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第2章 現状調査
2.1 木質バイオマス利用方法の現状
木質バイオマスは、森林資源が豊富なわが国において、大きく活用が期待されているバイオ マス資源のひとつであり、CO2削減策の有効手段としても、注目が高まっている。 2.1.1 バイオマスエネルギーとは バイオマスとは、木材・生ごみ・糞尿・植物油等といった生物資源の総称であり、これらに由 来するエネルギーをバイオマスエネルギーという。固体・液体・気体と様々な形態に加工するこ とが出来、発電や熱利用にとどまらず自動車の燃料や家庭用ガスなど幅広く利用することが可能 である。 図表 2-1 バイオマス発電・熱利用図 資料:財団法人新エネルギー財団(NEF)ホームページ (1) 原理 バイオマスエネルギーは、生物体を構成する有機物から酸化・燃焼などの化学反応を介して 利用されるエネルギーである。生物体は、光合成などにより「炭素」を体内に蓄積させるため、 固定した CO2と排出されるCO2とのバランスを考慮しながらエネルギーとして利用すれば、 CO2の排出をプラスマイナスゼロにすることができる。これをカーボンニュートラルという。4 図表 2-2 カーボンニュートラルの概念(木質バイオマス) 以下に、バイオマスエネルギーの代表的な利用方法を挙げる。 図表 2-3 バイオマスエネルギーの利用方法 利用方法 概要 木質バイオマスの燃焼 パルプ製造時に生じる黒液や、製材廃材・林地残材等を直接ない しガス化して燃焼させ、発電や熱利用を行うもの。 有機系廃棄物による メタン発酵・発電 畜産排せつ物(糞尿)や生ごみ、食品工場の廃棄物等を原料とし、 微生物や酵素で発酵させメタンを回収して発電を行うもの。 廃油の燃料化 廃食用油を回収して加工し、ディーゼル車の代替燃料等に使用。 メタノール等のアルコ ール製造 バガス(さとうきびの絞りかす)、稲わら等を糖化・発酵させ、 メタノール等のアルコールを製造して自動車などの液体燃料とし て利用。 このうち、従来からある直接燃焼による熱利用、蒸気タービンシステムによる発電、メタン 発酵などは技術的には成熟しているが、その他のガス化や液化については、まだ実証段階のも のがほとんどである。
5 (2) 特徴(○メリット、●デメリット) バイオマスエネルギーを利用する際の特徴を以下に示す。 図表 2-4 バイオマスエネルギーを利用する際の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○産業廃棄物となる木屑、バガス、家畜糞尿な どをエネルギーとして有効活用できる。 ○固体・液体・気体と加工できるため保存・運 搬が容易であり、幅広い用途がある。 ●バイオマス資源は広く分散していることが 多く、収集・運搬にコストと手間がかかる。 ●廃棄物の燃焼、家畜糞尿のメタン発酵等に伴 う排ガス・廃液等の適正処理が必要である。 2.1.2 木質バイオマスの利用方法 木質バイオマスの利用方法には、大きく分けてエネルギー利用とマテリアル利用の2 つがあ る。エネルギー利用としては、我が国で古くから燃料として使われている薪や炭、実用段階に あるチップやペレット等の直接燃焼利用のほか、最近ではガス化や液化などの実用化に向けた 動きも進んでいる。これらについて、図にまとめると以下のようになる。 図表 2-5 木質バイオマスのエネルギー利用方法 マテリアル利用とは、木材そのものを素材として利用する方法である。マテリアル利用とし ては、チップの製紙用原料利用、植栽地のマルチング材利用、炭化物の土壌改良剤利用、調湿 材、ボード、おが粉の畜舎敷料での利用、堆肥製造等の従来から行われている方法の例や、リ グニン等を変換して利活用する最新技術の例等が挙げられる。 吸収式冷温水器 蒸気ボイラー 温水ボイラー ボイラー蒸気 タービンシステム ガス タービン 暖房 給湯 冷房 動力機関 発電 燃焼 液化 (研究段階) ガス化 (破砕・チップ化) おが粉 チップ (成形燃料化) ペレット オガライト おが炭 (伝統的加工) 薪 炭 利用形態 利用機器/システム エネルギー変換方式 燃料形態 スターリング エンジン 石油との 併用利用 薪ストーブ ペレットストーブ
6 以下では、利用可能な木質バイオマスのエネルギー転換技術及び資源化技術についてとりま とめる。そして、木質バイオマス燃料はそれぞれの特徴によって製造・利用方法が異なり、経 済性に大きく影響を及ぼすため、エネルギー利用の場合は目的との適合性も合わせて検討する。 2.1.3 燃料の形態と利用規模 木質バイオマス燃料は、以下のような形態があり、利用に適した規模がある。一般的にペレ ットのように、均質に加工された燃料ほど小型機器で利用することができる。 次の図表 2-6 に木質バイオマス燃料の形態と利用規模の適合性を示す。また、図表 2-7 に 燃料の形態と利用機器との適合性を示す。 図表 2-6 燃料の形態と利用規模の適合性 利用規模 燃料形態 ストーブ 数kW 程度 小規模ボイラー (家庭、小施設等) 20kW~300kW 程度 中・大規模ボイラー (業務用、工場等) 300kW 程度~ 薪 ○ ○ × チップ × △ ○ ペレット ○ ○ △ 図表 2-7 燃料の形態と利用機器の適合性 利用機器 燃料形態 ストーブ 温水ボイラー 蒸気ボイラー 吸収式冷温水器 薪 ○ △ (小規模で可) × × チップ × (中・大規模で可)△ ○ △ (別途ボイラー必要) ペレット ○ ○ ○ ○
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2.2 最新の資源化技術及びエネルギー転換技術~エネルギー利用
2.2.1 木質バイオマスの前処理 木質バイオマスをエネルギーとして利用するには、まず対象となる資源を一定の形状に加 工したうえで運搬し、すぐ利用しない場合は貯蔵する必要がある。また、乾燥した原料のみ を燃料として利用するシステムも多いことから、これらについて概要を述べる。 一般に、木質バイオマスのエネルギー利用は、森林資源を建築用材(用材)へと加工するプ ロセスを基幹としたプロセスの各段階で発生する副産物が利用の対象となることから、それ ぞれの副産物に適した前処理が必要となる。 保育 主伐 製材加工 建築 解体 間伐材 林地残材 製材工場等残材 建設廃材 建設廃材 図表 2-8 林業・木材産業のプロセスと木質バイオマスの発生箇所のイメージ 以下では、前処理を(1)加工及び運搬段階、(2)乾燥段階、(3)貯蔵段階、の 3 段階に分類し、 それぞれの前処理の概要と特性を整理する。 (1) 加工及び運搬段階 木質バイオマスは発生時点では様々な形状と品質を有しており、そのままでは運送、貯蔵、 燃焼等の効率が悪いことから、多くは加工される。この加工及び運搬段階では、木質バイオ マスの種類毎に留意すべき事項が大きく異なる。以下では、①林業系木質バイオマス(間伐 材・林地残材)、②製材工場等残材、③建設廃材 を代表例として取り上げ、それぞれの留意 事項を取りまとめる。 ① 林業系木質バイオマス(林地残材)の場合 林業の現場で発生する木質バイオマスには、主伐や利用間伐による木材収集の際に発生す る末木、枝条、用材として利用できない曲がり材や割れ等といった短尺の丸太、根元部(タン コロ・ドンコロなどと呼ばれる)、伐根、切り捨て間伐による切捨丸太等がある。これらを総 称して林地残材(図表 2-9 における未利用木質資源)と呼ぶ。林地残材は現状では森林に残 置され未利用となっており、農水省の2008 年度調査によれば、国内の賦存量約 800 万 t に 対して利用率はわずか 1%にとどまるとされている。この膨大な資源である林地残材の、エ ネルギーとしての利活用に期待が高まっている。 森林 用材 製材品 家屋8 図表 2-9 林地残材の部位別イメージ 林地残材の発生場所は集材方式によって大きく異なる(図表 2-10)。そのため、林道から近 い場所等の比較的収集の容易な箇所に発生する林地残材の発生量も、集材方式によって大き く異なる(図表 2-11、図表 2-12)。林地残材の収集が最も容易になるのは全木集材の場合であ る。この場合、土場にて集中的に発生する末木・枝条等(土場残材)をグラップル等でトラッ クに積み込んで搬出するなど、用材生産の際に発生する残材を用材とともに収集することが 現実的な方策として考えられる。即ち、バイオマスだけを収集するのではなく、用材の集材 作業と林業系木質バイオマスの収集作業を連携して行うことによる能率的な林地残材の搬出 という考え方である。 図表 2-10 用材とバイオマスの収集・運搬作業システム例 資料:平成19 年度 独立行政法人 森林総合研究所 公開講演会 講演要旨集 林業バイオマスの収集・運搬の低コスト化 陣川 雅樹(林業工学研究領域 チーム長)
