九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
トカラヤギの乳房・乳頭の外部形態について
蒲原, 守 岡野, 香
九州大学農学部
山田, 定雄
九州大学農学部
古沢, 弘敏
九州大学農学部
他
https://doi.org/10.15017/12695
出版情報:九州大学農学部農場研究資料. 14, pp.32-34, 1992-03. 九州大学農学部附属農場 バージョン:
権利関係:
トカラヤギの乳房・乳頭の外部形態について
蒲原守・岡野香・山田定雄・古沢弘敏・福留功・豊後貴嗣
ほ乳動物は種により乳房・乳頭の外部形態及びその数は一定していることが知られている。例えば,
牛では乳房・乳頭数は4,豚では12〜16,山羊では2本である。また,山羊の一種であるトカラヤギ では2本のほかに副乳頭があること(野沢ら)が報告されている。しかしながら,トカラヤギの本来 の2本の乳頭のある乳房と副乳頭のある乳房との機能的またはその他の違いについては明確にされて いない。したがって,本命はトカラヤギでの副乳頭のある乳房において乳の分泌または生産がなされ ているかどうかについて検討を行ったものである。
結果及び考察
トカラヤギの乳房・乳頭の外部形態を観察すると,左右の乳房・乳頭は明確に区別できるが,前後 の乳頭については第1図に示すように,完全に分離し独立しているもの(分離独立:A型),近接し てはいるが独立しているもの(近接独立:B型),結合して枝分かれ状になっているもの(枝分かれ:
C型)及び1本しか認められないもの(1本のみ:D型)に大別することが可能であった。
したがって,.トカラヤギを乳房・乳頭の外部形態により,第1表に示すように分類し,その割合を算 出した。その結果,乳頭が4本目も独立していると考えられるもの(A−A;A−B,B−B型)の 割合は約61%であった。 また,一方は独立しているが他方は独立していると考えられないCまたはD 型のものの割合は約25%であった。さらに,左右とも独立したものが2本あると考えられないもの,
すなわち左右とも1本しか認められないものの割合は約14%であった。このことから,副乳頭がある と考えられるものの割合は約86%(61+25)%となる。
さらに,副乳頭と考えられている乳頭が着いている前乳房から乳が得られるかどうか,すなわち前 乳房が乳の分泌または乳の生産を行っているかどうかについて調査を行った。結果は第2表に示すと おりである。
(1)はA−A型で,死産したものである。分娩後7日目に搾乳したところ,4本すべてから乳が得ら れた。なお,1本の乳頭(乳房)を搾乳しおえてから,次の乳頭を搾乳しているので,4年とも機能
し,しかも乳房は独立していると考えられる。
(2)はA−A型で,2頭出産.し,保育中のものである。分娩後92日目に子ヤギを一時隔離し,隔離直 後及び4時間後に搾乳したところ,左右ともに前乳房からは乳は得られなかった。しかがって,この
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右 左
A 分離独立型
B 近接独立型
C 枝分かれ型
D 一 本型
第1図 トカラヤギ乳房・乳頭の外部形熊の違いによる分類方法1
第1表 トカラヤギ乳房・乳頭の外部形態による分類およびその割合
外部形態
雌割合(%) 雄 計割合(%)左右共にAま準はB型 一方がAまたはB型 他方がCまたはD型 左右共にCまたはD型
1 1
戻︶9自
(57.9),
(31.6)
(10.5)
1 1
り09Q
2 2
04環U
(61.1)
(25.0)
(13.9)
計 19 17 36
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ヤギのこの時期の前乳房は機能していないものと考えられた。
(3)はB−B型で・2頭保育中のものである・2)と同様・隔離直後及び4時間後に搾乳したところ,
左の前乳房からわずかではあるが乳が得られた。
(4),(5)及び(6)も(2)と同様の方法で搾乳した。その結果;(4):A−C型.(右がA,左がC型)の右前 乳房は機能していないもの,と考えられ,(5)及び(6).:,C−B型の左前乳房は機能しているものと考えら・
れた。
第2葬.トカラヤギの各乳房・乳頭から得られた乳量
乳房形態 子 数 分娩後日数
右
左前 後 前 後 計
lA−A型
0 7 6.5 『19.8 23.4 26.4 77.02A−A型
子隔離 同 雌 子隔離 子隔離
2
4時間後
直後 4時即吟
.82
92
0.0
0000
23.9
19.7
』20.8
0.0
0000
33.8
17.6 25.5
57.7
37.3 46.3
3B−B型 2
子隔離 4時間後10
0.0 20.3 4.9 14.2 39.4
4A−C型 1
子隔離・4時間後66
「十 20.1 20.6 40.7
5C−B型 1
子隔離 4時間後96
9.3 1.7 12.8 23.8
6C−B型
子隔離 同 雌 子隔離
2
4時間後
4時間後
71
73
17.0.
8.3
0.8
3.6
5.4
18.7
23.2
30.6
A−C型とはトカラヤギの乳房・乳頭の外部形態が,右がA型で左がC型である。
このように,副乳頭と考えられている乳頭の着いている乳房が,機能しているものが存在するとい うことは,トカラヤギは副乳頭を持っていると考えるよりも,4つの乳房・乳頭を持っていると考え た方が良いものと思われる。
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