近年における米国権原保険の状況
大 城 裕 二
■アブストラクト
権原保険は,保険契約の特質に根差す特異な機能を果たしている。それは,
情報化社会前において,土地制度未確立の合衆国に役立てられた制度である。
情報化とグローバル化が進展する今日,その遡及担保性と担保無期限性を特 徴とする元来の担保構造は,基本的に変えられてはいない。情報ギャップに 根差す権原保険の機能は,消費者に満足を提供しているのであろうか。その 情報開示の問題と財務不透明性は,各州に燻ぶる権原保険改革論議の大きな 焦点である。その大きな着地点として,Iowa州権原保証部の例が論議され る。現在の権原保険業界の状況は,不動産抵当貸付に関わる事業展開に活路 を開くのか,地域生活の基礎的リスクとして政府関与の構造を展開するのか,
重大な検討期にあると考えられる。
■キーワード
権原(Title),権原リスク,Iowa州権原保証
Ⅰ.はじめに
保険が経済社会において果たす役割は多様である。とくに損害保険分野に 注目して見れば,様々に多様な保険種目が展開されており,保険が果たす社 会経済的領域は広い。それは,保険の目的,保険契約の目的,担保危険,保 険金給付方式,損害填補方式等々,様々な保険名称付与の基準に照らして,
また,それぞれの機能的特質を掲げて,多くの意義ある偶発的経済必要充足 /平成23年9月2日原稿受領。
機能が展開されるからである。そのような保険形態の多様性は,産業化社会 の進展に伴って,益々と広く開拓されてきた経緯を辿ることができ,それぞ れは常に環境変化の潮流に呼応して展開されてきたものである。
ここでは,米国発展の特殊事情に展開されてきた権原保険を取り上げ,そ の特質に着目しつつ,急激な進展を辿る情報化とグローバル化の潮流に曝さ れる権原リスクの変質状況とその遡及担保機能の変動性に関して,若干の検 討を加えてみたい。筆者は,過去,権原リスクに関して2編の論稿 を纏め たことがあるが,当時に比すれば,環境変化の急激な波に曝されて,権原リ スクの性質あるいはその保険可能性に多分の変化が伺われ,今日,権原保険 を巡る問題には,その機能的変容状況を認識させられるのである。
本稿では,権原保険に関する近年の資料を手掛かりとして,権原保険の現 状を捉えることに基づいて,権原保険の特異性に内在する諸問題を探ってみ ることにする。
Ⅱ.米国権原保険の展開
1) 米国権原保険の起源と発展
Huebner, S. S.,et al.によれば,最初の権原保険会社は1876年にPhila-
delphiaにおいて組織されたとされている 。それ以前は,調査された権原を
得たいと思う資産の所有者には,弁護士を通じて記録を探し出し,権原要約
1) 大城裕二 米国権原保険の一考察 保険学雑誌 477号,日本保険学会,昭 和52年6月,23‑52頁。;大城裕二 保険原理の援用による米国の権原保護方式
⎜トレンス・システムを中心として ⎜ 千里山商学 第10号,関西大学大学 院商学研究科,昭和52年3月,1‑28頁。
2) S.S. Huebner, Kenneth Black, Jr. & Bernard L, Webb,Property and Liability Insurance,4th ed., Prentice Hall, 1996, p.342.;しかし,Title Insurance―United States, Associated Realty of the Americas (AREA)
には,最初の権原保険会社であるLaw Property Assurance and Trust Societyは,1853年にPennsylvaniaで Benjamin Franklinによって設立され,
大多数の権原保険証券は合衆国内の土地について引受けられたとされる。
(www.areamericas.com/pdf/Title-Insurance-United%20States.pdf)ま た,
書(abstract)の作成に当たらせる手段しかなかったのである。もし弁護士 の意見に権原が正当であるとされているなら,その権原要約書にその趣旨の 証明が記述され,この意見が権原証明書を構成することになったのである。
この方法の欠点は明らかであり,特に,我々が権原に影響を及ぼす法的文書 の多くの問題について,数十年に亘って,時には世紀を超えて,しばしばそ の膨大な記録を必要とするのである。その調査を行う者が勤勉であるとして も,その記録から全く明らかにならない重要な事実があるかもしれない。さ らには,現存する記録が偽造あるいは不正確な記入に依っている可能性もあ りうる。そのうえに,権原要約書や権原調査を支える法律家の意見が,権原 の有効性に関する一つの見解に過ぎず,全面的に間違っていることもあり得 るのである 。最初の権原保険者の組織に続いて,近年,不動産取引が膨大 で,その記録が複雑で,多岐に亘って来ている大都市部で,ほぼ全ての権原 要約書が大規模権原保険者により作成されるようになってきている。公的記 録から弁護士に直接に権原を調査させることが慣行となっている地域では,
権原保険会社がその保険証券を発行する認可を得ている。これらの保険者が,
認可された弁護士と共に,権原の調査において大きな効率性を提供できるだ けでなく,旧制度の下で欠けていた保障の要素を提供するのである。権原保 険者は,実際に,多くの郡あるいはその他の地域における全ての不動産を網 羅している施設を用意している。こうした施設は,多くの権原保険者の主要 資産を構成し,通常,大きな費用を掛けて準備されており,保険者が実際に 一定の地域内のあらゆる記録に関する分類整理ができるように編集されてい る。保険者は,普通,その権原要約施設を最新化できるように,各記録事務 所で従業員を雇っている。彼らは,権原に影響を及ぼす法律の要点以外にも,
あらゆる法廷訴訟を調査し,権原調査部門に助言する熟達した法務部を有し
“History of Title Insurance in The United States,”The New York Times,October6,1688には,合衆国における最初の権原保 険 会 社 設 立 が 1876年にPhiladelphiaにおいてであったことを示す記事が掲載されている。
3) S.S. Huebner,et al., ibid.,p.343.
