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プレストレス木床版の構造特性に関する実験的研究
真坂直路*・米谷 裕・堀江 保
ExperimentalSutdyonCharacteristics
OfPrestressedLaminatedTimberDeck
NaomichiMAsAKA*,HiroshiYoNEYA,YasushiHoRIE(1999年11月30日受理)
Woodwasprobablythefirstmaterialusedbyhumanstoconstructabridge.Althoughin the20thcenturyconcreteandsteelreplacedwoodasthemajormaterialsforbridgeconstruc‑
tion. Butbridgematerialshavecapableoftimberasagainstanothermateria1s.
Prestress‑laminatedtimberisarelativelynewconceptfortimberbridgeapplicatins.
Usingthissystem,verticalsawnlumberlaminationsareclampedtogetherontheirwidefaces byhigh‑strengthsteelstressingrods.Theexperimentprovethatcharacteristicsofprestressed
laminatedtimberdeck.
Fromthetestresults,thatgaveadequateprestressthelaminationssotightlythatthedeck behaveslikeonelarge, solidplateofwood. Anditrequiresuitablenumberofsteelrods,
diameterandinterval.
30%弱で, 40億ha,閉鎖林だけなら27億ha程度と 見られている。 しかし森林は,他の資源と異なり,
年々成長し資源量を増大していく。毎年切って利用 される量がこの生長量を超えなければ永久に再生産
され続ける。現に昭和41年から61年の20年間に日本の森林は年間5〜4千万rn3もの伐採を続けながら,
9.8億In3もの資源量の増加を見ている。また,利用さ
れた木材は最終的には土に帰り,次の世代の栄養となる。
さらに木材利用の優位性として無視できないこと
に, その省エネルギー性がある。木材は,人間が生 産しうる唯一の天然材料であり,金属などの他の材 料のように本質的な変換手法を加えることなく利用できる材料である。木材の変換せずに使える特性は,
製品化するとき必要な化石エネルギーを他の材料ほ
ど必要としない。')例えば,アルミサッシは木製サ ッシに比べその製造に31倍のエネルギーを, コンク リート電柱は木柱の10倍ものエネルギーを必要とす
る。この特性により,いずれ到来するであろうエネ ルギー不足時代には,木材は得難い材料になるであろうと予測される。
以上のように,木材には他の材料にはない大きな 優位性があり, これから先,鉱物資源の枯渇,エネ
はじめに 1
我が国日本の総森林面積は,国土の67%, 2,500万 haにおよび,比率としてはフィンランドに次ぎ世界 第2位である。')また, 日本がかつて森林地帯の多 い割には人口が少なく,木材が身近に豊富にある資 源として利用された伝統を受け継いでいる。木材は 限られた地球上の資源の中では,再生産が可能であ
り, しかも栽培できるという点で,極めて優れた貴 重な資源であり,浪費すべきではないが眠らせてお
くべきでもない。') しかし,土木の分野における構造材料となると,鋼やコンクリートの発展普及によ
り,著しくその利用範囲が狭められている。だが,構造材料として大部分を占める鋼やコンクリートに
