• 検索結果がありません。

最新の資源化技術及びエネルギー転換技術~マテリアル利用

2.3.1 木質プラスチック

石油由来のプラスチックを代替する製品として、近年「バイオマスプラスチック」が脚光を 浴びている。バイオマスプラスチックとは、「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、

化学的または生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定義されるものである。

原材料としてはトウモロコシなどの穀物資源、サトウキビなどから取り出される糖類が現状で は主体となっているが、今後は食物との競合のない非可食のセルロースの活用が目論まれてお り、木質バイオマスや草本系バイオマスから製造した「木質プラスチック」が注目されている。

石油に代わり植物などのバイオマス資源を活用した有用なプラスチックを持続的に供給でき ることから、バイオマスプラスチックが将来の素材として大きく注目されている。

木質バイオマスから製造した「木質プラスチック」の一例として、玩具等に用いられている

「バイオマスチップ」が挙げられる。バイオマスチップとは、木質セルロース等、繊維質を含 んだ植物性物質にバインダーを混ぜ、射出成形用ペレットに加工したものである。約70~80%

の木質セルロース素材と15~30%のバインダー材を混合し、木質原料自体を熱で溶けやすくし て射出成形を可能にすることで、金型等に流し込み自在な形状に加工することが可能となる。

原材料は木部に限らず、樹皮、ウッド白木部分、葉、茶葉など繊維質の天然素材であればペレ ット化・プラスチック化が可能となる。

図表 2-73 バイオマスチップの製造方法と特徴

図表 2-74 バイオマスチップからの製品例

40

2.3.2 リグニン

木材中に約30%存在するリグニンはセルロース、ヘミセルロースなどの多糖成分と異なり極 めて複雑な化学構造を持ち、化学的に低分子化しても多様な構造体を含む混合物となる。現在 はリグニンの大半は燃焼され熱エネルギーとして利用されるのみであるが、その特性を生かし た多くの製品の開発が期待されており、現在様々な研究が行われている。

一例としては、リグニンからプラスチックを製造する技術が挙げられる。また他のマテリア ル原料として、リグニンを他の高分子とブレンドして熱溶融させ紡糸する技術も開発されてお り、その後の熱酸化処理によりカーボンファイバーを製造することが可能である。更に、自動 車のアイドリングストップ用に鉛電池の充電性能を改善するリグニン添加剤も開発されている。

図表 2-75 リグニンから開発されるマテリアル原料の例 資料:平成19年度 独立行政法人 森林総合研究所 公開講演会 講演要旨集

木質バイオマスの総合利用-バイオエタノール化とマテリアル原料化- 眞柄 謙吾(木材化学研究室長)

他にも、微生物のリグニン分解を利用して低分子リグニン化合物であるプロトカテク酸、バ ニリン酸から有用代謝中間物質PDC(2-ピロン-4,6-ジカルボン酸)を得て、プラスチック材料や 接着剤の原料とする研究が進められている。パルプ製造において排出されるリグニンを化学変 化させてポリウレタンを製造し、塗料・接着剤などの原料とする研究も行われている。農業分 野においても、リグニンは金属を結合し取り込む働きを持つことから、重金属汚染された土壌 にリグニンを混合することで安全な作物を栽培することが可能として土壌改良剤としての研 究開発も進められている。

このように、リグニンは技術開発により多用途への利用拡大が将来期待されている。

41

2.3.3 エネルギー用途以外の木炭利用

エネルギー利用以外の木炭の用途として、土壌改良剤、水質浄化剤などのような利用方法があ る。これを下図に示す。これらの中では、農業用としての利用が最も多く、ゴルフ場用や調湿剤 としての利用も多く存在する。

図表 2-76 炭化生成物の主な用途

製品 製品(細目) 用途(大分類) 用途

木炭 木炭

農業·園芸用 土壌改良剤 環境浄化資材 水質浄化剤

生活用品 消臭剤

燃料(煮炊用、火鉢等) 建築資材 調湿剤

断熱材 電磁波遮蔽剤

農業用、ゴルフ場用、調湿剤としての利用の特徴を以下にまとめる。

図表 2-77 燃料用以外の木炭用途としての特徴

【農業用としての利用】

【メリット】

○木炭を使用することにより、土壌環境が 改善され、作物生育促進・増収の効果が

○最も需要の高い新用途木炭の利用方法。 ある。

【ゴルフ場利用】

【メリット】

○芝の張り替えと種まきの際に利用し、芝 の育成をはかる。

○農薬の流失を抑制するという水質浄化 の効果もある。

【調湿剤としての利用】 【メリット】

○調湿能力のある木炭を家屋の床下に設 置しておけば結露を防ぐことができる ため、材木の腐敗や白アリ発生が抑えら れる。

○シックハウス症候群として問題となっ ている、ホルムアルデヒドの吸着にも期 待されている。

42

2.3.4 樹皮(バーク)

国内の製材業において焼・棄却される残廃材の3/4を樹皮が占めている。残廃材の再利用率 をさらに高めるためには,樹皮の利用方法の検討を進める必要がある。そこで今日では樹皮が 法面緑化などに利用されている。マテリアル用途としての主な使用事例は以下の通りである。

(1) 樹皮マルチング

① 概要

地表面の飛散,流芒の防止、雑草の生育抑制、保温,保湿による植物生育の促進の為に地表 面をなんらかの方法で覆うことをマルチングという。このマルチングに用いる材料として、杉 の樹皮を用いることができる。1m2当り50mm~100mm(厚さ約5cm~10cm)で行う場合が多い。

マルチングの厚さは5cm以下だと効果が極端に薄れるので、最低でも1m2当り50mm(約5cm) は使用する必要がある。

メーカーによっては、少量の木質部分を繊維状に加工したものを樹皮に混合する例がある。

この場合、繊維同士が絡みつくことで安定が良く、飛散・流芒をほとんど起こさないため、急 な斜面等にも利用できる。ただし、施工直後はまだ繊維の絡まりが弱く、強風により飛散を起 こす場合がある。法面用の基盤材に使用する場合は、種子が流失するのを防ぐために特殊アス ファルト乳剤を吹き付けて緑化用のマルチングを行なう。強度の撥水性を有し、土の表面に影 ができるように覆い、飛散してくる雑草の種子の発芽を抑制するメカニズムであるため雑草対 策と同時に土の乾燥や霜柱を防ぐ効果がある。

図表 2-78 岩手県のキロサ牧場法面における樹皮マルチング材の使用

図表 2-79 花壇における樹皮マルチング材の使用

関連したドキュメント