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超音波の空中合成による可聴音の再生

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Academic year: 2021

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超音波の空中合成による可聴音の再生

Reproduction of the audible sound by air composition of an ultrasonic wave

1W090172-1 橘高 理沙 指導教員 及川 靖広 教授

KITTAKA Risa Prof. OIKAWA Yasuhiro

概要: 本研究では、RASS レーダの騒音問題を解決すべく、現在使用されているホーン型スピーカの代替として ボルト締めランジュバン型振動子(Bolt clamped Langevin type Transducer:以下 BLT)を使用したパラメトリ ックスピーカを作成し、上空にのみ音を伝搬させ騒音低減に繋げることを検証した。またキャリアとサイドバン ドを別々の素子から放出し重ね合わせることにより、Q 値が高すぎるためサイドバンドが出力されにくいという先 行研究の問題点を解決し、RASS レーダへの応用を目指す。BLT アレイから出力された波面と合成された差音の波 面の指向特性と距離減衰の様子を測定し、またアレイの組み方による可聴音の指向性や距離減衰の変化の様子を 検証した。

キーワード:超音波、BLT 素子、RASS レーダ、指向性、合成

Keywords: ultrasonic wave, Bolt clamped Langevin type Transducer, radio acoustic sound system, directivity, composition

1.まえがき

上空に電波と音波(3kHz)を放出することで上 空の温度分布を得るRASSレーダ(電波音波併用レ ーダ:Radio Acoustic Sound System)がある[1]。

音波を放出する際、現状ではホーン型スピーカが 使用されるが、周囲に観測で用いられる音が伝わ り、騒音問題となっている。外観を図-1に示す。

そこで昨年、ボルト締めランジュバン型振動子

(Bolt clamped Langevin type Transducer:以 下BLT)を利用したパラメトリックスピーカ[2]

を使用する検討[3]が行われた。3kHz正弦波を BLTアレイスピーカによって再生することを目標 に、FMおよびAM変調波による駆動実験を行たが、

Q値が高すぎるためにサイドバンドが十分に出力 されず、可聴音が十分に再生されなかった。

そこで本研究では、共振周波数の異なる2種類 BLT 素子から超音波を出力し重ね合わせ、可聴音 を空中で発生させることにより RASS レーダへの 応用を試みる。

図-1 RASS レーダ

2.BLT アレイの作成

本研究で使用した素子は本多電子製 BLT 素子

(共振周波数:25kHz, 28kHz)である。BLT 素子 とは圧電素子を用いた振動子の1つであり、Q 値 が非常に高いため共振が鋭く大きな振動振幅を 得ることができる。また一般的には超音波洗浄機 や加工機械に使用されている素子であり空中放 出の用途では使用されていない[4]。

合成波の大出力を目指すべく BLT アレイを作 成した。共振周波数 25kHz のアレイを共振周波数 28kHz のアレイを平行に並べ同時に鳴らし合成 させるパターンと、1つのアレイに共振周波数 25kHz の素子と共振周波数 28kHz の素子を1つ置 きに互い違いに配置し全ての素子を同時に鳴ら し合成させるパターンの 2 種類を作成した。外観 を図-2 に示す。

図-2 BLT アレイ

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2 3.可聴音の合成

作成したBLTアレイを用いて合成された可聴音 について、指向性と減衰の測定を行った。まず指 向性について検討する。アレイの振動面が天井を 向くように設置する。振動子の振動面中心から水 平線上にマイクを据え、その間の距離は0.8mとす る。振動面中心からマイクへの角度を0〜180度ま で5度刻みに遷移させ録音を行った。入力電圧 1.0V、量子化ビット数16bit、標本化周波数96kHz とした。それぞれ0°で共振周波数25kHzのアレイ は115dB、28kHzのアレイは120dB出力された。結 果を図-3に示す。またBLTアレイで合成された差 音の3kHzの指向特性については、共振周波数が同 じものをアレイにしたものを2種類平行に並べ同 時に鳴らし合成させるパターンの方は指向性が 確認されず、搬送波が空間中に広く分布した。

RASSレーダの応用には向いていないと言える。一 方2種の素子を1つずつ互い違いに配置し1つの アレイを作成し全ての素子を同時に駆動するパ ターンの方は、非常に強い指向性が確認できた。

結果を図-4に示す。10°では75dBの3kHzがでてい るが、180°付近では10dB程度しかでていない。

これより、アレイの組み方によって差音の指向性 が大きく変わることが分かった。

次に距離減衰について、共振周波数が同じもの をアレイにし2種類平行に並べ同時に鳴らし合成 させるパターンの方は、素子から0.5m地点では合 成波は60dBでており少しずつ減衰し2.0m地点で は42dBとなった。一方2種の素子を1つずつ互い 違いに配置し1つのアレイを作成し全ての素子 を同時に駆動するパターンの方は、0.5m地点では 合成波は53dBでており大きな減衰はなく2.0m地 点では45dBとなっている。周波数特性を図-5と図 -6に示し、距離減衰を図-7にまとめる。2つのア レイで合成した方が音圧が大きいがRASSレーダ で上空高くに音波を伝送するには減衰が少ない 方が良い。そのため1つのアレイで合成する方が 適していると言える。アレイの組み方によって減 衰の様子も大きく変わることが分かった。

4.むすび

BLT アレイの波面と合成された差音の 3kHz の 波面は指向性が強く、RASS レーダへの応用に期 待ができることが確認できた。また BLT を用いた パラメトリックスピーカは、天候の影響に強いこ とが期待できるので RASS レーダへの応用が可能 である。先行研究では 1 種類の素子を使用したが、

本研究では 2 種類の別々の素子を使用している ので、サイドバンドが消えることなく空中で差音 である 3kHz の可聴音を確認することができた。

合成の方法は、共振周波数が同じものをアレイ にしたものを2種類平行に並べ同時に鳴らし合成 させるパターンと,2種の素子を1つずつ互い違 いに配置し1つのアレイを作成し全ての素子を 同時に駆動するパターンの2種類を検証した。指 向性の面から見ても減衰の面から見ても後者の 方がより優れていることが分かった。

図-3 指向特性(アレイ) 図-4 指向特性(3kHz)

図-5 周波数特性(0.5m) 図-6 周波数特性(2.0m)

図-7 距離減衰(交互に配置)

参考文献:

[1] 津田敏隆,”RASS(Radio Acoustic SoundingSyste m)による大気計測について,”音講論(春),pp.1551-155 4,(2011,3).

[2] 米山正秀,”空気中でのパラメトリック現象のス ピーカへの応用”,第4回非線形音響懇談会(1981,10)

[3] 林謙造,”BLTを利用した長距離伝搬用パラメトリ ックスピーカ”,早稲田大学基幹理工学部表現工学科学 位論文集(2011)

[4] 本多電子株式会社“ボルト締めランジュバン型振 動子,”http://www.honda-cl.co.jp/ceramics/201211 010007.html

参照

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