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非対称セルロースナノファイバー「セルロースナノ アネモネ」

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

非対称セルロースナノファイバー「セルロースナノ アネモネ」

宇都宮, ひかり

http://hdl.handle.net/2324/2236314

出版情報:Kyushu University, 2018, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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氏 名 宇都宮 ひかり

論 文 名 Asymmetric cellulose nanofiber, “Cellulose nanoanemone”

(非対称セルロースナノファイバー「セルロースナノアネモネ」)

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 近藤 哲男 副 査 東京大学 教授 磯貝 明 副 査 九州大学 教授 北岡 卓也 副 査 九州大学 准教授 巽 大輔

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、セルロースナノファイバーの新たなナノ構造形態として、水中カウンターコリジョン (ACC)法により初めて調製が可能となる、非対称セルロースナノファイバー「セルロースナノアネ モネ」を提唱し、その物性を検討したものである。

まず、セルロース試料の懸濁水を高速で対向衝突させ、その衝撃波による界面破壊が天然セルロ ース繊維のナノ微細化を誘発する ACC 法に着目し、繊維両末端の異方性(還元性の有無の違い)

に起因する微細化が、選択的に還元性末端から生じることを明らかにしている。具体的には、ACC 処理で生じた繊維片末端のフィブリル化部位が還元性末端であることを、銀イオンを添加した場合 の還元により銀ナノ粒子が生成していることから透過型電子顕微鏡観察で明らかにし、フィブリル 化部位がセルロースナノファイバーの還元性末端側であることを示すことで、繊維異方性に起因す るACC法の選択的微細化を証明した。

次いで、溶存酸素下で酢酸菌を培養することにより得られるセルロースナノファイバーのゲル状 膜(ペリクル)が、準安定なセルロース Iα結晶構造を多く含むことに着目し、これを原料として、

異方的なナノ微細化を誘発させる ACC 法を適用させた。その結果、片末端がさらに顕著にフィブ リル化し、反対末端が全くフィブリル化していない非対称なセルロースナノファイバーが得られる ことを発見している。このナノファイバー形状がイソギンチャクに類似していることから、「セルロ ースナノアネモネ」と名付け、同上の透過型電子顕微鏡観察の結果、このフィブリル化した末端も セルロースの還元性末端側に存在することを確認している。

さらに、水中での繊維存在形態を明らかにするため、フィブリル化した枝部の還元性末端を蛍光 分子で化学修飾し、共焦点レーザー顕微鏡によりその動的挙動をタイムラプス動画によりモニター している。その結果、顕著なブラウン運動が認められ、その挙動から流体力学直径を算出・評価し たところ、水中でもセルロースナノアネモネは枝部を広げて存在していることを明らかにしている。

最後に、非対称セルロースナノアネモネ分散水の粘弾性挙動について、通常培養ペリクルの ACC 法により得られる対称セルロースナノファイバー分散水と比較し、繊維同士の相互作用に由来する チキソトロピー性発現の観点から検討している。両分散水ともチキソトロピー性を示すものの、せ ん断ストレスを負荷するごとに対称セルロースナノファイバー分散水の零せん断粘度は顕著に低下 するが、非対称セルロースナノアネモネ分散水ではその低下はみられず、初期値が維持されること を見出している。さらに、この違いが繊維同士の凝集の様式に起因し、特にセルロースナノアネモ ネでは個々の形状を維持し、クラスターを形成することで、ストレス解放後の粘性維持に寄与する

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ことを明らかにしている。

以上要するに、本研究は、再生産可能資源であるセルロース素材から、独特の形態と特性を示す 非対称セルロースナノファイバーを創製し、その機能材料としての可能性を新たに見出したもので ある。この成果は、セルロースナノファイバーの有用性を新たな観点から示すもので、同時に生物 材料設計学が発展著しいソフトマター分野に資するための方向性を与えるなど、バイオマテリアル デザイン科学および生物産業創成学の発展に寄与する価値ある業績と認める。

よって、本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める。

参照

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