類体論1
田口 雄一郎
序. この講演では 古典的 類体論について、その概略を解説する。類体 論とは
特別な体のアーベル拡大についてはよくわかる
といふ話である。「特別な体」とは、大域体
(有限次代数体、有限体上
の一変数代数関数体) 及び局所体(R, C, Q
p の有限次拡大、Fp((t))
の 有限次拡大) の事2である。「よくわかる」とは、主に・
Abel
拡大L/K
のGalois
群の構造がK
の言葉で書ける(わかり易い群で近似できる)、
・
Abel
拡大L/K
に於いて、K の素イデアルがどう分解するかが よくわかる、といふ事を指す。
1.
古典的定式化. この節ではK
は代数体とする。OK によりK
の整 数環を、ClK によりK
のイデアル類群を表す。19
世紀末、D. Hilbert は次の事を予想した。「K の各素イデアルp
についてp
はL/K
で完全分解⇐⇒ (p
の類)=1 in ClK となるGalois
拡大L/K
が存在する。」この様な
L
をK
の 類体 と呼んだ(現在は Hilbert
類体 または 絶対類体 と呼ばれてゐる)。後に判明した事には、L/K はK
の最大不分岐アー ベル拡大であり、Gal(L/K)' Cl
K である。1920
年、高木貞治はこれを一般化した形で証明した([8])。O
K のイ デアルm
に対しA
K,m= {m
と互ひに素なK
の分数イデアル}, P
K,m= {(x)| x ∈ K
×, x ≡ 1 (mod m), x
は“総正”}, Cl
K(m) = A
K,m/P
K,m,
とおく。ClK
(m)
をm
を法とする 射類群(ray class group)
と呼ぶ。類 体論の主定理は、古典的なスタイルで述べると、次の二つである:1「整数論札幌夏の学校」に於ける講義(2006年8月28日)のノート。
2これらは1次元の体で、それを高次元の体(或いはscheme)に一般化したものが
「高次元類体論」である。
1
存在定理. 任意の
m
に対し或る有限次アーベル拡大K
m/K
があつてGal(K
m/K) ' Cl
K(m)
となる。
同型定理
.
任意の有限次アーベル拡大L/K
は或るm
に対するK
m に 含まれ、NL/K(A
L,m) ⊃ P
K,m かつGal(L/K) ' A
K,m/N
L/K(A
L,m)
となる。有限次アーベル拡大
L/K
に対し、L⊂ K
mとなる最小のm
をL/K
の 導手(conductor, F¨uhrer)
と呼ぶ。K の素イデアルp
について、次 の同値が知られてゐる:p
はL/K
で分岐する⇐⇒ p
はL/K
の導手を割る。導手は、素イデアルが分岐するか否かだけでなく、どれだけ深く分岐 するかをも測るものである。
類体論の応用として
Kronecker
の青春の夢.
虚二次体の任意の有限次アーベル拡大はCM
楕円曲線の
j
不変量の値と等分点の座標を添加して得られる。が解決した
(これは Kronecker-Weber
の定理の虚二次体への拡張であ る)。ところで高木の論文では、上の定理に於ける同型写像は具体的に与 へられたわけではなかつた。その後「1927年に
Artin
が驚嘆すべき発 見を成した」([9], 14.2; 原論文は[1]):
Artin
の相互法則. 相互写像r
K,m: A
K,m→ Gal(L/K) p 7→ Frob
p=
µ L/K p
¶
があり、これが上の同型を導く。
ここに
Frob
p や³
L/K p´
は
p
のFrobenius
置換3を表す。これにより
L/K
に於ける素イデアルの分解法則がわかる。即ち、L/K
で不分岐なK
の素イデアルp
がpO
K= P
1· · · P
g と分解したと き、その個数g
が、pがmod N
L/K(A
L,m)
のどの類に入るかでわかる。実際、[L
: K] = f g
とするとN
L/K(P
i) = p
f であり、f= (Frob
p の位 数in Gal(L/K)) = (p
の類の位数in A
K,m/N
L/K(A
L,m))
となる。3文脈や都合や気分に応じて二つの(またはそれ以上) の記号を使ひ分ける。例へ ば肥田先生の講義では[p, K]といふ記号が使はれた。
2.