ているのである。さらにまた,事業費や関係経費の性質から,多くの権原保 険者はその業務を特定の地方に限定しているが,州域ないし地域あるいは全 国的業務に拡大する傾向が急速に広まっている 。
2) 米国権原保険の概要
近年の米国におけるリスクマネジメント・保険論関係文献に紹介される権 原 保 険 に つ い て は,そ れ ほ ど 仔 細 な 記 述 は 見 ら れ て い な い。James S.
Trieschmann,et al. では,権原保険(Title Insurance)は,取得した不 動産の権原が合法的でないか,一定の支払いが為されてからのみ正当なもの とされる場合に,その不動産の購入者を損害から保護する方策であると述べ られている。権原の瑕疵は,公的記録の偽造(forgery),権原の偽造,無効 あるいは発見されない遺言,欠陥のある遺言検認手続および誤った不動産譲 渡といった原因にあるとされ,権原を譲渡する者が正当な所有者でないこと が分かるのは,何年も不動産を占有してから後のことかもしれないのであ る 。
通常は,不動産の負担(encumbrances:債務),先取特権(lien),地役 権(easement)のような不動産のあらゆる権利は,その財産が存在する郡 あるいは行政教区(parish)がある郡庁で適切に記録されなければならない。
権原保険が一般化する前は,不動産の買い手は,普通,これらの記録を調べ,
その権原の有効性に関する弁護士の意見を求めていた。この意見の大部分は,
その土地等に対する権原の簡単な歴史である権原要約書(abstracts)に基
4) S.S. Huebner,et al., ibid.,p.343.
5) James S. Trieschmann, Sandra G. Gustavson & Robert E. Hoyt,Risk Management and Insurance, 11 ed. South-Western College Publishing,
2001, pp.186‑187.前記の第12版がJames S. Treischmann, Robert E. Hoyt
& David W . Sommer,Risk Management and Insurance, 12 ed., South-Western,2005, pp.187‑188であるが,Title Insuranceに 関 す る 記 述 に変更は見られない。
6) James S. Trieschmann,op.cit.,p.186.
づいている。権原要約書の目的は,権原を不明瞭なままにしたり,誰か他の 者に当該土地に対する法的請求権の道を開かせる法的問題を明らかにするこ とであるとされる 。
権原要約書や恐らく公的記録事項として明らかにならないその他の事項を 調査して,弁護士は意見を提供するのである。しかし,弁護士は,権原調査 における過失についてだけは責任があると主張されることがある。合理的で 正当な調査で明らかにされない権原の異常な瑕疵が何かあることが分かって も,その土地所有者には何ら救済法がないのである。ここに,権原調査の完 全性と正確性を公式に保証する必要性が生じるのである。もし権原に瑕疵が あるとしても,権原保険はその財産の所有権を保証するものでないことに注 意する必要がある 。
権原保険契約(Title Insurance Contract)に標準的な様式は存在しない とされるが,一般的な保険約款様式はかなり統一されているようである。保 険者は,Schedule Bに掲げるものを除き,被保険者の当該土地等に対する 権原の先取特権,不動産の負担,瑕疵,障害,財産権(estate),および利 権(interests)によるあらゆる損傷および損壊による販売不能性によって被 るいかなる損害に対しても所有者を賠償することに同意するとされ,Sched-
ule Bは,権原調査の間に発見された財産のあらゆる権原の瑕疵または権利
が列記される別の裏書証書なのである 。
普通の保険証券では,保険者は,行為が契約上除外されていない損害の源 泉に関係していると推定して,権原に関して被保険者に対して持ち込まれる 何らかの法的訴訟において被保険者を守ることに同意している。被保険者は,
保険者にそのような訴訟に関して通知することおよび保険者によるどんな法 的措置においても共同することが求められる。また,権原保険の保険料
(premium)は,一度だけ支払われ,その保険証券は記名被保険者に対して,
7) Ibid.,p.186.
8) Ibid.,p.186.
9) Ibid.,pp.186‑187.
