奈良教育大学学術リポジトリNEAR
生活時間構造からみた既婚看護婦の家庭経営
著者 藤田 祥子
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 35
号 1
ページ 183‑200
発行年 1986‑11‑25
その他のタイトル Home Management of Married Nurses from the View Point of Life Time Structure
URL http://hdl.handle.net/10105/2141
生活時間構造からみた既婚看護婦の家庭経営
藤 田 祥 子 (奈艮教育大学家政学教室)
(昭和61年4月30日受理)
I は じ め に
近年、婦人就業率は年々増加し、とりわけ既婚女性のそれは大巾に上昇する傾向にある。 「婦 人労働自書」 (昭和59年)によると、夫のいる女性の内、農林業や自営業も含めて有職女性は、
50.3^と半数を超え、 "兼業主婦"主流の時代に入ったとされている。しかし、とくに増加の顕 著であるのは、いわゆるパートタイム労働者であり、フルタイム労働者のそれはすくない。その 背景には、安価な賃金で身分保障を要しない労働力を使うことにより、多くの利潤を得たいとす る雇用者側の経営意図があると同時に、就業を希望する女性自身の意識の問題も無視できない。
すなわち、働きたいが正規に雇用されると仕事と家庭生活との両立に困難が生ずるのではないか という不安があるのである。言い換えれば、既婚女性の就業は、たえず家庭生活の運営とのかね 合いの上で考慮されていると言えよう。従来、既婚女性の就業を円滑にする条件としては、 ①就 業形態・勤務時間などの労働条件、 ④保育所・学童保育などの厚生施設の条件、 ④本人の家庭管 理能力、 ④家族条件(家族構成、子どもの年齢、家族内協力度など)などがあげられている。こ れらの諸条件が相互にうまく組み合ってはじめて既婚女性の就業が可能になっている。
女性の就業の中でも、とくに就労上の困難の大きいと考えられている職業に、二交代制あるい は三交代制をしき夜勤を必要とする看護婦職がある。看護婦は、専門的・技術的職業として、女 性の伝統的職業の一つであるが、勤務形態が不規則なことやそれに伴って肉体的・精神的負担が 大きいなどのため、家庭生活との両立には多くの困難がつきまとう。しかし、就労に際してその ような困難のある看護婦職を選択した彼女らの65% (全国平均)は既婚者である。そこで本論文 では、既婚看護婦の家庭生活の実態をとくに生活時間構造の面から明らかにし、家庭経営上の問 題点や課題を把挺してゆきたい。
看護婦の現実生活の流れを各/1活行為の時間量や時間帯から把担するためには、日勤、準夜勤、
深夜勤の勤務形態および休日の組合せパターンを連続的にとらえることが必要である。しかし実 際には病院の事情等により親合せパターンは必ずしも規則正しいとは言えず、複雑な組合わせに なっており、一般に連続的把握が困難である。そのため従来の研究(1)では勤務日ごとの分析が中 心になっており、勤務の組合せパターンの中での連続的な把握はなされていない。確かに、勤務 サイクルの1パターンをとってもそれが反復化しないのが事実である。しかしながらその点を前 提にしても連続的把捉を試みることは、勤務日ごとに断片的にとらえる以上に生活の具体像を描
き出せるのではないだろうか。本稿では、パターン的にも量的にもすくないが、連続的な"疏 れ"として生活時間構造の量的(時間量・遂行率)、質的(時間帯)把握を試みる。
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I 調査方法および対象
調査は、奈良市内に所在するベット数200床以上の国公立病院およびそれに準ずる病院、計3 か所に勤務する看護婦のうち、既婚で夫と同居している者(夫が単身赴任等で離れている場合は 除いた)を対象とした。
調査方法は、各看護婦の自記式とし、各病院の看護部長・婦長にアンケート記入法を説明して 配布、回収方を依頼した。
調査時期は昭和59年6月下旬〜7月上旬である。配票回収状況は、表1に示す通りである。
表1 調 査 対 象
960 450 39 154 97 63
Ⅱ 調査結果および考察 1.調査対象の家族属性
調査対象の家族属性は、表2に示す通りで、まず対象者の年齢は、 30‑34歳が半数をしめ、つ いで35‑39歳が多く、平均年齢36.4歳となっている。また夫の年齢は、同じく30‑34歳が最も 多く、平均年齢38.8歳で、その職業は会社員や公務員が多く、全体の9割近くが給料生活者であ
る。
家族型は、核家族が66%、拡大家族が26%で、核家族世帯が主流をしめているものの、奈良市 の一般世帯構成においては核家族70%、拡大家族14%であることと比べると拡大家族の割合が高 くなっている(2)。家族人数は、 4人家族が半数近くをしめ、平均家族人数は3.9人(奈良市3.4人) である。子ども数は、 2人が最も多く、末子年齢をみると、 0‑3歳が37%、 6‑12歳が25%で、
比較的育児に手のかかる時期の子どものいる世帯が多い。
共働きによって家計にもたらされる年間収入合計は、 500‑600万円、 700万円以上、 600‑700 万円の順に多く、そのうちの約5割が、対象者の就労からもたらされている。
表2 調査対象の家族属性
家 族 型J 家族人数】子ども数l末子年齢l 年間総収入
表3 就 業 年 数 人(形) 1年未満 1‑5年 6‑10年 11‑15年 16‑20年1 21年以上 t 不 明l 計
13 (13) 29 (30) 16 (16) 17 (18) 20 (21) 97 (100)
就業年数は、表3に示す通り、 6‑10年の者が最も多く、以下、 21年以上、 16‑20年となって おり、平均就業年数は12.6年(S.D 6.4年)である。また勤続率は、 61%で過半数を超えている が、結婚後一時中断したことがあるとする者も比較的多く、妊娠や出産・育児をその主な理由と
してあげている。
2. MteKR・ttgKtt
生活時間構造を分析するに先立って、対象者達の働く各病院の勤務条件の概要および彼女らの 職業意識を明らかにしておきたい。
