酪農学園大学紀要 別 刷 第 31巻 第 2 号
Reprinted from
”Journal of Rakuno Gakuen University”Vol.31,No.2(2007)
酪農担い手育成・参入のための支援システムの確立研究
須 藤 純 一
The Support System of Successor to Dairy Farming
Junichi SUDO
要 約
将来酪農経営に従事しようとしている後継者や新 規就農者への就農支援とその場合の生産技術や経営 管理等の実践的な教育,同時にその場合の理論と実 技等を評価するシステムが不十分な実態にある。こ のような現状から,各地域における後継者の実学教 育を支援する方法について,浜中町における実例を 素材にして今後の支援システムの確立と就農評価に ついて検討し,今後におけるその具体的方途につい て提案した。
1.就農支援評価プログラム作成に関する調査研究
⎜ 後継者資格認定基準の策定試論⎜
1) 酪農後継者教育の実態
わが国において将来酪農経営に従事しようとして いるいわゆる後継者(既存,新規就農者)に対する 実践的な就農教育は,諸外国(EU等酪農先進国)に 較べてはなはだ弱いという実態にある。せいぜい農 業高校や専門学校あるいは農業系大学において行わ れている若干の実学(多くは大学の付属農場におけ る実習と短期農家委託実習)を含む理論学習がその 基本的な内容である。
したがって,学校教育終了後の生産現場における 実践的な教育は,地域や各経営内に任されて行われ ているのが実態といえる。地域には農協組織として 酪農青年部等の組織があり一定の活動は行なわれて いるが年1,2回程度の視察研修が主要なもので系 統だった研修は無に等しい。また,就農のための資 格評価やその認定も行われていない。さらに現状の 認定農業者制度は,就農者教育は伴っていない。こ こに現在の就農者教育の大きな問題がある。
酪農畜産,広く農業の国際化が浸透している中に あって,幅広くかつプロ意識を持った後継者を育成 するための実践的な就農者教育は現実的な生産現場 からの要請でもある。諸外国からの受け売り的な各 種情報の提供のみでは,地域に根ざした自立的な後 継者の養成にはならないことは明確といえよう。
2) 浜中地域における現状の就農支援についての 調査
⑴ 地域の概況と就農支援
浜中町は北海道東部にある釧路市と根室市のほぼ 中間に位置した酪農と水産業を基幹とした平地とな だらかな丘陵地に酪農が展開している。当地域は,
夏には海岸線を中心に海霧が多く発生し,冷涼な気 候 条 件 下 に あ る。こ の た め,年 間 の 平 均 気 温 は 5〜6℃と低温であり,耕種経営は不可能のため,古 くより牧草栽培による酪農経営が定着して発展して きた。
牧草地面積は,15,291haに及 び 乳 牛 頭 数 は 約 20,000頭,生乳生産 90,400tに達している。酪農家 戸数は 209戸,1戸当たりの草地面積は 55ha,乳牛 飼養頭数は約 100頭,牛乳生産量約 430tの比較的 大規模酪農が展開している。当地域においても近年 高齢化や後継者不足に見舞われており,独自の担い 手確保のための各種事業や支援を行っている。
その大きな柱になっているのが,浜中町農業新規 参入促進事業 である。これは浜中町が中心になり,
町内の関係機関・団体,先進農家等の協力を得なが ら農業体験や新規就農を希望する人々への営農技術 の習得や新規就農後の経営安定のための支援を行う ものである。このように浜中町は地域独自の就農教 育を先駆的に試みているモデル地域といえる。
社団法人北海道酪農畜産協会(酪農学園大学非常勤講師)Hokkaido Livestock Association 札幌市中央区北4条西1丁目北農ビル JA Hokunoh Building Kita4 Nishi1 Chuoku Sapporo 所属学会:日本農業経営学会,北海道農業経済学会,北海道畜産学会,北海道草地研究会
酪農担い手育成・参入のための支援システムの確立研究
須 藤 純 一
The Support System of Successor to Dairy Farming
Junichi SUDO
(October 2006)
当試論は,浜中町におけるこのような取り組みの 実態把握から今後の実践的な就農教育やそのための 資格認定等について検討するものである。
