173
三重大学附属演習林における量水観測と流出特性
細江 一之*・本多 潔・川避 洋・林 拙郎 Discharge Measurements and RunoffCharacteristics
in the Mie University Forests
KazuyukiHosoE*,KiyoshiHoNDA HiroshiKAWABE and Setsuo HAYÅSfiI l.はじめに
近年,森林水文学をはじめとする水文学の分野は,急速な進歩を遂げつつある。その背祭には,
森林の水源滴養椒能を科学的に明確にすることを,社会から迫られているという状況が存在して いる。このため,全国各地で水文観測が衆施され,教盈なデータを供給して,研究の発展に寄与
してきた。
三盛大学附属演習林では,紀伊冬温硬変多雨気候区に属するという特故を生かし,昭和62年
(1987)4月より慶永観測を開始した1)。観測が軌道に来り,デ…タも蓄積されてきたので,こ こに観測結果の概要と若干の解析結果について報告する。
なお,本観測に関して,種々の便宜を因っていただいている,演習林主審島地岩板助教授をは じめとする演習林の職員の方々,および観測システムの整備等に尽力いただいた当時大学院生の 鈴木伸彦氏(愛知県庁)に深甚の謝意を資する。
2∴観測流域の概要
三盛大学附属演習林は,三盈県中西部,輩出川上流の奈良県境に近い鵬恵那莫杉村川上にある
(図…1)。年平均気温は12.4℃,年降水盈は2,517mmであり,紀伊冬温暖夏多雨気候区に属し ている1)。
観測流域である「ぬたの谷」流域(図…2)は,面麟30.蝕a,標高は480m〜990ふに広がり,
全体として北北凍に向いた斜面である。植生は,流域下部にスギやヒノキを中心とする人工林が 広がり,流域上部には広葉樹(シデ餅・カエデ頬やブナ等)を専心として,モミやツガなどの常 緑針黎樹を含む天然林が分布している。これらの割合は,人工林53%,天然林46%で,残り1%
が裸地等となっている。地質は,全域にわたって,二畳紀新期〜白亜紀の紫雲倍角閃石花崗閃緑 岩が分布している。
* 現所属:KK阪南コ…ポレ…ショソ
細江一之・本多 潔・川迫 渾・林 拙郎
囲−1.三重大学附属演習林位置図 図−2.観測地点および流域地形 流域の平均幅(流域面積を河川の長さで割った償)は0.255km,ホートソの流域形状係数(流 域の平均幅を河川の長さで割った値)は0.21となり,比紋的組長い形状の流域である2)。
観測の開始時期は,魚水観測が昭和62年(1987)4月,雨盛観測は,笛畑で昭和63年(1988〉
5月,尾根で平成元年(1989)3月である。
3.観測方法
水位の観測は,魚水堰堤をこ設置された水位計で行なう。測定範囲0〜2m,分解能1mmであ り,月巻きのチャート紙にべソで記録されるため,回収した後デジタイザーで読み込み,流盈を 計算する。
一方,雨盈の観測は,笛畑と尾根の2箇所に転倒マス塾の雨盈計を設置し,コーナー・システ ム社製のKADECを用いて記録している。これにより螢大7か月の自動計測が可能であり,記録 されたデータは,現地でコソピュータにより回収される。
175
三盛大学附属演習林における魚水観測と流出線性4.観測結果
観測された長期(月単位)および短期(日単位)のハイドログラフの代襲的なものをいくつか 掲げる。なお,本報で使用した雨盈ほ,笛畑lのデ…タである。
図仙3(1)〜(16)は,昭和63年(1988)9月から平成元年(1989)12月までのハイドログラ フとハイエトグラフを,月毎に表わしたものである。いずれも,上段がハイドログラフ,下段は
1時間雨盈のハイエトグラフである。この期間の流出率は0.67であった。
図仙4(1)〜(8)に出水によるハイドログラフ8例を示す。上段が洗農,下段は10分間雨盈で ある。ここでほ,審2例((5)(6)),夏2例((7)(8)),秋2例((1)(2)),冬2例
((3)(4))を取り上げた。
5.雨量と流量の相関
(1〉 雨盈と流盈の相互相関
1つのシステムへの入力と出力の関係にある2つの時系列の例として,流域への降雨と河川流
出盈の問の関係を挙げることができる3)。降雨の大部分は,直接地表面を流れて河川に流入する 袈商流出成分と,地中に没透した後,ゆっくりと流出する地下水流出成分となり,ごく一部が大 気中への蒸発散などとなる。この降雨が流れ集まって,下流の豊水地点に到達するまでにはある 時間遅れ(タイムラグ)がある。