表4に示すように、 A・B病院は、終業時刻に15分の差があるが、日勤・準夜勤・探夜勤の三 交代制をしき、 C病院は日勤・夜勤の二交代制をとっており、いずれの病院も週当り合計勤務時
間はだいたい44時間である。この1ケ月の夜勤回数では(表5)、各病院とも8回とする者が最 も多く、看護婦が以前から要求している"ニッパチ勤務" (2人以上で月8回以内の夜勤)がかな り実現されていると言える。しかし10回以上の者も2割みられ、 3日に1度の夜勤は、家庭を持 つ者にとっては厳しい労働条件と言えよう。次に妊娠や出産・育児期の勤務上の配慮点について みると、各病院とも、出産後6‑8週間の休暇を認めており、 A・C病院は産前6週間の育児休 暇と、出産前後の夜勤免除制度を有している。しかしB病院では、考慮はするというもののそ
表4 勤 務 条 件 の 概 要
表5 月 平 均 夜 勤 回 数 人(%)
〜4回1 5 回i 6 回 F 7 回1 8 回I 9 回l l0回‑ 1 計
18 (19) 97 (100)
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藤 田 祥 子れらが制度化されていない。またA・B病院では1年間の育児休業制皮(無給だが身分保障) をもっており、ここは院内保育園も開設している。以上のように条件は各病院によって若干異な
っているが、相対的に出産前後および育児期の看護婦に対する配慮の姿勢がうかがえる。しかし ながら、妊娠初期や中期に夜勤があることや、院内保育園の年齢制限・時間制限のある点につい ては今後の改善課題ではないかと考える。さらに看護婦全体でみると、夜勤は"ニッパチ勤務"
が実現されつつあるが、それを上回る場合も多く、なお一層の改善の余地があると思われる。
次に、通勤時間(表6)についてみると、 10分〜30分以内とする者が最も多く、 10分以内も含 めると、およそ7割の者が30分圏内に居住しており、職住近接型をとる者が多い。この点は、昭 和45年の仙台市の調査結果(1)でも示されており、やはり夜勤のある就業では通勤距離の近いこと が必要条件となるのであろう。また通勤方法(表7)は、 4割の者が自分で卓を運転しており、
一般女性有職者の利用実態 m%)と比較すると高率である。これは、マイカー通勤が、不規 則な勤務形態には最適なものとして選択されたためと思われるが、ただ、準夜勤・探夜勤明けの 疲労が運転にとっては問題であり、その点の注意が必要であろう。
次に、彼女らが選んだ看護婦という職業の目的意識についてみると(表8)、 ④家計の補助,
⑥老後生活の安定、 ⑤小遣い、 ①家計を支える、等の経済的理由と、 ⑪家に閉じ込もりたくない、
⑧知識や技能の発揮、等の精神的理由があげられている。全体的にみるならば、経済的理由を選 択する傾向が高く、看護婦の専門性・社会性以上に、生活からの緊急度があるものと思われる。
前出の仙台市での調査結果では、家族周期の段階が、学校教育後期の子どもをもつ場合およびそ れに続く子どもの独立期に経済的理由で働く者が多くなることが指摘されていたが、本調査では その点は示されなかった。おそらく家族周期の段階に関わらず、生活の緊急度や生活要求が高ま
表6 通 勤 時 間 人(%) 10 分以 内10‑30分以内 30‑60分以内1 1時間以上】 計
23 (24) 44 (45) 23 (24) 7 (7) 97 (100)
表7 通 勤 方 法 人(%)
徒 歩J昌 去バ孟巨ヾス・電車l盃に車で送憎富で車をi不 中 計
23 (24) 24 (25) 38 (39) 97 (100)
表8 職 業 目 的 意 識(多答式) 人(形)
3 (3)
ってきて、経済的理由が優先しがちになってきていると考えられる。
今後の職業継続意思では、積極的な継続意思をもつ者は半数で、残り3割の者は退職希望を表 明し、 2割は消極的な継続意思しかもっていないことが明らかである。これら職業継続意思の希 薄な人達は、本人の年齢が比較的高いグループと末子年齢の低いグループに多くみられた。前者 は対象者自身の年齢からくる疲労等が、後者は育児との両立の困難さが考えられ、看護婦職の厳 しさを感じさせる。
3.家事分担・家事に関する生活意識
各個人の生活時間構造のあり様は、家庭内での家事分担状況や、それに関わる生活意識の具体 像とみなすことができる。そこで次に生活時間構造に密接に関連すると思われる家事分担の状況 や家事に関する生活意識についてみておきたい。家事分担の状況は、図1に示すように全般的に みれば、どの家事内容も看護婦本人の遂行率が高く、勤務日別にみると、休日>日勤>探夜勤>
準夜勤の順になる。しかし、家事内容や勤務日によって若干違いがある。食事の準備に関しては、
夜勤、とくに準夜勤の時に夫およびその他の家族員の分担率が高くなり、その中でも母(姑)の 貢献度が大きい。これは準夜勤が夕方4時からの勤務であり、ちょうど夕食準備時にかかるため であろう。探夜勤の時には翌日の朝食がかかってくるが、これは看護婦本人が前日のうちに作っ て出勤する場合が多いと思われる。一方、洗濯や掃除は、前述の項目とは逆に準夜勤の日は休日 に次いで本人の遂行率が高く、探夜勤や日勤時に家族の分担率が高まっている。これは、準夜勤 の時には出勤前に本人がこれらの家事を行うためと考えられる。また買物は、勤務日による分担 の違いは少なく、看護婦本人の遂行率が高い。おそらく勤務にあわせて出勤前や帰宅途中にやり
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(注)二交代制の場合の夜勤は、準夜勤と深夜勤に含めた。
図1勤 務 日 別 家 事 分 担
188
藤 田 祥 子こなされているものと思われる。
以上のように、家族内での家事分担は、炊事面では準夜勤の時に、洗濯や掃除では深夜勤・日 勤の時に比較的多くみられる。しかしいずれの勤務日でも、やはり看護婦本人の遂行率が高く、
休日には、それがきわめて高くなり、家族内分担は著しく低い。結局、勤務形態にあわせた家事 運営が看護婦本人によって行われていると考えられ、家族内分担が広く定着しているというより