も問題が多く存在する。例えば,鋼材などの鉱物資源は, その埋蔵量が全てであり, これから先安定し
た供給に保証はない。 コンクリートを用いた構造物 においても,不要になった時の産業廃棄物処理が問題となっている。このような問題は木材においては
生じない。')地球上で森林に覆われている面積は意外と少なく,疎林の面積を含めても,総陸地面積の
*秋田高専専攻科学生
ルギー不足などが起こる前に,木材資源の有効利用 を広い分野で十分検討し確立させておくことが必要
であると考え,土木の分野における木材利用の可能 性として,木材を用いた橋梁の床版に関する基礎的研究を行った。
木材を使った橋梁は,アメリカなどで盛んに架設 が行われている。我が国においても,明治初期から 大正中期までの道路橋において多く用いられてい
た。 しかし,現在ではほとんど行われていない。木
材に関する基準及び規格は,建築の分野では木構造基準が定められており,各種試験方法は, 日本工業 規格(JIS)および日本農林規格(JAS)により定め
られている。 しかし,土木の分野においては,ほと んど木材の利用が考えられてはいなかった。3) しか し,昭和62年11月16日に建築基準法及び同施行令が一部改正施行され,集成材の優れた構造耐力性能お よび防火性能が認められたこと等により,構造用大
断面集成材を用いた大型木造建築物の規制緩和が図 られるなど,土木の分野でも木材が材料として注目 されてきた。本来,木材には他の材料にはないすば らしい特性もあり,単に強度や耐久性から木材の利用範囲を制限することは賢明ではない。今回の研究
は,アメリカなどで木橋などに多く使われているプ レストレス木床版の考えに着目したものである。この考えは大変有効なもので, この方式を用いれば,
木材を橋梁用構造材料として鋼やコンクリートの代 替材料に充分利用可能であると考えられる。しかし,
橋梁部材として木材を利用するためには,様々な点
において研究を進めていく必要がある。今回の研究では,プレストレス木床版の模型を作り,載荷試験
を行うことにより, その特性を把握することを目的としたものである。
(2)腐りやすく,害虫の被害を受けやすい。
(3)個体間で材質の変動が大きい(樹種,育成環境,
辺材と心材)。
(4)大きさに制限があり,鋼材のような長大な材料 が得られない。
(5)水分による変形が大きく,反りやゆがみを生じ やすい。
一般に木材には以上のような性質がある。確かに 木材には欠点も多く存在するが, その欠点の解決策 も考えられている。短所である可燃性も,薄い木材 は確かに燃えるが, ある程度の厚さを持つと,表面
が焦げるだけで内部は変化がない。腐食性や水分の影響などの問題に対しても,防腐,防水処理を施す
ことにより解決が可能であるし, ') じめじめした状 態にさえ置かなければ,諸材料の中では最も耐久的な材料の1つでもある。これは,現存する数百年以 上もたった古建築を見るだけで明らかである。大き
さの制限,個体差についても,木質材料(集成材,
LVL(単板積層材)など)にする事により解決され
るし,長所である比強度については,鋼やコンクリートの4〜5倍にもなり,橋梁用構造材料としては 大きなメリットとなり, 自重の軽い構造物を造るこ
とができるのである。
以上のように木材の長所,短所を述べてきたが,
木材は鋼やコンクリートの代替材料に充分なり得る
と考えられる。
2.プレストレス木床版について
今回の研究の基本となるプレストレス木床版につ いて説明する。
このプレストレス木床版の概念は, 1970年代カナ ダのオンタリオ州で生まれ, オンタリオ州の道路橋
示方書(OHBDC)に取り入れられている。この床版
橋は1980年代にアメリカ合衆国でも試験的に架設されるようになり, その後ひき板の代わりに集成材を
用いるものもアメリカ合衆国で研究されている。具 体的な構造は,製材または集成材ラミナを幅員方向に接着剤を用いず積層し,床版厚さの中心の幅員方
