人間発達科学部紀要 第 1巻 第 2号 :117‑128(2007)
『 人間の声』
一プァランクのオペラをより深 く解釈するために二
日本語訳 千 田 恭 子
ヽ La VOix Hulnaine
POur dlinterprё ter l'Opё ra de Poule,c plus profondё ment Traductrice Kyouko SENDA
E― mall:[email protected]― toyamacacjp
キーワー ド :オペラ コ ク トー プ ーランク 解 釈 表 現 Keywords:{Э pёra,Cocteau,Poulenc,Interprёtation,Expresslon
は じめ に
コク トー (Cocteau,」1889〜 1963)の 戯曲をも とにプーランク (Poulenc,F1899〜1963)が 作曲 したモノオペ ラ 『人 間の声』 (1958年作 曲、 1959 年初演。戯曲 としての初演は 1930年)に 私が初め て巡 り会 ったのは、 も う25年 も前 の ことである。
フランス語は全 くわか らないにもかかわ らず、後々 まで印象に残 ったことを覚 えている。2002年 に同 作 品を原語 で演奏す る機会 を得 た (2002年 6月 、 愛知県名古屋市守山文化小劇場、演出 :伊藤明子)。
オペ ラの台本 はコク トーが書いた戯 曲全 てではな く、作曲家のプーランクと初演時に唯一人の登場人 物 を演 じたソプラノ歌手、 ドウエーズ ・デ ュヴ ア ル (Duval,D1921〜)が 検討を重ねてカ ッ トを施
した ものである。その台本 によるオペ ラの初演の 時、 コク トーは演出 と舞台装置を担 当 し、「親愛な るフランシス、君は僕のテキス トを 『朗誦』する方 法を見つけて くれた」(1)という讃辞をプーランクに 書き送 ったとい う事を知 り、カッ トされた部分は気 にせず、台本テキス トを読み込み、人物像を描 き、
自分 な りの舞台を作 り上げ ることがで きた と思 っ ていた。2004年 、ジェシー ・ノーマ ン (Norman,」
1945〜 )が 来 日し、 この作品を演 じた。残念なが ら生の舞台を観 ることはできなかったが、後 日、N HKの 教育テ レビでライブ映像が放送された (2004 年 8月 、芸術劇場)の を観て、役作 りと表現の差を
痛烈 に感 じたのである。演 出その ものの違いなのか、
ア メ リカ人 と日本人 の持 うてい る性格 の差 なのか、
他 に何か理 由があるのか…。 もちろん、それ らの全 てに原 因があるのであろ う。そ こで、役創 りの差が どこか ら発生す るのか理 由を探 し出そ うと戯 曲その ものの翻訳を試み ることに した。
『人間の声』の翻訳 はコク トー全集 ② に収め られ ている。そ こで私 は、声楽家が役作 りの追求のため、
プー ランクのオペ ラの原作 を研究す る とい う立場 で 翻訳を試み る ことに した。恋人に捨て られた女 は前 夜睡眠薬 自殺 を しよ うとし、一命を取 り留めて苦悩 の 1日 を終 えた。死体 のよ うに うず くまる女の部屋 に電話のベル。 5年 間の愛 の生活を捨てて 3日 前 に 去 って行 うた男か らの最後 の電話。男は明 日、別の 女 と結婚す る らしい。男 とかわす最後の会話。それ がオペ ラの全 てであ る。電話の相手 は姿を見せ る こ
とはな く、声 さえも観客 に聞かせ る ことはない。
プー ランクとデ ュヴ アルがカ ッ トした部分 には ど のよ うな人物像が描かれてい るのかを探 りつつ、楽 譜 に込 め られたプァ ランクの メッセー ジ と対比 しな が ら翻訳す ことによって、オペ ラ作 品 としての 『人 間の声』の新 しい魅力を発見 したい と思 う。
以下 は翻訳 であるが、序文、舞台装置、本文 とい う構成で書かれてい る。
『人 間 の声 』
ジャン ・コク トー 序文
この劇 の作者 は実験を好むQ何 が行われたか とい う結果を見 た後 で、何を行 いたか ったかを 自分 に問 いかけてみ るのが習慣 にな ってい るので、作者 自身 が物 事 の情報 を直 接 知 らせ るのが一番 簡単 で あ ろ
う。 .
この劇を書 くことを決定 させ たい くつかの動機が ある。
l.作 者 自身が持 ってい る極度の怠慢 さが書 くこ とを拒んでいた として も、不可解 な動機 は詩人を書 くことに駆 り立てる。おそ らく、電話 での意表 をつ いたや りとりの思い出 とか、ベルの音 の重 々 しい異 様 さ、会話が途切れた時の沈黙 の長 さな どがそ うで あろ う。
2.仕 掛 けを扱 いす ぎる とか、場 当た り的な作品 である とか、演 出に頼 りす ぎる と言 って人 は作者 を 非難す る。従 って彼 は最大限に劇 を単純化す ること が必要 であった。すなわち、一つの幕、一つの部屋、
一人の登場人物、愛、そ して現代劇におけるあ りふ れた小道具の一つである電話 である。
3。 現実的な演劇 の中の人生 は、美術 の展覧会の カンバスのよ うな ものである。作者 はある座 ってい る女性、特定の女性 ではな く、聡明な女性で も愚か な女 性 で もな く、 しか も個 性 の ない女 性 を描 か な けれ ば な らない。 また、生気 や 即座 にや り返 す対 話、子供の言葉 のよ うに耐 え難い恋人達の言葉 を避 ける こと、つ ま り、それ 自体が有毒で粘 っこ く、さ らには演劇その もの、 ソフォクレスや ラシー ヌやモ リエールの生 き生 き とした難解 さを持つ真の演劇 と こっそ り入れ替わ ってい るよ うな演劇 による演劇の 全 てを避 ける ことが必要 であった。 この企画の困難 さは作者 も想 像 した。 そ こで彼 は ヴ ィ ク トル ・ユ ゴーの助言 に従い、心の葛藤 を扱 うのに最 も適 さな い電話 の混線を使 って悲劇 と戯 曲を喜劇 で結 びつけ たのである。
4。 最後 に、 この作者 は、俳優 としての才能 に害 を もた らす服従を演技者 に強要 した り、常 に最高の 席を要求 した りす る と、 しば しば非難 されてい るの で、難解 な脚本を書いてみたい と思 った。『ロメオ』③
に 「上演の口実」 と題を付けたように、女優を目実 に したといえる。彼女の演技の陰にその台本は消え ているが、 この劇作品は女優に二つの役柄を与えて いる。語る時 と、聞 く時に沈黙によって表現される 姿を見せない人物の性格をはっき り現す役である。
追記.作 者が何か心理学的な解決を求めていると 思 うのは間違いである6そ れはただ、演劇的な注文 の諸問題を解決することだけである。演劇、説教、
