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東京都における人口と病床数を考慮した 病人搬送モデル

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Academic year: 2021

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(1)

卒業研究論文

東京都における人口と病床数を考慮した 病人搬送モデル

学籍番号  05D8101014I 高野  弘光

中央大学理工学部情報工学科  田口研究室 20093

(2)

i

あらまし

  最近,大都市での救急患者のたらいまわしが問題になっている.

本研究では,人口データ,町丁目ポリゴンデータ,病院データを用いて東京都の各町丁 目から病院までの最短距離を求める.

さらに,全町丁目に一定の割合で病人を発生させ,全病人が病床を有している病院に着 くまでの最短距離を町丁目ごとに求める.これは,発生させる病人の割合を変えることで,

どの病院が満床になるかを知るのと同時に,病院が満床となり利用できなくになった時に,

病床を有している他の病院に着くまでの最短距離がどう変化するかを知るために行う.

  そして,求めた最短距離で色分けを行った地図を作成し,考察を行う.

キーワード:医療崩壊,救急医療,最短距離

(3)

ii

目次

1章  はじめに ... 1

2章  使用データ ... 3

2.1  国勢調査 ... 3

2.1.1  人口データ ... 3

2.1.2  町丁目ポリゴンデータ ... 5

2.2  全国病院ガイド[関東版] ... 6

2.2.1  病院データ ... 7

2.2.2  病院データの特徴 ... 8

3章  病院までの最短距離分布 ... 11

3.1  病院までの最短距離の定義 ... 11

3.2  病院までの最短距離分布 ... 11

3.3  診療科目別 ... 13

3.3.1  内科 ... 13

3.3.2  小児科 ... 14

3.3.3  産科および産婦人科 ... 15

3.4  診療科目の比較 ... 16

4章  病人搬送モデル ... 20

4.1  病人搬送モデル ... 20

4.2  病院が満床になる様子 ... 21

4.3  病人搬送モデルによる最短距離分布 ... 23

5章  おわりに ... 29

5.1  まとめ ... 29

5.2  今後の課題 ... 30

謝辞 ... 31

参考文献 ... 31

(4)

1

1章  はじめに

現在,慢性的な医師・ベッドの不足などに端を発する医療崩壊により,患者がなかなか 病院に受け入れてもらえず,最悪手遅れとなり死に至るケースが大都市圏で発生している.

この出来事について,メディアでは一方的に病院・医師側が加害者であるかのごとく報道 されているが,実際にはかなり多くの例が,不可避な理由での受け入れ不可能な事例であ る.また,真の原因である医療費削減問題や医療制度の不備といったシステム上の問題か ら目を背け,病院への安易な印象批判へと繋げることで医療崩壊の本質から国民の目を逸 らしている,との批判がある. 

実際に,東京都では,医療施設における病床数は年々減少傾向にあり(図 1.1),病床の不 足によって,たらい回しが発生し,死に至るケースが発生しているとも考えられる.一方 で,医師総数は年々増えている(図 1.2).しかし,訴えられるリスクの大きい産婦人科医師 総数は年々減少傾向にあり(図 1.3),産婦人科医師の不足によって,事件が起こっていると も考えられる 

  そこで,本研究では,病院と病床に着目することとし,47 都道府県の中で最多病院数を 誇っている東京都を対象にして,各町丁目と病院所在地の関係を調べ,分析する. 

  図 1.1 医療施設病床数の推移 

  133000

134000 135000 136000 137000 138000 139000 140000 141000 142000 143000

10 12 14 16 18

病床数[ ]

日付[年]

(5)

2

  図 1.2 医師総数の推移 

 

  図 1.3 産婦人科医師数の推移 

   

27000 28000 29000 30000 31000 32000 33000 34000

10年 12年 14年 16年 18年

医師総数[ ]

日付[年]

1150 1200 1250 1300 1350 1400

10年 12年 14年 16年 18年

産婦人科医師数[ ]

日付[年]

(6)

3

第2章  使用データ

  本章では,本研究で使用するデータについて説明する.

2.1  国勢調査

  国勢調査とは,日本に住んでいるすべての人を対象とする国の最も基本的な調査で,国 内の人口や世帯の実態を明らかにするため,5 年ごとに行われている.国勢調査の結果は,

衆議院の小選挙区の画定基準,地方交付税の算定基準など,多くの法令で用いられて,国 や地方公共団体におけるさまざまな施策の立案・推進に利用されるのみならず,学術,教 育,民間などの各方面で広く利用されている.