もむしろ必要にせまられて協力しているという状況がうかんでくるのである。
次に対象者の家事意識を炊事、洗濯、掃除の面から把握してみよう0
炊事に関しては、どのような点を考慮して毎日の献立を立てているかをみたところ(表9)、
①家族の好み、 ⑨季節の味覚、 ⑥材料の工夫、 ⑦栄養のバランス・食品の安全性、 ④品数の多さ などが上位にあげられており、忙しい中にも食生活に気を配り、家族が喜ぶ食事を作ろうとする 意識がうかがえる。また、 ④家族の誰もが準備できるものを選択する者も2割近くいる。これは、
無職の主婦紬や女子教員(5)の調査結果に比べると選択率がきわめて高い。やはり準夜勤や探夜勤 の勤務日には家族の炊事分担を前提に献立が考慮されているものと思われる。そこで市販の惣菜 や外食・店屋物などがどの程度利用されているかをみたが、いずれも利用率は低く、前記の無職 主婦の場合の方が利用率が高いぐらいであった。この点からも食事を重視し家族へ気配りをして いる事が感じられる。
次に洗濯や掃除に関する意識をみると、洗濯では(歳lo)、ためないことと朝夜かまわずに時 間がある時にすることの2項目が、また掃除では(表11)、短時間ですますことと使用頻度の高 い部屋をすることがそれぞれあげられており、洗濯や掃除に関しては勤務形態にあわせて、能率 的かつ合理的にやりこなそうとする意識がうかがえる。
表9 炊事に関する意識(多答式) 人(%)
・・亨族の好みに合わl2・軍曹誓誰もが準備I3・苦節の味覚を入れl4・料理数を多く
60 (62) 15 (16) 49 (51)
5.食費を安価に
40 (41) 26 (27)
6・材料の工夫l7・票完バランス' 8.見た目のおいしさ
49 (51) 43 (44) 34 (35)
9・蕩片付けのらくな10.悪学の持ち味を生
ヽ ー
l HH
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1 1 I
表10 洗た く に関する意識 人(%) ためずにする巨宰相る恒時間でするl
46 (47)
l^Kl闇
でもする その他l不 中 計
30 (31) 97 (100)
表11掃除 に 関 す る 意 識 人(%)
・・、無に十;3一‥!:t‑::> 'V.サ¥TIMjてナ蝣。 l.'i雷.i!'}>・.> し・他:pこ r!∫J
14 (14) 29 (30) 10 (10) 25 (26)
計
以上明らかにした家事に関する分担状況および生活意識が、生活時間構造の中でどのように具 体化されているかについて、次節で詳細にみていこう。
4.生活時間構造
生活時間構造を分析するための生活時間調査に関しては、 1日24時間の生活行為を15分刻みの 帯状の記録表に4日間連続して記入してもらうことにした。同時行動に関しては、全ての行動を 記入した上でその主なる行動を明記してもらっている。この調査は、前節までの調査項目に比 べるとかなり煩雑であったため、 4日間連続記入の有効数は、三交代制78部(A・B病院)の内 29部、二交代制19部(C病院)の内10部であった。勤務パターンで分類すると、三交代制では、
(a)探夜勤‑日勤‑準夜勤‑休日のパターン15部、 (b)探夜勤‑休日‑日勤‑準夜勤のパターン4部 で、その他は日勤‑日勤‑探夜勤‑休日や休日‑準夜勤‑日勤‑準夜勤など数種の勤務パターン が1‑2部ずつであり、二交代制では(C)日勤‑夜勤‑休日のパターン5部でその他数種のパター ンであった。
そこで本節では、看護婦の勤務形態として一般に多くとられている日勤、準夜勤および探夜勤 の三交代制の場合に限定し、その中で全ての勤務形態を含み、かつ事例の多い(aレヾターンを中心 に検討し、比較の意味で量的にはすくないが(b)パターンも取り上げ、共通点あるいは相違点を通 して生活時間における傾向や問題点をうきぼりにしていきたい。分析考察の対象とした生活時間 は、睡眠時問と家事労働時間のうち夕食準備、洗濯、掃除、買物の各時間、および自由時間であ る。なお両パターンに含まれる対象者の概要は、表12に示す通りである。
表12 両パターンの対象者の概要
葺謡末子l葺宗就業
・.‑'I‑1 ・た'; *r 什 1' '‑' 'し 家 Vì、 7!
甘二'A.忠'‑土歳 午
(1) (a)パターン〔深夜勤‑日勤‑準夜勤‑休日〕の場合
表13は、それぞれの勤務日の各生活行為の時間量および遂行率を、また図2はその時間帯を表 わしたものである。これらを各生活行為の時間ごとに分析していく。
① 睡眠時間
睡眠時間は、一日目の探夜勤の場合に最も短く、その時間量の8割は探夜勤明けの仮眠によっ ており、仮眠率は9割を越える。仮眠がとられている時間帯は、帰宅直後の午前10時から午後7 時まで広範囲に分布しており、ピークは午後1時半〜3時である。 2日目の日勤および3日目の 準夜勤では、平均睡眠時問は7時間強ではぼ類似している。ただ準夜勤の日には勤務に備えて半 数近くの者が、午前10時前後あるいは午後1時半前後に1時間30分程度の仮眠をとっている。第 4日目は休日であるが、前日が準夜勤であったため就寝が午前2時前後となり、休日の割には隆 眠時間が短い。ただ前日までの勤務日に比べると起床時刻がやや遅くなっている。しかしながら 看護婦の場合には本人の休日が他の家族員の休日と重なるとは限らず、結局、家族員の通勤や通 学にあわせて起床する者が多く、一般共働き家庭の休日とは様相を異にしている。また休日に仮
表13 パタ ー ンの生活行為別時間量・遂行率
首肯 盲甘塑旦聖二と(1)深 夜 勤十(2,日 勤十(3)準 夜 勤圭(4)休 日
睡 眠 時 間(仮眠率) 時間.分 (%)
4:36 (3:43, 93)
時間.分 (%)
7:00( 0, 0)
時間.分 (%)
7:20 (1:26, 53)
時間.分 (形)
6:52 (2:10, 20)
自 由 時 間(遂行率)
2: 28 (100) 1: 42 (100) 1:45 ( 67)
? 12 15 18 2.1 24 12 15 IB 2.1 24 9 12 15 1」 2.1 9 12 15 ■!
