⽇本における⼤学スポーツの発展を⽬指して
筑波⼤学⻑ 永⽥ 恭介
2017年9⽉28⽇(⽊)
Contents
Ⅰ.⽇本における⼤学スポーツの現状
Ⅱ.⽶国における⼤学スポーツの現状
Ⅲ.⽇本の⼤学スポーツにおける今後
筑波⼤学におけるスポーツの歴史
1872年
⽇本最初の官⽴師範学校「東京師範学校」設⽴
1878年
⽂部省、
(官⽴)体操伝習所
を設⽴。
1885年
体操伝習所を東京師範学校の付属とする。
1886年
体操伝習所廃⽌、東京師範学校を⾼等師範学校に
校名変更し、「体操専修科」設置。
1893年
嘉納治五郎、⾼等師範学校校⻑に就任。
1894年
⼤運動会開催、競⾛、フットボール、三⼈抜相撲、
綱引、剣舞等20数種⽬の競技が⾏われる。
1896年
「運動会」設⽴
器械体操、相撲部、ローンテニス部、フートボー
、柔道部、撃剣銃槍部、⼸技部、
ル部など10部が存在。
1901年
嘉納校⻑の呼びかけで寄合会と運動会を統合した
「校友会」が結成、談話部会と運動部会に分かれ、
運動部会には柔道部、撃剣及び銃槍部、⼸技部、
器械体操部、ローンテニス部、フートボール部、
ベースボール部、ボート部、⾃転⾞部、⾓⼒部が
設けられる。
1902年
校友会運動部会に徒歩部、游泳部が設けられる。
1912年
地歴科の⾦栗四三、
ピック・ストックホルム⼤会に参加(マラソン)
初の⽇本代表
として第5回オリン
1920年
⾦栗四三の呼びかけのもと、東京⾼等師範、早⼤、慶
⼤、明⼤の四校で
第1回箱根駅伝開催
、東京⾼等師範
が優勝。
嘉納治五郎 参照: • 筑波⼤学体育センター・HP⽇本における⼤学の現状
•
⼤学数
781校
•
学⽣数
約2,900,000⼈
(男性 : ⼥性 = 1,700,000 : 1,200,000)
⽂部科学省,2014⼤学⽣競技者の現状
•
多くの⼤学で学⽣競技者が存在する
•
⼤学スポーツの統括機関は存在しない
学校数
学生数
男性
女性
男性
女性
野球
378
27,779
バスケットボール
397
326
9,043
5,270
バレーボール
403
411
6,870
7,089
⽇本における⼤学スポーツの現状
野球
サッカー
バスケ
ラグビー
・・・
⼤学
⼤学
⼤学
各部運動部・・・各部運動部・・・
・・・
・・・
運動部(⼤学スポーツ)に関して、
各⼤学を競技横断的にマネジメントする
機関は存在しない。
マネジメントは競技単位で⾏う。
健康・財政的リスクに対する責任
の所在が不明瞭。
⼤学スポーツの組織:
種⽬、カテゴリ別に存在
日本野球協議会 全日本アマチュア 野球連盟 日本学生野球 協会 全日本大学野球 連盟 日本高等学校 野球連盟 日本野球連盟 全日本軟式野球 連盟 日本野球機構全日本大学野球連盟HPより
北海道学生野球連盟
東海地区大学野球連盟
札幌学生野球連盟
北陸大学野球連盟
北東北大学野球連盟
関西学生野球連盟
仙台六大学野球連盟
関西六大学野球連盟
南東北大学野球連盟
阪神大学野球連盟
千葉県大学野球連盟
近畿学生野球連盟
関甲新学生野球連盟
京滋大学野球連盟
東京新大学野球連盟
広島六大学野球連盟
東京六大学野球連盟
中国地区大学野球連盟
東都大学野球連盟
四国地区大学野球連盟
首都大学野球連盟
九州六大学野球連盟
神奈川大学野球連盟
福岡六大学野球連盟
愛知大学野球連盟
九州地区大学野球連盟
<競技団体の下部組織として存在>
・種⽬横断的な統括組織はしない。
・学⽣スポーツ全体が抱える問題点を
共有できない。(井上ら、2010)
↓
競技連盟(NF)と⼤学スポーツの関係性
全⽇本野球協会
⽇本⾼等学校野球連盟
全⽇本⼤学野球連盟
⽇本野球機構(プロ)
⽇本野球連盟(アマチュア)
⽇本学⽣野球協会
⼤学チーム
⼤学内での位置付け:課外活動団体として認定
筑波⼤学学⽣団体
⼀般学⽣団体 課外活動団体 ⽂科系サークル 連合会 体育会 芸術系サークル連合会 45部会 任意団体・課外活動筑波⼤学
学⻑ 学⽣⽣ 活課⻑ 学⽣部 (部⻑) 副学⻑ (学⽣) 学⽣⽀援業 務推進担当 Tsukuba Sports Association、 課外、研修施設 副学⻑ (教育)・・・
学⽣競技者のリスクマネジメントや学業、
就職活動等に関する課題(井上ら、2010)
⼤学チームとステークホルダー
学⽣
教職員
OB
ファン
⾃治体
企業関係者
⽗兄
⼤学チーム
任意団体としての⼤学チーム
筑波⼤学での現状
2,936⼈/9,778⼈
学⽣の参加率は約30%
部員数50名の
学⽣の⾃主的活動
年間予算15,000,000円
200,000円/⼈の負担
⽇本における⼤学スポーツの現状
•
誰もが⾃由に参加できる
•
⾃主的な活動
⼤学スポーツの問題点(⼤学)
•
運動部活動が課外活動であること