  このように,国勢調査は,国民共有の財産として民主主義の基盤を成す統計情報を提供 している.

  本研究では,2005101日に総務省統計局で行われた国勢調査から得られたデータ を,統計GISからダウンロードを行い使用する.

2.1.1  人口データ

  人口データは,関東地方の16県(東京都,千葉県,神奈川県,埼玉県,茨城県,栃 木県,群馬県)における人口総数のデータを使用した.このデータによると,16県の人

口総数は 41,460,573人で,東京都の人口総数は 12,747,831 人であった.また,このデー

タは町丁目ごとに分かれており,16県の全町丁目の平均人口総数は1,338人で,東京都 の全町丁目の平均人口総数は2,372人である.

  まず,図2.1は,16県の町丁目ごとの人口分布を示している.人口総数1,000人以下 の町丁目が一番多く,全体の約56%を占めている.一方わずかであるが,人口総数10,001 人以上の町丁目が存在している.

  次に,図 2.2 は,東京都の町丁目ごとの人口分布を示している.人口総数 1,001 人以上

2,000人以下の町丁目が一番多く,全体の約25%を占めている.また,人口総数4,000人以

下の町丁目が全体の約 86%と占めている割合が大きい.一方わずかであるが,人口総数

10,001人以上の町丁目が存在している.

(7)

4

2.1 町丁目ごとの人口分布(16)

2.2 町丁目ごとの人口分布(東京都) 0

2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000

0 11000 10012000 20013000 30014000 40015000 50016000 60017000 70018000 80019000 900110000 10001

町丁目数

町丁目の人口数[人]

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 11000 10012000 20013000 30014000 40015000 50016000 60017000 70018000 80019000 900110000 10001

町丁目数

町丁目の人口数[人]

(8)

5 2.1.2  町丁目ポリゴンデータ

  町丁目ポリゴンデータとして,統計GISからダウンロードした世界測地系緯度経度形式 の境界データを使用する.また,データは市区町村ごとにわかれており,これを用いて町 丁目のポリゴンを描いた.さらに,町丁目ごとにポリゴンの重心を求め,町丁目の代表点 とした.

2.3は,東京都における町丁目ポリゴンデータと求めた町丁目の代表点を重ねて出力し た地図である.また,出力された町丁目の代表点の色は町丁目ごとの人口総数を示してお り,東京都の全町丁目の平均人口総数を緑色で示し,その平均人口総数より多ければ暖色 系の色で示し,少なければ寒色系の色で示している.ただし,その平均人口総数の約 2 を上限としており,それより人口総数の多い町丁目は全て赤色で示している.東京都の町 丁目ごとの総人口数の平均は約2,500人であり,これを平均値とするとともに上限を5,000 人とした.

板橋区,江戸川区,江東区,杉並区,中野区,練馬区,八王子市,町田市のあたりで赤 色の町丁目が目立ち,町丁目ごとの人口総数が多いことがわかる.一方で,西多摩郡のあ たり他,中央区,千代田区といった皇居周辺で青色の町丁目が目立ち,町丁目ごとの人口 総数が少ないことがわかる. 

2.3 町丁目ごとの人口分布(東京都)

(9)

6 2.2  全国病院ガイド[関東版]

全国病院ガイド[関東版]は,株式会社アスキーソリューションズによって発行された病院 データベースである.このデータベースはHTML形式で構成されており,必要なデータを

Excel形式に変換,整理を行い利用した.なお,このデータは2008111現在のデー

タである.表2.1は,HTML形式で構成された元のデータの一例である.

2.1 元データ一例

(10)

7 2.2.1  病院データ

全国病院ガイド[関東版]から本研究で利用する項目を抽出し,病院データとする.病院デ ータの概要は以下の通りである.

1. 対象病院数 2,024ヵ所(内科,小児科,産科および産婦人科のいずれかを有 している病院)

2. 基本属性

・  ファイルID

・  名称

・  名称カナ

・  電話番号

・  郵便番号

・  住所

・  指定

・  病床数

・  診療科目

  表4.2は,病院データを示している.