演説、文学が混合 している事態 こそ、まさに干渉 し なければならない禍であるのだか ら。 もし純粋劇や 純粋詩が冗語法でないなら、純粋劇 とい うのが流行 の語法であろう。純粋詩は詩を、純粋劇は演劇を意 味するのだか ら。他の演劇は存在するはずもない。
作者がコメディー ・フランセーズ劇場でこの劇を 上演 したのは、最悪の偏見、つまり、国立劇場に対 する新興劇場の偏見を断ち切る為だ と付け加えてお こう。ブールヴァール演劇 )は映画に場所を譲 り、
時代の先端 と言われた舞台が、徐々にブールヴァー ル演劇の位置を 占め、国立 とい う額、金箔の額 に 入った舞台だけが、あか らさまでない新 しさを持つ 作品を引き立てる唯一の可能性を とどめているのだ か ら。
新 しいブール ヴ アールの観衆 は感動 に飢 えてい て、何事にも敬意を払わず、あらゆる物を欲 しがる。
コメディー ・フランセーズ劇場にはまだ感情に貪欲 な観衆がいるのだ。 これ といった特徴のない劇場の ために作者の個性は姿を消 し、今 日性によってこれ 以上歪められなければ 《コメデイー ・フランセーズ 劇場での興行》は、作品が本来持 っている起伏 と鑑 賞距離を作品から引き出すのに適 しているのだ。
舞台装置
場面は婦人の寝室の任意の一角を現 し、彩色 した 織物の赤い縁に囲まれて限 られている。部屋は薄暗 く青みがかかっていて、下手には乱れたベ ッ ド、上 手には非常に明るい白い浴室に向かって半分開かれ た ドアがある。中央の仕切には傾いた、引き伸ば し た名画の写真、あるいは家族の肖像が掛けられてい る。要するに不吉な感 じの印象である。
プロンプターボックスの前には低い椅子 と小さな テーブルがあ り、電話 と数冊の本、鋭い光を放 って いるランプがある。
幕が上がると、殺人が行われたような部屋が現れ
『人間の声』
る。ベ ッ ドの前の床 の上 に、一人の女が長いシュミー ズを着 て、 まるで殺 されたかのよ うに横 たわ ってい る。tt。女 は起 き上が って姿勢を変 えるが再び じっ と動かない。 よ うや く決心 して立 ち上が る とベ ッ ド の上の コー トを取 り、電話の前で少 し立 ち止 まって か ら ドアの方へ 向か ってい く。 ドアに手が掛か った 時電話のベルが鳴 る。女 はコー トを投げ出 して飛び ついてい く。 コー トがま とわ りつ くので脚で蹴飛ば す。受話器をはずす。
この瞬間か ら女 は話 し始め る。立 った り、座 った り、背を向けた り、正面を向いた り、横 向きになっ た り、肘掛け椅子の背の後 に脆いて、頭 だけを切 ら れた首 のよ うに背 もたれの上 にもたせかけた りしな が ら。そ して部屋 の中を電話線を引きず りなが ら大 股 で歩 き回るのだ。最後 に腹這いになってベ ッ ドに 倒れて しま うまで。その時、女の頭 はが っ くりと傾
き、受話器 は小石の よ うに床 に落 ちる。
それぞれの姿勢は、 この独 自的対話の一つ一つの 局面 (犬の局面、嘘の局面、間違い電話 の局面等 々) を、 よ く生か さなければな らない。神経の焦燥状態 は急速 に表 れ るの で はな く、 この連続 した姿 勢 に よって表現 され る。そ して、その姿勢の一つ一つ は 不安の絶頂 にい ることをはっき りと現 さな くてはな
らない。
化粧着 の シ ュミー ズ、天丼、 ドア、肘掛 け椅子、
椅子 カバー、 白いランプの笠。
プロンプタアボ ックスの照明で座 ってい る女 の背 後 に長い影を作 り、 ランプの笠の明か りを強調す る よ うな工夫す る こと。
この劇 の様式 は活気 のよ うな ものを全 て排除 して い る。従 って、作者 の指導 もな く演 じる女優 には捨 て られた女の皮 肉や辛辣 さ等を全 く加 えないよ うに 願 う。 この人物 は恋人を愛 しきった、平凡 な犠牲者 なのだ。彼女 は一度 だけ策 を試み る。それは、男が 嫌 な思い出を 自分 に残 さないために、嘘を告 白す る よ うに しむけることなのだ。 これを演 じる女優 は血 を流 している印象、足 に怪我を した獣のよ うに血を 失い、血 に満 ちた部屋 の中で幕が終わ るよ うな印象 を与 える ことを希望す る。
台本を尊重す ること。 フランス語の語法の誤 りと
か、繰 り返 しとか、文学的な言い回 しとか、あ りふ れた言葉使いは注意深い吟味の結果 なのだ。
唯一 の登 場 人 物 を最 初 に演 じたの はベ ル ト ・ボ ヴィ嬢。
「人 間の声」 は 1930年 2月 17日 に コメデ ィ ・フ ランセーズ劇場 に於いて初演 された。
人 間の声
※下線部を付 した部分はオペラの歌詞 として用い られた 部分。
※頻繁に使われている………は原作で使われている長さ に従った。
はい、 もしもし、 もしもし………いいえ、
ちがい ます、混線 してい るんですわ、おかけなお し下さい ・…… もしもし………相手がちがいま す: ・・……まあ ! ……… もしもし ! ……… です け ど、あなたの方 でお切 りになった らどうですの
‥……。も しも し、交換手 さん。 も しも し…………切 っ て下 さい って言 ってい るのに……いいえ、 シュミッ ト医院ではあ りません…… 08で す、 07で はあ り ません……も しもし ! … …ふざけて るわ………誰か が私 にかけて くるん だけ ど、わ けがわか らないわ。
(女は電話を切るが、その手は受話器に置いたまま、電 話が鳴る)… ・も しも し !… またですか8私 に どうし ろ とお つ しゃるんですか ?… ……なんて失礼な人な の………・まあ、私 の方が悪いんです つて……そ んなことあるもんですか……とんでもない……もし も し !・…… も しも し、交換手 さん ……誰 かがか け て来てるんですけ ど、話が出来ないんです。ひ どく 混線 してるんですよ。 この女 の人 に引 っ込むよ うに 言 って頂 戴。 (電話を切る。電話が鳴る)も しも し ! あなたなの ? … …あなたなのね ? … …ええ、そ う
……ちっとも聞こえないの……とても遠い、 とても 遠いのよ……もしもし ! ……まあ、嫌になっちゃう わ………ひ どく混線 してるのよ……かけなお して下 さらない。 もしもし ! か ・け ・な ・お ・し ・て……
こえ な くてt辛 か ったわ ………… え え ……… え え なか ったわ………感心 され るほ どじゃない
ンえ
帽子 を かぶ った ま ま よ…………い い え、煙 草 なん て 私 、気持 ちを しっか り持 とうって決めたの。 だか ら、
私にかけなお してって言ってるの・:……まあ、お くさ ん、切 って下さい。何度言えばわかるの、こちらは シュミッ ト医院 じゃあ りませんったら…もしもし !
