教員養成か ノキュラムにおける栽培教育について
末弘百合子 * 中島 元夫 * * 古谷 吉男 *
(2006年 10月31日受理)OntheCultivationEducationinTeacherTrainingCurriculum YurikoSUEHIRO☆ MotooNAEASHn4A **YoshioFURUYA*
1 は じめに
栽培学習では, 自然 との対話 を通 しての当事者 の主体 的 な活動が要求 される。 したが っ て,その展 開のあ り方次第では,単 に自然や社会認識 を深 める学習だけで な く,その実体 験 を通 して, こころの健全育成 にかかわる多 くの陶冶が可能である。
近年,小学校 における 「生活科
」
の定着や,「特別活動」お よび 「総合 的な学習の時間」等 の中での体験 学習 の重視 とその推進 に よ り学校教育現場 にお ける栽培 学習 の導入 は増 加 しつつ ある。 さらに,平成17年7月 には,「食育
」
に関す る施 策 を総合 的かつ計画 的 に進め ることを 目的 と して 「食育基本法」が施行 された1)。 これ を受 け,学校教育現場で も 「食育」の一環 として,食材 の栽培 さらには 「総合的 な学習の時間」や 「家庭科」
の授 業 の中での食体験 な どの取 り組 みが推進 されつつあ り,今後 ます ます栽培学習の取 り組み の重要性が高 まることは確実である。 しか しなが ら,一般教育 としての系統的な栽培教育 は十分 には確立 されてお らず,指導指針 もない。 さらに,教員の基本的な素養 を規定す る「教員養成 カリキュラム」 において も積極 的には位置づ け られてい ない。
本稿 では,小学校お よび中学校 の学習指導要領 に見 られ る栽培学習 に関わる記述や,実 際の学校教育現場 にお ける栽培学習の実践 の状況 を概観 し,教員養成 カ リキュラムでの取 り組みの必要性 を述べ る。 さらに,本学部 にお ける栽培教育の実状 を紹介 す る とともに, 教員養成 カ リキュラムの一環 と しての栽培教育 のあ るべ き姿 と今後 の課題 について述べ
る。
2 栽培学習 について
2.1 学習指導要領 にみ られる栽培関連の学習
平成元年の学習指導 要領 の改訂 によ り,小学校 の第 1学年お よび第2学年 に 「生活科
」
が新設 され,平成4年4月か ら全面実施 となった。それ に伴 い,従前の低学年の社会科 と 理科 は廃止 された。 この 「生活科
」
では,動植物 の飼育 ・栽培 について,2学年 にわたっ て取 り扱 うもの とし,児童の動物や植物‑のかかわ り方が次第 に深 まるようにす ることと*長崎大学教育学部生活健康講座
**長崎大学教育学部非常勤講師
110 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.47(2007年)
されている。
さらに,平成8年7月の中央教育審議会 に よる 「21世紀 を展望 した我が国の教育のあ り方」 (第一次答 申) においては,学校教育 のあ り方 として,「ゆ と り」 の中で 「生 きる 力」の育成 を基本 とし,基礎 ・基本の徹底 を図 りつつ,一人ひとりの個性 を生か し,豊か な人間性 とた くま しい体 を育むため,「総合 的な学習 の時間
」
を設 けることと,完全学校 週5日制 を導入す ることを提言 した2)。 ここでは,「生 きる力」 として, 自ら学 び, 自ら 考 える力 な ど,個人が主体的 ・自律 的に行動するための基本 となる資質や能力の育成 をそ の大切 な柱 としてお り,児童 ・生徒が多 くの社会体験や 自然体験 な どの活動 を体験 し,そ の体験 を糧 として机上で学 んだ知識 を生 きた もの とす ることが より強 く求め られている。この提言 を受 け,平成14年 よ り全面実施 となった 「総合的な学習の時間
」
は,従来の 教科 ・道徳 ・特別活動 に加 えて,小学校では,第3・4学年で105時間,第5・6学年で 110時間, 中学校 では各学年でそれぞれ70時間実施す ることとなった3・4)。
