■特集1汀活用教寶の発展に向けて 属
e-Leamnng素材管理システムの開発
~IT教育推進プログラムにおけるeLearning教材作成支援の取り組み~
総合メデォア基盤センター学術情報部門助手高田良宏 はじめに
大学におけるe-Leamingの重要性が認識され,各 大学がe-Leamingの導入とその利用を進めています が,いまだ十分に進んでいないのが現状です.一つ の要因は,大学の授業の特徴である授業の多様性と専 門性にあります.すなわち科目数が非常に多く,一つ のe-Learning教材(以降教材)を利用する学生が 少ないことです.必然的に,作成すべき教材は膨大な 数になる一方,作成は個々の教員が負うところが大き く,教材作成への参画を傭曙する教員が少なくありま せん.
金沢大学では,2004年に文部科学省現代GP[l]に 申請した「IT教育用素材集の開発とIT教育の推進」
プロジェクトが採択され,総合メディア基盤センター が中心となり,IT教育推進プログラムに取り組んで います[21学術情報部門では,当プログラムの一環 として,e-Leaming素材管理システムを開発しました [31本稿では,システムの目的と位置づけ,素材の 管理方針,システム概要を述べ,同システムを利用し た作成支援事例を紹介します.
目的と位置づけ
冒頭に,“作成すべき教材は膨大“と書きましたが,
教材はそれを構成するe-Learning素材(以降,素材)
の集まりで,素材単位にばらすと,類似したものも多 く,使い回し可能なものも少なくありません.つまり,
教材の素となる素材-集を作成し,使い回し可能とする ことが作成支援に有効と言えます.しかしそれには,
個々の素材の著作権問題をクリアし,利用権限のある 者だけが素材にアクセスできること,さらに,素材を 容易に検索できることが必要です.e-Learning素材管
理システムの開発では,上述の状況や既存の素材集の 問題点等を整理し,次の3つの開発|]的を設定しま した.
。教材作成に係わっている教員の負担軽減
・新規に参画する教員への援助
・大学の知的財産としての教材。素材の管理
次に本システムの位置づけを説明します.IT教育 推進プログラムでは,大学組織としての教材作成支援 策として,オリジナル教材のイージーオーダー化に取 り組んでいます.今回開発したシステムは,教材。素 材の管理を行うだけでなく,道具あるいは機能として 教材作成支援が行えることを念頭に設計しました.両 者の連携により,教材作成支援策がさらに有効に機能 することが期待されます(図1).
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--ナノ 図1システムの位置づけ
素材の管理方針
■階層的な管理
教材。素材の有効活用と,それらのアフターケアを 迅速に行うため,教材は素材の組み合わせである点に 着目し,教材と素材の関係を管理する仕組みを導入し ました.さらに,教材もそれを構成する素材も全て素 材として一元管理可能としました.
開発にあたり,システムの利用者である教材。素材作 成者,教材。素材を管理する素材管理者,システム開発 者である筆者らが集まってシステムへの要求等を調査。
分析しましたその結果,素材の管理方針として次の3 つを導入しました.
6
■多様な情報の管理
様々な切り口からの検索を可能にするため,素材の 多様な付加情報と教材と素材の関係を管理します.ま た,利用者の利便性に配慮しつつ,学外連携を見越し て,著作権管理や利用者管理も行うこととしました.
■多様な素材の管理
素材には様々な種類が存在し,作成に利用したアプ リケーション,そのバージョン,保存形式などを考え ると,その形式はさらに細分化されます.本システム では,教員が現状のスタイルのまま教材作成を進めら れるように多種多様な素材を制限なく管理可能とし
ました.
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システム概要
実装したシステムの概要を図2に示します.ユーザ゜
インターフェイスは素材管理者用の素材管理機能,素材 利用者用の素材検索機能,そしてユーザ管理機能に分割 して実装しました.データベース(以降DB)部はシス テムの構成変更,拡張時の移行性を考慮し,素材DBと ユーザDBを切り離した構造としましださらにDB及 び素材・を保護するためにセキュリティ対策を施しまし
た.
図2システムの概要
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カスタマイズを可能とするため,既製のシステム使用や 外注作成とせず,すべて自己開発としました.また,サー バは管理が比較的容易なPCワークステーションとオー プンソースの組合せとしました.図3にサーバ環境の 概要を示します.
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図3サーバ環境
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図4に素材管理画面(機能)の概要を示します.ユー ザ認証後,各機能を選択します.素材管理画面では,素 材情報の検索機能(含む表示,修正,削除),新規登録 機能の他,著作権譲渡,参照素材,情報抽出,一括修正,
一括登録,ログ管理の各機能を実装しました.なお,参 照素材機能とは,素材の管理方針で述べた素材の階層管 理に基づき,複合素材(含む教材)を構成する素材の 関連の管理を行うものです.また,素材情報はUnicode (UTF-8)で管理しているため,多言語(各国語の|可時使 用)に対応しています.図5に素材薑管理画面の例を示
します.
