• 検索結果がありません。

アメリカにおける「コミュニティ・サービス学習」 の構造

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "アメリカにおける「コミュニティ・サービス学習」 の構造"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

著者 唐木 清志

雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 教科教育学篇

30

ページ 1‑21

発行年 1999‑03‑23

出版者 静岡大学教育学部

URL http://doi.org/10.14945/00008336

(2)

静岡大学教育学部研究報告 (教科教育学篇)第30号 (1999.3)1〜21

アメ リカにおける 「コ ミュニテ ィ・ サー ビス学習」 の構造 A Structure of Community Service-Learning in the Unite States of America

木 清 Kiyoshi KARAKI

(平成 10年10月 5日受理)

は じめに 一研究の目的一

「国家があなたに何を して くれるのかを考えるのではない、あなたが国家に対 して何をで き るのかを考えなさい。」 これは、ケネデ ィ (John F.Kerlnedy)大統領 の言葉であ る。近年 の アメ リカでは「 コ ミュニティ・ サー ビス学習 (Cornmunity Service― Leaming)」1)(以下、略 して「 サービス学習」という言葉を用いることとす る)に関す る議論が盛んであるが、 その議 論の支持者たちは、必ず と言 っていいほどに この一節 を引用す る。 そ して、 アメ リカで は、

「相手のために気を配 って尽 くす こと」(『オ ックスフォー ド現代英英辞典』)と い う意味での

「サー ビス」が、伝統的に国家および市民の精神的基盤 となってきたことを強調す る。

しか しその一方で、彼 らは、そのような「 サー ビス」の精神が、近年、アメ リカ市民 の間で 薄 らいできたことを憂慮す る。いわゆる、 アメ リカ市民 の個人主義的 な (individualistic)傾 向である。そのような傾向は、「 コ ミュニテ ィ」(「社会的相互依存関係 にあ り、共 に討議 や決 定 に参加 し、他者の利益や倫理 にかな う活動を共有す る人 々の集団」2))を破壊 し、人 間相互 の結 び付 きを希薄なものとした。 このままではアメ リカ社会その ものも崩壊 しかねない、 とい うのが彼 らの主張である。その原因を特定す るために多 くの研究者が議論を重ねている。 その ような中で、特 に教育 に関す る領域では、公民教育 (civic education)3)の 不十分 さをあげる 論者が多 い。例 えば、 ウェー ド(Rahima Co Wadの は、『 コ ミュニテ ィ 0サ ー ビス学 習』

(1997年)の中で、「個人の権利ばか りを重視 しようとす る社会の考え方 は、民主主義 の下 で公 民教育 を実践す るためには不適切な指針 となる」4)と指摘す る。その上で、「 その代 わ りに、公 民教育の もう一つの見方、すなわち、個人主義的な ものと共同主義的な ものとの両者 によ って 導 き出される見方が提示 されるべ きである」5)と述べ る。そ して、最終的に、ウェー ドは、「サー ビス学習」に、次のような性格が与え られ、実践 されるべきであると主張するのである。すな わち、「公民教育 の一つのス トラテジーとしてのサー ビス学習 は¨¨・、多様な民主社会 におい て、年齢・ 性別0人種・ 民族・ 階級・ 能力の間のギャップを埋めなが ら、共有 された目標 の下 に協働することで、われわれを統合す るという潜在能力を持 っている」 (傍点筆者)。

本研究の目的は、近年のアメ リカにおける「 コ ミュニテ ィ・ サー ビス学習」の議論を整理 し、

その構造を明 らかにすることにある。その際、特 に、歴史的・ 制度的・ 方法的の三方面 か らア プローチす ることとした。具体的には、第一 に、「 サービス学習」 の歴史的変遷 を、 アメ リカ

(3)

社会における青少年 による「サービス」の歴史、そ して、学校教育 における「 サー ビス学習」

の歴史 という二側面か ら明 らかにする。第二 に、近年の「サー ビス学習」の制度的な確立 を、

1990年に制定 された「国家 とコミュニティ 0サ ービス法」を取 り上げ、その制定過程および内

容を分析す ることか ら明 らかにす る。そ して、第二 に、「サー ビス学習」 の学校 カ リキュラム ヘの統合のされ方およびその学習プロセスの一般的傾向を明 らかにする。

「 サー ビス学習」は社会科教育 と無縁ではない。その議論を整理す ることは、社会科教育 の コアである「公民的資質 (Citizenship)」 の育成を考える上で有益な作業 となるであろう。

コミュニティ・ サー ビス学習の歴史的変遷 (1)ア メ リカにおける「 サー ビス」の伝統

アメ リカ人 にはしば しば「個人主義者 (individualists)」 というレッテルが貼 られる。で は、

この「個人主義」には本来 どのような意味があるのだろうか。

個人主義 には二つの側面がある。一つは、「 自己の力を信 じてた くま しく生 きてい く積極 的 な個人主義」 という肯定的な側面である。 もう一つは、「個人が強い自信を抱 くということは、

その反面 として他 に対す る思 いや りを欠 くということにな り、また協調の精神が乏 しいとい う ことにもなる」 という否定的な側面である7、 今 日のアメ リカ社会が、前者 の肯定的な側面 の 性格を有す る市民 によって建設0維持 されてきたことは疑 いのない事実である。 しか し、近年

「 サー ビス学習」を支持す る論者 は、後者の個人主義の否定的な側面 に目を向ける。つ ま り、

それがアメ リカ社会で無制限に拡大 したために、アメ リカ社会 は分裂の危機 にあるというので ある。本来、個人主義の肯定的な側面 と否定的な側面 は、「他者 に危害 を及 ば さない範囲で 自 己追求や自己決定の権利が最大限に保障 される反面、義務や責任、自己管理能力が各個人 に厳 しく求め られる」8)とぃぅかたちで、バ ランスをとるものとアメ リカで はみな されて きた。 し か し、近年の家族生活 0宗教的伝統の崩壊や地域的政治参加の形骸化 は、そのようなバ ランス が もはやとれな くなってきているという危惧をアメ リカ市民に抱かせるに至ったのである。マッ キ ンタイヤ (Alasdair Maclntyre)の 『美徳なき時代』、ベラー (Robert N.Bellah)の『 心 の習慣』、 ブルーム (Allan BlooOの『 アメ リカン・ マイ ン ドの終焉』 とい った共同体主義 者の出版物9)が、そのようなアメ リカ市民の意識の変化 に大 きく寄与 したことは周知の事実 で あろう。では、そのような病理現象を克服す るためには一体 どのような手立てがあるとい うの だろうか。その手立て こそ、共同体の再建 とそれにともなう連帯性の確保、そ して、学校教育 においては、学校 とコ ミュニティの連携を押 し進め、例えば、サービス学習 という学習方法 を 導入す ることであった。

