韓 国 語 と 日 本 語の 韓 国 語 と 日 本 語の 韓 国 語 と 日 本 語の
韓 国 語 と 日 本 語の 終 助 詞 と 終 結語 尾 の 情 報 管 理機 能 に つ い て 終 助 詞 と 終 結語 尾 の 情 報 管 理機 能 に つ い て 終 助 詞 と 終 結語 尾 の 情 報 管 理機 能 に つ い て 終 助 詞 と 終 結語 尾 の 情 報 管 理機 能 に つ い て
1
The information management of sentence-final expressions including endings and particles in Korean and Japanese
金 善 美
KIM Sunmi1.
問 題 提 起 : 問 題 提 起 : 問 題 提 起 : 問 題 提 起 : 日 本 語 終 助 詞 「 ね 」 「 よ 」 の 情 報 管 理 機 能 日 本 語 終 助 詞 「 ね 」 「 よ 」 の 情 報 管 理 機 能 日 本 語 終 助 詞 「 ね 」 「 よ 」 の 情 報 管 理 機 能 日 本 語 終 助 詞 「 ね 」 「 よ 」 の 情 報 管 理 機 能
(information management)と は ? と は ? と は ? と は ?
(1) A:手 伝 っ て く れよ 。
B:
俺 は 、 い やだ ね
2
。
(田 窪 ・ 金 水
(1996))例
(1)のよ う な「拒 否・拒 絶」の 文 脈 で用 い ら れ る「 ね 」は「 い か なる 自 己 確 認、自 己 説 得 を 経て も こ の 回 答し か 出 て 来な い 」 と い う含 意 が あ るか ら こ そ 強 い「 拒 否 ・ 拒絶 」 と な り 得 る。言 下 の拒 絶 で あ っ て も、 「 手 伝 う の はい や か どう か 」につ い て 自 分 自 身の 中 で「検 討 を 経た 」 と い う 身ぶ り が 「 ね」 に よ っ て 表さ れ て い る
(田 窪 ・ 金 水
(1996))。
(2) a.
雨 が 降 っ てる 。
b.
雨 が降 っ て る よ 。
(田 窪 ・ 金 水
(1996))例
(2a)は 単 な る事 実 の 認 識 報告 で あ る が 、例
(2b)には 、< 出 か け る なら 傘 を 持 って 行 き な さ い >、 < 洗 濯 も のを 取 り 込 んで ち ょ う だ い> 、 < 野 球の ナ イ ト ・ ゲー ム は 中 止だ か ら テ レ ビ をつ け な く て よい > な ど 、状 況 に 応 じ て様 々 な 推 論を 発 火 さ せ る意 図 が 込 めら れ て い る
(田 窪 ・ 金 水
(1996))。
例
(1B)の「 ね 」が伝 え る「 自 分 自 身 の 中で「 検 討 を 経た 」と い う身 ぶ り 」 、例
(2b)の「 よ 」 が 伝 える 「 状 況 に 応じ て 様 々 な推 論 を 発 火 させ る 意 図 」と は と も に 、田 窪 の 談 話管 理 理 論 の 延 長線 に あ る 情 報管 理 機 能
(information management)で あ る 。 田窪 の 談 話 管 理理 論 は 、 田 窪
(1987, 1989, 2006)、田 窪・金 水
(1996)、
Takubo & Kinsui (1997)に おい て 提 案 され た 。田窪
(2006)の 談 話 管 理 理 論 は 、 言 語 表 現 の 意 味 を 認 知 主 体 と し て の 話 し 手 、 聞 き 手 の 知 識 状 態
1
本 稿 は2018年10月7日 に 開 催 さ れ た 朝 鮮 学 会 第69回 大 会( 於 : 天 理 大 学 ) に お い て 口 頭 発 表 し た 内 容 を 修 正 ・ 加 筆 し た も の で あ る 。 当 日 の 発 表 会 場 に お い て 有 意 義 な コ メ ン ト を く だ さ っ た 方 々 、 本 稿 に 対 し て 貴 重 な コ メ ン ト を く だ さ っ た 玉 井 尚 彦 氏 、 千 田 俊 太 郎 氏 に 感 謝 申 し 上 げ ま す 。 尚 、 本 研 究 は JSPS科 研 費19K00618の 成 果 の 一 部 で あ る 。
2 韓 国 語 例 文 に お け る 下 線 は 本 稿 の 筆 者 に よ る。例 文 の 下 線 の 種 類 と し て 終 結 語 尾 に は“ ”を、終 助 詞
に は “ ” を 引 い て 区 別 し て い る 。 以 下 同 様 。
の 変 化 と し て モ デ ル 化 し た も の で あ る 。 田 窪 の 談 話 管 理 理 論 に お い て は 、 談 話 領 域 を
R-領 域 ( す でに 真 偽 が 決 定 し て いる 領 域) 、
I-領 域 ( 真 偽 の決 定 し て い ない 命 題 か らな る 領 域 ) に 分 割し 、 さ ら に
R-領 域 を
D-領 域 ( 真 偽が 決 ま っ てお り 、 話 し 手が そ れ を 直接 知 っ て い る 命 題か ら な る 領 域= 直 接 経 験領 域 ) と
R-
D領 域 (
Rか ら
Dを 引 い た 部 分 、 すで に 真 偽 が 決 定し て い る が 話し 手 が 真 偽の 値 を 知 ら ない 状 況 ) に分 割 す る 。 この 談 話 管 理理 論 か ら 導 か れた 情 報 管 理 機能
(information management)と は 、 話し 手 や 聞 き 手に 対 し て 事態 認 識 上 の 分 析・ 感 嘆 ・ 驚 き・ 確 認 と いう 情 報 を 再 認識 さ せ る 役割 を す る ( 田窪 行 則 氏 との パ ー ソ ナ ル ・コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン) 。
(3)
今 日は い い お 天 気で す ね 。
(田 窪 ・ 金水
(1996))(4)
今 日は い い お 天 気だ な あ 。
(田 窪 ・ 金水
(1996))と こ ろで 例
(3)と 例
(4)に お い て「い い 天 気 だ 」と い う 結論 は と も に 、話し 手 の 直接 経 験 世 界 に 属す る 自 明 な 結論 と し て 出て く る も の であ り 、例
(3)の「ね 」は この よ う な 結論 を 導 出 す る ため の「 ト リビ ア ル な 計 算操 作 を し た こと の 標 識」で あ る
(田窪・金 水
(1996))。ま た例
(4)の 「 な あ 」 は 独 り 言 的 な 感 嘆 文 の 中 で 出 現 し て い る が 、 聞 き 手 を 想 定 す る 必 要 の な い 、
話 し 手に 帰 属 す る 情報 を 自 分 に再 認 識 さ せ てい る 役 割 をす る 。
そ れで は 、 例
(4)のよ う な 独 話に お い て 出 現す る 日 本 語の 終 助 詞 と 同様 の 役 割 を韓 国 語 の 終 助 詞は 果 た す の であ ろ う か 。
(5) a.