向に貫通する孔にプレストレス鋼棒を挿入し, これ にプレストレスを与えることにより一体とした構造 である。この概念は, それまで使われてきた釘打ち 積層木床版に代わるものとして生まれた。釘打ち積層木床版は,幹線道路の繰り返し荷重が原因で床版
の一体性を保つ機能を低下させる, 2つの主要の動木材を構造用材料として使用する場合その性質を
把握しておくことが不可欠である。 よって木材の長
所,短所を以下に述べる。
長所
(1)比強度(強度/比重)が大きい。
(2)熱や音響を伝えにくい。
(3)加工が容易である。
(4)温度による収縮が少ない。
(5)供給が豊富で, また安価である。
(6)外観が美しく, また再利用が可能である。
短所
(1)可燃性である。
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プレストレス木床版の構造特性に関する実験的研究
作が発生した。それは,輪荷重により横方向曲げに
よる積層下部が開いてしまうことと,せん断による
積層が滑り落ちてしまう現象である。この2つの問 題は,プレストレス木床版が十分に一体化している ならば曲げに対し引張りを打ち消し,せん断に対し
積層間に摩擦力が発生することにより起こらな い。4)実際にアメリカでの設計する際の基本的な概念は,この輪荷重に対して図2−2にような変形が生
じない事とされている。
プレストレス木床版とすることにより,釘打ち積
層木床版に比べ以下のような利点がある。
(1)プレストレスカによって,積層した木材を一枚
の大きな板とすることができる。
(2)加工が容易である。
(3)各木材の層厚を薄くできる。
(4)接着剤を使用しないため,施工費を削減できる。
(5)プレストレスカによって床版の強度を保つこと ができるため,桁が不要である。
(6)積層間に摩擦が働く事により,一つ一つの部材
が橋長の寸法を必要としない。
3.実験概要
ガードレー
菫一言 3. 今回の研究では,プレストレス木床版の模型を作 1 プレストレス導入方法 成し,載荷試験を行うことによりその特性を検討し
た。実験で用いたプレストレス木床版の模型は, 2点単純支持で,荷重は中央一点載荷とした。部材に
は,厚さ2.5cm,高さ10cmの杉板を35枚使用し,並べた単板に鋼棒を挿入する穴を開け,鋼棒を通し た(この鋼棒にはあらかじめ鋼棒の中間位置にひず
みケージを対称的に2枚取り付け, このひずみケー
ジによりプレストレスカをチェクする)。次に,この鋼棒に定着板と呼ばれる鋼板を取り付ける (定着板 の寸法,厚さは使用する部材の繊維直角方向の強度 により決定される)。この定着板で積層された木材を 両側から狭みつけ, その鋼棒にナットを取り付け,
そのナットを締めつける事により生じる鋼棒のひず みを測定し,プレストレスを調節し発生させた。プ レストレスは,鋼棒が2本の時0.5tから2.5tまで,
4本の時は0.25tから2.0tまで細かく変化させて
導入し,それぞれの初期プレストレスに,荷重を0.5tから3.0t程度まで細かく載荷し, その際に生じる
床版のたわみ値を,軸方向,幅員方向に設置したダイヤルケージにより測定し,同時に荷重を載荷した ときの初期プレストレス変化も測定した。荷重の上 限はケースにより異なり, その目安として,載荷点 である木床版の中央点でのたわみ値が10.0mmを 越えない程度とした(アメリカのプレストレス木床 版の設計基準において,4)活荷重たわみはL/360に 制限するべきとある。今回の実験においてスパン L=180.0cmであり,実験においてはより多くの 荷重変化によるデータを得るため実際の設計基準の
2倍程度とした)。
今/芹
柱n n
、
側面図
I ブレストレス鋼棒/
、
平面図
I
支柱摩耗板
カードレール、全E
E
r
│I
1 /7F面図
11冊HlllⅢ lMll{11ⅢH Ⅲ'11