「総合的な学 習の時間」の特色 は,各教科等の ように授業内容 は特定せず,教科横 断的かつ総合的な学 習 を進めることを主たる性格 としている。 また,指導計画や時間表 を作成する場合 も,毎 週一定の時数 を割 り振 るだけでな く,各教科や道徳,特別活動 との関連 を図 りつつ,活動 内容 によ り特定の時期 に集 中的に授業がで きるな ど,弾力的な展開 も可能 とされている。現在, この ような時間を活用 した栽培や農業体験 に関わる取 り組み例が多 く見 られる。
表1に現行の小学校お よび中学校 の学習指導要領の記述 に見 られる栽培 に関する学習機 会 を整理 して示 した。栽培あるいは農業 に関連 した内容 に取 り組み得 る機会 は多 く見 るこ
とがで きるが,栽培学習 として積極 的に位置づ け られているのは,小学校 の第1,2学年 の 「生活科」 (自然 とそのかかわ り)お よび第3学年の 「理科」 (生物 とその環境) と,中 学校 の 「技術科」 (技術 とものづ くり) に限 られてい る。 しか も,中学校 の 「技術科」 に おける栽培学習は,選択題材 であ り授業時間の確保が困難 な現状 にある。 これ らのことか
ら,義務教育段階において栽培学習の機会 は十分 には保障 されていない といえる。
2.2 栽培学習の意義
栽培 は, 自然 を相手 に,生 きものである植物の持つ機能 を生か しなが ら生産 を行 うこと である。 この生産活動 は,地域の地形や気候 などの 自然的要因に影響 され,人間の想像力 をはるかに凌 ぐ赦密 なバ ランスの上 に成立ち, しか も,生命のはかなさやた くましさを内 在 している。 さらに,栽培 を学習活動の立場か らとらえる時, 自然体験 を基軸 に,観察, 実験,実習,見学,調査,討論,収穫祭等の一連の生産活動 を通 した科学的,社会的な活 動や奉仕活動 を盛 り込むことが可能であ り,児童 ・生徒 の意欲的な態度 を喚起 しつつ,問 題解決的な学習の展 開 も可能 となる。
栽培学習 に参加す る児童 ・生徒 は, 自分 自身のすべ ての感覚機能 を発揮 して,育成環境 (土壌) を整備 し,作物 を種 か らまき,成長 の過程 を見守 り,収穫す る。 さらに,それ ら に伴 う人の働 き,道具の歴史やその活用,気候や 自然環境 などに直接触 れ合 うことによっ て問題 を発見 し,その解決のために 自ら考 え,学 び,それ を深める手立 て を学ぶ と同時 に,農作物 を通 した生産者への思いや りの心,感動す る心 を培 うことが期待で きる。 これ らのことは, 自然的 ・社会的事象 に直接関わ り,経験 を通 して 自ら考え,問題の解決能力 を身につけることを重要視す る学校教育の新 しい学力観 とも合致す るとともに, こころ豊
表 1.現 行 の教 育 課程 にお け る栽培 関連学 習
校種 教科等 内容 教育課程上 の位置づ け
小学校 特別活動 学校行事 ・勤労生産 .奉仕 的行事・遠足 .集 団宿泊的行事 総合 的 な学習 の時間 総合 的課題 ・環境 .健康 的 な学 習・興味 .関心的 な学習・地域 の特色 に応 じた学習
生活 自然 とそのかかわ り ・自然観察学習
(第 1学年及 び第2学年) ・植物栽培学習
理科 生物 とその環境 ・飼育,栽培学習
(第3学年) ・植物 の成長学習 社会 地域 の特色(第3学年及 び第4学年) ・産業,地理等 の学習
我が 国の農業 ・日本 の農業学習
(第5学年) ・国土や 自然 の学習
家庭 調理(第5学年及 び第6学年) ・調理学習
道徳 自然及 び環境学習 ・自然環境学習・郷土 .文化学習
中学校 特別活動総合 的 な学習の時間 学校行事総合 的課題 ・旅行 .集 団宿泊的行事・勤労生産 .奉仕 的行事・環境 .健康 的な学習・興味 .関心 的な学 習・地域 の特色 に応 じた学習
技術 技術 とものづ くり ・作物 の栽培学習
理 科 植物 の生活 と種類 ・植物 の観察学習
社会 地域 の規模 に応 じた調査 ・地域 の地理学習