局所類体論. 有理関数を冪級数体に於いてTaylor
展開出来る様に、有理数を
“Taylor
展開(p
進展開)出来る様な体としてp
進体Q
p があ る。これは「完備離散付値体」の一つであるので、先づこの概念を復 習する。体
K
上の(非アルキメデス的)
付値v
とは、群準同型v : K
×→ R
で あつてv(x+y) ≤ min{v(x), v(y)}
なるものの事である。通常v(0) := ∞
によりv
を写像v : K → R∪{∞}
に拡張しておく。一般に、一つの体に 入り得る付値は沢山あり得る。値群v(K
×)
がR
の離散部分群(従つて Z
と同型)であるとき、v
は 離散付値 であると言ひ、さらにv(K
×) = Z
のときv
は 正規付値 であると言ふ。付値体(K, v)
とは、体K
とその 上の付値v
の組の事である。付値体
(K, v)
に対しO
v= O
K,v:= {x ∈ K| v(x) ≥ 0}
p
v= p
K,v:= {x ∈ K| v(x) > 0}
k
v= k
K,v:= O
v/p
vNv := #k
v,
とおく
(v
は正規付値としておく)。Ov, p
v, k
v をそれぞれ(K, v)
の 付値環、付値イデアル、剰余体 と呼ぶ。次の自然な短完全列がある:1 → O
v×→ K
v×→
vZ → 1, 1 → (1 + p
v)
×→ O
×v→ k
v×→ 1.
x 7→ x (mod p
v)
(K, v)
が付値体のとき、実数a > 1
を固定して|x|
v= a
−v(x) とおく と、これはK
上の絶対値(乗法的付値)
を定め、|x− y|
v によりK
は 距離空間になる。この距離に関するK
の完備化をK
v と書き、K のv
での完備化 と呼ぶ。標準的な埋込みK , → K
v があるが、これが同 型であるとき、即ちK
がv
の定める距離に関して初めから完備である とき、(K, v)を 完備付値体 と言ふ。K が大域体ならばK
v は局所コン パクト体になる。以下暫く、局所体 と言つたら完備離散付値体であつて剰余体が有限 であるものの事4とする。局所体は或る素数
p
に対するp
進体Q
p の有 限次拡大又は或る有限体F
q 上の冪級数体F
q((t))
の有限次拡大と同型 である。4理念的には局所コンパクト体(即ちHausdorff,局所コンパクトかつ非離散的な位 相体)を局所体と呼ぶのがよい。この意味の局所体のうち、非アルキメデス的な局所 体は剰余体が有限な完備離散付値体であり、アルキメデス的な局所体はRまたはC と同型である。
K
を局所体、O をその付値環、p をその付値イデアル、k= O/p
を その剰余体とし、U
(m)= (1 + p
m)
×= {x ∈ K
×| v(x − 1) ≥ m}
とおく
(U
(0):= U := O
×).
局所類体論の主定理を先づは古典的な大域 類体論のもの(§1)
と並行した形で述べる:存在定理
.
任意のm ≥ 0
に対し或るアーベル拡大K
m/K
が存在してGal(K
m/K)
はK
×/U
(m) のprofinite
完備化と同型になる。注意.
K
m/K
は無限次拡大である。実際K
0 はK
の 最大不分岐拡大K
ur であり、Gal(K0/K) ' Z b
である。同型定理. 任意の有限次アーベル拡大
L/K
は或るm ≥ 0
に対するK
m に含まれ、NL/K(L
×) ⊃ U
(m) かつGal(L/K) ' K
×/N
L/K(L
×)
となる。これらを纏めて次の様に述べられる:
相互律. 標準的準同型
(相互写像) r
K: K
×→ G
abK があり、・ 各
L/K
に対しr
K は上の同型を導く。・
r
K は単射、Im(rK)
はG
abK の中で稠密。・ 素元
∈ K
× の像in G
k はFrobenius
と一致する。・
“引戻し”
により½ K
× の指数有限 開部分群¾
←
1:1½ G
abK の 開部分群¾ .