⑵ 浜中町における酪農後継者育成支援システム 酪農後継者確保に向け,平成3年より浜中農協が 独自で新規就農者研修牧場を運営し,同時に新規就 農に向けた各種の研修事業を実施している。このこ とで他産業からの未経験者を新規就農候補者として 研修できる支援システムを全国に先駆けて構築して いる。研修牧場の創設と同時にこの事業を円滑に推 進する組織として地域の農業関係機関・団体・受け 入れ農家等による 浜中町新規参入促進事業推進協 議会 を設立した。営農技術の習得と同時に新規入 植の開始を支援し,入植後の経営安定のための各種 支援を行うものである。
研修牧場では希望者を夫婦単位で受け入れ,研修 牧場において営農技術の習得支援プログラムによっ て主として実技を中心にした研修を行っている。研 修内容は,未経験者の場合概ね3年間を基本にして おり新規入植者の技術習得レベルに対応した柔軟な 内容である。酪農経験者の場合には,その経験状況 に応じて短縮される。就農者は,研修牧場のみでな く地域の一般農場(協力農家)においても研修でき るように配慮されている。
研修牧場による新規就農者への実習と研修プログ ラムは表1に示すとおりである。その内容は,3年 間において実技実習と理論研修に大きく区分され る。
研修後は,新規就農のみでなく町内の酪農ヘル パーとしての就職の道も開かれており,また町内農 家への後継者(花嫁,花婿)として就農できること なども広くPRされている。
⑶ 推進体制
研修牧場を核にした推進体制としては,浜中町就 農者研修牧場事業推進委員会,同専門委員会を設置 して以下の事業や活動を行っている。
①新規就農希望者の募集活動:ポスターやパンフ レット等のほか関係機関の情報ネットワークを積 極的に活用した活動。農業関係大学・高校・専門 学校へのPR。
②実習および理論研修:農業改良普及センター,農 業共済組合,農協等が連携しながら最新の飼養管 理,経営管理の研修等を行う。
③後継者の配偶者対策:浜中町農業後継者対策協議 会と連携し実習希望者等を養成して花嫁確保を図 る。
④学校卒業者の技術教育:若い後継者の技術習得を 重点にし特に技術交流の少ない分野の普及を図 る。
⑤営農技術体系の確立:草地酪農地域としての基盤 を生かし,各種酪農支援システムと連携しながら 将来展望に立った経営方式および技術体系の確立 とその普及に努める。
2.農協等支援機関の後継者教育の実態
1) 後継者教育
地域の後継者への支援内容や具体的な組織活動
(青年部等)についての調査を実施した。後継者に対 する地域や農協としての組織的で系統だった営農教 育は行われていないのが実態である。青年部活動等 で単発的な研修が主体である。近年では農協等で 行っているのは,中山間事業等を活用した海外研修 が上げられる。これは短期研修であり,現在は農協 女性部と青年部に対してアメリカとヨーロッパおよ
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表 1 新規就農者実習・研修プログラム
実 習 理 論
1年目 1.研修牧場での作業 2.個別農家での作業
1.研修牧場の作業マニュアルの理解 2.普及センターの各種ゼミへの参加 3.粗飼料の生産技術
4.農業情報の処理 2年目 1.研修牧場の作業全体の管理
2.牧場経営収支の見方 3.牧草収穫作業(育成牧場)
4.ほ場管理作業(肥培管理)
1.ほ場管理 2.飼養マニュアル 3.農業簿記の記帳 4.営農計画の作成 3年目 1.牧場全体の管理
2.営農計画の作成
3.牧草収穫・ほ場管理作業 4.個別農家での作業 5.必要に応じた部門別作業
1.営農長期計画の作成 2.農業簿記の記帳 3.青色申告書の作成 4.酪農全体作業手順
びニュージーランドへの海外視察研修が過去3ヵ年 に亘って行われている。
当面する課題としては,地域内後継者(特に他産 業からのUターン者)から望まれている酪農後継者 養成とその就農支援対策等も含めた総合的後継者研 修の確立が上げられる。
2) 農協としての支援対策
平成 18年に農協が新たに設置した就農推進や規 模拡大に向けた新規投資等を支援する営農コンサル テーション室の内部充実とその機能強化が課題にな る。現状では,既存経営の新規投資に当っての実態 把握と投資内容や投資限界などの支援が主体であ る。これは,北海道酪農畜産協会の経営診断分析事 業を活用した各種の支援を行っており,経営診断に よって投資対象経営の問題点や課題あるいは投資限 界等について経営診断結果に基づいて今後の対応策 や支援方向についての具体的な支援を行っているも のである。
3) 大学等との連携