図2−1 典型的なプレストレス木床版の形式
一 一
引張による積層下部の開き
一Ⅲ11,−
せん断による積層の滑り落ち図2−2 輪荷重による床版変形
3. 2 使用材料の弾性係数
床版の部材には,厚さ2.5cm,高さ10cmの板を
篭溌 回隣溌 灘 鰯 溌潮回蕊篭 灘
一一
回
灘〃
I
た。
■⑨叩・戸四
表3−3 鋼棒による実験床版の分類
便供■理
11】 I JU、 Ucm
荷重載荷位I 軸方向ダイヤルゲージ位面 中心点位置より13cm間隔
幅員方向ダイヤルゲージ位置中心点位伍よりl 、間隔
図3−1 ダイヤルケージ位置
卜正型三塁』̲§̲Q−OCm 」
No. 1 No. 2 No. 3
No. 4
35枚使用し,板は1枚ずつ弾性係数を測定し, その 弾性係数の高いものから中央に配置し,小さくなっ ていくほど端部側に配置した。使用した鋼棒は直径 12mm, 15mm, 20mmの3種類で弾性係数につい ては, それぞれ1本ずつ引っ張り試験を行い,最小 自乗法によりその弾性係数を求めた。
鋼棒4本
○
○ ○ ○
225 1 45. O l 4S.O l oSO │ 22.5
No. 2
No. 1
三厘一己
鋼棒2本45. 0
45. 0 90. 0
図3−2 プレストレス木床版図および鋼棒挿入箇所 表3−1 木材の弾性係数(kg/cm2)
4.実験結果
4. 1 床版のたわみ分布
今回の実験で,並べた木材方向を軸方向,幅方向 を幅員方向とし,得られた実験値より,横軸に距離
(cm)縦軸にたわみ(mm)をとり,軸方向,幅員方向のたわみ分布として表した。
今回の実験におけるたわみとは,荷重をかければ たわみ,同荷重においてはその時のプレストレスの 締め付けや,鋼棒本数,鋼棒径等に左右されるので はないかと考えられ,結果がある程度予測できるも のと思い,実験データの様々な組み合わせにより,
先に挙げた異なった条件下における比較,検討を行 おうとしたものである。
表3−2 鋼棒の弾性係数(×106kg/cm2)
3. 3 実験床版の分類
う。レストレス木床版の構造特性を探る一つの方法 として,今回の実験結果において, たわみによる解 析を用いることにした。う°レストレス木床版におい
てのたわみとは同荷重においてはその時のプレスト
レスの締め付けや,鋼棒本数,鋼棒径等に左右されるのではないかと考えられ,鋼棒による床版の分類 とし表3−3のような6ケースの組み合わせを考え
た。プレストレス木床版の模型部材の樹木は,杉材,鋼棒は直径12mm,15mm,20mmの3種類を2本,
4本ずつ使用し,実験手順としては, う°レストレス を発生させ,載荷し, たわみ量,初期プレストレス の変化を随時測定する方法をとった。実験より得た データより,初期プレストレス,鋼棒の本数,鋼棒
直径の違いでどのような影響を生じるか比較検討し
4. 2 たわみ分布の補正
先に述べたように,今回の実験でのたわみ分布は,
荷重を増すとたわみも増加し, う。レストレスを強く 締め付けることにより, たわみの増加量は減少する
ものであると, ある程度の予測がつけられた。しか し全てのケースのグラフを作成した中から,いくつ かの予想外の結果が発生した。その一例として挙げ たグラフが図4−1であり,このグラフを見ると明ら かにプレストレスの増加に伴いたわみ量も増加して いる。本来ならばプレストレスの増加は床版に対し て有効であることなどから,図4−1を補正してみる
12mm‑22
民12rml‑42
民15mm‑2Z
‐局 15mm‑42
属20mm‑22
■■烏 20rTTT1‑4Z
鼠三三三三三三三三三三
■
』 ラ
q一反ノ足
画 言一q
■凸
ロ ■ ■ ■ △
ー鄙︒ 万一一
'0、鼻
■■■■■■■
【 12伽的
剥一
E
■■
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。■
■■
昭
▲
■主宇
糸致 58200
旬君
戸
