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2019 年度 修士論文

訪日インバウンドプロモーションに対する

成田空港トランジット&ステイプログラムの活用可能性

首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 観光科学域

18854505 鈴木 太一

指導教員 清水 哲夫

(2)

2

要旨

地方へのインバウンド誘客及び地域の観光消費額増加は、地域活性化の基軸として注目され、誘客推 進の手法が模索されている。体験を通じた観光プロモーションは、一次情報によるデスティネーション イメージの形成が可能なことから有効とされる手法である。旅行者が空港で乗り継ぎを行う間の 24 時 間以内の短期滞在の観光であるトランジットツーリズムは、乗り継ぎ時の快適性向上とともに、中継空 港がその国全体のイメージ形成に与える影響を踏まえて実施される。トランジットツーリズムは、中継 国に対する体験型の観光プロモーションと捉えることができる。

本研究では、成田空港で提供されるトランジットツーリズムのプログラムである「成田国際空港トラ ンジット&ステイプログラム(以下、成田 TP)」を対象とし、プログラムの成立要因と訪日インバウン ドプロモーションにおける体験型の観光プロモーションとしての特徴を明らかにし、その相補的な発展 の可能性について検討した。

本研究は7章で構成されている。

1 章では、研究の背景と目的、研究方法、既往研究の整理と研究の位置づけ、構成を記している。

2 章では、文献に基づいて国際的なトランジットツーリズムの状況を整理した。トランジットツーリ ズムに力を入れている空港として、国際拠点空港として競合する韓国や、シンガポール、中東諸国など の空港が挙げられる。各国のトランジットツーリズムのプログラムについて、提供主体、ツアー数、料 金、受付の体制、ビザなど手続き上の対応について整理し、成田 TP の特徴として、無料で豊富な数の ツアーを提供していることを示した。

3章では、成田 TP の設立過程と現在の運営実態を整理した。成田 TP は、トランジット旅客の再来 日促進と周辺地域の観光振興を目的として検討され、2015 年より提供が開始されたプログラムであ り、成田空港の運営組織と周辺自治体を中心とする協議会により運営されている。自治体が提示する観 光コンテンツに対し、ボランティアガイドが参加者それぞれの希望や属性に応じてツアーを組み立てる ことが特徴であり、このことがツアーの満足にもつながっている。また運営主体の今後の展望として、

空港の運営組織には国内線利用への展開、参加自治体には地域としてのインバウンド観光の広がりが挙 げられた。

4章では、日本政府観光局(JNTO)の取り組みを中心に訪日インバウンド事業の実態を把握した。

インバウンド誘客における課題は、訪日無関心層の取り込みと地方への誘客の分散である。2018 年か

らのグローバルキャンペーンでは、欧米豪富裕層をターゲットに、無関心層の態度変容をねらいとし

た、動画配信によるデジタルマーケティングが実施されている。地方に対する取り組みでは、2019 年

より体験型観光コンテンツの活用を目的とした、コンテンツの集約と活用が行われている。全国の観光

組織が提示したコンテンツを、受け入れ態勢や魅力を外国人目線で評価した上で、代表事例については

プロモーションに活用するとともに、地方での取り組みの参考として活用されている。

(3)

3

5 章では、成田 TP と訪日インバウンド事業との対象比較を行った。比較のフレームとして、訪日イ ンバウンド振興における主要テーマと主な観光行動のマトリックスを作成し、「100 Experiences in Japan」のコンテンツと成田 TP のコンテンツを分類した。成田 TP のコンテンツは、行政担当者やガイ ドが認識する潜在的なコンテンツも含めて分類し、また利用者の評価として Trip Adviser の投稿から評 価に関する文言を抽出し、コンテンツごとに集計した。成田 TP のコンテンツの主要なテーマで分類す ると、主に伝統、食、まちに分類される。また、海外経験が豊富なガイドによる外国視点からの魅力的 なプログラムの提供が行われていることが、利用者の高い評価に繋がっていることが特徴として挙げら れる。リラクゼーションやアウトドアのテーマにおいては、ガイドや周辺自治体の要望、周辺地域の観 光施設の状況から、田園・自然景観を生かした潜在的なコンテンツの存在を示した。

6 章では、訪日インバウンドプロモーションに対する成田 TP の活用可能性を考察した。現状におい て、成田 TP では外国人目線を理解したボランティアガイドによるコンテンツの磨き上げを通じ、満足 度の高いプログラムが提供されている。また、訪日インバウンド事業における視点との整合性、空港で の体験後の情報提供の可能性も含め、訪日インバウンドプロモーションとの親和性も高い。一方で、自 治体単位のプログラムの提供となっていることで、空港の周辺地域のエリア的なプロモーションや観光 対象としての日本への興味の展開につながる要素が希薄である。以上を踏まえ、テーマ型の視点を導入 した成田 TP の展開と訪日インバウンドプロモーションの連携の可能性を提示した。

7 章では、本研究を総括した上で、成田 TP と訪日インバウンドプロモーションとの相互補完性につい

て展望した。

(4)

4

目次

1 章 序章 ... 7

1-1. 研究背景 ... 7

1-2. 研究目的 ... 8

1-3. 既往研究と本研究の位置づけ ... 8

1)トランジット旅客流動特性分析関する研究 ... 8

2)乗り継ぎの利便性評価や空港のサービス評価に関する研究 ... 8

3)トランジットツーリズムに対する航空政策に関する研究... 9

4)地域インバウンドプロモーションに関する研究 ... 9

5)カントリーイメージに関する研究 ... 9

本研究の位置づけ ... 10

1-4. 研究手法 ... 10

1-5. 研究対象 ... 13

1-6. 論文構成 ... 13

2 章 トランジットツーリズムとトランジットプログラム ... 15

2-1. トランジットツーリズム ... 15

2-2. 国際的なトランジットプログラムの把握 ... 17

1)韓国、香港、台湾 ... 17

2)東・東南アジア ... 18

3)大陸間乗り継ぎをメインとする空港 ... 18

2-2. 海外 TP と成田 TP ... 19

3 章 成田空港トランジット&ステイプログラム ... 22

3-1. 成田空港周辺地域 ... 22

3-2. 成田国際空港のハブ機能 ... 23

3-2-1 日本で乗り継ぐトランジット旅客の実態把握 ... 23

3-2-2 時刻表による乗り継ぎパターン予測 ... 28

3-3. 成田 TP 設立の経緯と狙い ... 32

3-4. 成田 TP のコンテンツ ... 38

4 章 訪日インバウンドプロモーション ... 43

4-1. 日本政府観光局による訪日インバウンドプロモーション ... 43

4-2-1. Visit Japan Campaign ... 43

4-2-2. Enjoy my Japan ... 45

4-3. 地域と地域プロモーション ... 45

4-3-1 地域プロモーション連携室 ... 45

(5)