本節では,このタイムラグを,降雨と流出の相互相関をとることにより調べた。結果を図…5
(1)〜(8)に示す。縦軸は相互相関係数,横軸はラグタイム(単位:時間)である。
(2〉 タイムラグ・ピーク流盈と各因子との相関
前節で示されたように,雨盈のピークと流盈のピ…クの問をこぼタイムラグがあるが,それらの 値には40〜120分の暗がある。そこで,このタイムラグの長短とピ…ク流盈に影響を及ぼす因子
として,下記のものを選び,各因子とタイムラグ・ピー・ク流盈との相関を調べた。各統計盈を 衆…1に示す。
。降雨時間:対象とする流出に直接関係がある降雨の継続時間
。総南濃:上述の降雨時間内に降った雨盈の総和
・ 3E】前雨盈:対象とする降雨より前3日間の先行降雨盈
。 7日前雨盈:対象とする降雨より前7Ei間の発行降雨盈
・ ピ…ク雨盈:前述の降雨時間内でのピ…ク10分間岡盈
。 ピーク位置:対象とする降雨車でのピ州クの位置(降り始めにピ…クがある場合ほ0,降
り終わりの場合は1)
176 細江一之・本多 潔・州道 洋・林 拙郎 吉
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闇−3(1)昭和63年9月 図−3(わ 昭和63年10月
&¢.むN じわ.¢− ゃも>〜u 鱒〇.恥 王.−
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図−3(の 昭和63年1ユ月 図−3(4)昭和63年12月
図−3(6)平成元年2月
図−3(8)平成元年4月 図…3(7)平成元年3月
図−3.長期ハイドログラフ
177 三盛大学附属演習林における魚水観測と流出特性
中 も
{
▲◆山
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民謡 く⊃
写 ナJ
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鮭▲最− 賢′.′〜
凹−3(9)平成元年5月 図−3 0吟 平成元年6月
闇−3 的 平成元年7月 図−3 絢 平成元年8月
図−3 ¢ゆ 平成元年9月 周一3 0ヰ 平成元年10月
飽∵■+仙uO \のく虎︶〇.空こ
巨=ニ臨
仁==二
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図叫3 ¢−き 平成元年ユ2月 園仙3 ¢昏 平成元年11月
国劇3.長期ハイドログラフ
細江一之・本多 潔・川追 渾・林 細部 178
図−4 (2)昭和63年9月2・1〜26日
図−4(3)平成元年1月11〜12日 図−・1(・1)平成元年1月20日
ヽ︼屯︑︳ ■l一■■
讐− 申−▲− 漁色.わ小 ︸■れ ∞勘.山i
さ・■︼.一︑∵エコ ;二
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八一.■■︻﹁︳l−●■●●
些≡≡≡ヨ
(6〉 平成元年4月8日
図ル4(8)平成元年7月10日 囲−4(7)平成元年6月28日
図…4.短期ハイドログラフ
179 三盈大学附属演習林における盈水観測と流出特性
盲き妄言重宝菅尾 ■■ J 川 ‖ ⁚
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図−5(1)昭和63年9月20日 疫 血岬脚伽}脚酬仙…州血
図−5(2)昭和63年9月30日
∴=:〝≡⁝−J三ご.︑▼ユ⁝こ
㌦芋:憂垂−長屋王巴−∂琵鼠
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≡≡E≡三迂≡≡誓≡ヨ≡≡望≡憲≡警≡三ヨ 華三≡≡≡図…5(3)平成元年1月11日
ヒ三監ミ‡図−5(d)平成元年1月20日
.†d 亀.写 芝.HM 喜.望 濫一明
L一二三三−ユ⁝三⁝ご貫こ
㌔−ニ巻雲−鳥屋玉芸8琶h粟 粧 ..■﹁︐ト㌻︻仁
ニユ ̄−_iニブニニニニニ
…≡藍三≡≡≡≡≡≡≡≡ヨ
琶班ヨ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡護≡≡≡≡≡≡≡≡≡
園…5(5〉 平成元年3月4日 図−5(6)平成元年4月8日
警−ち≡こ屋屋−竃−−貞︶沸奴ヒぶ 監.音 ‖ H 鵬
こ■■ヽ圭一■:▲
図…5(8)平成元年7月10日 図】5(7)平成元年6月28E!