か な人 間性 の滴 菱 に繋 が る。
従 っ て, この よ うに多 くの教 育 的要 素 を内包 す る栽 培 学 習 を義 務 教 育 課 程 の 中 で 進 め る こ とは ,各 教 科 にお け る学 習 内容 の動 機 付 け あ るい は深 化 に効 果 的 で あ る と と もに,分 化 しが ち な学 習 内容 を総 合 的 に捉 え る足 掛 か りを与 え る こ とに な る。 体 験 を通 した豊 か な こ こ ろの 育 成 に も関 わ り,学 校 教 育 の 中で教 科 の枠 を超 えた よ り積 極 的 な実 践 が 早 急 に望 ま れ る。
2.3 現 行 の教 育 職 員 免 許 法 にお ける 栽 培 教 育
教 育 職 員 免 許 法 (以 下 「免 許 法 」 と記 す ) にお け る栽 培 関係 科 目の取 り扱 い は, 中学 校 教 諭 免 許 「技 術 」 取 得 の た め の , 実 習 を含 む 1単 位 以 上 の履 修 が 義 務 づ け られ て い るの み で , そ れ 以外 で の栽 培 関係 の授 業 の 開設 は極 め て少 ない 。 従 って ,現 行 の教 員 養 成 にお い て は,教 育 職 員 免 許 「技 術 」 の取 得 を希 望 す る学 生 の み が 栽 培 関係 科 目の授 業 を必 修 科 目 と して履 修 して い る現 状 で あ り, よ り必 要 性 の 高 い初 等教 育 に関 わ る教 員 養 成 に は ,免 許 法 も含 め , 十 分 に対 応 で きて い ない 。
3 栽 培 学 習 実 践 の現 状
平 成 17年 度 にお け る全 国農 村 青 少 年 教 育 振 興 会 の ア ンケ ー ト調 査5)(全 国 の5%に あ
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たる小 ・中学校 を任意系統抽 出法で選 出)結果 による と,農業体験学習 をすで に実施 して い る学校 は,小学校 では 78.5%,中学校 では 32.9%の割合 を占めてい る。 この調査 での農 業体験学習 とは,教育の一環 として農畜産物 の生産 (農作業)や加工 を児童 ・生徒が実際 に体験す る もの としているが, ここでの回答 の多 くは学校外 の借用農 園に出向いての稲 や 野菜等の栽培 に加 え,学校 内での鉢 あるいはプランター等 を利用 した花 や野菜類 の栽培 を 含 めた結果である。
表2は,上記調査 において農業体験学習実施上の課題や問題点 について集計 した結果 で あ る。 これ による と,農業体験学習 を実施 していない学校 の場合,その理 由 として,「時 間の不足」が6割以上,「適 当な場所 が ない
」
については小学校 で6割,中学校 では4割 近 くと多 くの割合 を占めてい る。 また,実施 してい る場合 において も 「時間の不足」 や「準備 に時間がかか る」 とい った時間的な問題 も多 い ことが分 か る。 この ことは,栽培学 習 の実践 にあたっては,時間 と場所が主要 な困難要 因の一つ として認識 されていることに なる。
表2.農業体験学習実施上の課題 ・問題点 (複数回答) (平成 17年度)
課題 .問題点等 実施 している(問題点)(%) 実施 していない(その理由)(%)
合計 小学校 中学校 合計 小学校 中学校
時間の不足 56.5 61.9 30.4 64.8 69.5 62.1 適当な場所がない 17.3 17.5 16.4 47.2 64ー8 36.0 外部の指導者不足 9.7 10.2 7.6 20.2 23.8 18.0 準備に時間がかかる 43.5 47.0 22.6 26.2 29.5 24.2 経費がかかる 19.9 20.6 16.5 17.2 22.9 13.7 学習効果が不明 3.9 3.7 5.1 8.6 6.7 9.9 学校や教師の農業 に関する
技術や知識 .情報の不足 44.6 46.7 34.2 38.2 43.8 34.8
