奈良教育大学学術リポジトリNEAR
各種ホルモン剤が西瓜の着果に及ぼす影響(予報)
著者 中田 恭二
雑誌名 奈良学芸大学紀要
巻 4
号 2
ページ 87‑90
発行年 1954‑12‑25
その他のタイトル Effects of Various Kinds of Hormones on Setting of the Watermelon
URL http://hdl.handle.net/10105/5060
各種ホルモン剤が西瓜の着果に 及ぼす影響(予報)*
中 田 恭 二 (付属農場)
Ky6jiNAKA・rA:Elfects or LLriollS Kinds of HorIll0nPS
On Stltting or tllP1恥terlllelon
I.緒 言
果菜栽培の能率向上のためには、着果数の増加と一一栗軍の増大が望まれ、その方等がいろいろ 問題となるが、殊に着果数の増加は根本的なことがらであり、トマトに対するトマトトーン、
24−−D等、叉その他の果実に対するフルートン等の使用が落巣防止と肥大並に成勲の促進等に好 結果をもたらすとの報告が多く、すでに実用化されているが、西瓜に対するかかる試験は末だ無 レ、ようである。
西瓜は果菜の内でも雌花数に対する着果数の少いものの一つで、両も完全な授粉操作が行わ れ、且つ立派な子房の肥大した雌花でも確実な結果を想定することは困難である。即ち神田氏に
よると見込のある雌花は一株に20〜50は開花するが、之等を人工交配しても全期間を通じると良 好な場合でも平均の着果率は15%拉(交配期により0−70%位の差はあるが)であると云う。安 藤氏によると一株当り平均雌花開花数27、内着果数6、着果率22%となって居り、藤井氏は之に 対し実際の場合10−20%の着果率と見ている。
而して着果数の多少は作物の栄養状態、環境条件等によって支配され、従って−栽培期間内に おいても時期的変動があり、一定の波をもって変化している。これはCllllllillgham氏の認める
ところであり、株上の結果がこの周期の主な原因であるとしている。
而して着果歩合の様相は植物体内の複雅な状態に礎周するものの懐で詳細は明らかでない。然 し乍ら妙くとも永年に亘る試験結果より授粉礁明を人工的に行った場合は、他の外的条件に支配 されると認められるものはない。
即ち進歩した生理的刺戟乃至操作によって着果率を高めると云う着想と、之に対する研究を進 めることは喪薯上意養あるものと信じ木実験を行った。
木実験はオルモン剤を撒布することにより西瓜の看取率の向上と増収を企図L、之が可否を験 知せんとする基礎的な実験で、掛こその成績を報告する次第である。
本実験を進めるに当り神田育種螢場長神田武氏に種々御指導を賜った。衷心より謝意を表す る。
廿.実験材料と方法 1.併試圃場。本学付属八木農場畑(旧水田)西瓜には処女地 2.供試晶棲。新旭(奈良県種苗農場採種)
3.播種期及び播種法。1鮮明三4月4日 箱時を行い、4月15〜17円に芽出播と称して、種子が 発芽して子葉展開前に予め準備の整った本畑に植込んだ。
4.栽培法。奈良県の憤準栽培法に塞いた。
*昭和29年10月7日 園芸学会秋季大全に於て発裏
奈良学芸大学紀要 第4雀第2号 昭和29年12月20日
(88) 中 田 恭
う.供試ナルモン剤濃度及び試験区。
A区 トマトトーン 50倍水溶液 B区 フルートン 1100倍水溶液 C区 24−−D 20万倍水溶液 D区 蒸潮水
E区 標準
以上5区を設け、一区は畦巾G尺、株間代尺、面積8坪の二区制とし、一区各々川株宛供試し た。
巧.処埋方法。
1)溶液を小型香水吹で花冠全体に均一一一に撒布し、細零の付着する程度とした。
註;この際柱頭、花弁、子房、花櫨にかかるように5寸位の距離から撒布した。
2)撒布は午前8−9時の問に行った。而して当日開花の雌花全部につき処理するも、併読雌 花として不適当と思われる疇型花弱小花は除外した。
3)晴雨にかかわらす実施し、雨天の場合は「止み問」を見て行うか「止み問」の無い時は間 中笠の下で撒布して硫酸紙の袋をかけ、雨に涜されるのを防いだ。
4)処理した花には確実にその着花節乃すぐ党の節に標識ラベルをつけ、ラベルは試験区別の 通し番号とした。
5)7月4日より処埋を開始、以後連口実施し、各区共雌花300ケ(最終日7月25口)で処理 を打切った。
∬.実 験 成 績
1.西瓜の生育状況。西瓜栽培にとって本年は近年に於てその例を見ない不順な天候匿見舞わ れ、本県の特産である大和西瓜は殆んど大被害を蒙った。
即ち栽培初期からの気象状況をみるに、播種当時から4月中の最低気塩が低く、−10−00が 9日、lO〜40が13日、50−150が8日となっている。その為発芽に長時日を要し、木実験に供す るものも11〜13日目に発芽し、従って幼苗期の生育も著しく阻害された。
その後悔雨期はやむを得ないとしても、7月初めより20日頃造(オルモン処理期間中)即ち着 花授粉の最盛期に降雨多く、着果数の減少を余儀なくされ、特に7月18日の大雨で到る処水害を 受け、本県の西瓜の大半は全滅の憂日を見た。又浸水の軽度の処でも炭痘病その他の病害発生多
く、収穫皆無となったものが多い。
本試験圃場に於ては幸い浸水を免れたのであるが、既に8月初旬より Pal・Zaね,Di旺anpを大 体5[「−7日毎に撒布し、殊に7月の連日の降雨の際は少時の「止み間」を見て Dithalleを:撒 布し、病害予防に努めた。佃かかる気泉状態であった為、6月中旬頃より西瓜の生育をなるべく 抑制するように管理した賠巣、一応栽培に成功した。
2.オルモン処理の影響。7月30日及び8月4日の両日に着果数の調査をした。その結果は第1 表に示す通りである。
則ち仝処理期間を通じ、オルモン処理区が蒸潜水撒布区及び模準区の着果率25%に比し37.7%
〜40%の高率を示し、オルモン処理の顕著な効果が認められる。就中連日降雨にして昆虫に依る
授粉媒助の不充分と認められる7月17〜21日の5日間に於ける平均着巣率は、概準区7耳%に対
第1表 ホケモン剤の撒布が西瓜の着果率に及ぼす影響
L処:埋区はトマトトーン区で1(3.5%、フルートン区で1リ.7%、24−−D区で194%を示し、かかる 条件下に於けるオルモン処理は更に有意義であると思惟される。
次に収量に成て調査した結果は第2曇の如く、榎準区100としてオルモン処理区は15トー160の 収個数と、130〜140の収重量の増加率を示し、之は反当換算にして個数で約710へ810個、重量で 約400−530貫の増収を示している。
第2実 弟 巣 率 並 に 収 量
(90) 中 田 恭
第3表 未処理巣を 含めた総
果