博物館学と女性の観点からみた韓国文化の展示
著者 李 仁淑
雑誌名 国立民族学博物館調査報告
巻 14
ページ 74‑81
発行年 2000‑07‑24
URL http://doi.org/10.15021/00002224
博物館学と女性の観点からみた韓国文化の展示
李仁淑(京畿道博物館)
1
筆者は、博物館的観点から、そして女性の観点からみた韓国文化の展示に対して見 解を述べることになっているが、みなさまからすでに多くの話が出てきたので、簡単 に展示会観覧の感想を話そうと思う。大げさな論議よりは、ただいくつかの部分的な
ことについて指摘したい。
博物館学的な観点から単純な「もの」の羅列ではなく、概念にそった展示、多くの
「もの」が語ってくるような意味がある流れで通す一contextが通じる一ことがどれほ ど難しいかを今更ながらに感じる。実務にあたるものの立場から今回の展示をみると、
その間、担当者がどれほど大変で、多くの努力を傾けたのかが実感される。展示室の
構造や位置に対して、とくに限られた空間にはじまる悩みが多かったと思われる。
今回、民博における韓国文化の展示は、相当な研究結果と悩みを経てつくりだされ
た展示といった感じを受け、その間の苦労に対して敬意を表する。ここに参加して、
この場所で意見を述べることができることに感謝し、うれしさを感じる。
H
1).全体的に展示を通して、現在、または「現代韓国人の日常」をうかがわせるうえ
では、少し不十分ではないだろうかと考える。日本ともっとも近い韓国について、普 遍的な韓国人の生きている姿「生」をみせるうえで、どれほど忠実なのかについて質 問してみたい。いいかえれば、とても専門家的な立場から韓国人を眺めてみた展示で はないかと疑ってみたい。韓国に対して全く常識がなく、一般人を対象とし、アマチュアにも簡単に理解され、記憶に残る展示をしなければならない。
展示室だけをみれば、韓国人のもっとも日常的な生活に対する展示が不十分であり、
儀礼生活が日常の風習として誤解される下地さえあると思われる。もちろん、現代の 地球的で、普遍的な生き方「生」のなかで、韓国だけに特徴的なものを選り分けて展
示するということは、どれほど難しいかを実感できる。
2).展示室内に、祭祀膳がすべて3ヶ所に分けられていることは、全体的に限りがあ
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白話淑(京畿道博物館)
1.
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II.
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る空間を考えるとき、とても強調され、比重が大きすぎて、結果的に普遍的・典型的
な韓国人の日常と全体的な生き方「生」に対する説明を見落とす可能性もあると思われた。
3).これから替える部分というが、海外コリアンの文化と植民地文化の代わりに設置 された現代工芸、スポーツ文化、キリスト教文化は多少興味を引くものではあるが、
左側壁面のほとんど半分を占めており、とても多くの空間を割き、反復する多くの展 示物で強調されている。これらが現代都市と田舎の韓国人の生き方「生」に、果たし てどれくらい代表性があるのか疑われる。現在、韓国の代表的大衆文化の伝達におい
て、これらの要素の選定だけでは十分でないと考える。
4).衣食住の展示において、韓国人の日常的な衣生活でもっとも基本になる韓服の要
素がまず必須として提示された後、特殊な用途のものが設置されたならばよかっただろう。 (たとえば若州のチマ、チョゴリ、パジ〈ズボン〉、マゴジャ〈上着〉、ポソン〈
足袋〉、コジェンイ〈下着〉など.…)。外国とは異なる伝統韓服など、日常的な服飾の
例示がなく儀礼用だけをみせたことは、むしろ混同を招くかもしれない。日常生活に対する理解が先行された後、儀式生活を理解することが順序であるためである。
5).上記のような脈絡からも、住居生活でも基本となる韓国家屋の構造がどのような
形態であれまず示され、閉幕が設営されたとしたら、もう少し見る側の理解に役立ったであろう。
6).さまざまなものをすべて展示し、みせるためには十分でない展示空間を解消させ
るためには、韓国の凧や大門、家屋構造などの模型や絵を利用し(隣にある中央アジアや中国の展示のように)、天井や大型壁面で処理したならよかったであろう。
7).全体的にKorean genderに対するアプローチがほとんど欠如している。比較論的
な観点から韓国だけの女性文化にすぎない特性とその属性をエッチングしてみせればよかっただろう(たとえば、男女七才不同席、凹石、教育熱、チマパラム〈スカート の風〉など_)。
社会性がある主題を可視的に表現するのは難しい点であるが、とくに儒教文化にお
ける女性の居場所と位置、そしてまた現在変化している女性の位相などを表現できな いだろうか。
アンパン(内室)にいる老婦人が生活する姿や酒幕における酒母の役割などを提示
してくれたなら、いい比較になったであろう(婦人がいない母屋暮らしや酒母がいな
い下等は韓国人の生き方「生」から想像しにくいものである)。
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8).酒幕のオンドルに油紙が貼られたうえで、ヒーティングになっていればよかった
ように思われる。オンドルの部屋を掃いて拭く主婦のつつましい仕事に手で触れ、焚 き口に近いオンドルの暖かさをして自ら感じられるようにしたなら、錦上に花を添えていただろう。
9).細かい点では、檀君像の下にある縛を展示した意味がはっきりしなかった。
10).土を盛り上げた祖先の墓と墓の手入れ、全国民が名節になればすべて参加する墓
参り風俗など、ほかの国にはみられない韓国だけの固有の風習などが必ず展示されなければならないと考える。
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結論的に基層文化、庶民文化にだけ偏りすぎたようで、一般生活よりは儀礼に重点 が置かれているようである。欲をいえば、この展示をみて、韓国を訪問した人がソウ ル見物しながら、さまざまな階層の韓国人と出会い、感じるような印象と理解を実際 に受けることができるよう、展示が普遍的ながらもリアルで一貫性をもたせてつくら
なければならないと考える。
今回の展示が、もっとも日常的であり、典型的で大多数をしめる韓国人の生活して いる姿「生」をみせるうえで、どれほど適合しているのかをもう一度みてみることを
望む。
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III.
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古京秀先生の発表 司会:島村恭則先生
李仁淑先生の発表 司会:徐栄辰先生
孟仁在先生
左から 崔鍾浩先生、 鄭勝護先生、鄭鍾秀先生、全:京秀先生