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地球潮汐の自動測定

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Academic year: 2021

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(1)

ステップモーターを利用したラコステ重力計による 地球潮汐の自動測定

岩橋 悟*・新妻信明**・里村幹夫***

Automatic Repeated Measurements of Gravity by Using LaCoste&

Romberg Gravimeterwith Stepping Motor Controlled by Computer

SatoruIwAHASHI*,Nobuaki NIITSUMA**and Mikio SATOMURA***

A stepping motor has been connected on the measuring dial of LaCoste & Romberg modelG gravimeterin order to repeat automatic measurements of tidal gravity change.The steppingmotoris controlled by EPSON handheld computer.

In order to reduce the effect of temperature change,the electronic circuit of readout systemin the gravimeter wasimproved,and furthermOre,a disk type thermistor and semiconductor pressure sensor were attached to theinside of the gravimeter for monitoring the atmospheric conditions.The gravimeter was set on agimbalin order to reduce theinstrumental sensitivity change due to tilt change.

The atmospheric effects and the accuracy of the results obtained by using this SyStem are aS follows:

1.When the atmospheric pressureincreases byl mb,the measured value

decreases by O.17−0.30lLgal.

2.Theeffectofair−temperature Changeisless thanl.4pgal/℃

3.The standard deviation of the reading from the gravimeter with this system isless than O.3FLgalon the usualobservation circumstances.

Ⅰ.は じ め に

地球潮汐の測定は,地球の内部構造を調べるうえ で,たいへん有用であり,重力計,傾斜計,伸縮計 などの各種の計器によりその測定がなされている.

とくに重力はLaCoste&Romberg重力計(以下,

ラコステ重力計と略す)に代表されるスプリング式重

力計の発達により,特別の観測室を設けなくても精 度の高い観測ができ,その潮汐定数の地域性も論じ られている(例えば Nakagawa,1962;Endo,

1982).しかし,地球潮汐観測用に開発された重力計 はいずれも高価であり,また装置が大掛かりで機動 性に欠ける.また,精度がたいへん高いといわれる 超伝導重力計でも,以上の問題以外に,その定数の

1989年3月23日受理

*東芝エンジニアリング株式会社 ToshibaEngineeringCo.Ltd.1−1−15,Musashidai,Fuchu−Shi,Tokyo183・

**静岡大学理学部地球科学教室InstituteofGeosciences,SchoolofScience,ShizuokaUniversity,Shizuoka422.

***静岡大学教養部地学教室InstituteofGeosciences,FacultyofLiberalArts,ShizuokaUniversity,Shizuoka422.

(2)

検定にもまだ問題が残っている.

一方,通常の野外測定に使われている重力計,例 えばラコステ重力計の電気出力をそのまま記録する ことにより潮汐変化を記録する方法もある.しかし,

この種の重力計は本来零位法による測定用に製作さ れたものであり,零点からのずれの変化で重力変化 を記録することは,とくに感度の点において問題が ある.その欠点を避けるために,電気力を用いて重 力計のスプリングの長さを変化させないようにし,

その時かけた電圧から重力変化の記録をとるHarrison

&Sato(1984)のような方法も工夫されているが,こ こではラコステ重力計本来の測定方法をそのまま自 動化する方法を考えた.

具体的には,ラコステ重力計にステップモーター を取り付け,これをコンピュータで制御することに ょって,零位法による自動測定を可能正した.さら に圧力センサーと温度センサーを重力計の内部に組 み込み,測定環境をつねにモニターできるようにし た.また,システム全体をできるだけコンパクトに することによって,いろいろな場所で地球潮汐の測 定ができるようにした.

重力の測定精度が1〝galあるいはこれ以下のオー ダーになると,気圧,温度,傾斜などの変化が測定 値に影響をおよぼす.このため,これらの影響をで きるだけ取り除くため,さらに重力計を改良した.

