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1.研究室の概要

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Academic year: 2021

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第 82 巻 第 9 号 (2018) (45) 515

1.研究室の概要

 信州大学繊維学部は上田蚕糸専門学校,上田繊維専門学 校を経て1949年に発足した。1963年には学部内に繊維化 学工学科が設置され,その後改組等により縮小したもの の,現在も毎年30〜40名の学生が移動現象,分離工学,

反応工学,プロセスシステム工学の講義,学生実験,プロ セスシミュレータを用いた演習などの化学工学教育を受け ている。

 学科内には当研究室を含め化工系研究室が現在4つあ る。1教員1研究室に3〜4人の学部4年生が配属され,そ

の6〜7割が大学院に進学する。当研究室の現在の構成は

教員1名,修士学生4名,学部4年生5名の計10名である。

独立した研究室運営をしながらも,研究発表会や各種イベ ントなどを化工系4研究室合同でおこない,様々な意見に 触れ研究を深化させつつ,幅広い知識・技術の習得に努め ている。

2.研究内容

 主として地球温暖化対策としてのCO2分離回収・利用プ ロセスの開発,化石燃料代替としてのバイオマス利用技術 の開発に取り組んでいる。

2.1 CO2分離回収

 化学吸収法に注目し,テーマは大きく吸収と放散に分か れるが,共通のキーワードは多孔質中空糸膜である。

多孔質中空糸膜を利用した CO2吸収プロセス

 CO2吸収装置のコンパクト化・低コスト化を目指し,直 径1 mm以下の有機高分子多孔質中空糸膜を使用した吸収 プロセスの開発に取り組んでいる。気液接触面積を増大で きる利点がある一方,膜が物質移動の抵抗となるため,膜 厚,細孔径,濡れ性など膜の性質の影響を詳細に調査して いる。また,吸収速度の予測モデルの構築をおこなっている。

CO2の減圧放散プロセス

 CO2を吸収した吸収液からCO2を放散し吸収液を再生す るためのエネルギーの削減を目指し,減圧操作によるCO2 放散プロセスの開発に取り組んでいる。この際,多孔質中 空糸膜に液を透過させることにより放散を促進する。膜の 物理的・化学的性質が放散速度に及ぼす影響を調査し,エ ネルギーを削減できる膜条件,操作条件を探索している。

2.2 バイオマス

バイオマスのエネルギー利用

 木質バイオマスの高効率利用のために,石炭との混焼発 電用の炭化物燃料の開発をおこなっている。混焼用燃料と しての要件を満たしつつ,炭化時に生成するタールの回 収,二次反応促進による高収率化,高エネルギー密度化を 信州大学 繊維学部 化学・材料学科

ファイバー材料工学コース 高橋伸英 研究室 高橋伸英

研究室紹介

目指している。その他,ガス化にも取り組んでいる。

 また,微生物による好気性発酵を利用した熱供給の工学 的手法の確立に取り組んでいる。各種バイオマスの発酵挙動 の把握,副資材の探索,実用規模の実証試験をおこなってい る。さらに,発酵過程で生成するCO2およびその他の揮発成 分による植物成長促進についても研究をおこなっている。

バイオマスのマテリアル利用

 各種バイオマス原料からの活性炭製造について取り組 み,炭化および賦活条件の組み合わせの最適化や賦活過程 の速度論解析をおこなっている。また,粘土とバイオマス の複合炭化物の吸着特性や用途開発について研究している。

2.3 その他の研究

 荒漠地植林による炭素固定,植物工場,ソーラーシェア リングなどのキーワードに関する研究も進めている。

3.研究室文化

 研究室のモットーは,「よく遊び,よく学ぶ。そして,

よく考える」である。企図した通りの実験ができ,信頼で きるデータを得るための知識,技術,「勘」を,学生自身が 実験装置を設計・製作し,試行錯誤を繰り返す中で体得す ることを大切にしている。また,研究ミーティングでは学 生同士の活発な議論を奨励している。月に1回はバーベ キュー,登山,飲み会などのイベントをおこなっている。

ある年には,学生の発案により,低い山から徐々に足を慣 らし,最終的に参加者全員が富士山登頂に成功した。付き 合う方も大変であるが,学生が主体的に生き生きと研究室 生活を送ることが何よりである。

学生自作の中空糸膜モジュール 富士山頂上にて 現研究室メンバー

公益社団法人 化学工学会 http://www.scej.org/

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参照

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