不定期の間,有効とされる。その財産が譲渡されるならば,新しい購入者の 保護のために新たに保険料が支払われなければならない。古い保険証券は,
その新しい買い手に譲渡可能ではない。通常は,たとえ以前の購入後僅かの 期間後に譲渡されるとしても,保険料の軽減は為されない 。
他の保険関係文献によっても同様な内容が整理されているが,George E.
Rejda によれば,大要,次の内容が示されている。そこでは,権原保険
(Title Insurance)は,財産の所有者あるいは財産の購入者に金銭を貸し付 ける者を,当該財産の権原にある何らかの未知の瑕疵から保護するものであ るとし,明確な権原に関する瑕疵は,無効な遺言,財産に関する不正確な記 述,瑕 疵 あ る 遺 言 の 検 認,開 示 さ れ て い な い 先 取 特 権(lien),地 役 権
(easements),その他,過去に発生した法的欠陥によって生じることがある とされている。近年では,捏造された権原(forged title)の問題が増えて おり,明確な権原が無ければ,所有者は,他の者に対する優先的請求権があ る当該財産を失うことがあるかもしれないし,未知の先取特権,権原の非市 場性,弁護士費用等の損害を生じることがあるとされている。権原保険は,
これらの損害から所有者を保護するよう考えられたものである 。
不動産に対する先取特権,不動産上の負担,あるいは地役権は,どれも普 通は,その財産が存在する地域の裁判所(郡庁:courthouse)で記録されて いるが,この情報は,abstract(権原要約書)として知られる法的書類
(legal document)に記録され,その財産の所有権と権原の歴史を示すもの とされている。不動産が購入される場合,その買い手は,その財産に対する 明確な権原に瑕疵が存在するかどうかを判断するために弁護士に依頼してそ の権原要約書を調査することができる。しかし,買い手は,以上の方法で十 分に保護されているわけではなく,未知の先取特権,不動産上の負担,ある
10) Ibid.,p.187.
11) George E. Rejda,Principles of Risk Management and Insurance, 9 ed.,Pearson Education, Inc.,2005, p.266.
12) Ibid.,p.266.
いはその他の権原要約書に記録されていない権原の瑕疵があるかもしれず,
慎重で注意深い権原調査にも拘わらず,所有者が損害を被ることがあるので ある。このように,所有者は,そのような損害を填補する強力な保障を必要 としているのである 。
権原保険証券の特徴としては,1)保険の効力発効前に発生している権原 の瑕疵に対する保護を提供すること,2)どんな損害も起きないと考える保 険者によって引き受けられ,既知の権原の瑕疵あるいは権原に負担があると いう事実は,保険証券に記載され,担保から除外されること,3)保険料は,
保険証券が発行される時に一度だけ支払われ,どんな追加的保険料も求めら れないこと,4)保険期間は将来にわたって無期限に続き,権原の瑕疵が保 険証券発行日前に生じていた場合に限り,それが将来の何時発見されたかに 関係なく,付保損害はすべて填補されること,5)損害が生じれば,被保険 者は保険証券の限度までの金額が金銭で填補され,所有者による所有,何が しかの権原の瑕疵の除去,あるいは既知の瑕疵の法的救済(legal remedy) を保証するものではないこと,が指摘されている。また,権原保険の担保限 度は,当該財産の購入価額とされるから,住宅等の価格が数年に亘って上昇 している地域では,当該財産の所有者は損害時点で一部保険(under insur- ance)になっていることがあることに特に注意する必要がある 。
Ⅲ.米国権原保険と環境変化
1) 権原リスクの性質と権原保険
Etti Baranoff は,権原の瑕疵は,満足されない財産請求権であり,賃
金未払労働者あるいは原材料供給業者によって提起される先取特権(lien) あるいは財産が売却された時に他方の配偶者によって署名された証書に署名
13) Ibid.,p.266.
14) Ibid.,p.266.
15) Etti Baranoff,Risk Management and Insurance, Leyh Publishing, 2004, pp.230‑231.