5

4-3-2 100 Experiences in Japan ... 46

5 章 コンテンツ分析 ... 48

5-1. マトリックス図の設計 ... 49

5-2. 分析 ... 51

5-3. 結果と考察 ... 57

6 章 考察 ... 60

6-1. 訪日インバウンドプロモーションに対する成田 TP の活用可能性 ... 60

6-2. プロモーション活用する際に直面する課題 ... 60

7 章 結論 ... 62

7-1. 本研究のまとめ ... 62

7-2. 成田トランジットプログラムの今後の展望 ... 63

謝辞 ... 66

参考文献 ... 66

付録 ... 71

図表目次 図 1 成田空港の位置 ... 13

図 2 トランジットツーリズム ... 15

図 3「DI 形成と再訪」 Thang(2017)を基に筆者作成 ... 16

図 4 スキポール空港 ... 19

図 5 ドバイ空港 ... 19

図 6 チャンギ空港 ... 18

図 7 成田空港到達圏 ... 22

図 8 首都圏空港就航図( 「2017 年冬ダイヤ国際線就航状況」 (国土交通省) 「平成 27 年度国際航空旅客 動態調査」 (航空局)に基づいて作成) ... 23

図 9 トランジット旅客数 ... 24

図 10 直行便の有無 ... 24

図 11 乗り継ぎ空港の選択要因 ... 24

図 12 「空港別乗り継ぎ前後地」出典:国土交通省、平成 28 年度国際航空旅客動態調査.... 25

図 13 「アジア北米間」出典:国土交通省、平成 28 年度国際航空旅客動態調査 ... 26

図 14 「オセアニア欧州間」出典:国土交通省、平成 28 年度国際航空旅客動態調査 ... 26

図 15 「アメリカ東アジア間の輸送量」Data: US Bureau of Transportation Statistics, 2018, t-100

international market(all) ... 26

図 16 航空会社別日米輸送量 Data: US Bureau of Transportation Statistics, 2018, t-100 international

(6)

6

market(all) ... 27

図 17航空会社別日香輸送量 Data: US Bureau of Transportation Statistics, 2018, t-100 international market(all) ... 28

図 18 航空会社別米韓輸送量 Data: US Bureau of Transportation Statistics, 2018, t-100 international market(all) ... 28

図 19 航空会社別米韓輸送量 Data: US Bureau of Transportation Statistics, 2018, t-100 international market(all) ... 29

図 20 時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測 ... 30

図 21 時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測(アライアンス別) ... 31

図 22時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測(国内線) ... 32

図 23 運営組織構造 ... 35

図 24 佐原コースルートマップ ... 40

図 25 12 の提供コース ... 42

図 26 成田 TP とインバウンドプロモーション関係図 ... 48

図 27 プログラム評価イメージ図 ... 49

表 1 既往研究と研究項目 ... 10

表 2 調査一覧 ... 12

表 3 海外 TP と成田 TP ... 21

表 4 成田 TP 年表 ... 35

表 5 成田 TP 開始時と現在の比較 ... 36

表 6 成田 TP 提供プログラム ... 39

表 7 佐原バスツアー参加者 ... 40

表 9 国別プロモーション訴求テーマ ... 44

表 10 主要テーマとサブテーマ... 50

表 11 主要観光アクティビティと類別基準 ... 50

表 12 分析フレーム ... 51

表 13 成田 TP 提供コンテンツリスト ... 52

表 14 成田 TP 分析フレーム... 53

表 15 100Experiences コンテンツリスト ... 54

表 16 100Experiences 分析フレーム ... 55

表 17 100Experiences と成田 TP の活用可能性 ... 56

表 18 100Experiences と類似性が高い成田 TP のコンテンツ ... 59

表 19 実現要望のあるコンテンツ ... 59

写真 1 ボランティアガイド間での情報共有が行われる控室………38

写真 2 成田 TP 受付………39

写真 3 ツアーの様子………41

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7

1 章 序章

1-1. 研究背景

現在訪日観光客の約8割をアジア圏が占めており、政府が掲げる観光ビジョン達成に向けた需要拡大 のために欧米豪圏に多く存在する日本を旅行先として認知していない訪日無関心層を取り込むことが注 目されている。また、アジア圏からの観光客についても大都市圏のリピーターが伸び悩んでおり、多様化 する個人旅行のニーズに対応するため、主要観光地以外の観光資源の発信が求められている。

日本の地方部において、東京一極集中や少子高齢化による人口減少により地方が衰退し、2040 年まで に全国約 1800 の市町村のうち約半数が消滅する可能性があると考えられている。地方の人口・経済縮 小に対して 2014 より政府は、緊急性の高い重要な課題と位置づけ、 「地方創生」に取り組むことになっ た。地方部への観光客の誘客は、域外資金の流入による経済効果や雇用創出、地域価値の向上を狙いとし た地域活性化に効果的とされている。特に訪日外国人観光客は年々増加傾向でありインバウンド誘客は 注目を集めている。しかしながら地方の多くの自治体は、海外でプロモーションを行う海外組織との連 携やマーケティングやプロモーションの専門人材が不足している(亀山,2016)そのため一地域で直接海 外にインバウンドプロモーションをするのは困難である。この課題に対し国際観光振興機構(日本政府 観光局、以下:JNTO)は、インバウンド事業において地域と連携を強化するために相談窓口として地域 プロモーション連携室を開設し、地域インバウンドプロモーションの支援や、新たな地域の観光資源の 発掘と磨き上げを行っている。

JNTO の日本全体の訪日インバウンドプロモーションとしては、政府が掲げる訪日外国人旅行者数 2020 年 4,000 万人、2030 年 6,000 万人などの目標を確実に達成のために、大きく 2 つのキャンペーンを 実施している。一つ目が、2003 年から国土交通省が中心に官民一体となって実施されている Visit JAPAN Campaign(以下:VJ 事業)である。VJ 事業において JNTO は、訪日者の増加が見込める国や地域を「訪 日促進重点国・地域」と定め、現在 20 の国や地域に対してそれぞれの特性に合わせたマーケティング調 査、プロモーション活動を行っている。JV 事業開始以降、訪日外国人観光客数は年々増加傾向にある。

現在訪日外国人観光客の約 8 割がアジア圏であり、アジアでは訪日旅行の認知度や関心が高い。そのた め既存の日本に関心のある層だけでなく、海外旅行に頻繁に行くが日本を旅行先として認知していない 所謂、訪日無関心層を取り込み訪日外国人観光客の新規需要開拓をすることに注目が集まっている。

JNTO は、欧米豪に主に存在する訪日無関心層に対して「Enjoy my Japan」という国や地域の垣根を超え たグローバルキャンペーンを 2018 年から実施している。ここでは主に訪日無関心層が日本に興味関心を 持つ 7 つのテーマを設定し、デジタルマーケティングを行っている。

トランジットツーリズムとは、旅行者が空港で乗り継ぎを行う間の 24 時間以内の短期滞在の観光

(McKercher and Tang, 2004)であり、本研究では中継空港において乗り継ぎ客に提供される観光プウロ

(8)

8

グラムをトランジットプログラム(以下:TP)とする。日本でトランジットツーリズムが開始する契機に なったのは 2014 年に日本政府が策定した「観光立国実現に向けたアクションプログラム 2014」である。

ここでトランジットツーリズムが訪日インバウンドプロモーションの新たな切り口として言及さ、国が 主体となってトランジットツーリズムの展開が開始した。日本を通過するトランジット旅客に日本の魅 力を伝えることで、次回への訪日につなげ、訪日外国人観光客の増加を図るとともに空港周辺地域の活 性化を目的とした。