Ⅱ.重力計の改造およびその測定方法

1 重力計の改造

自動測定化にあたって,まずはじめに,重力計の 上蓋に3ヵ所穴をあけ,ステップモーターを取り付 けた台座を固定し,ダイヤルとステップモーターの 軸をジョイントで接続した.使用したステップモー ターは,Step Syn社製の103−540−26型で,1−2 相励磁で使用すると最小ステップ角0.9度で動かすこ とができる.1ステップが約2.5〃galに相当する・

このステップモーターに図1に示すような自作した 駆動回路とインターフェイス回路を接続し,エプソ ンハンドヘルドコンピュータHC−40で制御する.

重力計の内部の温度と気圧をモニターするため,

サーミスタと圧力センサーを取付けた.使用したサー ミスタは,三洋電機製のディスク型サーミスタSDT−

1000で,動作温度範囲は−20〜70℃である.感度 は,0.25mA印加したとき30℃前後のところでは,

約3(対日/℃である.

圧力センサーは,藤倉電線製の半導体圧力センサー FPS−10ACで,動作圧力範囲は0〜1.0kg/cT痛であ る.感度は3mA印加したときで0.05mV/mbと低 いため差動増幅器で約20倍に増幅した.重力計のリー ドアウト,サーミスタ,圧力センサーの3つの信号 は,HC−40のコマンドで切り換えるアナログスイッ チ回路を介してHC−40の計測ユニットに取り込ま れる.制作したアナログスイッチと差動増幅器の回 路を図2に示す.

重力計は,零位法で測定する限り,重力計を設置 している台が少し傾斜しても,その測定値にはほと んど影響がでないように設計されているが,わずか な重力変化を議論する場合にはその傾斜変化も問題 になる.そのため,図3に示すようなジンパルを作 製し,その上に重力計をのせ,ジンパルの台座が傾 斜しても重力計本体は,水平を保つようにした.

2.測定方法

リードアウト出力は,図4−aに示すように数Hz の周期で振動している.これには,重力計の固有振 動やジンパルにのせたことによるジンパルの固有振 動が含まれている.このため,これらの振動の影響

をうち消すような平均処理を行う必要がある.

図4−bは,1秒間の移動平均値をプロットしたも のであり,これでは約4秒の周期が明瞭に見られる.

図4−Cは,43秒間の移動平均値であり,これでは 振動周期の影響がほとんど消え,きれいな直線になっ ている.またダイヤルの回転を止めた後,出力が安 定するのに約30秒かかることが分かる.以上はG−

822の場合についてだが,G−719についても振動周 期の影響をうち消すサンプリング時間を求めた結果,

43秒間とG−822と同じになった.またダイヤルの 回転を止めた後,40秒程で出力が安定する(図5−a,

b,C).これからG−822,G−719ともに,ダイヤ ルの回転を止めてから,40秒程たってからサンプリ

(3)

図1 インターフェイス及びステップモーター駆動回路図

ングを開始し,また,移動平均を採る時間幅を43秒 にすると安定した出力が得られることがわかる.

以上のことから,次のような測定方法を採用した.

まず,リード・アウトの出力を43秒間に157回サ ンプリングし,その平均値を求める.もし出力のサ

ンプリング値のばらつきがある値よりも大きいと,

地震であると判断し,リード・アウト出力だけを取 り込む地震測定ルーチンへ入る.出力が安定してい れば,出力の零(O mVとは限らない.零と指定さ れた値)をはさむようにステップ・モーター,つまり

(4)

定電流固持 アナログSW固持   .20 差勤増傾国指 図2 アナログスイッチ及び20倍差動増幅回路図

ダイヤルを3.60(約10〝gal)回転させる・ダイヤル は時計方向に合わせることにし,バックラッシュを 避けるために反時計回りに回転させるときは,一度 大きく(約5げ)動かしたのち,最後は時計回りにダ イヤルを回転させる.40秒間待ち,次の43秒間に 再度リードアウト出力を157回サンプリングする.

同じことをもう一度繰り返し,合計3組のダイヤル 値とリードアウト出力値から,直線近似で出力が零

のときのダイヤル値を計算する.

