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Academic year: 2021

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1.研究背景

一般にパーキンソン病患者(以下 PD)は最近の調査 によると,人口 10 万人当たり約 100 ~ 150 人の有病率で 全国では約 12 万人程度で,有病者に占める高齢者の割 合は増加し続けている (平成 23 年厚生労働省調査)。そ の臨床症状は,振戦,固縮,無動,進行期の姿勢反射障 害の 4 主徴であり,医学的治療はもっぱら投薬,リハビリを 中心に行われ,難治性の疾患に対しては脳深部刺激療法 など手術治療が行われることもあるが,根治は困難とされて いる(日本神経学会ガイドライン 2011)。なかでもPD の歩 行障害が ADL や QOL の低下に関与しているとされてい る。一方,転倒リスクが少ない環境において,すくみ足や 小刻み歩行が減少するとされている。また,下肢陽圧式空 圧免荷トレッドミル(lower body positive pressure, 以下 LBPP)は,若年者や整形外科疾患を持つ高齢者などを 対象に,上体を支えて下肢にかかる体重を軽減することで,

筋力や運動耐容能に有効かどうか検討する先行研究が報 告されているが,PD 患者の歩行障害に対する研究はまだ 少ない . そこで,PD に対し,安全かつ不快感を伴わない 下肢陽圧免荷陽圧運動を行い,その結果を解析し,通常 の運動療法と比較して身体機能向上に最も効果的な条件 を設定する事を本研究の目的とした。

2.研究方法

 研究方法は前向き介入研究とし,対象者のすくみ足の 程度をアンケート調査(FOG-Q), 筋電計による筋固縮の 評価を検討すると共に,歩行速度と歩数について検討した。

2.1 対象について

40 歳以上の PD 患者の中で,歩行障害がある者のうち 3 か月以上 ADL に変化のない2症例(68 歳男性(H-Y

Ⅲ度),62 歳男性(H-Y Ⅳ度))に,8 週間 LBPP による リハビリテーション介入を実施した。

2.2 LBPP の運動方法について

コンプレッサーから空気が流入し,丁度器機の中が風船 の中身のように,体を上方に挙上する圧力が発生する。こ れにより,体重の免荷が可能となり(2.0kPa で 15~20㎏

の免荷),関節に過度な負担がかからず歩行可能となる。

具体的には,それぞれの被験者に不快に感じない強度で ある,運動療法は Borg 指数 11~13 で週に 1 回 6 分間実 施し,8 週間継続した。

2.3 介入前後でトーヌス筋電計による筋固縮評価,10 m 直線歩行および10m往復歩行, FOG-Qの変化を検討した。

3.結果

本研究成果の詳細は現在学術誌にて発表する予定で あるため,以下に要旨のみを記す。8 週間の介入中は,薬 剤の使用状況に変化はなく,安全に実施可能であった。

LBPP での 8 週介入後,筋トーヌス筋電計では上肢(肘 関節)より下肢(足関節)で筋固縮の改善傾向がみられた。

また,10m直線および往復歩行では,LBPP 後に H-Y Ⅳ 度症例で歩幅や歩行速度の改善傾向があった。LBPP 前後で,FOGQ の明らかな改善は認めなかった。

パーキンソン病患者に対する下肢陽圧免荷陽圧運動による 機能改善効果の研究

三浦美佐1),白岩伸子2),木村典子3)

筑波技術大学 保健科学部 保健学科 理学療法学専攻1),鍼灸学専攻2),附属東西医学統合医療センター3)

キーワード:パーキンソン病患者,下肢陽圧免荷歩行,すくみ足,筋電図

筑波技術大学テクノレポート Vol.27 (1) Dec. 2019

下肢陽圧免荷トレッドミル装置「てらすウオーカー」

(昭和電機(株),大阪)

筑波技術大学 紀要

 National University Corporation

Tsukuba University of Technology

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4.考察

本研究では,H-Y Ⅲ度1例,Ⅳ度1例の PD 患者2症例 において,PD の諸症状である歩行障害や筋固縮に対する LBPP 運動療法の効果を検討した。

少数例の検討ではあるが,まず筋トーヌス筋電計測定で は,LBPP 介入の 8 週後,肘関節では明らかな変化は認 めず,足関節で筋固縮の改善傾向が認められた。

また,歩幅,歩行速度は,H-Y Ⅲ度より立位・歩行障害 が顕著なⅣ度症例において,LBPP 後に改善傾向が見ら れたことが特徴的であった。これらのことより,PD 進行期に おいては,転倒リスクを除くことで歩容が改善する可能性が 示唆された。すくみ足のスケールである FOGQ は, H-Y Ⅲ 度よりⅣ度症例において明らかに高値で,PD の歩行障害 評価として適切と思われたが,LBPP 後の改善は明らかで はなかった。

今後は,さらに LBPP 介入例を増やし,また非介入例と の比較検討も行っていくことが必要と考えられた。

参照文献

[1] 三浦美佐,平山 暁,大和田滋ら.下肢陽圧免荷歩行 が高齢運動器障害者の身体諸機能に与える影響の検 討の研究.筑波技術大学テクノレポート 25(1), 106-107, 2017-20

[2] 岡田洋平,矢倉 一,高取克彦ら.パーキンソン病患者 に対する部分免荷装置を用いた床上歩行練習の影響 . 理学療法学 37(2),91-95,2010.

[3] M Miura, N Ohkoshi , M Kohzuki, Y Ogawa, H Kinoshita, S Matsushita,T Sakuma, Y Matsui, O Ito. Effects of ergometer exercise in an upright position on autonomic nervous activity in patients with Parkinson’s disease.NTUT Education of Disabilities 14, 23-25, 2016.

三浦美佐.パーキンソン病患者に対する自転車運動で の身体機能改善効果の臨床試験.筑波技術大学テク ノレポート 23(1), 193-193, 2015-12.

筑波技術大学 紀要

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Tsukuba University of Technology

参照

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