畠 一画画︒ ワドュ
78800鋼棒12mm §
ー
adjO=15mm §罫
目
520rnm No. 1 1.851.91
211 No.2 1.86 204 1 204No.3
1.92
1.92 1.98No.41 1.84 201 216
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プレストレス木床版の構造特性に関する実験的研究
ことにした。その方法として実験値としてはあまり
信用のないとされる初期荷重のたわみ値を,各荷重 のたわみ値より差し引き,補正値とし, その補正値 を使用して作成したグラフが図4−2である。このグラフからは同荷重におけるプレストレスの影響がよ
く読みれる。
このような補正前と補正後の変化は, どれも荷重
が少ないときに発生しており,載荷重が小さいとき にはプレストレスカの影響が現れにくい事が分か
る。今研究においてはプレストレス変化が床版に対しどのような影響をもたらすかを知ることを目的の
一つとしており,補正後のグラフの方がより多くの 特徴を見いだしやすいと考え,今回の実験値は全て 補正し,今後のグラフ作成等にも全てこの補正後の値を用いることにした。
幅員方向たわみ分布12mm‑2本 荷重1.5t
幅員方向距難(cm)
202468
−︵EE︶劇篭暑製
] 40 60 80 1【X
恥司.5t R巴=10t
酢=15t 恥=20t10
..※.。R巴=2.5t
図4−3 プレストレスによるたわみ分布比較
図からは,最大プレストレスは中央部の最大たわ みと,両端部の最小たわみの差が小さいのに対し,最小プレストレスのほうは最大プレストレスの線よ りも鋭角であり, その差は大きい。 (図に示した12
mm‑2本荷重1.5tは今回の実験のケースのな
かで最も中央部と両端部の差が大きいものと思い示したものである)
これは,プレストレスが小さいとき積層間の摩擦
力が小さく,載荷により積層間にせん断力によりずれが生じるなどの原因により床版が一体化していな
いため,荷重を床版全体で受けることができず,中央に載荷した荷重の影響が端部まで伝わることな
く,荷重載荷点付近のみにたわみが生じた結果と考 えられる。逆にプレストレスが大きくなるにつれ床 版の一体化が進み,荷重をより床版全体で受けるこ とができ, 中央でかけられた荷重を床版全体で受ける事により,たわみも床版全体に渡り分散し発生し,
中央部におけるたわみ量はプレストレスが大きい程 小さい。
つまり, このプレストレス木床版においての強度
とは,プレストレスの変化による木床版の強度変化
というより, う°レストレスの変化による木床版の一体化の度合いがそのまま強度変化に影響するとい
え,プレストレスカ不足の影響は荷重増加に伴いより強まると言える。
幅員方向たわみ分布12mm‑2本 荷重O.5t(補正前)
幅員方向距離(Cm)
0 50 100
O51525354Q123︵EE︶項奄鼻担
01122 50505 ttttt
一一一一一一一一一一恥恥恥恥恥 01122 50505 ttttt一一一一一一一一一一恥恥恥恥恥
ロ
ロ
▲×幾
口
● ロロ
▲×幾
口
●
図4−1 プレストレス変化に伴うたわみ分布(補正前)
幅員方向たわみ分布12mm‑2本 荷重O.5t(補正後)
幅員方向距薩(cm)
0 20 40 60 80 100
0515253
Q12︵EE︶呵電鼻製50505 ttttt O1122一一一一一一一一一一咋咋咋咋院 50505 tttttO1122一一一一一一一一一一咋咋咋咋院
54 a
4. 4 鋼棒本数,径による比較
ここでは,今回の実験で得られた結果より,鋼棒 本数,径による比較を行う。 まずこの比較を行うた めに,プレストレス木床版の幅員方向のたわみ分布 を,床版全体にかかる合計プレストレスを等しくし,
鋼棒2本と4本をひとつのグラフとして表した。図
4−4,図4−5,図4−6はその一例である。図4−4は,幅員方向たわみ分布12mm鋼棒2本, 4本