?
3
たく さ ん 食 べ ま し た なあ 。
(日 本 語 記述 文 法 研 究 会
(2003: 263)) b. manhi-to {#
mek-ess-ney-yo/#
mek-ess-supnita-kulye}4.沢 山-も {食 べ る-過 去 時 制-終 結 語 尾-終 助 詞/ 食 べ る-過 去 時 制-聞 き 手 敬 語 語 尾-終 助 詞}
「 た く さ ん {# 食 べ ま した ね
/# 食 べ ま し た な あ} 。 」
例
(5b)に お い て韓 国 語 で は 終 結語 尾「
ne (네
)」は 終 助 詞「
yo (요
)」を伴 い 、丁 寧 形と し て 出 現 可能 で あ る が 、丁 寧 形 に なる と 独 話 的 では な く な る 。また 終 助 詞「
kulye (그려)」を 使 っ て 聞き 手 に 対 す る親 近 感 を 伴う 詠 嘆 を 表 すこ と が で きる が 、独 話 では「
kulye」は 出 現 し な い 。 終 助詞 「
kulye」 を 使 う と聞 き 手 へ の 伝達 を 意 図 する こ と に な るた め 、 終 助 詞 「
kulye」 の つ い た 文 は 対 話 的 な 性 質 し か 持 ち え な い の で あ る 。 例
(5b)で 終 助 詞 「
yo」 や 「
kulye」 を つ け ず 、また 聞 き 手 敬 語 を 表 す終 結 語 尾 の「
supnita」を 外 し た 以 下 の例
(6)は 独 話と し て 成 立 す る。
3
こ こ で の 文 法 性 の 判 断 の「 ? 」は 日 本 語 記 述 文 法 研 究 会 (2003: 263) に よ る も の で あ る 。 例(5a)が お じ さ ん キ ャ ラ と し て の 発 話 な ら 容 認 度 の 面 で さ ほ ど 不 自 然 で は な い と 本 稿 の 筆 者 は 考 え る 。
4
韓 国 語 の ロ ー マ 字 表 記 は 、S. E. Martinに よ るYale式 ロ ー マ 字 表 記 を 用 い る 。
(6) [
テー ブ ル に 置 いて あ っ たお 菓 子 が 大 分減 っ た の を見 て 独 話 で
] manhi-to mek-ess-ney.沢 山-も 食 べ る-過 去 時 制-終 結 語 尾
「 た くさ ん 食 べ た なあ 。 」
本 稿 では 、 こ の よ うな 韓 国 語 と日 本 語 の 独 話を 中 心 に 、そ こ に 出 現 する 終 助 詞 と終 結 語 尾 の 持つ 情 報 管 理 機能
(information management)に つ い て考 察 す る 。
2
. . 韓 国 語 . . 韓 国 語 韓 国 語 韓 国 語 の の の の 終 助 詞 終 助 詞 終 助 詞 お よ び 類 似 の 表 現 終 助 詞 お よ び 類 似 の 表 現 お よ び 類 似 の 表 現 : お よ び 類 似 の 表 現 : : : 「 「 「 「
yo(요요 요) 요 」 、 」 、 「 」 、 」 、 「 「 「
kulay(그래그래 그래 그래) 」 、 」 、 」 、 」 、 「 「 「 「
kulye(그려그려 그려 그려) 」 」 」 」
韓 国 語に お い て 従 来、 終 助 詞 と言 え る の は 丁寧 形 ( 聞 き手 に 対 す る 敬意 ) を 表 す「
yo」 の み で あ る と いわ れ て き た 。 本 稿 で は 「
yo」 に 加 え、 「
kulay」 と 「
kulye」 に つ い て 考 察を 行 う 。
2
. . . .
1「 「 「 「
yo」 」 」 」
韓 国の 国 立 国 語 研究 院
(1999)の『 표준국어대사전 』
(phyocwunkwuketaysacen,標 準 国 語 大 辞 典、以 下 の 例 文で は『 標 』と 表 記
)は「
yo」に つ い て 次の 二 つ の 用 法に 分 け て 説明 し て い る 。 第一 に 、 お も に非 丁 寧 体
hay体 終 結 語 尾 や 一 部
hakey体 終 結 語 尾 の 後 ろ に つき 、 聞 き 手 に 尊敬 の 意 味 を 表す 補 助 詞 だと 説 明 し て いる 。 格 式 張っ た 敬 語 を 使う べ き 相 手に は 使 わ な い 、と も 説 明 し てい る 。
(7) ton-i eps-e-yo. (
『 標 』
)5お 金-が な い-非 丁 寧 体hay体 終 結 語 尾-終 助 詞
「 お 金 が あ りま せ ん。 」
(8) kicha-ka cham ppalli ka-ci-yo. (
『標 』
)汽 車-が 本 当 に 早 く 行 く-終 結 語 尾-終 助 詞
「列 車 が 本 当 に速 く 進 み ます ね 。 」
(9) enni, na-lul molu-keyss-e-yo? (
『 標 』
)姉 私-を 知 ら な い-未 来 時 制-非 丁 寧 体hay体 終 結 語 尾-終 助 詞
「 姉 ち ゃ ん 、私 が 分 か りま せ ん か。 」
第 二 に、 体 言 や 副 詞、 接 続 語 尾に 後 続 し て 聞き 手 に 尊 敬の 意 味 を 表 す補 助 詞 だ と説 明 し て い る 。
(10) maum-un-yo teepsi coh-a-yo. (
『 標 』
)気 分-は-補 助 詞 こ の 上 な く 良 い-非 丁 寧 体hay体 終 結 語 尾-終 助 詞
5
下 線 と 韓 国 語 の ロ ー マ 字 表 記 、 及 び 日 本 語 訳 は 本 稿 の 筆 者 に よ る 。 以 下 同 様 。
「 気 分は で す ね 、 この 上 な く 良い で す。 」
(11) kulehkey hay cwu-si-ki-man ha-myen-yo そ の よ う に し て く れ る-尊 敬-名 詞 化 語 尾-だ け す る-仮 定-補 助 詞
cengmal kamsa-ha-keyss-e-yo. (
『標 』
)本 当 に 感 謝-す る-未 来 時 制-非 丁 寧 体hay体 終 結 語 尾-終 助 詞
「そ の よ う に して さ え く ださ れ ば で す ね、 本 当 に 感謝 い た し ま す。 」
上 記 の二 つ の 用 法 とも 文 節 に 後続 す る 点 か ら、 本 稿 で 考察 す る 終 助 詞だ と 見 な すこ と が で き る 。
2
. . . .