共同体主義者およびサー ビス学習の支持者 は、アメ リカの個人主義の伝統のその一方で、 ア メ リカ市民の間には「共同性の倫理 (c6rrmunal ethic)」 という伝統が存在 してきたを強調す る。ニューイングランド地方の「 タウンミーティング」の議論を持ち出す まで もな く、 ガール スカウ トやボースカウ トなどの子 どもたちによるボランティア組織、 さらには公民権運動な ど の草の根的な協同活動が、アメ リカの歴史のあちこちで見受 けられることは、歴史の専門家で ない筆者のような者で も容易に気付 くことである。実 は、 この伝統が、サー ビス学習の成立 に は非常 に重要な文脈を提供す ることとなる。

国家 の政策 レベル として は、例 えば、 ルニズベル ト (Frattlin Do Roosevelt)大 統領 が

「資源保護市民部隊」を組織 したことが有名である。1933年に確立 され、1942年 に解散す るま

(4)

アメ リカにお ける「 コ ミュニテ ィ・ サー ビス学 習」の構造

でに、延べ3百万人を超 える失業青年が、 この組織の下 に治山治水事業 に動員 された。 また、

ケネディ (」Ohn F.Kennedy)大 統領 は「平和部隊」を組織 した。1961年に確立 された「平和 部隊」で は、多 くの青年 が発展途上 国 へ派遣 され、 近代化 の手 助 けを した。 ジ ョンソ ン (Lyndon」ohnson)大統領が、「 アメ リカの貧困 に対 す る戦争」 とい う政策 の一貫 と して、

「 アメ リカに対す るサー ビス・ ボランテ ィア」を組織 したことも有名であ る。 また、民間の レ ベルでは、1970年代に入 り、1960年代の公民権運動・ ベ トナム反戦運動の流れを汲んだ全国的 な市民運動が広が る中で、「資源保護青年部隊」(1970年)・ 「 カ リフォルニア資源保護部隊」

(1976年)0「資源保護若者部隊」(19田)などのサービス活動が組織 されていった。 国家 レ ベルと民間 レベルとの立場の違い、あるいは活動の目的の違いこそあれ、これ ら一連のサー ビ ス活動が間接的に近年のサービス学習の議論に影響を及ぼ したことは事実であろう。また、政 府が「国家 とコ ミュニティ・ サービス法」などを作 るなどしてサー ビス学習の動 きに敏感 に対 応で きたことも、 さらには、実際にサー ビス学習を展開 している学校が地域 との連携を容易 に 結べたことも、 これ らのサービス活動が継続的にそ して広範囲にわたってアメ リカにおいて実 施 されていたか らである。

しか し、 これ らは今 日の「 サービス学習」との関連で言えば、サービス学習を展開 しやす く す る土壌を提供 したにす ぎない。より直接的に今 日の「 サービス学習」の議論に影響を及 ぼ し たのは、『危機 に立つ国家』(1983年)の刊行 にともな う1980年代 の教育改革論議。、 そ して、

1990年以後 に矢継 ぎ早 に制定 されたサー ビス学習に関するい くつかの法律であった。教育改革

論議の主 旨は、一般に、『 危機 に立つ国家』に典型的に見 られ る、基礎的教科 の履修強化 とい う側面でのみ解釈 されがちである。 しか し、改革論議をより詳細 に分析 してみると、「 サー ビ ス学習」の必要性に関する言及の多いことがわかる。 ここで興味深 いのは、「基礎的教科 の履 修強化」 も「 サー ビス学習」 も、「人類の一員 としての歴史一時点 におけるわれわれすべてに 共通の思想0経験・ 伝統」Dの一部 として取 り扱われているということである。つ ま り、「 サー ビス」その ものがアメ リカの伝統であり、その伝統を回復することは、「 弱 いアメ リカ」か ら

「強いアメ リカ」へ と転換するために必要不可欠の作業 とされたのである。

『危機 に立つ国家』の刊行以後、 フォー ド財団 (Ford Foundation)や モ ッ ト財団 (Mott Foundation)と いった慈善事業団体か らの資金援助を背景に、「 サー ビス」に関わ る団体 の設 立が相次 ぐ。その例 としては、「 キャンパス奉仕活動連盟」(1984年)、「 キャンパス同盟」(1985 )、「 サー ビスと資源保護 に関する全国協会」(1985年)、「青年 サー ビスアメ リカ」(1985年)な

どをあげることができる。 このような団体の活動 に影響を受 け、1980年代の後半 まで に、全米 20州以上が青年を対象 とした州 レベルのサー ビスプ ログラムを開発 した。 また、 その動 きは 1990年代 に入 り、地方・ 学校 レベルヘ と移行 してきている②。

このような州 レベルの活動 は、ついには、大統領を も動かす こととなる。ブッシュ (George Bush)大統領 は、1989年、ホワイ トハ ウスに「国家サービス局 (Office Of National Service)」

を設置、 そ して、1990年「 国家 とコ ミュニテ ィ0サー ビス法 (Natiёnal ttd Corrmunity

Service Act)」 を制定 した。 さらに、その法律に基づいて「国家 とコ ミュニテ ィ・ サー ビス委 員会 (Commission on National and Corrmunity Service)」 が設置 され、その委員会 の審査 を通過 した団体に対 しては、一般市民のサービス機会の増大を目的として、資金面や技術面で の援助がなされた。具体的には、7300万 ドル (日本円で105億)に及ぶ資金援助が、1992年 1993年の財政年度にそれぞれ行われたのである。 さらに、 ク リン トン (Bill Clinton)大 統領