1-2. 研究目的

観光プロモーションを目的としたカントリーイメージ形成と、トランジットプログラムに関する既往 研究において、到着空港がその国全体のイメージ形成に与える影響 (Martincejas, 2006)、TP が中継国へ の再訪意欲が高める効果について (Tang et al.,2017)検証されており、TP は体験型の観光プロモーショ ンの手法と捉えることができる。TP 参加者の特徴は、中継国を航空移動の通過点として訪れるためその 中継国自体への興味関心はないものの、数時間で観光をする観光意欲が高い旅行者であるといえる。そ こで、本研究では、特に無関心層に対する体験型の観光プロモーションの手法として「成田空港トランジ ット&ステイプログラム(以下、成田 TP)」に着目し、訪日インバウンドのプロモーションにおける成 田 TP の位置付けを整理した上で、その相補的な発展の可能性について検討することを目的とする。活用 可能性を検討するにあたり、以下の三点を把握、分析する。

① 成田 TP の実態把握

② 訪日インバウンドプロモーションの実態把握

③ 訪日インバウンドプロモーションにおける成田 TP のコンテンツ評価

1-3. 既往研究と本研究の位置づけ

1)トランジット旅客流動特性分析関する研究

トランジットツーリズムに関連する研究として、特定の乗り継ぎ空港対象とした旅客流動分析を行 った研究がある。成川ら(2014)は韓国の仁川国際空港、大井(2005)はタイのスワンナプーム国 際で旅客流動の調査と分析を行っている。花岡ら(2017)は、航空券の予約データを基に成田空港 を含め、北東アジアの国際空港における、トランジット空港の選択要因を研究している。これまで アジア北米間の乗り継ぎで優位にあった成田空港から隣国の仁川国際空港に乗り継ぐ地がシフトし ていることが指摘されている。トランジット旅客の流動特性を分析する研究は、屋井ら(1998)や 大井ら(2006)など空港や調査方法を変えるなどして多く研究されている。

2)乗り継ぎの利便性評価や空港のサービス評価に関する研究

安達(2006)は国内の国際主要空港である成田、関西、羽田、中部空港の時間や接続性、乗り継ぎ

パターンなどを比較し、また海外の主要空港とも比較することでそれぞれの空港利便性とサービス

(9)

9

評価を行っている。またトランジットツアーについても言及しており、成田空港は、周辺の観光資 源と近接性が評価されていた。

3)トランジットツーリズムに対する航空政策に関する研究

McKercher ら(2014)は、香港を対象としてトランジットツーリズムの発展のポテンシャルを整理 するとともに、航空政策の観点から発展の阻害要因を分析している。トランジットツーリズムの発 展阻害要因は、ビザによる制限と空港と観光地の距離、乗り継ぎパターンであるとしている。その 中でも香港はビザによる制限で発展が一番阻害しているとした。トランジットツーリズムに関する 研究は、乗り継ぎ現象や空港をメインに研究が行われることが多いが、この研究は直接的にトラン ジットツーリズムを研究対象とした数少ない研究であり、本研究のトランジットツーリズムの定義 もこの研究に即している。

4)地域インバウンドプロモーションに関する研究

インバウンドプロモーションに関する研究は多く行われており、その中で地方自治体のプロモーシ ョン体制の整理を亀山ら(2016)である。ここでは主に中国、四国、九州地方の自治会のプロモー ション体制を人や制度、計画、受け入れ環境などで整理し、地域プロモーションにおける課題を明 らかにした。一部地方自治体ではインバウンドプロモーションに対するノウハウや人材不足があ り、プロモーションが十分に行えていない自治体がある。

5)カントリーイメージに関する研究

Martincejas(2006)は、観光客に到着空港がその国に第一印象としてその国全体のデスティネーシ

ョンイメージ形成に大きな影響を与えることを明らかにした。同様に Gunn(1988)もトランジット

旅客はハブ空港で受けた体験や印象がその国のイメージになると明らかにした。

(10)

10 本研究の位置づけ

乗り継ぎや空港の利便性に関する研究や、成田空港に関する研究も土木工学を中心に多い。地域プロモ ーションやデスティネーションイメージに関する研究は、観光やマーケティングの分野で研究が行われ ている。しながらトランジットツーリズムに関する研究は、Thang(2017)のトランジットツーリズムによ る再訪効果の研究と、McKercher ら(2014)のトランジットツーリズムの発展阻害要因を研究した 2 本 しかトランジットツーリズムを直接的に研究対象としていなかった。本研究は、Thang(2017)で明らかに なったトランジットツーリズムの再訪効果から、その効果をプロモーション活用する検討を行う。本研 究の新規性は日本におけるトランジットツーリズムとトランジットツーリズムの再訪効果を活用したプ ロモーションとしての TP のコンテンツ評価と活用可能性の検討である。

1-4. 研究手法

TP に関する研究手法

①海外の TP の文献調査

海外で実施されている TP の整理と日本の TP の特徴把握を目的として、インターネットを用いて、

政府観光局、空港会社、航空会社などのホームページからプログラムの内容の把握と分類を行った。対 象とした海外プログラムは、ハブ空港として日本と競合する東アジアの国際拠点空港、シンガポールを はじめとした成長力が高い東南アジアの国際拠点空港、TP の充実に力を入れ、日本の成田と同様に大 陸間乗り継ぎをメインとしている国際拠点空港である。

②成田 TP の文献調査、ヒアリング調査、アンケート調査

成田 TP に関する政策や、設立経緯について、政府が毎年策定する「観光立国実現に向けたアクショ ンプログラム」 、 「トランジット旅客の訪日促進協議会」の議事録による文献調査を行った。成田 TP の 全体のマネジメント体制、ツアー造成のプロセスを把握することを目的に、運営組織の構成員である成 田国際空港株式会社にヒアリング調査を実施した。成田 TP におけるボランティアガイドの管理やカ

著者 年 論題

プロモーショ ンとしての活 用可能性

プログラム評 価

トランジット ツーリズム

トランジット客 特性

トランジット客 の消費行動

乗り継ぎ客空 港選択理由

空港におけ る流動特性

乗り換えの利 便性評価

デスティネー ションイメー ジ

再訪への影 響

空港サービ ス評価

航空・観光政 策

本研究 2020 訪日インバウンドプロモーションに対する成田空港トランジット&ステイプログラムの活用可能性

〇 〇 △

Maertens and Grimme 2015 How to assess the percentage of transfer passengers at airports?

