経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 153
経済成長モデルにおける技術進歩 の性格判定基準について
児 玉 元 平 1
経済の恒常的な長期均衡成長が,ロビンノン的な黄金時代の経済で表現せられようが,
ハロッド的な自然成長率で表現せられようが,その実現する技術進歩が中立的な性格をも つことが基礎的な条件をなすことは一般的に承認せられるところである。ところで,この 技術進歩の中立性,或は技術進歩の偏碕性についてはいろいろな基準から説明があたえら れており,而も,この基準は怠るものは重複し,あるものは背反的な性質をもうている。
そこで,これらの技術進歩の性格判定の基準を統一し,整理することは,今日における多 彩なる各種成長モデルを連結する共通的な路線を敷くうえにおいて,重要な基盤をあたえ るであろう。しかし,この仕事はきわめて野心的ではあるが,困難な仕事である。この小 論は,その仕事のプロローグとして,技術進歩の性格判定基準についてささやかな要約的 展望を試みたものである。
技術的な進歩は,生産プロセスの側における革新として,そしてまた生産物の品質的な 側面における革新として表現される。現実的にはこれら二つの側面における改善が織合わ せられており,両者の明確な区別は困難である。しかし,概念的には両者の区別は可能で あり,本稿で技術進歩という時,生産プロセス上の改善をさすものとする。技術進歩は生 産要素の投入と生産物の産出との技術的な関係における変化を示すものであるから,通常 生産函数の上昇的シフト,或は要素価格コンスタンとして,平均生産費の減少として定義 せられる。そこで,まず,今日の経済成長モデルで最も共通的に使用せられる生産函数の 性質について若干の考察をあたえよう。
2
ここでは,労働L,資本:Kの二生産要素のみが使用されると仮定する。各種の生産函数 が想定されるが,最も一般的に使用されるものは,労働と資本が完全に補完的と仮定して,
生産係数を技術的に固定化したレオンテイーフ的な生産函i数と,二要素の代替性を仮定す るコツブニダグラス型の生産函数である。その中間的な型態として部分的な補完性と代替 性とを含むものをあげることができる。また,コツブ=ダグラス型の生産函数を使用する 場合でも生産要素の同時的変化についてconstant returnes to scale, increasing retu−
rnes to scale, decreasing returnes to scaleの三つの場合が考えられる。本稿では,レ
オンチーフ旧姓産函数と,一次の同雄をもつコッブーダグラス型の生醐数鞭胤
よう。
レオンテ_フ的な生産函数として,
K一・・,・一是K(k>・)
レρ・・一一1L (1>・) (1)
0はキヤパシテー産出量,kは資本係数,1は労働係数を示す。資本集約度は,
K k
L = 4一 (2)
コツブーダグラス型の生産函数として(技術進歩を捨象して)
0==Kρ]し1一β (3)
とおく。資本の限界生産力は
譲一β畏一 (4)
労働の限界生産力は,
暮9一(1一β)9 (5)
限界生産力理論の立場からすれば,均衡では,賃銀率と利子率とは,それぞれの要素の限 界生産力にひとしいから,利子率脅i賃銀率をwで示して,
袈一i,書9−w (6)
技術水準を一定として生産函数を成長モデルに導入しよう。ハロッド的な成長モデルでは 資本係数は平均的にも限界的にも同一と仮定されている。
△・一長△K謡・ (7)
貯蓄函数はリニヤーとして
S−sY (8)
Yは国民所得,sは貯蓄率を示す。均衡の条件として,
レsY (9)
△0一△Y , (10)
以上の諸式より,均衡成長率をうる。
竪一£ (11)
均衡成長率は,貯蓄率と資本係数との比にひとしい。
以上の展開では資本の増加は考えられているが,労働の増加は示されておらない。増加
する労働に必要な資本が供給されるためには,資本と労働とは同一率で成長しなければな
経回成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 155