→財政的・健康的リスクに対するマネジメントが
希薄であり、責任の所在も不明瞭である。
•
学業⽀援
•
経済的⽀援
•
指導者の質保証
課外活動
=
学校において
、正規の教育課程のほかに実施される活動のこと
=
法令や告⽰、学則などの諸規則で
、
すべての学習者が⾏う活動
として
規定されていない活動
=各⼤学が正規の教育課程であることを明⽰しない学⽣⾃治会活動、
クラブ活動(サークル活動)、各種学校⾏事、ボランティア活動、課外授業など
課外活動
初等中等教育における特別活動
明治時代前期:修学旅⾏や運動会などの学校⾏事、運動部などの部活動の設置、
学校内の⾃治会的な活動。
学習指導要領策定初期:試案(1945年)としての⾃由研究。その後⼩学校では、
教科以外の活動とされ、⾼等学校では特別教育活動に再編。
⽂部省告⽰(1958年):初等中等教育において、「特別教育活動」に統⼀
(除く、学校⾏事)。
新たな学習指導要領(1970年):学校⾏事を含めた「特別活動」に統⼀。
120 + 4 単位=世界標準的正課単位数+⽇本固有の正課体育単位数
⼤学体育=4単位必修->⼤学設置基準の⼤綱化(1991年)で消失
正課=卒業要件(単位がとれる授業科⽬)に掛かる活動
=単位認定の対象となっている授業の時間内の活動
指導者の処遇
10% 7%
83%
フルタイム指導者
パートタイム指導者
ボランタリー指導者
国内のアメリカンフットボール指導者
154名
⼤学スポーツの問題点(スポーツ団体)
•
主な⽬的が「競技の普及」
•
主な財源が加盟メンバーからの加盟費
•
試合開催などで得た収益は、ほとんど分配されない
⽶国におけるNCAAの現状
各⼤学
⼤ 学 間 の 集 ま り
( カ ン フ ァ レ ン ス )
全⽶⼤学体育協会
3機関の連携による
⼤学スポーツの運営、管理
メンバー⼤学数:約1,100 NCAA所属カンファレンス数:99NCAAは、
各⼤学リーダーの意志の集合体
NCAAの現状と理念
D-I
D-II
D-III
346校
307校
439校
約1,100の加盟校、
50万⼈の所属選⼿
(Academics/Well-being/Fairness)
NCAA3つの理念
⽶国NCAAの収益構造
規模の⼤⼩にかかわらず、加盟する 全校が分配⾦を受領。⾦額は、 ⼤学の学⽣に対するサポート度合、 トーナメントでの競技結果、学業の 成功度合を加味した計算式で決定。NCAAの収益 約8億ドル(⽇本円で約850億円)
D-Ⅰ⽣徒に与えられるスポーツ 奨学⾦や授業料免除等とは別に、 加えて与えられる助成⾦。 授業⽤PC購⼊費、就職活動⽤ スーツ購⼊費など。 NCAAが⾏う研究費⽤、NCAAが 提供するプログラム運営費など NCAA運営費、⼈件費 2017.8.30 NCAA Emmert会⻑講演より引⽤⽇本における⼤学スポーツの理想像
•
Society 5.0の実現に向けた改⾰
•
スポーツを核として、⾳楽イベントや健康づくりなど、にぎわいや
コミュニティ創出の拠点としてのスタジアム・アリーナ構想
•
⽇本のスポーツ⽂化の担い⼿
•
地域の活性化
•
第2期スポーツ基本計画による⼤学スポーツの振興
•
Students Centered
(健康的・安全・安⼼な活動、教育的経験の提供)
•
⽂武両道
•
財政基盤の確⽴
問題点改善への⽅策
2017年8⽉30⽇ NCAA Mark Emmert 会⻑からのメッセージ
NCAAが繁栄し続けている秘訣は、NCAAが
物事を決断したり、判断を下すのではなく、
⼤学のリーダー
(学⻑)が 意志やビジョンを
持ち
、各⼤学でのスポーツの位置付けや、
あり⽅を決定し、それに関する
⼤学リーダー
のコントロール
権を奪わなかったところ
にあります。
課外活動である⼤学スポーツを⼤学内に取り込み、⼤学の理念に沿った活動をリスクフリーに⾏える環境を
整え、⼤学スポーツがもたらすベネフィットが、⼤学の各ステークホルダーに還元される仕組みを作る事
筑波⼤学AD発⾜に向けたこれまでの歩み
NCAA National Convention インタビュー調査 • AD/カンファレンス関係者、 NCAA職員、学⽣(選⼿) 筑波⼤学スポーツイノベーション 開発研究センター設⽴ 共同研究開始最終報告会 @アメリカンセンタージャパン • ⽇本における⼤学アスレチック マネジメントモデル案の提案 共同研究中間報告会 @筑波⼤学・TUJ • ⼤学スポーツ発展に際するベネフィット • ⽶国⼤学スポーツ財政状況調査の報告 • ⽶国⼤学スポーツマネジメントモデルの教 ⽰(アスレチックデパートメント・カン ファレンス・NCAAの関係) NCAAマーク・エマート会⻑ 基調講演 筑波⼤学AD設置準備室設⽴・ 安⽥TDA就任