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新しい免疫研究とアウトリーチ

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

審 良 静 男

Shizuo AKIRA

− 1 − 1953年1月生

大阪大学医学研究科博士課程修了

(1984年)

現在、大阪大学 免疫学フロンティア研 究センター 拠点長・教授 医学博士  免疫学

TEL:06-6879-8303 FAX:06-6879-8305

E-mail:sakira@biken.osaka-u.ac.jp

新しい免疫研究とアウトリーチ

New research of immunology and outreach activity

Key Words:innate immunity, acquired immunity, outreach activity,  Immunology Frontier Research Center (IFReC), 

World Premier International Research Center Initiative (WPI), outreach

生 産 と 技 術  第63巻 第3号(2011)

  研究者にアウトリーチ活動が求められています。

私も約 80 名の市民参加者と、「免疫」をテーマに初 めてのサイエンスカフェを行いました。サイエンス カフェでは参加者との対話に多くの時間があてられ ます。「免疫」という言葉は様々な意味で使われて いますが、その参加者は私たちと同じように「免疫」

という機構を科学的に理解しようとしてくれました。

対話を通じて、私たちの研究に対する彼らの関心と 期待を強く感じました。

 いままでの免疫研究は、免疫反応経路にある分子 や細胞をひとつひとつ見つけ出し、機能を解明する ことでした。防御の初期対応に過ぎないとされてい た「自然免疫」が、実は免疫記憶とその活性化によ る「獲得免疫」を呼び起こす重要な働きをしている ことを明らかにできたのもその成果です。しかし、

免疫反応は膨大な数の細胞・分子が関与する動的複 雑系です。多くの免疫細胞や分子は体全体に分布し、

それらが相互に情報を伝え、協調して機能していま す。このような免疫機構を理解するためには、一度 に多くの細胞や分子を扱い、それぞれの挙動を同時 に知る必要があるのです。そのために私たちは、従 来の免疫学手法に加え、多くの免疫細胞・分子の挙 動を同時計測できるイメージング、それらを予測す るバイオインフォマティクスによって、この複雑な 免疫機構を包括的に理解しようとしています。

 このような研究を推進するために、文部科学省「世 界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」によ って大阪大学に免疫学フロンティア研究センター

(Immunology Frontier Research Center: IFReC)が 平成 19 年に設置されました。WPI では、優れた人 材と研究資金を呼び込み高いレベルの研究を継続的 に生み出すために、世界から認められる魅力ある研 究拠点の形成が求められています。平成 20 年の大 阪大学融合型生命科学総合研究棟の竣工に続き、今 年 4 月に IFReC 新棟が竣工し、研究者が共に研究 を行う環境が整いました。また、研究経験の豊富な 事務部門長が、研究者が研究に専念できる環境の構 築を強力に進めています。その結果、研究者は約 200 名に達し、そのうち約 30%を外国人研究者が占 めています。一方で、研究費は各研究者が競争的資 金等を獲得しなくてはならず、その厳しい競争に勝 ち抜くことも求められています。

 研究は研究者の知りたいと思う気持ちが原動力で

す。しかし、その研究を行うには多くの人々の支え

が必要です。新しいことが知りたい。病気を治して

欲しい。サイエンスカフェでの市民たちの研究に対

する期待は、そのような彼らの様々な想いと私たち

の研究とがつながっているからだと感じました。そ

のような人たちの理解に支えられて私たちの研究が

あるのではないかと思います。サイエンスカフェは

自分の研究だけでなく、それを支えてくれる人々の

存在を見つめ直す良い機会となりました。

参照

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