• 検索結果がありません。

2 2 世界 世界

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2 2 世界 世界"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 5月 1 日、パキスタンでビンラディンが殺害 された。9 .11同時多発テロの首謀者とされる 男の殺害によって、オバマ大統領はテロとの 戦いに大きな成果をあげたと誇らしげに発表 し、アメリカ国民の支持率が一挙に上昇した。

一方、事前に何の連絡もなく蚊帳の外に置か れたパキスタン政府は主権侵害と抗議し、ア ル・カーイダは報復攻撃を予告して早速行動 に出ている。世界は負の連鎖が懸念される状 況下にある。

 アル・カーイダの結成はソ連のアフガニス タン侵攻(1979年)にまで遡る。その時、イ スラーム世界各地から馳せ参じた義勇兵の一 人がビンラディン(ウサーマ・ビン・ラー ディン)であった。ソ連軍が10年後にむなし く撤退した際に、帰国する義勇兵たちを組織 化してアル・カーイダは結成されたと言われ る。そして、湾岸戦争でアメリカ軍がサウジ アラビアに駐留したことから、反米姿勢を鮮 明にするようになった。1993年のニューヨー ク世界貿易センタービル爆破事件、1998年の ケニアとタンザニアのアメリカ大使館爆破事 件、そして、2001年の 9 .11事件などがアル・

カーイダの起こしたテロとされる。もっとも、

2004年と 5 年にマドリードとロンドンで相つ いで発生した爆破事件は、別の過激派による 犯行であるという。

 われわれは、多くのイスラーム教徒が平和 を愛し、卑劣なテロ活動とは無関係であるこ とを知っている。また、テロを起こすのがイ スラーム教徒ばかりではないことも知ってい る。しかし、報道を通して知る多くのテロ事 件(その多くが自爆テロ)にイスラーム教徒 が関与している事実を、どのように理解すれ ばよいのであろうか。

 テロリストが生まれる原因が「貧困」だと する意見が聞かれる。確かに、死後の楽園と 遺される家族の扶養を約束されて、アフガニ スタンで自爆テロに走った年端もいかない少 年の例などは、なんとも痛ましく、貧困が大 きな原因と言うことができよう。しかし、テ

ロを実行した多くの者が、高等教育を受けた インテリの若者であったことは、そうした見 解に対して疑問を生じさせる。

 前号で触れたように、中東・イスラーム世 界では多くの国で、独裁政権のもと経済の停 滞と高い失業率が人々を苦しめている。政権 と癒着した一部の人間だけが利益を得るよう な社会では、高等教育を受けて大学を卒業し た彼らにも仕事はなく、折角身につけた力を 発揮する場はない。一方で、イスラーム世界 各地では、民主化を要求する民衆を治安部隊 が殺傷するさまや、パレスチナ人のデモ隊に 対するイスラエル兵の発砲によって、あるい はアフガニスタンでの国際治安支援部隊の誤 爆によって、多くの死者が出た様子が報道さ れている。メディアやITの発達によって、彼 らはイスラーム教徒が弾圧され虐殺される現 場を毎日のように眼にしているのである。蔓 延する閉塞感や、やり場の無い怒りこそが、

テロリストを生み出す最大の要因なのではな いだろうか。

 チュニジアとエジプトにおける革命の成功 は、確かにイスラーム世界のこれからの民衆 運動の方向性を示している。それに逆行する 過激派は、必然的に民衆から遊離していくと 言う人もいる。しかし、少なくともイスラー ム教徒抑圧の象徴となっているパレスチナに 和平が実現されない限り、アメリカとその「同 盟者」を標的としたテロ攻撃は終息しないで あろう。なぜならイスラーム教徒たちは、彼 らの土地を「侵略」し、彼らの怨嗟の的であ るイスラエルにとって、アメリカが最も親密 な支援国であることを知っているからである。

5 月19日に、オバマ大統領はパレスチナ和平 交渉の前提として、イスラエルに1967年の第 3 次中東戦争以前の国境線まで撤退するよう求 めた。しかしながら、イスラエルがこれを受 け入れるとは思われず、パレスチナ和平の行 方は依然として闇の中である。

ほりかわ とおる(教授・西南アジア史)

ビンラディン殺害とイスラーム過激派

堀川 徹

世界をみつめて 2

世界をみつめて 2

5

研究者と図書館

参照

関連したドキュメント

世世 界界 のの 動動 きき 22 各各 国国 のの.

Kwansei Gakuin Architecture

生物多様性の損失も著しい。世界の脊椎動物の個体数は、 1970 年から 2014 年まで の間に 60% 減少した。世界の天然林は、 2010 年から 2015 年までに年平均

を体現する世界市民の育成」の下、国連・国際機関職員、外交官、国際 NGO 職員等、

世界レベルでプラスチック廃棄物が問題となっている。世界におけるプラスチック生 産量の増加に従い、一次プラスチック廃棄物の発生量も 1950 年から

 「世界陸上は今までの競技 人生の中で最も印象に残る大 会になりました。でも、最大の目

・生物多様性の損失も著しい。世界の脊椎動物の個体数は 1970 年から 2014 年ま での間に 60% 減少した。また、世界の天然林は 2010 年から 2015 年までに年平 均 650

フロント リテイ リング、ジェネックス、親和建設、 SCREEN