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(1)

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

URL: http://ringring-keirin.jp/

知的 知的 知的

知的コン コン コンピュ コン ピュ ピューティング ピュ ーティング ーティング ーティング基盤技術 基盤技術 基盤技術 基盤技術の の の の普及支援 普及支援 普及支援 普及支援に に に に関 関 関 関する する する する調査研究 調査研究 調査研究 調査研究

報 報 報

報 告 告 告 告 書 書 書 書

平成 平成 平成

平成2 2 21 2 1 1年 1 年 年3 年 3 3 3月 月 月 月

財団法人 財団法人 財団法人 財団法人 ニューメディア ニューメディア ニューメディア開発協会 ニューメディア 開発協会 開発協会 開発協会

(2)

わが国経済の安定成長への推進にあたり、情報・機械産業をめぐる経済的、

社会的諸条件は急速な変化を見せており、社会生活における環境、都市、防災、

住宅、福祉、教育等、直面する問題の解決を図るためには技術開発力の強化に 加えて、多様化、高度化する社会的ニーズに適応する情報・機械システムの研 究開発が必要であります。

このような社会情勢の変化に対応するため、財団法人ニューメディア開発協 会では、財団法人JKAから自転車等機械工業振興事業に関する補助金の交付 を受けて、ニューメディアを開発・普及する補助事業を実施しております。

本「知的コンピューティング基盤技術の普及支援に関する調査研究」は、ニ ューメディアを基礎とした調査・研究事業の一環として、当協会が知的コンピ ューティング基盤技術普及支援事業コンソーシアム(株式会社アライヴ、株式 会社サイバーエッヂ)に委託し、実施した成果をまとめたもので、関係諸分野 の皆様方にお役に立てれば幸いであります。

平成21年3月

財団法人 ニューメディア開発協会

(3)

知的コンピューティング基盤技術の普及に関する研究会 名簿

・ 委員長

斎藤 信男

駒沢大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部 学部長

・ 委員

田中 博

東京医科歯科大学 情報医科学センター センター長 八巻 直一

静岡大学 総合情報処理センター長 萩野 達也

慶應義塾大学 環境情報学部 教授 国分 明男

(財)インターネット協会 副理事長 橋田 浩一

(独)産業技術総合研究所 サービス工学研究センター次長 清水 昇

慶應義塾大学SFC研究所 上席研究員 佐藤 宏之

日本電信電話(株)情報流通プラットフォーム研究所 細見 格

日本電気(株) 共通基盤ソフトウェア研究所 長野 伸一

(株)東芝 研究開発センター 知識メディアラボラトリー 大沼 宏行

沖電気工業(株) システムプラットフォームセンタ 渡邊 圭輔

三菱電機(株) 情報技術総合研究所 乙守 信行

(株)ジャストシステム イノベーションテクノロジー研究開発部 斎藤 忍

(株)NTTデータ 技術開発本部 ソフトウェア工学推進センタ

(4)

目 次

1. 背景及び目的 ... 1

2. 国内外における知的コンピューティング基盤技術に関する動向... 3

2.1 米国における知的コンピューティング基盤技術の動向 ... 3

2.1.1 セマンティック技術を活用した本格的商用サービスの台頭 ... 3

2.1.2 米国政府内に於けるセマンティック技術の活用の進展 ... 4

2.1.3 知的コンピューティング基盤技術に関する製品ベンダの競争の激化 ... 5

2.2 ヨーロッパにおける知的コンピューティング基盤技術の動向 ... 6

2.3 日本国内における知的コンピューティング基盤技術の動向 ... 12

2.4 まとめ ... 15

3. 知的コンピューティング技術を指向しているサービス事例... 17

3.1 セマンティック Web によるマッシュアップサービス ... 17

3.2 オープンな基盤機能の提供とその上での新たなサービスの構築 ... 17

3.3 Yahoo!が提供する「SearchMonkey」 ... 18

3.4 セマンティック Web コンファレンス 2009 での発表事例 ... 21

4. 知的コンピューティング基盤技術の普及に関する課題と採るべき施策... 23

5. 今後の取組みについての活動指針 ... 27

6. 付録 ... 28

6.1 研究会の概要 ... 28

(5)

1.

1.

1.

1. 背景及背景及び背景及背景及びびび目的目的目的目的

米国の大統領であるバラク・オバマ氏のホームページで公開されている技術政策に関 する文書によれば、大統領選の選挙活動にインターネットを活用したことが、2008 年の 大統領選を勝ち抜くことが出来た勝因の一つであると述べている。

ICT(情報通信技術)が米国の大統領選にまで影響を及ぼす様に、ICTの社会への影響と その重要性とは増すばかりである。

米国では、先進企業や政府で、新たに知識記述技術を組み込んだ ICTの開発と応用と が着々と進み、オバマ大統領も ICT 分野を重視することを表明している。また、EU で は、「自己の強い所を更に強くする」との考えの下に知識記述技術を組み込んだICTの技 術開発プロジェクトに巨額の戦略的投資を行なっている。我が国においても、産業力の 強化および経済発展を図る為には、ICT の動向を踏まえた戦略的技術施策を実施し、早 急に欧米に追いつき、そして、追い越すことが必要である。

なぜ知識記述技術を組み込んだICT が重要なのか理解するには、今後のトレンドを理 解することが必要である。ICT およびその活用に関する今後のトレンドを予測すると次 の様になる。

(1) 非デジタル情報のデジタル情報化が進む。

(2) 非デジタルデータのデジタル化などに伴い、Web 上の情報量が今まで以上に加速度 的に増加する。

(3) 静止画像、動画および音声などの非テキスト情報のWeb空間での蓄積が進む。

(4) 静止画像、動画および音声などの非テキスト情報に対するより正確な検索機能の必 要性が高まる。

(5) インターネット空間全体を一つのコンピューティングリソースと見做すクラウド・

コンピューティングやデータ統合やサービス統合が進展する。

(6) 日常生活の中に、デジタル情報が今まで以上に入り込んでくる。

この様なトレンドの下には、如何なる技術が重要となるかを分析すると、次の様にな る。

(1) 非デジタル情報の自動デジタル情報化技術

(2) 既存のWebのフレームワークを壊さずに新たな機能を附加する為のメタデータ技術 (タギング(タグ附加技術)とフィルタリング(選択技術))

(3) 非テキスト情報の検索を可能にするメタデータ技術

(4) 情報間の単なるハイパーリンク関係でなく、情報の意味や情報間の関係の意味を記 述する技術と意味検索する技術

(5) 異なる形式や記述データの相互互換を可能にし、統合可能にする新たな意味統合技 術

(6)

