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建築外装仕上げの問題に直面して

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Academic year: 2021

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Problems of the Exterior Building Materials Yoshio HENMI

建築外装仕上げの問題に直面して

1. まえがき

建築物の内外表面を何故他の材料で仕上げ を施す必要があるのだろうか。建物の主要構 造体を構成する鋼材やコンクリートは、耐力 的にも優れており建物の耐久性や安全性を長 期的に保持する材料として広く使用されてい る。しかし、構造物には次のような問題を抱 えている。

1)コンクリートはひび割れが発生しやすく、

雨水の浸透による損傷を伴うことが多い。

2)炭酸ガスの作用により、コンクリートが 中性化し、内部鉄筋の錆を促進させ、建 物の耐久性を低下させることが多い。

3)塩化物や酸性雨の作用により鋼材の腐食 を招き、構造物の耐久性低下を促進させ ることが多い。

4)表面の色彩に乏しく、複雑なテクスチャ ー構成が難しい。

これらの問題点を改善し、建築物の耐久性 を長期にわたって確保するため、構造物の表 面に各種の仕上げを施す必要がある。

2. 仕上げの目的

建築物には重要な社会資本となるものも あるが、個人の財産としてのものも多いこと から、長期的に耐久性・安全性を確保し延命 化を図ることが必要である。そのためには建 物構造体を外的劣化要因から保護すること、

また景観保護や環境との調和、更に建物自体 の美観性という面からも考慮する必要がある。

近年では社会的な要請による機能性向上とし ての付加的要素についても考慮が求められて いる。

3. 仕上げ工事の作業行為

建築物の表面に仕上げを施す材料によっ

ても異なるが、一般的には次のような工事が 考えられる。

1)塗り付け工事:

下地面が既に構成された状態に液状の 材料、湿式材料などを塗り付ける作業行為 の工事が多い。

2)吹き付ける工事:

下地面が既に構成された状態に液状の 材料、湿式材料などを吹き付ける作業行為 の工事が多い。

3)張り付ける工事:

下地面が既に構成された状態に他の材 料を媒体として張り付ける作業行為の工 事が多い。

4)取り付ける工事:

下地面が既に構成された状態に他の材 料を媒体として取り付ける作業行為の工 事が多い。

4. 仕上げ工事における問題点

仕上げの目的でも述べてあるように、建築 物の延命化を図るため、建築物を造る作業行 為が完全に遂行されておれば、問題は生じな いだろうと思われるが、自然環境の中で多種 多様の人間が関わり完成させるものである。

仕上げ工事においては、建築物の躯体が出 来上がった状態からの作業である。そこには 幾多の制約が残されその条件下での作業とな るため多様な問題点が発生する。発生経緯の 時系列も作業中、完成後、経年後とまちまち である。また問題現象も軽微なものから社会 的問題につながる重大なものまで含まれてい る。

ここでは種々な問題の中から塗り付け工 事について問題点と対策について述べるこ ととする。

HENMIコンサルタント ○逸見 義男

(2)

5. 左官工事

塗り付け工事の代表的なものとし ては、左官工事が挙げられる。古く は天然の土など可塑性のある材料を 作業現場で調合し所定の場所に塗り 付けることであったが、その後セメ ントモルタル塗りとして、タイル張 り、石張り、塗装、壁装仕上げなど の下地を整える工事として多用され るようになっている。

左官工事はコンクリート面にモル タルを健全に付着させることである。

6. モルタルの付着性

モルタルの付着性が問題視される ようになってきたのは、大変古く木 製パネルに代わって合板パネルが多 く使用されるようになってからであ る。コンクリート型枠として木製パ ネル使用時は、コンクリート表面は 適度の粗さがあり、モルタルとの付 着も良好であったが、合板パネルの 使用は表面が平滑に仕上がり、モル タルとの付着不良に起因する剥離・

剥落等の事故例が多くなってきた。

そこでコンクリートとモルタルの付 着性に影響を及ぼすと考えられる幾 つかの要因を取り上げ現場および室 内実験により検討を行った。

1)現場試験

合板パネルで実際に打設されたコ

表1 試験条件(A現場)

表 2 付着力試験結果(A 現場)

(3)

ンクリート面にモルタルを塗布 し建研式接着力試験機を用いて 測定した。

(1) 試験結果

現場試験では、試験環境を整 えることは困難であるため、現 場におけるモルタルの付着性を 把握する程度とした。A現場に おける試験条件を表1に、付着 力試験結果を表2と図1に示す。

(2) 考察

①無混入モルタルは接着力のバ ラつきが大きい。このことは 建築物に変形や外力が加わっ た時に付着力の小さい箇所が 欠陥となり剥がれたり、ひび 割れが生じたりする原因とな る。

②付着力を高める混和剤として、

コンクリート面に塗布するタ イプとモルタルに混入するタ イプがある。混入タイプのも のは、付着力を増進させるこ とは期待できないが、モルタ ルの作業性、保水性を良好に することができる。

2)室内試験

現場試験の結果を基に左官技 能者の作業性に関するモルタル の施工可能な軟度と可使時間の 範囲について試験を行った。

各種モルタルを練り混ぜ後か らの時間経過にともなうモルタ ルの軟度をフロー試験で測定し た。練り混ぜ時点で左官技能者 にモルタルを塗布させ、施工可 能かどうかを判断させ、練り混 ぜからの経過時間を測定した。

モルタルの施工可能な軟度に ついては、砂を4種類の粗粒率

(2.8,2.5,2.0,1.8)

に分類し、それぞれの砂につい て軟度の範囲を測定した。

軟度の測定は、あるフロー値の モルタルを練り混ぜ、そのモ

図 1 材令と付着力の関係

(4)

ルタルを左官技能者がコンクリート面に塗布 して、施工可能かどうかを判断させた。この 値を基に上限と下限の値を施工可能な軟度範 囲とした。

(1) 試験結果

①各種モルタルの可使時間について、無混入 モルタルでは30分以内、保水性混和剤混 入モルタルでは2時間10分以内、樹脂系 混和剤モルタルでは1時間~1時間30 分以内と各種モルタルの可使時間を知る ことができた。

②モルタルの施工可能な軟度の範囲は図2に 示すような結果を得られたが、左官技能者 の最も施工し易い軟度の範囲は、フロー値 で180~185mmであることが分かっ た。結果を図2に示す。

(2) 考察

モルタルの施工軟度については、現場の環 境と室内試験の環境が異なるため、現場で左 官技能者が実際に施工しているモルタルの フローを測定した。フロー値は殆ど180m m前後のモルタルを使用していることが判 明された。

7. あとがき

この報告は、昭和40年代初期の実験研究 であるが、当時は合板型枠を使用したコンク リート下地に面に対して、不具合を生じない モルタルを、どの様に施工するか大きな問題 として取り組み、実験を重ねて問題点の解決 に当たってきた。

今日ではモルタル自体での仕上げは皆無に 等しいと言っても過言ではないほど少なくな っている。しかし他の仕上げ材料の下地とし て多く使用されている。現在においても不具 合発生の原因要素としてモルタルの付着が問 題として取り上げられることが多い。

外装仕上げの不具合発生を、如何にして少 なくするか、この問題については今後とも取 り組む必要があると考えられる。

「参考文献」

1) 亀田泰弘監修 「新版合板型わく工法」

(有)建築技術 昭和42 2月 pp.1 47~164

図 2 モルタルの施工軟度範囲

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