Lohmann et al. 2009From hub to tourist destination – An explorative study of Singapore and Dubai’s aviation-based

transformation

〇 〇 〇

Tang et al. 2017Can stopovers be induced to revisit transit hubs as stayovers? A new perspective on the

relationship between air transportation and tourism

△ 〇 〇 〇

Zhang et al. 2018 A model of perceived image, memorable tourism experiences and revisit intention

〇 〇

Yeh et al. 2003 Evaluating passenger services of Asia-Pacific international airports

△ △ 〇

Kincses et al. 2016 Characteristics of transit tourism in Hungary with a focus on expenditure

△ △

Chung et al. 2017A Comparative Analysis of Three Major Transfer Airports in Northeast Asia Focusing on Incheon

International Airport Using a Conjoint Analysis

〇 〇

McKercher et al. 2004The challenges of developing transit tourism

△ 〇 〇

花岡、康、宮本、角田 2017 北東アジアのトランジット空港選択の実態とその要因

〇 〇

安達 2006 日本の国際空港における乗継ぎ客等への空港の利便性の研究

〇 〇

屋井、高田、岡本 1998 東アジア圏域の国際航空ネットワ-クの進展とその効果に関する研究

成川、屋井、高田他 2004 仁川国際空港におけるトランジット旅客の流動特性に関する分析

△ 〇 〇

大井、屋井、高田 2006 アジアのハブ空港におけるトランジット旅客の流動特性に関する分析

△ 〇 〇 〇

大井、屋井、高田 2005 バンコク国際空港におけるトランジット旅客の流動特性に関する分析

△ 〇 〇

表 1 既往研究と研究項目

(11)

11

ウンター業務などの実務に関する実態把握は、成田国際空港株式会社のグループ会社である一般社団 法人成田国際空港振興協会にヒアリング調査を実施した。プログラムコンテンツの把握は周辺自治体 へのヒアリング調査とアンケート調査、ボランティアガイドへのアンケート調査を実施した。

訪日インバウンドプロモーションに関する研究手法

①Visit Japan Campaign の文献調査

Visit Japan Campaign について、事業報告書やプロモーション方針・計画書、国別の市場調査レポー トを用いて文献調査を行った。

②Enjoy my Japan の文献調査とヒアリング調査

Enjoy my Japan に関するインターネットを用いた文献調査と、JNTO のグローバルキャンペーンの 担当者にヒアリング調査を実施した。

③地域プロモーションの文献調査とヒアリング調査

地域プロモーションに関するインターネットを用いた文献調査、JNTO の地域プロモーションの担 当者にヒアリング調査を実施した。

成田空港に関する研究手法

①乗り継ぎ状況に関する文献調査

既往研究と航空旅客動態調査、時刻表、出入国管理統計等を用いた実態把握を行った

②成田空港、成田空港周辺に関する文献調査、ヒアリング調査、アンケート調査

ArcGIS のネットワーク解析を用いて成田国際空港の到達圏分析を行った。観光資源の把握には周辺

自治体へのヒアリング調査とアンケート調査、ボランティアガイドへのアンケート調査を実施した。

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12

日時 調査先 担当(対象)者 主な調査内容

ボランティアガイド O氏、K氏 ガイド活動の実態把握

TP参加者 3グループ11名 参加者特徴の把握、再訪意思変

10月4日 成田国際空港株式会社 経営企画部 I氏 成田TPの設立経緯と運営状況 10月18日 (一財)成田国際空港振興協会 旅客事業部

K氏I氏 N氏 運営実務、ボランティアガイド 12月9日 香取市役所 生活経済部 A氏 市のTPに対する取り組みと狙い 12月9日 成田市役所 シティプロモーショ

ン部 K氏 市のTPに対する取り組みと狙い 12月16日 JNTO 企画総室長 F氏 成田TPの設立経緯

12月11日~

12月31日

多古町、芝山町、栄町、神崎

TP担当者 町のTPに対する取り組みと狙い

12月11日~

1月15日 (一財)成田国際空港振興協会 ボランティアガイド 提供コンテンツの把握

~12月31日 トリップアドバイザーへの投

稿コメント 利用者(185件) 提供コンテンツへの評価

市場横断プロモー ション部  M氏M氏

無関心層へのプロモーション実

地域連携部K氏

統括役E氏 地域プロモーション実態

日本政府観光局 訪日旅行誘致ハンドブック 国別外国旅行の動向 7月31日

成田TPステイクホルダへのヒアリング調査

日本政府観光局 ビジット・ジャパン事業

https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/promotion/vj/index.html 日本政府観光局 Enjoy my Japan 事業

https://www.mlit.go.jp/kankocho/news03_0001 69.html

プレ調査:バスツアーの観察・ヒアリング

成田TPへの取り組みと提供コンテンツに関するWEB調査

日本政府観光局 2018~2020 年度 訪日プロモーション方針

https:https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/promotion/vj/promotion_policy.html

成田TP利用者の評価

インバウンドプロモーションに関するヒアリング調査

調査に用いたインバウンドプロモーションに関する主な文献

12月16日 JNTO

調査に用いた成田TPに関する主な文献

成田TP 公式ホームページ Narita Airport Transit & Stay Program https://www.narita transitprogram.jp/

国土交通省 2014 「トランジット旅客の訪 日観光促進事業の進め方について」

https://www.mlit.go.jp/common/001055476.pdf

国土交通省 2014 「トランジット旅客の訪 日観光促進協議会の設置について」

https://www.mlit.go.jp/common/001055471.pdf

国土交通省 2014「トランジット旅客の訪日観光促進協議会」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/page08_000072.html

表 2 調査一覧

(13)

13 1-5. 研究対象

成田 TP が実施されている成田国際空港は、アジアと北米、欧州とオセアニアなどを結ぶ国際ハブ空港 である。都心部からは離れるが、周辺には成田山新勝寺や佐原の伝統的町並みに代表される歴史的観光 資源がある。利根川の水郷地域や下総台地の森林の豊かな自然、千葉の温暖な気候を活かした田園地帯 が存在することから日本の原風景を感じることができる。

成田 TP は 2015 年より、成田国際空港を通過するトランジット旅客を対象に日本への再来日を目指 したプロモーションと地域貢献を目的に開始した。成田 TP の参加者は無料で空港周辺を英語ガイド付 きツアーで観光することができる。現在成田 TP の運営は、成田空港トランジット&ステイプログラム連 絡協議会が行っている。協議会の構成会員は、空港運営組織である成田国際空港株式会社と成田国際空 港振興協会、空港周辺自治体である成田市、芝山町、多古町、栄町、神崎町、香取市が主にマネジメント を行っており、協賛会員として観光事業者や観光施設が加盟している。成田 TP の参加者は現在年間約 1 万2千人おり、一日約 30 人が参加するプログラムとなっている。

1-6. 論文構成

2 章では、トランジットツーリズムについて文献調査を基に、ツーリズム形態としての特徴や定義を整 理する。その後、海外で行われている TP を整理したうえで、日本の TP の位置づけや特徴を把握する。

3 章では、成田 TP の活用可能性を検討するために運営体制、観光資源の把握、ボランティアガイドの 活動、各関連組織の狙いなどを把握するヒアリング調査とアンケート調査を実施する。

4 章では、日本の地域プロモーション及び観光政策、文献調査のレビューし、訪日インバウンドプロモ ーション現状の把握と成田 TP の位置づけを整理する。本研究に関連性の高い観光政策やプロモーショ ン施策については JNTO の各部署にヒアリング調査を行う。

図 1 成田空港の位置

(14)

14

5 章では、3 章と 4 章の結果を踏まえて、成田 TP で提供されるコンテンツをインバウンドプロモーシ ョンの観点から評価するマトリックス図を作成し分析を行う。

6 章では、訪日インバウンドプロモーションに対する成田 TP の活用可能性を、5 章の分析結果と利用 者評価、提供者側へのヒアリング調査から活用可能性を検討する。成田 TP をインバウンドプロモーショ ンに活用する際に直面する課題について考察をする。

7 章では、本研究の総括と今後の展望について論じる。

(15)