4.2 病院データ一例 ファイル  000001.htm 

名称  国立水戸病院 

名称カナ  コクリツミトビョウイン  電話番号  029-231-5211  郵便番号  310-0035 

住所  茨城県水戸市東原3−2−1 

指定  総合病院  救急告示病院   

病床数  550 

診療科目 

内科,呼吸器科,消化器科,循環器科,小児科,精神科,神経科,神 経内科,外科,整形外科,脳神経外科,心臓血管外科,小児外科,産 婦人科,眼科,耳鼻咽喉科,皮膚科,泌尿器科,理学診療科,放射線 科,麻酔科,歯科口腔外科, 

(11)

8 2.2.2  病院データの特徴

  全国病院ガイド[関東版]に収録されている病院で,内科,小児科,産科および産婦人科の いずれかを有している病院(以下,病院とする)は 2,024 ヵ所である.このうち内科を有 している病院数は1,962ヵ所,小児科を有している病院は 874ヵ所,産科および産婦人科 を有している病院は479ヵ所である.

まず,図2.4は,病院が診療科を有している割合を示している.また,グラフの内側に記 載された数字は病院数を示している.全病院2024ヵ所の内約 97%が内科を,約43%が小 児科を,約 24%が産科および産婦人科を有している.つまり,ほとんどの病院では内科を 有している.

  次に,図2.5は,全病院の病床分布を示している.また,全病院が有している病床数の合

計は372,135床であった.病床数100床以下の病院が一番多く,全体の約43%を占めてい

る.一方わずかであるが病床数1,001床以上の病院がある.

  また,病院データに記載される住所をアドレスマッチングにより,世界測地系緯度経度 形式のデータに変換する.

最後に,図2.6は,東京都における町丁目ポリゴンデータと全病院を重ねて出力し,東京 都周辺を抜き出した地図である.また,出力された点の色は病院ごとの病床数を示してい る.病床数 500 床の病院を緑色で示し,それより多ければ暖色系の色で示し,少なければ 寒色系の色で示している.ただし,病床数1000床を上限としており,それより病床数の多 い町丁目は全て赤色で示している.東京都 23 区や中央線沿いに病院が多いことがわかる.

ただし,東京都23区内でも,練馬区や江戸川区では病院が少なく,その病院の有している 病床数も少ないことがわかる.また,有している病床数が多い病院は東京都23区の中心部 に集中していることがわかる.  

(12)

9

2.4 診療科別の設置割合

2.5 病院の病床数の分布 1962 874

479

62 1150

1545

0% 20% 40% 60% 80% 100%

内科 小児科 産科および産婦人科

科を有している 科を有していない

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

0 1100 101200 201300 301400 401500 501600 601700 701800 801900 9011000 1001

病院数

病床数[床]

(13)

10

2.6 病院の分布

(14)

11

3章  病院までの最短距離分布

本章では,東京都の各町丁目から病院までの最短距離分布を求める.ただし,以下の距 離は直線距離を表す.

また,この章で示す地図は,距離の平均値を緑色で示し,その平均値より近ければ暖色 系の色で示し,遠ければ寒色系の色で町丁目を表示したものである.ただし,平均値の約2 倍を上限としており,それより遠い距離の町丁目は全て上限の色と同じである.

3.1  病院までの最短距離の定義

  東京都の各町丁目から病院までの最短距離分布を求める.最短距離を求める理由として は,ある町丁目で病人が発生したときに,まずその町丁目から一番近くの病院まで行くと 考えられる.そのため,どのくらいの距離を要するかを知っておく必要があるからである.

  そこで,各町丁目から全病院までの距離を求める.ある町丁目 A(Ax,Ay)からある病院

B(Bx,By)までの距離dABは,以下の式で表わされる.

(

x x

)

2

(

y y

)

2

AB A B A B

d = + (3.1)

町丁目ごとに全病院までの距離の求め,そのうち最短のものを病院までの最短距離とす る.そして,その最短距離で色分けを行った地図を作成し,考察を行う.

3.2  病院までの最短距離分布

  図3.1は,東京都の町丁目ごとの病院までの最短距離分布を示している.1,000m以内に 病院がある町丁目が多く,全体の約 75%を占める.一方わずかであるが病院まで 3,000m 以上を要する町丁目がある.

  次に,図3.1の町丁目にそれぞれの人口を加味した最短距離分布を図3.2に示す.図3.1 と同様に病院から 1,000m 以内に住んでいる人が多く,全体の約 79%を占める.一方わず かであるが病院まで3,000m以上を要する人がいる.