9 図表 2-11 全木集材に用いる高性能林業機械名 図表 2-12 集材システム別の林地残材発生場所 資料(左):愛知県 林業の動き 愛知県 平成 16 年 資料(右):緑のシステム創造事業について 釜石市役所臨時記者会見資料 平成 21 年 12 月 宮崎県では、枝払い・造材を一手に行うプロセッサを中心とした、高性能林業機械による 集約的な作業システムが多く導入されている。この場合には全木集材が基本的な集材システ ムとなるが、こうした現場では、一箇所の土場において造材作業を行うため、末木・枝条な どの林地残材が大量に発生・集積する。国内ではこれが大雨や台風等により河川へ流出し、 災害を発生させたりダムへの流入が生じるという課題も生まれつつある。 これらの林地残材を利用するためには、用材(丸太)と同じように山から収集し、バイオ マスプラント等の施設まで輸送する必要がある。しかし、用材に比べてかさばる末木・枝条 等のバイオマスを用材と同じように収集・運搬すれば、用材よりもコスト高となってしまう。 また、これまでバイオマス収集・運搬に用いられてきた作業システムは、用材とは形質が大 きく異なる林地残材を取り扱うには効率が悪く、低コスト化を阻害する大きな要因となって いる。森林に広く・薄く存在しているバイオマスの収集・運搬コストは、採算性の面で非常 に厳しい状況にあり、ニーズが高まりつつあるにも関わらず供給体制の整備が進まない状況 にある。 林業系木質バイオマスは、末木、枝条、曲がり材、根元部等、形状が多様である。輸送に 際してはそれぞれの特性に見合った、最も費用対効果の高い方法を選択することが求められ る。図表 2-13 に示すように、末木枝条や大枝等の木質部位はかさばるため、後述するチッ プ化等の方法で輸送時の容積を減らすことが必要である。これに対して、丸太の場合はもと より密度が高いため、チップ化するとかえって容積が増してしまい輸送時の効率が低下する ことになる。
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図表 2-13 森林系バイオマス資源の輸送に係るイメージ図 資料:A. Timperi” 1st. Nordic - Japan Forum” Nagano(2000)
以下で、運搬時の能率を上げるために行われる代表的な前処理である、破砕(チップ化) と結束(バンドル化)について述べる。 (ア) 破砕(チップ化) 容積を減少させる減容化ならびに燃料化において最も一般的な方法である。チップは比較 的容易に製造が可能であり、製造コストが低いという長所を持っている。①森林系木質バイ オマス(間伐材・林地残材の場合)だけでなく、②製材工場等残材、③建設廃材、の場合でも 適宜行なわれる。ただし、チップがこのように様々な場所から発生する原材料をもとに製造 されるため、流通ルートは込み入っており不安定である。また、チップは製紙用・ボード用・ 燃料用等に用いられるが、それぞれの用途に応じて求められる規格(サイズ等)が異なってく ることにも注意が必要である。燃料用として用いる際にも、含水率、形状等の品質が不均一 で利用機器が複雑になるため、燃焼装置等が大型化し、小型の燃焼装置ではチップを利用で きないという課題も存在する。 (イ)結束(バンドル化) 林業系木質バイオマスのうち、枝葉については非常にかさばるため、以前は林地でのチ ップ化が前提であったが、ここ最近の技術開発によって、結束(バンドル化)という解決法 も海外では実現している。結束は、特殊な機械(バンドリングマシン)が必要となる反面、 輸送がチップ運搬専用車に限定されることなく、一般の木材運搬トラックを汎用的に活用 できる。かつ容積密度が高いため輸送コストを低減できる。また、バンドル化された枝葉 は土場などの屋外にそのままの状態での保管が可能であり、チップのように含水率の管理 枝条 梢端 チップ 丸太
11 に気を使うこともないため、チップに比べて保管コストがかからない。 ただし、バンドル化装置の導入は、利用先へのチップ化装置の導入が前提であり、バン ドル化装置の稼働率を高い状態に保てるだけの需要が不可欠となる。日本国内においても 林業系木質バイオマスを収集するための機械として小型のバンドリングマシンが開発され ているがコスト高等の要因から実用化には至っていない。現状では既存の林業機械(用材 生産のための機械)を流用しながら収集・運搬システムを模索している状態である。また、 急峻な地形の多いわが国では、比較的平坦な北欧諸国のように森林内に容易に機械が進入 することができず、少数が広く散在する林地残材だけを収集する機械作業システムは採算 性の面で非常に厳しい。このような面から、ハンドル化による枝葉の大量利用のためには 需要環境の整備が重要であり、どこでも成立可能とはいえない。 図表 2-14 バンドリング・マシンによる枝葉の収集 図表 2-15 用材とバンドル 資料:A. Timperi” 1st. Nordic - Japan Forum” Nagano 2000 年
図表 2-16 北欧で稼働中のバンドリング・マシン 図表 2-17 日本製の小型バンドリング・マシン 資料:平成19 年度 独立行政法人 森林総合研究所 公開講演会 講演要旨集
林業バイオマスの収集・運搬の低コスト化 陣川 雅樹(林業工学研究領域 チーム長)
なお、バンドリングマシンの価格(※)は、Timberjack 社(機種名:1490D Slash Bundler) のもので450,000 ドル(日本円にして約 4,000 万円)である。
※資料:The Real Cost of Extracting Logging Residue Study 2005 年
12 ② 製材工場等残材の場合 森林から切り出された丸太は、その後、製材(あるいは合板等に)されて建材となる。この 製材の過程からは、樹皮やおが粉、かんな屑、背板などの副産物が発生する。これらの副産 物は機械的な加工をされただけで、化学処理される前の段階のものが多いため、バイオマス 以外の不純物の混入が少ない。ゆえに、燃料のみならずマテリアルとしても利用されている。 対象となるバイオマスは、樹皮ならびに木部(おが粉、かんな屑、背板)である。樹皮のう ち、スギ・ヒノキなどの場合は繊維が長いため、燃料としての利用に際しては破砕が必須で あるが、技術的に簡単ではなくコストもかかる。一方、おが粉やかんな屑は既に粉砕されて いるため、優良資源として食菌類の人工培地や畜舎の敷料として利用されることが多い。背 板についてはカッター式のチッパーで粉砕され、紙パルプ等の原料として利用されることが 多い。 ③ 建設廃材の場合 住宅の新築現場から発生する廃材や木造住宅の解体後に発生する解体材も、木質バイオマ スの一種である。これらは産業廃棄物であるが、適切に処理すれば燃料としての利用価値が ある。