15

2 章 トランジットツーリズムとトランジットプログラム

本章では、文献調査からトランジットツーリズム及び海外と日本のトランジットプログラムについて 整理を行うことを目的とする。

2-1. トランジットツーリズム

McKercher and Tang(2004)は、トランジットツーリズムとは「旅行者が空港で乗り継ぎを行う間の 24 時間以内の短期滞在の観光」と定義している(図2) 。本研究では、トランジットツーリズムこの定義 に則し、トランジットツーリズム内で提供されている観光プログラムをトランジットプログラム(以下 TP)とする。

McKercher and Tang(2004)は、トランジットツーリズムはボリューム少ないマーケットではあるが、

ビザの政策緩和やプログラムの整備が行われると潜在的成長のあるマーケットであると言及している。

トランジットツーリズムの発展にはハブ空港の乗り継ぎ需要に依存する。Page(2005)はオープンスカ イの航空業界において乗り継ぎの必要性は増しており、トランジットによる移動は一般化しているとし ており、Wensveen(2007)は航空会社のネットワーク形成方法であるハブアンドスポークシステムによ り乗り継ぎ需要は今後も拡大するとしている。2020 年現在、オーストラリアのカンタス航空は、これま で中東などで乗り継ぐ必要があったシドニーとロンドン間を約 19 時間の直行便の計画と実験を行ってい るが、航空機が長時間耐えることができても人間の身体的に厳しいため、大陸間の長時間直行便が商業 として成功することが難しいとされており、今後も長時間直行便の開設によって乗り継ぎ需要が減るこ とはないと考えられている。

観光プロモーションおいてトランジットツーリズムの強みは体験型プロモーションであることである。

Tang(2017)はトランジットツーリズムにおいてハブ空港は、出発地と目的地を結ぶ「準目的地(Quasi- destinations) 」であり、準目的地での経験がその中継国を新たな目的地として変えることができるとし、

シンガポールのチャンギ国際空港を対象としたトランジット旅客の乗り継ぎ時の経験と満足度に関する

図 2 トランジットツーリズム

(16)

16

研究を行いトランジットツーリズムが中継国の再訪意欲を高めることを検証した。

Tang(2017)はまたトランジットツーリズムの再訪効果においてデスティネーションイメージ(以下 DI )の形成をレビューしている(図3) 。観光客は、旅行先を決定する際、自らが既に持つ目的地に対す るオリジナルの DI があり、それをガイドブックやインターネットなどの 2 次情報で調べることによって DI を修正していく。そしてポジティブなイメージ形成ができた目的地に旅行先を絞っていく。観光プロ モーションでは、2 次情報の修正に対して政府観光局や DMO、旅行会社などのプロモーターは観光客に パンフレットや動画、SNS で情報発信を行うことで目的地のポジティブな DI 形成を促す。旅行者は訪問 意欲の高く渡航条件をクリアした目的地を決定し実際に渡航する。渡航先で観光体験をすることで、自 らが経験した情報によって DI が修正され、ポジティブなイメージになれば再訪意思に繋がる。

図 3「DI 形成と再訪」 Thang(2017)を基に筆者作成

トランジットツーリズムに限らず観光分野において経験による DI 形成と再訪意思に関する研究は多 く、Zhang ら(2018)と Alessandro ら(2015)などが経験による影響を検証している。観光客が自ら経 験した 1 次情報は、他者から得る 2 次情報よりも強く DI 形成に影響を与えることができる。当然ながら 体験によるプロモーションを行うには、実際に観光客が目的地を訪れる必要があり実現の可能性は低い。

そのため最近は 2 次をより 1 次情報に近づけた VR や AR を用いた疑似体験によって観光プロモーショ ンを行う観光組織も増えてきている。トランジットツーリズムでは、2 次情報による DI 形成と旅行先選 定をスキップし、移動の際の隙間時間に観光体験を提供することで、即時に 1 次情報による DI 形成する ことができる。

トランジットツーリズムにおいて TP 参加者の特徴は、中継国を航空便の乗り継ぎのために訪問して

おり、中継国を旅行先と考えていない無関心層であるとともに、数時間の隙間時間で観光する観光意欲

は高い旅行者といえる。無関心層へのプロモーションは、2 次情報による DI 修正の以前にデスティネー

ションとして認知してもらうところから開始しなければならず、訪問経験によるフィードバックがない

ため、マーケティング調査、ニーズ把握も困難であるといえる。しかしながら、無関心層へのプロモーシ

ョンは観光客の需要拡大には必要不可欠なアプローチである。以上のことからトランジットツーリズム

はプロモーションが届きづらい無関心層に対して、体験を通じた観光プロモーションをするのに適して

(17)

17 いる観光形態である。

2-2. 国際的なトランジットプログラムの把握

海外の TP を把握するためにインターネットを用いたプログラム調査を行った。

対象とした空港は、花岡ら(2017)が日本と同様に東アジア位置し、ハブ空港として競合する韓国の 仁川国際空港と、香港国際空港、台湾の桃園国際空港を整理した。次に利用者数が多く成長率も高い東・

東南アジア圏の国際空港と、日本の成田と同様に大陸間の際際乗り継ぎをメインとする中東等に位置す る国際空港を整理した。

1)韓国、香港、台湾

韓国、香港、台湾の 3 つの国際空港は共に TP が用意されており、運営主体は韓国が空港運営会社であ った一方、台湾と香港は政府観光局が主体となっていた。韓国は日本と同様に東アジアのハブ空港の機 能強化を国策で目指しており、TP も 8 コースで無料と他の 2 国よりも充実している。ツアー内容は伝統 やエンターテインメント、海岸、まち、寺院、ショッピングなどテーマごとに分けられたプログラム構成 になっている。

多くの国の TP で最短所要時間が約2、3 時間から設定されているのに対し、韓国仁川空港の TP は 空港隣接の複合リゾート施設や空港近くの寺院を活用した 1 時間のコースもあり、短時間のトランジッ トでも参加が可能となっている。移動はすべて TP 専用のバスで移動するため効率的に周遊することが できる。仁川国際空港の公式ホームページでは TP 専用のページが設けられており、日本語も含めた多言 語でのツアーのコース案内、参加方法、FQA など細かく掲載され、ツアー予約もサイト上で行える充実 したサイトページになっている。

香港は、香港の中心地を巡る約 8,000 円のコースと空港周辺を巡る約 12,000 円の 2 コースが用意さ れている。多くの TP が無料ツアーであるのに対して香港の TP は割高である。これは複数の観光施設を 周遊し、移動費と食費も含まれたパッケージツアーであるため有料の設定となっていると考えられる。

香港政府観光局の公式ホームページに TP の専用ページが設けられているが、ツアー内容の紹介だけ

に留まっており、サイト上から予約はできず、英語のみの簡素なページとなっている。台湾の TP は、空

港周辺を巡る午前コースと台北中心地を巡る午後コースの無料の 2 コースが用意されている。移動はす

べて Wi-Fi 付きの専用バスで行われる。台湾政府観光局の公式ホームページ内に TP 専用のページが設

けられており、日本語を含めた多言語で、写真を入れながら内容を時系列に細かく説明したつくりにな

っている。予約はサイト上ではすることができず、所定の申請書をメールで送信することで出来る。香港

の TP は有料でコースは少なく比較的充実はしていないようだが、香港政府は乗り継ぎ時の消費金額や

行動に関するトランジット旅客を対象とした統計を取っており、トランジット旅客には注目していると

考えられる。

(18)