(6) 様々なコンピューティングリソースの中から必要とするリソースを効率的に見つけ、

連携させる新たな意味統合技術

ICT の中で、これまでも重要な位置を占め、これからも重要であり続けると思われ るのがWeb技術である。Web技術は、初期のハイパーリンクによる情報の単純な結合

(Web1.0と呼ばれる)から、SNSの様な人々を結ぶネットワーク(Web2.0と呼ばれる)

へと進化して来た。上述のICTのトレンドを踏まえると、Webは単なる情報のハイパ ーリンク結合から、情報間の如何なる意味を有する結合関係にあるかを示す意味

Web(Web3.0と呼ばれている)へと更に進化する見込みであり、部分的には、その姿を

現しつつある。

Web1.0及びWeb2.0とWeb3.0との違いの例を次に示す。

太郎さんと花子さんとが夫婦関係にあり、夫々が個人のホームページを開設してい

る時、Web1.0やWeb2.0の世界では、太郎さんのホームページと花子さんのホームペ

ージとがハイパーリンクで結ばれていたとしても、コンピュータは太郎さんと花子さ んとは、何らかの関係にあることは認識できるが、如何なる関係にあるかを認識する ことは出来ない。しかし、Web3.0の世界では、太郎さんと花子さんとが夫婦関係と言 う関係で関係付けられていると関係の意味をコンピュータが把握することが可能とな る。この様な関係の意味が分ると、太郎さんが男性であるとすると、「太郎さんの妻は 誰?」と問い掛けられた時、(一夫一妻制が前提であるが)「それは花子さんである」

とコンピュータで答えを見出すことが可能となる。

Web3.0の世界では、Web上の情報は、情報の表現形式や用語の違いを乗り越えて意

味統合され、必要な情報を効率的に見出し、Web 全体を巨大な知識リソースとして扱 うことが可能となり、更には、黙示的な情報を洗い出すことも可能となる。

この様に、Web3.0 は、ICT の世界に革新を来たすものであり、米国のワシントン DC にあるコンサルタント組織である Project10X の 2008 年版の報告書によれば、

Web3.0には、20 億ドル(2,000 億円)の製品マーケットがあり、1 兆ドル(100 兆円)の

経済成長をもたらすものと見積もっている。

本報告書は、セマンティック技術を用いたこのWeb3.0を中心とする知的コンピュー ティング基盤技術の普及支援に関する調査研究結果の報告書である。

(7)

2. 2.

2. 2. 国内外国内外国内外における国内外におけるにおけるにおける知的知的知的コンピューティング知的コンピューティングコンピューティングコンピューティング基盤技術基盤技術基盤技術に基盤技術にに関に関関関するするするする動向動向動向動向 2.1

2.1 2.1

2.1 米国米国米国米国におけるにおけるにおけるにおける知的知的知的コンピューティング知的コンピューティングコンピューティングコンピューティング基盤技術基盤技術基盤技術基盤技術ののの動向の動向動向動向

米国に於ける知的コンピューティング基盤技術の動向を要約すると次の様になる。

(1) セマンティック技術を活用した本格的商用サービスの台頭

代表的なものに、Yahoo社のサーチモンキーとCalais社のオープンカレーがあり、

最近は、セマンティックソリューションを提供するmetatomix社の様な専業のサービ ス提供者が出現している。

(2) 米国政府内に於けるセマンティック技術の活用の進展

司法省、国土安全保障省、環境保護庁、地理空間情報センタ、国防総省及び空軍 等での利用が進展している。

(3) 知的コンピューティング基盤技術に関する製品ベンダの競争の激化

数え切れないほどのベンダがあるが、代表的なベンダにTopQuadrant社や Modus Operandi社等がある。

2.1.1 2.1.1 2.1.1

2.1.1 セマンティックセマンティックセマンティックセマンティック技術技術技術技術をををを活用活用活用活用したしたした本格的商用した本格的商用本格的商用本格的商用サービスサービスサービスのサービスのの台頭の台頭台頭 台頭 (1) Yahoo社のサーチモンキー

Yahoo社は、Google対抗とも考えられる「サーチモンキー」という検索プラットフ

ォームを公開して、利用者に Yahoo!の検索結果を分り易く且つ使い易くする仕組みを 提供している。ここで特筆すべきは、サーチモンキーの裏ではセマンティックWebの 標準の構造化データが利用されている事である。

(2) Calais社のオープンカレー

オープンカレー(Open Calais)は、メタデータ技術とセマンティック技術とを活用し て連動検索を行なうマッシュアップサービスの一種である。

Webページの内容の中で、予め決めてある項目(組織、人等)の情報をRDF、HTML

若しくはMicroformatsに変換し、そのデータを用いて、関係する情報を再検索するサ

ービスである。

(3) metatomix社

セマンティック・ミドルウェア・ソリューションのサービス提供者である。財務サ ービス、司法、製造業、生命科学の分野を対象にし、データ及びプロセスの統合、複 数のエンタプライズシステムを横断した共通的な意味統合により、既存システム間の 問題の分析や問題の原因解析を行なうと共に調和的統合を実現するサービスを提供し ている。

(8)

2.1.2 2.1.2 2.1.2

2.1.2 米国政府内米国政府内米国政府内米国政府内にににに於於於於けるけるけるけるセマンティックセマンティックセマンティックセマンティック技術技術技術技術ののの活用の活用活用の活用ののの進展進展進展 進展

(1) NIEM(National Information Exchange Model)の見直しとセマンティック技術の利 用

2005年2月に司法省と国土安全保障省とがNIEMを設立し、XMLベースで、情報 共有の為のデータ交換の標準の策定を開始したが、検討対象が複雑且つ多岐に亘り、

NIEM は大規模且つ複雑な概念語彙の定義から構成されるようになった。しかし、こ の様な概念記述の方式は、多くの組織での使い馴れたものとは異なるものとなってし まった。そこで、セマンティック技術を用いて、既存のデータからNIEMへの費用対 効果の高い対応付けの方法を試みる事になった。

(2) 米国環境保護庁(U.S. EPA)

政府から色々な統計情報がExcelの表データとして提供されているが、Excelデータ の場合、サーチエンジンがアクセスできないので、速やかな共有や再利用や分析がで きない。そこで、米国勢調査局の Excel データをオントロジデータに変換して公開す ることを開始した。これに伴い、共通セマンティックリポジトリ、共有概念オントロ ジ及び行政機関の間の関係のオントロジを開発した。これにより、必要なデータを見 つけ易くなり、有効活用が可能となった。

(3) 地理空間技術センタ(Geospatial technology center)

リモートセンサ写真、ベクトルファイル若しくは写真の歪みを修正したオルソ化写 真などの地理的位置を記述した地理空間情報と他の文書情報やWebページなどを、セ マンティック技術を用いて統合する予定である。この為、地理空間オントロジやツー ルや地理空間セマンティックWebを開発する計画である。