2「 「 「 「
kulay」 」 」 」
『표준국어대사전』
(phyocwunkwuketaysacen,標 準 国 語大 辞 典
)は「
kulay」に つ い て次 の 二
つ の 用法 に 分 け て 説明 し て い る。第 一 に、感 嘆 詞 と し ての「
kulay」で あ る 。肯 定 の 答 え と し て 使わ れ た り(例
(12)) 、相手 の 言 葉 に 対す る 感 嘆 や 軽い 驚 き を 表 す時( 例
(13)) 、問 い 詰 め た り強 調 す る と きに 使 わ れ 、主 に 疑 問 文 の中 に 挿 入 され て 使 わ れ る時 ( 例
(14), (15)) が あ る と説 明 す る 。 感嘆 詞 と し て使 わ れ る 際 は、 分 か ち 書き さ れ る 。
(12) ung, kulay. (
『標 』
) う ん そ う だ「 う ん 、 そ うだ よ 。 」
(13) kulay? ku mal-un cheum tutnuntey! (
『 標 』
) そ う な の そ の 言 葉-は 初 め て 聞 く け ど「 そ う な の ?そ の 言 葉 は初 め て 聞 く けど ! 」
(14) nay-ka, kulay, amwulemyen ku salam-eykey ci-keyss-ni? (
『 標 』
) 私-が 感 嘆 詞 ま さ か あ の 人-に 負 け る-未 来 時 制-語 尾「 私 が 、 さ 、ま さ か あ の人 に 負 け る わけ な い ん じゃ な い。 」
(15) i sanghwang-eyse, kulay, nolle kaca-nun mal-i nao-ni? (
『 標 』
) こ の 状 況-で 感 嘆 詞 遊 び に 行 こ う-と い う 言 葉-が 出 て く る-語 尾「 こ の 状 況 で、 ね 、 遊 びに 行 こ う と いう 言 葉 が どう や っ て 出 てく る の。 」 例
(15)の よ う な用 法 は 、 次 の 例
(16)の よう に 相 手 を 非 難す る 文 の 中 で頻 出 す る 。
(16) cal hanta, kulay.よ く や る 感 嘆 詞
「 よ くや っ て く れ たよ ( = な んて こ と す る んだ よ ) 、 も う 」
第 二 に、 「
kulay」 は 、 「
kwumen (구먼)」 、 「
kwun(군)」 の よ う な 非 丁寧 体
hay体 の 終 結 語 尾 に 後 続し 、 聞 き 手 に文 の 内 容 を強 調 し て い るこ と を 表 す補 助 詞 ( 本 稿に お け る 終助 詞 ) だ と 説 明し て い る 。こ の際 は 分 かち 書 き を し ない し 、 「
kulay」は「
-kwumen」 、 「
-kwun」の 意 味 を 補う 働 き を も つ。
(17) caney onul-un kipwun-i coha poinun-kwumen-kulay. (
『 標 』
) 君 今 日-は 気 分-が よ い そ う だ-終 結 語 尾-終 助 詞「 君 、今 日 は 気 分 がよ さ そ う だね 。 」
(18) kukes-cham sinthongha-kwun-kulay. (
『 標 』
) そ れ-本 当 に 感 心 す る-終 結 語 尾-終 助 詞「 そ れ は 本 当に 感 心 し たね 。 」
2. . . .
3「 「 「 「
kulye」 」 」 」
『 표준국어대사전 』
(標 準 国 語 大辞 典
)は 「
kulye」 に つ い て次 の よ う に 説明 し て い る。 「
kulye」 は ス ピー チ レ ベ ル 上の 非 丁 寧 体の
hakey体 、中 称 体の
hao体 、丁 寧 体の
hapsyo体の 一 部 終 結 語 尾に 後 続 し 、 聞き 手 に 文 の内 容 を 強 調 して い る こ とを 表 す 補 助 詞と し て の 用法 の み が 指 摘 され て い る 。
(19) ilcwuil cen-ey naka-ssten nom-i iceyya tolawa-ss-ney-kulye. (
『 標 』
) 一 週 間 前-に 出 る-て い た や つ-が や っ と 帰 る-過 去 時 制-終 結 語 尾-終 助 詞「 一 週間 前 に 出 て いた や つ が いま に な っ て やっ と 帰 っ てき た ね。 」
(20) kathi ka-sey-kulye. (『 標』
)一 緒 に 行 く-勧 誘 下 称 体 終 結 語 尾-終 助 詞
「 一 緒に 行 こ う よ。 」
(21) aphulo-nun cacwu manna-psita-kulye. (
『 標 』
) こ れ か ら-は 頻 繁 に 会 う-勧 誘 上 称 体 終 結 語 尾-終 助 詞「 こ れか ら は 頻 繁 に会 い ま し ょう よ 。 」
3
. . . . 「 「 「 「
kulay」 は 終 助 詞 か : 」 は 終 助 詞 か : 」 は 終 助 詞 か : 」 は 終 助 詞 か : 「 「 「 「
kulay」 と 「 」 と 「 」 と 「 」 と 「
kulye」 に つ い て 」 に つ い て 」 に つ い て 」 に つ い て
上 記の
2.2節 の「
kulay」と
2.3節 の「
kulye」に 関 す る『 표준국어대사전 』
(標 準 国語 大 辞 典
)の 記 述 に よ る と 、 本 稿 に お け る 終 助 詞 と し て の 機 能 の み を 持 っ て い る の は 「
kulye」 の 方 で ある 。한용운
hanyongwun (2003: 158-161)で は 「
kulay」 と 「
kulye」 を 考 察し 、 従 来 の
辞 書 で「
-kwumen, -kwun, -ci」 等に 後 続 す る 助詞 だ と 見な さ れ て き た「
kulay」 は 助 詞 で は
な く、先 行 す る 言語 表 現 を 代 用す る 、用 言の 活 用 形 だ とし て い る 。つ ま り「
kulay」は 動 詞
語 幹「
kuliha-」や 、形 容 詞 語 幹「
kuleh-」に 語 尾「
-e」が 結 合 し た 用言 の 活 用 形だ と い う こ
と で ある 。 そ の 根 拠と し て 「
kulay」 は 次 の よ う に 活 用 が可 能 だ と い う。
(22) a. motun salam-tul-i ta {kulay, kulaysse}.