・…… (電話を切る。電話が鳴る)
あ あ、 や っ と通 じた わ … … あ な た な の ね… … … え え … … よ く聞 こ え ます … … も し も し ! … … え え
紙 と私 の とね。都合のいい時に取 りによこして下 さって結構よ…… ……少 し辛いけ ど………わかって い るわ………あ ら !言 い訳 なさ らないで。それが 普通なんです もの。 どうか してるのは私 の方 だわ いい人ね、あなたは………:・・,。.………
………,……:・優 しいのね…………・私 は もう違 う
としておいて下 さったわ。 ………私 たち の関係 には とて も無理が多か ったのよ。幸せ だった 5年 の月 日を拒むか、危険を冒すかの どち らか しか
………・… い い え ・……ち ょ う どよ の 。夢遊病者のように動いてるだけなのよ。機械的 か ったの よ,・0…… 10分前 に戻 った ところなの…… に服を着て、出かけて。帰ってきただけ。明 日になっ たらくたぶん、がっくりするんで しょうね…………
いない時にかけて下 さった ?… ………あ ら l… ……
いいえ、ちが うのよ………外でお食事を したの…… … ………あなたが ?… …………
マル トの家で……今 はH時 15分過 ぎ くらいね ……… そ んなことないわ…………だって、私はあなたを責め あなた家にい らっしゃるの ?……。だつたら電気時計 る 気は全 くないんだもの………私……・∵……私………
をご覧なさいな………私の思 った通 りで しょ……… … ……これでいいのよ……・………何ですって?… ・・:
ええ、そ うよ、あなた………昨 日の夜 ?昨 日の … ……当然の ことよ………まるで反対 よ………私た 夜 はす ぐに寝 たわ。 で も寝つけな くて薬を飲んだの ち は1・・・………私たちは、いつ もお互いに隠 し立てを
……・いいえ……一錠 だけ……九時 にね ………頭が少 し ない約束 だったもの。あなたが最後 まで私 に知 ら し痛か ったけ ど、頑張 って起 きたの。マル トが来 た せ ない よ うに していたのな ら、私 もあなたを責めた か ら、 お昼 を一緒 に食 べ たわ。 それ か ら買 い物 を は ず よ。突然言われた りした ら、それ こそみ じめだっ して、家 に戻 ったの。それか ら手紙をみんな黄色 た わ。でも今度の場合は、私 も状況を理解 して覚悟 い鞄 に しま ったわ。私 ………… え ? … ………大丈 を 決めるだけの時間があ りました もの……… ″ 夫 ………ほん とよ………私 す ご く元気 なん です も お 芝居 です って ? … ………も しもし ! … … の …∴・……それか ら?そ れか ら服 を着替 えて、マ … ……誰の こと?… ……1・・…°私があなたにお芝居 を ル トが迎 えに来 たわ … ……そ して彼 女 の ところか しているんです って、 この私が l… ……あなたが ご
とて も、 とて も親切 に して くれ たわ …・・: …あの人、 い って こと…∴………・とんでもない……・……そんな 見 か けはあん な風 だけ ど実 際 はそ うじゃないのね6 こ とあるもんですか・…・…・… とても落ち着いてるわ
な た の 言 りだわ。いつ もの ことだけ
ど…………・………毛 皮 の付 い た薔薇 色 の
吸 ってい ない わ。 三本 くらい しか吸 って ないわ よ そ うします………なんです って ?・?・……それは別の
……いいえ、ほん とよ………ほん とだったら も のよ………そうかもしれないわね、でも、あれこ
………0優しいのね…………あなた れ 考えて、不幸に対 して覚悟 していても、やっぱり の方 は どん な様 子 ?戻 った ところな の ?… ………… シ ョックは うけるもの………大 げさに考 えな
いでね ………… とにか く私 には心の準備をす る時間 ず っ と家 にい たのね ………‐何 の訴 訟 ?… …・・:・
あ あ !あ れね ………あ ま り疲 れ ない よ うに してね は あったんです もの。あなたは私 を気遣 って、そ っ あ
一ど
一
だ一´一. は
子
通一一 帽
・……も しも し ! も しも し ! 切 らない で。 も しも し ! ………… もしも し ! あ なた……… もしも し !
………・もし電話が切れて しまった ら、す ぐにかけ直
してね ・………勿論 よ・………もしもし │いいえ……… な かったんです もの。私は、人生が万事 うま く行 く 私 は こ こにい るわ ……鞄 ? … …………あな たの手 な んて思 った こと、一度 もなか ったわ。高 くついた
黒 ………… え え、 まだ
『人間の声』
け ど、計 り知れないほ ど幸福 だったわ………も しも し…∴。・…計 り知れないって言 ったのよ。だか ら後悔 なんか・̀・…私………後悔なんかちっともしてないわ よ、ええ、ちっ とも………
あなたは………あなたの間違い よ……
……あなたの………あなたの………あなたのせ い じゃないわ、私 ………も しも し !… ……
・0,私は当然の報いを受けただけ6私 はあなたに夢中 でいたか った し、夢 中でい る幸せが欲 しか った……
………あなた………ちょっと待って………もしもし
…………私に話をさせて。あなたが自分を責めること はないわ。みんな私が悪か ったの。いいえ、そ うな の よ………ヴェルサイユに行 った 日曜 日の こ とや、速達の ことを覚 えてい るで しょう……ほ ら !
……・だか ら l……・行 きたい と言 ったの も私、あなた
たの も私 よ,00…………いいえ………・いいえ……
………・ちが うわ ……それはあなたの勘違い………私 が・………私が先に電話 したのよ…・…・…・いいえ、火 曜 日………火 曜 日だ つたわ …………確 か よ。
27日 の火 曜 日。 あな たの電報 が着 いたのが26日 の 月曜 日の夜。 そんな 日付を よ く覚 えてい るって思 っ て い るん で しょ う………あ な た の お母 様 が ?な ぜ……・そんな ことして頂かな くて も…………
…あ ら │だ め よ、す ぐには とて も無理 だわ、 じゃ あ、あなたは ?… ……明 日?… ………そんなに 急 だ とは知 らなか ったわ……そ うね、待 って………
簡単 な ことよ…・…・…・明 日の朝、鞄を管理人 に預 け るわ。 ジ ョゼ フが取 りに立 ち寄ればいいのよ…………
………・ああ !私 の ことな ら、 ここにいるか も しれな い し、田舎のマル トの家 に何 日か行 くか も しれ ませ ん・……‥………・,…:00…ここにい るわ よ。悲 しんでい るよ うだわ。昨 日は一 日中、玄 関 と寝室 の間で過 ごしていたわ。私を じっ と見 てる のよ。聞き耳を立ててね。あち こち、あなたを探 し ているの。私が座 ったままで、一緒 にあなたを探そ うとしない ものだか ら不満 なのね :・・…・°………
…… … …… ……あなたが連れて行 った方がいい と思 うわ……… このまま じゃ、かわいそ うに決 まっ てる じゃない………あ ら !私 が !… ………あの 犬 は女性 向き じゃないわよ。私 は うま く世話 もでき ない し、散歩 もさせ られない。あなた と一緒 にいる
のが一番いいのよ………私のことなんかす ぐに 忘れるわよ・:・……様子を見てましょう………
その うちわかるわ………その ことな ら、ちっと も面倒なんか じゃないわ。 これは友達の犬だうて言 うだけだもの。あの こはジョゼフが とても好きなの よ。ジョゼフを引き取 りによこして下さればいいわ
‥……0…・,・…赤い首輪を付けてお くわ。ちゃん とし たプレー トがないのよ………あ とではっき りさ せましよう………ええ…………・:・………ええ…
………そうよ、あなた………わかった わ・…………勿論 よ、あなた……… どの手袋 ?… ……
…毛皮の付いた手袋、車を運転する時の手袋ね ?…
…………知 らないわ6見 かけなかったわ。 どこかに あ るか も しれないわね。見てみ るわ………待 って いてね。電話が切れない よ うに していてね。
(女はテーブルの上のスタンドの後から、運転用の毛皮の 付いた手袋を取 り上げると、情愛を込めて接吻する。そ
して手袋を頬に押 し当てながら話す)
も しも し…… も しも し……ない わ ……箪 笥 の上 も、肘掛 け椅子の上 も、玄関 も、そ こら中探 したけ ど、ないのよ………ねえ…………もう一度 探 してみ るけ ど、 きつ とない と思 うわ……… も し明 日の朝 にでも見つか った ら、鞄 と一緒 に下 に置 いてお くわ………あなた ?………・手紙ね …………
え え …………焼 い て もい い わ よ …………私、 ば か ら しいお願 い が一つ だ けあ るん だけ ど………い い え、 こうい うことなの、あなたに言いたいのは、 も し手紙を焼 くんだった ら、その灰を、煙草入れ にな さい ってあなたにあげた、鼈 甲の小箱 に入れておい て欲 しいのよ。それか ら、あなたが・…………もしも し !… …・:・… い い え ………・私、 ばかね ・………ごめ んな さい。私、 もっ としっか りしてたの に。 (泣く)
……… さ あ、 も う大 丈 夫。涙をふ くわ、 とにか く私 はその灰を貰 えれば嬉 しいの、それだけよ……・:・………あなたって、なん ていい人 なの l… ………ああ !(女 優は 「」内の台詞 はよく知っている外国語で言うこと)「あなたの妹 さん の書類 は台所 の竃でみんな燃や して しまったわ。 は じめは、包みを開けて、あなたの言 っていたデ ッサ ンだけは取 り出 してお こうと思 ったんだけ ど、あな たが全部燃やせ って言 ったか ら、全部燃や しちゃつ た わ ………・・:・…1.……… ぁ ぁ !そ ぅね ………… い まだわからないの………:・.ぇぇ……・・:0…たぶんね…
いわ………ええ……… (フランス語で)そ の と お りね、あなた部屋着 なのね …………も う寝 るの ?