図4−2 プレストレス変化に伴うたわみ分布(補正後)
4. 3 プレストレスによる比較
まずはじめに,鋼棒直径12mm−鋼棒本数2本(以
下12mm‑2本の形式で示す)荷重1.5tにおける幅 員方向のたわみ分布図を図4−3に示す。図のように 最小プレストレスを実線,最大プレストレスを点線で結んで示してある。
に1.5tの荷重をかけたもので,図4‑5,図4‑6は その鋼棒直径15mm, 20mmのものである。このグ
ラフにおいて最小合計プレストレスを1.0t,最大プ
レストレスを5.0tとして比較した。また, 2本と4 本の比較がし易いように,鋼棒本数が2本のものを 実線, 4本のものを点線で示した。図から,床版に発生しているう°レストレスが同じ 場合,鋼棒本数が2本でも4本でもたわみの発生す
る分布に大きな違いはなく分布形状としては同様の
形を示していることがわかる。 しかし,点線で示し た鋼棒本数4本に比べ実線で示した2本の方が全体 的に見て大きなたわみ量を示している。発生しているプレストレも載荷している荷重も同量であり, そ の時のたわみ分布形状が同様の形をとるならば,床
版としてはたわみ量が小さい方カ有効である。この ことから,鋼棒の数は多い方が床版として有利であ ると言える。 しかし,今回の実験で用いたのは鋼棒が2本と4本の2ケースのみであり, この2本と4 本のたわみ量の差もごくわずかであることから, 2
本に対し4本がどれだけ有効なのかを知ることができなかった。これは実際に橋を架設する際, コスト
面から見た場合,鋼棒の本数を2倍にすることによ りその強度も2倍になる訳ではないと考えられるの で,床版に対し鋼棒1本の締め付け力が床版のスパン方向にどれだけの影響を持つのかを知る必要があ
る。
また,図4−4,図4−5,図4−6からは,鋼棒径 が太くなるにつれ最小プレストレス時におけるたわ
みの差は広がりをもち,最大プレストレス時におけ るたわみの差は減少を示しているのがわかる。この 事より,プレストレスを十分にかけた場合, その鋼 棒が太いほど2本, 4本の差を縮める事ができ, う。
レストレスが小さい時にはその影響が大きく現れる
という特徴を持っていることが分かる。つまり,床 版の一体化と言う面では,鋼棒本数を増やし,径を 増し,プレストレスを大きく与える事により, より
一体化すると言えるが,プレストレスが小さいとき にはその鋼棒による効果が十分に得られないといえる。
たわみ幅員方向12mm荷重1.5t 幅員方向距離(cm)
20 40 60 80 100
一一一一一聿一
1 2024680 1
︵EE︶咽奄異製
㈱㈱㈱㈱ 戯皿Ⅸ吠 司ゴ5鼠 恥恥睦咋 一一一一 ㈱㈱㈱㈱ 戯皿Ⅸ吠 司ゴ5鼠 恥恥睦咋 一一一一
ー q
■
図4−4 鋼棒本数によるたわみ分布(鋼棒径12mm)
たわみ幅員方向15mm荷重1.5t 幅員方向距離(cm)
2024680
−1
︵F層︶咽竜異哩】 40 60 Eu 10[
Ot(2本)
0t(4本)
Ot(2本)
0t(2本)
0t(4本)
0t(2本)
・‑‑…美…‑‑.Re=50t(4本)
・‑‑…美…‑‑.RE=50t(4本)
図4−5 鋼棒本数によるたわみ分布(鋼棒径15mm)
たわみ幅員方向20mm荷重1.5t 幅員方向距離(cm)
2024680 −1
U ZU 40 60 8010,
宕恒﹄︶咽竜暑製
出̲‐ 郭″
Ot(2本)Ot(4本)
Ot(2本)
Ot(4本)
0t(2本)
0t(4本)
0t(2本)
0t(4本)
図4−6 鋼棒本数によるたわみ分布(鋼棒径20mm)
たわみ, それに抵抗して初期プレストレスが変化し
ていることがあらかじめプレストレス鋼棒に取り付 けたひずみケージにより確認された。では, なぜ初 期プレストレスが変化するのか。考えられる原因の一つに鋼材のリラクゼーションがある。鋼材のリラ クゼーションとは,鋼棒などに一定の引張り応力を