らぬ。労働増加の生産キャパシティーにあたえる効果は,
△・一1△L (12)
必要な資本の増分は
△K一彰△L (13)
△K−1一・Y一一捗ムエ (14)
・Y−6△・レ (15)
△0=△Yとおくと
山守L一 長 『 ・『 (16)
八ロットの場合,均衡成長率は,投資の生産力効果より誘導された。技術進歩を捨象した 労働の完全雇用嚴率は・K/Lを淀と仮定して・労働の生産力効果は四一)を媒
介として謡導され,均衡成長率にひとしくなる。
つぎに当ツブーダグラス型の生産函数の場合をみよう。(3)式の全微分をとる。
∂0
∂O dK十
d:L (17)
dO=
∂K:
∂:L
(4)と(嘔より
d・一β書dK+(1一β)9dL (18)
上式を0で両辺を割ると
誓一一β野+(1一β)讐 (19)
をうる。
さらに均衡条件をおく。
1=・sY Y=O
dY−dO (20)
票一β妾+(1一β)望一 (21)
Y/K一走であるから,
二一β是、+(1一β)誓一 (22)
長期均衡の条件は,労働と資本の成長率が同一であることから,
¥一β長 S +(1一β)
k
(23)
∴¥一説 (24)
そこで,一次の同次的なコップ=ダグラス型の生産函数を使用しても,ハロッド的な均衡 成長率をうる。この場合,労働の成長率と資本の成長率とが同一であるという条件がみた されている。以上は勿論技術進歩は考えられていない。技術進歩を生産函数に導入するこ とがつぎの仕事である。
3
まずつぎのグラフをあたえよう。横軸に投入労働量を測り,縦軸に資本ストックを測る。
K C
Ko
α
Ll
P K6
L O Lo B
図 1
三角形OABへのP点の移行によって示される。
K/0は一定,K/:Lはtanαで示されるから上昇する。
の移行は,K/0もK/しもともに上昇する。
K/0は低下し,:L/0も低下するがK/:Lは上昇する。以上①②③の場合は総括的にL/0の低 下を示すから,労働節約型の技術進歩を示す領域である。④P点がOP線上を原点に向っ て移行した場合にはK:/0と:L/0とはともに低下するが同一率の低下を示し:K/Lはコンスタ
ントである。中立的な技術進歩を示す。最後に,⑤P点がOP線より下の領域に移行した ときはK/Lは低下する。この場合は資本節約的な技術進歩を示す。
以上は,資本集約度K/しが技術変化後に示す方向によって技術進歩の性格を判定したもの で,この資本集約度基準は通常よく採用される。この基準による判定は,レンテインフー 的な生産函数の場合には勿論,コツブーダグラス型の生産函数の場合でもあてはまる。等 牽出量曲線(P点は生産要素価格線との接点を示す。)の左下シフトによって示される。曲
P点は労働:L。資本ストックKoで生産される 一定の産生量を示す。 BC線の傾斜は,二生 産要素の価格比を示す。技術進歩が産出量を 一定としてL,Kの減少で示されるならば,
:KoPLoOで示される領域に一定量の生産量を 示すP点が移行した場合には,無条件的に技 術進歩と考えることができる。反対に,:L■oP Ko,で形成される領域へのP点の移行は技術 の退化と考えうる。また,P点が線分PC上,
或はPB上に移行した場合は条件付技術進歩 と考えうる。生産要素価格を一定として生産 費の低下という見地で技術進歩を考えると,
①P点がPKo線上を左に移行した場合 ②三角形KoPC内の領域へのP点
③P点が三角形KoPO内の領域に移行すると
経濱成長モデルにおける技術進歩の性絡判定基準について
K
C
Ia,
P
苓1
Ic Ib
157
L O B
図 2
(3)資本の平均生産力の上昇率が,労働の平均生産力の上昇率より大であれば,技術進 歩は資本節約的である。この基準もコンスタントな要素価格を仮定している。
コップ=ダグラス型の生産函数を仮定すると,生産要素の限界生産力という概念が経済 的意味をもつ。ここで,ピックス的な判定基準があたえられる。ピックスの基準は:K/Lを (2)