……・…あまり遅 くまで仕事を しない方がいいわよ、
明 日の朝早 く起きるんだったら、 もう寝な くちゃい けないわ。 もしもし l………もしもし !………これ くらいの声ではどう?… …∴……でも、私かな り大き な声 で話 して るわ ………・今 度 は 聞 こ え る ?… …… 「今 度 は 聞 こえ る ?」 って言 ったの
……・…変ね、私の方には、あなたの声が この部屋に い るみ たい に聞 こえ るの に ………も しも し !
・…………もしもし !も しもし !… ………
は私 の方が聞 こえな くな ったわ………
こえるのよ。で も、 とて も遠いの、 とて も………あ な た は聞 こえ るのね。 これ じゃ、 か わ りばん こね
・‥‥………い い え、切 らない で !……・も しも し !………・……話 し中です、交換手さん、話 し中で す ってば l… ………ああ !聞 こえるわ6と て もよ く 聞 こえるわ よ。 ええ、本 当に不愉快ね。 まるで死人 にな ったよ うだわ。そ っちの声 は聞 こえるのに、こっ ちの声 は聞いて貰 えないなんて…………いいえ、 よ く聞 こえるわ、 とて もよ く。 こんなに長い間話 し続 けられるなんて、本当に信 じられないわ。いつ もな ら3分 もしたら切 られて しまって、かけ直す と違 う 番号だった りするのに…………いいえくよく聞こえ るわ……・・:……さっきよりずっと聞こえる、でもあ なたの電話はずいぶん響 くのね。あなたの家の電話 じゃないみたいよ………あなた の姿が 目に浮かぶわ。(相手の男は自分の様子を言い当 てさせる) ………・どんなスカーフか ? … ………赤い スカーフよ…………ほら l ………
顔を見ないようにしてるの。洗面所の明か りをつけ る気が しな くて。昨 日なんか、おばあさん と向き 合 っているのを見て しまったの………・1°………いい え、違 うの !痩せた、白髪頭の、小 じわだらけのお ば あ さん よ ……… あ な た って本 当にい い方 ね ! で もね、 あ な た、美 しい容 姿 なん て、ちっとも有 り難 くないのよ、役者なら話は別だ け ど…………・……・私はあなたが 「こっちを見てごら ん、僕のおかめさん !」 って言 う時の方が好きだっ たの……… はい、旦那様 !… …ほ ん の冗 談 よ…・………あなた っておばか さんね
………あなたが要領の悪 い人で、思いや りのある人でよかった。 もしあなた が思いや りがな くて、ずる賢い人だったら、 この電 話 も恐ろしい武器になるかもしれないわ。証拠を残 さない、音 も立てない武器にね………・私が意 地悪ですって ?… …もしもし !… …もしもし !も し も し ! … …も しも し、あなた………あなた、 どうし たの ? … ……… もしもし、 もしも し、 も しもし、交 換手 さん。 (ベルを鳴らす)も しも し、交換手 さん、
切 れ ま した け ど。 (電話を切 る。tt。受話器を取 る) も しも し !(ベ ルを鳴らす)も しも し !も しもし ! (ベルを鳴らす)も しも し、交換手 さん。(ベルを鳴 らす。電話が鳴る)も しも し、あなた ?… …………
いえ違い ます、交換手 さん。切れて しまったんで す ………わか りませんわ ……つ ま り……ええ ..:…………ちょっと待 って………オー トウイユ04 コンマ 7番 です。 もしもし !…∴・………
お話中 ?………・………もしもし、交換手さん、
向こうもかけ直 しているんで しょう…………はい。
(電話を切る。電話が鳴る)も しもし !も しもし !04 コンマ 7番 ?い いえ、 6番 じゃないの、 7番 よ。い やだわ !(ベ ルを鳴らす)も しも し !… ……… もし もし、交換手さん。違ってましたよ。コンマ 6番 で したよ。 コンマ 7番 を呼んでるんですけ ど。04の コンマ 7番 、オー トウイユ。(待つ)も しもし !オー
トウイユ04コ ンマ 7番 です。ああ !よ かったわ(6)。
あなた、ジ ョゼフなのね:・・…私よ………・・:…旦 那様 とお話中に電話が切れて しまったの………そち らにいないですって ?… ……ええ………ええ………
今夜はお戻 りにならないのね……・…0…・そ うだった わ、私ったらどうか してるわ !旦那様はどこかのレ ス トランか らかけていらしたのね、そ うしたら切れ て しまったものだか ら、お家の電話番号にかけてし 首を左側に傾けてるわ
りあげてる………
ね ………:・…….両方の袖を捲 左手 ?受 話器 よ。右手 ?万 年 筆ね。吸取紙の上にいろんな人の横顔や、ハー トや 星を書いてる。笑 ってるのね(5)!私の耳には眼が ついてるのよ̀・・……… (反射的に顔をかくすしぐさで)
………あら !いやよ、あなた、絶対に私を見ない で ……… こわ い か って ? … ………いい え、 こわ くなんかないわ……… もっとタチが悪いの
……… とうとう私、一人 じゃ眠れな くなっ て しまったの………ええ…。・: ………
そ うね ………・え え ………… え え、 え え ……・約 束 す る
……私、私…………きっと、そ うする・:・約束 します
………0…あなたって優 しい のね …・………わか らないわ。 自分の
『人間の声』
まったの………ごめんなさい、ジョゼ フ・・・……ありがとう………どうもありがとう………
おやすみなさい、ジョゼフ……… (電話を切るとほ とんど病人のような様子。電話が鳴る)
もしもし !ああ !あなた !あなたなのね ?… …∴・
切れちゃったのよ…………し≧ぃえ、いいえ。私待 つて いたわ。一度電話が鳴って受話器を取ったけど、誰 も出なか った………きっ とそ うよ……… もち ろん よ………あなた、眠いのね ?… ………電話を かけ直 して下 さって、あなたつていい方ね …………
す ご くいい方 (泣く)… …… (間)… ……いい え、
え え、 そ うよ !待 つ って、何 を待 つ のか 自分 で も
眠 れ るの に って。 も し、全 部飲 ん だ ら、夢 も見 な こ こ に い ます ……何 で す っ て ? … ………
ごめ ん な さい …・・: …ばか げた こ とよ…・:・…何 で
いで、 日も覚めないで眠れ るのに。死ね るはずな も な い、 何 で も な い の よ ……… ど う も しな い わ
の に って。 ( 泣く) … ………0 1 2 個飲 ん だの
………・…お湯 で ……・:・…正体 がな くな ったみ たい だ った。 そ して夢 を見 たの。現 実 その ま まの夢 を
……… 何 で も な い っ
た ら… … … さ う き と同 じよ … … … … ち っ とも。 ね。飛 び上 が って 目を覚 ま した時 はホ ッ と したの よ、だって夢 だったんです もの。 で も、それが現実 あ な たの思 い違 い ……… さ っ き と変 わ りは な