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自由時間 J ¥
IⅢ11‑L, M L i帖冊 Trf1,刷 (荏) 15分刻みの記録表を30分単位にまとめ、その時間帯における各生活行為別の人数をとり、対象者数で除した%を図示した(図3も同様)0
図2 (a)ノヾタ ー ンの生活行為別時間帯
観 EB 苓 j l
眠をとっている者も2割しかおらず、前日までの勤務の割には睡眠時問が短いといえよう。
以上のように、睡眠時間は探夜勤の日に最も短く、疲労が回復しないまま次の日勤にのぞんで いると考えられる。そして3日目の準夜勤時には出勤前に仮眠をとることにより平均7時間の睡 眠がとられているが、分断された睡眠である。さらに翌日の休日は、準夜勤明けのため就寝が遅 く、睡眠が充分足りているとは言い難い。このように、この4日間に関してはいずれの日も陸眠 が充分とは言えず、疲労の蓄積が心配される。また、休日でも前日の勤務形態の如何によって睡 眠時間が左右されることが明らかである。
⑧ 家事労働時間
夕食準備 夕食準備に関しては、勤務日による時間量の違いはすくなく、むしろ遂行率と時 間帯に差がみられる。すなわち日勤時にはやや短いものの、 4日間とも平均して1時間前後が夕 食準備にあてられている。しかしながら遂行率でみると、準夜勤の日には約半数であり、残りの 者は、夫や母(姑)の協力を得ている。これは、前節の家事分担の結果を裏付けるものと言えよ う。
時間帯でみると、 1日目の探夜勤明けの日には午後4時から8時まで広範囲に分布しており、
ピークは午後6時前後である。それに対して2日目の日勤の場合は、帰宅直後の午後6時から8 時にかけて集中的に行われている。 3日目の準夜勤になると勤務が午後4時からのため、出勤前 に作りおきされているが、その時間帯は午前10時半から出勤直前の午後4時頃まで広く分布して おり、ピークは午後2時〜3時となっている。また4日目の休日は第1日目の探夜勤の場合と比 較的類似しており、午後4時〜7時頃まで分布している。以上のように夕食準備に関しては、深 夜勤明けの日と休巨=こ比較的夕方の早い時期から準備にとりかかる傾向がみられ、日勤時に比べ ると手の込んだ食事が用意されているものと思われる。
洗濯 時間量および遂行率でみると、 3日目の準夜勤と4日目の休日に、全員が2時間近く かけて行っているのが特徴的である。
まず1日目の探夜勤明けの日には7割強の者が1時間近くの洗濯を行っており、その時間苗は、
帰宅直後の午前10時から午後5時まで広く分布している。しかし時間帯が早いほど乾きやすいの で、ピークはやはり午前11時〜正午となっている。 2日目の日勤時には、遂行率は他の日に比べ ると低く、約半数であり、その時間帯は出勤前の午前6時〜7時が多い。しかし帰宅後の午後6 時〜10時の夜間洗濯もみられ、前節の洗濯に関する「朝でも夜でも時間のある時にする」という 生活意識を具体化している。 3日目の準夜勤の日には前日の遂行率の低さを反映して、逆に遂行 率・時間量が増し、前日からのため物を片付けている様子がうかがえる。時間帯としては、午前
6時〜正午にかけて広く分布しているが、ピークは午前9時〜10時であり、家族員を送り出した 後にとりかかるものと思われる.そして4日目の休日にはやはり遂行率・時間量とも多く、時間 苗も広範囲である。ただ前日の準夜勤の日と異なる点は、時間帯に2つのピーク(午前8時〜9 時と午前11時〜正午)があることである。やはり準夜勤の日には、午後4時からの勤務があるた めそれにあわせて仮眠や夕食準備・洗濯物の取り入れなどを行う必要があり、洗濯はすくなくと
も午前10時までにすますのがよいのであろう。その点、休日は午後からも自由であり洗濯時間帯 がやや後にずれても支障がなく、そのことが両者間の時間帯の差になって表れたものと考えられ
る。
掃除 掃除は、他の家事作業に比べると時間量・遂行率が勤務日によって最も異なっている。
すなわち、 1日目の探夜勤明けの日には約半数の人が1時間近くの掃除を行っている。その時間
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藤 田 祥 子帯は、帰宅直後の午前10時から午後5時まで広く分布しており、洗濯との同時遂行が目立つ。 2 日目の日勤になると遂行率は1割にも満たず時間量も短い。それが3日目の準夜勤の日には全員 が2時間近くかけて掃除を行っており、その時間帯は午前7時〜正午までで、ピークは午前9時
〜10時である。やはり洗濯との同時遂行が多いが、洗濯に比べると時間帯が集中する傾向にある。
洗濯の場合は乾燥の関係で起床後すぐにとりかかる人がいるために時間帯が早朝から分布するの に対して、掃除は家族員を送り出してから始める人が多く、集中度に違いが生じたものと思われ る。 4日目の休日では、時間量・遂行率は前日の準夜勤の日と類似するが、時間帯および集中度 に違いがみられる。すなわち、時間帯が午前8時〜午後4時まで広く分布しており、そのためピ ーク時刻は午前9時〜10時で準夜勤日と同一でも集中度は約半分である。やはり夕方からの勤務 がないために時間帯に幅がでたものと思われる。
以上のように掃除は、 1日目の探夜勤から2日目の日勤にかけては遂行率・時間量とも低く、
省力化されており、これは前節の掃除に関する「短時間ですます」 「使用頻度の高い部屋をする」
という生活意識を具体化している。また、掃除に関する家族内分担が探夜勤・日勤時に増加する という前節の結果も、以上の時間量・遂行率から裏付けられる。しかしながら、その分、 3日目 の準夜勤から4日目の休日にかけて念入りに行われており、準夜勤・休日時に対象者本人の家事 遂行率が増加するという前節の結果を具体化している。
異物 買物も、前述の掃除と同様に、時間最・遂行率が勤務日によってやや異なる。 1日目 の深夜勤明けの日には9割以上の人が1時間前後の買物を行っており、その時間帯は、午前9時
〜正午と午後2時〜6時半に2分される。おそらく前者は帰宅途中に買物をすませる場合であり、
