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西独 における金融規制 ・再規制 と銀行

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(1)

134

西独 における金融規制 ・再規制 と銀行

大 矢 繁 夫 ( 西南学院大学)

1

. は じめに

現在,国際的に,金融 をめ ぐる規制緩和 ・自由化 と, さらにはそれ と並んで 再規制の動 きが顕著 にみ られ るO しか しなが ら, この規制緩和 ・自由化や, さ らなる再規制 とい う事態が どの ような文脈の もとで生 じているのかは,今まで 必ず しも明確 にはされていないように思 える。本報告 は,西独 における金融諸 規制 とそれ をめ ぐる銀行 の運動 に即 しなが ら, この ような自由化や規制 とい う

ことが どうい うコンテクス トで生 じて きたのか,を考えてみ よ うとす るもので あ る。以下で は, まず,西独の銀行 ( 大銀行)が従来の規制 を乗 り越 えてゆ く 活動 を追 い,次いで, その活動がいかなる問題 を生ぜ しめたのか とい うことを み る. そ して, そのために再規制が必然的 となっていった経過 についてみてゆ

く。

2.

既存の秩序 ・枠組の侵食

まず,西独 における金融諸規制 に関 しての一般的な特徴 と,それが実質的 に

崩れてゆ く経過 か らみてゆ く。西独 における金融諸規制 につ いては,往 々,次

の ことが強調 され る。す なわち,伝統的に国家介入 よ りも一般の コンセ ンサス

や自主規制的措置が優先 され,立法府 はつねに自由な市場経済的競争 を支持 し

て きた,そ して銀行 はかな り自由な環境の中で活動す ることがで きた, と。金

利の自由化は早 々 と

1967

年 に行われ た し,米 ・英 ・目などとは異 なって,銀行

は当初か ら証券業務 をも兼営す るユニバーサル ・バ ンクで あった こと紘, よ く

知 られた ことで もある。

(2)

西

独 に

おける金融規制 ・再規制 と銀行

135

もちろん ブンデスバ ンクは,中央銀行 として

,DM

の価値 を維持す るために タイ トな通貨 コ/ トロール を実施 」て きた

L

, またブンデスバ ンクとは別 に,

「 銀行法」に もとづ いて銀行監督局が銀行の自己資本や流動性 につ いて監督 ・ 規制の任 に当たって きたo Lか しなが ら全体 として西独は,銀行の自主性 を原 則的に認め,金融政策上の諸規制 も他国 と比べ るとよ り緩やかであった, とい えるであろ う。そ して この こと払 他面で,公的な政策的規制 に代わって民間 の自主的規制があ る程度有効 だった とい うことで もあ り,つま りは大銀行の独 占力の強 さを示す もので もあった, といえようO

さて, この ように西独では公的規制 は比較的緩やかで あ り,それ に代わって 民間の自主的規制が, したが って大銀行の独占的規制力がそれだけ強かった, といえるのだが. しか しなが ら, い うまで もな く 「独 占」は 「 競争」 を排除 し えず,競争が内攻 してゆ く過程で上にみたような状況は安定的 に続 くもので 紘 なかった。

諸金融機関の間での競争 は,何 よ りも,貯蓄銀行 グループや信用協同組合 グ ループが,信用銀行 グルーブの シェアを侵食す るという方向で進んだ.貯蓄銀 行 と信用協同組合 は,共 にユニバーサル ・パ ンクとしての活動 を展開 し,提供 す る金融 サー ビス も信用銀行 と重複 していった。 もちろん,信用銀行 の方で

,従来は もっぱ ら貯蓄銀行や信用協同組合の領域であった リーテイル部門

対 して積極的 な進出を図 り, その結果支店網が急速 に拡張す るとい う事態 もみ られた。 しか しながら競争の基本的帰趨 は,やは り大銀行 ・信用銀行 グルーフ の シェア低下に端的に表れていった1 ) 0