コンスタントとして,二つの生産函数上の点の比較という形であたえられる。限界生産力 を基準とした技術進歩の性格判定はつぎのごとくである。
(1)資本の限界生産力の上昇が,労働の限界生産力の上昇より大である場合,技術進歩 は労働節約的でがる。
(2)資本と労働の限界生産力の比が技術進歩にかかわらずコンスタントであれば,技術 進歩は中立的である。
(3)労働の限界生産力の上昇が資本の限界生産力の上昇より大である場合,技術進歩は 資本節約的である。
この場合,K/:Lは一定,即ち,労働と資本の平均生産力は同一率で上昇したと仮定されて いる。ピックスの定義は全体としての経済に関連する。マクロ的水準では,ミクロ的水準
と異なり要素価格は所与ではない。生産要素価格の変化は生産要素間の代替を生ぜしめる。
この代替による:K/五の変化は,技術変化によるものではない。そこで技術進歩の定義で はK/Lを一定と仮定しなければならぬ。限界生産力による判定基準は,ミードもその成長 モデルで採用している。この判定を図3で示そう。
生産の弾力性という概念をつぎのごとく示しうる。
一器…β濃一β一掴 琶,
線の1、への移動は労働節約的技術進歩,Ibへ の移動は資本節約的な技術進歩,1。への移動 は中立的技術進歩を示す。
(1)
技術進歩による資本集約度の変化は,労働 と資本の平均生産力の変化の比で示されるか ら,上述の基準は,平均生産力基準にほんや くしうる。
(1)労働の平均生産力の上昇率が資本の平 均生産力の上昇率より大である場合,技術進 歩は労働節約的である。
(2)労働と資本の平均生産力の上昇率が同 一であれば,技術進歩は中立的である。
瀦}一(1一β)書…
K C
Ia
Ic Ib
1
0
図 3
BL
∂0 】レ (1一β)一
∂L O
均衡では,各要素の価格は限界生産力にひと
しい。
て1ξβ)一轟 (25)
これは労働と資本の所得比率を示す。そこで,
生産の弾力性を基準として技術進歩をつぎの ごとく判定しうる。 (生産要素投入一定と仮 定して)
(1)資本の生産弾力性を高め,労働の生産 弾力性を低めるような技術進歩は,労働節絶 的である。
② 資本と労働の生産弾力性を不変ならしめるような技術進歩は中立的である。
(3)労働の生産弾力性を高め,資本の生産弾力性を低めるような技術進歩は資本節約的 である。
この基準は労働と資本の所得比率の基準にほんやくすることができる。
(1)資本の所得分配率を高め,労働の所得分配率を低めるような技術進歩は労働節約的 である。
(2)労働と資本の所得分配比率をコンスタントならしめる技術進歩は中立的である。
(3)労働の所得分配率を高め,資本の所得分配率を低めるような技術進歩は資本節約的 である。ピックスは資本と労働との間の代替の弾力性という概念を使用している。これを δで示すと,δ>1の場合,労働節約的な技術進歩は労働の所得比率を低める傾向がある。
ロビンソンは平均生産力の弾力性という概念を使用する。労働の平均生産力を (4)
A。一書一 (26)
その弾力性を
d(♀) L
(2了)
η・一 dL O昌α一1 、
丁 ここでαは労働の生産弾力性を示す。これは,
α一霊 と一婚 (28)
M、は蠣の曙生産力を示す。均禦ま,→}は類賃銀にひとしいから・w・を貨
幣賃銀,Pを物価水準とすると,
経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 159
w/L α=
PO
これは,労働所得の相対的分け前を示す。同様に資本についても,
β一三長一
が成立つ。資本の平均生産力の弾力性は ηk=β一1
技術進歩によって0/Kと0/しとが同率で上昇するとしても,
(29)
(30)
(31)
限界生産力の上昇率が同一と は限らない。そこで,労働節約的な技術進歩では,Mしの上昇率よりMKの上昇率の方が 大であるとMしの上昇率はAしの上昇率より小である。そこでML Aしとのギャップが大 きくなり,ηLは低下する。資本節約的技術進歩では,ηkを低下せしめる。中立的な技術 進歩では限界生産力と平均生産力とを同率だけ上昇せしめる。各生産要素の平均生産力曲 線の弾力性がその所得分配率を決定する。グラフで説明しよう。いま,資本についてその 量を横軸,資本の平均生産力と限界生産力を 縦軸に測る。Aは最初のKの平均生産力,