が為されていない配偶者の例を挙げている。そのような請求権は,元々,そ の財産の支払いを誰が行ったのかに関わらず,夫婦の不動産に関する配偶者 共有財産利益に基づいている。財産の権原に瑕疵があれば,買い手は,その 権原の瑕疵がたとえ数年前に起きているとしても,権原の受入れまでにその 瑕疵が取り除かれなければ購入を躊躇するであろう。その瑕疵の除去には,
時間が掛かり,費用が高くつくことがある 。
権原保険証券は,住宅購入者を保険証券が発行される時点で存在している 瑕疵によって生じる損害から守るものである。この保険は,保険証券発行後 に生じる瑕疵を担保するものではないのである。このことを保険者は, 本 保険証券発行の時点で,本財産に対する権原につき何らかの間違いがあると しても,我々は貴殿を守り,その発見の場合に生じる損害について,保険証 券の限度内で支払う と述べている。この約束を結ぶ前に,保険者は証書が 存在するかどうかを判断しようとし,何か見つかれば,それらは保険証券に 記載され,担保から除外されるか,それらが取り除かれるまで保険証券は発 行されない。この保険証券について,一時払保険料が支払われ,それは無期 限に有効とされる。概して,これは譲渡できるものではなく,当該財産の権 原が譲渡される場合,その買い手は,保護が必要であれば,自己の権原保険 証券を購入しなければならない 。
また,S. S. Huebner,et al.は,権原保険が提供する保護の性質につい て,権原保険証券は,不動産の所有者あるいは不動産について金銭を貸与す る者を,保険証券に推定される権原の瑕疵および保険証券に記述される土地 等に影響する何がしかの瑕疵によって,あるいは当該権原の販売不能性のた めに,または保険証券発行の時点で分からない当該財産に対する先取特権な いし負担(encumbrances)による損害から保険証券に記載される金額を超 えない額で保護することを約するものであると説明している。こうした保険 証券は,保険証券発行日前に存在する権原の瑕疵により生じる損害だけを保
16) Etti Baranoff,ibid.,p.230.
17) Etti Baranoff,ibid.,p.231.
護するものであり,保険証券発行日以後に生み出される瑕疵を担保するもの ではない。換言すれば,権原保険証券は,本質的に過去に関係するものであ り,遡及担保性があると言える。つまり,権原保険は,保険証券引受時点で 有効であると考えられる権原を保護し,他保険の開始をもって,つまり当該 他保険の保険証券が発行される日をもって終了するという特異な性質を持つ ものである 。
こうした権原保険の保険引き受けは,少し保証証券(surety bond)に似 ているところがある。両者は,損害は生じないことを前提として引受けられ るのである。保険証券発行前に,保険者は,存在するかもしれない瑕疵を発 見するために,保険引受を検討する土地等の権原の負担に関するあらゆる記 録や事実の入念な調査を行い,もし何がしかが見つかれば,それらを注意深 く保険証券に記載し,保険者が責任を負うことができないリスクであること を表明するのである。このように,権原保険は,記録による権原調査に生じ る過誤,あるいは偽造,記録の欠如,その他の理由で発見されなかった瑕疵 によって生じる損害だけの支払いを約するものなのである。このことから,
不動産に関する記録は,誤って説明されることがある可能性が何時も存在す るということを銘記する必要があるのである。法律家は,一定の書類あるい は法廷の訴訟が権原の合法性について有する効果に関して意見を異にしてい たり,彼らの結論が不完全であったり,誤っていたりするかもしれないので ある 。
権原保険証券は,契約に対して特別の条件が挿入されていなければ,記載 される不動産あるいは利益に関して将来に亘って何時までも,被保険者を保 護するという点で有利なものであることが分かる。この点で,権原保険は,
保険期間が将来に向かって無期限に続くという特異性を有している。抵当権 者証券(mortgagee policy)では,被保険者の定義によって,保険証券の便 益が自動的に当該債務の所有権者に付随するのであるから,保険証券の譲渡
18) S.S. Huebner,et al., op cit.,p.343.
19) S.S. Huebner,et al., op cit.,pp.343‑344.
は必要とされない。多くの司法区では,当該債務の譲渡に関する記録は求め られていない。これが求められる地区では,譲受人のなかには当該譲渡を保 険証券に裏書することを求める者もあれば,そうでない者もある。しかし,
この要求は,保険証券の利益を譲渡する必要性によって生み出されるもので はなくて,むしろその譲渡の有効性と優先性に関して譲受人を安心させるた めである。しかし,そのような購入でも保険証券の発行後およびその譲渡前 に生じている瑕疵を保護することはないことを理解する必要がある 。
所有者証券(ownerʼs policy)は,保険証券上の被保険者の定義に入る者 に対してだけ譲渡できるという点には注意する必要がある。たとえば,任意 の譲渡に反して法律に従って当初の被保険者から権原を得る者ないし企業は,
保険証券の譲渡を受ける権利があるとされる。換言すれば,譲渡証書によっ て権原を得る者は,それが購入であろうが贈与であろうが,たとえ当初の被 保険者に関係していても,保険証券の譲渡を受ける資格はないとされるので ある。将来に向かって保険期間が無期限に続くのではあるが,保険料は,保 険証券発行時点の1回だけであり,それ以上の支払いは,権原の変更が無い 限り必要とされないのである。保険料の賦課は,主として,保険者,保険種 類,特定地域に支配的な条件,および州規制によって,国内各地で大きく異 なっている。何年もの間,ほとんどの州保険部は,権原保険を傷害保険と一 緒に扱ってきた。今日,多くの保険部が異なる種類の保険として関心を持つ ようになってきており,権原保険に関する立法および行政上の規定が着実に 増えている 。
2)保険証券様式の概要
権原保険実践の大きな利点は,権原保険会社が当該資産に関する正式の法 的記録を列挙し,当該資産の記録上の所有者について主張し,権原保険会社 が担保の除外事項として挙げるであろう当該不動産の負担(encumbraces),
20) S.S. Huebner,et al., op cit.,p.343.