いわ よ…………お わ か りで しょ、終 わ って しま う で、私 はひ と りぼ っちで、 あ な たの肩 や首 筋 に頭 を もたせ か けて もい ない し、 あ な たの脚 に私 の脚 だなん て思 い も しない で、 た だ話 に夢 中で、 なの
に切 れ て しま った もの だか ら、 な に もない、真 っ 暗 な場所 に落 ち込 ん だ よ うな気 が して ………だか らつ い ……… ( 泣く) … ……・ね え、 あなた。私、 あ な た に嘘つ い た こ とはない わ よね ……… え え、 わ か うて ます、 わ か って る、 あ な た を信 じて るわ、
がはさまれて もいない って気付いた時、 もうだめ だ、 も うとて も生 きて はい けない って感 じたの よ だ ん だん身体が軽 く、冷 た くな ってtも う自分の心臓の 鼓動 もき こえな くな ったの。 で も、死 はなか なか 本 当 にそ う思 って るわ …………・い い え、 そ うい う 来 て くれ そ うもな くて、苦 し くて た ま らな くな っ
ことじゃないの…………だって、 さっきあなたに 嘘をついて しまったんです もの…………たった今
て、 1時 間 くらい してか らマル トに電話 したの。私 にはひ とりぼ っちで死んでい く勇気がなか ったの よ
………ほ ら………電話 で、 15分前 か ら嘘をつ いて …… … ・, ・… …… … … … あ な た …… … ………・
るの。待 ってみ て も、 も う何 の望 み もない ってわ あ な た ……… 朝 の 4 時 だ っ た わ。 マ ル トが 同 じ か ってい る し、嘘をついて運が開けるわけで もない 建 物 に住 ん で い る お 医者 様 を 連 れ て来 て くれ た わ。それに、あなたに嘘をつ きた くないの。あなた
の幸せの為 だ として も………・あ ら !大 した こ
の。熱 が40度 以上 あ ったの よ。薬 で死 ぬ って とて
と じゃない の よ、 あな た、心 配 しない で ち ょ うだ い ……た だ、私 の着 てい た洋服 の こ と とか、マル トの家 で夕食 を した と言 った こ とt あ れ が 嘘 なの
…………夕食は食べなかった し、薔薇色の ドレスも 着 なか った。 シュミーズの上 にコー トを羽織 っただ け。 だって、あなたか らの電話を待 って電話を見つ めて、座 った り、立 った り、あち こち歩 き廻 った り
したせいで、気が狂いそ うになって しまったか らな の、気 違 いみ たい だ ったの よ !そ う して私、 コー トを羽織 って、 出か け よ う と したの。 タ クシー を 拾 って、 あな たの家 の窓 の下 まで行 こ う と したの よ。 待 と う と思 っ て ………∵
え ………い い え、 聞 くわ …………お とな し くす る わ …… 聞 い て る わ よ ……… 全 部 答 え ま す、 誓 い ま す ……… こ こ に い た の
………何 も食べなかった…………・食べ られな か ったの………ひ どく具合が悪 くて………昨夜、眠
も難 しいみ たい。 たい てい薬 の量 を 間違 え る ら し いわ。 そ のお 医者 様 が処 方 箋 を書 い て くれ て、 マ ル トは夕方 まで私 のそ ば につ い てい て くれ た。私 が頼 ん で彼 女 に帰 って も らったの よ。 だ って、 あ な たが最後 の電話 を して下 さる って言 って ら した か ら、他人 にあ なた との話 の邪 魔 を され るのが嫌 だったのよ0?・………大丈夫、す っか り具合 はいいの
……… も う何 ともないわ ……いい え、本 当 よ
……少 し熱 があ るだけ…………38度 3分 ………神
はい らないわ …………私 った ら、なんて不器用 なの か しら ! あ な た に心 配 か け ない で穏 や か に別 れ よ う、 また明 日にで も逢 うよ うな顔 を して さ よな ら
雄 ¨
を言 お うつて心 に決 めていたのに………
ば か よ ね …… い い え、 い い え、 ば か な の よ !
… … … … …… …… …… … … この電話を切 って、
暗闇に落 ち込 む ことが耐 え られな くて………
(泣く)… ………・も しもし l… …切れ たか と思 った
………あなたっていい方………愛 しいあなた を苦 しめてばか りいるわね………◆ええ、話 して、話 してよ、何でもいいか ら¨′………苦 しくて、
床の上を転げ回るほ どだったのよ、でも、あなたが こうして話 して下さるだけで気分が良 くなるし、眼 をつむれ るのよ。ね え、 よ く一緒 に寝 ていて、あ な たが話 す時 に、私 が あ な たの胸 のいつ もの場所 に、耳を押 しつけるよ うに して頭を くっつけていた で しょう。私 が聞いたあなたの声、今夜 の受話器の 声 と全 く同 じだわ ………卑 怯 ?… ……・卑 怯 な の は私 よ。 ち ゃん と心 を決 め てい たの に …………
私 ……… とん で もない わ !あ な た は ………あ な た は ……… あ な た は私 を 幸 せ に して 下 さ っ た だ け
………で も、あなた、 もう一度言 うけ ど、
そ うじゃなか ったの よ。
私 は知 っていたんです もの一― そ うよ、知 っていた の一― こん な1時が来 るの を覚悟 してい たの よ。女 性 の 多 くは 愛 す る 男 性 の そ ば で ず っ と過 ごせ る と思 い 込 ん で い る の に、 だ しぬ け に 別 れ を 知 る ん だ わ 二― で も、 私 は 知 っ て い た の――
………その上、あなたに まだ言 って ない け ど、 あのね、 帽子 屋 で、雑 誌 に 載 ってい るあの人 の写真を見 たの………机の上 に、ち ょうどそのペー ジが大 き く開いて出ていたの よ…………人間的、 もっ と正確 に言 えば女性的か し らね ……… とにか く私 たちの最後の時を台 無 しに した くなか ったの………いいえ、当た り前の ことよ………私 は言われ るほ ど立派な女 じゃな い わ よ ……… :……… も しも し !音 楽 が 聞 こえ る……… 「音楽 が 聞 こえ る」 って言 った の ……… そ れ な ら、 あ な た壁 を た た い て、 隣 の人 が こん な時 間 に レコー ドをか け るの をや め させ た ら ど うなの。 あ な たが家 を留 守 にば か りして るか ら悪 い習慣 が身 に付 い ち ゃったの よ
………・……… そ れ に は及 び ませ ん。それに、マル トのお医者様が明 日また来 て下 さ いますか ら・・:………ぃぃぇ、あなた。 とてもいい先 生 だ し他 の先生 に来 て貰 って気 を悪 くさせ る必要 な んてないで しよう………心配 なさ らな く