浜中町は3年前より酪農学園大学と協定を結び後 継者や就農予定者の実学教育を行っている。この実 学教育の現地集中講義を地域の後継者教育に活用す ることが可能であり,また有効である。これを地域 の後継者への実践的な教育としていかに有効に生か し定着させるかが今後の大きな課題と考えられる。
これは,同時に農業系大学の地域農業への実践的な アプローチとその貢献も問われるものでもあり,地 域農業の持続的で安定的な発展に対する多面的な支 援機関としての大学教育のあり方やその内容が問題 になろう。
アメリカの州立大学等には農業専門の後継者育成 プログラムがあり,エクステーション専門の教員が 配置されて後継者養成を行なっている。就農者教育 は,理論と応用(実学)が統一的に行なわれること で生産現場において生かされるものである。このよ うな点では,かつて酪農学園大学において行なわれ ていた短期大学の2コース(季節的に労働が閑散な 冬季間に理論学習を行い3カ年で短期大学の単位を 取得する)がその先駆的モデルといえる。
4) 新規就農者からの意向調査
離農地等に新規に就農した経営者からの就農する に当っての各種の問題についてアンケート調査を 行った内容について表2に示した。これは,北海道 農業開発公社が事業として行っている公社農場リー
ス事業を活用して就農した経営者 51名に行ったも のである。
項目の中で一番多いのが資金・担保力不足だが,
次いで多いのが技術力不足や経営管理能力不足であ る。この経営者としての基本的な項目を加算すると 約3割を占めている。さらに第三として地元関係機 関の支援不足が上げられている。また,融資や研修 制度等の情報不足などもあり,新規就農者に対する 各種の支援対策は不十分なことが理解される。
このような実態から判断しても,後継者や新規就 農者にたいする支援対策はきわめて重要で早急に整 備すべき課題と考えられる。
3.就農予定者の評価・研修プログラムの作成
1) 酪農基礎知識の評価と習熟度チェックおよび 研修と評価項目(単位,レベル評価)
酪農経営全体としての基礎知識は,評価対象後継 者の就農以前の酪農経営に関して受けた教育内容や 期間(高校,専門学校,大学)によって若干異なる ものだが,当該評価は実践的な評価になるため,再 度履修しその習熟度について検証するものとする。
それらの研修項目と評価は以下の内容となる。
⑴ 乳牛の飼養管理についての研修と評価の大項目 と小項目 ( )内項目を1単位とする
・乳牛の繁殖生理(繁殖サイクル,発情の兆候と 発見,授精記録,分娩の準備と管理,助産の方 法)
・乳牛の栄養管理(各ステージ別栄養管理と飼料 給与,飼料給与方式,飼料設計)
・乳牛の衛生管理(牛舎内作業,異常牛の発見,
牛舎消毒)
・乳牛の搾乳作業(作業手順,ミルカーの手入れ,
点検,バルククーラーの洗浄)
・哺乳・育成牛の管理(分娩直後の管理,初乳給 与,カーフハッチの管理,育成牛舎の飼養管理)
表 2 新規就農者の入植時の問題
項 目 人数 割合(%)
資金・担保力不足 29 24.2
技術力不足 19 15.8
経営管理能力不足 14 11.7 融資・研修制度の情報不足 9 7.5 関係機関の支援不足 15 12.5 知らない土地の不安 14 11.7
住宅事情が悪い 8 6.7
その他 12 10.0
注) 複数回答あり
・乳牛のふん尿の管理・利用(ふん尿処理作業,
固液分離,スラリー処理,ふん尿処理機械)
・乳牛群検定成績の見方とその活用(実績におけ る問題点の把握,課題と改良目標の具体化)
⑵ 自給飼料栽培管理と貯蔵に関する研修と評価大 項目と小項目
・飼料作物・牧草の栽培と管理(年間の栽培と作 業日程,採草地・放牧地肥培管理,サイレージ 用とうもろこしの栽培管理,圃場台帳の整備と 管理)
・牧草調製作業(1番草の特徴と収穫作業,2番 草の特徴と収穫作業,3番草)
・サイレージ調製作業(細切サイレージ,ラップ サイレージ,コーンサイレージ)
・乾草調製作業(ロールベール調製,収納作業)
・放牧作業の手順(牛道・牧柵補修,電気牧柵の 管理,牧区編成,放牧地管理,年間放牧のロー テーション)
⑶ 牛舎・施設・機械の管理に関する研修と評価大 項目と小項目
・牛舎の保守管理(日常の点検,換気のチェック,
飼槽のチェック,牛床の衛生管理)
・施設の管理(牛乳処理室の衛生管理,バンクリー ナーの点検,バルククーラーの保守点検,ミル カーの保守・点検,給水施設の保守・点検)
・牛舎内飼養管理機械の管理(ミキシングフィー ダーの保守・点検,給餌ステーションの保守・