以上要す るに,従来か らの,信用銀行 グループ内での独 占的規制力 にもとづ

いた秩序,大銀行の蓄積 の枠組 払 貯蓄銀行 ・信用協同組合 といった外部か ら

の競争 によって侵食 されていった, とい うことであ る。 それは.大銀行 にとっ

て, もはや有利 な枠組ではな くなった, とい うことを意味す るQ なあ ここで

い う大銀行の蓄積の枠組 ・秩序 とは,具体的 には,例 えは戦後各国 K : 一般 にみ

られ る金利規制が典型的 なもの として考 えられ るO西独の場合は,すでに1

967

(3)

136

証券経済学会年報第2

4

年 に金利の自由化が行 われている。 しか し,実際 には

1973

年 まで金利の自主規 制が続 き

2)

, したが って西独で も,金利規制 は実質的 に

1973

年 まで存在 し, そ の頃 まで大銀行 に とって有利 な条件 として機能 していた, といえようO大銀行 の蓄積の枠組 ・秩序 として, さらに,顧客層や業務 に関す るある種の 「 棲み分 け」 もあげ ることがで きよう。例えば, リーテイル部門や貯蓄性預金の取扱 い は貯蓄銀行や信用協 同組合に任せ,信用銀行 ・大銀行 は主 としてホールセール 部門,証券業務,貿易金融 な どに関わっていた。そ して, この 「 棲み分け」が 崩れた とい うことがや は り問題 なのであ るOか くして,既存の枠組 は大銀行 に とって もはや有利 な もので な くな り, ここに,大銀行の活動の新 たな展開が必 然的 となる。す なわち, 自主的規制力 にもとづいた従来 の秩序 ・枠組 を自ら越 えてゆこうとす る動 きである。

1) Cf.AndrewMuH]ne

l J

X,hTECmatZonaLBakingondFz'na〝cz'alSystemIAComparz'son,London

,

1987,pp.116‑126

.

2)

松井和夫編 『 金融』 日本経済新聞社,1

988

年,1

81

ページ参照。

3.

ユーロ市場ルクセ ンブルグへの進出

大銀行が,従来の秩序 ・枠組 を越 えて運動 しようとす るとき,す なわちそれ までの諸規制 に とらわれず に活動 しようとす るとき, それはどのような方向を とるか。当然のど とくそれは,規制 なき金融市場,ユー ロ市場‑の進出であっ たOただ L西独大銀行 に とって重要 なユー ロ市場 とは,何 よ りもル クセ ンブル グ金融市場であった。

) i , クセ ンブルグには,まず

DresdnerBank

1967

年 に子銀行 を設置 した

3)

。 次 いで

1

年後 には

Comme

r

zbank

が, そ して

1970

年 には

DeutscheBank

が それぞれ子銀行 を設置 した。現在

,

この

3

大銀行 を含めて,独立 した子銀行形 態で西独か ら進出 しているのは2 6行 となっている。

さて,ル クセ ンブル グ‑進出 した西独の銀行は,主 として どのような活動 を

推進 していったのか。 この点については,何 よ りもまず,ル クセ ンブル グ が他

(4)

西独 におけ る金虚 根制 ・再規制 と銀行 137

のユー ロ市場 と異 なってユー ロ

DM市場 としての特徴 を際立 たせて いた点が注

意 され るべ きであ る。 具体的 には,ル クセ ンブル グ所在の西独子銀行 は, その 資産の6

0%近 くをDM連で所有 して い るので あ る。 そ して,

このDM建資産 の うち

65%前後が 「西独居住者‑の信用」 と推計 Lうるのであ る。要す るに, ル

クセ ンブル デの西独子銀行の最 も重要 な活動 仇 西独居住 者‑向 けてのDM建 信用供与であった, とい うことなのであ る。

それで は,西独居住者へDM建信用 を供給す るに際 Lて

.

