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地域統合と多国籍企業

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経営志林第40巻3号2003年10月103

〔研究ノート〕

地域統合と多国籍企業

一EU市場における自動車・電機電子・通信産業の動向一

洞口治夫

はじめに

ヨーロッパ自動車産業の事例

ヨーロッパ電機電子・通信産業の事例 仮説の提示

力の面での限界を有しており,各社ともに,東南 アジアおよび中国からの製品供給体制を榊築して いた。

洞口[2002]は,現代経済史に関する一つの認 識を提示した。それは,1990年代以降の現代社会 のあり方を「グローバリズム」と形容しうること を主張するものであった。アメリカ社会の価値基 準が世界的に敷行されるプロセスとしてではなく,

むしろ,「多国籍企業の活動とそれを受け入れる 国家・地域経済のあI)方が,相互に影響を及ぼし ながら変容しつつある動態」(1ページ)として

「グローバリズム」を定義した。「国家自体が「国 境」の意義と役割を部分的に放郷しつつある」

(2ページ)点は,グローバリズムが,封建制

(feudalism)や資本制(capitalism)とは異なる

本質的な相違として認識されるべきである,とい

う鵬史認識を提示した。

iliilに1[2002]第5章において具体的に分析の対

象としたのは,アセアン自由貿易地域(AFTA,

ASEANFreeTradeArea)であり,共通効果特 恵関税(CEPT,CommonEffectivePreferential Tariff),およびASEAN産業協力(AICQASEAN IndustrialCooperation)といった関税引き下げ 政策に対するl]系多国籍企業の対応が調査の焦点 であった。また,洞口[2002]第6章においては,

AFTAの成立を控えて国際競争力の獲得を目的 として活動するマレーシアの中堅企業をと}〕あげ て,その技術的な問題点が。どの生産プロセスに 存在するのかを12日間にわたる作業工程の観察を 迦じて明らかにした。

AFTA,あるいは,ASEANプラス3といった 地域経済統合が模索されていくなかで,EUU航 111.|迎合)に進出した日系企業,ヨーロッパの多IRI 籍企業は,どのような戦略を採用しているであろ うか。ECにおける多国籍企業の戦略を類型化す

●●■C

Qロロロ|L(印でみ】(叩く、)△lmm『。

1.はじめに

地域経済統合は,多国籍企業の生産拠点を集約 化する経済政策的な効果を持つだろうか。国境に よる関税.非関税障壁の意義が低下するならば,

地域経済を一つの市場とした生産拠点の統合は,

多国籍企業にとって合理的な選択となるかもしれ ない。より具体的には,EU(欧州連合)にみら れる地域経済統合が,その統合以前から立地され てきた多国籍企業の子会社や,あるいは,段階的 な統合過程のなかで立地されてきた多国籍企業の 生産拠点の見直しを不可避とするであろうか。そ れとも,多国籍企業には,代替的な戦略が存在す るであろうか。生産拠点の集約化は,規模の維済 性をtl指すことにつながると考えられるがそれ 以外の方法で競争力を維持することは可能であろ

うか。

本稿は,上記の問題意識にもとづいたフィール ド,澗森の結果をまとめたものであるニフランス・

イタリア,スペイン,ドイツ,オランダ,フィン ランド,スウェーデンにおいて行った多国籍企業 へのインタビュー調査の結果をまとめることによ

り,地域統合への対応の違いをまとめ,多国籍企 莱による立地戦略の類型を摘出する.生産拠ノ![の 災約化をすでに行った企業と,生産拠点を維持し たままで生産品目の棲み分けを行うことで対応し ようとする企業があることを示し,その類型をl川 らかにする。前者は,ヨーロッパ企業に多くみら れ,後者は日本企業に多くみられる戦略類型であっ た。EU域内での生産拠点集約化は.コスト競争

(2)