近年、廃棄物処理の適正化と燃料費の削減を目的に、これら廃棄物系のバイオマスは 鉄鋼・紙パルプ・セメント等の産業分野で積極的に利用されている。 利用の前処理としては、大別して3 種類が挙げられる。第一に、過去に家屋の土台等に防 腐剤として使用されてきたCCA(クロム、銅、ヒ素の混合薬剤)が含まれる場合があることか ら、これらの除去が必要である。第二に釘などの金物を取り除いた上での破砕、第三に分別( 磁選、風選)が必要となる。乾燥は必要ない。 (2) 乾燥段階 チップ化されたバイオマス燃料は、発生源によって含水率に違いがある。一般的に山に近 い個所から発生したものほど含水率が高い。すなわち、 間伐材・林地残材>製材工場等残材>建設廃材・解体材 の順で含水率は低くなる傾向にあり、湿量基準(ウエットベース※)でいうと最大 65%から最 小15%程度まで幅がある。 ※ 含水率の表し方には、乾量基準含水率(ドライベース)、湿量基準含水率(ウエットベース)の 2 通りが存 在する。両者の計算方法については、巻末の資料編 (資-P4)を参照。なお、本調査での含水率の表示 は、原則として湿量基準(ウエットベース)で行うこととする。 一方、受け入れ側においては、燃焼装置の種類や規模、システムによって含水率の許容範 囲に違いがある。一般に装置の出力が大型化すれば受け入れ可能な含水率も高くなる。海外 製の高含水率の燃料に対応したボイラーでは、湿量基準含水率65%の燃料も受け入れ可能と いわれるが、通常は最大でも 50~60%、希望としては 30%台である。含水率は燃料の発熱 量に関係し、ボイラー効率に影響するため、可能な限り低くするのが望ましい。 事前乾燥の必要があるのは、製材所から出る樹皮と林地残材、間伐材である。これまでの
13 ところ、林地残材や間伐材の燃料としての利用は限定的であり、乾燥の事例は極めて少ない。 また、樹皮については一部の製材所でボイラーの廃熱を利用した乾燥システムが導入されて いるが、画期的なシステムとはいえない。このことから、我が国において、高含水率のバイ オマス燃料の乾燥については課題の一つである。 (3) 貯蔵段階 バイオマスのチップ化は、微生物の分解による劣化やカビの発生、あるいは長期保管によ る発熱と発火を避けるためになるべく利用直前に行うことが望ましい。ただし、チップ工場 のチップ生産量は年間を通して変動が小さいのに対して、需要側の発電所や工場においては 天候や景気の動向によって施設の稼働状況が大きく変化することから、チップの消費量が大 きく変動することがある。そのため、燃料生産と需要のギャップを緩和する目的から貯蔵が 必要となる場合がある。貯蔵においては、降雨による含水率の上昇を避けるために屋根付の 貯蔵庫が理想的であるが、巨大な貯蔵庫は建設費や維持管理費が必要となる。 図表 2-18 屋外のチップ保管風景 図表 2-19 巨大なチップサイロ (4) 前処理のまとめ 以上、各段階における前処理の概要と留意事項をまとめると、以下のようになる。 図表 2-20 前処理方法のまとめ (1) 加工及び運搬 (2)貯蔵 (3)乾燥 備 考 林業系木質 バイオマス 林地残材の場合 可能な限り減容化が必要 粉砕前の状態が良い (チップ化は不適) 大いに必要 あり 枝葉は林内に残すこと が望ましいという意見 もある 製材工場 等残材 チップはそのまま運搬 樹皮や背板等は粉砕が必要 屋根のある場所にて の保管が望ましい さほど必要 ない 既に燃料以外の用途と しても多く利用 建設廃材 発生現場からそのまま運搬 屋根のある場所にて の保管が望ましい 必要ない 有害重金属の混じった 廃材や釘などの金物を 除外することが必要
14 2.2.2 チップ燃料 木質チップ燃料は、木材を破砕したものであり、ボイラーでの直接燃焼や、ガス化コージェ ネレーションシステムにおける燃料として利用される。 木質チップ燃料はチッパー形式によって、長所·短所があるため、総合的に検討して選択する 必要がある。 (1) 木質チップの特性 チップ化を行うと、根や幹は容積が増え、枝葉は大きく減少する。したがって、発生した 伐採材の根、幹、枝葉の割合により減容化の程度が決定される。 チップ化の場所については、発生場所(間伐・林道工事等の伐採現場、家屋の解体現場等) で行う場合と、一度収集した上で工場でチップ化を行う場合の2 通りがある。チップ化の場 所としてどちらを選択するかは、チップ化する木材の発生量、その規模に応じた能力の破砕 機の輸送及び稼動コスト、材もしくはチップの輸送効率とコスト等を勘案して決定される。 木質チップは破砕の仕方によって形状が異なる。また、木質チップは形状によって長所· 短所があり、利用するボイラーにあった燃料を選択する必要がある。以下で、チップボイラ ーに対応するチップが製造可能な破砕機やチッパーについて整理を行う。 木質チップの形状は、「破砕機」によるものと「チッパー」によるものの 2 タイプに分類 される。それぞれの特徴を以下に示す。燃料利用に当たっては、実際に供給されるチップの 特性を事前に把握し、適切な燃焼機器を選択する必要がある。 図表 2-21 チップの種類と特徴 破砕チップ (破砕機による) 切削チップ (チッパーによる) 形態 細長い繊維状 薄い方形状 製造方法 【ハンマーミル方式】 ハンマーの打撃による衝撃力で破砕する。 【カッターミル方式】 受刃と切断刃によるせん断力で破砕する。 カッターナイフまたはカッターディスクで 切削する。 機械 耐久性 カッターによる破砕は、石などの異物によ りカッターが破損するため、木材の選別が 必要となる。石などの異物混入の可能性が ある木材はハンマーミル方式が望ましい。 カッターによる破砕は、石などの異物により カッターが破損するため、木材の選別が必要 となる。 主な用途 堆肥原料、マルチング材、吹きつけ材 製紙パルプ用、木質ボード用原料 燃焼機器 の利用性 燃料供給装置でチップがブリッジを形成し やすいため、供給装置に工夫を要する。 破砕チップに比較して、取扱いが比較的に容 易である。
15 (2) 特徴(○メリット、●デメリット) 木質チップの特徴を以下に示す。 図表 2-22 木質チップ燃料の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○ 比較的容易に製造が可能である。 ○ 質の良いチップは、製紙用原料として用 いることが可能である。 ● 含水率が一定でなく、高含水率のものもある。 ● 利用機器が複雑になるため、小さな機器では 利用できない。 ● チップの形態で長期間露天に晒された場合、 分解や発酵熱による発火の恐れもあるため、保 管が難しくなる。 (3) 木質チップ利用機器 木質チップの利用機器としては、代表例としてチップボイラーが挙げられる。一般にボイラ ーとは、燃料を燃焼して容器内の水を加熱し蒸気又は温水を作る装置のことで、温水を作るも のを温水ボイラー、蒸気を作るものを蒸気ボイラーという。近年、環境意識の高まりにより従 来使用していた化石燃料ボイラー(A 重油、灯油等を消費するボイラー)を切り替える動きが進 んでおり、それに伴いチップボイラーの開発や販売が進んでいる。 チップボイラーは、木質チップを直接燃焼させることにより、温水、熱水、蒸気を使用目的 に応じて取り出すことができる。温浴施設や温水プールなど中規模~大規模施設で使用されて いる。ペレットボイラーに比べて、燃料となるチップは安価であるが、ボイラー本体が大型か つ高価になる。現在、国内で利用可能なチップボイラーは、含水率WB50%といった高含水率 (伐採直後の丸太から製造した、いわゆる「生チップ」)に対応可能なものが増加している。