このようにして得られたダイヤル値に計器定数を 乗じて相対重力値に換算するとともに,地球潮汐の 理論値を計算し,測定値との残差,重力計の感度を 計算する.なお,起潮力計算のための天体の位置計 算については,長沢(1981)を参考にした.また,測 定開始時と終了時には気温と気圧も測定する・これ

らのデータは,図6に示すようにプリンターに出力

するとともに,フロッピーディスクにセーブする.

このような測定を10分ごとに行うこととした.

図7に測定全体の流れ図を,図8にシステムの概 要を示す.

3.読取り精度

毎測定時,出力が零になるときのダイヤル値を3 組のデータから直線近似の最小二乗法で求めている ので,そのダイヤル値の標準偏差も同時に求めるこ とができる.その標準偏差の度数分布を図9に示す.

これをみると0・7〝gal以上の値の度数は急激に減り,

標準偏差全体の平均は0.22〃galである・このことか ら本方式の重力計の読取り精度は,0・3〝gal程度と いえる.

(5)

N【i L「11

t=10 r

270

335が 椚 −一  ̄ 図3−a ジンパル基台設計図

1

1 N

0

0

N

」蓄+ ++ ≧

270− 一→  」

図3−bジンパル基台側面設計図

図3−Cジンパル外枠設計図

17 8 

】T 

M 8

19 7

M 8  M 8 ■

㌦ ∵

8 0 声音

帖 属 、 誹

e )  ̄√ ⑦■

M 5 

i

17 8 ← 1

8 0 

図3−dジンパル内枠計図i

〔\

0 0

10M S

A⊂⊃

1 8 7 − 8 0

図3−e ジンパル内枠計図ii

(6)

O

a.リードアウト出力

100(秒)

冊嘲佃仰伸岬刷

O

b.1秒移動平均

50   時間  100(秒)

O

c.43秒移動平均

50   時間  100(秒)

図4 G−822のリードアウト出力のサンプリング

Ⅲ.重力測定値におよぽす種々の影響

1.気圧変化による影響

重力測定精度が1〝galのオーダーに近づいてくる と,空気の質量による引力を考慮しなければならな い.気圧が変化したことによる引力は,理論的には,

O

a.リードアウト出力

50    時間   100(秒)

O

b.1秒移動平均

O

c.43秒移動平均

50    時間   100(秒)

図5 G−719のリードアウト出力のサンプリング

−0.43pgal/mbとなる(Warburton&Good−

kind,1977;Spratt,1982;Levine et al.,1986).し かし,気圧の変化は重力計のおもりに働く浮力変化 としても効いてくると考えられる.これらはまとめ て解析の際に考慮することとした.

(7)