与え固定した状態で放置した場合,鋼棒の引張り応 力が次第に減少する事である。 しかし今回の実験においては,初期プレストレスを与えた後の載荷試験
にそれほど時間を要しておらず, また荷重を載荷し4. 5 初期プレストレスの変化
床版が十分一体化するには, どの程度プレストレ スを発生させればよいのかを知るために,今回の実
験におけるひとつの目安として,適正であろうプレストレスカについて考察した。
プレストレス木床版は,荷重を受けることにより
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プレストレス木床版の構造特性に関する実験的研究
たときの初期プレストレスは減少ではなくほとんど
が増加を示した。これらのことより載荷試験による 初期プレストレスの変化には鋼材のリラクゼーショ ンの影響は少ないと考えられる。そこで考えられる のは床版の一体性との関係である。床版が十分一体 化していなければ,当然のようにたわみ量は増える。
また,木材同士のせん断変形が生じることで,プレ ストレス鋼棒に無理な力がかかることも想像でき る。この不要に発生した力がプレストレス鋼棒に引 張り力として作用する事により,初期プレストレス の変化が発生するのである。これを逆に考えると,
初期プレストレスが変化しなければ,床版には無理 な力が発生してはおらず,初期う。レストレスが安定 しているならば,床版は十分一体化していると考え られる。
ここでは, その変化するプレストレスを,鋼棒の
プレストレスの変化率を用いて考察する。
変化率は,
│載荷時のプレストレスー初期プレストレス1×'0,
初期プレストレス
で表した。
初期プレストレスの変化率を表すため,図4−7,
図4−8を示す。
図4−7は,鋼棒本数2本における初期プレストレ
スの変化率を, 2本の平均で一つとして表したもので,荷重が1.5tの時に注目したものである。図4‑8 は同じく鋼棒本数4本で, 4本の平均で一つとし表
したものである。
2つの図から,初期プレストレスが大きくなるに つれ変化率は小さくなり,前述したように床版の一 体化の進行が見てとれる。図4−7を見ると初期う。レ ストレスが1.5t程度をすぎるとほぼ変化率は安定 し,図4−8の方では1.25t程度の初期プレストレス 以降安定した値を見せ,床版の一体化に必要な初期 プレストレスの値を示している。
また, 2つの図を見ると鋼棒本数による影響は考 えられるが,鋼棒直径による影響を見ていくと,鋼 棒直径が20mmよりも15mmのほうが変化率が小 さく, 12mmのものが中間にあることなどから,鋼 棒の直径の影響は少ないと考えられる。それは,プ レストレス木床版の強度は鋼棒により得ているもの ではなく,発生させたプレストレスに起因するもの だからだと考えられる。
鋼棒本数2本荷重1.5t
伽師側扣別0
1︵ま︶掛筆側mmm mmm
一一一
05 1 1.5 2 25
初期プレストレス(t)
図4−7 荷重1.5tにおける変化率(鋼棒本数2本)
4本荷重1.5t
︵ま︶爵學胤
m︑︑ 250112
一一一025 Q5 0.75 1 125 1.5 2
初期プレストレス(t)
図4−8 荷重1.5tにおける変化率(鋼棒本数4本)
表4−1 床版の一体化に必要とされる初期プレストレス
今回の実験における6ケースの床版分類を鋼棒直 径の影響を無視する事により2ケースに絞り,床版 の一体化が認められたと考えられる初期プレストレ スを表4−1に表した。プレストレス木床版の強度
(=床版の一体化)は鋼棒の強度によるものではな
いと前述してある。 しかし表からは,鋼棒本数が多い方が一体化に必要とされる合計初期プレストレス が大きいことが分かる。では何故このような違いが 発生したのか。それについては図4−9を見てもらい たい。図4−9は鋼棒が2本, 4本の合計プレストレ