DO O
15一髪 Mは最初の限界生産力を示す曲線である。
A〆とM!とは,技術進歩が導入された後の平 均生産力と限界生産力を示す曲線である。ロ ビンソンの説明は比較静学的である。利子率 1 0Fの高さで資本Kゾではそれは資本の限界生 F 産力にひとしい。,0:F−K・Cこの場合資本 所得は,OK:×XKIC=OKICFである。労働所 得はFCAIである。そこで資本所得と労働所
OK1 }葦2 K一線である・技術進歩は・資
本収益を上昇せしめ,投資は増加し,
再び新 しい均衡は成立する。利子率は不変とせられる。資本ストックはKgに増加する。この場合,
資本の限界生産力は:K2Dの高さとなる。資本所得は,0:K2DF労働所得はFDBIである。
そこで所得比率はK:倉D/BDである。
図4では /r−
KgD KIC BD AC
所得比率は技術進歩によっても不変である。所得分配率に関しては技術進歩は中立的であ る。 もし利子率を一定として技術進歩後の限界生産力がそれにひとしく適合した後の均衡 状態でBDがACより小であれば,資本の相対的分け前は上昇する。技術進歩は労働節約 的である・BD>ACであれば・資本の相対的分け前は侭下する9技術準歩は肇本師約的で あるq
A B
C D Aノ
M A Mノ
ロビンソンの分類は既述のピックス的分類と本質的に同じである。 ヒッ.クスーロビンソ ンの分類基準に対する批判はつぎのようである。基礎的な生産函数が生産規模について収 穫不変的であるという点が先ず批判される。一生産要素の限界生産力がもっぱら要素比率
によって決定せられ,その絶対量によってきまらないという事実は一次の同次函数のみに 妥当する。ブローグはいう。「われわれは,ピックスの定義は一定量の生産要素には適用 しうるが,生産函数の形状についての知識がなければ,生産要素投入の新しい均衡水準に ついては殆んどなにもいうことはできないのである。」ピックスの基準及びその拡大として (5)
のロビンソンの基準にたいする致命的な批判はブローグによればつぎのごとくである。こ れらの基準は商品代替を考慮していない。技術進歩の効果はもっぱら生産函数の物理的性 質からのみ推測されえない。資本節約的技術進歩は,技術改善の結果として,資本集約的 な商品価格を低下せしめて,この種の商品への代替を生ぜしめる。資本集約的な商品に対 する需要が,労働集約的な商晶よりも,弾力性が大であるならば,資本節約的な技術進歩 は,終局的には,δ〈1という事実にかかわらず資本の相対的分け前を上昇せしめるという 結果を生ずるであろう。さてロビンソンは亦ハロッドと同様に資本係数を基準とした技術 進歩の分類をあたえている。所得分配率を基準としたロビンソン的な(そしてハロッドの)
(6)
技術進歩の定義を要約しよう。
(1)コンスタ〆トな利子率で,資本所得の分配率を高め,労働所得の分配率を低めるよ うな技術進歩は労働節約的である。
(2)コンスタントな利子率で,資本と労働の相対的所得分配率を不変ならしめるような 技術進歩は中立的である。
(3)コンスタントな利子率で,労働所得の分配率を高め,資本所得の分配率を低めるよ うな技術進歩は資本節約的である。
この所得分配率基準はさらに資本係数基準 (ハロッド)にほんやくしてつぎのごとく定義
しうる。
(1)コンスタントな利子率で,資本係数を上昇せしめるような技術進歩は労働節約的で
ある。
(2)コンスタントな利子率で,資本係数を不変ならしめるような技術進歩は申立的であ
る。
(3)コンスタントな利子率で,資本係数を低下せしめるような技術進歩は資本節約的で
ある。
ハロッド的な中立的技術進歩の定義ではKの増加を許しているがK/0は一定, しかし K/:Lは上昇する。ここで資本集約度を一定とする中立的技術進歩の定義と相違する。
ハロッド的な定義はピックス的な基準を採用するミードによって批判される。 ミードが