また,図3.3は,東京都の町丁目ごとの病院までの最短距離を表わす地図である.ただし,

この最短距離の平均は約850mであり,これを平均値とするとともに上限を1,700mとして いる.西多摩郡周辺や東京湾沿岸で青色の町丁目が目立っており,病院まで1,700m以上を 要することが分かる.

(15)

12

3.1 東京都の町丁目ごとの病院までの最短距離分布

3.2 3.1の町丁目にそれぞれの人口を加味した最短距離分布 0

500 1000 1500 2000 2500

1500 5011000 10011500 15012000 20012500 25013000 3001

町丁目数

距離[m]

0 1000000 2000000 3000000 4000000 5000000 6000000

1500 5011000 10011500 15012000 20012500 25013000 3001

人口数[ ]

距離[m]

(16)

13

3.3 東京都の町丁目ごとの病院までの最短距離分布(平均値:850m)

3.3  診療科目別

  病院データに記載される診療科目を利用し,東京都の各町丁目から病院までの最短距離 分布を診療科目別に求める.診療科目として内科,小児科,産科および産婦人科を採用し た.

3.3.1  内科

3.4は,東京都の町丁目ごとの内科を有している病院までの最短距離を表わした地図で ある.ただし,内科を有している病院までの最短距離の平均は約 950m であり,これを平 均値とするとともに上限を1,900mとした.西多摩郡周辺や東京湾沿岸で青色の町丁目が目 立っており,病院まで1,900m以上を要することが分かる.

(17)

14

3.4 東京都の町丁目ごとの内科を有している病院までの最短距離分布(平均値:950m)

3.3.2  小児科

  図3.5は,東京都の町丁目ごとの小児科を有している病院までの最短距離を表わした地図 である.ただし,小児科を有している病院までの最短距離の平均は約1,300mであり,これ を平均値とするとともに上限を2,600mとした.西多摩郡周辺や東京湾沿岸や練馬区周辺で 青色の町丁目が目立っており,病院まで2,600m以上を要することが分かる.

(18)

15

3.5 東京都の町丁目ごとの小児科を有している病院までの最短距離分布(平均値:1300m)

3.3.3  産科および産婦人科

3.6は,東京都の町丁目ごとの産科および産婦人科を有している病院までの最短距離を 表わした地図である.ただし,産科および産婦人科を有している病院までの最短距離の平

均は約1,600mであり,これを平均値とするとともに上限を3,200mとした.西多摩郡周辺

や東京湾沿岸をはじめ,武蔵村山市,昭島市,東大和市周辺で青色の町丁目が目立ってお り,病院まで3,200m以上を要することが分かる.

(19)

16

3.6 東京都の町丁目ごとの参加および産婦人科を有している病院までの 最短距離分布(平均値:1600m)

3.4  診療科目の比較

3.7は,有している診療科目別に東京都の町丁目ごとの病院までの最短距離分布を示し ている.診療科目によって東京都の町丁目ごとの最短距離分布が異なることがわかる.ピ ークは同じであるが,内科に比べて小児科と産科および産婦人科はすそのが長く,内科を 有している病院へ行くのに比べ,小児科や産科および産婦人科を有している病院へ行くに は,より大きな距離を要する町丁目が多いことがわかる.

次に,図3.8は,図3.7の町丁目にそれぞれの人口を加味した最短距離分布を示している.

診療科目によって東京都の人口ごとの最短距離分布が異なることがわかる.図3.7と同様に,

ピークは同じであるが,内科に比べて小児科と産科および産婦人科はすそのが長く,内科 を有している病院へ行くのに比べ,小児科や産科および産婦人科を有している病院へ行く には,より大きな距離を要する町丁目が多いことがわかる.

  また,以下の図3.9,図3.10,図3.11は有している診療科目別に東京都の町丁目ごとの 病院までの最短距離を表わした地図である.ただし,図3.3と比較を行うため平均値を850m とし,上限を1,700mとした.

まず,図3.9は,図3.4と同じく東京都の町丁目ごとの内科を有している病院までの最短 距離を表わした地図である.西多摩郡周辺や東京湾沿岸で青色の町丁目が目立っており,

(20)

17

病院まで 1,700m 以上を要することが分かる.多くの病院が内科を有していることから図

3.3とあまり変化がないものと考えられる.