図−5.降雨と流出の相互相関
180
細江一之・本多 潔・州道 渾・林 拙郎 褒州1.盟回帰分析に用いる各因子(1)説明変数
年 月 日 7 日前面批 3口前南北 ピ㌧鵬ク雨盈 降雨時間 総 雨 盈 ピ㌧【ク位置 (mm) (m) (mm/ユOmin) (mirl) (mm)
88,09,20
92.0 92.0 7.0 110 17.5
0.5・15 88,09,30122,0 4.5 3.5 110 8.5 0.545
89,01,11 2・l.019.5
L5 l460
89,01,20
3.5
3.0 3.0230 0.478
89,03,04
50.5 17.5 5.0
ユ700.294
89,04,08 0 0
3,0 730
89,06,28
99.0
89,07,10 20.0
0 5.0 300 18.0 0.804 21.0 25.0 46.0 0.890 32.5 0.867
嚢鵬1上段に挙げた諸因予を説明変数として,タ イムラグ・ピ…ク流盈それぞれについて登園帰分析 を行なった4〉・S〉。この計欝において,取り入れる 変数が推定に有効かどうかを判断する基準として,
変数増減法を採用した。これは,計算の途中で,他 の変数との関連で寄与の小さくなった変数を落とし ていく方法である。その結鼠 タイムラグに関して
は,7日前雨盈,ピ鵬−ク雨盈およびピ…ク位置が,
ピ…ク流盈に関しては,ピ…ク雨盈が採用された。
(2)目的変数
年 月 日 タイムラ グ ビ…ク流盈
(min) (m3/sec)
88,09,20
40 0.084
88,09,3050 0.031
89,01,11120 0.015
89,01,20120 0.018
89,03,04120 0.041
89,04,0880 0.041
89,06,2840 0.093
89,07,1060 0.050
タイムラグの場合,95%倍頼区間における盗用関係数ほ0.927,自由度2盈調整済み寄与率 0・820における標準偏回帰係数は,7E】前雨盈が仙0.515,ピ…ク雨盈が叫0.519,ピ叫ク位置が
山肌0.601である。すなわち,流出のタイムラグに影響を及ぼす因子は,流域の湿潤状態の目安と なる1週間前からの先行降雨盈,ピ州ク雨敬 および降雨のピ…クの位置の3因子であり,その 及ぼす影響の強さは,マイナスの方向にほぼ同程度である。
また,ピ…ク流魔の場合,95タ 信頼区間における蕊相関係数は0.823,自由度2盈調整済み寄 与率0.763における標準偏匝慨係数は,ピ…ク雨盈が0.823となった。
6鹸 フィルター分離ÅR法による流出特性の推定
本牽で使用するフィルタ叫分離AR法(逆探法)6)は,流劇†孝系列(降雨時系列はなくてもよい)
を月ヨいて,流域の流出特性の推定,降雨時系列の逆推定,降雨の流出成分分離別の推定,および 流出予測を行なう方法である。同法の詳細については,文献6)を参照されたい。
(1)流盈時系列の成分分離
河川洗盈逓減部のデ…タQを時間tに対してプロットすると,logQくノQ〜tの関感服勾配 変化のはっきりした2つないし3つの直線部分から構成される(Qt,:適当に選んだ基底学ぞ芭盈)。
三盛大学附属演習林における魚水観測と流出特性 lEfl
したがって,Q(t)は次のように表わされる。
1n Q/Q。=…αt
……(1)
T。=1/α
……(2)
ここに,α:逓減係数,T。:時定数,である。この方法で,地下水成分の分離時定数T。を決定する。
また,式(3)の増幅率Iw(′)」がIW(′)l≦1の条件を満たす範囲で,減衰係数
∂(非振動条件より∂≧2)を選定する。
妻W(/l2ニ …‥・(3)