て も結構 です ………・ええそ う…そ うよ………・
彼女 が あ な た に様 子 を知 らせ て くれ るで しよ う
………わかるわ…………
わか ってい ます………・それ に今度 は大丈夫、 とて も元気 にな りま した……… 何 が ?…………二 あ !本 当よ、ず っ とよ くな りま したわ。 も しあな たが電話を下 さ らなか った ら、死んで しまってい たか も しれ ませんけ ど………いいえ……・・̀ まって…………待 って頂戴…1…………・何 とか して頂戴
……… (彼女はそこら中を歩き回って苦しみのあま りうめき声をもらす)………:ごめんなさい。 こ ん な場 面 はあな た には耐 え られ ない はず で、 とて も我慢 して る ってわ か ってい るわ。 で も、 わ か っ て頂戴、私苦 しくて、苦 しくて。 この電話線 だけ が私 たちをつないでいる最後の ものなんです もの
………:…一昨日の夜 ?眠 ったわ。電話 と一緒 に寝 たのよ…………いえ、いえ、ベ ッ ドの中 でよ……ええくわか ってるの。私 った らとて も変 よ ね、だけ ど電話をベ ッ ドに持ち込んだのよ、だって( つ
、 とにか く、電話 だけで私 たちはつ なが っているんで す もの。電話 はあなたの家 まで届 いてる、そ してあ な たか ら電 話 をか けて も ら う約束 が あ ったで しょ う。そ うした ら、い ろんな夢を見 たのよ。電話が鳴 っ て、その電話があなたが私を殴 つた実際の拳 にな っ て、倒れて しまった夢 とか、首を、電話が首を締め 付 ける夢、そ うか と思 うと、私がオー トウイユのア パー トによ く似た海の底 に沈んでいて、潜水具の管 であなたにつ なが ってい るの、そ して管を切 らない で ってあなたに懇願 してた りす るのよ――
そ りゃあ話 して しま え ば、 ば か げ た夢 ば か りよ、
で も眠 ってい る ときは現 実 なん です もの、 だか ら とって も恐 ろ しか った の ……… あ な た が私 に話 して下 さ ってい るん です もの。 この 5年 間、 あ な た を 頼 りに生 き て き た の、 あ な た は私 が 吸 うこ との で きるた った一つ の空気 だ ったの よ、 あ な たを待 ちなが ら、来 るのが遅 くな る と死 ん で しま っ た と思 っ た り、 そ う思 う と死 に そ うに な って、 あな たが入 って くる と生 き返 って、つ い に は、 あな たが こ こにい て くれ て も、 あな たが 出 て い うて しま うの が 怖 くて 生 き た心 地 も しな い、 そん な風 に時 を過 ご して きたの よ。今 はあな たが話を して下 さるか ら息を して られ るの。私の 夢 はそれほ どばかげていないわね。 も しあなたが
も の ん だ な る 事 ︐ 一に る 切 管 を
ら る な
切 を 話 の 電
フ L
『人間の声』
そ うよ、あなた、眠ったわ。眠れたのは初めてだっ たか らよ。お医者様 もそ う言 ったわ、中毒なんで
と信 じて るの よ………か わ い そ うな犬 ね
………私 は あ の こを憎 む理 由 なん てない の。 あの この気 持 ち は とて もよ くわ か す って。 最初 の夜 は眠れ るの よ。 それ に苦 しいか るん です もの。 あの こはあ な たが好 きなの よ。 で
ら気が紛れ るのよ、全 く新 しい苦 しみだか ら。だ か ら耐 え られ るの。耐え られな くなるのは 2 日 目
も、あなたが戻 って こないで しょう。それが私 のせ いだ と信 じてるのよ:・・…………試 しに、ジ ョゼフを の夜、 昨 日ね、 そ して今 夜 が 3 日 目、 も う何分 も
な いわ、 そ して明 日、 明後 日、 それ か ら来 る 日も 来 る 日も、 あ あ !い ったい何 を しろ うて言 うの ?
………熱 なんか ないわ、全然 ないわ よ、 自 分 でわ か るの ……… だ って、 ど うに もな ら ない こ となん だ もの、勇気 を 出 して あ な た に嘘 を つ い て い た 方 が よ か っ た ん だ わ ………… そ れ で
…………それ で眠れ た と しま しょ う、眠れ ばあの 夢 を見 て、 目が覚 め て、食 事 して、起 きて、支 度 して、 外 出 して、 そ して ど こへ 行 け ば い い の ?
………でも、あなた、私はあな たの世話 をす る以外、何 もす ることがなか ったのよ
………… …… …………い い え !私 はいつ も全 て を捧 げ て た、 そ うよ。 あ な た に捧 げ て たの、 あ な たの た め に ………マ ル トは き ち ん と暮 ら し て い るわ よ ………そ れ は、魚 に水 な しで どうや って生 きてい くのか と聞 くよ うな もの だわ
………もう一度言 うけ ど、私は誰 も欲 しくない のよ…………気晴 らしです って !じ ゃあ、一つ だけ 言 うわ、あま り詩的 じゃないけ ど本 当の事 よ。 あの 日曜 日の夜か ら、私、たった一度だけ気が紛れるこ とがあ ったわ、歯 医者 に行 って神経 に触 られた時よ
………・そ の 時 だ け
………・……それ だけ よ……・………
あの こは 2日 前か ら玄関か ら離れないの・…………∵
呼んで、撫 でてあげよ うとしたのよ。で も、あの こ は触 らせ よ うとしないのよ。 も う少 しで咬みつかれ る ところだった…………そ うよ、私 に、私 によ !歯 を剥 き出 しに して うな るの。本 当 に、 ま るで別 の 犬 み たい なの よ。 こわ い わ ∴・………マル トの所 ? 誰 も寄せ付 け ない って言 ったで しよ う。 マル トは 外 へ 出 るの に とて も苦 労 したの よ。 ドアを 開 け さ せ な いん です もの ……・̀ ・……か え ってその方 がい いわ。本 当にあの こが怖 いの よ。何 も食べ ない し、
動 こ う とも しない。私 を見 る ときなん か は鳥肌 が た って しま うわ……… どうした ら私 にわか るっ
よ こ して下 さ らない ……… き っ とジ ョゼ フな ら後 をつ い て い くわ ……… あ あ !私 ?… ……
どつちで もい い の よ……あの こは私 に全 くなつ い て ない の。 それ が証 拠 よ l… ………… ひ ょっ と し た ら、 そん なふ うに見 えたか も しれ ないわね、 で も、私があの こに触 らない方がいい って ことは確か よ……… も し、あなたが 引 き取 りた くないのな ら、保健所 に入れ るわ。病気 になった り、野良犬 にな った りした らいけないか ら