104地域統合と多国籍企業

ることは,アジアにおける地域統合の効果と将来 を靴解するうえで一つの示唆を与えるものであろ う。また.「グローバリズム」のもとにおいて,

「多国籍企業の活動とそれを受け入れる国家・地 域経済のあI〕方が,相互に影響を及ぼしながら変 存しつつある動態」を理解するうえでは,もっと

も先端的な事例を,EU地域統i2i-と,そこでiiH1r動 する多国籍企業にみることができるかもしれない。

本稿は,こうした問題意識に答えるために,

1999年から2002年にかけて筆者がEU加捌紺11(1で 行ったフィールド調査の記録をまとめたもので あるし,

ダイムラーークライスラーからの資本参加を受け て,ポルボとダイムラー=クライスラーとの折半 出資に移行した。

ネッド・カーを構成する株主である企業には,

所有関係の大きな変化があった。三菱グループは,

ダイムラーークライスラーからの資本llliffを受け,

ポルボはフォードからの出資を受けている。

ポルポ社はグローバルな部品購入を進めている【,

弛者がインタビューしたのは,嚇買部''1の」11耐l0iリ 社長であった'が,同氏は1987年からイギリスの ジャガー社に勤務し,89年にフォード社がジヤガー イ|:を買収したことに伴いフォード社の国際雌rY部 '111を担当した。99年から2001年の半ばまで,マツ

ダとアメリカ国内のフォードについての'五|際1M職`(

をlll11した。そして,フォード社がポルポに溢水 参力Ⅱしたことに伴って,スウェーデンに派泄さ れた。

主要な工場は,四つある。第一は,スウェーデ ン.ヨーテポリにあるポルポの本社工協であり,

第_iは,ベルギー,ゲントの工場である。この二 つは,2001年の年間生産台数が約43万台であり,

'k産数fll:の大半を占める。第三はスウェーデン・

ウデバラのこ[場であり,年間1万台程度のコンバー テイブル.タイプのクーペを製造している。第|ノリ は,オランダのネッド.カーであり,「V40」お よび,三菱自動車の「カリスマ」という111種を 2001イドには,年間,約12万台製造している。ポル ポ社は,2年半後には,ネッド・カー生産のため の設備利用を休止する。新聞報道によれば,ネッ

ド.カーのラインでは,2004年を|」途に:菱'41動 11Kのブランドで年間10万台,ダイムラーのブラン

ドで年間15万台を生産する予定であるという1.

ネッド.カーに部品を納入するオランダの「1系 2.ヨーロッパ自動車産業の事例

IBU市場統合がヨーロッパの自動車メーカーに /jえた影響を評価することは容易ではないが,こ こでは日系自動車組立メーカー1社,自動Jli部1M,

メーカー2社とスウェーデンのメーカーl社をリド 例としてとりあげる。

市場統合のなかの産業政策

EUTlj場統合のもとにおいても,そこに'111MMす るヨーロッパ諦同の産業政策が伽<なったわけで はない。オランダにおける「ネーデルランド・カー」

(iln称,「ネッド・カー」)の試みは,そのUl4ll11で ある』。ネッド・カーは,オランダ政府,ポルポ,

三菱グループが三分の一ずつ出資して設立した合 弁会社である。三菱自動車工業とスウェーデンの ボルポ社が共同開発した小型車は,排気iiiL600 ccから1,900ccであI),1997年には年間20ノj台の 生産体iljIIが構築された。その後,ポルポとjミ菱141 動IlLとの折半出資になったのち,三菱lil動jl(への

〔注〕

1本柵の作成にあたっては,財団法人'五|際コミュニケーションJIL余「擁Ilf旭話産業における'五|際戦略捉挑」(2003 イIi41l~2006年3月),法政大学国際交流雅金(111F)による'1(1際共IilIijf究助成「日仏多1玉1籍企業の戦略的捉鵬と 獅外iIol:接投ff-l郵際比較経常の視点から-」(1999イ11’111~20(〕2イli311),および.文部打科学研究Yザ補助金へIを 成11年度区1際学術研究「[|仏多国籍企業のIIilUl1(11,1iMljと))Vi蝋11/ju」(1999年4月~2001年3月)による研究助成を 受けた。また,2002年9Ⅱ711,|リ1滴人91i::駿in1fr佼介において|刑''11されたI]本経営学会第761m1大会では,「地域統 合と多lIil籍企業一EU市場における「グローバリズムと’1本企業」-」というタイトルのもとで目111i禰題報;'iを 行い,有益なコメントを得た。ここに起して感iiMしたい