) Lクセ ンブル グ‑

の進 出はどの よ うなメ リノ トがあったのか。結論 だけ示す と, まず,西独本国 と異 なって厳格 な準備率規制 を免れ ること, そ Lて西独国内における自己資本 比率規制 ( 信用総額 は自己資本の

18

倍 まで)を大 き く突破 Lて貸出 しを拡張 し

うろこ と

(33

倍 まで) , また タ ックス‑ イ ブ ンと しての利点 を享受 で きる

と.以上 をあげ ることかで きる。

西独居住者へのDM建信用供与 とい う業務 それ 自体 は, い うまで もな く西独 国内で十分 な しうるものであ る。ル タセ ンブル グ‑子銀行 を設置 して, そ こを 通 じて この業務 を行 うのは,西独国内の諸規制 を回避 して よ り有利 な活動条件 を手 に入れ よ うとす る以外 の何 もので もないO西独国内での競争 が内攻 し,従 来の活動の枠組が侵食 され そ

に安穏 としていられな くなった信用銀行 ・大 領行 は, か くして, 従来の秩序 ・枠組 を乗 り越 え,新 たな競争条件 を得 るべ

(,ユーロ市場ル クセ ンプル グに進 出 Lたわけであ る0

3)以 下 の^,クセ ンブル グ金融 市場 と西独 子銀行 の活動 につ いて詳Lくは,拙 稿 「西独銀行 の対外 進 出 の方向

」『 証券経済』第1 5 5

, 1 986 年. を参照。

4.

ユーE q信用業務の問題性

以上の ようK: ,西独銀行 はユー ロ市場 ル クセ ン

ル グ‑子銀行 形態 を もって

進出 し, それ によって従来の規制 を乗 り越 えた活動 を展開 したQ Lか し, その

ようなユー ロ市場での銀行業務の展開 に よって,西独の ブ ンデスバ ンクや銀行

監督局 に とっては見過 ど しえない問題がす ぐさま発生す ることとなった。

(5)

1 38

証 券経 済学 会年 報第

2 4

それ はまず,国内金融政策に対す るユ‑ ロ市場 の影響 の問題であったOつ ま り, どの桂度,国内金融政策がユー ロ市場の存在 によって脅 かされ るか, とい うことで あった.何 よ りも懸念 された事柄 は,西独 において も,通貨量 を規制 す る国内の金融政策が, ユー ロ市場 における 「通貨創造」 によって著 Lく侵 さ れ るので はないか, とい うことで あ った。す なわ ち, ユー ロバ ンクは高度 の

「 信用創造」 を行 うのではないか とい う問題で あ る。 Lか Lなが らこの点 に つ いて払 結局,多 くの理論的研究 が異議 を唱 え, それほ と問題化は Lなかっ た。 さらに また, ユー ロ市場 と本国 の金融市場 との間 y cは金利 の連動が存在 し, したが って最終的 にはフ /デスパ ンクの金利政策は十分有効 だ, とい う認 識 ももたれたD全体 と L ては, 当初懸念 されたほ ど,ユー ロ市場 は中央銀行の 金融政策 を根本的 に損 な うものでは ない. とい う理 解 が もた らされ たので あ

4)

しか しなが ら.ユー ロバ ンクの活動が もた らした, ブ ンデスバ ンクや銀行監 督局が見過 と Lえない問題 というのは,以上の ことに留 まらなか っ/ Z . 。 これ ら 当局の懸念や不安 を現実化す る問題がなお存在 して いたOユー ロ市場 紘, いう まで もな く,金融 イノベーシ ョン

K

:よってその発展 が推進 されたが, とくに重 要 だったの は 「ロール ・オーバ‑ ・クレデ ィッ ト」であ った

D

この信用方式 紘,貸出金利が その時 々の市場状態 に適合 させ られ るものであ り, ユー ロバ ン クは この方式 によって,短期資金の取入れの更新によって大規模 な中長期信用 を供与 し続 ける際 の金利変動 リスクを免れ ることがで きたので あ るO その リス クは借手 に転嫁 され たわ けで あ るO か くして. この よ うな 「期 間 の変 形 」

(Fristentransrormation)

紘, ユ ー ロ信用 業務 の決定的 に重要 な要 素 で あ っ た。 だが,金利変動 リス クは借手 に転嫁 され えて も、継 ぎ金融

(ArtschLunh nanzierung)

の リスク,す なわ ち.短期資金の倍音の際の調達 リスクは,依然

としてユー ロバ ンクに残 る。 ユー ロ市場で信用不安が生 じた とき

,

この リスク

は現実的 な もの となる。 つま り,短期資金の取入れが困難 とな り,期限の来 た

預金の支払 いはで きな くな るのであ るO

(6)

