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進路意思決定力と自己効力感

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Academic year: 2021

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のである。これは私自身の研究の限界でもある し,他の研究の限界でもあろう。そして行き着い たところは,良い進路意思決定とは何を指すのか という根本的な問いであった。

4.良い進路意思決定とは

 進路意思決定とは,進路決定と同義の包括的な 概念と考えている。そこには,要素として「決定 方法」と「決定動機」が含まれるだろう。私自身 としては,意思決定理論で扱っている合理的な意 思決定などは前者に該当し,自己効力感からのア プローチは後者に位置づけられると考えている。

 すなわち良い進路意思決定とは,「決定方法」

と「決定動機」さえ整っていれば,その時点ごと で実現可能なもの,評価可能なものである。その ためその個人の資源を使い切ったものであれば,

中学生でも良い進路意思決定は可能であるし,大 学生でも可能である。しかし,中学生の決定より は大学生の決定の方が良いのではないかと指摘さ れる方もおられるだろう。そこにある差は,個人 の資源の差である。経験はもちろん,知的な発達 の程度,知識・情報量,人間的な強さ,社会化の 程度などである。しかし,これは良い進路意思決 定とは切り離して考えるのが妥当ではないだろう か。

5.支援の方向

 先のように考えれば,良い意進路意思決定に向 けての支援では,個人の資源の涵養を目標から外 してしまうことができる。意思決定の手順を手ほ どきし,また決定への動機を高めるように働き掛 けるだけと割り切ってしまうのである。従来から の指導は,内容的に個人の資源の解明に傾斜しす ぎていたようにも感じる。そのため良い進路意思 決定に向けての支援は,内容的に全体的バランス を回復することにつながると考えられる。

1.自己効力感(self-efficacy; Bandura,1977他) とは

 ある行動が自分にうまくできるかどうかという 予期(効力予期)の,本人によって認知されたもの である。そしてこれは,行動や行動の変容に影響 を及ぼす主要な変数として位置づけられている。

またこれは,その行動を開始するか否か,どれく らい努力を継続するか,困難に直面した際に,ど れくらい耐えうるかを決定するとされている。

とすると… 進路選択・決定についての行動に対 する自己効力感を測定することができれば,人の 進路選択・決定行動を予測することができる。ま たその自己効力感を高めてやることができれば,

進路選択を前に戸惑ってしまい何もできないよう なことを防げるのでは?

 そこで,進路を選択・決定する過程で必要な行 動に対する遂行可能感を指す概念が登場する(進 路選択に対する自己効力感/進路選択自己効力感

/進路決定自己効力感など)。

2.これまでの研究成果

 進路選択に対する自己効力感が高い者は,意識 レベルでも行動レベルでも,望ましい結果を示 す。しかし,行動レベルの場合(特に行動回数な どを指標にした場合),明確な関連性が統計的に 認められない場合も多い(例えば,浦上(1994),

冨安(1997),富永(2000)など)。

3.自己効力感研究の限界

 私がなぜ自己効力感に着目したかを考え直す と,「何が良い進路選択・決定なのかは一概に言 えない。だけど,一生懸命考えたり,人よりも多 くの活動をすることは,現在の社会情勢にあるか ぎりは必要である」というある種の開き直りから であった。つまり,理論通りの結果が出たからと いって,進路選択に対する自己効力感が高いこと と良い進路意思決定の関連を明確に主張できない

進路意思決定力と自己効力感

自己効力感研究から進路意思決定を再考する 浦上 昌則

(南山大学文学部)

参照

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