18 2)東・東南アジア

東・東南アジアの国際空港の TP を見ていくとシンガポールのチャンギ空港での TP が充実している。

チャンギ空港の TP(図4)はシンガポール航空とシンガポール政府観光局、チャンギ空港の 3 者が共同 で運営を行っている。政府と航空会社、空港の 3 者が共同で運営を行っているのは世界の TP でも珍し い。3者が共同で運営を行うことは、トランジットビザの法整備、インバウンドプロモーション、航空ネ ットワークによる最適な TP の時間設定やプログラム構築、予約管理、TP の広報、TP に対応した空港 整備などが一体となって行えることに強みである。

ツアー内容は、シンガポールの歴史や文化をテーマとしたヘリテージツアーと、夕方以降に催行され るシンガポールの近代的夜景を楽しむことができるシティサイツツアーの無料の 2 コースが用意されて いる。ツアーの移動は専用のバスで移動する。ツアーの最後には、有効期限 1 年の航空券やホテル代が 割引になるチケットが配られることからシンガポールへの再訪を狙った取り組みであると考えられる。

しかしチャンギ空港は空港施設自体の充実にも力を入れており、空港経営の観点からは空港内消費を増 やしたいという側面もあることから TP はあくまで選択肢の一つとして提供されていると考えられる。

その他の東・東南アジアの国際空港では TP の提供はなく、民間の旅行会社が空港発着のツアーを提 供しているのみであった。これは、こうした国際空港が際際の乗り継ぎではなく、内際乗り継ぎをメイン とした空港であるためと考えられる。

3)大陸間乗り継ぎをメインとする空港

大陸間乗り継ぎをメインとするカタール、UAE(図5) 、トルコの空港では、航空会社が TP の運営を 行っている。東・東南アジアの TP と同様に専用のバスで街中を巡るツアーになっている。

中東の TP で特徴的なのは、乗り継ぎ条件によりホテルが無料で数泊付く場合があることだ。これは、

大陸間に位置し 24 時間空港を活かした乗り継ぎダイヤが設定されているため到着時間が深夜になること が多いため乗り継ぎ時の快適向上のため。またステイすることで滞在時間を延ばし、観光体験や国内消 費を増やすことを目的にしていると考えられる。カタールの TP は、以前は無料で提供されている TP で あったが、人数増加による商業観点とプログラムの更なる充実のため 2018 から有償化が行われた。

この他にユニークな TP が行われているのかヨーロッパ最大の国際ハブの一つであるオランダのスキ ポール国際空港だ(図6) 。この TP は「Layover with a local」という名前で KLM 航空会社が運営してい るもので、利用者は事前に TP 専用のスマートフォンアプリで自分の観光の興味や言語などを選択する ことでアムステルダムに住む地元の住民とマッチングし本人同士が直接やり取りを行う。

ツアーの内容は、マッチングした地元の人と一緒にアムステルダムを自由に観光することになってお

り、参加費は無料で市内と空港間の移動と街中のバーで 1 杯ドリンクが無料で付いてくる。アムステル

ダ ム の 図 4 チャンギ空港 街を個人の好みに合わせて自由に散策することができ、地元の人と交

(19)

19

流やディープな体験ができることがこの TP の特徴である。海外の TP は際際乗り継ぎをメインとする空 港で、インバウンドプロモーション、国内消費、乗り継ぎ時の快適性向上などを目的にプログラムを提供 していることが分かった。

2-2.

海外 TP と成 田 TP

海外の TP と日本の成田 TP を比較し、成田 TP の位置づけを整理する。

成田 TP の詳しいコンテンツ内容は 4 章で記述するが、成田 TP はガイドツアー、セルフツアー、バス ツアーの 3 種類計 12 コースが用意されている。ガイドツアーとセルフツアーの参加費は無料で、空港の 周辺市町を電車や路線バス等を利用して観光する。成田 TP のメインであるガイドツアーは、ボランティ アガイドが参加者の好みに合わせて選択された目的地内でツアーが組み立てられている。セルフツアー は、アウトレットモールや美術館など特定の施設をガイドなしで巡るツアーである。バスツアーは、ボラ ンティアガイドも同伴し周辺市町を有料の専用バスで周遊する内容となっている。参加者対象は、トラ ンジット旅客に限らず成田国際空港を利用する訪日観光客も出発便や到着便の前後で利用することがで きる。TP 参加後は空港内のラウンジやシャワーを無料で使える特典がある。

成田 TP の特徴の 1 つ目として、公共交通機関を使って移動することが挙げられる。多くの TP では時 間効率や観光施設の立地の関係上 TP 専用のバスを使うことが多いが、成田 TP では電車や路線バスとい った公共交通機関を利用して移動する。公共交通機関を利用することで、バスで周遊するよりも時間効 率が下がり目的地も限られる一方で、個々の到着・出発便に合わせた TP を提供することができる利点も ある。

成田 TP の特徴の二つ目として、ツアー数が豊富にあり、オランダの TP と同様に利用者の好みに合わ せたコンテンツを柔軟に提供することができることがあげられる。また、TP 専用の公式ホームページを 持っており、多言語でコースの案内やイベント情報、ツアーの予約、FAQ など充実したサイトのつくり となっている。また成田 TP 公式の Facebook や Instagram が開設されており、トリップアドバイザーの 口コミもあるなど、情報発信に力が入れられていることが特徴として挙げられる。他国と比較して遅く 開始したが、充実したプログラムとなっている。

一方短所としては、ガイドツアーの受付時間が 9 時から 12 時までと短いことがある。これは成田 TP が北米アジア間を移動するトランジット旅客をメインターゲットとしており、この乗り継ぎパターンに

1、 図 5 ドバイ空港

図 6 スキポール空港

(20)

20

合わせた時間設定となっているためである。また他国では導入されているトランジットビザがないこと

も短所といえるが、一般には海港で使われることの多い寄港地上陸許可制度(ショアパス)を適用するこ

とで参加が可能となっている。

(21)

21

表 3 海外 TP と成田 TP

日本 韓国 香港 台湾 シンガポール マレーシア タイ 中国 中国 カタール アラブ首長国連邦 アラブ首長国連邦 トルコ オランダ 空港 成田国際空港 仁川国際 空港 香港国際 空港 桃園国際 空港 チャンギ国際 空港 クアラル ンプール 国際空港 スワンナ プーム国 際空港 北京首都 国際空港 上海浦東 国際空港 ハマド国際 空港 アブダビ 国際空港 ドバイ国際 空港 アタテュル ク国際空港

スキポール 国際空港 総年間利用者数( 20 17 ) 40 ,63 1, 19 3

62,157,83472,665,07844,878,70362,220,00058,558,44058,558,44095,786,44270,001,23735,270,41024,482,11988,242,09963,859,78568,515,425

運営

成田国際空 港、周辺自 治体等

仁川国際空 港

香港政府観 光局 中華民国交 通部観光局

チャンギ国際空 港、シンガポー ル政府観光局、 シンガポール航

民間旅行 会社

民間旅行 会社

民間旅行 会社

民間旅行 会社

カタール航 空、カタール 観光局

エティハド航 空(系列旅行 会社)

エミレーツ航 空(系列旅行 会社)