(4) 国防総省

テロリストや大陸間弾道弾等による人災とハリケーン、地震及び津波等の天災との 災害予測を行う為には、関係組織が有している事前予測データの意味的相互互換を可 能にすることでアクセス可能にし、リアルタイムに分析することが必要であり、これ により、災害を防止し、対策を準備することができる。更に、災害に対する事前の予 測を行なうことにより、生命や財産を保護することができる。

(5) 空軍の知識管理イニシアチブ(KMI : Knowledge Management Initiative)

KMIは、試射場に関するネットワーク上に分散している色々な情報を、仮想的に連 携させたオントロジベースのエンタプライズモデルを介して、意味的に一体化して Webベースのビューで関係者に提供する。

(9)

2.1.3 2.1.3 2.1.3

2.1.3 知的知的知的知的コンピューティングコンピューティングコンピューティング基盤技術コンピューティング基盤技術基盤技術基盤技術にににに関関関関するするするする製品製品製品ベンダ製品ベンダベンダベンダののの競争の競争競争競争のののの激化激化激化激化 (1) TopQuadrant社

セマンティックアプリケーション用のセマンティックデータサーバやRDF格納管理 機能等から成る基盤パッケージ製品を開発し販売している。

(2) Modus Operandi社

Modus Operandi社は、オントロジにより情報を統合し、推論により黙示的情報を洗

い出す機能を有するCloudwallシステムを開発し、販売している。

(10)

2.2 2.2 2.2

2.2 ヨーロッパヨーロッパヨーロッパヨーロッパにおけるにおけるにおける知的における知的知的コンピューティング知的コンピューティングコンピューティングコンピューティング基盤技術基盤技術基盤技術の基盤技術ののの動向動向動向 動向

ヨーロッパでは「セマンティック」検索プロジェクトが乱立しており、代表的なも のとしてフランスのクエロプロジェクト、ドイツのテセウスプロジェクト、ノルウェ ーのiADプロジェクト、そして EUのファロス計画などがあげられる。

フランスのクエロプロジェクトはマルチメディア検索、多言語情報に重きを置いて おり、ドイツのテセウスプロジェクトは、クエロプロジェクトに参加するはずだった がセマンティック検索に関心を持ち、またクエロプロジェクトに協力を約束した首相 が交代したことにより独自のテセウスプロジェクトを立ち上げた。

テセウスプロジェクトは、元々は独仏共同で開始したプロジェクトだが、単にマル チメディア検索でGoogleを超えるということでなく、ドイツのICT産業発展のために 国内企業とがっちり手を組んで進めるということに舵を切り替えたようであり、プロ ジェクト成果は現状見えてないが、各パートナ企業から、また毎年開催されるドイツ

IT SUMMIT で発表されていくものと思われる。ベースの技術分野に於いては、ドイ

ツ人工知能研究センタ(DFKI)やカールスルーエ大学やオントプライズなどは、知識処 理技術で世界的に先行しているので、これらの技術+マルチメディア+インターネッ ト+Webサービスを軸に行われると思われる。

ノルウェーの iAD プロジェクトはサーチエンジンで有名だった Fast Search &

Transferが中心になって立ち上げ、EUはテセウスプロジェクトやクエロプロジェクト

とは別にマルチメディア検索のファロス計画を立ち上げた。

以下、それらの概要についてまとめた。

(補足)以下の概要に付いては、慶應義塾大学SFC研究所主催のセマンティックWeb 委員会の調査結果を参考にしている。

(1) フランスのクエロプロジェクト

・プロジェクト名称 Quaero(クエロ)

・期間、予算

2008年3月から5年間(準備は2006年4月から開始) 2.5億ユーロ

・主な参加団体及び機関

Thomson社(フランスのマルチメディア・家電企業)他23社 (仏独)

ただし、ドイツは2006年12月脱退し、独自にテセウス(Theseus)プロジェクトを開 始。

・内容

Google に対抗する為、仏独政府主導で始まった検索に関するプロジェクト。次の 5

(11)

つのアプリケーションプロジェクトからなる。

①デジタル化とコンテンツ強化

②デジタル権利管理

③パーソナライズされた動画

④マルチメディア検索エンジン

⑤PC、モバイルポータルからの動画等へのアクセス

(2) ドイツのテセウスプロジェクト

・プロジェクト名称 テセウス(THESEUS)

・プロジェクト期間

第1段階 (2006年12月8日から2008年迄)

第2段階 (2009年からの五ヵ年)

・予算額

第1段階は不明

第2段階は 約200百万ユーロ

ドイツ連邦経済技術省(BMWi)が約 100 百万ユーロでパートナ企業が同額を支出す る。(備考 [2]より)

・主な参加団体及び機関 -大学、研究機関

フラウンホーファ協会、ドイツ人工知能研究センタ( DFKI )、コンピュータサイ エンス研究センタ( FZI )

ルートヴィヒマクシミリアン大学( LMU )、ミュンヘン工科大学、ダルムシュタッ ト工科大学、カールスルーエ大学、ドレスデン工科大学、エルランゲン大学

-アプリケーションシナリオの開発担当

ドイツ国立図書館、 empolis社 、ライコスヨーロッパ、 SAP 、シーメンスを中心 にドイツトムソンoHG 、 Festo、インテリジェント社、 Moresophy 、 Ontoprise 、 ドイツ機械工業協会( VDMA ) が参加している。

・概要

①ドイツ連邦経済技術省(BMWi)が、ICTの分野におけるドイツそしてヨーロッパの 技術的な地位の確立と雇用創出を目的として進めているプロジェクトである。

技術分野ではドイツ国内最大の予算が投入されている。

②本プロジェクトでは「Web3.0=Web2.0+意味技術」と解釈し、インターネットベー スでの知識処理技術をインフラとした6つのアプリケーションシナリオを作成し、

研究機関、大学、企業特に中小企業との連携によって研究だけでなく経済ベース での新規ビジネスを国内および国外で成功させること目的としている。

(12)

また、産業だけではなく、文化遺産の保存と文化の多様性の維持に寄与すること や、優秀な研究者・技術者の育成にも注力している。

③第1段階として基礎技術に基づいた初期ソリューションとデモ開発を2008年まで 行い2009年以降は第2段階としてテセウス中小企業(TESEUS SME 2009)を開始 する。

ここでは中小規模の企業との連携によって各アプリケーションシナリオに沿った 実産業での実現を目指す。

④テセウスであげられている6つのアプリケーションシナリオ

i)ALEXANDRIA インターネットにおけるナレッジプラットフォームの開発

パートナ:ドイツ国立図書館、シーメンス、ライコスヨーロッパ

ⅱ)CONTENTUS 文化遺産保護およびマルチメディアライブラリに向けての技術開

パートナ:ドイツ国立図書館、ドイツトムソン、フラウンホーファ協会など

ⅲ)MEDICO 医療分野でのスケーラブルなイメージ検索

パートナ:ドイツ人工知能研究センタ(DFKI),ミュンヘン工科大学、シーメンス など

ⅳ)ORDO デジタル情報処理としてテキストに対するセマンティックアノテーショ

ンと利用、情報の可視化アプリの開発を行う パートナ:empolis社、フラウンホーファ協会

ⅴ)PROCESUSS ビジネスプロセスの最適化を、セマンティック技術を用いて行う

パートナ:empolis社、SAP、ドイツ機械工業協会( VDMA )