管理,ふん尿排泄ローダーの保守・点検)
・圃場の各種管理機械の保守・点検(トラクタ,
モアー,テッター,ハーベスター,マニュアス プレッダー,バキュームカー,ダンプトラック,
ロールベラー,ラッピングマシーン等の保守・
点検)
⑷ 経営管理項目と経営評価(自己評価,客観的評 価)および課題の設定
この項目は,将来経営者として自立するための必 要不可欠な項目であり,後継者の研修の総まとめと して位置付けされる部分である。
・繁殖管理台帳の整備(分娩・授精台帳の整備と 記帳,導入・販売の記帳,疾病・治療記録)
・乳牛改良目標と計画(乳牛個体管理と改良目標)
・飼料給与計画と記録(成牛飼料給与:搾乳牛,
乾乳牛,哺乳・育成牛飼料給与)
・自給飼料栽培と調製計画(土地条件の把握と飼 料栽培計画,ふん尿還元と肥培管理計画)
・経営計画の策定(営農収支計画,投資計画,乳 牛増殖計画,淘汰廃用計画)
・ ク ミ カ ン 収 支 進 行 管 理(営 農 計 画 と 実 績 の チェック,営農計画の修正)
・営農終了後の1年間の実績評価(自己実績点検,
問題点と課題の整理,総合評価)
⑸ 評価の方法
各項目毎の研修内容についての評価は,大きく基 礎理論と実技演習に2区分して行うことになる。基 礎理論は単位取得による評価とし,実技は習熟度に よる評価とする。
・基礎理論:単位による評価(1・2・3…)ペー パー試験によるものとする。
・実技演習:習熟度による評価(A・B・C)研 修牧場あるいはマイスター農家(指導農業土等)
等による評価とする。
4.酪農後継者と就農希望者の資格認定総合評価に ついて
1) 経営目標の明確化に関する項目とその妥当性 についての評価
酪農経営は,牛舎を始めとして多くの施設や各種 の機械の装備が不可欠であり,それらはまた一定の 期間による更新が必要とされる。したがって,飼養 方式等の経営目標と同時にこれら各種施設や機械の 装備計画が不可欠となる。これらはハードの装備と 併せその効果的運営のためのソフトがきわめて重要 な経営者としての素質とされる。したがって,それ らに対する将来方向や考え方の整理が重要なファク ターになる。
・将来の経営に対する目標設定の程度(明確又は 不明朗)
・飼養方式の選択(タイストール,フリーストー ル,搾乳ロボット,自動給餌機型)
・飼料給与方式(分離給与,TMR給与,組合せ給 与,放牧利用の可否)
・家族構成と労働力編成(核家族,2世代)
・既往負債の償還及び新規投資・借入計画(短期,
長期計画,資金返済計画)
・住宅環境の構想(2世代各住宅,同居方式)
2) 将来計画と実現性の評価
経営目標の策定によって,次にはその具体的な装 備内容についての計画とそのチェックが課題にな る。経営のシミュレーションとそのための各経営要 素の確認とその組み合わせなどの妥当性や実現性へ の評価が必要である。
・畜舎・施設・各種機械の装備内容(建築コスト,
ランニングコスト)
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・飼料生産と飼料給与計画(適正規模,飼料自給 率,ふん尿活用)
・乳牛の増殖計画と改良目標(乳牛の改良度と適 正技術)
・短期・中長期の経営計画の作成とその妥当性と 実現性
・経営実績の分析による客観的評価(コンサル テーションによる)
3) 経営者として自立するためのスキルアップ計 画への支援
自立した経営者になるためには,多くの経験やそ のためのスキルアップが不可欠である。特に自家経 営外における経験が重要である。このことも酪農後 継者として十分わきまえておく必要がある。このよ うな後継者自身のスキルアップ計画とその支援が必 要であり,これは関係機関による具体化と推進が不 可欠である。以下の2点について支援を行なう。
・自己訓練計画,実習計画の作成(地域内外,国 内外)支援
・グループデスカッションによる相互交流と自己 確認・自己評価支援
5.推 進 体 制
1) 就農者育成推進・評価委員会の設立
地域における後継者就農教育の推進とその評価を 具体的に実施するためには,その推進体制がきわめ て重要になる。浜中町を事例にそのことについて検 討してみる。その体制として就農者育成推進・評価 委員会を設立する。これは地域の関係機関や既存組 織の利用と再編(浜中町営農推進協議会等)によっ て行なうことが効果的と考えられる。これに外部の 関係機関や教育機関を含めた推進と評価委員会を構 成する。
実技の評価には,新規就農者研修牧場や現状の新 規就農者育成への協力農家の協力とその活用が有効 と考えられる。さらに実技習熟度評価のためには,