21) S.S. Huebner,et al., op cit.,p.344.
制限およびあるいは瑕疵を列記する書式にその権原調査事項を示す権原委託 書(title commitment)を取引合意に先立って発行するということである。
このことが,実際に,記録が不動産譲渡証書(deeds)制度の一部である場 合でさえも,権原登記制度の情報という性質において,その情報を報告書に 変換するのである。権原保険の需要がある地方では,その需要は権原情報や 権原保護の提示における統一性を求める二次抵当権市場における貸し手や投 資家によって導かれる傾向がある。権原保険の申込書は,普通,貸し手であ る当該被保険者によって権原会社(title company)に提示される。権原会 社は,当該資産の訪問を含む権原調査(title search)を行い,事前報告書 である権原委託書(commitment)を発行するが,権原保険会社と当該被保 険者の間で,権原会社が担保の除外事項として権原委託書に示される事項に 関して交渉が行われる。合意に際して,当該被保険者は権原会社が交渉にお いて合意された除外事項を削除するために要求している証拠書類等の証拠を 提供し,最終処理が終えられるのである。当該合意事項の書類は,記録また は登記され,権原保険会社と被保険者によって合意された担保の除外事項と して示される問題のみを付記して,最終的な権原保険証券が発行されるので ある 。
権原保険の基本的な商品は,貸し手保険(lenderʼs policy)と所有者保険
(ownerʼs policy)である。二つの異なる種類の保険がある理由は,それぞ れの保険で,担保内容が広く異なっていること,そして保険者が責任を負う リスクが広く異なっていることである。大事なことは,貸し手保険は貸し手 だけを担保するものであって,保険料が常に借り手または所有者によって支 払われるとしても,所有者を担保するものではないことである。貸し手保険 は,一般に,保険証券記載の者以外の誰かに授与されている権原について,
保険証券に列挙される権原の瑕疵,不動産税あるいは賦課金についての先取 特権,および進入権を欠いていることを理由とする損害を担保するものであ
22) Justin T. Holl, Jr.,An Overview of Title Insurance, A White Paper by International Land Systems, Inc., January 2009, p.3.
る。これは,さらに,付保された抵当権に関する先取特権の無効性(invalid- ity)ないし執行不能性(unenforceability)を担保する。保険者は,貸し手 保険では,抵当証券の瑕疵,貸し手の抵当物受戻権喪失(foreclose),そし て貸し手が担保リスクを理由として被る損害があれば,責任を負うことにな る。換言すれば,貸し手保険では,権原の瑕疵が存在していても貸し手が抵 当物受戻権を喪失しないで,当該財産の売却によって貸付金額を回復できな いとしても,貸し手保険における保険者の責任は無いのである。たとえ瑕疵 が売却価格を減じるとしても,当該貸し手がその売得金から貸付金額を回復 するならば,権原保険会社側に責任は無いのである。このことは,貸し手が 瑕疵のない売却によってもっと多くを実現できた場合でさえ,そうなのであ る 。
所有者保険(Ownerʼs Policy)は,権原が権原保険証券に示される通りで ない,一般の進入権が無い,あるいは販売可能性がない場合に,所有者が被 る損害について基本的に補償するものである。所有者保険では,権原の瑕疵 は,所有者である被保険者が当該資産を売却しようとする場合には,売却価 額の減少あるいは権原浄化の費用という形で,いつも所有者の損害を生じる であろう。したがって,権原会社(title company)は,一般に,権原会社 が貸し手保険で表さない所有者保険に対する除外事項として掲記する。換言 すれば,権原保険会社は,それぞれが同一取引の一部である場合でさえ,所 有者権原保険証券の発行については,貸し手保険証券の発行に関するよりも ずっと厳格な保険引受原則を適用しているのである 。
権原保険会社は,別表B(Schedule B)に保険証券の既知の除外事項を 掲げることによってリスクを軽減し,保険証券の除外事項と保険証券に添付 される条件を通してさらにリスクを軽減している。最も重要な除外事項は,
被保険者が生み出し,被り,想定し,あるいは合意した事項に及んでいる。
さらに,被保険者が既知の,権原保険会社が未知の,公的記録にない,ある
23) Justin T. Holl, Jr.,ibid.,p.4.
24) Justin T. Holl, Jr.,ibid.,p.5.