トルコ航空 K LM オラン ダ航空 運営時間 9: 00 -1 6: 00 7: 00 -1 8: 00 10 :0 0- 18 :0 0 8: 30 -1 8: 15 9: 00 -2 2: 00 8: 00 -2 3: 45 8: 00 -2 2: 00 24h 8: 00 -2 1: 00 24h ツアー料金 無料 無料 有料 ($ 570 -810 ) 無料 無料 有料 有料 有料 有料 有料(Q AR 40 -1 25 0) 無料 有料(割引価格) 無料 無料 ツアー数 12 8 2 2 2 4 2 11 5 1 ツアー時間 3h -4 h 1h- 5h 5h- 8h 4h 2. 5h 2. 5h- 4h 6h- 2h- 2. 5h- 9h 6h- バスツアー 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 × セルフツアー × × × × 〇 〇 〇 × × トランジット用簡易ビ ザ又は免除制度 × 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇(e -V is a) 〇 予約

可可(電話、 メールのみ)可

予約不可 (SQ、MI利用 者のみ可)

可可(航空券と セット)

可(航空券と セット)不可可(予約必須)

参加条件( ビザ・ 航空券以外) 日本国籍以外

なしなしトランジット 時間が7時間 以上24時間以 内

トランジット 時間が5.5時間 以上24時間以 内

トランジット 時間が5時間 以上 航空会社指定 有

トランジット 時間が6時間 以上 航空会社指定 有

なしトランジット 時間が6時間 以上24時間以 内 航空会社指定 有

トランジット 時間が6時間 以上 航空会社指定 有

(22)

22

3 章 成田空港トランジット&ステイプログラム

この章では、成田 TP を文献調査、運営組織へのヒアリング調査、ボランティアガイドのアンケート調査 をもとに実態把握をする。

3-1. 成田空港周辺地域

成田国際空港が位置する千葉県北東部は、成田山新勝寺や佐原の歴史的町並みに代表されるような数 多くの歴史的観光資源を多く有する地域であり、九十九里浜や利根川、森林などの豊かな自然を有し、広 大な台地と温暖な気候を活かした農業が盛んな千葉県の中心的田園地帯でもある。一方で空港周辺は、

航空・物流企業や大規模ホテル、商業施設などの立地が進み、国際物流を中止とした商工業地域とし大き く成長してきている。

空港周辺地域の状況把握のために ArcGIS Desktop によるネットワーク解析の到達圏機能を用いて観 光資源調査を行った。到達圏解析に利用した道路情報は 2018 年時の OSM を使用し、TP がバスで行わ れていることを想定して時速 40 キロ設定で成田空港から片道 30、45、60 分で辿り着ける到達圏を解析 した。到達圏内で日本交通公社 2014 年に選定した「観光資源台帳」に掲載されている観光資源のうち評 価ランクが B 級

1

以上の観光ポイントを出力した(図7) 。

1

*B級:特別地域観光資源「その都道府県や市町村を代表する資源であり、その土地のアイデンティテ ィを示すもの。その土地を訪れた際にはぜひ立ち寄りたいもの。また、その土地に住んでいる方であれ ば一度は訪れたいもの」

図 7 成田空港到達圏

(23)

23

出力ポイント数は 164 か所存在し、同様の解析を行った羽田空港が 109 か所であったことから観光資源 台帳の観光資源数としては成田空港の方が豊富といえる。また片道 45 分で九十九里浜まで到達できるこ とから、現在は行われていない海を資源とした観光プログラムの造成が可能であることが分かった。観 光資源台帳による資源調査であったが、成田 TP は外国人を対象としたプログラムであることから、イン バウンドの観光資源の捉え方は変化する可能性がある。

3-2. 成田国際空港のハブ機能

国際航空旅客動態調査と成田国際空港の時刻表を用いて日本におけるトランジット旅客と OD パターン を把握した。

3-2-1 日本で乗り継ぐトランジット旅客の実態把握

始めに、国土交通省の「2017 年冬ダイヤ国際線就航状況」を基に東京(羽田・成田)に直行便を就航 している日本国籍・外国籍航空会社の就航図をまとめ就航地を地図上で把握した(図8)。左図は世界地 図

2

ではあり、右図はアジア北米中心の拡大図である。東京へは地理的近接上、東南アジア・東アジアに 便数や就航都市が多く、次に北米ヨーロッパに多く就航している。オセアニアや中東にも就航している が一部の国に偏っている。エジプトを除くアフリカ大陸と南米大陸には航空機の飛行可能距離の理由も あり、直行便は就航していない。

次に国土交通省航空局の「平成 28 年度国際航空旅客動態調査」を基に日本で乗り継ぐトランジット旅 客の実態把握を行った。主要国際基幹空港

3

を利用する外国人旅行者の 1 割強がトランジット客であり、

年間で約 265 万人以上が日本を通過していることになる(図9) 。そのうち約 31 万人は 6 時間以上の長 時間滞在しており、政府の東アジアのハブ機能強化政策により今後さらに増えていく可能性があること から TP の潜在的利用者は多い。トランジット客の約 4 人に 1 人は直行便があるものの、経由便を利用

2

一部配置上ラベリングを省略

3

成田国際空港、羽田国際空港、中部国際空港、関西国際空港

図 8 首都圏空港就航図( 「2017 年冬ダイヤ国際線就航状況」 (国土交通省) 「平成 27 年度国際航空旅客動態調査」

(航空局)に基づいて作成)

(24)

24

しており(図10) 、これは到着時間や価格、特定のアライアンス利用によるものと考えられる。トラン ジット旅客が乗り継ぎ空港(日本)を選択する要因は到着時間、乗り継ぎ時間、価格の順で多い(図1 1)。また時間や値段だけでなく、空港や乗り継ぎ国の魅力によって選択している人が一定数いることか ら国や空港は TP の充実によりトランジット旅客を取り込むことが可能であるといえる。実際に成田 TP の利用者はリピーターが多く、こうした人たちの中には TP を目的に乗り継ぎ空港を選択している。

次に空港別の乗り継ぎ OD パターンを整理する。現在日本の際際乗り継ぎが行われている空港の約 9 割は成田国際空港である(図12)。際際乗り継ぎの多くは、アジアから出発し日本で乗り換えを行い 北米・中南米に出発する OD パターン、又はその逆の OD パターンである(図13) 。

また花岡ら(2017)が示した韓国仁川空港の OD パターンと同様に、日本もオセアニア欧州間の OD パターンが存在することが把握できる(図14) 。日本で北米アジア間の際際乗り継ぎが多いのは 地理的優位性に加え、アライアンス

4

や航空会社のネットワーク形成による影響もある。アライアンスに

4

コードシェア便やマイレージサービスの相互乗り入れなど旅客の利便性を図り、集客の向上を目的と 図 9 トランジット旅客数

図 11 乗り継ぎ空港の選択要因

図 10 直行便の有無

(25)

25

関しては、スターアライアンスの米国ユナイテッド航空と ANA、ワンワールドの米国アメリカン航空 と日本航空はそれぞれ共同事業を行っており太平洋ネットワークで連携が行われている。日本との連携 パートナーを持たない米国デルタ航空はノースウエスト航空から継承した以遠権

5

を利用して成田国際空 港をアジアのハブ空港として運用し、以遠権路線でアメリカとアジア各国間を運航している。しかしデ ルタ航空に関しては、2020 年 3 月下旬から全成田路線を羽田に移管し、韓国の同じスカイチームであ る大韓航空と共同事業を開始したことからデルタ航空のハブ機能は事実上仁川空港へ移る。