16 図表 2-23 高含水率チップに対応したチップボイラーの構造例 ※チップが左から右に送られ、最下段で乾燥しながら燃焼、中段でガス化燃焼、上段で熱交換する構造 資料:岩手県林業技術センター資料 チップボイラーの概要 図表 2-24 岩手県林業技術センターに導入された、チップボイラーへのチップ投入の様子 ※チップサイロ(貯蔵庫:手前)からチップボイラー(奥)へのチップ供給の流れを模式図で示したもの。 出力は600kW(約 50 万 kcal/h)であり、最低出力を小さくするために 200kW と 400kW の2基のボイラーに より構成されている(600kW1基の場合、最低出力が 300kW であるのに対して 100kW まで対応可能) 価格は47,880 千円 (輸入経費及び調整、設置、ボイラー室内配管設備工事を含む。なお、このほかに別途ボイ ラー室建築工事費 21,367 千円) 資料:岩手県林業技術センター資料 チップボイラーの概要 国内で入手可能なチップボイラーの代表例は、資料編(資-P22)にメーカー毎に示した。また、 国内におけるチップボイラーの導入事例についても、資料編(資-P40)に示した。
17 2.2.3 木質ペレット燃料 木質ペレット燃料は、おが粉や樹皮をペレット状に圧縮、成型した木質系固形燃料の一種で ある。木質ペレット燃料は、木質系の素材のみで成型が可能であり、接合剤等の添加物を加え る必要がない。従って、木質バイオマスをピュアなままでエネルギー利用することが可能であ る。同じ木質固形燃料である薪や炭あるいはチップ燃料に比較して、その形状からハンドリン グ性が向上することが最大の利点となっている。ペレットの大きさは直径6~8mm 程度、長さ 5~25mm 程度が標準であるが、日本国内においては現在も明確な基準は確立されていない。 図表 2-25 様々なサイズの木質ペレット (1) 木質ペレット製造原理 おが粉又は樹皮を圧縮することにより高温・高圧化し、木材の繊維細胞を破壊すると同時に、 成分中のリグニン・糖分・ペクチン等が可塑化浸出し、これが接合剤として機能し成型された ものがペレットになる。成型に当たっては、粉砕・乾燥させた原料を成型機に投入し、冷却後 に貯蔵、出荷(場合によっては袋詰)する。成型の方式は、ダイ(ペレットの形を作る部分)にロー ラーを圧着させて押し出す方式で、ダイの形状が平ら(フラット)なものと曲面(リング)のものが ある。前者のフラット・ダイは成型温度が低く、小型装置に採用される。後者のリング・ダイ は大型化でき、成型温度が高い。 図表 2-26 フラット・ダイ 図表 2-27 リング・ダイ式成形機 資料:富士鋼業株式会社ホームページ 資料:Sprout-Matador 社ホームページ
18 (2) 木質ペレット製造方法 ペレット燃料の製造システムは、以下のようになっている。 図表 2-28 ペレット製造工程 No. ペレット製造工程 ① 原料をコンベヤで破砕機へと投入する。 ② 破砕された原料は、定量供給フィーダーにより一定量が切り出され、破砕した原料の含水率 を低くするため乾燥機に投入され乾燥される。 ※この乾燥用の熱源は化石燃料ではなく樹皮や端材、ペレットの未成型物を利用することが 運転費縮小、二酸化炭素排出削減の観点から望ましい。 ③ 破砕・乾燥された木質原料をおが粉状に粉砕する。その後、未粉砕物をふるいにより選別し、粉砕物は一時貯留槽に貯留される。未粉砕物は再び粉砕機に戻される。 ④ 一時貯留槽からは、定量供給フィーダーによりペレタイザー(成型機)に一定量が投入され、 直径6 ミリ、長さ 15 ミリ程度の円筒状のペレットを製造する。 ⑤ ペレタイザーで成形された木質ペレットは、ふるいにより未成形物と分離する。その際、未 成型物(ダスト)は再び一時貯留槽にもどされる。 ⑥ 空気冷却の後、ペレットが製品貯留槽に搬送され、製品として出荷される。 図表 2-29 ペレット製造フロー ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 製品 破砕機 ふるい 粉砕機 定量供給 フィーダー ペレタイザー (成型機) 定量供給 フィーダー 一時貯留槽 製品貯留槽 冷却装置(空冷) ふるい 木質資源 原料 未粉砕物 未成形物 木屑、ペレット 焚き燃焼炉 温風 乾燥機
19 (3) 特徴(○メリット、●デメリット) 木質ペレット燃料の特徴を以下に示す。 図表 2-30 木質ペレット燃料の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○取り扱いが容易であり、制御が容易であるた め、火力の調整が容易にできる。 ○小型機器でも燃焼効率が向上している。 ○煙が少ない。 ○エネルギー密度が比較的高い。 ○バーナーで使用可能であるため、利用用途が 多様化し、応用が広くできる。 ●原材料を粉砕・乾燥させる前処理が必要で ある。 ●製造工程がやや複雑である。 ●製造コストが比較的高く、手間がかかる。 (4) 木質ペレット利用機器 木質ペレットの利用機器としては、ペレットボイラー及びペレットストーブが挙げられる。 ① ペレットボイラー ペレットボイラーとは、ペレットを直接燃焼させることにより使用目的別に温水、熱水、蒸 気を取り出すことができる熱交換器である。含水率が一定のペレットに対応したボイラーであ り、燃焼室の構造はチップボイラーと比較してシンプルになっている。また、チップボイラー に比べて小規模な施設にも導入可能であり、温浴施設や温水プール、老人福祉施設等での利用 に加え近年では農業用ハウスでの利用も進んでいる。ペレットボイラーの概要図を以下に記す。 図表 2-31 家庭用ペレットボイラー外観 図表 2-32 業務用ペレットボイラー 概要図 資料:有限会社河西提供資料 資料:二光エンジニアリング㈱HP
20 図表 2-33 農業用ハウスにおける温風ペレットボイラーの加温模式図 資料:ネポン株式会社カタログ 国内で入手可能なペレットボイラーの代表例は、資料編(資-P28)にメーカー毎に示した。ま た、国内におけるペレットボイラーの導入事例についても、資料編(資-P43)に示した。 ② ペレットストーブ ペレットストーブとは、ペレットを燃料とする一般家庭でも使用できるストーブで、薪ストー ブや暖炉のような炎と暖かさを楽しむことができる。燃料の自動供給のために、ほとんどのペレ ットストーブは電気を使用しており、スイッチを押すだけで自動的に着火するシステムになって いる。電気を使用しないタイプのものは、マッチや新聞紙等を用いて手動で着火させる。 図表 2-34 ペレットストーブの構造 図表 2-35 ペレットストーブの使用例
21 以下にペレットストーブの特徴についてまとめた。 図表 2-36 ペレットストーブの特徴 項 目 特 徴 燃料の種類 機種によって木部ペレットとバークペレットを使い分ける必要がある。樹皮を 原料としたバークペレットは燃焼灰の量が多めで、灰の性状もクリンカーと呼 ばれる灰が固形物を形成するため、木部ペレット対応機種では利用できない。 国産ペレットストーブにはバークペレット対応機種があるが、海外製のものは、 ほとんどバークペレットには対応できない。 燃料供給 燃料室からペレットを自動的に少量ずつ燃焼室に供給。 着火 一般的に電熱ヒーターによって自動着火になっている。 (ただし、電気を使わないペレットストーブは自動着火が不可) 燃焼の仕方 ペレットの含水率が低いこととファン等で空気を供給されながら燃焼するため 完全燃焼できる。このため、通常、燃焼中は煙が出ず、燃焼灰も燃料の0.5~5% と少ない。 燃焼ガスの排気方法 強制排気筒または煙突によって屋外に排気。 煙は着火時の 2~3 分間発生するが、通常燃焼中は煙が出ない。 火力調整 可能(ペレットの供給量を調整する)。 暖房方式 ・対流式(温風ファンによる強制対流式や自然対流式) ・輻射式(機種によって違う) 燃料消費量 1kg/h 程度のものが多い。 日常のメンテナンス 灰の掃除(1 日 1 回~週 1 回)適宜ガラス面の清掃が必要。 従来の薪ストーブとの違いは、燃料室に貯蔵されたペレットを少量ずつ自動的に燃焼室に供給 するシステムを採用することで、燃料補給の頻度を極端に低減した点にある。また、スイッチを 押すだけで自動的に着火するシステムになっており、灯油ストーブと同様に手軽に使えるといっ た利点がある。 ただし、ストーブの設置・施工については、炉台や煙突等部材の他に壁への煙突工事が必要と なる。これらは本体以上に費用を要することも珍しくない。工事費用は住宅の構造やストーブの 設置場所・方法によって異なる。また、部材費についても材質、煙突径や長さ、曲りの数、耐熱 壁の数に大きく左右される。 国内で入手可能なペレットストーブの代表例は、資料編(資-P50)に示した。