いは権原保険会社に対して書面で発表されていない事項が除外される。した がって,被保険者は,およそ分かっているが会社に知られていない,そして 瑕疵に基づく請求を行うその瑕疵を隠すことはできないのである。別表Bの 除外事項は,最も重要な権原保険会社の責任制限である。なぜならば,権原 会社が当該財産に反する記録に関して明らかになる不動産上の負担を保険証 券の除外事項として掲記するのは,ここであるからである。別表Bは,地役 権(easement),捺印証書(covenants),条件(conditions)および制限条 件(restrictions),優先権のある先取特権または抵当権,そして記録に現れ るその他の不動産上の負担を明記するであろう。権原保険が合衆国で開発さ れた主たる理由は,統一的な 権原調査 (title search)と二次抵当権市場 向商品が生み出されたことにある。この二次抵当権市場は,権原の潜在的瑕 疵に対して,権原保障の伝統的様式であった個人的で地方化された特異性あ る法律家の権原意見に対して,全国的に統一性のある様式で,財務的責任を 負う会社による担保を選好している。貸し手保険証券は,全ての貸し手によ って求められるから,二次的貸し手は,貸し手権原保険によって担保されな い抵当権を購入しないであろうから,合衆国市場を導いているのである。特 定取引に対しては,所有者が望むならば,所有者担保(ownerʼs coverage) が,追加的保険料の支払いをもって付加できる。所有者および抵当権者は,
両保険証券について支払うが,もし所有者証券が発行されないとすれば担保 は無い。権原保険は,制度が証書システムであろうが真の権原登記制度であ ろうが,いずれにしても,二次抵当権市場において貸し手が担保貸付を売却 したいと思うのであるから,貸し手によって求められるのである。二次抵当 権市場がなくて,相応の権原制度を想定すれば,権原保険に対する需要はほ とんど無いのである 。
Ⅳ.米国権原保険を巡る現状と問題点
既述の通り,米国権原保険の基本的構造は,古い資料を見てもそれほどの 25) Justin T. Holl, Jr.,ibid.,pp.5‑6.
変化は指摘されない。その特徴は,不動産の権原に瑕疵ある場合の損害を保 険証券発行前の瑕疵に関するものについて責任を負うとするところである。
それは,リスクに関して保険証券発行前のものを対象とする遡及担保性を大 きな特徴としており,さらに,保険料の支払いも1回限りとされ,権原に変 動が生じない限り,保険期間が無期限とされる特徴が指摘できるのである。
しかし,そのような保険の意義は,情報化が進む今日,リスク事情の不透明 性を低減させていることは明らかであり,徐々に担保需要を減じていると考 えられる。また,広域的経済同質性のエネルギーが作用するグローバル環境 にあっては,地域的特殊事情に根差すリスク事情は,保険の合理的設計に有 利に作用しそうではない。権原保険は,不動産をめぐる多様な問題について 大いに役立てられてきたが,社会経済の環境変化に見舞われて相応の変革が 求められていると考えられる。
1)近年における米国権原保険の実績状況
古くは,権原調査(title search)や保証証書(warranty deeds)が権原 の有効性を確かめるために役立てられてきたが,1980年代から1990年代の初 期には,権原保険が最も確かな権原保護方式として広く認識されるようにな っていたとされる。1990年代は,権原保険業界の多難な時代であり,1991年 は,その最悪の年であり,営業損失が1億9,000万ドルを超えていたとされ る。1992年には,権原保険需要が増大し,事業は安定し,多くの会社が営業 利益を報告できたという。しかし,1994‑1995年は,高利率によって,業界 は財務的圧迫を受け,Chicago Title and Trust Co.やLawyers Title Insur- ance Co.など大会社が人員削減や減給を行って対応しようとしていたとい う。この利益下降の圧迫に対して,権原保険会社は,自動化,従業員解雇,
サービス改善,また,小規模会社の合併・買収を通じてサービス分野や地域 を増やし,効率性を高めようとした。さらに,多くの会社は,法律事務所や 銀行のために,貸付業務や評価など,新しい不動産業務を提供することで,
抵当流れ(foreclosure)に仕事を見つけたりしていた。権原保険業界は,
1990年代の終わりまでには,深刻な財務的困難を乗り切っていたが,1986‑
1999年の間に,合衆国で権原保険を提供する会社の数は85社から70社に減り,
市場は幾つかの大会社に支配されるようになっていた。この時期に,多くの 権原会社が倒産し,合併されているのである 。
主要都市を除き,権原記録の収集に取り組む郡政府は,Chicago Title社 によれば,まだ100年前のように記録を維持していたという。権原保険会社 は,その土地に何か地役権(easement),先取特権(lien),あるいは不動産 上の負担(encumbrance)があるか,前所有者を追跡調査しなければならな いのである。ほとんどの郡について,コンピュータ化されたデータベースに 限られた量の情報しかなく,この情報は,普通,売り手と買い手のどちらか で,一つの方法だけで索引化されて維持されている。財産記録がめったに法 的記述,住所,あるいは証書によって索引化されていることはないから,権 原保険を引き受けるための調査は面倒なのである。2000年の前半,権原業界 は,歴史的低利率によって繁栄し,借り換え抵当貸付が増大している。しか し,2004‑2005年の間,連邦準備制度理事会が利率を徐々に引き上げ始め,
権原業界は,2006年に10億ドルの正味所得を報告し,正味権原保険料は166 億ドルに上っている。事業は健全なままであったが,2004‑2006年に扱った 権原の増大した数は,結局は,脆弱な不動産市場のために,多くの損害請求 に繫がると思われた。権原保険の保険金請求は,経済停滞の前触れとなるこ とがあるのである。2007年の中頃に,記録的水準の住宅抵当流れがあり,最 上位権原保険会社の幾つかが,株価の二桁の損害,所得の大幅な下落,そし て多くの労働者の解雇という事態を経験している。The Wall Street Jour- nal誌によれば,最大の権原保険会社であるFirst American社は,2006年 第Ⅲ四半期に2,550万ドルの正味所得を上げてから,2007年には第Ⅲ四半期 26) “Title Insurance”(http://business.highbeam.com/industry-report/
finance/title-insurance/); Randy E. Dumm, David A. M acpherson and G. Stacy Sirmans, “The Title Insurance Industry: Examining a Decade of Growth,”National Association of Insurance Commissioners, 2007, pp.30‑45.