図 12 「空港別乗り継ぎ前後地」出典:国土交通省、平成 28 年度国際航空旅客動態調査

した航空会社間の連合組織

5

自国から相手国を経由して、相手国から第三国への区間に営業運航を行なう権利

(26)

26

トランジット旅客の乗り継ぎ空港選択がグローバルアライアンスのネットワーク戦略によって変化す

る(花岡ら 2017)ことから、米国交通統計をもとに世界 3 大アライアンスそれぞれに属するアメリカン 航空、デルタ航空、ユナイテッド航空の東アジア諸国とアメリカ間の輸送人数の推移について実態をも とに乗り継ぎの背景把握を行った(図15) 。まず初めに乗り継ぎ空港として東南アジアと北米間におい てトランジットを行う際に競合する韓国、香港、中国、台湾の輸送人数を整理した。アメリカ日本間は東 アジアにおいて最大の輸送量であるものの、推移としては横ばい状態である。一方中国に関してはここ 十年ほどで増加傾向にあり、2014 年には同じく増加傾向にある韓国をさらに上回り 2 位となっている。

図 14 「オセアニア欧州間」出典:国土交通省、平成 28 年度国際航空旅客動態調査

図 13 「アジア北米間」出典:国土交通省、平成 28 年度国際航空旅客動態調査

図 1 5 「 ア メ リ カ 東 ア ジ ア 間 の 輸 送 量 」 Data: US Bureau of

Transportation Statistics, 2018, t-100 international market(all)

(27)

27

中国の増加は、アメリカ中国間の需要拡大と、これまでは日本経由であったアメリカ中国間移動が、直行 便の就航により日本経由でなくても移動ができるようになったことが影響していると考えられる。その ため日本とアメリカ間で輸送量は増加してもトランジット旅客が減ったことで横ばい状態になっている 可能性がある。

日本アメリカ間の輸送量を見ていくと(図16)2011 以降アメリカン航空とユナイテッド航空は日本 の航空会社(JAL と ANA)と共同事業を開始したこともあり安定した推移になっている。一方提携パー トナーが日本にいないデルタ航空は減少傾向である。デルタ航空は、太平洋ネットワークにおいて韓国 の大韓航空と共同事業を開始したこと、2020 年からハブ機能が事実上消滅することからさらに減少する と考えられる。

図 16 航 空会 社別 日米 輸送量 Data: US Bureau of

Transportation Statistics, 2018, t-100 international

market(all)

(28)

28 乗 り 継 ぎ 空 港 と し て 競 争 関 係 に あ る 韓 国(図 17)

と 香 港(図 18)

を 見 て い

くと、韓国においては上記した通り大韓航空とアライアンス連携が影響しているためかデルタ航空が増 加傾向にある。香港でも同様に、香港のフラッグ・キャリアであるキャセイパシフィック航空はアメリカ ン航空と同じワンワールドに属していることからアメリカン航空の増加がみられる。以上のことからグ ローバルアライアンスは、乗り継ぎ空港選択に影響を与えるため、2国間の輸送量推移にも影響が表れ ていることが分かった。なお、グラフは推移把握のため日本の最大値と異なることに留意してもらいた い。

3-2-2 時刻表による乗り継ぎパターン予測

乗り継ぎ OD パターンの整理から時刻表を参照に乗り継ぎの時間パターンを予測した(図20) 。 始めに成田国際空港に到着便・出発便を時間と地域別に分けて整理した縦軸を 1 日当たりの便数、横 軸を時間としている。

6 時の早朝便から 12 時前の午前中、17 時以降の夕方・夜に分けて時間帯による到着・出発地域の特徴 を把握した。午前に関しては東南アジアとヨーロッパから到着便が多く、夕方以降の便は北米・オセアニ アの便が増える。同じ時間帯をアライアンス別でみても同様の地域特性があることが分かった(図21) 。 以上のことから OD パターンを踏まえると成田国際空港での乗り継ぎは午前中にアジアと欧州から到着 し、夕方・夜に北米とオセアニアに向けて出発する時間パターンが一般的であることが分かった(図1 図 1 7 航 空 会 社 別 日 香 輸 送 量 Data: US Bureau of Transportation Statistics, 2018, t-100 international market(all)

図 18 航空会社別米韓輸送量 Data: US Bureau of

Transportation Statistics, 2018, t-100 international

market(all)

(29)

29 9)。

乗り継ぎの地域組み合わせと便数 午前到着 夕方以降出発 アジア 58 便 - 北米 45 便 北米 2 便 - アジア 76 便 欧州 17 便 - オセアニア 12 便 オセアニア 5 便 - 欧州 2 便

また、成田国際空港は LCC を中心に国内線のネットワーク拡大を目指し内際乗り継ぎの機能も強化 されているため国内線の就航地と出発到着便を見ていく(図22)。際際乗り継ぎと同様に午前と夕方・

夜に時間帯を分けてみていくと新千歳、関西、福岡、那覇など主要空港は午前午後共に就航していること から内際乗り継ぎが行いやすくなっている。一方、新潟、小松、高知、北九州、佐賀、長崎、熊本、宮崎、

鹿児島、奄美、石垣、宮古は北米オセアニア発着と同様の時間帯に就航していることから北米オセアニア と国内地方は 1 日で乗り継ぎができず、翌日出発になる可能性がある(図19) 。

図 1 9 航 空 会 社 別 米 韓 輸 送 量 Data: US Bureau of

Transportation Statistics, 2018, t-100 international market(all)

(30)

30

図 20 時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測

(31)

31

図 21 時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測(アライアンス別)

(32)

32

図 22時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測(国内線)

3-3. 成田 TP 設立の経緯と狙い

成田 TP が設立するきっかけとなったのが 2014 の政府か毎年策定している「観光立国実現に向けたア クションプログラム」でトランジット関連の項目が新たに追加された。2014 のアクションプログラム全 体で大きく分けて、オリンピック・パラリンピック関連、訪日インバウンドプロモーション、ビザ要件の 緩和、観光地域づくり、受け入れ環境の整備、MICE の取り組みの6つが重点分野となり、その中で、2 番目のインバウンドプロモーションと 3 番目のビザ緩和でトランジットに関する言及がされた。

訪日インバウンドプロモーション

訪日プロモーションの新たな切り口での展開トランジット旅客のうち、日本に 入国しないで乗り継ぐ予定であったもの(国際線通過旅客)についても、わが国 の良さに触れてもらい、次回への訪日につなげるべく、入国旅客への移行を図る ためのプロモーションを実施する。(観光庁、2014)

ビザ要件の緩和

トランジット旅客のうち、日本に入国しないで乗り継ぐ予定であったもの(国

際線 通過旅客)について、入国旅客への移行を図り、我が国の良さに触れてもら

うことで 、訪日外国人旅行者の増加 、更には、空港周辺地域の活性化や次回の

訪日につながることが期待される。このため、寄港地上陸許可制度が国際線通過

旅客に一層積極的に活用されるよう、制度の悪用防止にも留意しつつ適切な 枠組

図  18  航空会社別米韓輸送量 Data:  US  Bureau  of  Transportation  Statistics,  2018,  t-100  international  market(all)
図  20  時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測
図  21  時刻表による乗り継ぎ時間パターン予測(アライアンス別)
図  25  12 の提供コース

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