• 検索結果がありません。

雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「生きづらさ」を訴える発達障害のロールシャッハ 反応 : 二次障害に焦点をあてて : [修士論文要旨]

著者 石塚 克己

雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要

号 9

ページ 22‑23

発行年 2014‑03‑31

URL http://id.nii.ac.jp/1116/00000336/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

〔 修士論文要 旨〕

問題・ 目的

発 達 障 害児 。者 が感 じる 「生 きづ らさ」 とは ど の よ うな もので ,そ れ は何 に起 因 してい るか とい うこ とが わかれ ば ,彼 らへ の支援 に大 き く接 近 で き る もの と期待 され る。 しか し ,対 人 的相 互 関係

の質的 な問題 ,コ ミュニケー シ ョンの質 的 な問題

,

行 動・ 興 味 の限定 的 ,反 復 的 で常 同的 な様 式 ,の

3領 域 に障 害 が あ る (DSM‐ Ⅳ ― TR,2002)と さ れ る彼 らか ら ,心 理 面接 の場 等 にお い て 自 らそ の こ とが伝 え られ る とい うこ とは極 めて稀 で あ る。

そ こで ,本 論 文 で は ,そ の手懸 りを ロール シ ャ ッ ハ反応 に求 めてみ るこ とに した。発 達障害 の ロー ル シ ャ ッハ反応 の研 究 について は ,近 年 そ の実績

が 蓄 積 され つ つ あ る (辻 井 ら ,1999,2002,2003,

2004)が ,ま だ一 般 的 法 則 性 を導 き出せ る ほ ど の積み重ねがある とは言い難い。 しか し ,反 応数 ・ 初発 反応 時 間 ,反 応 領 域 ,決 定 因 ,形 態水 準 ,反

応 内容 ,平 凡反応 ,さ らに感 情 カテ ゴ リー ,思 考 。 言語 カテ ゴ リー とつ ぶ さに検 討 してい く中で ,  前 にい る発 達 障害児 。者 の体験 世 界 や知 覚過程 を 浮 き彫 りに してい くことは可能であ り ,ロ ールシャッ ハ ・テ ス トは発達支援 の心理 アセ ス メン トの ツー ル と して極 めて有 効 で あ る (明 翫 ,2005)。 発 達 障 害 の典型 例 (一 次 障害 )だ けで な く ,本 論 文 で

は ,「 生 きづ らさ」 を少 しで も軽 減 す るた め の方 策 と して ,症 状 に よる不適応 や ネ ガテ ィブ な体験 が そ の後 の精神 疾 患 の形成 に関連 してい る と考 え られ る二次 障害 に視 点 をあて ,二 次 障害 の軽 減 に 寄 与す る要 因 を さ ぐ り ,生 きや す さへ とつ なが る よ うな端 緒 を見 出 したい。 本研 究 の 目的 は ,発 達 障 害 (一 次 障害 )の 特性 が ,  ロール シ ャ ッハ反応 及 びそ の反応 産 出過程 に どの よ うに現れ てい るか

,

発 達 障害 の二次 障害 が ロール シ ャ ッハ反応 に現れ

「生 きづ らさ」 を訴 え る発 達 障害 の ロール シ ャ ッハ 反応 一 二次障害に焦点をあてて 一

石 塚 克 己

てい るものか否 か ,現 れ てい る とすれ ば どの よ う に現れているか ,  さらに ,そ れ が 日常生活 の現象 とど う対応 してい るのか とい うことを明 らかに し よ うとす るものである。

方法

本研 究では ,「 生 きづ らさ」 ,発 達障害 ことに コ

ミュ ニ ケ ー シ ョン ,対 人 関係 に 困難 さを もつ

ASD(Autism Spectrum Disorder:自 開症 ス ペ ク トラム障害 )の 二次障害に焦点 を当て, ロー ル シャ ッハ反応 について検討 した。事例 を通 して