に6,600万ドルの損失を報じていたのである 。
尤も,権原保険業界大手のLand America Financial Groupの破産が報 じられ ,2008年金融危機の影響を大きく受けている権原業界の利率水準や 雇用水準の動向に依存する体質が改めて明らかにされている。それは権原保 険事業内容が,抵当権設定動向と高い相関性があるからである。情報化と経 済展開広域性の潮流にあって,ますます不動産金融面での環境動向に左右さ れることになる。Fitch Ratingによれば,2011年の権原保険業界は,負の 見通しにあるという。抵当貸付銀行協会(Mortgage Bankers Association) は,抵当権設定は2011年には1兆ドルへ減少するであろうし,買付業務は 6,410億ドル辺りに落ち着くであろうと予測している 。また,権原保険に 関する最近の市場占有率分析では,引き続く景気後退と住宅価格のさらなる 下降圧力が権原保険料収入の大幅な落ち込みに反映されるところとなってい るのである 。
2)米国権原保険の改革問題
不動産権原に関するリスクを保険で処理するという状況は,土地に対する 管理体制が早くから整っている社会では,それほど深刻なリスクとして捉え られないであろう。そのリスクは個人的問題を超えた社会的問題というべき であろう。それゆえに,権原保険問題は,建国の歴史が浅く,封建制を経て いない,戦いと開拓で土地の権利関係が具体化されてきた米国特有のリスク 問題と言えそうである。権原を巡る同様な問題は,世界中随所に見られるも のであるが,情報化とグローバル化が進展する今日,権原保険が扱おうとし
27) “Title Insurance,”ibid.; Randy E. Dumm,et al., op.cit.,pp.30‑45.
28) Thomson Reuters,27, Nov.2008.
29) Joy Leopold, “Fitch Gives United States Title Insurance a Negative Outlook for2011,”(http://www.dsnews.com/ articles/fitch-ratings-united-
states-title-insurance-negative-outlook-for-2011‑2010‑12‑23)
30) Brian Collins, “Title Insurance Premiums Fell in 2Q,”American Banker,No.175,2010.
てきた情報ギャップに纏わるリスク問題は,しだいに主要ではなくなり,複 雑な投資関係の解明と維持管理を課題とするものへと発展していると言えそ うである。
権原保険が普及してきた米国においても,Iowa州で採用される権原保証 制度は,その非能率性,非競争性等,種々の問題が指摘されてはいるが,あ る種社会的リスクへの対応として公保険の色彩を有するIowa権原保証制度 は,特異である。
権原保険会社の実績状況と業界編成状況は,この業界が扱うリスク事情を 反映していると言える。Iowa州の権原保証制度(Iowa Title Guaranty) は,州が運営する権原保険の代替制度である。Iowa州は,1947年のSioux
City権原保険会社の倒産によって,住宅所有者が無価値となった保険証券
を持たされたまま放置されていたことから,Iowa最高裁判所法廷は,州議 会の判断を支持し,権原保険の販売を禁止する判決を下したのである。
Chicago権原会社は,前5年に亘って,保険証券上の支払いは一銭もなく,
370,000ドルの権原保険料を徴収しており,ロスレシオが0%の保険を提供 していたというのである 。
Iowaの司法長官は,Iowa法は州境を横切ることはできないとし,州際権 原保険代理店はその商品をIowa内へ販売することができるということを明 らかにした。権原保証は,権原保険と同じALTA様式と型通りの免責条項 を使って,十分に二次市場で受け入れられている。権原保証部(TGD)は,
保障状(protection letter)に相当するものを導入して,その証書発行の隔 たりを埋めている。権原保険陳情団によって委託された研究によれば,Iowa の権原保険証券220,000通のうち約10%が2003年にIowa州外で発行された ものであった。このことは,州際取引の漏れを生じ,権原保証部に競争上の 圧迫を及ぼしており,業界参入者の増大,価格の下落,そして顧客サービス の改善として表れている。保証料価格は1,000ドル当たり1ドルから均一料
31) “M arket Intelligence for the Title Insurance Industry,”The Title Report,February20,2006, p.1.