ー・⊃占ヽ●丁亡JqU・‖・−二1−二・−・1r三・⁚1・リーー⁚∴卜・︻ナウ八・三ま三・▼・J−′∩・1⁝Jつ⁚リコー●八日1−1−▲IA81⁚89TJn∵−占=J一1つ丁■1−■︼丁ニ7月JlT二つごつ⁚ウニ−﹁−ミニ⊃I⁚=・lコ77・‖・1−丘■コ■■■R一つ7・8−﹁︑亡コ−1一r︐J▼:ニーr▲11−エー:二:二二二二⁚⁚r⁚⁚⁚●⁚⁚−⁚⁚−11⁚⁚二1=⁚・1こ;三・1●1−17−7−1ノ二言=▼ノ二・⁚1二・⁝・ここ=二・二J■﹁JTT⁚⁚早4・4・卓く・▼ここ■J●−与4ユ14−444一二11444一1一l▲−−1−一−●−1−1−1−1−−−一.■111−.■11−1−⁚●−1▲11−上皇1−1−⁚11−−−1−・⁚●11−1−1−1−−■−1−111−1−1▲■1−1・111−1−1−ニーi●−−.▲−・●−1一111−1−一■−−.−1・11−11・1・1−1−1−●1−▲−1−▲1−111▲111−・‖−りエリ・い■︹⁚日日IJ∵⁚∩∵・八日・‖=﹂∵1日=‖⁚リ・リ・リ・‖・・リ・り・・‖⁚=⁚リ■‖⁚=⁚リハ∵八リ・=・=⁚‖=⁚‖⁚‖⁚日で八︒⁚nU⁚‖V・‖YA‖⁚リ・=⁚リ・‖エリ⁚‖⁚リ・‖・=・C⁚りり・=⁚‖て===⁚・LU=⁚=⁚‖∵⁚りエリ八り=nリ・‖二日⁚日工=⁚リn・n・hU⁚‖⁚=∴■l︳●−●−1●●t●■■●−一■一一●一一−●■●−−●−●一−1■■−■●−−−●−1−−−−1−●一−一1●●−−●■−−−■■●−●■●1●■■■==㌧JH⁚い⁚日日・り・リり・い⁚リ・リ・・・∴リ⁚日日・−・=‖・===・り・‖ノ・=日日=・り・‖J∴∵⁚−I⁚リ・リ・り〜りこい⁚‖・∧り⁚1リ・‖・ウ日日=・‖■‖⁚‖・‖∵・ハト・−=⁚=・日日・==⁚リ1⁚リり・‖・∴=‖・‖∵∴=⁚‖∵1日Jl=⁚り・リ・=⁚=⁚=・n⁚‖・人目リ小爪一一−■一■●●●一I■●−●■■一−■一一●一一一●■一●●一一■■■−■一一一●一一一一一一一一一一一一一一一一−●■−■一■−一■■一●−■−●■一−▲ ⁚ハ日日・−・日日・==・り・‖ノ・日日日日・り・‖J∴∵⁚−I⁚リ・リ・‖∵1リ⁚・ハ・∩・1リ=‖⁚リ日日=・‖■‖⁚‖・‖∵・ハト・日⁚=・日日・==⁚リ1⁚リり・‖・∴=‖・‖∵∴=⁚‖⁚n・1=⁚り・リ・=⁚=⁚=・n⁚‖・人目リ・リノ1●■■一−■一一●一一一●■一●●一一■■■−■一一一●一一一一一一一一一一一一一一一一−●■−■一■−一■■一●−■−●■一−■

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図6 実際の測定結果のプリンターへの打ち出し

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(8)

図7 測定のフローチャート

2.温度変化による影響

温度変化が重力に与える影響もかなり大きい.季 節変化などのゆるやかな温度変化はドリフトの変化 として表れるが,急激な温度変化は重力値の変化と して表れると考えられる.これを調べるために,重 力計を外部から急激に温めたり冷やしたりした.こ の結果,重力計内部の温度が1℃上がると,重力はみ

かけ上約4〃gal小さくなることがわかった.この 原因としては,重力計の内部に設置されているリー

ドアウト出力用のアンプの零点調整用の抵抗および ゲイン調整用可変抵抗の温度係数が大きく,リード アウト出力が変化することが考えられる.この影響 を避けるため,これらの可変抵抗を温度係数が非常 に小さい超高精度固定抵抗に付け換え,かつアンプ の基板の部品がなるべく外部の温度変化を受けない ように部品側を内側にして入れ換えた.この結果,

温度変化と重力値との関係は約−1.4〝gal/℃と小 さくなり,かなり改善された∴また発泡スチロールの おおいを作り重力計をすっぽりおおうことによって,

できるだけ外部の温度変化が重力計に入り込まない ようにした.

3.重力計の感度変化による影響

ラコステ重力計の特徴として,設置角を変えるこ とによって,任意に計器感度を変えることができる.

したがって,測定中に設置角が変化するとリードア ウト出力が変わり,みかけの重力変化が生じる.重 力計はどちらに傾いてもリードアウト出力が大きく 変化しないように零位の位置を決めているが,それ でもなお傾斜変化による影響が観測されたので,ジ

ンパルを作製し,この上に重力計を設置し測定を行 うことにより,傾斜変化の影響をできるだけ受けな いようにした.