ハロッドの定義をとらない理由は二つある。その一つは,ミードの定義は二生産要素以上
の場合にも適用しうるが,ハロッドの定義はこの場合不正確である。資本ストックが産出
経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 161
量と同じ割合で増加する場合,利潤率がコンスタントであるかどうかは,技術進歩のみな らず,土地と労働の比の変化にも依存する。もっとも,二生産要素のみで,規模に関して 収穫不変であればこの困難は存在しない。資本の限界生産力(利潤率)はK/:しと技術水準 に依存する。そこでK/しが0/しと同じ割合で上昇したとすると利潤率は技術水準の変 化によって一意的にきまる。その二は,ハロッド的定義を使用すると,中立的技術進歩は 資本がコンスタンでは生じないが,資本係数がコンスタンで利潤率をも変化以前と同じ水 準におくような十分な投資,資本成長があった場合にのみ生ずる。ミードは,資本の増加
0
B
C
F・(K)
A
GF1(K)
H
O D E K 図 5
力性が1である場合である。なんとなれば,
よりC点に移動したが所得分配は不変である。
より大であると,B点よりC点への移動は利潤に帰属する国民所得の割合を上昇せしめる。
B点とC点との間での利潤率の低落は,資本増加の利潤分配率上昇に対する効果を相殺す るほど大きくはないからである。そこで,若し,技術進歩がミード的な意味で中立的であ って,A点とB点との問で利潤分配率が不変であるならば,労働と資本との間の代替の弾 力性がB点とC点の間で1より大であれば,ハロッド的な定義では,技術進歩は資本使用 的なバイアスをもつことになる。利潤分配率は,B点とC点の間で,そしてA点とC点の 問で上昇しているからである。
(7)
にもとつく産出量の増加を,技術進歩に帰せ しめているという点でハロッドの定義は不合 理だという。グラフをみよう。 ミードの定義 では,申立的技術進歩はA点とB点との間で F曲線の勾配,即ち,限界生産力の上昇率が 曲線の上昇率と同じ場合である。A点とB点 では利潤分配率は不変である。ハロッドの 定義ではC点でのF2曲線の勾配がA点での F2曲線の勾配と同一の場合中立的な技術進歩 である。A点でも, C点でも利潤分配率は同
一である。 ミードの定義とハロッドの定義と が同一であるのは,労働と資本との代替の弾 この場合,資本は蓄積され,Fg曲線上をB点 もし,労働と資本の間の代替の弾力性が1
4
ロビンソンは彼女の「資本蓄積論」で実質資本比率という概念を使用し,この概念を基 礎として技術進歩の性格を定義している。ロビンソンの実質資本比率はウイクセルの投資 (8>
期間の概念に相当し,また〜ζの舞率をもって機械化の程産を測る9以下少レ考察レてみ
ようQ
いま,生産函数をレオンテイーフ的に解釈し単一技術を仮定する。
0=aL, 0=bK
とおく。ロビンソン的なレンテイヤー階級の存在がないものと仮定する。
(9)
部消費に支出され,利潤はすべて貯蓄され投資されるとする。
0=0。十〇1=W十P
O。は消費財,OIは投資財の産出高, Wは賃銀総額, Pは利潤総額を示す。
W=w:L P=・rK:
Oc=W OI=P
wは実質賃銀率,rは利潤率を示す。
数として示しうる。
w一・( r1− b)
(32)
即ち,賃銀は全
(33)
(34)
(35)
(36)
(37)
以上の関係から実質賃銀率は技術係数と利潤率の函
〇一L
F2
1
G
H
:F1
W2
田
lV
wl
一 K N
(38)
ロビンソンの,労働者は貯蓄しない,レンテイヤー階級は存在しない最も単純なモデルで は,資本利潤靴資旙積率はひとしし・.図6で,w一・Wb二一・E, w・G一 £一山,を就さらにK/L−
wOE=OwlxOEであり, w1G=,OwlxOE ,そこで,・一w・G/・w・x・E,・r砦8一
。哉 器一器.・∫一面