(5)

は、1993年 、「 国家 とコ ミュニテ ィ・ サー ビス信託 法 (National and Community Service Trust Act)」 を制定 した。 そ して、同法 に基 づ き「 全 国 サ ー ビス組 合 (Corporation for Nttional Service)」 が設立 され、 コ ミュニティにおけるサー ビス活動 のネ ッ トワーク化が一 層進行す ることとなった。「 アメ リカ組合 (Americorps)」 や「高齢者組合 (Senior cOrps)」

といった今 日のサー ビス学習のネットワーク化の推進 において中心的な役割を担 っている全国 組織の団体 もその過程で組織 され、 ここに、現在のサー ビス学習の基盤ができる上がる。今 日 のサー ビス学習の議論の焦点 は、第一 に、公立学校 (幼稚園か ら高校 まで)におけるサー ビス

学習 プログラム、第二 に、高等教育機関におけるサー ビス学習 プログラムの開発・ 実施であ る が、 この焦点 はこれ以後 より明確な ものとなってい くのである。

前述 した通 り、近年のサー ビス学習の動 きは、州 レベルか ら地方・ 学校 レベルヘ と移行 して いる。つまり、理論的・ 政策的な議論か らより実践的な議論へ と研究のウェイ トが移行 して き ている。そ して今 日では、中学校・ 高校 レベルでのサービス学習の義務化は日常的なものとなっ た。また、学校 カ リキュラムの中にサー ビス学習を積極的に統合 しようとする動 きも、近年多

くの学校で見 られるようになった。

(幼 アメ リカにおける「 コミュニティ・ サービス学習」の歴史的変遷

コンラッ ドとヘデ ィン(Dan Conrad and Diane Hedin)によれば、「 サー ビス学習」 に関 す る議論 には、アメ リカ教育史上、三つの大 きな波があった。それ らの三つの波を、ここでは、

第一 に、1930年代の「社会改良主義的 (social reform)」 サー ビス学習、第二 に、1970年 代 の

「参加民主主義的 (pttticipatory democracy)」 サー ビス学習、そ して第二 に、1980年 代以降 の「共同体主義的 (corrmunitarianism)」 サー ビス学習 とそれぞれ名付 けることとする。次に、

コンラッドとヘデ ィンのサービス学習に関する歴史的な レビューを参考 しなが ら、その変遷 を 明 らかに してみたいD。

第一の「社会改良主義的」サー ビス学習 は、1930年代の進歩主義教育全盛の時代 に誕生 した。

当時のサー ビス学習の支持者 は、その多 くがデューイ (」ohn Dewey)の教育哲学 に依存 して いた。それは、「彼が直接的に教育の一つの方法 としてサー ビスを支持 したか らで はな く、 む しろ、学習がどのように生 じるのか、教育 にはどのような目的があるのか といった問いに対す る彼の考えが、他者の幸福のために方向づけられた行為 に関す る学習論 に豊かな論理的理由づ けを提供す るか らである」0。 そ して、 コンラッ ドとヘデ ィンによれば、「学校 に基づ くコ ミュ ニティ・ サービス (school―based community service)」 の最 も早 い支持者 は、 キルパ トリッ ク (William Kilpatrick)で あった。 コンラッドとヘディンは、彼の「学習 は リアルな コ ミュ ニティの要求 に応 じる努力 と関わりなが ら、学校の外側の リアルな場所において生 じるべ きで ある」Dという考えに注目する。その上で、彼の「 プロジェク ト0メ ソッド (Praect Method)」

が、サー ビス学習の起点 となる考え方であると結論づける。後述す るが、「 プロジェク ト・ メ ソッ ド」において示 された四段階、すなわち「 目的の設定」「計画 の作成」「計画 の遂行」「結 果の検討」 という学習 プロセスは、今 日のサー ビス学習に十分生かされている。。 こうして、

1930年代を通 して、サー ビス学習 に関す る考えは多 くの進歩主義者 によって語 られた。彼 らに 共通す る考えは、学校 は社会改良の価値を繰 り返 し学習 させるべ きであり、また、そのために 必要な態度・ 知識・ 技能を教えるべ きである、 というものである。。

第二の「参加民主主義的」サー ビス学習 は、1960年代か ら70年代にかけての、様 々な市民運

(6)

アメ リカにおける「 コ ミュニテ ィ・ サー ビス学 習」の構造

動の動 きに刺激 されて誕生 した。国家 レベルの動 きでは、ベ トナム戦争の兵役に代わるサー ビ ス活動 として、前述の「 アメ リカに対するサービス・ ボランティア」を中心 として様々なサー ビスプログラムが開発 された。それ らの中で も、「全国生徒 ボランテ ィアプログラム」 は学校 に基づ くサー ビスプログラムとして、その開発原理および内容において今 日のサービス学習 に 関す る議論の中で取 り上 げ られることがある。当時、サー ビス学習を主張する多 くの論者 は、

一様 に、「青年のコ ミュニテ ィか らの分離」 という問題点か ら、 サー ビス学習 の必要性 を指摘 した。 したが って、当時のサー ビス学習について論 じた多 くの報告書では、「青年 を コ ミュニ ティに再統合すること、青年 と広範な人々との交流を強調するもの、青年をより現実的で意義 のある課題 に関与 させようとするもの、サービス活動を含んだ多様な直接的な活動を通 して責 任感を育てようとするもの」③などが論点 とされたのである。その最 も代表的な理論家であ り プログラム開発者が、ニューマ ン (Fred M.Newlnttn)で あった。彼が1975年に著 した『市 民行為のための教育』のは、 コンラッドとヘデ ィンによれば、「『 社会政策 に効果的 に影響 を及 ぼす』ために必要な態度・ 技能0知識を発達 させ るためにコ ミュニティ・ サー ビスを利用す る ことを提案 した最 も総合的で洗練 された書物である」が。ニューマ ンのプログラムの特徴 は、