スを3.0t(2本=1本1.5t, 4本=1本0.75t)と等しくした鋼棒の変化率を示すグラフである。この図 からは,同じ合計プレストレスでも,鋼棒が2本の 時より4本の時の方が変化率が大きく上まっている のが読みとれる。
各鋤奉のプレストレス(t)
Eロロ、仮全ヤ Kのプレストレス(t)
鋼棒2本
2 4鍋相 4本
1.25 5間隔が必要とされる。
鋼棒変化率合計プレストレス3.Ot
050505032211
︵ま︶掛學観
5. まとめ
本本本本本本
一一一一一一
今回の研究は,土木の分野における木材の有効利 用を目的とし, その一例として橋梁の一構造形式と
して有効なプレストレス木床版の概念に着目したも のである。
実験結果より以下のようなプレストレス木床版の 基礎的な特性を知ることができた。
(1) プレストレス木床版の強度は,発生させたプレ ストレスに起因するもので,プレストレスによる 床版の一体化の度合いがそのまま強度に影響す
る。
(2)プレストレス木床版は,プレストレス鋼棒の本 数を増し, またその径を大きくすることが床版の 一体化には有効である。 しかし, ある程度のプレ ストレスが発生していなければ, その効果は十分 に得られず,逆に十分なプレストレスが与えられ たなら, ある程度ではあるが鋼棒の径を増すこと により,本数の影響をカバーできる。
(3)プレストレス木床版は, その構造ケースにより ある程度決まった一体化に必要とされるフ・レスト レスが存在し, それ以上のプレストレスを与えて も強度の飛躍的な増加は見込めず, その値を知る ことが重要である。今回行った実験のケースでの 値はある程度確認することができた。
(4) プレストレス木床版は, その載荷位置を充分考
慮し,適切なプレストレス鋼棒の本数,間隔を知ることが必要である。
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Q5 1 1.5 2
荷重(t)
図4−9 合計プレストレス3.0t時の変化率
図4−10鋼棒一本ずつの変化率
この原因を究明するために図4−10を見てもらい たい。図4−10は先に示した図4−7〜図4−9のよう
に鋼棒の変化率を2本, 4本とも平均で表したものではなく, それぞれの鋼棒の変化率を1本1本示し
た,合計初期プレストレス3.0tになる時の鋼棒2本, 4本を1つのグラフにしたものである。この図
を見ると鋼棒2本の場合, 2本とも同じような変化
率の値なのに対し, 4本の方は2つの領域に分かれ ているのが分かる。これは,仮に領域1とする変化
率を大きく表す載荷点に近い領域と,載荷点に遠い 小さな変化率を表す領域2に分類されている。(鋼棒位置とその位置の鋼棒Noは実験概要図2‑2で説
明したとおりである)つまり,鋼棒が4本のケース の場合,載荷点に近い内側の2本が鋼棒2本のケー スの場合よりも載荷点近くのため大きな変化率を表 し, 4本で平均すると2本の平均した変化率よりも大きくなるものであり,今回の実験に用いたプレス
トレス木床版の模型形状の影響が大きく出た結果とも言える。これらの結果から,プレストレス木床版
には,鋼棒本数もさることながら鋼棒の適正な導入参考文献
(1)上村武:木材の知識商品の流通の解説,経 済調査会, p3〜p21, 1979年
(2)長谷部薫,薄木征三,緑川哲夫:構造工
学論文集Vol.43A(1997年)プレストレス木床版の構造特性に関する実験的研究
(3)林野庁監修林産行政研究会:木材需給と木 材工業の現状, p222
(4) Ritter.m.ed:TimberBridges‑Design,Con‑
struction, Inspection, andMaintenanceEn‑
gineerringmanagement Series, FOREST
SERVICE,USDAWashington.D.Cノ
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