次に,図3.10は,図3.5と同じく東京都の町丁目ごとの小児科を有している病院までの 最短距離を表わした地図である.西多摩郡周辺や東京都沿岸や練馬区,江戸川区周辺で青 色の町丁目が目立っており,病院まで1,700m以上を要することが分かる.また,図3.3 比較して青色の町丁目が増えており,小児科を有している病院を探すのはただ近くの病院 を探す以上に困難であることが分かる.これは,小児科を有している病院数が全病院数の

43%と少ないことからも説明できる.

最後に,図3.11は,図3.6と同じく東京都の町丁目ごとの産科および産婦人科を有して いる病院までの最短距離を表わした地図である. 23区の中心部では赤色から緑色の町丁目 が多いが,それ以外ではほとんどの町丁目が青色となっており,病院まで1,700m以上を要 する町丁目が多いことが分かる.また,図3.3と比較しても青色の町丁目が増えており,産 科および産婦人科を有している病院を探すのはただ近くの病院を探す以上に困難であるこ とが分かる.これは,産科および産婦人科を有している病院数が全病院数の約 24%と少な いことからも説明できる.

また,図3.9,図3.10,図3.11からも,内科を有している病院へ行くのに比べ,小児科

や産科および産婦人科を有している病院へ行くには,より大きな距離を要する町丁目,並 びに人口が多いことがわかる.

3.7 有している診療科目別の東京都の町丁目ごとの病院までの最短距離分布 0

500 1000 1500 2000 2500

0 1500 5011000 10011500 15012000 20012500 25013000 30013500 35014000 40014500 45015000 5000

町丁目数

距離[m]

内科 小児科 産科および産婦人科

(21)

18

3.8 3.7の町丁目にそれぞれの人口を加味した最短距離分布

3.9 東京都の町丁目ごとの内科を有している病院までの最短距離分布(平均値:850m) 0

1000000 2000000 3000000 4000000 5000000 6000000

0 1500 5011000 10011500 15012000 20012500 25013000 30013500 35014000 40014500 45015000 5000

人口数[ ]

距離[m]

内科 小児科 産科および産婦人科

(22)

19

3.10 東京都の町丁目ごとの小児科を有している病院までの最短距離分布(平均値:850m)

3.11 東京都の町丁目ごとの参加および産婦人科を有している病院までの

最短距離分布(平均値:850m)

(23)

20

4章  病人搬送モデル

本章では,全病人の病床を有している病院に着くまでの最短距離分布を求める.ただし,

以下の距離は直線距離を表わし,病人は病床を必要としているものとする.

4.1  病人搬送モデル

  対象地域を東京都とし,町丁目ごとに発生した病人が,病床を有している病院に着くま での最短距離分布を求める.最短距離を求める理由としては,16県の全町丁目で一定の 割合の病人が発生した時,まずどこの病院が満床になるのか,そして病院が満床になって いった時に,病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離はどのように変化するか を知る必要があると考えたからである.

まず,16県の全町丁目で一定の割合の病人を発生させる.一般に,病人は県境を越え て病院に行くことが可能であり,その影響を考慮するため,16県の全町丁目に病人を発 生させて,東京都の変化を見るものとする.また,発生させる病人の割合は町丁目によら ず一定とし,発生した病人は各町丁目の代表点に存在するものとする.加えて,発生させ る病人の割合の上限は約0.9%とする.この割合は,16県の全病人が病床についたとき,

全ての病院が満床となる割合である.つまり,これ以上の割合になると病床に着けない病 人が発生することになる.

次に,上記を踏まえて,全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布を求 めるアルゴリズムを述べる.町丁目をi(=1,…,n)とし,そこで発生した病人数をaiとする.

また,病院 j(=1,…,m)の空き病床数をbjとする.ただし,最短距離の算出に関しては式(3.1) を用いる.

Step 0  i=1とする.

Step 1 町丁目iから空き病床数bj>0である全ての病院 jまでの距離dijを求め,距離dij

一番小さい病院を最短病院ˆjとする.

Step 2 もし

bjˆ>aiなら,

bˆj=bˆj aiとし,Step3へ.

そうでなければ,ai=ai bjˆとし,Step1へ.

Step 3 距離dijˆを町丁目iの全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離とし,

Step4へ.

Step 4 i=nなら終了.

        そうでなければ,i=i+1とし,Step1へ.