(1】(′//。)り2寸1㍗(′/′。)2
ここに,/。=∂/(2方・r。)であり,減衰係数として普通∂ニ2.0〜2.5の範囲の値が採用さ れており6),本報では,∂=2,1に設定した。
次に,このように決定したr。と∂から,式(4)を用いて数値フィルタ仙係数c。,Clを計算 し,これを式(5)に代入して,片側作用フィルタ…W(で)を求める。
c。=(∂/r。)2
cl=∂2/r。
〕 ……(4)
=coexpトclで/2)si血(√㌫ヤ㌃ニ㌫∴)/√㌃て前言(r≧0)
=0
(で<0)…・‥(5)
ヽⅤ(T)
上武を△r間隔で離散表示して,片側作用低周波ろ波数値フィルタ仙・W(1り(≡w(kAr))
が設定される。
奨測の流盈時系列y(=Q)を,式(6)によりこの数値フィルタ…に通したろ汲彼の出力とし
て,まず地下水流出時系列yく1)を分離する。
y(1)(t)=α∑w(k)y(t仙k)
ここに,αは窪み係数である。
次に,全流盛時系列yからy(りを差し引くと,
…・(6)
中間・襲商流出時系列y(2)が求まる。
y(2)(t)=y(t)仙y(l)(t)(≧0)‥・(7)
歪み係数αは,中間・来所流出時系列(式(7))
が負にならないという灸件を満足するように選
ぷ。ほとんどの場合,α≦1である。
図仙6(1)〜(9)は,当流域で観測された降
雨……流出のデ…タをもとに,流盈時系列を成分
分離したものである。図車の記僧の憩味は次の‡琵婁
■ ・:テナ
ー こⅣ
35¢
汀1
、Jてい
2∈灼
.1こ11
庄 汗∵
む 5【き
0 柑 2a 3巧 d8 58 68 7訪 韓 9日 tjme【圭1†)
、 −
い
・. :こ‥ −. ∴図洲6(l)昭和63年9月25日
図仰6.漁盈の成分分離
細江山之・本多 潔・川追 渾・林 拙郎 182
8 9 8 7 $ た︶ d き クー.1
..〇 ■ − ︻ ︼ ■ ■ .亡︑ J 脚 色 柑 甜 認 相 関
8 9 ∧0 7 八〇 5 ﹂4 さ ク︼ ■1
◆.〇 ︻ X ︵︶ 9 ■ \ ●E︶ ○ 榊 8 相 加 調 相 関
818;滑 38 d8 58 柑 78 ¢8 いm¢(hr〉
餞抑琵 くm人3′S酷〉3.扮d2$
pや8k Q(m∧き/駅¢〉 可.81月2d 董通iま2.1 TC 暫相
国−6(3)平成元年1月11日
8 S1815 餓 25 き8 ∋5 tlr栂(お〉
場内SE(m〈3/分か;〉 だ.紛争9 D¢l芝2.1
P◎∂k Q(m▲き′5町)芦.¢!咲賂 TC =・16
図−6(2)昭和63年10月24日
8 琶.6269 鉛TE t¢81限月
∂ ニ.7J】ll
【須TE て9ご姶Ill
窃⁝川 州W 謂 仙瑚 Ⅲ
珊
紺 45 服 諮 調 お 説 柑 用 5.〇− ズ ﹂こ二:︑∴ ■壱こ+轟 抑 8⁝川 乃㌣ 開 山瑚 m
8 t8 甜 き8」;0 58 68 70 9B ≦滑Iime(わ「)
駆(m{3/魯鰐〉 コ.8t‡25
b◎】澄2,l
Pe8k Q(m′つ′蟄輯)コ.8A422 TC 伝18
図−6(5)平成元年4月23日
B S】815】泊 25 渕 3$ 月8 t†!lや(llr〉
(姫島S∈ (頂∧∂/忌や¢〉 撃 一挽73
【鳩l賦2.】 ∂ 薫.6917P㊥章k Q(m<3/5釣○)茹.61月58 TC 昔28 掛1∈【¢鴻126
図−6(4)平成元年1月26日
磯 望】.765 匝TE:窃98d23
00 難 関 Ⅷ 相 関 哨 詔 訝 帽
..コ ■ ・︑U ■一 ■亡.可 〇 ㈹ B 川柑⁝ぴ Ⅵ川 畑W 紺
8 5181S 2日 25 38 笛 d8 月5 tiゎヨ伊(れ「)