全 て の 人-複 数 接 尾 辞-が み ん な {そ の よ う に 言 う そ の よ う に 言 っ た}
「 全 ての 人 々 が み んな { そ の よう に 言 う 、 言っ た } 。 」
b. ku os-un saykkkal-i com {kulay, kulaysse}.そ の 服-は 色-が ち ょ っ と {あ れ な の あ れ だ っ た の}
「そ の 服 は 色 がち ょ っ と { あ れ なの ( 良 くな い の) 、 あれ だ っ た の ( 良 く な か った の ) } 。 」
c. ku mwulken caney-ka sa-keyss-tako haci {kulay, kulaysse, kulayssna}.そ の 品 物 君-が 買 う-未 来 時 制-と 言 え ば{い い の に よ か っ た の に よ か っ た で は な い か}
「 そ の品 物 、 君が 買 う と言 え ば {い い の に、 よ か った の に 、 よ か っ た で は ない か 。 } 」
(한용운hanyongwun (2003:158)、 日 本 語 訳 は本 稿 の 筆 者に よ る 。
)一 方 、 「
kulye」 は 例
(22)の よ う な 活 用 が で き な い 助 詞 だ と 説 明 し ( 한용운
hanyongwun (2003:158)) 、現 代韓 国 語 に お いて 動 詞 語 幹「
kuliha-」や 、形 容詞 語 幹「
kuleh-」の 活 用 形 は
「
kulye」 に は な ら ない と 説 明 する ( 例
(23)) 。
(23) cip-ey ka-l sikan-i ta toy-ess-ney-{kulye,
家 -に 帰 る -未 来 連 体 形 時 間 -に そ ろ そ ろ な る -過 去 時 制 - 終 結 語 尾 -{終 助 詞 ね
*kulayssni, *kulaysse}.
の だ っ た ね の だ っ た }
「 家 に帰 る 時 間 に そろ そ ろ な った { ね 、*の だ っ た ね 、*の だっ た } 。 」
(한용운hanyongwun (2003:158)
、 日 本 語 訳 は本 稿 の 筆 者に よ る 。
)さ ら に 、 用 言 の 活 用 形 は 副 詞 の 修 飾 を 受 け る こ と が 可 能 な の に 対 し 、 「
kulye」 は 、 以 下 の 例
(24)の よ う に 、 元 の 意 味 を 保 っ た ま ま で 否 定 副 詞 「
an」 の 修 飾 を 受 け る の は 不 可 能 だ と し て いる 。 以 下 の例
(24)を 見 られ た い ( 한용운
hanyongwun (2003:158-159)の 例 を一 部 修 正) 。
(24) a. cip-ey ka-l sikan-i ta toy-ess-ney-kulye.
家 -に 帰 る -未 来 連 体 形 時 間 -に そ ろ そ ろ な る -過 去 時 制 - 終 結 語 尾 -終 助 詞 ね
「 家 に帰 る 時 間 に そろ そ ろ な った ね 。 」
b. cip-ey ka-l sikan-i ta toy-ess-ney. an kulye?
家 -に 帰 る -未 来 連 体 形 時 間 -に そ ろ そ ろ な る -過 去 時 制 -終 結 語 尾 否 定 副 詞 そ う だ
「 家 に 帰る 時 間 に そろ そ ろ な っ たね 。 そ う じゃ な い ? 」
한용운
hanyongwun (2003:158-159)も 説 明し て い る よ う に 、例
(24a)の「
kulye」は 終 助 詞と し
て 機 能し て い る が 、
(24b)の 「
kulye」 は 動 詞 活 用 形 の 意 味に な る と し てい る 。 す な わち 、
(24b)の 「
kulye」 は 、 例
(24a)の 「
kulye」 と は 意 味が 異 な る 。
さ らに 한용운
hanyongwun (2003:160)は 、現 代 韓 国 語に お い て「
kulye」は 、ス ピ ー チ レ ベ ル 上 の非 丁 寧 体の
hakey体、中 称 体の
hao体 、丁 寧 体の
hapsyo体 文の 終 結 語 尾「
-ney, -tey, -na, -so」 等 に 後 続 す るこ と も 指摘 し て い る。 한용운
hanyongwun (2003)の 主 張 は妥 当 で あ り、
本 稿 もこ れ に な ら って 「
kulay」 は 用 言 の 活 用形 、 「
kulye」 は 終 助 詞 とみ な す 。
以 上の 考 察 か ら 本稿 で は、現 代 韓 国 語 にお い て の 終 助詞 は「
yo」と「
kulye」の み を 認 定 す る 。 ま た そ れ ぞ れ の 用 法 と し て 、 終 助 詞 「
yo」 は 尊 敬 の 意 味 、 「
kulye」 は 先 行 文 脈 の 強 調 、 とす る 。
次 に ここ か ら は 日 本語 の 終 助 詞と の 比 較 検 討を 行 う 。
4. 独 話 で 現 れ る 日 本 語 の 終 助 詞 . 独 話 で 現 れ る 日 本 語 の 終 助 詞 と 、 対 応 す る 韓 国 語 の 形 式 . 独 話 で 現 れ る 日 本 語 の 終 助 詞 . 独 話 で 現 れ る 日 本 語 の 終 助 詞 と 、 対 応 す る 韓 国 語 の 形 式 と 、 対 応 す る 韓 国 語 の 形 式 と 、 対 応 す る 韓 国 語 の 形 式
4.1. . . . 「 わ 」 「 わ 」 「 わ 」 「 わ 」
日 本 語記 述 文 法 研 究会(
2003) ( 以 下 の 例 文で は 日(
2003)と 略 記 )に よ る と 、日 本語 の
「 わ 」は 気 づ き を 表す よ う な 非対 話 的 な 用 法で あ り 、 女性 だ け が 用 いる と し て いる 。 女 性 だ け が用 い る 助 詞 は見 出 し が たい が 、 機 能 的に 「 わ 」 に対 応 す る 韓 国語 の 形 式 は終 結 語 尾 の 「
ci」 が 考 えら れ る 。
(25) a.