後者は仮眠などの休息後に夕食準備をかねて行われる場合と考えられる。 2 a目の日勤時には帰 宅途中の買物が多く、 r後5時半〜7時半に集中するが時間量的には短い。多分、不足分の買い 足しやその日の夕食に必要な物だけの買物と思われる。 3日目の準夜勤の日は、遂行率が約半数 に減少しており、そのピークの時間帯は午前11時〜正午である。その分が4日目の休日にまわさ れているようで、休日には時間量が増え、時間帯も午前10時,'f‑後6時まで広く分布している。
以上のように買物は、休日にある程度買いだめがなされ、その他は勤務形態にあわせて、帰宅 途中にやりこなされる場合が多いと考えられる。
⑨ 自由時間
ここでいう自由時間とは、一般に社会的・文化的時間あるいは余暇時間といわれるもので、ま さに看護婦本人の自由になる時間であり、新聞・テレビ・ラジオ・読書・娯楽・趣味・交際・休 息等の多くの内容が含まれる。
この自由時間は、表13に示すように時間量において勤務日と休日の差が大きいことが特徴的で ある。
深夜勤明けの1日目は、他の勤務日に比べると時間量として多く、一人3回前後の自由時間を もっている。その時間帯も中途分断はあるものの午前10時〜深夜にまで広く分布しており、ピー クは午後9時〜10時にかけてである。翌日の日勤時もピークの時間帯は前日同様、午後9時〜10 時半であるが、前日に比べると時間帯が集中しており、夕食後から入浴前後にかけて1‑2回の 自由時間がもたれている。 3日目の準夜勤の日には、時間量的には日勤時とほとんどかわらない0
しかし自由時間をもっている人は7割弱と低く、残りの3割の人は午後4時からの勤務まで休息 もなく家事を片付けている点が明らかである。時間帯としては、午前10時〜牛後3時半までであ り、ピークは午前10時〜11時と午後1時〜2時の2回ある。おそらく前者は、洗濯や掃除を片付
けてからの休息であり、後者は昼食後から夕食準備までの問の休息であろう。続く4日目は休日 であり、総時間量は勤務日の倍以上あり、一回にとられる時間量も長い。つまり、ある程度まと
まった時間がとれる唯一の日といえるだろう。その時間帯は、午前8時〜深夜まで広く分布して おり、午後1時〜5時までと、午後9時半前後にピークがある。図2から明らかなように、その うちの午後1時〜5時の時間帯が、まとまった自由時間をもてる時と考えられる。
以上のように、自由時間は、勤務日には分断度の高いいわゆる休息的な時間となっており、積 極的な余暇活動や趣味を楽しむまでには至らない。とくに準夜勤の日には出勤までに多くの家事
を片付けることが先行し、休息すらとれない状況も認められ問題である。そしてある程度まとま った時間をとれるのは休日の午後の時間帯だけといえよう。
④ (a)パターンにおける生活の連続像
勤務サイクルの(a)パターン〔探夜勤‑日勤‑準夜勤‑,休日〕について生活時間構造の連続的把 握を試みたが、以上の各生活行為をまとめていくと以下のように要約できる。
まず第1日目の探夜勤明けの日には、帰宅途中にある程度の買物がすまされる。帰宅直後は、
一息入れると洗濯と掃除がほぼ併行して正午近くまで行われ、それらが終了して初めて昼食後か ら午後4時頃まで仮眠がとられる。そして早目に夕食準備にとりかかり、平素よりやや時間がか けられている。それらが全て片付いてから入浴前後に休息的な自由時間が1時間程度もたれ、午 後11時頃に就寝となる。翌日の日勤時には午前6時頃にほとんどの人が起床し、出勤前に洗濯を すます人が半数いる。勤務終了後、帰宅途中に買物が短時間ですまされ、午後6時半前後に集中 的に夕金準備がなされる。その間あるいは夕食後に洗濯をする人も若干おり、掃除に比べると洗 濯の方がより緊急度の高い家事となっている。そして入浴前後に1時間程度の自由時間がもたれ
ている。 3日目の準夜勤時には、前日に比べると起床時刻がやや遅い。家族を送り出した後、午 前9時〜10時をピークにして、洗濯と掃除が併行して行われるが、平素より時間崖が多く、前日 からの持ち越し分があると考えられる。それらの家事作業の合間に、休息が短時間とられている。
昼食後、午後1時〜2時半頃にかけて半数近くの人が勤務に備えて1時間30分程度の仮眠をとり、
その後出勤までに家族のための夕食を作りおきしている。このように3日目の準夜勤の日は、前 日にためていた家事作業をやりこなし、夕食準備をすることに追われており、かなり多忙である。
そのため仮眠も休息も充分にとれないまま勤務につく人が相当いる。この準夜勤が明けると4日 目は休日であるが、帰宅が午前2時近くなっているために、休日といえども平素より擬眠時間が 短い。これは前日の勤務形態が関わったと同時に本人の休日が他の家族員の休日と重なっていな かったために、起床がやや遅い程度でしかなかったからである。起床後は、洗濯と掃除を併行し て行い、時間も長くかけている。その後買物をすませ、午後の時間帯に初めてまとまった自由時 間をもつ。そして早目から夕食準備にとりかかり、平日より手間をかけている。それらがすんで から入浴前後に1時間程度の自由時間をもち、午後11時頃に就寝して、翌日の勤務に入る、とい う4日間の生活の連続像が描けるのである。
以上のように、対象となった看護婦は、勤務パターンにあわせて家事作業をやりこなしている。
しかしそのために探夜勤明けの臼や準夜勤に入る前には、家事に追われており、勤務後や勤務に 備えての休息が充分でない点が問題である。また憧眠時間も総時間量としては探夜勤の日を除い ては確保されているようにみえるが、実際は分断されたものであり、休息も充分でない点からみ ても、疲労の蓄積が心配される。とくに2日目の日勤から3日目の準夜勤にかけて勤務と家庭運 営の両立上、何らかの改善が必要ではないかと考える。そこで次に比較検討の素材として(b)バク
194
藤 田 祥 子‑ンの場合を簡単に取り上げておきたい。
(2) (b)パターン〔深夜動→休日‑日勤‑準夜勤〕の場合
(b)パターンにおける各生活行為の時間量・遂行率を表14に、その時間帯を図3に示している。
① 睡眠時間
表14に示すように、睡眠時間は、 1日目の深夜勤の時に最も短く、その7割を勤務明けの仮眠 によって得ている。その時間帯は、午後2時〜4時をピークにして正午〜午後5時まで分布する。