さらに, この調査結果 は,農業体験学習の実施 の有無 に関わ らず,「学校 や教 師の農業 に関す る技術や知識,情報の不足」 をあげている学校 が4割前後 に ものぼ り,十分 に対応 で きる教員が少 ない現状 を示 している。 これ を補 うために,教 育現場 での栽培学習の実践 においては,地域 の専 門家 (農業従事者等) を外部講 師 として招 き,担 当教 師 とのチーム テ ィーチ ング形式 によ り取 り組 む事例が多 くみ られる。
・長崎県 内 において も,大村市立鈴 田小 学校 の第1学年生活科 「い ち ごをそ だて よう」
(平成 13年度)や,西彼 町立 (現 西海市立)北小学校 の第4学年北 っ子 タイム (総合 的 な学習の時 間)「花 をプ レゼ ン トしよう」 (平成 14年度) な どの実践例 (学習指導案) で は,作業 を含 めた全 ての栽培指導 を外 部講師 に任せ,担 当教 師は生徒 と共 に作業 しなが ら 授業管理 のみ を行 う授業形態が採 られている6)。た しか に,経験豊か な専 門家 の高い知識 の提供 は貴重であ り, この ような外部講師の存在 は,地域理解お よび地域 との交流 を含 め た観点か らも極 めて大切 な取組み と考 えられるが,一方で地域 の人々のボランテ ィアに頼 らざるを得 ない現状がある。 さらに,栽培 は継続的な管理作業 を伴 うことが常 であ り,そ の取組 み を除いた,播種 (種 まき), または植付 け と収穫 のみの断続 的 な体験学習では不 十分 である。 土づ くりか ら収穫 までの全体管理 を伴 う栽培学習体験 こそが意義 ある体験 だ
と思 う。
通常の教科授業では,「学習指導案
」
に従 って授業準備 をし,それをいかにスムーズに 実践 し,評価す るかが問われる。 しか し,栽培学習では必ず しも 「学習指導案」通 りに展 開出来ないことが多い。植物は周辺環境 (土壌 ・気象 ・栽培作物以外の生物など)の影響 を大 きく受ける。 そのために,栽培では,当事者のその把握 と能動的な働 きかけ,あるい は,科学的な臨機応変の対処が求め られる。
「水や り」 を例 えてみて も,水 を与 えさえす れば植物 は育つ という考 えは間違いである。 特 に植物の蒸散の激 しい夏場 は,水 をかける 時間帯,かける量,かけ方を知 らなければうまく育てることは出来ず,下手 をすれば枯れて しまう恐れ もある。 このように,適切な管理がなければ収穫 まで至 らないことが多々ある。以上のことか ら,子 どもたちに共感 を与 える得 る栽培学習 を実践展開す るために,授業 時間外 において も担当教師が 日常的に適切 な栽培管理が出来る能力 を保有するとともに, 地元農産物 を題材 として活用するための農業理解 も必要 となる。 アンケー ト調査結果か ら は栽培学習の教育的意義 を十分認識 した中での各学校の取組みの工夫が浮かび上が るが, 一方で,多 くの困難 さの実情 も提示 している。 栽培学習の充実を図るために,教員養成カ
リキュラムの中に是非 とも基礎 的な栽培教育 を取 り入れる必要性 を感 じる。 さらに,農業 者 に対 して農業技術,農業経営,生活改善を指導するために設置 された県の機関,農業改 良普及センターにおいて,外部講師の派遣だけでな く,学校現場の教師に対する農業研修 会の開催がみ られる7)。 このような活動 を積極的に利用す ることも必要であろう。
4 本学部における教員養成カ リキュラムとしての栽培教育
本学部では免許法 に則 り,「栽培学」 (2単位)お よび 「栽培学実習」 (1単位)の授業 を,継続的な管理作業 を伴 うとい う栽培 の特質 を考慮 して,1年間を通 して同時 (平行) 開設 している。 現在, これ らの授業 を,主に,技術教育選修お よび副免 として中学校 「技 術」の教職免許の取得 をめざす3,4年次の学生 (10名程度)が受講 している。
「栽培学実習」は,学内にある実習圃 (ほ)場 において実施 している。 ここでは,1000 m2程度の敷地 に,図1の作付 け区画図に模式的に示す ように,野菜等の畑作や,水 田で の稲作,そ して, ウメ,カンキツ類 な どの気候 に適 した果樹 の栽培,管理 を行 っている。