眠 (爪∧き′5◎¢)史.82月l U⑳l=2.1
侮離=)抽−き′5セOl藍.87牟6 TC 泌 博
聞−6(7)平成元年6月28日
8 柑 詑 ≦泊 d8 馳 68 7Q 雲泊 儲1叩1柑】28 t;汀樽(hr)
聯ち∈(m〈3′5ウ¢)隷.Ⅸ)9 馳き 記2.1 8 盟.紡尉
Pe∂k Q(m∧3′難¢)た.偽者2戎5 TC 苓妄治 【玲丁首:畔8さ
図−6 (6)平成元咋5月6日
8 琵.8月37
【川[こ串:l1二こl〕
腑 8 川川 拍⁝韓服 m
脚 諷 卿Ⅷ 聞 跳∴爛 澗 ∽ 憫
..り ︼ r ︻U 山一 ■E﹀ ウ 捌 補 則 描 閤
色】P 詔:抑 止O 関 紺 7巧 閥 鮒ii柑盲181却!38一朗【いl昭(hr)
81B 2日 3匂 88 59 8窃 78 闊 S絹l(沼l沌Ii†㈹ くhr〉
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− ・ − −−
・ :・ ・ ・
図…6(8)平成元年8月26日 図…6 斡〉 平成元年9月19日
図−6.流盈の成分分離
183
三蕊大学附属演習林における魚水観測と流出特性QBASE:式(1)のQ。(基底流出)
Pe a k Q:ピーク流盈
Del
:式く3)の減愛係数∂(=2.1)TC
:式(2)の時定数T。a :式(6)の歪み係数α
DATA :観況ぜ月日(例:890101→1989年1月1Eり
く2)成分流塵再現性の検討
前節で分離された流出成分時系列から,Burg故により降雨一流出系の各サブシステムの応答 特性(AR係数)が求まる。また,各成分系についてAR係数が推定できると,流出成分システ ムからの出力である成分流感時系列から,各サブシステムへの入力である成分降雨時系列が逆推 定できる。そこで,記録された実流盈が,このモデルと逆推定降雨により再現されるかどうかを 検証する。
逆推定した各成分の降雨時系列妄l(l)と先に求めたAR係数を用いて,第1成分の流盛時系列
諺1(1)を次式によ
って発生させ,嚢測成分流慶y.(l〉と比較すれば,各流出成分系のARMA式 による表現の精度を検討できる。諺1(l〉=
al(l);卜1(l)+a2(l)音卜2(1)+a。(l);卜。(=+‥・
一卜a。(1)y卜。(1)+スb(1〉Ⅹ巨1三1)
……(8)
ここで,右辺政終項は現時点での入九 より正確にいうとラグだけ前の時点での入力である。ま た,スは降雨から流盈への単位変換償数,1は次のように各成分を表わしている0
地下水流出成分 車間流出成分 表商流出成分
・_‡こ≡三
白色雑音部分ei ユ1は右辺最終項に含めて考えている。また,上武のAR澄適次数pは,流盈成
分時系列の推定誤差Åyl(1〉=yl(l)− 音1=の二乗平均を最小にするように決定する。
図−7(1)〜(5)をも親政悦域について,逆推定した降雨妄=)を用いて,ÅRMA式(8)に ょり流盈を計算して,実測流盈と比絞したものである。同園の(1),(2)と(3)〜(5)のaは中 間・襲面流流出成分,(3)〜(5)のbもま地下水流出成分である。なお,図車の記号の意味は次の 通りである。
AR(♯):AR係数(♯:ARモデルの次数)
Ar e a :観測流域の両横(=30.6ha)
184 細江扁之・本多 額・川道 洋・林 拙郎
瑚 爛 血珊 瑚 伽刑 期 掴 1闇 瀾 細
●.¢− X+︵‖▼︳山 .∈︸ ○ 0⁝川 甜㌣ 詑 川棚 ∽
81日罰細d‡ち5オ 8 5 用15;狛 搭 3切 35 もi川合!hr)
領一E:抑諮 緋tきJ 軋3月】母8E・伽
釦各章(奴′篭)=.袈矩
図鵬7(l)昭和63年9月25日(中間・袈簡洗成分)