当時のサー ビス学習が社会教育的な色彩を強 く持 ちなが ら展開 されている中で、社会科を中心 とした教科学習においてサービス学習を展開する方法についての提案であったことである。教 科学習 とコ ミュニティにおけるサービス活動の統合の視点 は、今 日のサービス学習における一 つの眼 日で もある。そ して、ニューマ ンの示 した「学際的な (interdisciplinary)」 視点 もまた 今 日のサニ ビス学習に関す るプログラムの中で強調 されている視点である。 しか し、 このよ う なニューマ ンの興味深いいくつかの指摘 は、1970年代半ばか ら起 こる「 基礎 に帰れ (Back to

Basics)」 運動の中で徐々にその勢 いを失 ってい く。

再 びサー ビス学習が注 目を浴 びるのは、第二 の、「共同体主義的」 サー ビス学習であ った6

1983年の『危機 に立つ国家』にともなって沸 き上が った教育改革論議の中で、多 くの報告書・

おいてサー ビス学習の必要性が論 じられた。例えば、 グッドラッ ドは『学校 と呼ばれる場所』

の中で、教育を改善するための実践の一つの事例 としてサービス学習を挙げ、また、ボイヤー は『高校』の中で、高校 は卒業必修単位の中に120時間のサー ビス活動 を含 むべ きだ と提案 し "。 そのような強い影響力を持つ教育改革 に関する報告書の中でサービス学習の必要性が論

じられたことが、前述 したコ ミュニタ リアニズムによる個人主義の批判 と共同体への回帰の思 想 と結 びつ き、1980年代以降サービス学習を一つのブームとした理由である。前出のニ ュー■

ンもそのようなコ ミュニタリアニズムの思想を支持 し、「公的市民 (public citizen)」 という言 葉を使 って、サー ビス学習の必要性を次のように説明す る。「民主 的で公的 な市民 の最大 の課 題 は、公共善の性質やそれを達成する方法について他の市民 とともにじっくり考えることであ

る」

。ニューマ ンに代表 されるように、自分 自身のことだけで はな く公共善 の ことも考 えて 行動で きる市民を育成す ることが、「共同体主義的」サー ビス学習 の基本的 な考 えであ った。

そ して、今 日のサービス学習の理論的基盤 にも、 この「共同体主義」の視点が存在する。

「国家 とコミュニティサー ビス法」の制定 と近年のサー ビス学習 (1)「 サー ビス法」の制定過程および内容

「国家 とコ ミュニティ・ サー ビス法 (National and Community Service Act)」 (以下、略 して「 サービス法」 という言葉を用いることとする)の制定 には、直接教育 とは関係 のない政

(7)

治的な意味あいも含 まれるゆ。 しか し、仮 にそのような要素が強か った と して も、「 サー ビス 法」 は、次の二方面か らの要求 に対応するために制定 されたと考えることができる。その二つ とは、第一 に、「青年の改革 (youth refOrm)」 を強調す る立場か らの要求 (→外部 か らの要 )、 第二 に、「教育の改革 (education reform)」 を強調す る立場 か らの要求 (→内部 か らの 要求)である。

ここで もコンラッドとヘディンの考えを参考 に したい。「青年の改革」 の立場で は、 サー ビ ス学習を「青年の価値観を改善する一つの手段」と捉える。つまり、「私生活中心主義・ 快楽 主義・ 目的喪失 といった傾向を持つ若者がますます増加 しているという認識 は、彼 らが広範 な 社会の中で無力 さを感 じ、そ してそれゆえに、彼 らがその社会の中で意義ある役割を担 うとい う感覚 を持 っていないとい う調査結果が公表 され る中で、今 や当然 の こととな って しま っ た。」"と いう認識 に基づいて、サー ビス学習の必要性を論 じる。一方、「教育 の改革」 の立場 では、サービス学習を「学校における学習 とコミュニティにおける行動 とを結合 させる一つの 手段」 と捉える。つまり、(サー ビス学習は、)多 くの教室 の学習指導 に見 られ る婉 曲的な抽 象性を和 らげ、その代わ りに、すべての事実や原理が本来的で実用的な意味を持 っていること を暗示 させ る、現実生活 との結 びつ きをともなったいくつかの文脈に、情報を位置付 ける。 ま た、それは、学問的な内容 と実生活における問題 との結合を支援す ることによって、学習者 の 動機づけも行 う。 さらに、実生活 と関連 したサービス学習 は、学習者が個人的に行動す るプロ セスで、知識の保持をも支援す るのである」の と。 このように、サー ビス学習 は「生徒 の社会 的成長 と社会的発達」 と「生徒の知的発達 と学問的な学習」の両者 に渡 って肯定的な影響 を及 ぼすのである20。

次 に、「サービス法」の制定過程 について述べてみたいわ。

1990年10月 16日、 ホワイ トハ ウスと議会 を通過 し、1990年11月 16日、 ブ ッシュ (George Bush)大統領が署名することで、「 サー ビス法」が成立 した。同法に基づ き、「国家 とコ ミュニ ティ・ サービスに関する委員会 (Corrlmission on National and CommuFlity Service)」 を設 置、大統領の推薦 と議会の承認 を経て21人の委員が選出され、1991年10月20日、初会合が持 た れた。委員会では、次の四つの領域を、主 たる審議対象 とした。①幼稚園・ 小学校・ 中学校・

高校 (K‑12 schools)、 ②高等教育 (higher education)、 ③青年団体 (yOuth corps)、 ④国家 サー ビスモデル (national service models)で ある。また、委員会は、1992年 1月 、1992年 財 政年度 に7500万 ドルの補助金を割 り当てることを決定 した。その上で、1992年 2月13日 か ら3 23日の間に、補助金に関する公募を行 った。委員会 は、388の応募者 (団)か ら504件 の申 請書を受 け取 り(申請 された補助金の総額2億 2600万 ドル)、 審議 の結果、 その中か ら153件 申請書 に対 して補助金を交付す ることを決定す る (総額6750万 ドル)。 その結果 は、1992年 6 月 8日 、申請者 に伝達 されている。補助金 の具体的な内訳 は、① と② が合 わせて2250万 ドル (①1620万 ドルで57件、②が630万 ドルで58件)、 ③が2250万 ドルで30件、④が2250万 ドルで8 件であった。委員会 は、残 りの750万 ドルを、「 ヘ ッドスター ト計画 (Head Start)」 や「平和 部隊 (Peace Corps)」 といった政府主導 による革新的なプログラム、 あ るいは大統領令 によ る「青年サー ビス奨学金制度 (Youth Service Awards)」 、さらには、 サー ビスに関す る地域 の情報サー ビスセ ンターの活動資金などに割 り当てた。また、委員会 は、1992年11月 に、 ミネ