ロール シャ ッハ反応 に ,発 達 障害の一次障害 と

,

そ こか ら派生す るであろ う二次障害 を検討 し ,さ

らに 同様 の こ とが SCT(文 章 完 成 法 テ ス ト ),

WAIS― Ⅲか らも窺 えないか ,テ ス ト・バ ッテ リー を組 み ,ロ ール シャ ッハ反応 を補完 した。

研究協 力者 :対 象事例 Aと して高校生男児 1名

,

参考事例 B(30歳 代男性 ),参 考事例 C(50歳 代 男性 )の 計 3名 。 対象事例 Aは ,「 高機 能広汎性 発達障害 Jと 診 断 され ,そ の二次障害 として不登 校状態 に陥 り ,  日常を どう過 ご していつた らいい のか戸惑い ,毎 日が生 きづ らい と訴 えていた。 ま た ,対 象事例 Aの 状態像 を よ り的確 に捉 えるため に ,「 アスペル ガー障害 Jと の診断 を持 つ参考事 例 Bと ,未 診 断ではあ るが ,発 達障害様 であ り思

春 期 以 来約 40年 間 ,生 きづ らさを抱 えて きた参 考事例 Cに ついて も比較検討 を行 つた。期間 :X

年Y月 か ら X+2年 Y+3月 。場所 :Z大 学大学院心 理 臨床相談セ ンター ,公 共施設等 ,守 秘可能 であ る と判 断で きる空間。面接 および心理査 定の手続 き :調 査 の実施 に際 し ,協 力者 に ,研 究倫理遵守

に関す る誓約書 ,研 究協力依頼書 についての説 明 を し ,同 意 を得 た後 ,面 接お よび心理査定 を実施

‑22‑

(3)

「生 きづ らさ」 を訴える発達障害の ロール シャ ッハ反応   石塚克 己

した。心理査定は ロール シャッハ・テス トを基本 に ,SCT,WAIS― Ⅲの 3種 を実施 し ,ロ ールシャッ ハ・テス トについては ,協 力者 の 日常生活 の現状 に合わせ ,一 次障害 を見 出す ために約 半年 の間を あけ ,各 人につき 2回 施行 した。なお ,ロ ールシャッ ハ 。テス トは名大法に従 った。

結果・考察

発 達 障害 と りわ け ASDの 特性 につ い て ,様

な傾 向が述べ られてはい るものの ,共 通 した一定

の見解 は得 られ てお らず (北 村 ら ,2006),心

検査 の反応産 出過程 で どの よ うな特徴 があ り ,そ

れ が 日常生活 の現象 とどう対応 し合 ってい るかに 着 目す るこ とに よつて ,臨 床 心理学的援助 に貢献 す ることが可能 になるのではないか とい う内 田 ら

(1999)の 見解 が支持 され た。

① ロールシヤッハ反応にみ られ る一次障害の特性

:

対象事例 Aに は ,反 応数 が少 な く ,反 応 時間が遅 い等の特徴が ,参 考事例 Bに は ,反 応 は速いが

,

W%が 高い ,Tur%の 低 さ等 の特徴 が ,参 考事例 Cに は ,W%の 高 さ ,CRの 低 さ等 の特徴 が見 ら れ た。

② 反応産 出過程 :対 象事例 Aは ,問 いかけに どう 答 えた らいいのかわか らず ,一 生懸命 にそれ を探

してはい るが ,反 応 に時間がかかつてい る。決 し て努力不足でない とい うことが理解 され る。参考 事例 Bは ,問 われ ることに 自分のペースで淡 々 と 答 え ,頻 繁 なエ コラ リアが見受 け られ る等 ,ア

ペルガー障害の特徴が強 く感 じられた。参考事例

Cは ,自 説 の正 当性 にこだわ り ,そ れ が奇異 な も のであって も曲げることな く反応 を産出 していた。

③二次障害 :再 テス トで反応数が増 え ,以 前 とは 異なるソフ トな感 じの対人認知ができるよ うになつ た対象事例 Aの 変化 が ,最 も顕著 であった。 これ は ,二 次障害 に関す る改善 の兆 しを示唆す るもの