従つて次の同型がある:Hom(K
×, Q/Z) ' Hom(G
abK, Q/Z).
ここに
G
K は体K
の絶対ガロア群、GabK はK
の最大アーベル拡大K
ab のガロア群Gal(K
ab/K)
である。局所類体論の最初の証明は大域類体論を使つてなされた。しかし局 所理論の方が大域理論より易しい筈だから、最初に局所類体論を独立 に証明し、それを使つて大域類体論を証明できないか、と考へるのは 自然である。実際それは可能で、幾つかの証明がある。
3.
証明について. 局所類体論の証明方針(相互写像の構成法)
を二つ 紹介する。一つはLubin-Tate
群を使ふもの、もう一つは巡回代数を使 ふものである。前者は円分拡大の理論に類似してゐて、具体的であり、explicit reciprocity law
などの、より詳しい研究に向いてゐる。後者は 大域類体論との両立性を示し易いといふ利点がある。理論的に美しく、cohomological
な定式化と馴染みがよいので高次元化5などの一般化に 適してゐる。以下この節では
K
を局所体、O をその付値環、U:= O
× とする。(1) Lubin-Tate
群を使ふ方法(cf. e.g. [5], [10])。相互写像 r
K を、次 の図式が可換になる様に作りたい:1 −−−→ Gal(K
ab/K
ur) −−−→ Gal(K
ab/K) −−−→ Gal(K
ur/K) −−−→ 1 x
x
rKx
1 −−−→ U −−−→ K
×−−−→
vZ −−−→ 1.
r
K(π)
はFrobenius ∈ Gal(K
ur/K)
の逆像、と定める(正確には後ほど
述べる)。あとはr
K|
U を決めればよいが、ここでLubin-Tate
理論を 使ふ。K
の素元π
を一つ選んで固定する。q
を剰余体k
の位数とするとき、f(X) = πX + · · · + X
q+ · · · ∈ O[[X]]
(X
q 以外の項の係数はπ
で割れる) の形の冪級数に対して、O の作用を持つ 形式群6F (X, Y ) = X + Y + · · · ∈ O[[X, Y ]]
が定まる。形式群
F
の「O-加群構造」の意味する所は、各a ∈ O
に対 し「a倍」を表す冪級数[a](X) ∈ O[[X]]
があつて「F(X, Y )
と両立する」といふ公理を満たす、といふ事である。集合
m := {x ∈ K| v(x) > 0}
は
加法:
(x, y) 7→ F (x, y), a
倍:x 7→ [a](x) (x, y ∈ m, a ∈ O)
によりO-加群となる。
事実.
F [π
n] := Ker([π
n]
の作用on m)
はO-加群として O/(π
n)
と同 型で、これにG
K が作用する:G
K→ Aut(F [π
n]) ' (O/(π
n))
×.
実はこれは全射。lim
←−
n を取つて、π のみに依存する全射準同型χ
π: G
K→ U
5Lubin-Tate群の高次元版は未だ無い。
6ここに言ふ形式群とは「1次元可換形式群」、即ち二変数の冪級数であつて合成 に関して可換群と同様の公理を満たすもののことである。一般には高次元 (多変数) のものや非可換のものもある。
を得る。Ker(χπ
)
に対応する拡大をK
π/K
とすると、実はK
πK
ur= K
ab であり、Z b ' Gal(K
ur/K) ' Gal(K
ab/K
π), U ' Gal(K
π/K) ' Gal(K
ab/K
ur).