DnT註1昏8182d 蛾く2) ←ニー.5ST9警吏1(相
良「¢蔑(如〈2)恵.388
図−7(り 昭和63年10月24日(中間・襲商流成分)
紹 鴎 服 35 紺 25 印 ほ 佃 色 川相 川甜 嘲祁 澗叫 翰 椰 8 柑 罰 謂 棚 鰻
・ぐ ■ −︑し ト ハ .E︑ 6 .q ︵ ︻U 8 良り .8 ウ叫 −ユ︻ ︑ ︑しー一−U・ つ
8】0 28 38 服 58 瑚 7β 狩 ∈鳴 いm曾(llr〉
D自沌;S開d23 研〈2).ニー.縛7】77∈ヰ抑
nF¢8(kが2)慧.3郡
図−7(3)平成元年4月23日 a.中間・裏面流成分
位 相 28 3帯 薫琶 餓 6¢ 7怜 8仏 ∈窃1再婚 ‖≠
捕(2〉 馳−.62【泊7豊E■(氾
nr郎lル鼎て)だ.3抄S図−7(3)平成元年4月23日 b.地下水成分
8 1p nU 5 一し■ ■り .H ・↓.
..Q−
欄 間 78 傑 駿 堰 詑 組 柑
.︑⊂ ︑U.r ■rい J
818 詑:追 捕 58 68 T指 摘 9惣l〔氾l柑」㌫∋ t拍愴 く1日
:ヽ▲丁[:デて「ド ーj二仁:l rJさ亡ら:ごニ三−Ⅲ
自「や8抽nセ)訂.兼6
図叩7(4)平成元年5月6日 a′ 中間・液面流成分
色 相 2彷 3日 4侍 ∈叔 $8?n 相 貌IB8】l¢;紹 tl郡昏(暑1
抑†E!緋5紆$ ぽど2〉 か.紀曇招17だヰ冊
Il√・1りIT.二〉1∴−ユ.「
闇…7(4)平成元年5月6日 b.地下承成分
刑 潮 l開 聞 聞
開 聞 描 憫 珊 瑚 爛 禰 描 瀾
. ム︺ ■ ・ バー・ l︑ ヽ・ 愉 8⁝川 餓γ 詑 川瑚 相 摂 柑 餞 相 調
8】Q 2b 3仏 力鎖 5¢(泊 7¢ 錯 節】搭)1柑+トねき什両 捕く2) 環−.カlミ泣缶】El〈犯 Ⅳ汀E!鉱¢佗6
日「ea(km八2∫ ニ.罰汚
図w−7(5)平成元年8月26日 a.−や間・表面洗成分 園仙7(5)平成元年8月26日 b.地下水成分 図叩7.奨測流盈と再現流魔の比較
三蕊大学附属演習林における魚水観測と流出特性 185
(3)考 察
図】6の成分分離の結果をみると,小出水(ピ…ク流盈:0.016m3/s)から大出水(ピ…ク 流盈:0.737mソs)まで,それほどの不自然さもなく分離できているようである。また,逆推 定降雨をもとに帯現した流出は,巽際に分離した成分流出と比較しても,逓減部で若干ずれるこ
とがあるものの,かなりの精度で再現できることが図…7よりわかる。
ところで,降雨時系列を逆推定する過程で,車間・袈蘭磯部灘と地下水流出に寄与する降雨に
ついて,次のような性質が認められる。
中間・表面流流出に寄与する降雨
① 降雨継続時間は実測降雨時系列の継続時閏とほぼ同じ長さである。
① 単位図法や貯留関数紋等のように水文系を雛中産数系として取り扱う際に共通して現われ る遅延効果がみられる。これにより降雨の開始時刻をある時間だけ後ろにずらして定義しな ければならない。このラグ・ステップは1〜3時間程度である。
(む 伸長効果はみられない。
(む 降雨強度が奨際の降雨より強めに現われる。
地下水流出に寄与する降雨
① 逆推定降雨の継続時閤が嚢際の降雨継続時間の数倍(2〜3倍)に引き伸ばされている。
これは,降雨が浸透層を降下し,地下滞水屑に達して地下水成分降雨となる間に,(遅延+
伸長)の2つの作用を受けるためであろう。
① 地下水流出開始時に逆推定降雨がある程度の降雨盈(実測降雨の数倍)を示す。
7.おぁりに
三遷大学附属演習林内の血小流域で得られた水文デ…タのいくつかを紹介し,それらをもとに 若干の解析を試みた。