  ただし,このアルゴリズムは,町丁目を処理する順序によって,全病人が病床を有して いる病院に着くまでの最短距離が異なると考えられる.そこで,全町丁目に発生した病人 100分割し,このアルゴリズムを100回繰り返すことで処理する順序の影響を小さくす

(24)

21 ることにした.

そして,その最短距離で色分けを行った地図を作成し,考察を行う.

4.2  病院が満床になる様子

  まず,この節で示す地図は,病床を有している病院を青色で,満床となった病院を赤色 で表示したものである.

  図4.1は,16県の全人口の0.09%が病人であるときに,全病人が病床を有している病 院に着いた時の病院の様子を表わす地図である.練馬区,江戸川区,大田区周辺などの人 口の多い区で満床の病院が発生している.

4.2は,16県の全人口の0.45%が病人であるときに,全病人が病床を有している病 院に着いた時の病院の様子を表わす地図である.東京都の各地で満床の病院が発生してい る.

4.3は,16県の全人口の0.81%が病人であるときに,全病人が病床を有している病 院に着いた時の病院の様子を表わす地図である.東京都の皇居周辺や東村山市周辺,八王 子市,青梅市,あきる野市周辺を除き大多数の病院が満床となっている.

4.1 全病人が病床を有している病院に着いた時の病院の様子(病人:0.09%)

(25)

22

4.2 全病人が病床を有している病院に着いた時の病院の様子(病人:0.45%)

4.3 全病人が病床を有している病院に着いた時の病院の様子(病人:0.81%)

(26)

23 4.3  病人搬送モデルによる最短距離分布

まず,この節で示す地図は,距離の平均値を緑色で示し,その平均値より近ければ暖色 系の色で示し,遠ければ寒色系の色で町丁目を表示したものである.ただし,平均値の約2 倍を上限としており,それより遠い距離の町丁目は全て上限の色と同じ色である.ただし,

3.1より東京都の各町丁目から病院までの最短距離の平均は約850mであり,これを平均値 とするとともに上限を1,700mとした.

4.4から図4.11は,全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布を表わ す地図である.また,発生させる病人の割合は 0.09%ずつ変化させ,それに伴う地図の変 化を見た.

まず,図4.4は,16県の全人口数の0.09%が病人であるときの地図である.西多摩郡 周辺や東京湾沿岸で青色の町丁目が目立っており,病院まで1,700m以上を要することが分 かる.

次に,図4.5は,16県の全人口数の0.18%が病人であるときの地図をある.図4.5 比べ,練馬区周辺で青色の町丁目が目立っており,病院まで1,700m以上を要することが分 かる.東京都23区で真っ先に変化が見られた.

次に,図4.8は,16県の全人口数の0.45%が病人であるときの地図である.東京都道 318号環状七号線と東京都道311号環状八号線といった大きな道路の間で,1700m以上を 有する町丁目が広がる特徴が見られた.

最後に,図4.12は,16県の全人口数の0.81%が病人であるときの地図である.東京 23区の中心部の他,東村山市周辺や八王子市,青梅市,あきる野市周辺で赤色から緑色 の町丁目が存在するが,それ以外ではほぼ全ての町丁目が青色となっており,病院まで

1,700m以上を要することが分かる.

(27)

24

4.4 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.09%)

4.5 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.18%)

(28)

25

4.6 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.27%)

4.7 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.36%)

(29)

26

4.8 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.45%)

4.9 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.54%)

(30)

27

4.10 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.63%)

4.11 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.72%)

(31)

28

4.12 全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.81%)

(32)

29

5章  おわりに

5.1  まとめ

関東地方の 16県(東京都,千葉県,神奈川県,埼玉県,茨城県,栃木県,群馬県)

における人口データと病院データ,東京都における町丁目ポリゴンデータを用いて,東京 都を対象に,各町丁目と病院の関係を調べ,分析を行った.