そこで
K
×をK
×= hπi×U
と分解しておき、相互写像r
K: K
×→ G
abK を次の様に定義する:rK(π)
及び各u ∈ U
に対するr
K(u)
はZ b ' Gal(K
ab/K
π), U ' Gal(K
ab/K
ur), 1 ↔ r
K(π) u
−1↔ r
K(u)
なる元。
(2)
巡回代数を使ふ方法(cf. e.g. [11], [6])。相互写像 r
K: K
×→ G
abK を与へる事は非退化pairing
G d
abK× K
×→ Q/Z
を与へる事と同じである。そこで、事実.
Br(K ) := (K
上の中心単純環の同値類) はK
が局所体ならばQ/Z
と標準的に同型であるといふ事に注意して、χ
∈ G d
abK とb ∈ K
× に対し 巡回代数A(χ, b)
を 定義し、上のpairing
を(χ, b) 7→ (A(χ, b)
の類) in Br(K) と定義する。巡回代数
A(χ, b)
は次の様に定義する。先づ次の一対一対応がある:½
指標χ : G
abK→ Q/Z
で 像の位数= n
なるもの¾
←→
1:1
組
(L/K, σ);
ここにL/K
はn
次巡回拡大、σ
はGal(L/K)
の生成元
.
左辺のχ
に対応するのは、Ker(χ) に対応するL/K
とχ(σ) = 1/n
なる
σ ∈ Gal(L/K)
との組である。そこで、文字β
を用意して、A(χ, b) := L + Lβ + · · · + Lβ
n−1,
交換関係は
β
n= b, βx = σ(x)β (x ∈ L),
と定義する。局所から大域へ.
K
を大域体とするとき、次の完全列がある:0 → Br(K) → ⊕
vBr(K
v) →
ΣQ/Z → 0.
ここに
Σ
はK
の全ての素点v
に渡るinv
v の和である。この完全列を 利用して局所類体論を貼合せる事により大域類体論を導く事が出来る。注意.
Cohomological interpretation:
G d
abK= H
1(K, Q/Z) →
δH
2(K, Z), K
×= H
0(K, G
m),
Br(K ) = H
2(K, G
m).
上の
pairing G d
abK× K
×→ Br(K)
はχ ∈ H
1(K, Q/Z)
とb ∈ H
0(K, G
m)
に対しδ(χ) ∪ b ∈ H
2(K, G
m)
を対応させるものである(δ
は連結準同型、∪ はカップ積)。4. Chevalley
の定式化:局所類体論を寄せ集めて大域類体論を作る。K
を大域体とする。局所類体論によると、K の各素点v
に於いてK
v× がG
abKv を近似した。そこでI
K:= a Y
v
K
v×:= {(x
v)
v∈ Y
v
K
v×|
殆ど全てのv
に対しx
v∈ U
v},
とおいて、可換図式K
v×−−−→
rKv
Gal(L
w/K
v)
v成分への埋込み
y
y
制限I
K−−−→
???Gal(L/K)
を念頭に置きつつ、IK をして
G
abK を近似せしめる事を考へる(I
K はK
のid`ele
群 と呼ばれる)。先づ、古典的な定式化に倣つて存在定理、同型定理を述べるために、OK のイデアル
m = Q
p
mvv に対しU
m:= Y
v-∞
U
v(mv)× Y
v|∞
U
v⊂ I
Kとおく。ここに
v
が有限素点のときはU
v(mv)= (1 + p
mvv)
× は局所体K
v に対する§2
のU
(m) であり、v が無限素点のときはU
v= (K
v× の 連結成分3 1)
とおいた。存在定理. 任意の
m
に対し或る有限次アーベル拡大K
m/K
が存在してGal(K
m/K) ' I
K/U
mK
×となる。
同型定理
.
任意の有限次アーベル拡大L/K
は或るm
に対するK
m に 含まれ、NL/K(I
L) ⊃ U
m かつGal(L/K) ' I
K/N
L/K(I
L)K
×となる。
ここで
C
K:= I
K/K
×(K
× は対角的にI
K に埋め込む)とおく
(C
K はK
のid`ele
類群 と呼ばれる) と、上の二つの同型の右辺はそれぞれ
C
K/(U
mの像),C
K/N
L/K(C
L)
に等しく、上の二つの定 理は次の様に纏められる:相互律
.