…'0・…・…………:∵…あなたの ところな ら誰にも咬み つかないわ。 あの こはあなたが愛 してい る人たちが 好 きなんだか ら………だか ら、私が言いたいの は 「あの こはあなた と一緒 に生活 してい る人 たちが 好 きなんだ」 って ことなの………そ うよ、あな た。 それ はわ か ってい るわ。 で も、相 手 は犬 な の よ。い くら賢 くて も、それをわか らせ るのは無理 よ
………私、あの この前で遠慮なん か しなか った…………だか ら、あの こが見 た ことは 全 て神様が知 ってい るのよ !… …………私が言いたい のは、あの こは私がわか らな くな うていて、多分私 を怖が ってい るって こと…1・・……わかるはずないわ
…………その逆 よ…………ジャンヌ叔母 さんの こと を思い出 して ごらんなさい、息子 さんが死んだつて 私が知 らせ に行 った夜の ことを。彼女 は とて も青 白 くて、小柄 な人で しよ一― なのに、真 っ赤で大 きな 身体 の女 にな ったの ……… 1赤い顔 の大女 よ。
頭 は天丼 にぶつか り、いたる ところに手が届 き、彼 女 の影が部屋 中に広が って、怖か ったわ ……… とて も怖か らた !… ……… ごめんなさい。 ち ょうど その時、彼女の犬がいたのよ。整理 ダンスの後 にか くれ なが ら、 な にか獣 に吠 え るよ うに吠 えて たわ
………だって、わか らないわ、あなた ! どうや ってわかれ とお っ しゃるの ?私 だって もう正 気 じゃないんです もの。私、驚 くよ うな事をや った
包 み と写真屋 の封 筒 を一気 に引 き裂 い て しま った の。 自分 で も気づかない うちにね。男 にだって随分
間の人 は相手が 自分か ら離れてい くのが嫌いなの よ、なのに私 はだんだん周 りにい る誰か らも離れ て行 ったの………‐……二人でいる時間を一分でも 失 い た くなか ったか ら………・全 くど うで もい い こ となの。言 い たい こ とを言 わせ てお けばいい わ ……… 物 事 は 公 平 に しな く ちゃいけないわ。私 たちの立場 は世 間の人 にはわ か らな い の よ ………世 間 の 人 に は ………
世 間の人 か ら見 れ ば、人 は愛 し合 うか憎 み合 う か で し ょ う。 別 れ は 別 れ な の。 彼 等 は早 急 に物 て下 さい。相手が違い ます。 も しもし !違 い ます っ 事 を判 断 して しま う。 わ か っ て 貰 お う と して も だ め よ ……… あ な た ………… わ か っ て 貰 てば、奥 さん…∵・………∴…ぃぃえ、奥さん、私
たち他 人 を面 白が らせ るつ も りはあ りませ ん。 混 線 した ままに してい るあ な たの方 が 間違 ってい る ん じゃ あ りませ ん か ………
も し私 た ち の こ とを 滑 稽 だ とお 思 い な ら、 なぜ
え る筈 が な い の よ、 こ うい う こ とに 関 して は ね
一 番いいのは、私 の よ うに気 にかけない ことよ
…………何 もか もをね (かすかな苦 しみの叫びを漏 電 話 を 切 る か わ り に 時 間 を 無 駄 に な さ る の ? らす) あ あ ! …… ………∴… …: 何で もないの。私話 力のい ることなのに………運転免許証 の写真 もね
………え ?… ………いいのよ、だってもう免 許証 なんか必要 じゃない もの…………・たい した損害 じゃないわ。ぞ っ とす るよ うな様子 だ つたで しょう ね、私 ………:…….絶対 しないわ !私 は旅 行 中にあなた とめ ぐり合 うとい う幸運 に恵 まれたの よ。 この先、 も し旅行を した ら、あなたに出会 うと い う不 幸 に見 舞 わ れ かね な い もの ………
そ ん な に言 わ ない で ……… も うよ しま しょ う
……… もしもし !も しもし !奥 さん、お切 りになっ
………ああ !………あなた !あなた ! 怒 らないで………0,・……やつと │………いいえ、い いえ。今度は私よ。私が受話器にさわったの。あの 女は切 ったわ。卑劣なことを言った後です ぐに切 っ たわ………もしもし l ……あなた、動揺 してるよう ね …………そ うよ、 あんな ことを聞いたか らこた えたの よ、声でわか るわ…………シ ョックだった の よ l … ……私 は ……… で も、 あ な た、 あ の 女 の人 は とて も嫌 な性 質 の人 にちが い ない し、 あ な たの こ とは知 らないわ。彼 女 はあな たを普通 の 男 と同 じだ と思 つてい るの よ…………い い え違 う わ よ、 あ な た は ! 似 て も似 つ か な い わ ………
後 悔 って、何 を ? … …… も しも し ! … ……や め て よ、やめて頂戴。 もうそんなばか らしい ことは考 え ない で。 お しまい に しま しょ う………あ な た って、 なん てお人 好 しな の ! … ……誰 ? 誰 だ っ てい い の よ。 一 昨 日、私t S で 始 ま る名 前 の人 に
ええ、 アンリ ・マル タンの…………彼女、私 に こう 聞いたわ、あなたに兄弟がい るのか、結婚の通知を 出 したのはその人か って………
それで私が どうにかなる と思 った ?… ………それが 真 実 ……… お 悔 や み を 言 わ れ て るみ た い だ っ た わ ………
正直 言 う と、私 はそ こに長 くはい なか ったわ。家 にお客 様 が来 る って言 ったの ‥…………そん な に難 し く考 え る こ とないわ、 とて も単 純 な こ とよ。世
に夢 中で、いつ ものよ うに二人で話を している と 信 じてたのが、急 に現実 に引 き戻 されたの………
( 泣く) … …………・ど う して、 まだ幻想 を抱 い た りす るのか しら………ええ………そ うね
…………いいえ !以前だったら逢 ったのよ。夢中に な って、約束 なんか忘れて、出来 るはずのない こ とまでや ったの。 好 きな人 を抱 き じめ た り、 しが みつ い た りして説 き伏 せ る こ ともで きた。 眼差 し 一 つ で全 て が変 わ った もの だ った。 で も、 この 電 話 が 相 手 じゃ、 終 わ っ た もの は終 わ っ た もの
………御心配な く。二度は自殺を しない とい うわ………・眠 るためには使 うか も しれ な いわね ………
ピス トル を 買 う こ とは で き な い わ。 そ れ に ピ ス トル を 買 う私 を 想 像 で き な い で し ょ う !
………・… 私 の 大 好 き な あ な た、 私 に 嘘 を考 え 出 す 力 が あ る っ て い うの ?