と考 えていいのではないだろ うか。

④ 日常生活の現象 との対応 :3事 例 を比較す る と

,

日常生活 において も ,参 考事例 B,参 考事例 Cに

比べ ,対 象事例 Aの 変化が最 もダイナ ミックであつ

た。特 に感情面の変化 は大 きかった (感 情面 の揺 れ は ,思 考 ,行 動等 に先 立 って これ らに大 きな影 響 を及 ぼす ものか も しれ ない。 )。 その他 3事 例 は

,

繊黙 的であった り ,頻 繁 なエ コラ リアがみ られ た り ,か な り強い固執性 を持 ってい るな どの一次障 害に加 えて ,不 登校 ,強 迫 的行動 ,パ ニ ック障害 による入院歴等 ,二 次障害 に も苦 しんだ経験 を持 つ ,あ るいは治療 中であった。 ロール シャ ッハ反 応 においては ,認 知 の仕方や ,感 情 の不安定 さに その特徴 が見 られた。他人の視線 が とて も気 にな り ,そ れぞれ特有の見方 を してい ることが明 らか にな り ,そ れ は 日常生活 にお い て もみ られ た。

SCTに お い て は 3事 例 とも 自分 の悩 みや 日頃 の や りきれ な さが吐露 され ,WAIS― Ⅲ にお いて は 二人三様 ではあるが ,得 意 ,不 得意 の領域や その 程度等 がかな りわか るよ うにな り ,今 後 の心理面 接や 日常生活 の場面での関わ り方や支援 への ヒン

トが直接 ,間 接 に得 られ た。

以上の こ とか ら次の よ うな結論 に達 した。

(1)発 達障害 の一次障害 の特性 は ,初 回テ ス トと

再テ ス トの 2回 の検査 を実施 し ,そ の共通点 を見 出す ことで明 らかになった。 さらに ,ス コア リン グ (数 値 )や 反応 内容 だ けでな く ,そ の反応産出 過程 が重要であ り ,表 情 ,態 度 ,言 葉づかいな ど

,

非言語 的表現 を丁寧 に観察 し ,分 析す るこ とで

,

個別 的な障害特性 を見 出す ことができるのではな いか と考 え られ る。 また ,(2)発 達障害 の一次 障 害の特性 を明 らかにす ること ,一 般 的な障害特性 に共通 しない ,個 別の反応 を見出す ことができた。

さらに ,そ れ が ,  日常生活 の現象 とど う対応 して い るのかを検討す ることで ,臨 床 心理学的支援 の 視点 を見出す ことがで きるのではないか と考 え ら オ

1ノ

る。

生 きづ らさや 二次障害は ,  ロール シャ ッハ・テ ス トのス コア リングや反応 内容等で見 られ る以上 に ,反 応産 出過程 によ く現れ ていた。 この反応産 出過程 を丁寧 に検討 してい くことで ,生 きづ らさ

や二次障害 を深 く理解 し ,支 援 に生か され てい く と考 え られ る。

‑23‑

参照

関連したドキュメント

2.1で指摘した通り、過去形の導入に当たって は「過去の出来事」における「過去」の概念は

NGF)ファミリー分子の総称で、NGF以外に脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフ

大村市雄ヶ原黒岩墓地は平成 11 年( 1999 )に道路 の拡幅工事によって発見されたものである。発見の翌

90年代に入ってから,クラブをめぐって新たな動きがみられるようになっている。それは,従来の

 大正期の詩壇の一つの特色は,民衆詩派の活 躍にあった。福田正夫・白鳥省吾らの民衆詩派

現実感のもてる問題場面からスタートし,問題 場面を自らの考えや表現を用いて表し,教師の

[r]

雑誌名 金沢大学日本史学研究室紀要: Bulletin of the Department of Japanese History Faculty of Letters Kanazawa University.