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図4素材管理画面(機能)の概要
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図5素材管理両而
7
特集ⅡT活用教育の発展に向けて
素材検索画面
図6に素材検索illlimi(機能)の概要を示します.教 材を作成するユーザ(教員)が素材を検索し,必要な 素材をダウンロードするための機能です.ユーザ認証 後,必要な素材の検索を行います.素材の検索には,
キーワードによる検索方法と分類コードによる検索方 法があります.キーワードによる方法は,素材が持つ 多様な情報(素材の管理方針を参照)より,様々な切 り||からの検索をnJ能とします.分類による検索では
細分化された分類コード(分野,大分類,に}1分類,小 分類)により素材を絞り込みます.必要な素材を見つ けた場合は,その素材薑のダウンロード予約を行います.
ユーザは検索と予約を繰り返し,必要な素材の予約が すべて終了した後,最後にダウンロードを行います.
図7に素材検索画面の(ダ'1,図8にダウンロードさ れた素材の例を示します.
クライアント
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図6素材検索画面(機能)の概要 図7素材検索画面
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iii」'iJi’1 ユーザ管理画面(機能)では,本システムを利用す
るためのユーザ管理を行います.本システムはゲスト IDでも利用できますが,検索した素材をダウンロー ドする機能が使用できないなどの制限があります.検 索した素材をダウンロードするには,“一般ユーザⅧ としてシステムに登録する必要があります.また,素 材作成者として素材を作成し,それを素材集(本シス テム)に登録するには“素材登録可能ユーザ',として 登録する必要があります.
各ユーザが利用できる機能を表1に示します.
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図8ダウンロードされた素材の例
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ゲスト × ×
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作成支援事例
開発したシステムの利用事例を紹介します.冒頭で 述べたようにIT教育推進プログラムでは,教員の教 材作成のための支援活動として,教材のイージーオー ダー化サービスを行っています(図9).このサービ スは各教員の要望にあわせ,素材を選択,並べ替え。
配置を行い,教員オリジナル教材を完成させます.希 望通りの素材が存在しない場合は,IT教材作成支援 室が素材を作成,または作成支援し,これをDBに登
録します.また,完成した教材も素材としてDBに登 録します.初期段階では登録されている素材の数が少 ないため,素材を追加作成する場面も多いですが,素 材が充実してくるにつれ,容易に教材を完成可能とな
ります.
現在,完成または作成中である教材の件数を表2に 示します.これらの教材.を作成するにあたり’約40 人の教職員の協力を得ました.
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図9教材のイージーオーダー化 おわりに
今回開発したシステムは,階層的な管理の導入によ り,教材もそれを構成する素材もすべて素材として取 り扱うことで,同一システム上で効率的な管理が可能 にしましたまた,多様な素材管理,情報管理を取り 入れ,素材のファイル形式や学問分野にとらわれず,
教員が自由に素材を登録し,利用することができます.
また,本システムを利用した教材のイージーオーダー 化サービスでは,素材の再利用化促進,教員の負担軽 減を実現しました今後,数多くの教員の教材作成へ の参画が期待されます.また,紙面の関係で触れませ んでしたが,大切な素材.及び素材情報を守るために
常にセキュリティの確保を重視して,一貫したセキュ リティ対藝策を行いました.
本システムは平成17年7月にテストバージョンが 完成し,以来,関係者間で公開に向けて各種テスト を経て改良を重ねてきました.広報が皆さんのお手 元に届くころには,素材も充実し,また,使用マニュ アル等も完成し,学内ユーザ向けにシステムが公開 されていることと思います.今後は,LMS(Leaming ManagementSystem)との連携や,学外機関との連
携等について検討していきます.
参考文献
[1]文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)
HOMEPACE,
http://www、extgojp/a-menu/koutou/kaikaku/needshtm l2]金沢大学IT教育推進プログラムHOMEPAGE,
http://www・eLkanazawa-uacJp/
[3]高田良宏,笠原禎也,佐藤正英,松本豊司,森祥筧,鈴木 恒雄,e-Learning素材管理システムの開発,学術情報処理研 究,ppll9-127,No.9,2005.
学術情報部門では,各部局,研究室で蓄積された実験データや 学術情報・電イ文書の効率管理・運用,データベース,ネットワー クを通じた情報発信に必要な情報検索・閲覧システムの構築支援・
技術11」談を行っております.今回紹介したe-Learning素材管理シ
ステムも当部門が椛築支援を行ったものです,
・DBに関する質問・相談:
E-mail:dbadmin@gipckanazawa-u・acJp
・学術情報部門Webサイト:
URLhttp://www-dbgipc,kanazawa-u、acJp
なお,教材作成支援に関しましては,IT教育推進プログラムの Webサイトを御参照願います.
URLhttp://www,elkanazawa-uacjp/
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