[ 独 話 で ]あ 、 そ う だわ 。 あ の 件 、鈴 木 さ ん に伝 え て お く の忘 れ て た 。
(
日
(2003: 253)) b.[
honcasmal-lo]
acham, kuleh-ci. ku ken-ey tayhayse myengswussi-hanthey
[独 話-で] あ そ う だ-わ 。 あ の 件-に つ い て ミ ョ ン ス さ ん-に
cenha-nun ke-l {kkampak-hayssess-ney/ kkampak-hayssess-kwun}.
伝 え る-現 在 連 体 形 こ と-を { 忘 れ る-過 去 時 制-な あ/ 忘 れ る-過 去 時 制-な あ }
「 [ 独 話 で ]あ 、 そ う だ わ 。 あの 件 に つ い てミ ョ ン ス さん に 伝 え て おく の { 忘 れ て た なあ
/忘れ て た な あ } 。 」
例
(25b)のよ う に 韓 国 語に お い て話 者 の 独 話 では 終 結 語 尾の 「
ci(지
)」 「
ney(네
)」 「
kwun(군
)」 を 使 って 話 者 の 事 態把 握 へ の 気づ き や 感 嘆 を表 す 。
ま た 日本 語 記 述 文 法研 究 会 (
2003) に よ る と、 日 本 語 の「 わ 」 は 聞 き手 に 対 す る情 報 の 伝 え 方を 積 極 的 に 表す と い う 性質 を も た な い、 非 対 話 的な 終 助 詞 な ので 、 こ の 用法 の 「 わ」
は 独 話や 心 内 発 話 とし て 現 れ るこ と が あ る とし て い る 。同 じ 場 面 で 韓国 語 で は 話者 の 独 話
で は 終結 語 尾 の 「네
ney」 を 使っ て 話 者 の 事態 把 握 へ の気 づ き や 感 嘆を 表 す 。
(26) a.
あ、 田 中 さ ん だ わ 。 こん な と こ ろ で何 を し て るの か し ら 。
(日
(2003: 253)) b. e? chelswu ssi-ney. ilen kos-eyse mewlあ れ チ ョ ル ス さ ん-終 結 語 尾 わ こ ん な 所-で 何 を ha-ko iss-nun ke-ci?
す る-て い る-現 在 連 体 形 こ と-終 結 語 尾
「 あ れ? チ ョ ル ス さん だ わ 。 こん な と こ ろ で何 を し て るの か し ら。 」
例
(26b)の 「
chelswu ssi-ney」 に お い て も 、 韓 国 語 で は 話 者 の 独 話 で は 終 結 語 尾 の 「
ney」 を 使 っ て 話 者 の 事 態 把 握 へ の 気 づ き や 感 嘆 を 表 す 。 た だ し 、 以 下 の 例
(27b)の
「
ke-{ya/??ne}-lako」の よ う に 、話 者 が 状 況 証拠 に よ る推 論 を 経 て「 やっ ぱ り 」と事 態 を 断 定 的 に把 握 し て い る場 合 は 、 「
ney」 の 使 用 は 不 自 然 に感 じ ら れ る 。
(27) a.
やっ ぱ り 、 留 守 中 に だれ か 部 屋 に 入っ た ん だ わと 思 っ た 。
(日
(2003: 253)) b. yeksi cip-ul piwu-n sai-ey nwukwunka-ka pang an-uloや っ ぱ り 家-を 空 け る-過 去 連 体 形 間-に 誰 か-が 部 屋 中-に tuleo-n ke-{ya/??ne}-lako sayngkak-hayss-ta.
入 る-過 去 連 体 形 こ と-{断 定 終 結 語 尾/ 終 結 語 尾 わ}-と 考 え る-過 去 時 制-語 尾
「 や っぱ り 留 守 中 にだ れ か が 部屋 に 入 っ た んだ わ と 思 った 。 」
ま た 日 本 語 記 述 文 法 研 究 会 (
2003: 254) に よ る と 「 名 詞 述 語 に 「 わ 」 が 付 加 さ れ る 文 は 、 聞 き 手の 存 在 し な い非 対 話 的 な環 境 で は 自 然で あ る が 、対 話 で は や や容 認 性 が 下が る こ と が あ る」 と し て い る。 以 下 の 例
(28)と
(29)を 比 べ て み たい 。
(28) a.
[ 独 話 で ]あ 、 もう
3時 過 ぎ だ わ 。
(日
(2003: 254)) b.[
honcasmal-lo]
a, pelsse sey si-ka cina-ss-ney.[独 話-で] 感 嘆 詞 、 も う 3 時-が 過 ぎ る-過 去 時 制-終 結 語 尾 わ
「 [ 独 話 で ]あ 、 も う
3時 が 過ぎ た わ。 」
例
(28b)に お い て 独 話 で は 、 終 結 語 尾 の 「
ney」 を 使 い 、 話 し 手 の 驚 き を 表 す こ と は 自 然 で
あ る 。し か し 、 以 下の 例
(29b)の 話 者
Aと
Bの 間 の 韓 国語 の 会 話 に おい て 、
Aの 質 問 に対
し
Bが 答 え る場 合 は 、 「
pelsse sey si-ka {cina-ss-e/?cinassney}」 の よ う に 終 結 語 尾の 「
ney」
を 使 うの は や や 不 自然 で あ る 。例
(29b)の
Bの答 え で 終結 語 尾 の 「
ney」 を 使 うと 、
Aの 質
問 を 無視 し て 独 り 言を つ ぶ や いて い る よ う に見 え る の で、対 話的 な 場 面 で の「
ney」の 出現
は 不 自然 に 感 じ る ので あ る 。
(29) a. A:
「 今 、何 時 ? 」
B:
「 ? も う
3時 過 ぎだ わ 」
(日
(2003: 254)) b. A: cikum myech si-ya?今 何 時-断 定 語 尾
「 今 、何 時 ? 」
B: pelsse sey si-ka {cina-ss-e/?cinassney}.