アポ リス・ ロスア ンジェルス・ ワシン トンで、「 サービス法」に関する公聴会を開催 し、コミュ ニティ・ サービスに関係する人々か ら、 コ ミュニティサービスの現状に関す る意見を収集 して

(8)

アメ リカにおける「 コ ミュニティ・ サー ビス学習」の構造

いる。

次 に、「 サー ビス法」の構成 につ いて触れてみよ う

。それ は、大 き く次 の四つ に分 かれてい る。 この四つ は先 に示 した、四つの領域 に対応す る ものである。

①学齢期の青年のサービス学習 (副B‑1)

②高等教育におけるコミュニティ・ サービス(副B‑2)

③青年団体 (副題C)

④国家サービス (副D)

このうち、特に、学校教育におけるサービス学習に関連する①に焦点を絞り、その内容を詳 細に論 じることとする。筆者の問題関心であるサービス学習は学校教育段階におけるものであ り、 この①の部分に、1990年代のサービス学習の特徴である「学校カ リキュラムヘのサービス 学習の統合」という視点が提示されている。

①学齢期の青年のサービス学習 (副B‑1)では、次の二つの目標を設定 している。

1.サービスをカ リキュラムの中心的な実践 とする小学校・ 中学校・ 高校が、すべての州 と多 くの都市地 域 に存在すべ きである。

2.すべての中学校の生徒は、高校に入学する前に少な くとも一度は、 コミュニティ0サ ービスプログラ ムに、理想的には夏休み中に、参加するべきである。

その上で、サー ビス学習の性格を、次の四つか ら明 らかに している。

A. 「 サー ビス学習」の過程で、生徒 は、現実のコ ミュニティの要求 に対応 し、学校 とコ ミュニテ ィの協 力の下 に組織 された、思慮深 く組織 されたサービスの経験へ活動的に参加す ることを通 して学習する。

「 サー ビス学習」 は、生徒の学問的なカ リキュラムに統合 され、生徒が実際のサービス活動の中で行 っ 0見た ことについて、考え・ 語 り・ 書 くために必要な構造化 された時間を提供す る。

「 サー ビス学習」 は、生徒に、彼 ら自身の コ ミュニテ ィにおける現実生活の立場 の中で、新 しく獲得 した技育旨・ 知識を使用する機会を提供す る。

「 サービス学習」 は、生徒の学習を、教室を超えコミュニティにまで拡大することによって、 学校 で教 えられたことを促進する、さらに、他者に対する思いや りの感覚を発達 させることを援助するのである。

B.

C.

D.

さらに、「総体的な権威」として、次のように、補助金を提供す る個人や団体の資格 につい て言及 している。①の中心的な箇所なので全文を示 しておきたい。

第 111項 総体的 な権威 (General Authority)

(a)一般 に:教育省長官 の諮 問機関であ るこの委員会 は、第102項 の下 に、州 および地 方 の応 募者 に対 して補助金 を提供す る。

(1)その応募者 とは、州全体 の学齢期 にあ る青年 を対象 と したサー ビス学習 プログラムを実施 す るこ とに対 す る (補助金や資格 あ る諸機関 との契約 を通 して達成 され るか もしれない)州の行為能力 を計画 した り、開発 した りす ることを 目的 と した ものである。

lAl  その プ ログラムには、 サー ビス学習 プログラムに参加す る諸個人や諸機関 にサー ビスの機会が 提供 され る、教師や指導主事 に対す る、 コ ミュニテ ィの諸機関 による準備教育 および現職教育 が含 まれ る。

(Bl  その プ ログラムには、 サー ビス学習 に関す るカ リキ ュラムを開発すること、そ して、生徒がサー

(9)

ビスの経験 を分析 し応用す る発達段階 に応 じた学習 の要素 を設定す ることが含 まれ る。

lCl その プログラムには、学校 に基づ くコ ミュニテ ィサー ビスプログラムを開発す るために地方 と のパ ー トナー シップを築 くことが含 まれ る。

lDl その プログラムには、青年 のサー ビス機会 の教育 的価値、 そ して青年 のサー ビスプログラムの コ ミュニテ ィヘの効果 を調査 し評価す るために適切 な方法 を考案す ることが含 まれ る。

lEl その プログラムには、 コ ミュニテ ィにおいて明確 な有効性 を持 った、非営利 の コ ミュニテ ィに 基 づ く諸機関 の可台ヒな限 りの参画 を保障す るために、効果的 な社会活動 お よび宣 伝 を確立 す る

ことが含 まれ る。

(F)その プログラムには、学問的なカ リキ ュラムヘのサー ビス学習 の統合が含 まれ る。

(D その応募者 とは、地方 のパ ー トナー シ ップによ って調整 され実施 され るプロジェク トや活動 に利 用す ることので きる連邦 の補助金 を州 に分配 す ることを通 して、学校 に基づ くサ ー ビス学 習 プ ロ

グラムを実行 し、調整 し、拡大す ることを 目的 と した ものであ る。

lAl その地方 のパー トナー シ ップには、地方 の教育機関が含 まれ る。

lBl  その地方 のパー トナー シップには、一つあ るいはそれ以上 の コ ミュニテ ィのパ ー トナー シップ が含 まれ る。

(1)その コ ミュニテ ィのパ ー トナー シ ップには、 サー ビスの機会 を参加者 に利用で きるよ うにす る、公的あ るいは私 的 な非営利 な機関が含 まれ る。

