衡累積となっていく側面を分析してお り,そこから恐慌・産業循環論を構築しようとしている。したがっで,宇野恐 慌論が商品過剰説をとり入れるなら,まず商品過剰説に対して提示した批判に 自ら答えることから始めなければならない。. V 結語 本稿 Iでのべたように,本稿は,資本過剰説のすべ ての主張を検討したもの I. ではなし好況過程における実質賃金率の動向に焦点をあてて批判的に検討し たものである。そして,本稿 H,I I Iの検討を通して,われわれは,実質賃金率 は好況末期には上昇する場合も低下する場合もあるといういわば当然の結論を 導いた。上昇するとすれば,利潤率低下→資本蓄積率低下を契機として下、方}へ の累積過程が始まりうる。(もちろん,どの穏度の利潤率の低下が資本蓄積率の 低下という行動を資本家にとらせるかは,十分解明されねばならない。〉実質賃 金率が低下するとしても,信用による規制が作用して下方への累積過程が始ま るかもしれないし,たとえ信用による規制が作用しなくても,商品過剰の発生. V →資本蓄積率の低下を契機として下方への累積過程が始まるであろう。本稿I でみたように,資本過剰説を代表する字野理論が貨幣賃金率と価格の関係とい.

(22) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 1 3. ‑3.13‑. 資本過剰説のー研究. ラ問題に菌面した時出した答も,多かれ少なかれこのようなものであった。 とのようにみてくると,ここに,新しく商品過剰説と資本過剰説の関連とい う問題が提起され℃いることがわかる。われわれが拙稿 ( 1 8 J・1 1 9 )・( 2 0 )によ って実現理論を構築しようとした際,それはあらかじめ資本過剰l 説を否定した. J1参照)またわれわれの実現理論は, 上でなされたものではなかった。(拙稿C18 「生産と消費の矛盾」なき実現理論で怠り, (不況,回復過程の中味が,好況過 程の中味を特定化し,それ故好況過程の一定期間後に逆転が必然化するという 意味で)産業循環論的実現理論であるが,この理論は,実現問題の発生(逆転〉 以前に,実質賃金率上昇→利潤率低下が生ずる可能性を否定するものでは決し てないのである。とはいえ,商品過剰説的契機と資本過剰説的契機を単に並列 的にあげるだけでは不十分であろう。可能性としてはさまざまな契機が考えら れるが, 10年周期の産業循環を考慮すると,そのうちの一つが特定化されるこ とになるかもしれないし,それ以外の契機は,資本主義の発展段階論(恐慌・ 産業循環の形態変化論〉のなかでそれにふさわしい位置づけが与えられるかも しれない。しかしかかる問題は次の課題であり,その前に信用と恐慌の問題に も一度言及しておかねばならないだろう。 引用文献 C1 J. 井村喜代子『恐'慌・産業循環の理論』有斐閣 1 9 7 3 9 7 3 (2) 伊藤誠『信用と恐慌』東京大学出版会 1 一橋大学研究年報経済学研究I J 15 1971. (3) 松石勝彦「好況過程の二部門分析 J r 3 (4) 置塩信雄『資本制経済の基礎理論』. 創文社 1 9 6 5. J(第二版〉筑摩書房 1976 (5) 置塩信雄『蓄積論I 9 7 7 (6) 置塩信雄『現代経済学』 筑摩書房 1. r. (7) 大内秀明「実現恐慌論の再版=復活をめぐって J 経済学批判 J2 社会評論社. 1 9 7 7 .4 (S) 大内力編『現代の景気と恐慌』 有斐閣. 1 9 7 8. (9) H .R o s e,Ont h eN o n ‑L in e a rT h e o l yo ft h eEmploymentCyc 1e ,Reviewof E c o n o m i cS t u d i e s,VoL 34,1967 ( 1 0 J 鈴木鴻一郎編「恐慌史研究』. 日本評論社 1 9 7 3. ( 1 1 ) 高須賀義博「再生産の局面分析J r 経済研究 J25‑3,1 9 7 4 . 7 (高須賀義博『、マノレ.

(23) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑314‑. 3 1 4. 第5 6 巻 第 1号. クス経済学研究』新評論 1 9 7 9に所収) ( 1 2 ) 滝田和夫「景気循環における不均衡累積と均衡化J. ~経済経営論集~. 2 3 ‑ 1,1 9 81 .. 6. ( 1 3 ) 佑美光彦「世界大恐慌 ( 1 9 2 9 ‑ 3 3年)論J r 経済学論集 j4 7 ‑ 4,1 9 8 2 .1 ( 1 4 ) 戸原四郎『恐慌論』筑摩書房 1 9 7 2 商学論集 j 4 9 ‑ 3 . ( 1 5 ) 都留康「恐慌論体系における〈生産と消費の矛盾>概念の検討 Jr 1 9 8 0 .1 1 ( 1 6 ) 浦鼠宣窓「第 9章産業循環」山口,佑美,伊藤編『競争と信用』有斐閣 1 9 7 9 ( 1 7 ) 山口重克「産業循環」鈴木鴻一郎編『セ tアー経済学教室 j 1 (マルクス経済学〕 9 7 4 日本評論社 1 ( 1 8 ) 拙稿「市場価格の産業循環的変動J W 香川大学経済学部研究年報 j 1 91 9 7 9 生産と消費の矛盾』と恐慌論J r 香川大学経済論議jJ5 3 ‑ 3,1 9 81 .1 ( 1 9 ) 拙稿r ( 2 0 ) 拙稿「産業循環論について J W 香川大学経済論議J5 4 ‑ 4,1 9 8 2 "3 ( 2 1 ) 由井敏範「好況局面とく生産と消費の矛盾 r一橋論叢~ 8 6 ‑ 1,1 9 81 .7 ( 2 2 ) 由井敏範 生産と消費の矛盾〉と景気循環J 一橋論叢 j 8 9 ‑ 1,1 9 8 3 .1. r <. > J. r.

(24)

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