2ネツド・カーの成立と経緯については,公文[2001]がii樅しい゜ヨーロッパの[。動UfX産業については,佐々木

[2000]がある。

361Y将がスウェーデン,ヨーテポリのボルポ本+l:をii川}Mしたの'よ2O02jr31]20日であった。

`111本絲済新|i11.2002年3月111J朝刊,13ページ,

(3)

経営志林第40巻3リ2003年lO1jlO5

第1表インタビュー調査企業の概要(自動車・自動車部品)

インタビュー先

会社名

ボルポ(2002年3月20日) スウェーデンフォードからのll1fiを受ける。オランダのネソド・カー生産からは撤退。

三光合成(2001年2月151]) オランダネッド・カーをはじめ,ヨーロッパ'41励単メーカーにイン・バネを供給。

ルノーの{11饗がある。ステアリング・ギアをヨーロッパ自動llfメーカー 各社に供給。親会社は,光洋精l:。

SMI

(1999年3月17p) フランス ニッサンモーター・

イベリカ

(2000年2月16121) スペイン四輪駆動ミニバン,iNi1lljlLの生鵬スペインから輸出。

(注)()内は筆者のインタビュー'1時。

(出所)鞭者作成。

11にルノーによる|]産自動車への出資が決定され たことから,SMIはトヨタ系の光洋精工と,日 産との連携を深めたルノーとの共同出資として,

特異な出資関係を持つことになった。99年時点で の従業員数は1,250名であった。SMIの主要取引 先は,ヨーロッパに進出した日系自動車メーカー の了・会社,ポルボフォルクスワーゲン,ダイム ラー=クライスラーをはじめとするヨーロッパの

|÷|動車メーカーであり,そのなかには,ネッド・

カーも含まれている。

スペイン・バルセロナに進出した日産自動車の 子会社,ニッサンモーター・イベリカはディーゼ ル・エンジンを搭載した2,000cc以上の四輪駆動 ミニバンと商用車を生産している7.同社は,1920 年代にアンダルシアにフォードの子会社として設 立され,その後54年にフォードが撤退し,フオル クスワーゲンの子会社セアト,プジョー,ルノー の賓本出資を受けていた。80年にニッサン自動車 のlI1資が開始され,92年バルセロナ・オリンピッ

ク後の不況のために,95年には日産自動車がTOB をかけてイベリカ社の株式9996を取得し,同時 に上場を廃lこした。スペイン国内向け生産台数は 約2万台であり,輸出|可けは約6万7千台である。

99年の実績では,イタリア約1万4千台,ドイツ,

イギリス各8千台,フランス4,400台,ベルギー,

オランダ,ポルトガルがそれぞれ約2千台であるc 自動IlLメーカーは,比較的小規模な工場での操業

を続けていた。オランダ・ナステルヴェーグに進 出した三光合成(SankoNederlandB.V、)は,

ネッド・カーに納入するインスツルメントバネ ルの製造を行なっていた。1995年に進出を決定し,

96年より稼動している。射出成形機を4台,プレ ス・モールド・マシーンを1台,設置している。

納入先はネッド・カーだけではなく,フォード,

フォルクスワーゲン,ポルポに納入の実績があり,

ダイムラー・クライスラーヘの納入を目標として いる,とのことであった5.