2日目は休日であり、起床時間がやや遅くなっているために4日間の中で最も睡眠時間が長い。
休日明けの3日目はE]勤、 4E]目は準夜勤であるが、いずれの日も睡眠時問は6時間30分程度で あり、午後11時半に就寝し、午前6時起床と規則的である。また4日目の準夜勤の日に、勤務に 備えて仮眠をとる人はすくなく、午前6時に起床してから、深夜まで勤務し翌日に就寝する人が 多いことを示している。
⑧ 家事労働時間
夕食準備 夕食準備にあてられる時間量は、日勤時にややすくなく、休日や準夜勤時にやや 多くなり、平均して1時間前後となっている。その時間帯は、 1日目の探夜勤明けの日も翌日の 休日も午後5時〜7時に集中している。続く3日目の日勤時には、時間帯の集中度はより顕著で 午後6時〜7時半である。 4日目の準夜勤時にも全員が夕食準備をしており、午後3時前後をピ ークに午後1時〜4時に行われている。
洗濯 洗濯に関しては、勤務日による時間量の違いが大きいことと、日勤時の時間帯が特徴 的である。
まず、探夜勤明けの1日目はー帰宅直後の午前10時〜正午まで2時間近くかけており、翌日の 休日には、午前9時〜10時をピークにして11時まで集中的に行われている。それが3日目の日勤 時には遂行率・時間量とも低下し、また時間帯も夜間の洗濯がみられる。 4日目の準夜勤時には 前日のすくなさを反映して時間量が大巾に増加し、午前9時〜10時をピークにして行われている。
掃除 掃除は、勤務日による遂行率の違いが蹟著である。 1日目の探夜勤明けの日および2 日目の休日とも、 1時間半近くかけて行われており、その時間帯は1日目は午前10時〜正午が多 く、 2日目の休日は午前9時〜11時で、休日の方がやや早目にとりかかっている。いずれの日も 洗濯との同時進行が特徴的である。 3日目の日勤時には遂行率は皆無となり、洗濯に比べると緊 急度の低い家事といえるだろう。しかし4日目の準夜勤時には午前8時〜10時にかけて、やはり 洗濯と同時進行的に2時間近くかけて行われている。
景物 買物に関しては、勤務日と休日によって時間量・遂行率に差がある。
まず探夜勤明けの1日目は、遂行率は半数で、その時間帯も午後5時〜6時の夕食準備前に行 われている。翌日の休日には、午後3時〜5時をピークにして遂行率・時間量とも多くなる。続 く3日目の日勤時には前日に買いおきされたためか遂行率・時間量とも低位である。 4日目の準 夜勤時は、休日についで遂行率・時間量とも高くなり、午前11時前後をピークにして、午後2時 頃にかけて行われている。
㊥ 自由時間
深夜勤明けの1日目は、昼食前後と午後10時の入浴前後にそれぞれ1時間程度の自由時間がも たれている。 2日目の休日になると、 4日間の中で最も時間量が長く、まとまってとり得る唯一 の日になっている。続く3日目の日勤時には、午後9時〜10時の入浴前後にかけて1時間半程度 とられている。 4日目の準夜勤日には、時間の量としては2時間近くあり、勤務日の中では多い
勤務サイクル
田 闇 am? (1)探 夜 勤I‑‑)(2)休
時間.分 (%)
4: 53 (3: 23,100)
睡 眠 時 間(仮眠率)
日 (3)日 勤十(4)準 夜 勤
讐霊(
(2:00,芸H讐霊(%) (0,0)
時間.分 (%)
6:23 (1:30, 25)
自 由 時 間(遂行率)
1: 41 (100)
0 苛 や 9 12 15 18 21 12 15 18 2. 1 12 15 IB 2. 1 9 12 IS 18 2. 1 K
〜
睡眠時間 出 l冊
50
lこ.;. 日一用‑ 冊l‑ r
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衣 事 労 働 時 間
夕食準備 rh 帆 八
50 so 洗たく 繭 n
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掃除 州 n 胴
買物 ∩
自由時間 n A in nFiI n pljll ‑
‑l w¥ran 50
図3 (b)パタ ー ンの生活行為別時間帯
粋鞘昂rs溢厨哲かhiz開帯軸濡罫8舛輸蘭画
ト・■
q⊃
CFl
196
藤 田 祥 子方であるが、時間帯でみると分断されているのが明らかであり、家事作業の合間の休息的役割で しかないと言える。またこの準夜勤の日には、休息もとれないまま勤務につく人がおり問題であ る。
④ (b)パターンにおける生活の連続像
勤務サイクルの(b)パターン〔深夜勤‑休日‑日勤‑準夜勤〕の生活の流れをまとめると以下の ようである。
探夜勤明けの1日目には、帰宅後、洗濯と掃除が比較的時間をかけて併行して行われ、その後 短時間休息した後、午後2時〜4時をピークにして3時間半程度の仮眠がとられる。午後5時〜
7時にかけて夕食準備がなされるが、半数の人はその前に買物をしている。これらの家事が全て 終了し入浴する前後に初めて自由時間らしい時間がもたれる。翌日は休日であり、平素より起床 時刻が30分から1時間ほど遅くなっている。起床後は、午前9時〜10時をピークにして洗濯と掃 除が同時に行われ、適宜休息的な自由時間が挿入されている。午後1時‑3時にかけてややまと まった自由時間があり、その後午後3時〜4時をピークに時間をかけて買物がすまされる。午後 6時前後に夕食準備が行われ、午後8時〜深夜にかけて再びまとまった自由時間がある。続く3 日目は日勤であり、この日は勤務だけが主になり、掃除や買物は前日の休日にまとめてされてい たために遂行率は低い。ただ炊事は別にして洗濯は家事の中でも緊急度の高い家事のために夜間 に行われる傾向がある。自由時間は、入浴前後の1時間半程度である0 4日目の準夜勤の日には、
前日に省略されていた家事が勤務前にやりこなされており、午前9時〜10時にかけて洗濯と掃除 が、正午前後に買物が、そして午後3時頃に家族のための夕食準備が行われ、その後勤務につく、
という生活パターンをとっている。
(3) (a)(b)パターンの比較検討からみた生活時間構造の傾向・問題点
ここでは、前述したサ(b)両パターンの生活時間構造を比較検討し、両者間の共通点や相違点を 通して、三交代制の看護婦の生活時間構造の問題点を明らかにしていきたい。