まず,蕊回帰分析より,流出のタイムラグには1週間前からの先行降雨,ピ…ク雨盈および雨 盈のピ…クの位置が寄与していること,また,ピ…ク流盛はピ仙−ク雨盈に大きく影響されている
ことが明らかにされた。
次いで,フィル針∵分離AR法を用いて降雨を逆推慮する過程で,中間。表面流流出や地下水 流出に寄与する降雨にいくつかの特徴が見い出され,さらにそれらより再現された流螢の柄度は 比較的よいものであった。
今後,さらにデ血タの蓄番組解析を継続し,これらの解析結果の詳細な検紬 例えば季節によ る流出特性の変化や,当該流域における降雨の非線彗隻分離則などの流域の旅たiミ特性を明らかにL
ていきたい。
細江山乏・本多 潔・州道 洋・林 拙郎
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参考文献
1)本多 潔・林 拙郎・駒村富士弥・岡田直樹:三蕊大学附属演習林における魚水堰艶の建乳三盟大学農学部 粥習林報乳 約ユ6骨,97−103,1988
2)山本荘毅(編):樫水(地球科学部座9),12乙 共立出版,兼鼠1971
3)日野幹雄:スペクトル解析,52州55,朝倉静J乱 発二軋1989 4)奥野忠一ほか:統多変温解析,17−66,日掛技遜,栗鼠1976
5)芳兜敏郎■橋本茂司:回帰分析と主成分分軋31−95,日料接風 発京,1984 6)日野幹雄・長谷部正彦:水文流出解析,86岬1(札 森北出版,寮鼠1985
Summary
T‡1is papQrattemptS tO analyse some hydrologicaldatafrom the smai卜scaled drainage areain the Mie Urliversity Forests,and to propos¢a Simple syst¢m Of q−Jal−titative description of runoff
characteristics.
The main points ofdiscussion are summarized as follows:
王ミesults ofthe multi‡)le re那eSSiom analysis on severalrunoffvariables show that timelags ofth¢
runoffprocedure correlate moreわighly with an antecedent precipitation accumulated tl−rOugi−a pre−Week,amaXimum precipitation andits peakposiモionwithinthe duration・‡tis alsopointedout
tllat ape濾discllarge羞s remarkably af毎cted by a maximtlm p柁Cipitation■
‡ntheapplication offilter仙Separation autoregressivemethod(Alトmethod)toinverseestimatesk)r precipitation,SOmeimportant prop8rties ofprecipitation foridentifying asubsurface・PSurface and a
即Ound鵬Water runO仔couid be fajrlye又plained.
In conclusion,it appears thatた〉r reCOgnizing runo仔comporlentS and for assessi咽the discha柑e,