西独における金融規制 ・再規制 と銀行

139 1974

6

月,ケル ン所在の‑ル シュタッ ト銀行が倒産 した。それは為替投機 の失敗によるもので,上記のようなユー ロバ ンクの抱 えるリスクによる支払不 能 ということではなかった。 しか し, この影響 による信用不安はす ぐにユー ロ 市場に拡が り,イ ンターバ ンク市場 は急激に縮小 した。ル クセンブル グで も, 西独の銀行は

1

部分, クレディッ トラインを取消 しされ るなど市場か ら締め出 され, そ してその後 も西独の銀行 はよ り高 い資金調達 コス トを余儀 な くされ た。 このように して,ユー ロバ ンクの抱 える リスクとユー ロ市場 の不安定性 紘,‑ルシュタッ ト銀行の倒産 を境 にして明瞭 に認識 され るようにな り,西独 のブンデスバ ンクと銀行監督局 は, この領域 に対 して新たな規制措置を講ず る 必要 に迫 られ ることになるのである

5)

0

4) Vgl.LeonhardGreske,"Eurom査rktesausderSichtderZentralbank

e

r",inV.Eng

e

ls,A.

Gutowski

,H.

C.Wallich (Hrs

g

.), InEer72aEz'Onale KapltalbgWegungen Verschuldung and Wd'hruTZgSISySLem,Frankfurtam Mein,19

8

4,pp.122‑123.

5) Vgl.IngeLoreB査hre,HproblemederBankenaufsichtinternationalerFinanzmarkte",inHansI JacobKr正mmel(Hrsg.)InLer〝aElonalesBankgesch

a j

Tt,Berl

i

n,1985,pp.681;9.

5.

規制 ・再規制の必然化

‑ル シュタッ ト銀行の倒産 を契機 として,銀行監督 についての国際的協調が 具体化 していった

。 1975

年に

G‑10

の中央銀行総裁会議の内部 に 「 銀行規制 ・ 監督委員会」( 通称 クック委員会)が設置 され,同年1

2

月 にはバーゼル ・コン コーダッ トが取 り決められた。その内容 は,国際金融市場で活動す る銀行在外 支店や子銀行などの支払能力や流動性 に関す る監督の責任分担 を明 らかにしよ うとす るものだった

。 1983

5

月にはこの コンコーダ ッ トは修正 ・強化 され る ことになったが, その要点 は,子銀行 などを親銀行 との連結ベースで監督す る, という点にあった。

このような銀行規制 ・監督 についての国際的動 きに応 じて,西独で も

1984

に 「銀行法」の改正が行 われ ることになった。 この改正で何 よ りも重要 なの

は,やは り自己資本比率規制が連結ベースで行われ る, とい う点であった。つ

(7)

140

証券経済学会年報第2

4

ま り

,

「 信用総額は保証自己資本の1

8

倍 まで」 とい う従来 の 「原則」が,連結 決算の適用 によって例 えば} t ,クセンブルグ所在子銀行 をも制約す るようになる わけである。ル クセンブルグ所在子銀行 は , 「銀行法」改正以前で は独 自にル クセンブルグの

33

倍 というギア リング ・レシオを享受で きた。だが改正後 は, 親銀行 との連結決算のもとで1

8

倍規制 を受 けることになるのである.

自己資本比率規制の意義は,何 よりも,信用不安の増幅 によって銀行の支払 停止 とい う事態が発生す るのを避 けることK: ある, とされ る。つま り十分な自 己資本の存在 は,信用不安に対す る抵抗力を示す もの として重要だ, というの で ある。 この ような観点か らす ると,上記の ような親銀行 との連結ベースで

「18

倍規制」に従 うことになったル クセ ンブル グの子銀行 にも,既述の 「期間 の変形」上の リスクなどを抱 えることか ら生 じる信用不安 に対 して,一定の抵 抗力が備わることになった といえよう。

だが西独では , 「 銀行法」の改正 によって問題が全て解決 されたわけで はな かった。競争が激 しさを増すなかで,新たな リスク,新たな不安定要因が生 じ て くることになったからである.