地域のマイスター経営者(研修の各大項目において 地域のトップレベルにある)の認定を行なって,そ の協力によって習熟度の判定を行なうことが可能に なる。なお,マイスター農家の認定は,上記就農者 育成推進・評価委員会において客観的に行なうこと になる。この場合地域の指導農業士経営も対象にな り,その協力を得ることが現実的であり必要と考え られる。
2) マイスター経営による実技習熟度評価の大項 目と評価項目
実技習熟度評価の大項目は理論研修の項目に順ず るが概ね以下のような項目について習熟度の評価を 行なう。その評価表は表3のような形式によって行 なうものとする。
・乳牛飼養管理部門(繁殖生理,栄養管理,飼養 方式の特徴,乳牛改良)
・自給飼料生産部門(放牧利用,通年サイレージ 利用,ふん尿活用と肥培管理)
・経営管理部門(クミカン収支計画,税務処理,
経営評価)
3) 農協等地域の推進事務局と協力支援機関 浜中町の場合には就農者教育についてすでにいく つかの先駆的な取り組みやその推進体制が構築され ており,現状の体制をより整備して推進事務局を確 立することが可能である。以下のような事務局と関 係機関による推進体制の確立が望まれる。
・推進事務局:現営農課 コンサルテーション室
・酪農学園大学等の教育機関
・道立試験場,地域農業改良普及センター
・各関係機関(道酪農検定検査協会,道酪農畜産 協会等)
6.まとめと課題
遅れの目立つ農業経営者育成支援システムと評価 プログラムについて検討し,今後の方向や具体的な 内容を提案した。酪農経営等においては,後継者の 確保と同時にその自立化に向けた育成と支援対策が 早急な課題である。酪農においては,近年農業開発 公社のリース農場利用による新規就農以外に離農農 家との相対による農場継承のケースも増加してい る。
今後とも各地域や経営条件を生かした多様な新規 表 3 評価項目と評価(単位,習熟度)表(一部抜粋)
大項目 評価項目 単位 習熟度
繁殖サイクル 1
発情の兆候と発見 1 B 乳牛の
繁殖生理 授精記録とチェック 1 A
分娩の準備と管理 1
助産の方法 1 A
各ステージ別栄養管理と飼料給与 2 乳牛の A
栄養管理 飼料給与方式 1
飼料設計(搾乳牛,乾乳牛) 2 B
就農や農場継承が考えられる。したがって,このよ うなケースバイケースの就農スタイルに対応した支 援システムと実践的な経営者養成プログラムの確立 が求められている。この場合の核になるのが農業系 大学等の教育機関であり,その役割に大いに期待し たい。当面,生産現場に立脚した効果的な就農プロ グラムの確立とその支援システム体制整備が課題で ある。なお,支援システムについては各地域の実情 などから多様な方法が考えれる。
補足) マイスター制度は旧西ドイツで行なわれてい る職業資格制度のことである。旧西ドイツでは,職 業教育,資格制度,職業別労働組合が一体的に機能 しており,それぞれの専門教育を受けて一定の資格 を取得しなければその職業につくことができない。
その具体的な内容は,3年間の職業学校(見習)と それに続く3年間の実務経験および専門学校をへて 各州が行なう資格試験に合格しなければならない。
見習期間中は,農業会議所が斡旋するマイスター資 格を持つ農家(1年毎に変わる)に住み込み週1日 は職業学校に行き,他の4日間はマンツーマンでマ
イスターから農業技術を習得する。職業学校を修了 後は労働報酬や労働時間などが保障された職人とみ なされる。さらにマイスターの資格を取得すれば農 業技術者としての社会的評価を得ることができる。
引用および参考文献等
⑴ 日本型畜産経営継承システムフォローアップ 勉強会報告書 社団法人酪農ヘルパー全国協会,
2005年。
⑵ 新しい酪農技術の基礎と実際 ⎜ 実技編 ⎜ 社団法人酪農ヘルパー全国協会,2002年。
⑶ NATIONAL QUALIFICATIONS RECORD BOOK FOR National Certificate in Agricul-
ture Level 2 Introductory Farming Skills
(日本訳)社団法人 酪農ヘルパー全国協会,
1998年。
⑷ 浜中酪農の次代の担い手を育てる酪農支援シ ステム 浜中町新規参入促進事業推進協議会,
1999年。
⑸ 農業の継承と参入 社団法人 農山漁村文化協 会,1998年。
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