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特定非営利活動法人における租税法上の課題と展望

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Academic year: 2021

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神奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第13 20093月 153

■ 修士論文要旨

特定非営利活動法人における租税法上の課題と展望

一法人税 ・消費税 ・寄附金税制 に焦点 をあてて‑

Ta

xI . a w

inSpecifiedNonprofitCorporation

‑ CorporationTax,ConsumptionTaxandDonationTaxSystem

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

早 川 竜 平

HAYAKAWA,Ryohei

■キーワー ド

NPO法人、法人税、消費税、寄附金税制、非営利 セクター

近年、NPOとい う言葉 をマスメデ ィアなどか ら耳 にす る機 会 が増 えて きて い る。 この マスメ デ ィアな どで取 り上 げ られ るNPOとは、主 に特 定非営利 活動法人 (NPO法人) で あ る。NPO法 人 とは、特定非営利活動促進法 (NPO法) によっ て設立 された法人の ことであ り、ボランテ ィア活 動 をは じめ とす る市民が行 う自由な社会貢献活動 と しての特定非営利活動の健全 な発展 を促進 し、

これにより公益 の増進に寄与す ることを目的とし ている。 このNPO法は、2008年12月1日で施行10 年 を迎 え、 これ まで35,000を超 えるNPO法人 が 誕生 してい る。

NPO法人 は、 今 日の社会 シス テ ムの なかで、

他のNPOなどの非営利法人 とひ とくくりに して、

非営利 セクターとして位置付 けられている。 この 非営利 セクターは、政府 セクター、営利企業セク ターでは補 い きれないニーズを果 たす役割が期待 されている。しか し、日本 における非営利 セクター は、その重要性 が認識 され るようになってか ら間 もないため、政府 セクタ‑や営利企業セクターと

比べて機 能 しているとはい えない。 さらには、い まやNPOの中心 的存在 とい えるNPO法人 である が、非営利 セクターの他の非営利法人 と比べて も 歴史が浅 いため、制度が充実 しているともいい難 いの で あ る。 この よ うななか、NPO法人 を機 能 させ、そ して、非営利 セクターを発展 させてい く ためには、 どのよ うな制度 にすれば良いのか、 と い う問題意識 を抱 いた。 なかで も、NPO法人 は 非営利法人であるため、資金繰 りが難 しいのでは ないか と考 え られ る。 そ こで、主 にNPO法人 に おける租税法上 の3つの課題 を検討 し、今後の非 営利 セクターの発展のためには、 どのよ うな税制 であるべ きかを明 らかに してい くこととした。

まず、NPO法人 と法人税 の関係 につ いて検討 した。NPO法人 は、法人税 法上 、公益 法人等 と してみ な され、い くつ か特例 が設 け られてい る。

そのひ とつが、収益事業 における所得のみが課税 の対象 とな り、原則非課税 とな ることで あった。

しか し、流 山訴訟 とペ ッ ト供養訴訟の2つの判例 を検討 した結果、 この収益事業 の範囲の解釈 が、

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154 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第13 20093月

NPO法人 と法人税 の関係 におけ る最大の問題 点 で あることが分 か った。NPO法人 と企業 が行 う 事業が、 ともに拡大 している今 日において、両者 が競争す る事業範 囲 も拡大 されてお り、収益事業 が課税 とされ る根拠である企業 との競争が生 じる ことを理由に、収益事業 として解釈 されて しまう のである。 これ らの ことか ら、改めて 「収益事業

とは何か」 とい うことを見直 さなければな らない と指摘 した。 また、有償 ボランテ ィア活動が請負 業 とみな され ないために も、 「ボ ランテ ィア活動 とは何か」 とい うことも見直 さなければな らない と指摘 した。

つ ぎに、NPO法人 と消 費税 の関係 につ いて検 討 した。NPO法人 における消費税法上の特例 は、

主 に2つあった。1つは、免税事業者及び簡易課税 制度の適用であるOこれ らは、事務負担 を軽減す

ることがで きるもので、有利 となるものであった。

もう

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つ は、仕入れ税額控除の特例 である。 これ は、複雑 な計算 をしなければな らない不利 となる もので あった。今後、NPO法人 を消 費税 の面 か ら支援す る場合 には、消費税の性格か らして、事 務負担 を軽減す るなどといった側面 か らの特例 が 有 効 で あ ると考 えた。 また、NPO法人 と消 費税 の関係 における問題点 として、国内取引における 課税 の対象 とな る4要件 の1つで あ る、対価性 が あるかどうかの判断が挙げ られた。 これ らを解決 す るには、NPO法人 自 らが対策 を立 て ることも 必要であると指摘 した。

そ して、認定NPO法人 におけ る寄 附金税 制 に ついて検討 した。非営利 セクターの発展 には欠か せ ない寄附金税制であるが、今 日における日本の 寄附文化 は希薄であ り、寄附金税制の効力に も限 界があった。 そのよ うななか、公益法人制度改革 が行 われ ることとなった。NPO法人 と同 じ非営 利 セクターである公益法人の制度 が、抜本的に見 直 され ることとな り、今後、非営利 セクターとし ての役割 を大 いに期待 され るであろう。 この公益 法人制度改革 に伴い、寄附金税制全般が見直 され たQ その なかで、認定NPO法人 の認定要件 の緩 和 も行 われ たが、 まだ認定NPO法人制度 は機 能

す るとはいい難いであろう。 しか し、 このよ うに、

政府や行政 は、改めて非営利 セクターの重要性 を 認識 し始めた。 そ して、今 まさに寄附文化の構築 を目指 し、寄附金税制の整備に力 を入れは じめて いるのである。

この よ うに、主 に

3

つの租税法上の課題 を検討 して きた。 そ して、今後、NPO法人 を発展 させ るための重要 な課題 として、(1)収益事業の範囲 を立法論の観点か ら見直す、(2)ボ ランテ ィア活 動 の法 的位置付 けの確立、(3)認定NPO法人制 度 を機能 させ る、の3つ を提言 した。

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