ⅵ)TEXO 「サービスとしてのインターネット」によるビジネスWEBのインフラ構

パートナ:ドイツ人工知能研究センタ(DFKI)、SAP、オントプライズ社など 本アプリケーションシナリオを支える基盤技術として以下の項目があげられてい る。

a)マルチメディアファイルのメタデータ自動生成 b)マルチメディア文書の意味処理

c)オントロジ(開発、管理、ツールの広範囲な技術)

d)機械学習(オントロジ生成、自動アノテーションなどへの応用)

e)状況に依存した対話処理

f)革新的なユーザーインタフェース

g)革新的なデジタル著作権管理(DRM)プロセス h)評価(デジタル品質の評価方法など)

・備考

[1]テセウスホームページ(http://theseus-programm.de/index_en.html)

(13)

[2] The THESEUS Research Program

New Technologies for the Internet of Services November 2008

ドイツ連邦経済技術省(BMWi)ホームページ

(http://www.bmwi.de/English/Navigation/root.html)より本資料を含む各種文 書の入手ができる。

[3]欧州のイノベーション政策動向調査 平成20年3月 独立法人 新エネルギ・産 業技術開発機構 パリ事務所

(3) ノルウェーのiADプロジェクト

・プロジェクト名称

iAD (information Access Disruptions)

・プロジェクト期間 2007年から8年間

・予算額

240百万NOK(参考 約32.6億円 1NOK=13.6JPY 2/16時点)

一 部 は ノ ル ウ ェ ー 総 合 研 究 審 議 会(RCN)の SFI(Centre for Research-based

Innovation)として国の資金が投入されているが、大部分はホストである Fast

Search & Transferが出資しているようである。

・主な参加団体及び機関

- Fast Search & Transfer(ノルウェー)

※ 検索エンジン企業。本プロジェクトのホスト。

以下のパートナと協力。

- Cornell University(アメリカ)

- Dublin City University (アイルランド)

- Norwegian School of Management (BI)(ノルウェー)

- Norwegian University of Science and Technology (NTNU) (ノルウェー) - University of Oslo (UiO)(ノルウェー)

- University of Tromso (UiT) (ノルウェー)

- Accenture(世界的な総合コンサルティング企業)

- Schibsted(ノルウェー、ヨーロッパで最大のメディア企業の一つ)

・概要

情報アクセス分野における、次世代の精度(precision)、分析(analytics)、スケーラビ

リティ(scalability)のためのコア研究をターゲットとしている。特に次の点にフォー

カスしている。

①構造化、非構造化、マルチメディアなどの混在データに対する、情報アクセスサ

(14)

ービスに最適化した索引生成。

②スケーラブルかつ対障害性の高いシステムのアーキテクチャの開発。高速なデー タストリームからの情報のキャプチャ、クリーニング、抽出のためのデータ処理 およびデータマイニングのプラットフォームを含む。

③分散情報アクセスのための次世代インフラの開発と実環境での評価。

④マルチメディア情報アクセスのための高精度なソリューションの開発。

⑤情報アクセスそのものや情報アクセスソリューションによって可能となる破壊的 過程(destructive processes)を明らかにすること。

・備考

iADのWebサイト

http://www.iad-centre.no/

NTNUのiADに関する記事「Right information at the right time」 http://www.ntnu.no/research/research_excellence/iad

iADに関するプレスリリース

http://www.fast.no/press.aspx?m=63&amid=6354

(4) EUのファロス計画

・プロジェクト名称

The PHAROS Project(ファロス計画)

※ PHAROS は、Platform for searcH of Audio-visual Resources across Online Spacesの略称である。

・プロジェクト期間

2007年1月1日から3年間(FP6(Sixth Framework Program:第6次EU研究 開発枠組み計画)での計画である)

・予算額

1,425万ユーロ(ファロス計画全体の総額)

※ うち、850万ユーロがEUのFP6から拠出。

・主な参加団体及び機関

- Engineering Ingegneria Informatica S.p.A.(イタリア)

※ 本プロジェクトのコーディネータ。

- Fast Search & Transfer(ノルウェー)

※ 本プロジェクトの中心企業。2008年にMicrosoftが買収。

- France Telecom(フランス)

- Fraunhofer IDMT(ドイツ)

他、計9カ国12団体で PHAROS Consortium を構成。

※ 当初は13団体でスタートしたが、イタリアのMetaware S.p.A.が抜けた模様。

(15)

・概要

①Audio/Visual データを含む次世代マルチメディア検索プラットフォームの開

発を目的として、EUの第6次研究開発枠組み計画(FP6)で発足したオープン指 向のプロジェクト。

②従来のプリミティブな情報検索エンジンから総合的な検索プラットフォームへの パラダイムシフトを狙っているという。マルチメディア・コンテンツからセマン ティックな情報を抽出し、メタデータとしてコンテンツに付与する自動アノテー ション技術の実現を主要な目標の1つとしている。

③これまでの主な成果の1つとしてAV-RSSというAVコンテンツ向けRSSがある。

・備考

(参考文献)

ファロス計画のWebサイト

http://www.pharos-audiovisual-search.eu/

NICTパリ事務所による調査報告書

http://www2.nict.go.jp/r/r313/j/EU_report/FP7.pdf

(16)

2.3 2.3 2.3

2.3 日本国内日本国内日本国内日本国内におけるにおけるにおける知的における知的知的知的コンピューティングコンピューティングコンピューティング基盤技術コンピューティング基盤技術基盤技術基盤技術のののの動向動向動向動向

知的コンピューティング技術に関し日本を代表する複数の企業、団体に対して調査 を行ない、現状の取組み状況、意識している項目、有望と見込む領域、基礎となる技 術、ビジネス状況および知的コンピューティング基盤技術により見込める効果、期待 する支援についてまとめた。

全体としては、知識抽出、ツール開発、オントロジ構築、辞書作成などに重点的に 取り組んでいるといえる。

また有望と見込む領域としては、オントロジ活用による法令・診療ガイドラインの 検索、プレーンテキストからオントロジを生成するツール、情報家電オントロジの活 用、家庭内での情報機器の意味的な連携に基づく医療・健康サービス等があげられる。