標準的な準同型(相互写像) r
K: C
K→ G
abK があり、・ 各
L/K
に対しr
K は上の同型を誘導する。・
K
が代数体ならばr
K は全射でKer(r
K)
は1
を含むC
K の連結成分(= Q
v|∞
U
v)、
K
が函数体ならばIm(r
K)
はG
abK の中で稠密でr
K は単射。・ 次の図式は可換:
K
v×−−−→
rKvG
abKv y
y C
K−−−→
rK
G
abK.
・
“引戻し”
により½ C
K の指数有限 開部分群¾
←
1:1½ G
abK の 開部分群¾ .
従つて次の同型がある:Hom(C
K, Q/Z) ' Hom(G
abK, Q/Z).
古典的定式化との関係は次の完全列から見て取れる:
1 → U
m/(K
×∩ U
m) → C
K→ Cl
K(m) → 1.
K
を動かした時の変化:K
0/K
を有限次分離拡大とする。この時 次の 可換図式がある:C
K0−−−→
rK0G
abK0NK0/K
y
y
制限C
K−−−→
rK
G
abK,
C
K0−−−→
rK0G
abK0iK0/K
x
x
移送C
K−−−→
rK
G
abK.
ここに
i
K0/K は包含写像K , → K
0 が誘導する自然な写像であり、移送 といふのは、一般に群G
とその指数有限部分群H
に対し定義される準 同型写像t
G/H: G
ab→ H
ab が定義されるが、これをG = G
K, H = G
K0に対して適用したものである。
5. L
函数.K
を大域体、L/K を有限次アーベル拡大とする。このとき、同型
Cl
K(m) ' Gal(L/K)
はその指標群の間の同型を誘導する。この事は「L函数の一致」としても見られる。
指標
χ : Cl
K(m) → C
× に対しHecke
のL L(s, K, χ) : = X
a
χ(a) N a
s= Y
p
1 1 − χ(p)/N p
sが定義される
(但し (a, m) 6= 1
のときはχ(a) = 0
と定義する)。ここ にP
a は
O
K のイデアルa 6= 0
に渡る和、Q
p は
O
K の素イデアルp 6= 0
に渡る積であり、Na
はa
の絶対ノルムである。一方Galois
群 の指標ρ : G
abK→ C
× に対しArtin
のL
L(s, K, ρ) := Y
p
1
1 − ρ(Frob
p)/N p
s が定義される。ここにQ
p は
L/K
で不分岐なO
K の素イデアルp 6= 0
に渡る積である。注意
. Hecke
のL
はより一般にC
K の量指標に対し定義される。また、Artin
のL
はより一般に有限次Galois
拡大L/K
とGal(L/K)
の任意 の表現ρ : Gal(L/K) → GL
C(V )
に対し定義される(V
は有限次元C
ベクトル空間)。相互律
Cl
K(m) ' Gal(L/K); p 7→ Frob
p は、指標群の間の同型Cl \
K(m) ' Gal(L/K); \ χ 7→ ρ
であつてL(s, K, χ) = L(s, K, ρ)
なる ものの存在を意味する。Artin
はもともとこの様な「L の一致」といふ 事を考へてをり、後に相互律に思ひ至つたらしい(因みに Hecke
が彼 のL
函数を定義したのは1918
年の論文[4], Artin
が相互律を発表し たのは1927
年の論文[1]
である)。このやうなL
函数の一致:Hecke
的L = Galois
的L
は最近でも最もhot
なtopics
の一つである。6. G
abK の`
進表現.