22 (5) ペレット製造の動向 木質ペレット工場は国内で現在70 箇所以上が稼働し、年間生産量も約 50,000t に増加して いると推計されている。また、これまで木質ペレットは、ストーブ燃料としての需要が主であ ったが、原油価格の変動の影響から、施設の給湯・冷暖房、農業用ハウスなど、通年利用に向 けた取り組みが各地で進みつつある。 九州で稼働中・計画中の主なペレット工場は、以下のようになっている(平成22 年 3 月現在)。 図表 2-37 九州で稼働中もしくは稼働予定の主なペレット工場 製造施設名称 事業主体 製造場所 製造能力 製造実績 種類 価格 フォレストエナジー 門川 ㈱フォレストエナジー 門川 宮崎県東臼 杵郡門川町 能力 2.5 万 t/年 実績 2,500t/年 バーク(樹皮) ・全木 ― フォレストエナジー 日田 ㈱フォレストエナジー 日田 大分県 日田市 能力 2.0 万 t/年 実績 - バーク (樹皮) ― 株式会社三共 ㈱三共 宮崎県 小林市 能力 1,440t/年 H21 年稼働開始 解体材・間伐 材・支障木 を混合想定 ― 河津造園株式会社 河津造園㈱ 熊本県上益 城郡益城町 能力 1,500t/年 H22 年稼働開始 全木(剪定 枝・支障木) ― 宮崎ウッドペレット (計画中) J-POWER (電源開発)、 宮崎県森連 宮崎県 小林市 能力 2.5 万 t/年 H22 年建設予定 全木(間伐材) ― 図表 2-38 フォレストエナジー門川 バークペレット 図表 2-39 ㈱三共ペレット製造プラント
23 2.2.4 薪 薪は、伐採された木の幹や枝を使いやすい大きさに切断し、そのままの状態のものを乾燥さ せるなどして燃料として使用するものである。製材や木材加工の時に出る端材を、そのまま燃 料として利用する場合も薪という。家庭用の給湯ボイラーやストーブ・焚き火など、直接燃焼 する際に利用される。 図表 2-40 薪のストックヤードと積込作業 図表 2-41 住宅に宅配された薪 資料:株式会社DLD 撮影写真 (1) 特徴(○メリット、●デメリット) 薪の特徴を以下に示す。 図表 2-42 薪の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○最も容易に製造が可能である。 ○加工コストはほとんどかからない。 ●大きくて重く、運搬に適さないため、経済性 を重視する場合には森林に近い場所での利用 に限定される。 ●形状も一定ではないため、燃料の自動供給に は不向きである。 ●燃焼効率を上げることや、火力の調整が困難 である。 ●煙が多く排出される。 (2) 薪の利用機器 薪の利用機器としては、薪ボイラーや薪ストーブが挙げられる。 薪はチップに比べて燃料のサイズが大きいため、薪を燃料として利用する場合、自動供給が 困難になり、基本的には人力による供給となる。ただし、薪はチップ製造のような大規模な設 備を必要としないため、身近に薪が手に入る環境においては、利用可能性が高いと考えられる。
24 ① 薪ボイラー 薪ボイラーとは、薪を直接燃焼させることにより、使用目的別に温水、蒸気を取り出すこと ができる熱交換器である。含水率や形状が様々である薪に対応するため、投入口が広く燃焼室 も大きなものが多い。その代わりにボイラー本体は比較的大きなサイズとなり、また薪の自動 投入が技術的に困難であることから、一定時間毎に作業員が人力で薪を投入する必要がある。 この燃料供給の面で手間がかかることから、自動供給が可能であるチップボイラーやペレット ボイラーに比べると大規模施設への導入は困難である。また、温度調節も基本的には人力で行 うため、熱需要の変化に即座に対応することは困難である。薪ボイラーの設置先としては、家 庭用の給湯用ボイラー、農業用ハウス、温浴施設等の導入事例がある。 図表 2-43「秋川渓谷瀬音の湯」の薪ボイラー(温泉加温) 図表 2-44 飯南町役場頓原庁舎(施設暖房) チップボイラーと比較した場合、薪は無償か廉価で入手できると考えられるため、チップ製 造コストの分、燃料代はチップボイラー導入より安価となるが、自動供給ができないため、人 件費が必要となる。
25 ② 薪ストーブ 基本的に薪ストーブの炉は密閉空間であり、温度の調節は通気口の開閉によって空気の量 を変化させ調節する。現代の薪ストーブは燃焼効率を高めるために様々な工夫を凝らしてい るものも多く市販されている。 薪ストーブは鋳鉄や鋼板で製造されているものが多い。鋳鉄は温まりにくいものの冷めに くく、鋼板は温まりやすいものの冷めやすいという特徴がある。鋼板製は加工が容易なため、 デザイン性を重視したタイプが多く、鋳鉄製は輻射熱や対流による暖房性能の高いものが多 くなっている。 薪ストーブの特徴を、図表 2-45 にまとめた。 図表 2-45 薪ストーブの特徴 項 目 特 徴 燃料の種類 燃料の薪は割って水分を乾燥させることで、燃焼効率が上昇する。樹 種は針葉樹、広葉樹とも薪として利用可能であるが、広葉樹の方が比 重が大きくヤニも少ないため薪に向いている。他方、針葉樹はよく燃 えるが、火持ちが悪く、ヤニが多く発生するため煙突が汚れやすい。 燃料供給 炉の形状に応じて薪を切断し、燃焼状態に合わせ、適宜、人力によっ て薪を投入する。 着火 焚きつけとなる細い薪に火をつけ、徐々に太い薪へ火をつける。市販 されている着火剤を利用すると便利である。購入時やシーズン初めに は、慣らし運転が必要であり、ストーブトップの温度を200 度程度 に保ったまま3 時間程度燃やす操作を 2・3 回行う。 燃焼の仕方 薪ストーブの構造は、吸気口から燃焼用の空気を取り込み、薪を燃や し、燃焼時に発生する煙は煙突から排出するという単純なものになっ ている。空気の量は一般的には吸気口で調節を行うが、燃焼効率を上 昇させるために、送風ファンではなく2 次燃焼を行うものがある。 これには、クリーンバーン方式と触媒式があり、クリーンバーン式は、 未燃焼ガス(低い温度の木炭ガス)に、煙突火室上部にあるパイプ等 によって暖められた高温の空気を吹きかけることで、煙に含まれる微 粒子やCO やタールなどの不純物を燃焼させる。この方式はメンテナ ンスや扱いが簡単である。一方、触媒式は、未燃焼ガスを2 次燃焼 の中でコンバスターと呼ばれる触媒と反応させ2 次燃焼を行う。こ の方式はメンテナンスが必要で、触媒は3~5 年に一度交換する必要 がある。触媒式はクリーンバーン式に比較して維持管理費では不利に なるが、燃焼効率が良く燃料費では有利である。 燃焼ガスの排気方法 煙突によって屋外に排気。煙は薪がおきになるまでは、持続して発生 し、薪の炭化の進行によって、煙の量が少なくなる。 火力調整 可(通気口や薪の投入量によって調節を行う) 暖房方式 輻射式・対流式・輻射/対流式・開放式。 日常の メンテナンス 煙突と本体の定期的な掃除が必要。本体は、火室内や本体にひび割 れがないかどうかをチェックし、各ストーブ各所の煤や灰の除去を行 い、不完全燃焼を防ぐ。また、煙突に煤やタールが詰まった状態での 使用は煙道火災を招くため、年に一度は掃除を行うことが望ましい。 薪ストーブの暖房方式別の商品紹介については、資料編(資-P51)に示す。