(壺)その コ ミュニテ ィのパ ー トナー シ ップには、私 的で非営利 な ビジネスの機会 あ るいは公立 の 初等学校・ 中等学校 が含 まれ る。

)その応募者 とは、地方 のパ ー トナー シ ップによ って調整 され実施 され るプロジェク トや活動 に利 用 ることので きる連邦 の補助金 を州 に分配 す ることを通 して、 ドロ ップアウ トの青年、学校外 の

青年、他の青年を対象としたサービス学習プログラムを実行し、調整し、拡大することを目的と す るものである。

lAl その地方のパー トナーシップには、恵 まれない青年 と一緒に働 く、一つあるいはそれ以上の公 的あるいは私的で非営利な機関が含 まれる。

lBl その地方のパー トナーシップには、サー ビスの機会を参加者 に利用できるようにす る、公的あ るいは私的なリト営利な機関を含む,一つあるいはそれ以上のコミュニティのパー トナーシップ が含まれる。

)その応募者 とは、地方のパー トナーシップによって調整 され実施 されるプロジェク トや活動に利 用することので きる連邦の補助金を州 に分配することを通 して、危機 にある生徒、 ドロップアウ トの青年、学校外の青年の教育を改善するために、学校へ大人のボランティアを導入す るプログ ラム、あるいは学校 と公的あるいは私的な諸機関 とのパー トナーシップを実行 し、調整 し、拡大 することを目的とするものである。

lAl  その地方のパー トナーシップには、地方の教育機関が含 まれる。

lBl  その地方のパー トナーシップには、一つあるいはそれ以上の公的あるいは私的で非営利な機関 あるいは私的で営利を目的とした ビジネスが含まれる。    

(b)直接的な補助金:州が この副題の下にプログラムに参加 しないい くつかの事業年度において、委員 会 は、その州における地方の応募者 に対 して、(a)で述べた目的のために州が直接 的 に補助金 を 使用で きる分担金を用意す るか もしれない。委員会 は、そのような地方 の応募者を評価す るために 114項で述べたカ リキュラムを応用す るか もしれない。

これを分析することで、「 サー ビス法」に提示 されたサー ビス学習 のアウ トライ ンが見 えて くる。そ して、それが近年のサー ビス学習の一般的な傾向となっている。

まず(alで は「一般的な (in general)」 サービス学習 の形態が、(b)では委員会 の審査 の対象

(10)

アメ リカにおける「 コ ミュニテ ィ・ サー ビス学習」の構造

とな らない補助金の使 い道が示 されている。(alはさらに細分化 され、(al(1)で は、補助金提供 の資格対象 となる州政府およびコ ミュニティの団体、さらには学校について述べ られている。

1980年代後半の教育改革論議が州主導であることは前 に触れたが、その傾向はここにも現 れて

いる。補助金はまず州に提供 され、州教育局の管理下 において、その補助金 はコミュニティや 学校 に配分 される。また、準備教育や現職教育などの教師教育 プログラムにも、 この補助金 は 利用 されるであろう。(a)(21で は実際にサー ビス学習プ ログラムを実施す る際 に必要 となる、

「地方のパー トナーシップ」について述べ られている。プログラムが開発 されて も、 それを実 施 し継続す るためには、当然補助金が必要 となる。「学校 とコ ミュニテ ィとの連携」 は1990年 代 に入 り教育改革の一つの方向性 となっているが、サー ビス学習で もこのような視点が重視 さ れているという点を見逃 してはな らない。また、la)ほ )では、特 に ドロップアウ トした生徒 あ るいは初めか ら高校 に通わない生徒を対象 としたサー ビス学習プログラムにも補助金を提供す ることが述べ られている。 さらに、(aに)ではそのよ うな学齢段階 の青年 を対象 とした社会教 育的なサー ビス学習 プログラムを進めるために必要 となる「地方のパー トナーシップ」に補助 金を提供す ることが述べ られている。

この「 サービス法」を契機 として、 これ以後サービス学習の議論 は徐々にではあるが、州 レ ベルか ら地方 レベルヘ とその議論の場を移行 していくこととなる。こうして、「学校に基づ く」

サービス学習 プログラムに関する研究が、より実践的なものへ と移行 し、地方および学校 レベ ルでユニークな実践が誕生 していくこととなる。

次章では、学校 に基づ くサービス学習 プログラムにはどのような形態があるのかを明 らか に する。それは、学校 における日常的なカ リキュラムにサー ビス学習をどう統合 していくかの方 法を明 らかにすることで もある。その前 に、次節 において、まず、近年のサー ビス学習 プ ログ

ラムの特徴 に触れておきたい。

(幼 近年のサー ビス学習の特徴

近年のサー ビス学習の特徴 は、 ミドルスクールの改革 と呼応 しているという点である。 もち ろん、小学校や高校で も様々なサー ビス学習が実践 されているが、 ミドルスクールの ものが非 常 に多いことが特徴である。また、その ミドルスクール改革 に大 きな影響を及ぼしているのが、

ボイヤーの『転換点‑21世紀のために若者を準備す ること一』のであった。そこでは、八つの改 革の視点が挙げ られているが、その中でサー ビス学習 と関係があるのが次の視点であるゆ。

○学校 とコ ミュニティの諸機関は ミドルスクールの生徒の成功に対する責任を共有すべ きである。

さ らに、 その上 で、その視点 を実践 す るために有効 な手立 て と して、次 の五つが挙 げ られて いる31)。

1青年 のサー ビスに生徒を位置づけること

2福祉的・ 社会的サービスヘの生徒のアクセスを保証す ること 3ミ ドル レベルの教育 プログラムを支援す ること

4教師 と生徒のために情報源を増加 させ ること 5生徒の職業 ガイダンスを拡大すること

(11)

さらにボイヤーは、サービス学習 と関連す る、上記の 1に ついてより詳 しく次のように述べ る。すなわち、「すべての ミドル段階の生徒 は、 コアとなる学習 プログラムの中で、 コ ミュニ ティあるいは学校 において他者を援助する活動である青年のサー ビスに含 まれるべ きである。