水 田は,我が国の農業 を語る上でな くてほならない ものであ り,主食である米は,気温が 高 く雨が多い 日本の気候 に適応 した作物 といえる。50m2ほどの田を耕 し,育苗箱 に種籾 をまくことか ら始 まる米作 りでは,代掻 き (水 を張った田の土壌 をか き混ぜ,平 らになら す),田植 え,そ して稲刈 りまでの一連の作業 をすべて手作業で行 う。 この実習で受講生 は,田植 えの準備の大変 さや,苗 を植 え終 わった達成感,水 田の泥の感触 などを実感す る。 こうした体験 には,個 々の作業の有意性 を生産過程全体の中で理解 し, 自らの行為の 価値付 けをする学びがある。 さらに,図2の栽培暦 に示す ように,教材価値が高 く,地域 において広 く栽培 されているイモ類や野菜類 などの作物の生育,管理作業実習 も取 り入れ ている。 これ らの作物栽培 においては,上段 に記載 した学生が授業で取 り組む作業 に加 え て,下段 に挙げ られているような維持,管理作業 を必ず伴 う。 授業時間の都合上,受講生 には各作物 に対する全ての作業段階を実践 させることは不可能であ り,各作業の関係性の 把握が不十分 な状態で実習 を終了することも生 じるが, この場合,欠けた内容は栽培学の 講義内で補 えるよう配慮 している。
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畑 畑
果 樹 (ウメ) 畑
畑 畑
果 樹 (ウメ,クリ)
果 樹 (クリ)
果 樹 (カンキツ,ビワ)
果 樹 (カンキツ)
図1.本 学 部 農場 の作 付 け 区画 図
007
65
4
3
サ ツマ イ モ
カボチャ キ ュウ リ トマト など
EBおlJL EE]植え
代招き
籾まき 巾不育苗士丁畝
種籾の予措
: 水管理 →
過 重肥 剤
布散
ト ̲」 ヱ 苧
∴ 二
毒 み
脱鎧収穫
乾 燥
描付
&
E 三 重二〕 層 諸 鮎 と潤 も 葉捌 〕儲 (ニンジン)漂 諾 五㌢ 堆肥のす鞄 み
図2.本 学 部 にお け る栽 培 学 実 習 (上 段 :学 生 が行 う作 業 ,下段 :管 理作 業 )
「栽培学
」
の講義 内容 の一例 を表3に示 す。 この講義 で は,主 と して,栽培 の基礎 的 な 知識 の体系 的 な習得 を 目的 に授 業 を行 い,加 えて,将来 において実地指導 で きる素養 を身 につ けることも目的 と してい る。 そのため に,上記 の 「栽培学実習」の授業 との年 間 を通 した同時 (平行 )進行 に よ り,少量ずつ多種 の作物 を題材 と して取 り上 げ,それ らの生育 過程や栽培 に適す る環境 条件 な どについて作物種 に即 した計画 を立 て させ る とともに,各 種 の農機具類 の取 り扱 い も含 めた作業記録 や栽培記録 の作成 もさせ てい る。 この ように講 義及 び実習 を相 互 に組 み合 わせ ることに よ り,作 物 の作付 け ・管理 ・収穫 までの一連 の過 程 を座学 によ り再確認 させ,実習時の各作業がそれぞれ独 立 した もので はな く,相 互 に関 連性 を保 ちなが ら存在 し,そのいずれ もが最終 日的 (作物 の収穫 量や品質) に深 く関わる こ とを実感 させ るべ く留意 してい る。 写真1,2,3に,それぞれ,本農場 の様子,作付 け 例,受講生 の実習 (畝 たて)風 景 を示す。表3.栽培学 の講義内容の一例
回数 ア‑マ
1 栽培学 とは何か 2 作物の定義 と分類 3 生産 と環境 4 植物体の組成 と必須元素
5 土壌の構成
6 肥料 の種類 と培養土 7 栄養繁殖 による繁殖法 8 日長効果 と花芽分化 9 病虫害 と総合的防除 10 養液栽培 .バイオテクノロジー ll 耕地の有効利用 と作物生産 12 環境問題 と農業 13 人間形成 と農の教育力
14 まとめ 写真 1.農場の様子