① 睡眠時間
睡眠時問に関しては、 a)(b)パターンとも第1日目の探夜勤の日に最も短く、その時間量の7‑
8割を勤務明けの午後1時〜4時頃の仮眠によって得ている。また両パターンとも日勤‑準夜勤 の流れがあるが、両勤務日とも(aレヾターンでは7時間前後、 (b)パターンでは6時間30分前後の睡 眠時問がとられている(日勤を平日と仮定して、一般有職婦人および主婦の場合の時間量と比秩 すると、表15に示すように看護婦の場合には、いずれも睡眠時間が不足しがちである)。また両 パターンとも準夜勤の日に勤務に備えて仮眠をとる人がすくないことも共通している。また仮眠
表15 生 活 時 間 量 の 比 較 (時間.分)
\ 生活行為
\
対象者\\
睡 眠
洗 た く
看護婦
一般有職婦人 7:28
掃 除 [休 日
買 物 平 日l休 日
自 由
平 日1休
8:22 57 1:12 】 42 58 40 1:12 I 5:09 6:37
主 婦 7:33 8:27 1:27 1:20 1:01 】 55 1 56 1:16 7:29 7:10
* 「日本人の生活時間1980年」 NHK放送世論諭査所による。
をとっている人でも、総睡眠時間量としては7時間前後にしかならず、分断された睡眠によって かろうじて総量を確保しているという状態である。
睡眠時問に関して両パターン間で最も異なる点は、休日の睡眠時間量の違いである。これは、
休日に入る前の日の勤務形態の違いから生じたものであり、 (aレヾターンのように準夜勤‑休日で は就寝時刻が遅くなるために平素より睡眠時間が短くなり、 (b)パターンのように探夜勤‑休日で は長くなる。しかしながら長いといっても(b)パターンの休日の睡眠時間を一般有職婦人および主 婦のそれと比較すると、決して長いとは言えず、むしろそれらの人達の平日並みという程度であ る。つまりこれは、看護婦の休日が他の家族員の休日とかならずLも重複していないためであり、
他の家族員の通勤や通学にあわせて起床せざるを得ない家政主体者の側面を示している。これら の点から、睡眠時問の確保のためには、とくに準夜勤明けの日には、家族員の協力を得るように して起床時刻を遅くするような工夫が必要ではないかと考える。
以上のように生活時間構造を連続的に把握する方法をとると、従来の研究と異なり、休日の睡 眠時間量がすくない点が明らかとなった。それは従来の研究では休日の前日の勤務形態が考慮さ
れていなかったためや、他の家族員の休日と重複する日を設定していたためと思われる。
⑧ 家事労働時間
夕食準備 Xb)パターンとも、時間量に関しては休日や準夜勤の時に平素より時間をかけて 準備され、日勤時にはやや短縮されることが共通してみられる。また時間帯も、日勤時には午後 6時〜7時にかけて集中的に行われ、探夜勤明けの日や休日にはやや早目からとりかかっている。
そして準夜勤時には出勤前の午後2時〜3時をピークに準備していることも共通している。この ように時間量や時間帯に関しては共通性が高い。しかしながら準夜勤の日の遂行率に関しては(a) (b)パターン間で相違がみられる。この違いが生じた背景としては、両パターン間の家族構成の相 違、すなわち前述の表12に示したように(a)パターンのグループでは拡大家族が33%で、義母の家 事協力があるのに対して、 (b)パターンのグループではたまたま同居家族の家事協力が期待できな い事情にあったということが関係したものと考えられる。結局、夕食準備に関しては、家族構成 の違いや、家族内協力度の違いが、準夜勤時の遂行率に鋸著にあらわれてくるのであろう。
洗濯 サ(b)パターンとも共通しているのは、日勤時に時間量・遂行率が低下することである。
そして日勤時の洗濯は時間苗が夜間になる点が特徴的であり、前節の生活意識を裏付けている。
時間量を一般有職婦人および主婦の平日と比較すると、やはり主婦よりすくなく、一般有職婦人 と類似する。日勤時に遂行率が低かったのを反映して、続く準夜勤日には両パターンとも最も時 間量が多くなり、遂行率も高い。この結論は、サ(b)両パターンに共通な日勤‑準夜勤と続く流れ の場合にのみみられるのかどうかについては、他の勤務パターンとの比較が必要であるが、勤務 日別にとらえた横山氏の結果(1'でも準夜勤日に洗濯の時間量が増加することが指摘されている。
そのことから考えて、準夜勤日には一般に洗濯の時間が多くなり、今回のように日勤‑準夜勤の 流れの場合には、それが一層顕著になったものと思われる.
以上のように洗濯に関しては、両パターン間での共通性が高く、勤務パターンの違いによる相 違点はほとんど見出せない。
掃除 a)(b)パターンとも共通して、日勤時に掃除の時間量・遂行率がきわめて低くなり、省 略化される家事となっている。そして準夜勤や休日には主婦や一般有職婦人以上に時間をかけて 行われていることが表15からも明らかである。また洗濯と同時に遂行される場合が多く、日勤を 除く各勤務日および休日とも午前9時〜10時をピークにしている。このように、掃除に関しては
m. 藤 田 祥 子
洗濯と同様に、勤務パターンによる相違点はすくなく、共通性が高くみられた。
異物 質物の時間量に関しては、サ(b)パターン間での違いはすくなく、共通して休日と準夜 勤時に多くなる。しかしながら遂行率と時間帯の面で両パターン間に違いがみられる。まず両パ ターンとも1日目は探夜勤明けであるが、この日は(a)パターンでは帰宅途中の午前10時前後に買 物をすます人が比較的多く、遂行率も9割を越えている。しかし(b)パターンでは遂行率は半数で、
その時間苗も夕食準備前の午後5時〜6時となっている。この違いは、翌日の勤務形態の相違に よるものと考えられる。すなわち(bレヾターンでは翌日が休日であるため、この日に遂行率・時間 量が大巾に増加し、ここでまとめ買いする予定で、前E]の探夜勤明けの日の買物が省略されたも