類体論によればG
abK の位数有限な表現はC
K やCl
K(m)
の位数有限な表現と一対一に対応する。代数幾何ではG
K やG
abK の(従つて C
K の)`
進表現(特に位数が無限のもの)
が自然に現 れるが、逆に任意の`
進表現が「由緒正しい」(i.e. 代数幾何から来る) わけでは必ずしもない。例. 円分指標
χ : G
Q→ Z
×` は分解Z
×`= µ
`−1× (1 + `Z
`)
× に従つてχ = ωχ
1(ω : G
Q→ µ
`−1⊂ Z
×`, χ
1: G
Q→ (1 + `Z
`)
×)
と分解出来る。k ∈ Z
` に対しχ
k1: G
Q→ (1 + `Z
`)
×が考へられるが、これは
k 6∈ Z
のとき「由緒正しく」ない。なほ、
ωχ
k1 はχ = χ (mod `)
の({`}
の外不分岐な) 普遍変形(の
変数をk
に特殊化したもの) である。K
を代数体、Fλ を`
進体、ρ: G
abK→ F
λ× を連続表現とする。ρ は 類体論によりC
K の連続表現とも思へる。ρ が「由緒正しい」といふ 事を特徴付ける幾つかの条件があり、それらの同値性が知られてゐる:定理.
ρ
についての次の各条件は同値である:(1) CM
アーベル多様体(と位数有限の表現)
から来る。(2)
局所代数的。(3)
代数的Hecke
指標から来る。(4) Serre
群の代数的表現S
K→ G
m から来る。(5) Hodge-Tate at all v|`.
(6) de Rham at all v |`.
(7) Potentially semi-stable at all v|`.
(8) Potentially crystalline at all v|`.
言葉の意味の説明は省略するが、(1) は「代数幾何から来る」といふ 事、(3) は
“modular”
といふ感じの条件である。(4) のS
K は、(1) の 様な表現全体のなす圏の“淡中基本群”
と呼ばれるものである。(5) 〜(8)
の条件はp
進Hodge
理論(ここでは p = `)
を用ゐて定義されるも ので、一般(アーベルと限らないとき)
にはHodge-Tate ⇐ de Rham ⇔ potentially semi-stable
⇐ potentially crystalline
である。この定理について、さらに詳しくは
[7], [2], [3]
や岩波の『数 学辞典』第4
版の「類体論」の項を参照されたい。References
[1] E. Artin,Beweis des allgemeinen Reziprozit¨atsgesetzes, Hamb. Abb.5(1927), 353–363
[2] P. Deligne, J. S. Milne, A. Ogus, Arthur and K. Shih, Hodge Cycles, Motives, and Shimura Varieties, Lect. Notes in Math.900, Springer-Verlag, Berlin-New York, 1982
[3] J.-M. Fontaine and B. Mazur, Geometric Galois representations, in: Elliptic Curves, Modular Forms, & Fermat’s Last Theorem (Hong Kong, 1993), Inter- nat. Press, Cambridge, MA, 1995, pp. 41–78 (190–227 in the 2nd ed.)
[4] E. Hecke, Eine neue Art von Zetafunktionen und ihre Beziehungen zur Verteilung der Primzahlen, Erste Mitteilung, Math. Zeit. 1 (1918), 357–376;
Zweite Mitteilung, Math. Zeit.6(1920), 11–51
[5] K. Iwasawa, Local Class Field Theory, Oxford University Press, New York, 1986, viii+155 pp.
[6] 加藤和也、黒川信重、斎藤毅『数論I』,岩波書店
[7] J.-P. Serre, Abelian `-adic Representations and Elliptic Curves, 2nd ed., Ad- vanced Book Classics, Addison-Wesley Publishing Company, Redwood City, CA, 1989, xxiv+184 pp.
[8] Uber eine Theorie des relativ-Abel’schen Zahlk¨orpers,¨ 東京帝大理学部紀要 41 (1920)
[9] 高木貞治『代数的整数論』第二版, 1971, 岩波書店
[10] T. Yoshida,Local class field theory via Lubin-Tate theory, preprint, http://www.math.harvard.edu/~yoshida/
[11] A. Weil,Basic Number Theory, 3rd ed., Die Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften144, Springer-Verlag, New York-Berlin, 1974, xviii+325 pp.