写真2.作付け状況(ミズナ,ホウレンソウ,サツマイモ) 写真3.受講生 による畝たて作業
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また,平成 18年度後期か ら,初等教育 における栽培学習実践の現状 をふ まえ,新たに, 本学部の小学校生活科 を履修する学生 (前後期,各10名程度) に,基礎 的な栽培の知識, 指導能力 を付与するため 「生活 と栽培
」
の領域 を開設 した。そ こでは短時間 (前後期,各3回)ではあるが,栽培 に関わる土や肥料,作物 の特性等 に関す る基礎 的な知識 を もと に,実習 を含めた授業 を行 っている。
この ような栽培体験 を受講時だけの一過性 の ものに終わ らせず,栽培学習の意義 を深め させ,「児童 ・生徒 たちに如何 に取 り組 ませ るか
」
との思いに至 らしめ るため には,受講 生 に各 自の取 り組みの具体的成果 を再認識 させつつ,栽培への共感 を得 させ ることが欠か せ ない。限 られた履修時間の中で,栽培 における失敗お よび成功事例 を如何 に深 く実感 さ せ るかが重要であ り,かつ,課題 と思われる。5 おわりに
「生活科
」
や,「総合的な学習の時間」の設置 に加 え,体験学習の重視 か ら,栽培学習 は 既 に多 くの小学校 において実践 されてい る。 しか し,学習指導要領お よび教員養成 カ リ キュラムにおいて積極的な位置づけはなされて来てお らず,準備や指導のための時間,あ るいは,実施場所の確保の困難 さ,指導者 (担当で きる教員)の不足等 の要因のため,そ の実施内容の実情 は必ず しも十分であるといえない。 また,中学校での実施 は3割程度 に 留 まっている。栽培 は,育成環境 の整備 (土づ くり)か ら播種 (種 まき) または植付 け,施肥,生育管 理 を経て収穫 に至 るまでの一連の過程 を体験学習 してこそ意味 を持つ ものである。 多 くの 教育的要素 はその過程 に内包 されている。 また,実践時の位置づけあるいは展 開によ り, 各教科 における学習内容の動機付 けあるいは深化 に効果的であるとともに,分化 しがちな 学習内容 を総合的に捉 える足掛か りを与 えることになると思 う。 一般教育の一環 として栽 培学習 を義務教育の中で積極 的に位置づけ,既存の教科学習 と関連づけた効果的な実践展
開を推進す るべ きである。
さらに,栽培学習の不十分 な現状 を改善す るために,教員の栽培実践技量の向上 と農業 や作業学習‑の理解 を深めるための研修機会 を増やす とともに,教員養成 カリキュラムの 中に基礎 的な栽培 に関わる教育内容 を早急 に取 り入れる必要があると思 う。 栽培の一連の 過程 に内包 される学習効果 を再認識 し,学校教育 において,教科の枠 を越 えた より積極 的
な対応 とその実践への配慮が早急 に望 まれる。
本学部 における今後の課題 として,教員養成 カリキュラムの一環 としての よ り効果的な 栽培教育のあ り方の検討や,専 門的な知識の不足が原因で栽培学習に消極 的にな りがちな 教 師にとって指導の助 け とな り,児童 ・生徒 の学習 をより有意義な もの とする,学校教育 現場 における栽培学習充実のための教 師用農作業 ガイ ドブ ックの作成 に取 り組みたい。
引用 ・参考文献
1)(財)食生活情報サー ビスセ ンター http://www.e‑shokuiku.com/
2)文部科学省 http://www.next.go.jp/
3)文部科学省 『小学校学習指導要領』 (平成10年12月告示,平成15年12月一部改正)
4)文部科学省 『中学校学習指導要領』 (平成10年12月告示,平成 15年 12月一部改正)
5)社 団法人全 国農村青少年教育振興会 http://www.ryeda.or.jp/
6)長崎県教育 セ ンター http://www.edu‑C.pref.nagasaki.jp/
7)e一農林 水 産 ・なが さ き http://www.suisan.n‑nourin.jp/oh/index.html