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児童虐待防止対策について

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Academic year: 2021

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 532(532~534) 小 児 保 健 研 究 

全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対 応件数は一貫して増加し,平成27年度には10万件を超 えている。また,子どもの生命が奪われるなど重大な 児童虐待事件も後を絶たず,児童虐待の防止は社会全 体で取り組むべき重要な課題となっている。

こうした状況を踏まえ,本日は,児童虐待防止対策 をめぐる最近の動きについてご報告を申し上げたい。

まず平成28年5月に﹁児童福祉法等の一部を改正す る法律﹂が成立しているが,この法改正の基礎となっ たのが﹁新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門 委員会報告(提言)﹂(平成28年3月)である。この専 門委員会には本日のシンポジウムの座長でいらっしゃ る秋山千枝子先生,佐藤拓代先生の両先生にもご参画

いただき,貴重なご意見を寄せていただいている。ま た,同年4月には児童相談所の体制および専門性を計 画的に強化するため,厚生労働省児童虐待防止対策推 進本部(本部長:厚生労働大臣)において﹁児童相談 所強化プラン﹂が策定され,平成28~31年度までの4 年間で1,120人程度の専門職の増員目標が示された。

平成28年の法改正は,児童虐待について発生予防か ら自立支援まで一連の対策の更なる強化等を図るた め,児童福祉法の理念を明確にするとともに,子育 て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)

の全国展開,市町村および児童相談所の体制の強化,

里親委託の推進等の措置を講ずるものであり,平成 29年4月1日から全面施行されている(資料1)。本

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資料1

第64回日本小児保健協会学術集会 シンポジウム1 日本の小児虐待の現状と対策

児童虐待防止対策について

竹 内 尚 也(厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策推進室長)

Presented by Medical*Online

(2)

 第76巻 第号,2017 533 

学術集会には医師,看護師,保健師,教員など多職種 の方が参加されているとうかがっており,ぜひご協力 いただきたい改正事項があるので,ここでご紹介した い。同改正法では,保護者の養育を支援することが 特に必要と認められる児童若しくは保護者に監護さ せることが不適当であると認められる児童,および その保護者または出産後の養育について出産前にお いて支援を行うことが特に必要と認められる妊婦(以 下,要支援児童等)と思われる者に日頃から接する 機会の多い,病院,診療所,児童福祉施設,学校等 が,要支援児童等と思われる者を把握した場合には,

当該者の情報を現在地の市町村に提供するよう努め なければならないこととされたところである。特に 小児科をはじめとする医療機関については,日頃か ら子どもへの医療行為,その保護者への対応をする ことにより,要保護児童や要支援児童等を把握しや すい立場にある。児童虐待問題の解決にあたっては,

上記改正法の趣旨を踏まえて,医療機関と児童相談 所や市町村の児童福祉・母子保健等の関係部署等の 間に積極的な連携・情報共有体制を構築し,適切な 役割分担の下で協働していくことが重要であり,ぜ ひとも皆様のご理解とご協力をお願いしたい。

次に時系列で見ると,平成28年月には,﹁平成27 年度﹃居住実態が把握できない児童﹄に関する調査 結果﹂を公表,同年月には,﹁平成27年度児童相談 所での児童虐待相談対応件数<速報値>﹂を公表し,

初めて10万件を突破したことから,大きく報道がな された。

さらに,平成28年月には,﹁子ども虐待による死

亡事例等の検証結果等について﹂(社会保障審議会児 童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員 会第12次報告)が公表されている。これは,﹁児童虐 待の防止等に関する法律﹂第4条第5項に基づき,子 ども虐待による死亡事例の背景要因等を分析・検証し,

問題点や課題を明らかにするとともに,今後の改善策 を講じるためにとりまとめているものである。

平成28年の改正法附則にはいくつかの検討規定が盛 り込まれており,そのうちの一つは,﹁法律の施行後 速やかに﹂,﹁要保護児童を適切に保護するための措置 に係る手続における裁判所の関与の在り方について﹂,

﹁検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ず る﹂というものである(資料)。この検討規定に基 づき,﹁児童虐待対応における司法関与及び特別養子 縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会﹂におい て議論が行われ,平成29年1月に﹁児童虐待対応にお ける司法関与の在り方について(これまでの議論の整 理)﹂がとりまとめられた。これを受けて,平成29年 月に﹁児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法 律の一部を改正する法律﹂が成立した。この法改正の 概要は,①虐待を受けている児童等の保護者に対する 指導への司法関与,②家庭裁判所による一時保護の審 査の導入,③接近禁止命令を行うことができる場合の 拡大の3点であり,公布の日から起算して1年を超え ない範囲内において政令で定める日(来年日予 定)からの施行に向けて準備を進めているところであ る(資料)。

最後に,昨日(平成29年6月29日),﹁平成28年度﹃居 住実態が把握できない児童﹄に関する調査結果﹂を公 資料

Presented by Medical*Online

(3)

 534 小 児 保 健 研 究 

表したところであり,簡単にご報告しておきたい。居 住実態が把握できない児童やその家庭は特に支援を必 要としている場合があるため,平成26,27年度に引き 続き調査を実施している。調査の対象は全国の市町村

(1,741市町村,特別区を含む)であり,主な調査内容 としては,平成28年日時点で市町村が所在等の 確認が必要と判断した児童(調査対象児童)について,

平成28年日から平成29年月31日までの間に所 在等が確認できた児童と,平成29年6月1日時点で居

住実態が把握できない児童の詳細な状況等を確認し,

各市町村の取り組み状況を把握するものである。調査 結果であるが,平成29年6月1日時点で居住実態が把 握できない児童数は28人,平成27年度調査から引き続 き居住実態が把握できない児童は,平成29年6月1日 時点で11人であった(資料)。なお,調査結果の詳 細については,厚生労働省のホームページに資料を掲 載しているので,ご参照いただきたい。

児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律の概要

改正の趣旨

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改正の概要

1.虐待を受けている児童等の保護者に対する指導への司法関与(児童福祉法)

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3.接近禁止命令を行うことができる場合の拡大(児童虐待の防止等に関する法律)

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4.その他所要の規定の整備

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資料3

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資料

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