26 2.2.5 ブリケット燃料 ブリケットは、薪状の木質成型燃料の総称であり、日本ではオガライトの名称で知られて いる。従来は、薪の代替燃料として、家庭において使われていたが、家庭での薪利用が減っ た近年は、工場数も減り、普及が難しくなっている。 (1) 木質ブリケット製造原理 おが粉を原料とした成型燃料で、スギのチップやプレーナー屑を、ブリケットマシーンを 用いて圧縮し角形や円筒形に固形化したものがブリケットとなる。 ペレットが加熱圧縮を行うのに対し、ブリケットは圧縮のみで固形化を行う。 図表 2-46 ブリケット 図表 2-47 ルーフ社製木屑固形専用ブリケットマシン RUF400 型 資料:住金物産マテックス株式会社ホームページ http://www.sbmatex.co.jp/asshuku/wood/index.html (2) 特徴(○メリット、●デメリット) ブリケット燃料の特徴を以下に示す。 図表 2-48 ブリケット燃料の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○含水率・形状を一定にできるため、薪より も取扱いや制御が容易。 ○煙が多く出ない。 ○薪の代替として、家庭で利用することがで きる。 ●ボイラーへの投入時は、破砕する必要があ る。 ●長期間保存したときに、空気中の水分を吸収 して膨張することがある。
27 (3) ブリケットボイラーの導入事例 ブリケットの利用機器としては、ブリケットを燃焼させるボイラーによる給湯・暖房や、ブ リケットを燃焼させる薪兼用ストーブといった事例が挙げられる。 図表 2-49 国内におけるブリケットボイラー導入事例 施設名 実施主体等 規模 概要 ウエストヒルズ (マンション: 1LDK×27 戸) 場所:北海道 美唄市 主体:民間 年間消費量 50 トン 2006 年 3 月に導入された、日本初のブリケットボイラ ーによるマンションの集中暖房システム。ボイラーで沸 かした湯を、熱交換器を介して各室に設置したファンコ ンベクターへ送る。 図表 2-50 ブリケットボイラー(左)、ブリケットが燃焼中の様子(中)、導入したマンション(右) 資料:株式会社 大村工務店 HP(ハーモニーライフ) http://www.harmony-life.com/baio-boiler.htm
28 2.2.6 ガス化コージェネレーション 木質バイオマスの発電方式のうち主流なものとして、「ボイラー・蒸気ガスタービン方式」と、 「ガス化・エンジン(ガスタービン)方式」の2 つが挙げられる。このうち、本調査では小型 分散型の地産地消型エネルギー利活用モデルに適した後者について詳細を記載する。 ガス化とは、酸素の不足した条件で加熱することにより、熱分解と化学反応を起こし、可燃 性ガスを得る技術である。ガス化コージェネレーションは、ガス化を行うことで、電気と熱を 同時に供給するシステムであり、発電効率も高いことが知られている。 ガス化発電は、直接燃焼方式よりも設備が複雑になることや、タール分の除去などの技術的 な問題があるものの、高効率な発電が可能であるため、小規模化が進むことによって木質バイ オマスの利用拡大に大きく貢献する可能性もあり、注目を集めている。 (1) 製造原理 ガス化は、ガス化材として空気、酸素、水蒸気、二酸化炭素などが使われ、可燃性ガスとし て水素、一酸化炭素、メタンなどが得られるものである。バイオマスのガス化は、大まかに熱 分解・燃焼・還元の過程に分けられ、熱分解過程では、固体であるバイオマスが熱によって気 体・液体・固体に分解する。燃焼過程では、熱分解過程で生じた気体・液体・固体の一部が燃 焼または不完全燃焼することで熱を生成する。 図表 2-51 ガス化エンジン発電システムの仕組み (2) 特徴(○メリット、●デメリット)。 ガス化コージェネレーションの特徴を以下に示す。 図表 2-52 ガス化コージェネレーションの特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○バイオマスの直接燃焼に比べ発電効率が高く なる。 ○バイオマスの直接燃焼に比べて出力の小規 模化が可能。 ●直接燃焼による熱利用より複雑な施設が必 要。 ●タールの除去など技術的な問題がある。 ガス化炉 燃料 エンジン(ガスタービン) 発電機 木ガス 電力 ガス 清浄器 熱利用 熱交換器 排熱
29 (3) ガス化コージェネレーション技術 ガス化発電システムの適正規模は、ごく小規模のものか、あるいは高度に技術を集約した大 規模なもののどちらかに分かれると考えられている。現在開発されている木質バイオマスを燃 料としたガス化エンジン発電システムは、いずれも小規模なものである。 国内で販売されている内で実施されているガス化エンジン発電はまだわずかで(図表 2-53)、 実証試験段階から実用化に向かっているところである。商業ベースで販売されているガス化エ ンジン発電システムには、以下のようなものがある。 図表 2-53 国内で販売されているガス化エンジン発電システム 取扱会社 中外炉工業(株) 川崎重工業(株) 月島機械(株) キャタピラージャパン(株) 処理量 400kg/h
(16%-wet) (5.9%-wet) 90kg/h (50%-wet) 417kg/h (15%-wet) 40kg/h 発電出力 202kW 80kW 100~350kW 28kW 価格 380(百万円) 80(百万円) 200(百万円) 45(百万円) 特徴 外熱式ロータリー キルン、無酸素乾 留、ガス化温度を 任意に設定可能。 ダウンドラフト、 ガスはクーリングタ ワーで冷却 ダウンドラフト、 国内商用実績1 基、 ガスフィルターに 特徴あり アップドラフト、 ディーゼルエンジンで軽 油と混焼による安定運転 タール 除去方式 別炉で酸素吹き込 み高温改質 ダウンドラフト+ス クラバー+おがくず フィルター+セイフ ティフィルター ダウンドラフト+ フィルター 改質装置で高温空気・水蒸 気改質
技術導入 独自開発 CCE 社(南アフリカ)EXUS ENERGY 社 (北アイルランド) マイクロエナジー社(日 本)、東京工業大学の共同 開発 図表 2-54 中外炉工業(株)バイオマスガス化コージェネレーションシステム 図表 2-55 川崎重工業(株) 木質バイオマス流動層ガス化・ガスタービン発電設備
30 図表 2-56 月島機械(株) 木質バイオマスガス化システムプロセスフロー (4) 導入事例 図表 2-57 ガス化コージェネレーション導入事例 施設名 場所 規模 概要 ガス化発電 システム 山口県 岩国市 電力:176kW 電力は、131kW を製材工場の製材動力に使用。残りは設 備内自己消費。ガス改質塔から出た生成ガスは、熱交換器 により燃焼空気の余熱として利用。熱風炉の排ガスとエン ジン排ガスは廃熱ボイラーによって蒸気を回収。ガスエン ジンからは85℃の温水を回収。 バイオマス 発電所 埼玉県 秩父市 電力:115kW 間伐材チップによるガス化発電の資源循環型エネルギー システム。電力は吉田元気村に供給し、発生した熱を利用 して、足湯施設も造っている。 図表 2-58 ガス化発電システム(山口県岩国市) 図表 2-59 バイオマス発電所(埼玉県秩父市)