ビジネス状況としては、法令、医療、出版、セキュリティなど多様な分野へのセマ ンティックWeb技術のビジネス展開、国立大学と共同での産学連携支援環境の構築、

国家プロジェクトでの実証実験、社内での利用、民間企業との共同研究、学会を中心 とする「総合学術辞典」の構築などがあげられる。

見込める効果としては、環境・省エネ、医療・生命、安心・安全、つながり力に大 いに期待ができる。

また今後、国に期待する支援としては、以下のような項目が挙がった。

・オントロジ自動抽出技術および自動生成技術、オントロジとして生成された知識 の蓄積技術、蓄積された知識データからの黙示的知識の発見技術及び知識データ の利用技術等の研究開発支援とオープンな知識処理基盤の構築支援

・新技術で構築した辞書やオントロジなどのアウトプットを共有の知財として公開 していく国家プロジェクトの推進

・実証実験の予算措置

・オントロジをどのように作るかといった構築方法の支援

・RDFデータベース等の共通基盤ソフトウェアの開発に対する支援

・地域における総合生活サービスに関する実証実験に対する支援

以下、調査結果を一覧表にまとめた。

(17)

<日本国内における知的コンピューティング基盤技術の動向調査結果>

各社が意識している項目

メーカー、団体 動向 動向要約 知識

抽出 ツー オント

ロジ 辞書 キュリ

ティ

有望と見込む領域

企業A

セマンティックWebに関するツールとして「セマンティックWebエンジン」「オントロジジェネレータ」「セマンティックWebエンジンサー バ」「セマンティックWeb検索エージェント」を販売。また、プレーンテキストからオントロジを生成する要望もあり現在開発中。最 近、オントロジが出来ればセマンティックWeb技術は使えるとの反応を得られる様になった。例えば法令やガイドラインをオントロ ジ化すれば、人々が、厚い本や資料を時間を掛けて読んだりする必要がなくなり、それらの意味を誤解することもなくなり、また、

他の情報との連携も容易になる。これにより、人々が、法令などの資料を読み下す時間を節約でき、また、誤解により費やされる 時間と工数の無駄を無くすことができるので、人々の作業が効率化される省エネ効果が期待できるし、医療では診療ガイドライン をオントロジにして利用できれば効果が大きく、広まる可能性が大である。ポイントは、オントロジをどのように作るかである。

・セマンティックWebツールの開発・販売

・プレーンテキストからオントロジを生成するツールを開 発中

・オントロジが出来ればセマンティックWeb技術は使える

・法令や診療ガイドラインのオントロジ化による作業の効 率化と省エネ効果

・ポイントは、オントロジをどのように作るか

オントロジ活用による法令・診療ガイドライ ンの検索

プレーンテキストからオントロジを生成 ツール

企業B

NTT情報流通プラットフォーム研究所では、大量のデータからの知識の抽出・発見を支援する研究を行なっている。

セマンティックWebの技術を利用して、もともといっしょに扱う予定がなかった複数の異なるDBの情報を統合して活用する研究が ある。京大との共同研究では産学連携SNSのデータと大学の成果情報などを統合し、大学の技術シーズと企業ニーズのマッチ ング環境を提供している。

また、セマンティックWeb技術は利用していないが、大量のアクセスログからWebを利用するユーザのプロファイリングを行う技術 も研究している。

・情報を統合し新たな知識の抽出

・アクセスログからのユーザプロファイリング

レガシーなDBの情報だけでなく、人の 動・アクセスのログなどを含んだ大量情報 の解析

企業C

Webを対象とした知識の増殖について研究を行なっている。タネとなる語の集合をWebから収集して同義語の辞書を作る技術、

データベースを統合した際の結果からデータの同義性判定ルールを生成する技術など。また、オントロジを使った高精度で文書 形式に依存しない情報抽出・分類技術や、テキストの任意の部分にメタデータを付与して高速にセマンティックな検索ができる技 術も開発。メタデータやオントロジによるセマンティックな情報処理は、ユーザと対話的に行なう場合が多く、レスポンスの速さや 柔軟性の高さは重要な指標と考えている。

・Webを情報源とした同義語の抽出

・DB統合における同義性判定ルールの生成

・オントロジによる情報の抽出・分類

・メタデータ付きテキストのセマンティック検索

・セマンティックな情報処理では速さと柔軟性が重要

多種多様に表現されるデータの比較 合、セマンティックな情報検索・分類

企業D

昨年、NEDOプロジェクトで情報家電オントロジを作り、「情報家電オントロジ記述ガイドライン」を公開した。今年はそれを活用す るためのデモを公開する予定である。別のチームでは情報大航海プロジェクトで、コンピュータがナビゲートしてカウンセリングを 行なう転職者向け対話(相談)支援システム(「ラダリング型検索サービス」)を開発する際に構造をモデリングするのにオントロジ を活用している。コミュニケーション活性化という観点で知的コンピューティングに応用できないだろうか?

・情報家電オントロジを活用する為のプログラム、ツール の開発

・個人の能力や専門知識がオントロジ化、構造化されて いればコミュニケーションに活用できる

情報家電オントロジの活用 オントロジに基づく対話支援による適切 情報提供

企業E

当社では,Web上の文書データを対象としたテキストマイニング,情報検索の研究に取り組んでいる.特に,商品に関する評判情 報が書かれたブログを収集し,その中から評価意見を判定したり,評価意見の種類に応じて分類するサービスの開発を行ってい る.オントロジーの構築に関する技術,およびオントロジーを介して語彙の意味や文書間の類似性を判定する技術がベースに なっている.

文書データを分析する上で,異なる情報源の文書データ(例えば「旅」に関して,個人ブログ,自治体ブログ,旅行会社ブログ)で,

各々の情報の質や量が異なっていることが,横断検索を困難にしている要因の1つとなっており,文書データの間を紐付けたり,

互いに補完することが今後重要であるとの問題意識を持っている.

・テキストマイニング、情報検索の研究

・商品に関する評判情報を、評価表現に関するオントロ ジを構築して分析する

・文章間の類似性を、オントロジを介して判定する

・検索リテラシーがない人でもWeb文書間の紐付けが出

来ないか

オントロジーの整備による,データの 化,情報の共有化の実現 情報や文書の体系化を容易に行う仕組 と,領域を横断した検索

企業F

文書処理チームで研究を行なっている。イントラ検索として、2年前に不具合の未然防止システムを開発した。これは、設計文書 中の言葉により過去の失敗事例から検索を行うもの。設計者により使う言葉がまちまちだと、せっかく全社的に蓄積されたデータ が利用できないという問題があり、オントロジにより解決を検討したが、オントロジをどのように作るかが課題であった。