内外の競争はいっそ う激 しくなっていったが, とくに国際的には過剰 な 「 流

動性」が相変 らず存在 し,他方ではそれを吸収す る能力のある受皿,すなわち

良質の貸出先が累積債務間蓮の展開 とともに縮小 し,か くして貸出先 をめぐる

競争はいっそ う扇 りたて られて金融イノベーションが推進 されていった。 この

ような状況下で,国際金融市場 における 「セキュ リタイゼーション」が進展 し

てゆ くこととなる。ユー ロ市場では一般 に証券 を用いた業務が盛ん となってい

ったが, とりわけ重要な意味 をもったのは,銀行のユー ロノー ト・ファシリテ

ィー供与であった。それは,銀行が設定 した中長期の信用枠内で非銀行がユー

ロノー トを短期 (

3

カ月ないし

6

カ月の期限)で発行 し,市場でその募集残が

出た場合 には銀行が責任をもち,必要 な場合には自ら引 き受 ける, とい うもの

であるO信用の受手 ( ユー ロノー トの発行体)紘,短期資金の コス トで中長期

資金を得 ることがで き,銀行の方は販売 ・引受約束 によ りリスクを抱 えること

(8)

西独 における金融規制 ・再規制 と銀行 1 41

になる。 そ して, このような信用 ファシ リティーの供与 は銀行 に とってオ フバ ランス取引であ り,従来のバ ランス ・シー トには表れ ない, とい う点が意味を もったC ,

さて,西独の銀行 も , 「 銀行法」の改正 によって , 「信用総額は自己資本の 1 8 倍」 とい う 「原則」が連結ベースで在外子銀行 に も適用 され るよ うになって以 降,上記の ような信用 ファシ リティーの供与 に重点 を移す ようになった. それ はやは り,銀行監督 ・規制 をオフバ ランス業務です り抜 ける, とい うことであ った。 この ことは,具体的 にはル クセ ンプル グでの活動 においてであ るOル ク センブルグで も,信用 はユー ロノー トによって証券化の道 を歩んだDユー ロノ ー トはル クセ ンブル グの取引所で上場 され る。 したが って このノー ト紘,取引 所取引が行われ るため,西独の自己資本や流動性 に関す る諸原則適用の対象 と はならないのであ る。つま り,流通市場で売却可能 な債券 は リス クなきもの と みなされ,西独の自己資本比率規制 などの対象資産 とはな らない, とい うわけ であ る。結局, ユー ロノー ト・ファシ リティーの供与 は銀行のバ ランスシー ト に表れず, また募集浅 を引 き受 けて もそれは債券扱 い とな り規制 を免れ る, と い うのであるO銀行監督当局か らみた,以上の よう射 言用 ファシ リティー供与 の もつ問題性 は,当然 なが ら,それがオ フバ ランス業務であ るため銀行の年末 決算 には全 く表れず, したが ってその銀行が抱 える リスクを当局が評価 しえな

い, とい う点 にある

6)

O

以上のように西独の銀行は,過剰 な 「流動性」圧力の もとで良質の顧客 をめ

ぐって展開 され る激 しい競争 とい う一般的環境 にあって, また 「銀行法」改正

による規制強化 とい う特殊的条件の もとで,ユー ロノー ト・ファシリティーに

代表 され るオフバ ランス業務 をル タセ ンブルグで拡大 していったのである。 こ

の ような業務の もつ リスクは計測 しえない もので あ り , 「幾重 に も新 しく,規

模 と内容 において尋常でない リスク」であるとい う。そ して

,

ここか ら,西独

では再度,新 たな規制が必然化す る。それ は,オ フバ ランス業務の リスクに対

応す るべ く

,1986

6

月発効 を もって導入 された,銀行の信用 ファシリティー

(9)

142

証券経済学会年報第2

4

供与 も, 自己資本比率規制に包含 しようとす るものであった。すなわち, ファ シ リティー供与の5

0%を貸付 け とみな し, 自己資本比率規制の対象資産 とす

る, とい うものであった。

なあ このような最近の規制は,国際的 にも具体化 した.1

988

7

月のBI

S

の中央銀行総裁会議で 「自己資本規制の国際統一基準」が正式決定 され,そこ ではオフバ ランス取引 も自己資本比率規制の対象資産 とされて いる ( l F日本経 済新聞』1

988

7

月1

2

日) 。 この 「基準」 は1

987

年1

2

月のBI

S

の 「自己資本 の 測定 と基準 に関す る国際的統一化‑の提言」にほぼそ うものであ り,その 「 提 言」の要点はすでに詳 しく紹介 されている

7)

0

6) Vgl・G触terFranke,"OrganisationundRegu]ierungintern.ationalerFinanzm護kte",inDieter Schneider(Hrs

g

.),KapzIEelmarktundFinanzieru

T Z

g,Berl

i

n,1987,pp.434‑436,B云hre,a.a.0.