4.電源電圧の変化による影響

重力計内部の恒温槽とリードアウト出力用回路の 電源は,同じ回路を用いており,リードアウト出力 用回路には,常に電源が供給され,恒温槽のヒーター にはサーモスタットでスイッチが入ったときだけ供 給されるようになっている.このため冬季になって 外気温が下がり恒温槽のヒーターへの電源供給回数 が多くなると,ヒーターへの電源が入ったときリー ドアウト出力回路用の電源電圧の電圧降下が起こり,

図10のようにリードアウト出力が変化し,みかけの 重力変化が生じる.電源電圧は通常約12Vであるが,

(9)

Step Motor

図8 自動測定システムの概要

ヒーターへのスイッチが入ると電圧降下のため11V 前後になってしまい,リードアウト出力は約70mV 大きくなる.これは,重力値にして約7J↓galの変化 に相当する.この対策として図11に示すような安定 化電源を作製し,リードアウト出力用回路の電源を 恒温槽の電源と別にすることにした.専用電源を取 り付けることにより,リードアウト出力の変化を±

5mV以下に抑えることができた.

Ⅳ.解   析

1.解析にあたって

測定結果の解析にあたって,まず測定されたデー

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8 0.1臥2臥3臥48.5臥68.7臥88.911.11.21.31.41.5

図9 読取り値の標準偏差の分布

〝gal

(10)

タの転送を行う.測定はエプソンのハンドヘルドコ ンピュータHC−40で行っているため,測定データ は3.5インチのフロッピィディスクに保存されている.

解析には,多量わデータを扱いかつ高速性が要求さ れるため,日本電気の16ビットコンピュータPC−

9801VMを用いる..このためHC−40からPC−

9801VMにRS−232C回線を用いデータ転送を行い,

5.25インチのフロッピィディスクに保存しなおす.

こうして転送されたデータをもちいて,PC−9801VM で解析を行う.

潮汐定数を求めるにあたっては,短期間(2日間)

の測定値から定数を求めることに主眼をおき,通常 のような調和解析は行わず,単純に測定値と理論値

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の残差二乗和の平均の平方根が最小になるような定 数を求めた.具体的には,地球を剛体と仮定したと きの理論値に潮汐定数の値をいろいろ変えて掛け合

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図10 ヒーター電源のON,OFFによる リードアウト出力の変化

重力計アンプ用+12V定電圧電源回路 アナログS W,差動増帽,定電 流固持用定電圧±電源固持

図11安定化電源回路図

(11)

わせたものと,測定値から海洋潮汐の影響を差し引 いたものとの差を求め,その二乗和を計算し,この 値が最小になったときの値を潮汐定数として採用し た.

ただし,測定値の標準偏差がある基準値(今回は0.6

〝gal)を越えた場合は,この測定値を取り除いて計 算した.

2.測定値の補正

解析は,まず初めに気圧補正を行う.方法として は,気圧補正定数をその理論値−0・43FLgal/mbの 付近でいろいろ変え,この値を用いて気圧補正を行っ た測定値との残差の二乗和の平均の平方根が最小に なる気圧補正定数の値を気圧がおよぼす影響とした.

次に,こうして求められた気圧補正定数の値を用 いて補正した測定値を,ベルチェフのフィルター

(Peれzev,1957)に通してドリフトを求め,これを差 し引く.さらに,理論値も,同じフィルターを適用 して系統差を避ける方法をとった.

次に,温度と感度の補正を行う.温度と感度の補 正は,ドリフトを除去した後の測定値と温度,測定 値と感度の関係をそれぞれ2次曲線としてその係数 を最小二乗法で求め,この曲線から影響量を計算し,

これを取り除いた.

海洋潮汐の影響については,とりあえず,駿河湾 の潮位変化についてのみ考慮した.具体的には,図 12に示す扇形の範囲が,それぞれ近くの検潮所と同 じ潮位変化をしているものと仮定し,海水の引力と,

ブジネスクの解による荷重変化の影響を求めた.

今,観測点から海岸線までの距離をれ,測定地か ら見積もる最大海水域までの距離を巧,またその範 囲角が81から82の半円の海水域で密度 pwの海水 の潮位が(だけ変化したときの観測点におよぼす引 力を考えると,標高カの観測点での重力変化量dgは

dg=dpw∈招/ご

となる.