率の110ドルに引き下げられ,最終的に権原要約者がTGDのために権原保 証書を発行するとされている。TGD理事として2年になるOgle氏は,権 原保証書のほとんどは,ここDes Moinesの事務所から発行され,ほとんど の保証証書が権原保険業界の代理店によって発行されるとし,我々は,弁護 士⎜やがては権原要約者⎜に対して,この分野での証書作成や提出について 報酬を支払うので,我々が事務所でそのような負担を負うことはないと述べ ている。また,本年 (2006年) 第Ⅱ四半期には,ILTA(Iowa Land Title Association)は,会員が最終的な権原保証書を発行することで収入が得ら
れるであろうとし,同理事長のJohn Eisenman氏は, このことは,会員 達に弁護士に加わるのと同様な機会を提供することになる画期的な変化であ る 。 と述べている。
さらに,Iowaの権原保証制度は,担保110ドルに権原要約者と弁護士に 対する各200ドルを加えて,500,000ドルの標準購入取引額について,500ド ル程度を得ている。これに対して,全国の権原保険の平均は,500,000ドル の住宅について,約1,100ドルを超える額を収受しているとされる。この比 較は,目に見えない付随サービス・効果を考慮すれば適切ではないかもしれ ないが,民間の州際代替制度を退けるTGDの成功は,消費者による代替手 段に対する価値評価尺度としても役立つといえる 。州政府の主導による権 原保証制度に対して民間の権原保険が対峙する状況は,権原リスクが特殊的 リスクとして考察されるべきなのか,社会的リスクとして検討されるべきな のか,社会環境の目まぐるしい変化に振り回される問題でもあると言えるか もしれない。
全米で唯一,権原保険を禁止しているIowa州では,この禁止を解く運動 が執拗に繰り広げられてきたが,その民間権原保険の必要性を訴える見解が 指摘する要点には,①権原問題からの保護の必要性は,元の貸し手よりも二 次的な投資家にとってより重要である,②権原施設(title plant)の整備と
32) Ibid.,p.3.
33) Ibid.,p.3.
維持は,記録がデジタル化されるにつれて徐々に費用効率が高くなる,③権 原保険業界の将来は,不動産金融業界の能率性を高め費用を減じる必要性と 直接に結びつく,④権原保険業界は,抵当貸付処理を必須とする方向へと静 かに発展している,といった点がある 。まさに,情報化の進展による経済 性の開拓局面がどのように権原保険事業に変革を迫るのかということである。
Ⅴ.終わりに
米国権原保険を取り巻く社会経済状況は大きく変化してきている。不確実 性に対応する絶妙の視点として,訴求保険の意義は,早くから大きく評価認 識されて来た。海上保険の lost or not lost clauseは,その典型である が,保険の特殊構造において,保険に付随する繊細な機能が社会に大きく役 立てられてきたところといえる。情報化社会の進展が驚くほどに速やかであ る今日,情報ギャップに生み出されるリスク市場の形成は,情報の非対称性 を見抜くほどの情報化によって,早晩,市場の失敗に導かれるという問題を 抱えている。
権原保険が置かれる近年の状況は,まさに権原リスクの保険可能性がリス ク情報の開示適切性にも大きく関わってくる方向性を想起させる。Joseph W.Eaton and David J.Eatonは,権原保険の必要性を十分に評価しな
がらも,現状に暴き出される不合理性・不公正性に関する問題状況の重大性 を指摘している。そこには,損害率等,保険技術的公平性のみならず,不動 産取引に纏わる社会的観点をも検討させる要素がある 。
情報化,グローバル化を通した市場経済の潮流は,ますますと財務収斂的 に展開されてきているが,権原保険が遭遇している問題は,まさに情報化と グローバル化の過程を通じて,社会的リスクへの合理的対応と特殊的財務リ 34) Bill M oody, “A Timeline for Title Insurance,”Mortgage Banking,
August2005, pp.57‑62.
35) Joseph W. Eaton and David J. Eaton,The American Title Insurance Insurance Industry⎜How a Cartel Fleeces the American Consumer ⎜,
“New York University Press,2007.
スクへの効率的関係に如何なる調整を施しうるのか,権原保険の展開に注目 すべき要素がある。
Iowa州の権原保証会社の例は,民間権原保険を禁止して運営されるもの であり,なお賛否両論を伴い,多くの論議が展開されそうである。2008年金 融危機等,経済的不安定性が取り巻く業界の状況は,如何なる改革案を妥当 とするのか,当面のところIowa権原保証制度を巡る論議の展開に注目され る。権原保険業界は,当初の権原連鎖(Title Chain)の不明瞭性に根差す リスクから,抵当市場の担保設定関係に多くの業務を割いてきている。まさ に,今後の情報化とグローバル化の進展は,権原保険事業の展開に大きく影 響を及ぼす要素ということができる。
(筆者は岡山商科大学経営学部教授)