も う 3 時-が {過 ぎ る-過 去 時 制-断 定 語 尾/ 過 ぎ る-過 去 時 制-終 結 語 尾 わ}
「 もう
3時 が { 過 ぎた よ
/過 ぎ た わ} 」 。
4. 2. . . . 「 な 」 「 な 」 「 な 」 「 な 」
日 本 語 記 述 文 法 研 究 会 (
2003: 261) に よ る と 「 な 」 は 丁 寧 形 に は 接 続 し に く い と い う 。 こ れ は、 「な 」 が 聞 き 手の 存 在 を前 提 と し な い、 非 対 話 的な 性 質 を も つか ら で あ ると し て い る 。
(30) a.
? 私 も そ う思 い ま す な。
(日
(2003: 261)) b. na-to kulehkey{
# sayngkakha-ci-yo/ *sayngkakha-nun-kwun-yo/私-も そ う {思 う-終 結 語 尾-敬 語 終 助 詞/ 思 う-現 在 連 体 形-終 結 語 尾-敬 語 終 助 詞/
*sayngkakha-ney-yo
}
. 思 う-終 結 語 尾-敬 語 終 助 詞}「 私 もそ う { # 思 いま す ね
/ *思 い ま す よ ね
/ *思 い ま す よね } 。 」
例
(30b)は 話 し 手 自 身 の 考 え や 意 見 を 披 露 す る 場 面 な の で 「
ci」 「
kwun」 「
ney」 の 使 用 は 非 文 法的 で あ る 。 と こ ろ で 以 下の 例
(31b)と
(32b)の よ うに 話 し 手 の 意見 で は な い、 感 嘆 を 表 す 場 合は 「
ney」 「
kwun」 の 使用 が 可 能 に なる 。
(31) a.
? 今 日 は ちょ っ と 肌 寒い で す な 。
(日
(2003: 261)) b. onul-un com {chwup-ney-yo/ chwup-kwun-yo}.今 日-は ち ょ っ と {肌 寒 い-終 結 語 尾 ね-敬 語 終 助 詞/ 肌 寒 い-終 結 語 尾 ね-敬 語 終 助 詞}
「 今 日は ち ょ っ と {肌 寒 い で すね
/肌寒 い で す ね } 。 」
(32) a.
? こ れ 、 いい 曲 で す な。
(日
(2003: 261)) b. ike, coh-un {kok-i-ney-yo/ kok-i-kwun-yo}.こ れ 良 い-現 在 連 体 形{曲-コ ピ ュ ラ-終 結 語 尾 ね-敬 語 終 助 詞/ 曲-コ ピ ュ ラ-終 結 語 尾 ね-敬 語 終 助 詞}
「 こ れ、 良 い { 曲 です ね
/曲 で す ね} 」 。
例
(31b)と
(32b)で は 、 天 気 と 曲 につ い て の 話 し手 の 感 嘆 を表 す の で 終 結語 尾 の 「
ney」 「
kwun」
の 使 用は 自 然 で あ る。
日 本 語記 述 文 法 研 究会 (
2003: 261) に よ る と、 「 な 」 には 、 か な り 性質 の 違 う
2つ の タ イ プ があ る 。 一 つ は、 非 対 話 的な 性 質 を 持 って い る タ イプ で あ る 。 この タ イ プ は使 用 者 の 制 限 がな く 、 男 性 ・女 性 ど ち らに も 用 い ら れる 。 も う 一つ は 、 聞 き 手に 対 す る くだ け た 確 認 を 表す も の で あ り、 対 話 的 な性 質 を も っ てい る タ イ プで あ る 。 こ のタ イ プ の 「な 」 は お も に 男性 が 用 い る もの で あ る と指 摘 し て い る。ま た 日 本語 記 述 文 法 研究 会(
2003: 262)に よ る と、 非 対 話 的 な「 な 」 は 、話 し 手 が 新 たに 認 識 し た事 態 を 表 す もの で あ る 。こ の よ う な 「 な」 は 、 「 ね 」 に 近 い 意 味を も っ て い る。 「 ね 」 は聞 き 手 に 対 する 伝 え 方 を表 す 対 話 的 な 終 助詞 で あ る が、 「 な 」 は そ れか ら 聞 き 手 に対 す る 伝 え方 を 表 す と いう 機 能 を 取り 除 い た も の であ る 。
(33) a.
あ、 だ れ か 来 た な 。
(日
(2003: 262)) b. e? nwuka {wa-ss-ney/ wa-ss-kwun}.あ れ だ れ か {来 る-過 去 時 制-終 結 語 尾 な/ 来 る-過 去 時 制-終 結 語 尾 な}
「 あ れ? だ れ か { 来た な
/来 た な} 。
(34) a.
雨 が 降 って い る な 。傘 、 持 っ て 出か け な く ちゃ 。
(日
(2003: 262)) b. pi-ka o-ko {iss-ney/ iss-kwun}.雨-が 降 る-て {い る-終 結 語 尾 な/ い る-終 結 語 尾 な} wusan kaci-ko ka-ya-keyss-ta.
傘 持 つ-て 行 く-義 務 連 結 語 尾-未 来 時 制-断 定 終 結 語 尾
「 雨 が降 っ て { い るな
/い る な} 。 傘、 持 っ て 出 か け なく ち ゃ。 」
例
(33b)と
(34b)の よ う に、 聞 き 手が 存 在 せ ず、 話 し 手 が 目の 前 に 繰 り 広げ ら れ て いる 事 態 を 新 た に 認 識 し た こ と を 表 す 時 、 韓 国 語 で は 終 結 語 尾 「
ney」 「
kwun」 を 使 う と い う こ と が わ か る。 た だ 、 事 前の 情 報 が なく 、 今 発 見 した ば か り の事 態 に 対 す る驚 き や 感 嘆を 表 現 す る 時 は終 結 語 尾「
ney」を 使 う方 が 自 然 で ある 。終 結 語尾「
kwun」を 使っ た 場 合は 、例
(33)で は 来 客 の 靴 を 観 察 し 推 理 し な が ら 淡 々 と 述 べ る 感 じ で あ り 、 例
(34)で は 驚 き が な く ( 例 え ば 梅雨 の シ ー ズ ン) 淡 々 と 雨を 眺 め な が ら、 も し く は雨 音 を 聞 き なが ら 述 べ る感 じ で あ る 。 いず れ の 場 合 でも 上 記 の 独話 で 出 現 す る日 本 語 の 「な 」 が 担 当 する 機 能 を 、韓 国 語 で は 終 結語 尾 の 「
ney」 「
kwun」が 担 当 す る こと が わ か る。
日 本 語記 述 文 法 研 究会(
2003: 262)によ る と 、非 対 話 的な「 な 」が 対 話 の 中 で 用い ら れ
る こ とも あ り 、 対 話で 用 い ら れる 場 合 で も この よ う な 「な 」 は 聞 き 手に 伝 え る こと を 強 く
意 識 せず 、 感 情 や 想起 し た こ とを 独 話 的 に 述べ る と い う伝 え 方 に な ると 指 摘 し てい る 。
(35) a.