(γ2+ゐ2)き/字 d∂♂γ

使用潮位データ

A:焼津捲 B:獅前岬増 C:清水港 D:田子ノ浦躇

E:田子楕

図12 海洋潮汐の見積もり範囲

また,その場合の地殻上下変化量.A打は,地殻の ラメ定数を入,〝,重力加速度をgとすると,

4月 ̄= ん+2〃

4冗〃(九十〃) Pw∈gJも1左朗dγ

となる.重力変化は観測点の上下変動によるブーゲー 変化であるから,フリーエア勾配をβ,地殻の密度 を佐とし,潮汐荷重による変形に伴う地殻物質の質 量再配分から生じる重力変化も考慮に入れると,潮 汐荷重による地殻の上下変動に対する重力変化率r は,

r=−β+2冗G/)。

入+〝

九十2〃

となる(萩原,1978).よって潮汐荷重の変化による 観測点の重力変化量は,

dg=rdガ■

となる.

使用した潮位データは清水港,焼津港,御前崎港,

田子の浦港,田子港のもので,日本沿岸潮汐調和定 数表(海上保安庁水路部,1983)を用いて,任意の時 刻における潮位亡を計算し求めた.

また本計算中で用いたラメ定数ん,〝,地殻の密 度p。,海水の密度Pwは,以下のとおりである.

入=〝=2.4×1011dyn/cI痛(長谷川・里村,1987)

p。=2.57g/cd     (里村・安間,1986)

pw=1.04g/C適

(12)

これらの値を用いて計算された海洋潮汐が重力潮 汐変化に与える影響量は,最大で4〃gal程度になる.

また海洋潮汐の位相は,海水の粘性のため地球潮汐 の位相よりも角度にして約170度遅れる.このため みかけ上重力潮汐変化の振幅を大きくする方向に働

く.

図13に,今回の解析全体の流れ図を示す.

Ⅴ.測定結果と考察

1.G−822とG−719の補正定数

ラコステ重力計のダイヤル値を相対重力値に換算 するには,製作会社から与えられている定数表を用 いるが,2台以上の重力計の測定値を比較するとき は,定数検定が必要になってくる・特に〝galオーダー の測定精度で,かつ測定範囲が数百〝galという狭い 範囲になると使用した範囲での定数検定は重要にな る.本研究で使用した2台の重力計G−822,G−719 の測定期間中を含む最近2年間の使用ダイヤル範囲 は,それぞれ約3333.5〜3337.5mgalと約3封1.5〜

3351.5mgalなので,この2台の重力計で理学部C棟 421室,教養部C棟603室,理学部地殻活動観測所,

大学構内の水準点,静岡地方気象台の間で,同時並行 測定を行ったときの測定結果から,ほぼ同じ使用ダイ

ヤル範囲に相当する測定値を選び出し,G−822に対 するG−719の相対的補正定数を求めた.その結果は

G−719/G▼822=1.00158

となった.この定数の違いは,通常の定数検定のも のよりもはるかに大きいが,狭い重力差の範囲なの で,ペリオディック・エラー等のために生じたもの であろう.いずれにせよこのダイヤル範囲において は,G−719の重力計のほうがG−822よりも重力潮 汐変化の振幅が大きくなることを意味する.このた めG−719より求められた潮汐定数は,この補正定数 を用いてG−822を基準とした値に補正した.

気圧変化が重力潮汐変化に与える影響を求めたと ころ

G−822:Ag=−0.30FLgal/mb G−719:Ag=−0.17FLgal/mb

図13 解析のフローチャート

となった.大気の質量変化は動力に引力と荷重の2 つの形で効いてくる.Rabbel&Zschau(1985)に よると,荷重の効果は,おおよそ0.17FLgal/mbと なる.気圧変化による測定値への影響は,引力の理 論値に荷重効果−0.43FLgal/mbを加えると約−0.26

〃gal/mbとなり,今回の結果はほぼ妥当な値であ る.重力計によって影響量が違うのは,重力計内部 のバネや重りにかかる浮力補正に機器の個体差があ るためと考えられる.

参照

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