青年のサー ビスは、同情、人間の価値や尊厳への関心、人間の多様性 に対す る寛容性 と評価、

社会的正義への欲望を含んだ、市民的資質 (citizenship)に 関する価値を若者 に教 え ることが で きる。また、青年のサービスにおいて、生徒 は、協力、問題解決、葛藤の解決 とい った行為 に対す る技能を獲得す る。」のと。 このボイヤーの提案には、具体的なプログラムに関す る言及 はない。 しか し、他の国家 レベルの報告書3めと相 まって、その後のサー ビス学習 プログラムに 大 きな影響を及ぼ したことは事実である。

また、より具体的な提案 としては、次のような ものがある。

「 イ ンター ンシ ップ と経 験 主 義 教 育 の た め の全 国協 会 (恥 Nttional Society for lnternships and Experiential Education/NSIEE)」 は、「 サービスと学習 を結合 させ た良 い 実践の諸原理 (Principles of Good Practice in Combining Ser宙 ce and Learning)」 として、

次の10の原理をあげているの。

1(効果 的で継続 的 な プ ログラムは)共通善 (the commOn good)に 対 す る責任 のあ るそ して や りが い のあ る行為 に人 々を従事 させ る。

2(効果的で継続 的 な プログラムは)自らのサー ビスの経験 を批判的に振 り返 るために組織的な機会 を人々 に提供す る。     

3(効果的で継続的 な プ ログラムは)関与 したすべての人 々 に対 して は っき りと したサー ビス と学 習 の 目 標 を組織 す る。

4(効果的で継続 的 な プ ログラムは)要求 を持 った人 々がそれ らの要求 を提案 す ることを許可 す る。

5(効果的で継続 的 な プ ログラムは)関与 した個 人 と組織 の責任 を明確 にす る。

6(効果的で継続 的 な プログラムは)サー ビスを取 り巻 く環境 が変化す ることを認める過程を通 して、サー ビスの提供者 とサー ビスの要求者 を調和 させ る。

7(効果的で継続 的 な プログラムは)誠実 で活動 的で継続 的 な組織 的関与 を期待す る。

8(効果的で継続 的 な プログラムは)サー ビスと学習 の目標 を達成す るために、訂1陳・ 監督・ 監視・ 支援・

再確認・ 評価 を含 む。

9(効果的で継続 的 な プ ログラムは)サー ビスと学習 のために必要 となる時間が、柔軟 で適切 でそ して関 与 す るすべて の人 々 に とって最善 の ものであ ることを保証 す る。

10(効果的で継続 的 な プ ログラムは)多様 な人 々が、多様 な人 々 とと もにプログラムに参加 す る ことを可 能 にす る。

ここでは、サー ビス学習 プログラムの性格が示 されている。効果的で継続的なサー ビスプ ロ グラムを開発するためには、 これ らの10個の視点を大切にす る必要があることを、彼 らはアメ リカ全土か ら膨大 な数 に及ぶ実践を集め、分析す ることで明 らかにしている。 この中にあ る視 点 はどれ も、プログラムを開発す る際に重要な視点 となるであろう。 しか し、 これ らは、 プロ

グラム開発の視点を提供 したに過 ぎない。サー ビス学習の全体像を明 らかにするためには、サー ビス学習が学校全体のカ リキュラムの中でどのように位置付 くか、あるいは、サービス学習 は 実際にどのように展開 していくかを明 らかにす る必要がある。次 に、それを明 らかに したい。

サー ビス学習の学習プ ロセス

(12)

アメ リカにおける「 コ ミュニテ ィ・ サー ビス学習」の構造

(1)サー ビス学習の分類

コンラッドとヘディンは、学校に基づ くサー ビス学習プログラムを、日常的な学校 カ リキュ ラムに統合 される度合いに応 じて、次の五つに分類 しているの。図の見方 は、 1か5へ と進 行にす るにつれて、より学校 カ リキュラムに統合 される度合いが強 くなることを示 している。

特別 な イベ ン トとク ラブ活動

サ ー ビスに関す る履 修単位 あ るいは必修 単位

存在 す る コースのた めの実験室

コ ミュニテ ィサー ビ スに関す る授業

学校全体 あるいは幼 月ヽ中高一貫のサービ

1 3

日常 的 な学校 カ リキ ュラム の部分で はない

日常 的 な学 校 カ リキ ュ ラム の部分 であ る

第一 は、「特別なイベ ン トとクラブ活動」である。今 日ほとん どの高校 が、 この タイプの サー ビスプログラム、すなわち、サービスと関連 した特別なイベ ントやクラブ活動を計画・ 実 施 している。近隣の清掃活動や、 クリスマスに向けて子 どものためにお もちゃを集めることな どは、最 も典型的な事例である。 これ らの活動 は、通常、生徒会の委員会活動やクラブ活動 の 一貫 として計画・ 実施 される。全国の高校の約51%(1986年)が、 このタイプのプログラムを 実施 してお り、ニューマ ンとルター (Robert A.Rutter)の言葉を借 りれば、「最 も一般的な タイプのサー ビスプログラム」 ということになる"。 生徒 は、平均 して一週間に約一時間、 こ のタイプの活動を行 うが、 これが履修単位に換算 されることはない。

コンラッドとヘディンは、 このタイプのサービス活動を次のように評価 している。「 これは サー ビスの最 も純粋な (purest)形 態である。なぜな ら、その活動 は厳密 に自発的であ り、生 徒 は通常学校か ら履修単位や休暇を受 け取 らず、 しか し、彼 らはプログラムの存在や方向性 に 重要 な責任を負 っているか らである。」め しか し、 これは学校 カ リキュラムヘの「統合」 という 視点か ら見れば、最 も遠 いところにあることも事実である。 日本の文脈で言 うな ら、特別活動 におけるサービス学習であろう。 日本の多 くの学校で実践 されている学習活動である。