何か 飲 み た い な 。ね え 、喫 茶 店 に でも 入 ら な い?
(日
(2003: 262))b.[honcasmal-lo] mwenka com masi-ko siph-kwun.
[sangtaypang-eykey]
[独 話-で] 何 か ち ょ っ と 飲 む-て た い(願 望)-終 結 語 尾 な 。[聞 き 手-に]
issci, wuli khaphey-lato tuleka-ci anhullay?
間 投 詞 ね え 私 た ち カ フ ェ ー-に で も 入 る-て し な い
「 [ 独 話 で] 何 か 飲 みた い な。 [ 聞き 手 に] ね え 、 私 た ち カ フェ ー に で も 入ら な い ? 」 例
(35a)と
(35b)そ れ ぞ れ に お ける 二 つ の 文 は 、前 者 は 独白 、後 者 は 聞 き 手 へ の 発言 と な って い る 。例
(35a)の 日 本 語 で は 前 者の 文 に「 な 」が 使 わ れ てい る 一 方 、例
(35b)の 韓 国語 に おい て は「
kwun」が使 わ れ て い て 、話 し 手 が 淡 々 と自 分 の 体の 状 態( 喉 が 渇い て い る等 )を 観 察 し なが ら 述 べ て いる 感 じ で ある 。 こ こ で 二 つ の 文 の 間で 「 独 白 」 か ら 「 聞 き 手 への 発 言 」 へ 発 話の モ ー ド が 切り 替 わ っ てい る こ と が ポイ ン ト に なる 。
4. 3
. . . . 「 な あ 」 「 な あ 」 「 な あ 」 「 な あ 」
一 方、日 本 語 記 述文 法 研 究 会(
2003)に よる と 、 「 な あ」は 非 対 話 的な 性 質 を も って い る の で 、丁 寧 形 に は 接続 し に く いと 説 明 し て いる 。
(36) a.
たく さ ん 食 べ た な あ 。お 腹 は 大 丈 夫か い ?
(日
(2003: 263)) b. [honcasmal-lo] manhi-to mek-ess-ney. [sangtaypang-eykey] pay-nun[独 話-で] 沢 山-も 食 べ る-過 去 時 制-終 結 語 尾 [聞 き 手-に] お 腹-は
kwaynchanh-a?
大 丈 夫-か い(語 尾)
「 [ 独 話 で ]た く さ ん 食 べ た なあ 。 [聞 き 手 に ] お 腹 は大 丈 夫 か い ?」
例
(36)で は 独 話 の 部 分 は 丁 寧 形 で は な い た め 日 本 語 で は 終 助 詞 「 な あ 」 が 、 韓 国 語 で は 終 結 語 尾の「
ney」が 使 わ れ て 非 対話 的 に 話 し 手の 詠 嘆 を 表し て い る 。しか し 、以 下の 例
(37a)の よ うに 、 非 対 話 的な 場 面 で 「な あ 」 は 丁 寧形 に は 接 続し に く い 。
(37)(=(5)) a.
? た くさ ん 食 べ まし た な あ
6
。
(日
(2003: 263)) b. manhi-to {#
mek-ess-ney-yo/#
mek-ess-supnita-kulye}沢 山-も 食 べ る-過 去 時 制-終 結 語 尾-終 助 詞/ 食 べ る-過 去 時 制-聞 き 手 敬 語 語 尾-終 助 詞
「 た くさ ん { # 食べ ま し た ね
/# 食 べ ま した な あ} 。 」
6
男 性 に よ る お じ さ ん キ ャ ラ と し て の 発 話 な ら 容 認 度 の 面 で さ ほ ど 不 自 然 で は な い と 思 わ れ る 。
一 方 、 上 記 の 例
(37b)に お い て 韓 国 語 で は 終 結 語 尾 「
ney」 は 終 助 詞 「
yo」 を 伴 い 、 丁 寧 形 と し て出 現 可 能 で ある が 、丁 寧 形 に な ると 独 話 的 で は なく な る 。ま た 終 助 詞「
kulye」を使 っ て 聞き 手 に 対 す る親 近 感 を 伴う 詠 嘆 を 表 すこ と が で きる が 、独 話 では「
kulye」は 出 現 し な い 。 終助 詞 「
kulye」 を 使 う と 聞き 手 へ の 伝 達を 意 図 す るこ と に な る ので あ り 、 終 助詞 「
kulye」 は 非 対話 的 な 性 質 は持 た な い こと が わ か る 。
日 本 語 記 述 文 法 研 究 会 (
2003: 264) に よ る と 、 「 な あ 」 は 、 あ る 事 態 を 認 識 し た こ と か ら 引 き起 こ さ れ る 感情 の 高 ま りを 詠 嘆 的 に 表す 終 助 詞 であ る 。 こ こ で詠 嘆 の 表 現は 、 一 般 に 、 聞 き 手 へ の 伝達 を 意 図 す るも の で は な いの で 、 「 な あ 」 は 独 話 や 心 内発 話 の よう な 非 対 話 的 な環 境 に 現 れ るの が 基 本 であ る と も 指 摘し て い る 。ま た 対 話 で 用い ら れ る 場合 も 、 そ れ を 話し 手 に 伝 え るこ と が 積 極的 に 表 さ れ るわ け で は ない と の こ と であ る 。
(38) a.
も う 仕 事 終 わっ た の ? す ご い な あ 。
b. pelsse il-ul ta kkuthnay-ss-e? [honcasmal-lo] {koyngcangha-n ke-l/
も う 仕 事-を 全 て 終 わ る-過 去 時 制-語 尾 [独 話-で] { す ご い-現 在 連 体 形 こ と-を/ koyngcangha-ney/ koyngcangha-kwun}.
