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言語 ・心 ・知識 一慶庵義塾大学国際研究集会 に出席 して-

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言語 ・心 ・知識

一慶庵義塾大学国際研究集会 に出席 して‑

武 内 道 子

慶雁義塾大学独 自の大型研究助成の第一回 目の 研 究対象 として 「言語知識 と認知のイ ンターフェ イス」が採用 され、その総決算 として同 じ名前の 国際集会が3月25日 (前夜祭 )か ら29日まで開催 された。

26日〜28日の 3日間は午前が フォーラムと呼ば れた、比較的少人数の専 門家 による討議、午後が 公開講演。最後の4日目に言語獲得 と関連性理論 に関す るワークシ ョップが開かれた。 フォーラム は百名以上、公開講演 は二百名 ぐらい、二つのワー クシ ョップも補助椅子 をた くさん持 ちこまなけれ ばな らないほ どの盛況であった。使用言語 は英語 で、欧米か ら呼ばれたゲス ト以外 の人にとっては 母語ではなかったのだが、議論 は活発で、熱気 に あふれていた。

フォーラムはそれぞれの 日に特定のテーマが割 り当て られていた。初 日のテーマは 「文法 と知識」

とい うタイ トルで、言語 と知識 との関係 について であった。チ ョムスキーの立場では言語研究は即、

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言語 の知識 の研 究である、 したが ってそれは認知 科学 の一部である し、究極 的には人間の生物学で あるとされている。一方言語 についての理論 と、

言語の知識 についての理論 は、片方が他方 に対 し てある種 の制約 を与 える とい う形で非常 に密接 な 関係 はあるが、一応別であると考 えなければまず いのではないか、その意味では、文法理論 は究極 的には人間の生物学 にはな り得 ない とい う議論が ある。後者 の代表者 としてニュー ヨーク市立大学 のJ.カ ッツ教授が、前者の観点でカ ッツの議論 に 反論す る立場 の人が ロ ン ドン大 学 のD.ウ イル ソ ン教授であった。 (ウイル ソ ン教授 は実 は9月か らの私 (在外研究員 )の指導教授 であ る。)二人 の議論が問題提起 となって、 日本人3人の討論者 の コメ ン トを交 え、白熱 した議論が行 われた。 フ ロアか らも反論が沢 山出て議論が盛 り上が った。

こうい う基礎論 は重要であるに もかかわ らず、 日 本では敬遠 されが ちなので今 回の議論 は とて も有 意義であった。

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二 日目のテーマは 「学習可能性 と認知」 と題 さ れ、文法獲得が どんな風 に進んでい くか を2人の 研究者が実験 によって説得的に示そ うとした。文 法は全部がいっぺんに獲得 されるわけではな く、

あるものは確かに初 めか らあるとしか思い ようが ないようにときが くると現れて くるのだが、ある ものはそ うではな くて、その言語 に即 して獲得 さ れなければならない らしい とい うようなことがわ かって きている。 日本人3人の討論者のなかに神 経内科医 (東京女子医大)がいて、脳研究が言語 研 究の中にも取 り入れ られ、関心が重な りあって

きたことを強 く思った。

三 日目は 「言語 とモジュラリテ ィ」 とい うタイ トルで言語知識その ものがいったいどんな性質 を もつ ものなのか とい うことがテーマであった。文 法の内部でのモジュール性 に焦点 を絞 って

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人の 外国人 (ジュネーブ大学 とラ トガ‑ズ大学)が話 を した。言語知識 に関 して、赤ん坊は生 まれた と きは言わばデフォル ト状態で同一だが、 5才 ぐら いまでに受け取 る刺激の違いに応 じて、互いに全 く異なった個別言語が獲得 されるということが説 得力があった。

その ところが言語獲得のワークショップのテー マにつながってい くわけだが、並行 して行われた、

私が発表 した関連性理論のワークシ ョップについ て紹介 したい。言語の重要な機能はコミュニケー シ ョンの手段 として用い られるとい うことである (それが唯一の機能ではないにして も)。その場合、

言語知識が具体的な状況で使 われるわけだが、感 覚や知覚あるいは世界 に対す る信念や常識 といっ た言語以外 のさまざまな情報 を我々は駆使 してい る。 しか しこの場合、あ らゆる知識が相互作用す るとい うのではな く、意識は しないか もしれない がある種 の原理が働いている。これは 「関連性の 原理」 と呼ばれ、この原理 についての理論 を関連 性理論 と呼ぶ。それは人間である限 り免れること がで きない、普遍的な原理 とい うことでこの

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年 注 目を浴 びている研究領域である。先ほど言及 し たD.ウル ソンはこの原理 の創 設者 の一人であ るが、関連性理論の創設者が参加するというので このワークシ ョップも多 くの注 目を浴びたようで ある。ウイルソンと一緒 にこの理論 を強力 に推 し IH.‥.HJHJJL.,J三日 LJHHLLH"Il:lJJ‑■Lll̲J■LIL.‖tLll1日JHH.L"日.LJ一1‑.JLJJ=

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進めているD.ブレイクモア (サザ ンプ トン大学 ) もこのワークシ ョップの特別討論者 として招待 さ れた。私は彼女の関連性理論の入門書 を翻訳 した (1994年)が、 2年半ぶ りの楽 しい再会であった。

発表論文はアメリカとイギ リスか ら

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人、国内か ら3人の計5本で、その発表 に対 してウイルソン とプ レクモアが厳 しい議論 を挑み、白熟 した討論 が9時か ら夕方の6時まで延々と続いた。私にとっ ては9月か ら仲 間に入れて もらえるか どうかの試 金石の場 というような思いがあった。夜のパーティ で 「安心 した」 と言われた ときはほっとした。

さてこの国際集会 に参加 してはっきり認識 した ことは、言語学が新 しい展開を見せているとい う ことである。これまでの言語学 は特定の個別言語 に注 目して、それについて観察 し、で きるだけ正 しく記述することに焦点があった といえよう。そ れに対 してここでい う言語学は、人間が言語 を知 識 として受け入れてお り、その知識が人間の認知 における一つの要素 として働いていることに注 目 して言語研究を行 うわけである。言語が しか じか のシステムをもっているとして も、いったいなぜ そうなのだろうか とい う問いに答 えることがで き るような説明理論 を求めようとしているとい う点 が特徴的だ と思われる。言語学でやっていること が認知科学全体 を引っ張 って きた とい うことと、

ここにきて言語研究者 と言語以外の認知研究者 と の間の対話が非常 に盛んになって きたことを強 く 感 じた。これか らの人間の知の研究において、言 語学 とい う一つの領域 にとどまらず、他の領域の 研究者 との知的交流が二十一世紀 に向かって非常 に重要 になって くる、そ ういう意味でこの国際集 会の持つ意義は大 きい と思 う。

(編集後記)

ご研究の紹介 を兼ねた、ご研究周辺の話 を お寄せいただ きたい とい うお願いに

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氏の方 が応 じて くださった。アメリカか らはるばる セ ンターに思いを馳せ る玉稿が届 き、本年度

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号があっとい うまに体裁 を整 えた。会貞 のお手元 に届 く頃、編集子は在 ロン ドン。 ロ ン ドンか らバ トンタッチ します。(M.T.)

参照

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