まず,東京都の各町丁目から病院までの最短距離分布を求めた.そして,その最短距離 で色分けを行った地図を作成,考察を行った.その結果,最短距離の平均は約 850m であ り,西多摩郡周辺や東京湾沿岸で病院まで1,700m以上を要することが分かった.加えて,

内科,小児科,産科および産婦人科で診療科別に以上の分析を行った.まず,内科を有し ている病院では,最短距離の平均は約 950m であり,西多摩郡周辺や東京湾沿岸でこれら の病院まで1,900m以上を要することが分かった.また,全ての科を有している病院までの 最短距離の平均とこの最短距離の平均が約 100m しか差がないのは,ほとんどの病院が内 科を有しているからと考えた.次に,小児科を有している病院では,最短距離の平均は約

1,300m であり,西多摩郡周辺や東京湾沿岸の他,練馬区周辺でこれらの病院まで2,600m

以上を要することが分かった.また,練馬区周辺は総人口数が多いことから,子どもも多 いと考えられるが,それに対し,他の東京都 23 区に比べて距離を要することが分かった.

さらに,練馬区周辺の病院の病床が少ないことから,多くの子供が病床を必要とする事態 が起こると,より距離を要することが考えられる.最後に,産科および産婦人科を有して いる病院では,最短距離の平均は約1,600mであり,西多摩郡周辺や東京湾沿岸の他,武蔵 村山市,昭島市,東大和市周辺でこれらの病院まで3,200m以上を要することが分かった.

同時に,23区の中心部を除くほとんどの町丁目でこれらの病院まで1,700m 以上を要する ことも分かり,ただ近くの病院を探す以上に産科および産婦人科を有している病院を探す ことが困難であると分かった.

次に,東京都の各町丁目の全病人が,病床を有している病院に着くまでの最短距離分布 を求めた.そして,その最短距離で色分けを行った地図を作成,考察を行った.また,病 人は全町丁目で一定の割合で発生させ,その割合を変化させることで地図の変化を見た.

病人がいない状況から病人を発生させ,病人を徐々に増やしていった結果,まず練馬区周 辺や江戸川区周辺の病院が満床となり,練馬区周辺や江戸川区周辺の各町丁目の全病人が 病床を有している病院に着くまでの最短距離が大きくなったことがわかった.その後,各 地の町丁目で同様の変化がおこり,全人口の0.81%が病人となった時には,東京都23区の 中心部の他,東村山市周辺や八王子市,青梅市,あきる野市周辺を除き,病院は満床とな り,多くの町丁目で全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離が大きくなった ことがわかった.

  最後に,ただ近くの病院を探す以上に産科および産婦人科を有している病院を探すこと が困難であることや,病床が埋まるにつれて病院までの最短距離が大きくなることから,

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もし最寄りの産科および産婦人科を有している病院の満床が原因で,妊婦のたらい回しが 発生すると,次の病院までより距離を必要とすることが考えられ,事件が発生するものと 考えられる.

5.2  今後の課題

  今後の課題を以下に示す.

・  東京都の町丁目だけでなく,他の都道府県に関しても調べる.

・  医師総数にも着目して,研究を行う.

・  直線距離ではなく,道路ネットワークから具体的な距離を用いる.

・  本研究で分析し得られたことから,たらいまわし等に関して搬送ルート,病院など具 体的な解決策を考える.

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謝辞

  本研究を進めるにあたり,多くのご指導,ご助言を中央大学理工学部情報工学科の田口 東教授並びに鳥海重喜助教からいただきました.心から深く感謝いたします.また,小澤 勇紀氏,広川貴久氏,佐藤春樹氏をはじめとする,田口研究室の皆さまからも,多くのご 指導,ご助言をいただきました.多くの方から多大なるご援助をいただき,心より御礼申 し上げます.

参考文献

[1] 角田保,“産婦人科医師数の動向とその分析”,大東文化大学経済論集,86-3,Mar.2006.

[2] 厚生労働省医政局,“医師の需給に関する検討会報告書”, Jul.2006.

[3] 厚生労働省大臣官房統計情報部,“厚生労働省統計表データベースシステム,厚生労働 省統計表データベース収載統計調査一覧”,(オンライン),入手先

<http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/IPPAN/ippan/scm_k_Ichiran>

[4] 独立行政法人統計センター,“政府統計の総合窓口(e-Stat),地図で見る統計(統計GIS)”,

(オンライン),入手先

<http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/toukeiChiri.do?method=init>

図 2.6  病院の分布
図 3.10  東京都の町丁目ごとの小児科を有している病院までの最短距離分布 ( 平均値 :850m)
図 4.2  全病人が病床を有している病院に着いた時の病院の様子(病人:0.45%)
図 4.4  全病人が病床を有している病院に着くまでの最短距離分布(病人:0.09%)
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