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Academic year: 2021

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─ 131 ─ 1.はじめに

2014 年の障害者権利条約の批准や 2016 年 4 月からの 障害者差別解消法の施行等に伴い,高等教育機関を卒 業した聴覚障害を含む障害者が自立して社会生活を営む 力を育むだけでなく,実生活におけるライフステージ全体を 通じ必要な学習を継続的に行うことが望まれている。筑波 技術大学(以下,本学)では,障害者の人間関係形成 能力,社会形成能力,自己理解・自己管理能力などの育 成を目的として,授業やセミナー,ガイダンスなどを通してキャ リア教育を行ってきている。

一方,ライフステージを通じ,キャリア発達を促進するため の学習機会に関する開発研究については現状と課題ともに 十分に検証されているとは言えない(石原,2016)。その 中でも,聴覚障害のある女性については,ライフステージを 通じて生活がどのように変化し地域社会に参画しているの かといった現状はあまり認識されていない。ひいては,個々 人のライフイベントを踏まえニーズに対応したキャリア発達を 促進するための学習機会はほとんど検証されていない。

本研究では,聴覚障害のある女性が生涯の各ライフス テージにおいて必要とされる個人の生活や社会生活を自立 して生きるための必要な知識やスキルを身につけ,キャリア 発達を促進し,実生活で実践するための効果的な学習プロ グラムの開発研究を行うことを目的とした。

2.概要

2.1 講座の開催目的及び参加対象者

聴覚障害のある女性のキャリア発達促進のための学習プ ログラムの開発研究を行うにあたり,教育機関に在籍中もし くは卒業し社会に出ている聴覚障害のある女性を対象とし た講座を開催し,講師と参加者との交流や共同学習を行う 機会を設けることにした。

本講座では,聴覚障害のある女性が職場や地域社会な どで直面する課題や改善策などについて模索していくことを 目的として開催した。参加対象は,聴覚障害のある女性の

ほか,聴覚障害のある女性のライフキャリアに関心のある方 などを対象とした。今回初めての取組みであったため,学 内 HP への案内の他に関連団体への案内周知にも力を入 れた。

なお,本講座の開催にあたり,本学がこれまで蓄積してき ている聴覚障害のある女性のエンパワメント推進に取組む団 体との連携性やネットワークを活用し,効果的な学習プログラ ムを提供するための実施体制を構築することを考慮した。

2.2 日程及び企画内容

本講座は,2019 年 2 月 24 日に都内の貸会議室を会場 として実施した。企画構成にあたっては,関連団体と話し 合いを重ね,テーマと内容を検討した。題材は「ろう・難聴

(聴覚障害)女性の視点からキャリアデザインについて考 えてみよう」とし,テーマについてはキャリアと発達障害の 2 テーマとし,レクチャーとグループワークおよび全体交流会を 行う構成とした(表 1)。

聴覚障害のある女性のキャリア発達促進のための学習プログラムの開発研究

小林洋子

筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター キーワード:ろう・難聴女性,キャリア,発達障害

筑波技術大学テクノレポート Vol.27 (1) Dec. 2019

表1 講座の内容

第1部:レクチャー 13:00〜14:00

テーマ1:働くろう難聴女性を取り巻く環境 〜当事 者へのインタビュー調査等と通して〜

テーマ2:ろう難聴児のでこぼこって? 〜発達障害 の視点から〜

第2部:グループワーク 14:00〜15:00

テーマ1:セルフイメージを上げて,自分らしい働き 方やキャリアを考えてみよう

テーマ2:なんらかのハンディのある子どもをもつろう 難聴母親の育児について話し合ってみ よう

第3部:全体交流会 15:00〜16:00

筑波技術大学 紀要

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Tsukuba University of Technology

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─ 132 ─ 3.実施報告

社会で活躍する聴覚障害のある女性をはじめ男性およ び本学卒業生数人も含め,計 35 名の参加があった。

まず第一部のレクチャーでは,参加者全員が聴講する形 で,本講座のテーマであるキャリアと発達障害について,そ れぞれ「働くろう難聴女性を取り巻く環境〜当事者へのイン タビュー調査を通して」,「ろう難聴児のでこぼこって?〜発 達障害の視点から〜」というタイトルで,情報提供を行った。

続く第二部では,キャリアと発達障害それぞれのテーマ に分かれてグループワークを行った。事前にメールによる申 込を受け付ける時点で,参加希望者にキャリアと発達障害,

どちらのグループワークへの参加を希望しているか聞きとり を行い,当日はすぐにそれぞれのグループワークに参加して いただけるようにした。また,グループワークが円滑に進むよ う,進行担当と助言者が進行方法に工夫を凝らし企画した。

テーマ毎に 2 グループ,合わせて 4 つのグループに分かれ,

最近の出来事や悩み事など意見を交わしながらをお互いに ディスカッションした。最後に,全体交流会を行い,参加者 全員で情報交換を行った。

4.まとめと今後の課題

本研究は,聴覚障害のある女性が生涯の各ライフステー ジにおいて必要とされる個人の生活や社会生活を自立して 生きるために必要な知識やスキルを身につけ,実生活で実 践するための効果的な学習プログラムの開発研究を行うこ とを目的としたものである。教育機関に在籍中もしくは卒業 し社会に出ている聴覚障害のある女性を対象とした講座,

講師と参加者との交流や共同学習会を通して,学習プログ ラムの検証を行った。

本研究のような聴覚障害者の男性女性それぞれの違い に着目した開発研究自体は極めて少なく,とりわけ聴覚障害 のある女性当時者の視点からみた研究開発は皆無であり,

わが国の聴覚障害教育及び障害者支援の発展にとって大 きな意義を持つと考える。

参照文献

[1] 石原保志,大杉豊,小林洋子,他.聴覚障害学生及び 大学等を卒業した聴覚障害者のキャリア発達に関する 研究.筑波技術大学テクノレポート.2016; 24(1): 57-58.

筑波技術大学 紀要

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Tsukuba University of Technology

参照

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