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国との共同研究:冬季ウランバートルの

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Academic year: 2021

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国との共同研究:冬季ウランバートルの PM2.5 の実態調査

分析研究科 森 育子

1 はじめに

東京都環境科学研究所は、環境省の環境研究総合推進費プロジェクト「PM2.5規制に影 響する汚染混合型黄砂の組成的特徴と飛来量/降下量に関する研究」(国立環境研究所が幹 事、5 サブテーマで構成)において、サブテーマ(2)「メガシティにおける PM2.5 黄砂 と人為汚染物質による複合汚染の化学的特徴の解明」を担当している。大気中に存在する

PM2.5(用語説明参照)は、非常に小さいため、人の肺の奥まで簡単に入り込む性質を持

っている。最近、微小な黄砂(用語説明参照)がPM2.5の中に存在していることがわかっ てきた。本研究は、人の健康に影響を及ぼす微小な黄砂と大気汚染物質の複合汚染に関す る動態解明を目標としている。本発表では、研究プロジェクトの第一段階として行なった ウランバートルの大気汚染の実態把握のための調査の概要と結果の一部を紹介する。

2 ウランバートルの特徴

ウランバートルは標高1350 mの盆地に位置するモンゴルの首都である。11月〜3月の 平均気温は氷点下で、暖房期は9ヶ月間に及ぶ。ウランバートルにはモンゴルの人口の半 数近くの122万人が暮らしており、近年益々一極集中化が進んでいる。急激な人口増加に 都市整備は追いつかず、大気汚染が深刻化している 1)。特に冬季の大気汚染は深刻である と報告されている2)

3 調査の概要

大気汚染が深刻な冬季ウランバートルの大気粉じんの実態を把握するために、2012年1 月に集中観測を行った。観測地点はウランバートル市中心部に位置するNational Agency of Meteorology and Environment Monitoring (NAMEM)である。NAMEMの屋上(4階)に測 器を設置した。PM2.5の捕集はローボリュームエアサンプラー(LV: Model 2000 FRM R &

P, Thermo Fisher Scientific Co.)を用いて1月19日〜1月27日におこなった。捕集時間 は各23時間であった。試料中の全炭素(TC)、陰イオン成分、陽イオン成分等を分析した。

なお、PM2.5については、別途、分粒器付光散乱式装置(KOSA Monitor, TOA DKK)によ る連続測定も行った。

4 結果

2012年1月19日から1月26日の間にウランバートルで捕集されたPM2.5濃度の平均 値は211 µg m-3で、Nishikawa et al. (2011)2)の報告値とほぼ同じであった。この値は、2008 年度冬期に東京都で測定されたPM2.5の平均値(21.9 µg m-33)のおおよそ10倍に相当 する。夜間のPM2.5濃度は昼間の濃度より高い傾向がみられた(図1)。

(2)

図1 2012年1月19日から27日に連続測定されたウランバートルのPM2.5濃度。

2012年1月19日から 27日の間にウ ランバートルで捕集された PM2.5 中の 全炭素(TC)、陰イオン成分、陽イオン 成分の平均値(図2)は、2008年度冬期 に東京都で捕集されたPM2.5中の上記3 成分の平均値の16倍、2倍、3倍に相当 した。ウランバートルのPM2.5中に占め る各成分の割合の中では全炭素が最も高 く、陰イオン成分のしめる割合が最も高

い東京の PM2.5 の主成分構成とは際だ

って異なった(図 3)。これらの結果は、

ウランバートルの PM2.5 の主要発生源 が東京都の主要発生源とは異なることを 示唆している。

5 謝辞

本研究は、環境省の環境研究総合推進費

(B-1202)により実施された。

6 参考文献

1)山本 裕(2007):モンゴル国と豆 炭、粉体と工業、39、65-72.

2)Nishikawa et al. (2012): Chemical composition of urban airborne particulate matter in Ulaanbaatar, Atmospheric Environment, doi:10.1016/j.atmosenv.2011.07.029.

3)三好猛雄ら(2009): PM2.5大気環境調査について、東京都環境科学研究所年報2009、

110-112.

図2 冬期PM2.5中の化学成分濃度。

図3 冬期PM2.5にしめる各化学成分の パーセンテージ。

(3)

用語説明

PM2.5

大気中に浮遊する粒子状物質のうちでも特に粒径の小さいものをさす(粒径 2.5 μm 以下 の微小粒子状物質)。粒径が小さいPM2.5は、気道より奥の肺胞などに入りやすいことな どから、人への健康影響が懸念されている。日本においては平成21年9月にPM2.5に係 る環境基準(1年平均値:15 µg m-3、1日平均値:35 µg m-3)が告示されたが、モンゴル ではまだ環境基準が制定されていない。

黄砂

東アジア内陸部の砂漠や乾燥地域の表層土が、風により上空に巻き上げられ、広範囲に飛 散し、大気中を浮遊あるいは降下する現象。日本では、春に観測されることが多い。日本 で捕集される黄砂の粒径は4 µm前後で、2.5 µm以下の粒径の粒子(PM2.5に相当)が1-2 割含まれる。

図 3  冬期 PM2.5 にしめる各化学成分の        パーセンテージ。

参照

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