いけなかったはずなの①)。嘘が役に立う時もあるわ ね。あなた、 もしあなたが別れの辛さを和 らげよう として嘘をついた として・………・・いいえ、
あなたが嘘をついたって言いたいん じゃないの。私 が言ってるのは 「もしあなたが嘘をついて、それを 私が知 っても」 とい うことよ。例えば、あなたは家 にいなかったのに、私には………いいえ、違 う の、あなた !聞いて………あなたを信 じてる わ………・あなたを信 じないなんて言お うと思 ったん 会 ったの………esと ぃ う字 よ―― BoS.― ― … ………・何 もないわ…元気を出さなきゃ
『人間の声』
ち ゃったの よ。私 が言 お うと してい たの は も しあ 話 器が床に落ちる) なたが私 に対す る心遣いか ら嘘をついて、私がそれ
に気づいて も、あなたへの愛 はます ます深 まるばか りよ" と
い うこ と…… … … … も ち ろ ん よ ………・: 0 ……… ぉ ば か さ ん ね … …… … ・あ な た … …… … … … 愛 し い 人 いたかったのは、もしあなたが私に対する心遣いか ら嘘をついて、私がそれに気づいても、あなたへの 愛はますます深まるばか りだ とい うこと…………も しも し ! も しも し l … ……… も しも し ! … ……・: ・ ( 低い声で、早 口に次のように言いなが ら受話器を置 く) 神 様、 どうかあの人がかけ直 して くれ ます よ う に。神様、 どうかあの人がかけ直 して くれ ます よ う に。神様、 どうかあの人がかけ直 して くれますよう に。神様、 どうかあの人がかけ直 して くれ ます よ う に。神様、 どうか (電話が鳴る。受話器を取る)切 れ
・…… ……・, ……… ( 電話のコー ドを首の周 り に巻 く) … … … ・も う切 らな くて は い けないのはわか ってるわ、で もt怖 くて…………そ の勇気が出そ うもないの………ええ、向か い合 っているよ うに錯覚 してるけ ど、い きな り地下 室や下水道や街 中の全 てが私 たちの間に入 り込んで くるん です もの …………覚 えてい る ?イ ヴ ォ ン ヌ が、 どうして こんな捻れた線を通 って声が伝わ るん だろ うって聞いたのを。私ね、 コー ドを首 の周 りに 巻 き付 けたの。 あ な たの声 も私 の首 の周 りにあ る の (1°)・………電話局が何かのはずみで切って くれればいいけ ど………まあ !あ なた !私がそんなひ どいことを考えるなんて、 どう
して思 うの ? 同 じよ うに電話を切 るに して も、私 よ りあ な たの方 が辛 い思 い をす る って こ と、 よ くわ かってるわ…………いいえ………いやよ、まだ いや ………マ ルセイユに ? … ………ね え、あなた、明後 日 の夜、あなた方がマルセイユに行 くのな ら、 どうぞ
……お願い………お願いだか ら、私たちがいつ も泊 まっていたホテルには泊 ま らないで欲 しいの。怒 っ たの ? … …………なぜ って、私が想像 できない とこ ろで起 こることは、ないの と同 じことなの。もしあ っ た として も、 どこか漠然 とした場所 で起 こることな ら、少 しは ま しな の よ…………わ か って くれ る ?
………あ りが とう…………あ りが とう。いい方
ね。愛 して るわ。 (立ち上がって手に受話器を持ったま まベッドに向かっていく)
そ れ じ ゃ、 これ で ……… これ で ………
私、 つ い う っ か り 「ま た ね 」 っ て 言 う と こ ろ だ ったわ ………そ れ は ど うだ か
… … … わ か ら な い わ …… …あ あ !
………・・:・その方がいい。ずっといいわ………(ベッ ドに横たわり受話器を抱きじめる)
あなた……… 大切 なあなた…………:……私 は大丈 夫 よ(11)。
早 くして。さあ。切 って !早 く切 って !切 っ て !愛 しているわ、あなたが好 きよ、あなたが好 き よ、あなたが好 き、愛 してる(1の0… ……… ………… (受
ま とめ
翻訳す るにあたって注意を した ことは、《…………》
で表現 してある相手の男の台詞を考 え、それに対す る女の感情の動 きを感 じる こと。それ に加 えて、オ ペ ラの台本 に用い られた部分ではプー ランクが表現 してい るものを楽譜 と音楽か ら感 じ取 り、それに相 当 した訳 をす ることであ った。原作 は女の性格づ け や相手 の男の様子、かつて二人の間でお こった出来 事 がオペ ラの台本 よ りも細か く表現 されているが故 に、女性 の嫌 な面が浮 き彫 りにされてい るよ うに思 われ る。 しか しなが ら、そ こに存在 していたのは、
受話器 に向か って囁 き、溜息をつ き、泣 き、あ りっ たけの感情を込めて哀訴 し、最後 には絶望のあま り 絶叫 して しま う女。 自分 の全 てをさ らけ出 した、真 に人間 らしい女性であ った。それを、オペ ラを上演 す る際に生かすか否かは歌手 と演 出家の考 えによる のだが、 コク トーの描いた女性像を全 く知 らないで 役作 りをす る ことは避 けるべ きである。
楽譜 を綿密 に調べ てみ る と、 ほ とん どRecitativo (叙唱)し か存在 しない と思 われ る この作 品で、女 が本 当に言 い たか った 自殺 未遂 の くだ りは唯一 の Aria(詠 唱)と して書かれてい る。 また、 コク トー が《…………》で表現 した部分 の他 に多 くの間をつ くっ た り、逆 に間を とっていない部分があるのがわか る。
それ は50分 間歌 い続 け るソプラノが息 をつ く箇所 であ り、女の心 の動 きや相手 の言葉 を演技 で表現 し
幕
なければならない箇所なのである。声楽 とい う分野 (8)原 文は「Pence」だが、歌詞では「Songe」となっ は、全ての人間が持 っている声帯を楽器 として演奏 て いる。
する芸術である。プーランクがコク トーの書いた台 (9)原 文 は 「dё la force」だ が、歌 詞 で は 「du 本の抑揚を音楽上で尊重 しているのであれば、原語 courage」 と なっている。
で 『人間の声』を上演することは、フランスの声楽 (10)オ ペラではこの部分が再度繰 り返されている。
作品を研究する者に とって大きな挑戦であると同時 (11)原 文は 「brave」 だが、歌詞では 「fotte」と に声楽家 としての成長をもたらして くれるものだと な っている。
、思われる。機会があれば、新たな役創 りを して、も (12)原 文は 「Jeぜaime」 だが、歌詞では 「ぜaime」
う一度上演 したい作品である。 と なっている。
今回の経験で、台本のみで役作 りをすることは登 場人物を把握 しきれない危険性をはらんでいること
を再認識できた。一方ヾオペラ作品には歴史的人物 (2006年 10月20日受付) や旧約聖書を題材に したものも数多 くある。楽譜に (2006年 12月 6日 受理) 書かれている事だけではな く、宗教や歴史、作品が
作 られた背景な どを理解することも、原作の研究 と ともに、表現に大きな影響を及ぼすものだとと考え る。 これ らのことをふまえ、今後の自分 自身の演奏 活動に生か していきたい と考えている。
文献
ジャン ・コク トー (Jean Cocteau)『 ジャン 0コ ク トー全集』第 7巻 より『声』一羽昌子訳t(1983) 東京創元社
アン リ ・エル (Henri Hell)『フランシス ・プー ランク』 村田健司訳、 (1993)春 秋社
注
(1)ア ンリ ・エル (Henri Hell)『フランシス ・プー ランク』村田健司訳、 1993,春秋社,P207
(2)ジ ャン ・コク トー (」eanCocteau)『 ジャン ・ コ タ トー全集』第 7巻 よ り 『声』一羽 昌子訳、
(1983)東 京創元社
(3)コ ク トーがシェニ クス ピアの原作をダイジエ ス トした 「ロメオ とジュリエ ツ ト」(1924年 初演) を指す。
(4)恋 あ り、冒険あ り、涙あ りの通俗劇の事。現 在では洗練された喜劇一般を指す。
(5)オ ペラでは 「Ahl」 とい う感嘆詞が入っている。
(6)原 文は 「Ah!oui」 だが、 歌 詞では 「Al10」 と なっている。
(7)原 文は「Parce que」だが、歌詞では「et」となっ ている。