のと思われる。そして続く3日目は日勤であるが、前日の休日に買いおきが行われたために遂行 率・時間量が低下しており、 (a)パターンの日勤時と遂行率において違いがみられる。さらに(b)バ メ‑ンでは4日目の準夜勤時に時間量・遂行率とも高くなるが、 (a)パターンの準夜勤時には遂行 率が低い。おそらく、この(a)パターンの準夜勤時の遂行率の低さは、つbレヾターンの探夜勤明けの 日の遂行率の低さと同じ理由が考えられる。すなわち、 (a)パターンでは準夜勤明けの翌日が休日 であったために、買物が休日まわしにされたのであろう。つまり、日勤‑‑準夜勤という同じ流れ があっても(a)㈲パターン間に遂行率の相違が生じるのは、両パターン間の休日の配置の仕方の違 いが影響したものと考えられ、買物という生活行為は、休日に時間をかけて買いおきされること により、その前後の日は勤務形態の如何に関わらず時間量・遂行率が低下するものと推測される。
⑨ 自由時間
自由時間に関しては、時間量の面で若干の違いがあるものの、遂行率や時間帯においてはきわ めて類似しており、勤務パターンによる違いはすくないOすなわち、各勤務E=こは1時間30分‑
2時間前後の自由時間があり、その時間岸は日勤や探夜勤明けの日には主に入浴前後の午後9時
〜10時をピークとする。また準夜勤のE]には家事労働の合間に分断されてとられており、自由時 間をもてない人がいる点も共通した傾向である。そして唯一まとまった時間がとれるのは休日で あり、その時間量は勤務日の3倍近くあり、午後の時間苗および夕食後にとられている。しかし ながら休日の時間量も主婦や一般有職婦人に比べる・と決して充分とは言えず、結局、休日に平素 の家事をやりこなしたりしていることにより自由時間が削減されているものと思われる。
Ⅳ お わ り に
既婚看護婦の家庭生活の実態を、生活時間構造を中心にして、それに関連する勤務状況や家事 分担・生活意識等を含めて検討してきたが、そこで明らかになった点を整理すると以下のようで
ある。
(1)勤務状因に関しては病院間隔差がややあるが、全般的に夜勤回数は月8回の̀̀ニッパチ勤 務"に近付きつつある。また、夜勤のある就業形態にあわせて、職住近接型をとる者が多く、
かつ通勤方法もマイカー運転の割合が高い。
(2)職業意識としては、看護婦のもつ専門性・社会性とともに、あるいはそれ以上に家計への経 済性が優先する。また職業継続意思は、本人の年齢や子どもの年齢による違いが大きく、本人 が比較的高年齢の場合と乳幼児を持つ場合に、継続意思が希薄である。
(3)家事分担の状況は、準夜勤時における炊事や、探夜勤・日勤時における洗濯や掃除に、それ ぞれ家族内協力が認められる。しかしいずれの勤務日においても看護婦本人の遂行率が高く、
それらは休日には一層高まり、家族内分担が定着しているとは言い難い。また家事に関する意 識は、炊事面では家族への配慮が、また洗濯や掃除では能率性・合理性が重視されている。
(4)生活時間構造の面から陸眠時間に関してみると、休日の睡眠時間は、前日の勤務形態に強く影 響されており、準夜勤‑休日の流れの場合には休日といえども短い。さらに他の家族員の休日 との重複如何に左右されているために、睡眠時問の確保のためには家族ぐるみの工夫を必要と する。また従来の研究でも指摘されていたが、本研究でも睡眠時問は、探夜勤明けの日に最も 短く、他の勤務日でも全般的にみて充分とは言い難い点が明らかである。特に準夜勤の日には 分断度が高いうえに、家事作業に追われて仮眠をとれないまま勤務につく人がおり問題である。
(5)家事労働時間の面では、各家事作業が勤務の組合せパターンにあわせてやりこなされており、
日勤‑準夜勤における洗濯や掃除が、日勤時に省略され、準夜勤時にまわされていることはそ の典型的な例といえる。また買物は、時間量・遂行率が休日に増加し、その前後の日には勤務 形態に関わらず低位になる。
(6)自由時間は、勤務日と休日で時間量の差が顕著である。勤務日の中でも、とくに準夜勤時に は時間的に分断されがちとなり、家事作業の合間の休息的役割になっている。しかしこれらの 休息的自由時間さえとれないまま勤務につく人もおり、陸眠時間同様、問題である。休日にお
ける自由時間も、一般有職婦人や主婦に比べるとすくなく、時間量確保のための工夫が必要で ある。
以上みてきたように、対象となった看護婦は、日勤の日はもちろんのこと探夜勤明けの日も準 夜勤につく日も、まず家政主体者として家事作業をやりこなしてから、睡眠や自由時間をとって いる。そのため全般に睡眠時問が短くなり、とくに準夜勤時にそのことが顕著である。仮に準夜 勤‑日勤に入る場合には4時間足らずの睡眠の後に勤務につくことになり、前日からの疲労の蓄 積が一層増すことになる。その意味で、準夜勤時には家庭運営上の課題があり、家族内協力も含 めて一層の工夫が必要とされる。
今回の分析は量的に不満足な点もあるが「生活時間を連続的にとらえる」という新しい視点に より上に述べたようないくつかの問題点が明確となった。
今後、量的充実をはかるとともに、より多くの勤務パターンを分析するなかで新たな問題点を 見出していきたい。また今回の分析では、子どものいない世帯が一定量含まれていたために育児 の面を省略したが、これは無視できない大きな問題となりうる。今後はそれも含めて、家族構成 別や家族周期別の検討を、家族関係の心理的側面を加えつつ行っていく必要があると考えている。
注
(1)横山シヅ「就労形態からみた共働き主婦の研究‑三交代制の看護婦の場合(第1報) ‑」家政誌; 24、 4 (1973)、 「同(第2報)」家政誌;24、 6 (1973)、 「同(第3報)」家政誌;25、 7 (1974)、 「同(第4 報)」家政誌; 25、 7 (1974)
(2) 『国勢調査(昭和55年)姦艮県』総理府統計局
(3) 『図説 日本人の生活時間(1980)』 NHK放送世論調査所
(4)藤田 昌「就労主婦の家庭経営一炊事に関する調査を通して‑」神戸学院女子短期大学紀要第16号(1983) (5)北野井睦「既婚女子教員の家庭生活と仕事」奈良教育大学卒業論文(1984)
〔付記〕 ど多忙にも関わらず本調査にど協力下さった国立奈艮病院、県立奈良病院、済生会奈良病院の各婦 長ならびに看護婦の方々に厚く感謝の意を表します。また本研究の資料収集や分析には、吉川智子さん(本学 卒業生、現在、海上自衛隊勤務)の協力を得ました。記して感謝の意を表します。