31 2.2.7 熱分解 FT 合成燃料化 一般的に、バイオマスを熱分解して発生するガス(CO、H2)からFischer-Tropsch 合成法(FT 法)により脂肪族炭化水素を生産し、適宜分解、異性化して製造するものである。これにより得 られるFT 合成燃料を BTL(Biomass To Liquids)と言う。 BTL は、原料が化石資源由来である GTL(Gas To Liquids)に比べて、CO2削減効果が見込 まれるため、最近欧米を中心に技術開発が進められている。FT 技術を構成する技術分野とし て、触媒開発、リアクター開発、プラント開発が挙げられる。 (1) 製造原理 バイオマスを常圧もしくは加圧条件で空気もしくは酸素、水蒸気等の存在下での熱分解(数 百℃以上)によって合成ガスを得る。 ガス化反応式 CxHyOz+O2+H2O→CO+CO2+H2+CaHb FT 合成反応式 nCO+2nH2→(CH2)n+nH2O 副生するタールやすす、チャーの低減化、後処理がプロセス設計や運転コスト、運転管理に 大きく影響する。 図表 2-60 FT 合成燃料製造プロセス (2) 特徴(○メリット、●デメリット) 熱分解 FT 合成燃料化の特徴を以下に示す。 図表 2-61 熱分解 FT 合成燃料化の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○軽油代替・混合用としての輸送用燃料利用の 他、熱利用としては灯油・重油代替又は重油 との混合利用が可能である。 ○軽油と比べて高セタン価(速い着火性)・低硫 黄・臭いの少ない燃料である。 ○種類を問わず、多様なバイオマスの利用が可 能である。 ●まだ技術開発段階のため、導入には製造技術 を確立した上で、原料となるバイオマス収集 や選別、前処理を含めた効率的な燃料生産シ ステムの構築が必要である。 ●既販車で利用する場合の安全性や排出ガス への影響についても検討が必要である。
32 2.2.8 スターリングエンジン スターリングエンジンは、熱による気体の膨張・収縮の作用を運動エネルギーに変換してま わすエンジンである。外燃機関であるために熱源を選ばず、どんな素材からも作れるため、「環 境にやさしい夢のエンジン」と言われている。 (1) 原理 空気は、温めると膨張し、冷やすと収縮する。スターリングエンジンは、この空気の性質を 利用して稼働する。 作業原理は、4 行程(加熱・膨張・冷却・圧縮)によって成り立っている。まず、密閉され た空間を加熱することで空気の膨張が起き、ピストンを押し出す。膨張が終わったら、その空 間を冷却することで、今度は空気が収縮し、ピストンを引き込む。この動きを連続して行うこ とによって、エンジンを回転させる。 【資料:「スターリングエンジン製作マニュアル」松尾政弘編】 図表 2-62 スターリングエンジンの仕組み (2) 特徴 スターリングエンジンの特徴を以下に示す。 図表 2-63 スターリングエンジンの特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○熱源の自由度が高く、チップボイラーの熱を利 用することができる。 ○数kW~100kW 程度の出力範囲では、内燃機 関よりも熱効率が高くなる。 ○静粛性、排ガスの清浄性にも優れている。 ●外燃機関であるため、損失を少なくすることが 重要である。 ●デリケートなエンジンであるため、メンテナン スが重要になる。 ●実績が内燃機関に比べて乏しく、耐久性・信頼 性に劣る。
33 (3) 主なスターリングエンジン スターリングエンジンのメーカー一覧については、資料編(資-P52)に示した。 国内における、スターリングエンジンの主な導入事例を以下に示す。 図表 2-64 主なスターリングエンジンの導入事例 導入事業者名 メーカー名 概要 瀬音の湯 (東京都あきる野市) スターリング デンマーク社 地域から出る製材端材を燃焼させる木くず焚きボイラー を導入している「瀬音の湯」(P24)において、スターリン グエンジンを併設。発電出力は最大で35kW。ボイラーと 組み合わせて温浴施設への熱源(温泉加温)および電力(浴 室、売店等の電力)を供給するために利用されている。 (4) 経済性 スターリングエンジンの原理及び構造から、製造コストを内燃機関と同程度にまで下げるこ とは将来的にも困難であろうことが予想されている。主な原因は、耐熱金属材料が高価なこと とその加工が必要とされるヒーターを中心とする高温部の製造コストが占める割合が高いこと にある。さらに、他の太陽光や風力等の未利用エネルギーからの電力製造技術との比較での投 資コストは最大の難関と思われる。
イギリス(ブリティッシュ・ガスのグループ会社 Microgen Energy Limited)とオランダ のメーカーがスターリングエンジンによるマイクロCHP を開発し、実証試験を計画している。 スターリングエンジンによるコージェネレーションでは発電効率が 15%程度と低いことから、 電力需要よりも相対的に熱需要の方が大きな需要家でないと経済性は高くならないため、我が 国のコージェネレーションと異なり、ネットメータリングと呼ばれる余剰電力を販売電力と同 価格で電力会社が買い取る方式で経済性を算出している。 製造コストは国内でスターリングエンジンの普及による量産化で削減することが可能である と見込まれている。
34 2.2.9 バイオコークス 製鉄用の高炉や鋳物を作る鋳造炉などでは、国内で年間約3,000 万tの石炭コークスが利 用されている。石炭コークスの利用に当たっては、資源枯渇や輸入価格の変動リスク、CO2 排出による地球温暖化等の課題が山積しており、これを代替する燃料の開発が喫緊の課題と なっている。しかし、炉内で鉄を溶かすために必要とされる長時間の燃焼特性に加え、容易 に崩壊しない高硬度を持つ代替燃料は、これまで存在しなかった。 そこに一石を投じたのが、近畿大学の井田民男准教授によって開発された「バイオコーク ス」である。バイオコークスは、石炭コークスの代替が期待される固形燃料で、生物由来の 資源「バイオマス」を原料としている。例えば、コーヒーやお茶のかす、みかんの皮やおか らなどの食品廃棄物、籾殻などの農産系廃棄物、流木や河川敷の草、間伐材・樹皮等の木質 バイオマスなど、ありとあらゆるバイオマスが原料になる。 図表 2-65 バイオコークスの原材料と加工・利用の流れ 資料提供: 近畿大学理工学部 井田民男 准教授 バイオコークスの製造は、シリンダー状の反応機に原材料を投入した後、圧力と熱を加え て時間をかけて成型・冷却することによって行われる。バイオコークスの製造のポイントは、 圧力と温度の加え方にある。 ①「半炭化前反応」(炭化・ガス化を生じる前の現象)を駆使し、 ②「ヘミセルロース(光合成により生成される成分のひとつ)」を熱分解し、 ③「リグニン(同)」を同時に反応させる というものである。これによって、比重約1.4、最高圧縮硬度 100MPa 超という、高硬度 を実現している。乾燥させた状態の1tのバイオマス資源からは 1t のバイオコークスが製造 可能であるという画期的な技術である。実用炉での実証試験としては、2008 年に豊田自動織 機の工場においてキュポラ炉で石炭コークスの一部を茶かすから製造したバイオコークスで 代替する試験が行われている。その結果、11.4%の石炭コークスの代替に成功し、溶かした 鉄の製品品質にも問題はないと判断されている。
35 図表 2-66 石炭コークスの代替効果 資料提供: 近畿大学理工学部 井田民男 准教授 (1) 特徴(○メリット、●デメリット) バイオコークスを利用する際の特徴を以下に示す。 図表 2-67 バイオコークスを利用する際の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○あらゆるバイオマスを原材料として利用可 能である。 ○体積が小さいので輸送が便利である。 ○重量収率が 100%なので新たな廃棄物が出 ない。 ●前処理として原材料を乾燥・粉砕する必要が ある。 ●原材料に応じて、成形に最適となる含水率の 細かな制御が必要である。 ●同じ成型装置を用いても、バイオマスの種類 によって製造に要する時間が大きく異なる。 2.2.10 炭 木炭は、木材を酸素のない状態で加熱することで得られる。木炭はエネルギー(燃料)用途と しては、煮炊き用、火鉢などに利用でき、古くから生活の必需品として幅広く利用されていた。 最近ではエネルギー用途としての利用は少なくなったが、炭焼きへの関心は高まっており、 NPO の活動や森林体験の一貫として炭焼きを行うイベントも多くある。