ロビンソンの中立的技術進歩はF・点がF2点 に移行することによって示される。実質資本 比率はこの場合不変である。 もっともこの場 合,利潤率をコンスタントとして測定されて いる。いわば利潤率が以前の水準と同一にな O E wL る点まで資本ストックが適合した場合の技術
図6 の状態を示すものである。
申立的技術進歩の場合,K/w:Lは不変であるがK/:Lは上昇している。そして実質賃銀率
は0/しと同一比率で上昇する。労働所得の分配率は実質賃銀率と労働の平均生産力との比
にひとしいから,中立的技術的進歩では,所得分配率はコンスタントである。労働の平均
生産力の新しい水準をa で示すと・aノ>a・さらに・ハロッドーロビンソンの中立的技
術進歩の基準は0/K:コンスタントであるから,技術進歩後の資本の生産力をb とすれば
わ =わであるgそこで7
経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 163
aノ(1「詐)
W/
w (40)
a(1『下)
実質賃銀率の上昇を示す。rはコンスタント, bノ=bであるとw /w−aノ/aである。さらに,
・一」学L一一一喪.一砦 ・ (41)
の式においてrがコンスタントで技術進歩後で0/K:がコンスタントであればwL/Kもコ ンスタントであるべきである。、即ち実質資本比率は不変であらねばならぬ。、ロビンソン的 な資本節約的な技術進歩としては,①a >a,b!>bの場合と②a一a,/b!>b,の場合が 考えられる。ロビンソン的な基準では,資本係数,資本の生産力の変化の方向をもってそ の偏碕が表示されているから,①の場合も②の場合もともに資本節約的弓俺をもつ技術進 歩と定義される。①の場合,㈹式より
w 〉」∠⊥ (42)
w a
図6の豆の領域的にF1点が移行する。労働所得の分配率は上昇する。実質資本比率は低 下する。②の場合,労働の平均生産力はコンスタントであるが,実質賃銀率は上昇してお り労働所得の分配率は上昇する。グラフでは,F・点は水平的に左に移行する。問題は, F・
点が皿の領域内に移行した場合に生ずる。労働の平均生産力は低下し(a,〈a),資本の生 産性は上昇している(b,>b)。㈲式より実質賃銀率の動向は,技術係数の逆方向的変化の 相対的な力に依存する。そこで,bの上昇がaの低下を圧倒すれば,実質賃銀率は上昇す
る。この場合,線分w1F1より上の皿領域内への移行で示されよう。 bの上昇とaの低 下が丁度相殺するような場合,実質賃銀率は不変である。F、点がw・:F・線上を下に移行す る。wlF・線より下の皿領域では実質賃銀率は低下する。 もっともこの領域では,利潤率 を一定とした均衡を示しえないからロビンソン的な技術進歩は考ええない。つぎに資本使 用的な技術進歩では,b,〈bで, a,>aであり,実質資本比率は上昇する。実質賃銀率が上 昇するかどうかは,技術的係数に依存する。象限1でwlF・線の延長線より上の領域では,
aの上昇はbの低下を圧倒するから㈲式より実質賃銀率は上昇する。しかし,労働の平均 生産力の上昇率より小である。したがって労働の所得分配率は低下する。ここでポwlF1 線の延長線より下の1の領域では,ロビンソン的な技術進歩は考えられない。
(1①
ロビンソン:はまた産業部門を消費財産業部門と投資財産業部門の二部門にわけて,この 二つの部門の技術係数の動向より技術進歩の性格を判定している。
(1)一人当り産出量の上昇が消費財部門と投資財部門とで相ひとしいときは,技術進歩 は中立的である。
(2)一人当り産出量の上昇が消費財部門より投資財部門の方でより大であれば,技術進
歩は資本節約的である9
(3)一人当り産出量の上昇が消費財部門の方が投資財部門より大である場合には,技術 進歩は資本使用的である。
(11)
ロビンソンはいう。「技術の進歩しつつある経済では,産出高一単位当りの資本は長期的 には多少ともコンスタントであるが,労働者一人当りの資本は着実に増加している。」とこ (12},