・イントラ検索として、過去の失敗事例を参考に不具合の 未然防止システムを開発

・設計者により使う言葉がまちまちであるという問題をオ ントロジにより解決を検討したが、オントロジをどのように 作るかが課題

オントロジ活用による失敗事例に基づく 具合の未然防止システム

企業G

現在、パッケージが売れなくなっておりソフト専門企業では存続が厳しい。ナレッジ共有技術としてXMLのXfyを開発したが、うまく いかなかった。XMLベースでやろうという話はあるが、ビジネスとしては国内では駄目だったので、海外(米国)でやったが、これも 今夏撤退した。XMLを運用するサーバ(インフラ)が必須なため大手でないとむつかしい。ヨーロッパでは、国のプロジェクトとして 取り組んでおり、日本でも国として取り組まないと一企業では、とうてい難しい。個人的には、オントロジ自動生成ツールや基盤 辞書のような基盤技術を作ってはどうか。

・ナレッジ共有技術のXfyはXMLを運用するサーバが必 須なため大手でないとむつかしい。ヨーロッパでは、国の プロジェクトとして取り組んでおり、日本でも国として取り 組まないと一企業では、とうてい難しい

・オントロジ自動生成ツールや基盤辞書のような基盤技 術を作ってはどうか

基盤技術(オントロジ自動生成ツール 盤辞書)の開発

企業H

NTTデータではシステム開発の上流工程の方法論の整備を進めている。具体的には、これまでのコンサルティング業務などで実 績のある、上流工程のためのNTTデータの独自の手順や方法論を整理し、より有効な組み合わせ方を検討していくことを予定し ている。

ビジネスの変革コンサル、それに基づくシステム開発、その後のシステム活用サポートの一連のサービスを強化していく予定。

・上流工程の方法論の整理、組み合わせ

・コンサル、システム開発、システム活用の一連のサー

ビス強化

ビジネスレベルのコンサルティング 確実な要件定義書の作成 成果につながるシステム開発

団体A

ニューメディア開発協会では、ICカードの開発普及に携わったが、非接触、JAVA搭載の流れの中で社会に普及し、現在はJRや 地下鉄などで利用され非常に便利になった。やはり社会で使われて"なんぼ"だと感じる。ICカードのほかには、電子パスポート の互換性検証のプロジェクトにも関わったが、両方ともセキュリティの範疇に含まれると思う。また、10年以上前からネット上の有 害情報を遮断するPICS(Platform for Internet Content Selection)準拠のフィルタリングソフトの開発に関わり、現在はインター ネット協会で引き続き普及活動を行なっている。今年関連法案が国会を通過し、ユーザにもフィルタリング機能が義務化された。

警察庁では、有害サイトを通報するインターネットホットラインセンターを開設したが、月に1万件以上の通報がある。また有害サ イトを見つける為のガイドラインもあるが、検索する言葉には隠語が多く、ここでもオントロジがうまく使えないだろうか? (セマン ティックWebの)RDFは、ブログやRSSで意識せずに使われていて、Web2.0の基盤技術になっている。誰でも使えるソフトを作っ て、使える環境を整えれば社会で定着するのではないか。

・ICカードの開発普及や電子パスポートの互換性検証に 関わったが、両方ともセキュリティの範疇に含まれる

・有害サイトを見つける為のガイドラインを検索する言葉 には隠語が多く、オントロジがうまく使えないだろうか

・誰でも使えるソフトを作って、使える環境を整えれば社 会で定着するのではないか

セキュアなxxxを活用したe-xxビジネス オントロジ活用による有害サイト発見 ドラインの検索

団体B

ISeC(セマンティックコンピューティング研究開発機構)がW3Cに提案したコモンWebランゲージをは何十万、何百万のオントロジが 出る概念辞書。オントロジがあると役立ちそうだが整理する必要がある。自然言語処理や辞書の分野では日本は進んでいる。メ タデータという考えで整理してゆき、必要に応じてRDFに変換すれば良い。ユビキタス、モバイルなどを横断的に繋いだ情報基盤 を作ってそこに辞書やオントロジを活用してはどうか。

横断的情報基盤の構築と辞書やオントロ ジの活用

団体C

セマンティックオーサリング(オントロジーに基づくコンテンツ作成支援)の実装としてセマンティックエディタおよびWorkmapというソ フトウェアを開発している。セマンティックエディタはグループウェア機能を持ち、オントロジーを含むさまざまなコンテンツの共同 作成だけでなく、制約処理や帳票の生成等のプラグインによってさまざまなアプリケーションを開発するプラットフォームを目指し ている。Workmapはよりキメ細かいアプリケーション開発のインタフェースを備え、利用者が自らサービスをその意味に基づいて 相互に連携させて新しいサービスを創造しそれを他の利用者と共有するための機能も持つ。また、情報家電等の機器をオントロ ジーに基づいて相互連携させるとともに、音声インタフェース等による意味に基づく操作を可能にする基盤ソフトウェア(生活世界 ミドルウェア)の開発を進めている。以上を統合して一般的な知識基盤プラットフォームを実現したい。

オントロジーの基盤の上で意味に基づいてさまざまなア プリケーションを開発しサービスを連携させる技術、およ び家電等の機器を意味に基づいて連携操作する技術の

研究開発を進めている。

エンタープライズシステム 家庭内での情報機器の意味的な連携 づく医療・健康サービス等 さらに、PLR (Personal Living Record 築による総合生活ソリューションサービス

(18)

また、国が進める知的コンピューティング技術に関連するプロジェクトには、経済産業 省が主導の「情報大航海」プロジェクトと文部科学省が主導の「情報爆発」プロジェクト がある。以下に概要をまとめた。

(補足)以下の概要に付いては、慶應義塾大学SFC研究所主催のセマンティックWeb委員 会の調査結果を参考にしている。

(1) 情報大航海プロジェクト

・プロジェクト名称

情報大航海プロジェクト(Information Von Voyage)

・期間、予算

2007年~2009年 150億円(3年間)

・内容

個人の生活、ビジネスなどあらゆる局面で必要な時に必要な情報を提供するための

「次世代検索・解析技術」とサービス事業について実証。経済産業省主導。

「次世代検索・解析技術」は、実際に役に立つセマンティック技術の開発を狙いとし ている。

(2) 情報爆発プロジェクト

・プロジェクト名称

情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究

・期間

2006年~2010年

・内容

情報爆発時代に向けた先進的なIT基盤技術の構築。大航海プロジェクトと比べると 学術的である。文部科学省主導。

具体的テーマは以下のとおり。

A01 情報爆発時代における情報管理・融合・活用基盤

Semantic Web関係: 人工物オントロジに基づく製造業における技術ドキュメントの

融合 (大阪大学)、メタデータの創造的流通(国立情報学研究所) A02 情報爆発時代における安全・安心ITシステム基盤

A03 情報爆発時代におけるヒューマンコミュニケーション基盤 B01 情報爆発時代における知識社会形成ガバナンス

(19)