36 (1) 原理 木材を空気中で加熱すると燃焼し二酸化炭素が発生する。しかし、酸素を遮断して加熱す ると燃焼せずに分解し炭素だけが残る。これが炭化である。 炭化の主な生成物は固体の炭であり、副産物には酢液やタールがある。 図表 2-68 炭化の概観図 資料: 「簡易炭化法と炭化生産物の新しい利用」 1992 年、谷田貝光克ほか (2) 特徴(○メリット、●デメリット) 炭を利用する際の特徴を以下に示す。 図表 2-69 炭を利用する際の特徴 (○メリット、●デメリット) メリット デメリット ○原理が単純で研究も進んでおり、技術は確立 されている。 ○エネルギー密度が高い。 ○煙が出ない。 ○火持ちが良い。 ○エネルギー用途以外でも多様な使い方があ る。 ●製造効率が悪く、生産コストあたりのエネル ギー効率が低い。 ●エネルギー利用としては、煮炊き用、火鉢な どに限られる。 (3) 経済性 木炭は燃料として年間約17 万t程度消費されているが、国内での木炭自給率は 1980 年代 以降に低下し、2004 年には 20%程度となっている。これは、海外からの安価な炭が大量に輸 入されたことが原因と考えられる。しかし、2004 年には最大の輸入国である中国が木炭輸出 を全面的に禁止しており、今後中国からの輸入は減少することが予想される。その場合、国産 の木炭製造事業への新規参入の可能性は十分考えられるが、製造コストをいかに抑えられるか が課題となる。 木材など 木炭(固形生成物) 木ガス(気体生成物) 上層(粗木酢液) 下層(沈降タール) 留出物(木酢液) 残留物(残留タール) ( 液体生成物 )
37 図表 2-70 国内における各炭の消費量 (単位:t) 1965 年 1975 年 1985 年 2004 年 2005 年 2006 年 木炭 596,376 90,201 38,788 178,122 181,813 172,731 竹炭 0 0 0 1,566 1,482 1,350 おが炭 0 16,000 12,825 9,820 9,890 9,674 煉炭 1,761,000 483,000 179,117 16,237 17,456 16,232 豆炭 398,000 150,000 86,984 17,522 17,083 17,941 図表 2-71 国内木炭の自給率
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1960
1970
1980
1990
2000
2010
自給率(
%
)
国内木炭の自給率
38 なお、木炭は、その原材料、製造方法(消化法)や形状等の違いにより、以下のように区分され る。炭の種類によって、原材料の樹種ごとの適性があることに注意が必要である。スギ・ヒノキ 等の針葉樹は調湿用・土壌改良用の粉炭に適し、ナラ、カシ等の広葉樹は燃料用に適している。 図表 2-72 木炭の種類 種類 黒炭 白炭 オガ炭 竹炭 粉炭 製造法 炭窯の中で空気 を絶って消火す る。 炭 窯 の 外 に 出 し、消し粉をか けて消火する。 鋸屑や樹皮等を 粉砕して高温、 高圧力で圧縮成 型したオガライ トを炭化したも の。 竹を炭化する。 製造した木炭を 粉砕するか、チ ップ状の木屑を 炭化する。 炭化 温度 400~700℃前後 800℃以上 ― ― ― 主な 原材料 ナラ、クヌギ、 カシ等 ウバメガシ、カ シ類等 樹種は何でも可 竹 樹種は何でも可 特徴 炭 質 が 柔 ら か く、着火が容易 で早く大きな熱 量を得られる。 炭質が硬く着火 しにくいが、着 火すれば、炭質 が均一で安定し た火力を長時間 にわたって得ら れる。(例、備長 炭) 火力が安定して いる。備長炭に 似 た 性 質 を 持 つ。 木炭に比べ、水 分や物質の吸着 速度が速い。 粉状である。 主な 用途 家庭用燃料、 バ ー ベ キ ュ ー 用、茶道用 焼き鳥 うなぎの蒲焼 焼肉、焼き鳥 うなぎの蒲焼 水質浄化剤 土壌改良剤 土壌改良剤 調湿剤 資料:「木炭の種類」 林野庁 HP http://www.rinya.maff.go.jp/policy2/mokutan/1.htm
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2.3 最新の資源化技術及びエネルギー転換技術~マテリアル利用
2.3.1 木質プラスチック 石油由来のプラスチックを代替する製品として、近年「バイオマスプラスチック」が脚光を 浴びている。バイオマスプラスチックとは、「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、 化学的または生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定義されるものである。 原材料としてはトウモロコシなどの穀物資源、サトウキビなどから取り出される糖類が現状で は主体となっているが、今後は食物との競合のない非可食のセルロースの活用が目論まれてお り、木質バイオマスや草本系バイオマスから製造した「木質プラスチック」が注目されている。 石油に代わり植物などのバイオマス資源を活用した有用なプラスチックを持続的に供給でき ることから、バイオマスプラスチックが将来の素材として大きく注目されている。 木質バイオマスから製造した「木質プラスチック」の一例として、玩具等に用いられている 「バイオマスチップ」が挙げられる。バイオマスチップとは、木質セルロース等、繊維質を含 んだ植物性物質にバインダーを混ぜ、射出成形用ペレットに加工したものである。約70~80% の木質セルロース素材と15~30%のバインダー材を混合し、木質原料自体を熱で溶けやすくし て射出成形を可能にすることで、金型等に流し込み自在な形状に加工することが可能となる。 原材料は木部に限らず、樹皮、ウッド白木部分、葉、茶葉など繊維質の天然素材であればペレ ット化・プラスチック化が可能となる。 図表 2-73 バイオマスチップの製造方法と特徴 図表 2-74 バイオマスチップからの製品例40
2.3.2 リグニン
木材中に約30%存在するリグニンはセルロース、ヘミセルロースなどの多糖成分と異なり極 めて複雑な化学構造を持ち、化学的に低分子化しても多様な構造体を含む混合物となる。現在 はリグニンの大半は燃焼され熱エネルギーとして利用されるのみであるが、その特性を生かし た多くの製品の開発が期待されており、現在様々な研究が行われている。 一例としては、リグニンからプラスチックを製造する技術が挙げられる。また他のマテリア ル原料として、リグニンを他の高分子とブレンドして熱溶融させ紡糸する技術も開発されてお り、その後の熱酸化処理によりカーボンファイバーを製造することが可能である。更に、自動 車のアイドリングストップ用に鉛電池の充電性能を改善するリグニン添加剤も開発されている。 図表 2-75 リグニンから開発されるマテリアル原料の例 資料:平成19 年度 独立行政法人 森林総合研究所 公開講演会 講演要旨集 木質バイオマスの総合利用-バイオエタノール化とマテリアル原料化- 眞柄 謙吾(木材化学研究室長) 他にも、微生物のリグニン分解を利用して低分子リグニン化合物であるプロトカテク酸、バ ニリン酸から有用代謝中間物質PDC(2-ピロン-4,6-ジカルボン酸)を得て、プラスチック材料や 接着剤の原料とする研究が進められている。パルプ製造において排出されるリグニンを化学変 化させてポリウレタンを製造し、塗料・接着剤などの原料とする研究も行われている。農業分 野においても、リグニンは金属を結合し取り込む働きを持つことから、重金属汚染された土壌 にリグニンを混合することで安全な作物を栽培することが可能として土壌改良剤としての研 究開発も進められている。 このように、リグニンは技術開発により多用途への利用拡大が将来期待されている。41