第二 に、「 サー ビスに関する履修単位あるいは必修単位」であ る。 このモデルで は、学校 は コ ミュニティサー ビスを奨励す るだけでな く、実際にサー ビス活動を行 った生徒に対 して単位 を提供する。例えば、ある時間数のサー ビス活動を行 った生徒 に対 して「 コ ミュニティサー ビ ス単位 (corrlmunity service credit)」 が提供 されるのである。(あ る学校 で は、100時 間が一 学期の単位 に相当す る。)ま た、他の場合では、高校卒業必修要件 として特定 の時間数 のサー ビス活動を課す学校 もある。そ して、 このタイプの実践に共通の手続 きとして、生徒が、 どの ような活動を行 うのか、 どの くらいの期間にゎたってその活動を行 うのか、どのような目的で その活動を行 うのか、さらには、仮に生産物があるとするな らどのような生産物がその活動 に よって もた らされるのか といったことを、活動以前にアウ トラインとして提出することがあげ られる。 この生徒 より提出されたアウ トラインは、プログラムの実施過程でそれを評価 した り

「認証 したりす る (certify)」 支援者 としての教員やカ リキュラムコーディネーターによって再 検討 されるであろう。

このプログラムのポイントは、そのサービス活動が通常の学校 カ リキュラム、とりわけ教科 学習 と関係がないということである。言い換えるな ら、それは、教師などの学校関係者 による 最小限の監視 を含んだ、一つの独立 した活動である。学習の中心 に「 なす こと (doinυ」 があ

(13)

るという点を除けば、今 日のサー ビス学習 に関す る議論の中心 はここにはない。

第二 は、「存在す るコースのための実験室」である。 このモデルにおいて、生徒 は、存在す るコース (教)の学習に必要 な資料を集め、また、獲得 した技能を試験 し、応用す るための 方法 としてサービス活動を行 う。例えば、「現代社会の争点 (contemporary issues)」 の授業 では、取 り上げた争点を解決す ることを目的 としたサー ビス活動 に参加す ることにより、生徒 は他の社会問題 に対する深 い洞察力を獲得す るか もしれない。また「数学やフランス語」 を履 修 した生徒 は、そこで得た知識を年下の子 どもに教えることによって、数学的・ 語学的な技能 を試験 したり、拡大す ることができるか もしれない。「家庭科」 を履修 した生徒 は、低所得者 層の夫婦の家において、ペ ンキ塗 りに関す る技能を応用す ることができるか もしれない。

このサー ビス活動 は、教室における学習前の活動 となるか、あるいは教室における学習 と同 時進行中の活動 となる。また、それは、「 コース (教)外の単位 (extra credit)」、あるいは、

あるコースにとっての必修の活動、さらには、ある単元の仕上げの活動 として取 り扱われ るか もしれない。カ リキュラムヘのこのタイプの統合 は、基本的なカ リキュラム・ スケジュール・

職員の配置をそれほど大 きく変化 させることな く取 り組めるため、多 くの学校が、学校 カリキュ ラムの中にコ ミュニティサー ビスを導入す ることを可能 にす るであろう。サービス学習の第一 歩 としては、非常 に価値ある実践である。 しか し、 この活動で も、 コース (教)の内容・ 技 能 との統合の視点 は次 に紹介す る二つにタイプに比べると弱い。そ して、今 日議論 されている サー ビス学習の中心 は、次の二つのタイプである。

第四は、「 コ ミュニティサー ビスに関す る授業」である。 このモデルは、学校 カ リキュラム における学際的なコースの中で、「行動 と反省の相互交換 (the interchange of action and

reflection)」 を行 うという特色をなす。 この場合、サービス活動 は、活動 その もののため と、

教室 における学習 に刺激を与えるために実施 される。また、教室における学習の役割 は、生徒 がサー ビス活動か ら学習す ることを援助 し、サービス活動をより効果的に行なえるように、情 報や技能を提供す ることにある。

典型的な事例 は、一 日に2時限、一学期を通 して実施 される社会科の実践である。生徒 は一 週間に 4日 間はコ ミュニティにいてサー ビス活動を行い、一 日は教室 にいてその活動 を反省す る。社会科だけでな く場合によっては他教科 に関する授業が加えるられることで、生徒はニ コー ス分の単位を獲得す る。特別な予算を組む必要 もな く、授業 は連続す る2時限で行われるため、

他教科の学習活動 に大 きな影響を及ぼす こともな く、サー ビス学習が実施 されることとなる。

学習活動の計画・ 実施・ 反省 は、主 として生徒 に委ね られているので、生徒には十分な時間を 与えることが必要である。

第五 は、「学校全体あるいは幼小中高一貫のサービス」である。 アメ リカで もめ ったに存在 しないモデルであるが、サー ビス学習が、学校全体、あるいは、学区全体すなわち幼小 中高一 貫 として実施 されることがある。それぞれの学校 は、各教科固有の内容や技能が、他者 の幸福 を目的 とした活動 においてどのように応用 され うるのかを決定す る。例 えば、「 児童心理」 の 生徒 は孤児院で働 き、「工芸技術」の生徒 はお年寄 りの家の修理を行い、「英語」の生徒 は老人 ホームの住民のために手紙を読み 。書 き、「数学」の生徒 は非営利 の企業で コンピューターに 関す るサー ビ不を提供す る。また、学校内では、すべての学年の生徒が、異年齢の生徒のチュー ターを行 うことによって、サー ビス活動が実施 されるか もしれない。言 い換えるな ら、学校全 体のモデルは、第二のコ ミュニティを「実験室 (Lab)」 と捉 える考え方 を学校 カ リキニラム

参照

関連したドキュメント

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

子どもの学習従事時間を Fig.1 に示した。BL 期には学習への注意喚起が 2 回あり,強 化子があっても学習従事時間が 30

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

支援級在籍、または学習への支援が必要な中学 1 年〜 3

 学部生の頃、教育実習で当時東京で唯一手話を幼児期から用いていたろう学校に配

 学部生の頃、教育実習で当時東京で唯一手話を幼児期から用いていたろう学校に配

 講義後の時点において、性感染症に対する知識をもっと早く習得しておきたかったと思うか、その場

授業は行っていません。このため、井口担当の 3 年生の研究演習は、2022 年度春学期に 2 コマ行います。また、井口担当の 4 年生の研究演習は、 2023 年秋学期に 2