す ご い-終 結 語 尾 な あ す ご い-終 結 語 尾 な あ
「 も う仕 事 終 わ っ たの ? [ 独 話で ] { ( な ん て) す ご い こと
/す ご い な あ
/す ご い なあ } 。 」 例
(38a)と
(38b)そ れ ぞ れ に お け る 二 つ の 文 は 、 前 者 は 聞 き 手 へ の 質 問 、 後 者 は 独 白 と な っ て い る 。 例
(38a)で 日 本 語 で は 「 なあ 」 が 使 わ れ てい る 一 方 、 例
(38b)の 韓 国 語 に お いて は 「
ney」 が 使 われ る 場 合 は 話し 手 の 驚 きを 、「
kwun」が 使 わ れ る場 合 は 話 し 手の 淡 々 と した 分 析 を 表 し てい る 。 こ の よう な 韓 国 語の 談 話 に お いて 、
1番目 の 聞 き 手 への 質 問 文 か ら
2番 目 の 独 話 に 切 り 替 わ っ た 際 に 、 文 末 に 終 結 語 尾 の 「
ney」 と 「
kwun」 が 出 現 し 、 話 し 手 自 身 に 対 し て事 態 認 識 上 の驚 き ・ 分 析と い う 情 報 を再 認 識 さ せる 情 報 管 理 機能 を 担 う こと が わ か る 。
以 上 の考 察 か ら 日 本語 と 韓 国 語の 情 報 管 理 機能 は 両 言 語の 対 照 を 通 して こ そ よ り明 確 に な る こと が わ か っ た。
5.
結 論 結 論 結 論 結 論
本 研 究で は 、 日 本 語と 韓 国 語 の終 助 詞 と 終 結語 尾 の 対 照を 通 し て こ そ両 言 語 の 情報 管 理 機 能 がよ り 明 確 に なる こ と を 示し た 。 具 体 的に は 次 の よう な こ と が わか っ た 。
第 一 に 、日本 語 の 終 助 詞「 ね 」 「 よ 」は 、聞 き 手を 必 要 とす る 対 話 で のみ 出 現 し 、話 し手
の 事 態認 識 上 の 感 嘆・ 驚 き を 聞き 手 に 伝 え ると い う 情 報管 理 機 能 を 担う 。 ま た 日本 語 の 終
助 詞 「ね 」 「 よ 」 は独 話 や 心 内発 話 の 中 で は現 れ な い 。
第 二に 、 日 本 語の 終 助 詞 「わ 」 「な 」 「 な あ 」 は、 話 し 手の 独 話 や 心 内発 話 の 中 で出 現 し 、 話 し 手自 身 に 対 し て、 事 態 認 識上 の 感 嘆 ・ 驚き と い う 情報 を 再 認 識 させ る 情 報 管理 機 能 を 担 う 。
第 三に 、 韓 国 語 の 終結 語 尾 の 「
kwun」 「
ney」 「
ci」 は 、 対 話の 中 で も 出 現 可 能 であ る が 、 話 し 手の 独 話 や 心 内発 話 の 中 でも 出 現 し 、 話 し 手 自 身 に対 し て 、 事 態 認 識 上 の 分析・感 嘆 ・ 驚 き ・確 認 と い う 情報 を 再 認 識さ せ る 情 報 管理 機 能 を 担う 。
第 四 に 、 韓 国語 の 「
kulay」 は 用 言 の 活 用 形 、 「
kulye」 は 終 助 詞 で あ る こ と か ら 、 現 代韓 国 語 の終 助 詞 は「
yo」と「
kulye」の み を 認 める 。そ れ ぞれ の 用 法 と して 終 助 詞「
yo」は 尊 敬 の 意味 、 「
kulye」 は 先 行 文 脈の 強 調 で あ る。
第 五に 、韓 国 語 の 丁 寧 形 終 助詞 の「
yo」と 、終 助 詞「
kulye」は 独 話 や 心 内 発 話に お い て は 使 われ ず 、 必 ず聞 き 手 が 存 在す る 際 に 現 れる 。 た だ し、 事 態 認 識上 の 分 析・感 嘆・驚 き ・ 確 認 とい う 情 報 を 再認 識 さ せ る情 報 管 理 機 能は 担 わ な い。
< 参 考文 献 >
金 善 美
(2018)「 韓 国 語 と 日 本語 の 独 話 に おけ る 終 助 詞・終 結 語尾 と 情 報 管 理 機能 」
,朝 鮮 学 会第
69回大 会
,於 : 天 理 大 学
.定 延 利之
(2007)「 キ ャ ラ 助 詞 が現 れ る 環 境 」金 水 敏 編『 役 割語 研 究 の 地 平 』
: pp.27-48,く ろ し お出 版
.田 窪 行則
(1987)「 統 語 構 造 と文 脈 情 報」 『 日 本 語 学 』
vol.6, 明 治 書院
.田 窪 行 則
(1989)「 名 詞 句 の モ ダ リ テ ィ 」 仁 田 義 雄 ・ 益 岡 隆 志 編 『 日 本 語 の モ ダ リ テ ィ 』
pp.211-233,くろ し お 出 版
.田 窪 行則 ・ 金 水 敏
(1996)「複 数 の 心 的 領 域に よ る 談 話 管理 」 『 認 知 科 学』
Vol.3, No.3, pp.59-74,日 本 認知 科 学 会
.田 窪 行則
(2006)『 日 本 語 条 件文 と モ ダ リ ティ 』 , 京 都大 学 大 学 院 博士 論 文
.日 本 語記 述 文 法 研 究会(
2003) 『 現 代日 本 語 文法
4第
8部 モ ダ リ テ ィー 』
,く ろ し お 出版
.益 岡 隆志 ・ 田 窪 行 則
(1992)『 基 礎日 本 語 文 法 - 改 訂 版- 』
,く ろ し お出 版
.국립국어연구원( 国立 国 語 研 究院
) (1999)『 표준국어대사전 』 ( 標 準国 語 大 辞 典)
.한용운 (2003) 『 언어 단위 변화와 조사화 』 ( 言 語 単位 の 変 化 と 助 詞 化 )
,한국문화사
(韓国 文 化 社
).Yukinori Takubo, and Satoshi Kinsui (1997) Discourse Management in terms of Mental Spaces.
Journal of Pragmatics, Vol.28, No. 6, pp.741-758.