2.4 2.4

2.4 2.4 まとめまとめまとめまとめ

地域別に特徴を見てみると、米国では民間企業が先駆的な取組みを見せており、

Google、Yahoo、マイクロソフト、IBM、サンマイクロシステムズといった大手IT企

業を始めベンチャ企業のmetatomix社、TopQuadrant社、Modus Operandi社などが 新規サービスを展開して新たな動きを見せている。また、今年(2009年)1月にオバマ新 政権により発表された「臨床医療のための医療 IT法(Health IT for Economic and Clinical Health Act)」では、総額200億ドルの予算で、医療のIT化により医療関連 で20万人以上の新規雇用の創出を行なうとしている。

また、ヨーロッパでは各国政府や EU 共同体が米国企業への対抗策として意欲的に 予算を投じてIT基盤技術の確立と雇用創出ならびに優秀な研究者・技術者の育成に取 り組んでいる。プロジェクトの予算規模としては、数億円~数十億円の規模であり、

時期としては、2006年頃から始まり数年間の期間をかけて取り組む計画である。さら に特筆すべき点は、複数のアプリケーションシナリオを作成し、単に研究機関、大学、

企業との共同研究だけで終わることなく、そのシナリオに沿った実産業での成果をめ ざしていることである。

一方我が国では、国が進める代表的なプロジェクトとしては、経済産業省主導の「情 報大航海」プロジェクトや文部科学省主導の「情報爆発」プロジェクトなどがある。

情報大航海プロジェクトは、2007年~2009年の3年間で150億円を投じるプロジェ クトであり、次世代検索・解析技術とサービス事業について実証実験を行なっている。

次世代検索・解析技術では、実際に役に立つセマンティック技術の開発を狙いとして いる。また情報爆発プロジェクトは、2006 年~2010年の 5年間で情報爆発時代に向 けた先進的なIT基盤技術の構築を目指しており、大航海プロジェクトと比べて、学術 的な取組みとなっている。

その他の動向を見てみると、米国の調査会社ガートナによると2009年に注目すべき 10の戦略的テクノロジとして以下の項目が挙げられている。

(1) 仮想化

(2) ビジネス・インテリジェンス (BI) (3) クラウド・コンピューティング (4) グリーンIT

(5) ユニファイド・コミュニケーション

(6) ソーシャル・ソフトウェアとソーシャルネットワーキング (7) Web指向アーキテクチャ (WOA)

(8) エンタプライズ・マッシュアップ (9) 「特化型」システム

(10) ブレードを超えたサーバ

(20)

また、米国の企業向けIT関連ニュースサイトzdnetの解説によれば、これらの多 くがセマンティックWebの基盤を成すものでありセマンティックWebが重要であると 指摘している。

(21)

3.

3.

3.

3. 知的知的コンピューティング知的知的コンピューティングコンピューティング技術コンピューティング技術技術を技術ををを指向指向指向指向しているしているしているしているサービスサービスサービスサービス事例事例事例事例 3.1 3.1

3.1 3.1 セマンティックセマンティックセマンティックセマンティック WebWebWebWeb によるによるによるによるマッシュアップサービスマッシュアップサービスマッシュアップサービスマッシュアップサービス (1) IYOUIT

・Flickr+Twitter+Google Earthを融合したサービス。

・NTT Docomoのヨーロッパ研究所が発表した新しいソーシャルネットワーキン グ位置情報サービスで、Nokiaの携帯電話で利用可能。

(2) Interceder

・Daylife+Open Calais+Freebase+Yahoo! Pipesを融合したサービス。

・最新の各ジャンルのニュースヘッドラインが作成され、希望するニュースの情 報が動画や静止画で見ることができる。

(3) Semantic Book Suggestions

・Calais+Wikipedia+Amazonを融合したサービス。

・検索したい用語を入力すると、結果をWikipediaから探しCalaisによって解析 され、次にAmazonから関連する商品が選択される。

(4) meex(Music Event Explorer)

・musicmoz+musicbrainz+EVDB+Google Mapsを融合したサービス。

・musicmozとmusicbrainzで探したアーチスト及びバンドに関する情報を基に、

EVDBでイベント情報を入手し、Google Mapsでイベント会場を表示させる。

3.2 3.2

3.2 3.2 オープンオープンオープンオープンななな基盤な基盤基盤機能基盤機能機能機能ののの提供の提供提供とその提供とそのとそのとその上上上での上でのでの新での新新新たなたなたなたなサービスサービスサービスのサービスのの構築の構築構築 構築 (1) Open Calais/Semantic Proxy

・Webページの内容の中で、予め決めてある項目(組織、人等)の情報をRDF、HTML 若しくはMicroformatsに変換してくれる。

・Open Calais/Semantic Proxyの上で提供されているサービスには、次のものが ある。

①Thinkpedia:SemanticProxyの抽出したタグに基づいてWikiのナビと検索 を行なう。(ビジュアルWiki)

②Who’s who in the financial news:ロイターニュースから人物、会社、イベン ト、場所などに関する意味データを抽出する。

(2) Watson

・ゲートウェイ形式でセマンティックデータを抽出する。

・Watsonの上で提供されているサービスには、次のものがある。

①Watson Plugin:ブラウザ上でオントロジを利用する。

(22)

②Wahoo:Yahooに対する問合せからセマンティックWeb用語を検知し、関連情 報を再検索する。

3.3 3.3 3.3

3.3 Yahoo!Yahoo!Yahoo!Yahoo!がががが提供提供提供する提供するするする「「「「SearchMonkeySearchMonkeySearchMonkeySearchMonkey」」」」

Yahoo社のSearchMonkeyは、セマンティックWeb技術を用いた改良型検索サービスで

ある。

[以下、YahooサイトのSearchMonkey Guide(英文)を参考に調査を行なった]

(1)「SearchMonkey」の概要

・Yahoo!によって 2008 年 5 月に一般公開された検索プラットフォーム。

・SearchMonkeyを使うことにより、開発業者とコンテンツオーナは、Yahoo! Searchの 結果をより有益かつ視覚的にアピールするために構造化データを利用できる。

・SearchMonkey developer toolは、現在のデータサービスを探したり、自分自身のデー タサービスを構築したり、検索結果の付加データの表示方法を決める手助けとなる。

・一旦アプリケーションを構築すれば、それを自分自身で使ったり、他人と共有したり、

皆が利用するためにギャラリ(Yahoo! Search Gallery)に投稿したりできる。(図 1)

・また、SearchMonkeyの特徴として、セマンティックWebの標準を取り入れている。

(2)「SearchMonkey」がめざすところ

・一言でいうとGoogleへの対抗戦略と考えられる。

・SearchMonkey の標準アプリケーションである、SNS の「Linkedin」、店のレビュー を掲載するサイト「Yelp」、地域情報サイト「Yahoo Local」の 3 つを連携させて