,

p.74.

7)

関根武彦 「自己資本比率 『国際統一化』の含意」『 金融 ビジネス』1

9

8 8年

3

月号,参照。

6.

規 制 ・自由化 ・再規 制 の論 理

以上,西独の銀行の活動 と規制 に関 して事態 の展開 をみて きたが, ここか ら,金融諸規制 と大銀行の運動,銀行 ・金融の国際化,規制緩和 ・自由化,そ して再規制 とい う事柄 について次のような一般的なコンテクス トを得 ることが で きよう。

すなわち,①金融秩序の維持のための競争制限 ・諸規制の存在

(1930

年代以

降の 「 銀行 と証券の分離」 , 「 金利規制」など, なお西独の場合は, このような

規制は緩やか)‑ ⑨大銀行 は,競争制限 ・諸規制 に馴化 しつつ,それを自ら

の独 占的枠組 として利用‑ ⑨ 「 独占」は 「 競争」を排除 しえず, とりわけア

ウ トサイダー ( 西独の場合,信用銀行 グループ以外の貯蓄銀行や信用協 同組

令)の競争圧力が強 くなる‑ ④大銀行の既存の独 占的枠組 は侵食 され,それ

はもはや有利 な条件ではな くなる‑ ⑤大銀行は,既存の枠組 を乗 り越 えて有

利な条件 を得 るべ く運動す る。典型的には,規制 なきユー ロ市場‑の進出 ( 銀

行国際化の主要な側面)‑ ⑥国内の諸規制 は乗 り越 えられ,陳腐化 ・無効化

(10)

西独における金融規制 ・再規制 と銀行

143

し,行政 はそれ を追認す る ( 規制緩和 ・自由化)‑ ‑ ⑦金融 システムにおける リスクと不安定要因の増大‑ ( 参再規制の必然化, とい うことであ る.

最後 に

2

点ほ どコメン トを付 け加えてお く. まず,金融上 の諸規制 ・競争制 限は,それが結局 は大銀行の独 占的枠組 をなす ものになる忙 して も,導入 され た当初の 「金融秩序の維持」のための規制 ・管理 とい うその意義 は,現在 もっ と着 目され るべ きで ないか, とい うことで ある。 とい うの も

,

このような規制

・管理 が現在強 く必要 とされて いるか らであ り,理論的 に も 「金融政策的規 制」の もつ意義が もっと検討 され るべ きで ないか, と思 われ るか らで ある。

また,上記⑧の再規制 は,やは り国際的な もの とな らざるをえない。 とい う のは,従来の諸規制の乗越 えは,すで にみたようにユー ロ市場 を用 いて行われ たか らである。例 えば,西独当局が,国内 「 銀行法」の連結 ベースでの適用 に よって西独出身のユー ロバ ンクを規制 しえた として も,各国が歩調 を合わせて 同様の規制 を行 わなければ,競争条件が著 しく異 なって しまって西独出身のユ ー ロバ ンクだけが きわめて不利 となるか らである。 しか し,国際的規制 といっ て も,世界中央銀行が存在す るわけでな く,せ いぜ い国際 的協調 の もとで

BIS

が ガイ ドライ ンを示す といった程度であ り,具体的 な規制の実施 は各国に任せ ら れている。そのため,必要 とされ る匡L 際的規制 も, どこまで効果的 なもの とし て実施 され うるのかは明瞭 とはいえない。

付 記〕

本報告 の詳細 につ いて は,拙稿 「西独銀行 と金融 再規制

」『商学論集」l第35巻第2

号, 西南学院大学

,1988

年,を参照。

(63.9.30

九州部会 )

参照

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23

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