ろで,中立的な技術進歩が恒常的成長均衡の条件,ロビンソン的な黄金時代の条件として とられるが,現実的には技術進歩はいろんな偏椅をもってあらわれる。 「いかなる経済に おいても,技術進歩が正確に中立的であると期待すべき理由はない。しかし,同時に,い つれかの方向への体系全体の臨画を期待すべき理由もない。諸々の資本使用的革新は,商 品で測った機械の費用を増加せしめ,そして,それを安価ならしめようとする方法を発見 しようとする特別の動機を企業者にあたえる。諸々の資本節約的革新は,消費財部門に労 働不足をもたらし,そして,企業者達に生産力を増大せしめようとする特別の動機をあた
える傾向がある。各様の偏碕は,それぞれ他の偏碕によって相殺される傾向をもつ。……
したがって,技術進歩の方向に永久的な偏碕があろうなどとは考えられないが,しかし,
ある偏碕がいつれかの方向に相当期間にわたって存続する一おそらく,ある偏碕の局面 が他の偏碕の局面と交替しながら一ということは可能である。」
㈲ 5
中立的な技術進歩をダグラス型の生産函数で表現すると,
0=eFtKβL1一β (43)
キヤパシイテー産出量の成長率は,
薯一8剛+β誓一ぜ+(1一β)」峰頭一 (44)
で示される。ソローはつぎの生産函数ではじめる。
図
0=F(K,L, t) (45)
tは技術進歩を含む変数時間を示す。ソローは,技術進歩を単純に生産函数の上昇と定義 する。そして中立的技術進歩は,生産要素の平均生産力を上昇せしめ,しかも生産要素の 個 限界代替率を不変なしめるような技術進歩であると定義ささる。つぎのような生産函数で 示される。
0=A(t)f(K,L) (46)
tについて微分して
讐一f(K,L)讐+A(t)謙讐+A(t)嘉薯 (47)
器一A(t)募,器rA(t)詳
であるから,
経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 165
誓一f(K,L)讐+盤讐+器」藷 (48)
成長率を示すために0で両辺を割り
讐「&」聖讐+{渠秘画 +釜÷砦÷(49)
生産弾力性を,
∂O K ∂0 :L
δKrσ=m・ 否r一σ=n
とおき,各成長率をGo, GK, Gしで示すと,
G・一f(K,:LO)讐+mG・+nG・ (5・)
f(K,L)/0=1/A(t)であるから
G・一四一悉+mG・+nG・ (51)
コツブコダグラス型の生産函数ではm+n−1であったから
G・一害}÷+mG・+(1−m)G・ (52)
技術進歩率をαとすれば,ソローの生産函数より導出した産出量の成長率は,コツブ羊 ダグラス型生産函数のそれと類似している。
ソローは非中立的技術進歩を示すために,㈱式より,
讐「よ一四隅+譲吾『竪☆+{冷告砦品(53)
を誘導する。この式の右辺第一項は,生産函数そのものを変化せしめ,而も,m, nをも 変化せしめることを示すものである。
中立的な技術進歩で,ソローは技術進歩の効果を総効果より分離して,
薯÷一G・一mG・一(1−m)G・ (54)
として示す。これは中立的技術進歩の単純な指標で,労働と資本の変化にもとつく産出量 の変化を分離している。ところで,資本にそくしていえば技術進歩の効果と資本増大の効 果,別の表現でいえば,生産函数のシフトと生産函数上の移動とが分離しがたいというの がカルドアの考え方である。 この考え方はカルドアのtechnical dynamisrnという言葉 で端的に表明されている。そして,技術進歩函数という新しい分析ツールが使用される。
カルドアはいう。 「一定の技術状態での生産函数にそうた移動と技術状態の変化によって
生じた生産函数のシフトの間にどのような明確な区別をなすにしてもそれは独断的であり
人為的である。そこで,生産力のある一定増加率が,いわば資本蓄積に帰属する生産力の
成長に重ねられる技術進歩に起因すると仮定する代りに,われわれは,資本成長と両要因
の彰響脅ζもに倉むとこうの隼産力との問に単純な関係を設定する・」「労働者一人当りよ