SearchMonkeyの検索結果に付加価値を付けている。

・また、約 100 個のアプケーションが紹介されているYahoo! Search Galleryには、この 3 つのサービスが先頭に掲載されている。(図 1 の左画面)

※ちなみに図 1 の右画面は、「Yelp」を選択した時の画面例を示す。

(3)「SearchMonkey」のしくみ

・SearchMonkey developer toolを使うと、検索結果の価値を高める小さな共有アプリケ ーションを作成することが出来る。

・SearchMonkey のアプリケーションは、複数の情報から構造化データを引き出し、そ

のデータを各個人の仕様に従って表示するためにPHPを利用する。(図 2)

・例えば、いろいろな音楽バンドのサイトを紐付けし、その検索結果を強化してカバー 作品や歌詞やmp3のサンプルを表示するようなアプリケーションを開発できる。

・あるいは、全てのWikipedia検索結果をl33t(Leet(リート、1337、l33t)は、主に英 語圏のパソコン通信や、インターネットの電子掲示板などで使われるラテン文字の表

(23)

記法である。Leet speak(リート・スピーク)とも呼ばれる。)の言葉に書き直すアプ リケーションを書くこともできる。

・どの機能を選択するかは、利用者次第である。

(24)

((

(図図11::::Yahoo! Search Gallery)))

「「

「Yelp」」」」ををクリッククリッククリッククリックするとするとするとすると!

カテゴリー カテゴリーカテゴリー

カテゴリーをを選択選択選択して選択してしてして表示表示表示表示 候補

候補候補

候補をを絞絞ることがることがることが可能ることが可能可能可能

View Optionsでで表示表示表示スタイル表示スタイルスタイルスタイル(Enhanced Result or Infobar)をを選択可能選択可能選択可能選択可能

(図 2:Structure of a SearchMonkey Application)

(25)

3.4 3.4

3.4 3.4 セマンティックセマンティックセマンティックセマンティックWebWebWebWebココココンファレンスンファレンスンファレンスンファレンス 2009200920092009 でのでのでの発表での発表発表発表事例事例事例事例

セマンティック Web コンファレンスは、慶應義塾大学 SFC研究所が主催している セマンティックWeb委員会が、毎年定期的に開催しているセマンティックWebに関す るコンファレンスである。セマンティックWebコンファレンスでは、国内の企業が開 発したセマンティックWebに関する事例や研究成果が発表される。

2009年3月に開催されたセマンティックWebコンファレンス2009で発表された知 的コンピューティングに関係する事例は以下の通りである。

(1) オントロジサイト構築タスクフォースの活動報告

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0303-shimizu.pdfを参照]

(2) テキスト文の自動意味抽出システム(Text Semantics Analyzer)

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0406-shimizu.pdfを参照]

(3) OWL オントロジ・リポジトリ

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0302-okabe.pdf を参照]

(4) 情報家電オントロジを活用したサンプルアプリケーションの公開

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0304-ohnuma.pdf を参照]

(5) 業務知識の組織的蓄積を支援するオントロジー

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0401-okabe.pdf を参照]

(6) 機能オントロジーと部品構造を用いた設計不具合検索システム

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0402-watanabe.pdf を参照]

(7) セマンティック技術を利用してSNSをビジネスツールに

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0403-takanashi.pdf を参照]

(8) セキュアな企業内情報利用に向けて

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0404-tsuda-update.pdf を参照]

(9) SNSと大学成果情報の統合・再構成による産学連携マッチング支援の有効性 [詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0405-sakai.pdf を参照]

(10) Subject-centric Computing — トピックマップ Webサービス

(26)

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0407-naito.pdf を参照]

(11) OntoGear: オントロジー工学とxfyに基づく次世代技術知識統合管理基盤へ の試み

[詳細はhttp://s-web.sfc.keio.ac.jp/conference2009/0408-takafuji.pdf を参照]

(27)

4.

4.

4.

4. 知的知的コンピューティング知的知的コンピューティングコンピューティング基盤技術コンピューティング基盤技術基盤技術の基盤技術ののの普及普及普及普及ににに関に関関関するするするする課題課題課題と課題ととと採採採採るべきるべきるべきるべき施施施施策策策策

ここまで、知的コンピューティング基盤技術の普及に関する研究会の活動を通じて、

国内外の動向調査および研究会メンバによる議論を重ねて来たが、テーマ自体が非常に 大きく且つ重要なテーマであるだけに、与えられた期間で結論を出すには困難を極めた が、今年度での作業で見えてきた問題点について以下に整理をしてみた。

((((1)1)1)1) 国家国家国家国家プロジェクトプロジェクトプロジェクトのプロジェクトのの重要性の重要性重要性重要性

・日本発のオリジナルなプラットフォームを構築し、それらを共有の財産として公開し ていくためには、やはり国家プロジェクトでの推進が欠かせないと考える。

・さらに、過去の実績からもいえる事であるが、経済産業省や文部科学省など国がプロ ジェクトを推進することによって多くのIT人材が育成され、彼らが将来に亘り日本の IT産業の中核的存在として牽引役となることが期待できる。

・海外の動向を見てみると、ヨーロッパではフランス、ドイツ、ノルウェーなどで国が 国家プロジェクトとして予算を出してIT産業の発展に積極的に取り組んでおり、その 他にも EU 独自のプロジェクトも計画されている。また米国では、オバマ政権発足直 後の2009年1月に、8,190億ドルの緊急経済刺激策法案を可決し、そのうちの一つで ある臨床医療のための医療IT法(Health IT for Economic and Clinical Health Act) には総額で200億ドルの予算を付け、医療のIT化により医療関連で20万人以上の新 規雇用の創出を期待している。

・米国のワシントン DCにあるコンサルタント組織であるProject10Xの 2008 年版の報 告書によれば、Web3.0には、20 億ドル(2,000 億円)の製品マーケットがあり、1 兆ド ル(100 兆円)の経済成長をもたらすものと見積もっている。

((((2)2)2)2) インテグレーションインテグレーションインテグレーションインテグレーションによるによるによるによる差別化差別化差別化差別化

・上で述べたように、欧米の各国では既に取組みが始まっており、また限られた時間と 予算の中では、何で差別化するか、強みは何かを考えることが重要であると思われる。

・ここで日本の強みを発揮するには、やはり家電や自動車産業で培ったインテグレーシ ョンが重要であり、インテグレートをしていかないと差別化が期待できないと思われ る。インテグレートの良い例としてよく日本製の自動車が挙げられるが、日本は、IT のあらゆる分野をカバーしているので、日本のITは大いに期待が持てると思われる。

・例えばクラウド・コンピューティングが話題になっているが、これもインテグレート をしていかないと効果がないと思われる。

・車とタイヤがバラバラでは使えないように、例えばチップから始まってメタデータへ とインテグレーションを行なっていくことが大切と考える。

参照

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