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り多く資本を使用するということ (資本集約度の上昇)は不可避的に必ずしも根本的に新 しい原理や思考の応用を示すものではないにしても,或る種の創意を必要とするすぐれた 技術の導入を結果するものである。他面,労働の生産力を上昇せしめるような技術的革新 は,全部ではないにしても,大部分は,一人当りより多くの資本一一より精巧な設備やよ り「多くの機械力を必要とするのである。そこで一社会が資本を吸収しうるスピードはその technical dynamism,新しい生産技術を発明し導入しうる能力に依存する。技術変化と その利用がかんまんであるような社会,生産者が伝統的な方法を捨て新しい技術を採用す るのをいやがるような社会は必ずや資本蓄積率の低い社会である。 この命題の逆も真実で ある。社会が新しい技術を吸収し,開発しうる速度は,その資本蓄積能力によって制約 されるのである。」カルドアの生産函数上の移動とはK/しの上昇を意味し,技術進歩は
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K/しの上昇と必然的に結びつくというのである。
カルドアのいう技術進歩函数は非線型であり,投資増加に対して生産力は逓減的な反応 傾向を示すものである。 もっともこのことは通常の意味における資本収益逓減と同じもの ではない。根本的な考え方はこうである。技術進歩は二つの要素をもっている。新しい考 え方の外生的な発展と教育によるこれらの考え方の開発と拡大である。投資が多くなれば,
もっと十分に開発と発展に現在利用しうる思考のストックをふやすだろうが,その可能力 には勿論制限がある。収穫逓減の傾向がはじまる。恒常的な割合で資本ストックが増大す ることは,資本増大率が非均一的な場合に比してより大なる生産力の上昇を生ぜしめるで あろう。非線型的な技術進歩函数から生産函数を誘導することは困難である。しかし,カ
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ルドアは代数的な形式では,近似的な接近として,線型的な技術進歩函数を使用している。
この場合,中立的な技術進歩では,カルドアの技術進歩函数はコツブ=ダグラス型の生産 函数と類似している。コンスタントな労働人口を仮定すると,カルドアの技術進歩函数は,
墨+董Yt一凶研憲(α >0,1>β 〉・) (55)
△Y Y
T
45。
0
T G
: : … : : ロ
S
図 7
△K K
カルドアによれば,資本成長△K/Kと産出量 の成長△Y/Yとの函数関係は,新しい考えが 時間的にコンスタントに開発されていること を仮定している。新しい考えがより早い率で 開発されるならば,このことは,図7のTTノ 曲線の高さの上昇によって示されるのである。
資本成長率がSより左側で示される場合は
△Y/Y>△K/Kであるから,K/Yは低落する。
この場合カルドアによれば,技術進歩の性格
は主として資本節約的である。資本成長率が
S点より右側にあれば,それは産出量の成長
率より大であるから,K/Yは上昇的であり,
経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について 167
技術進歩は主として労働節約的である。S点では, K/Yはコンスタントであるからヂ技 術進歩の性格は中立的である。以上がカルドアの技術進歩函数より見出される技術進歩の qg
判定基準である。
既述のごとく,カルドアの技術進歩函数設定の由来は,生産函数上の移動と生産函数の シフトとは分離しえないという事実に始まる。オットはシロー的な生産函数をもってその 分離可能をつぎのように説明する。
〔2①
.讐÷一G・一mG・一(1−m)G・ _..(54)
とおこう。
÷一P,一式一C (56)
とおく。
艦L』專}「ナー砦壬 (5か 讐で一誓一二一蕃÷ 噛 (58)
(54 )に代入して
薯÷一器一ナーm二一ぎ一 ・(59)
最初の生産函数を1曲線,技術進歩導入後の P
P U 新しい生産函数を舳線で示す・P・1よりへ
P2
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