国際戦略提携のなかの系列企業

ステアリング・ギアを生産する光洋精工は,フ ランス・リヨンに近いイリニイに進出している6・

日本において,光洋精工の筆頭株主はトヨタ (24.796)である。フランスでの子会社名は,SMI である。SMIはローカルの企業であったが,1967 年にルノーが切削部品を製造する目的でSMIの 株式を取得した。79年からステアリング・ギアの 生産を開始し,90年に光洋精工による資本参加が 決定した。また,同時に光洋淑Ii工とSMIとの'1M で技術援助契約が結ばれた。91年での光洋糀]この 出資比率は35%,93年に75%,98年には83.7%へ と段階的に引き上げられた。98年の時点で,ルノー によるSMIヘの出資は16.3%であった。99年3

5糀者の訪問したのは2001年21115日である“

61999年31ll7il,雑者の訪1111インタビュー,jM盃にもとづく、なお.4錐ラインではU`i2型のラインを作業哲が 移動するシステムであった。

72000年2月1611,筆肴の訪IHIインタビューにもとづく。

(4)

106地域統合と多国籍企業

南ヨーロッパ市場では小型車市場での競争が激し いために,日産のマーチなどでは利続があがらな い。99年時点でのイベリカ社の生産台数は8万か ら9万台であるので,ルノーの車を生産するよう になれば生産台数の伸びが期待できる。EU市場 統合の影響は少ないが,イギリスのポンド間のた めに,イギリスから納入される部品の価格が高く なっている。

オランダ,スウェーデン,フランス,スペイン の自動車組立,自動車部品メーカーには,一つの 共通点がある。それは,国際的な戦|略的提携が進 むなかで,子会社立地を決定した当時の製品戦略 に変更を加えざるを得なくなっていることである。

オランダのネッド.カーは,EU市場統合が進む なかでの産業政策として興味深い事例であったが,

その生産停止が決定されている。ネッド゛カーに 投資したポルボ,ネッド・カーに部品供給を行っ てきた日系企業は,新しい顧客の開拓に迫られる。

ルノーと日産自動車,日産自動車の出資するイベ リカ社,ルノーとトヨタ系の光洋精工といった事 例は,日本国内で形成きれてきた系列システムが, 国際的な合従連衡のなかで変質してきたことを示 唆している。

EU市場統合のなかでの生産拠点の集約化はみ られなかったが,事例として取り上げた各社とも に,企業間の戦略的連携に対応した生産品目の再 配分を視野に含めていた,といえる。

を融合させて発展してきたと言えるかもしれない。

そして,その発展は国境を超えて広がっている。

以下では,電機電子・通信産業の素材から利用 に至る経路に従って,ヨーロッパでインタビュー した企業について,戦略上の特徴をまとめたい。

すなわち,半導体素材の加工,半導体生産,コン ピューター・ソフトウェア開発,ハードウェア生 産,携帯電話,インターネット・コマースのため の暗号開発,といった事業を営む企業である。

半導体メーカー

STマイクロエレクトロニクスは,世界第8位 にランクされる半導体メーカーである11.製船の 仕向け地は,ヨーロッパ36%,アジア33%,アメ リカ23%,E|本596である。1999年時点での売上 は50億6千万ドルであり,従業員数約3万4千人 であった。世界各国に,17の主要生産拠点,9の 研究開発拠点,35のデザインおよびアプリケーショ ン製造拠点,24カ国に62の販売拠点を設けている。

1987年にSGS社とトムソン・セミコンダクター 社が合併して設立されたために,両社の頭文字を とってSTと命名された。2000年現在は,フラン スのエネルギー会社CEAインダストリーズ社11.47

%,フランス・テレコムlL03%,イタリアのフイ ンメカニカ社22.5%を株主とする持ち株会社,

STホールデイングスが45%の株式を保有し,残 る株式55%は上場されている。同社の製品は,メ モリー17.4%,差異化ICが628%,デイスクリー

トが12.0%,標準化製品が7.8%である。

STマイクロエレクトロニクス社による国際的 な戦略的提携としては,テレコムの分野で,アル カテルノーテル・ネットワークス,自動車産業 でポッシュ,マレリ,コンピューター産業ではシー ゲート,ウェスタン・デジタルがあるほかに,消 費者向け電機製品ではトムソン・マルチメディア,

パイオニアなどとの取引がある。アメリカに3工 場,フランスにはサンジェニ,グルノーブルに研 究開発拠点があり,イタリア・ミラノ郊外のアグ ラテにも研究開発拠点がある。これは,フランス についてはトムソンロイタリアについてはSGS 3.ヨーロッパ電機電子・通信産業の事例

EU市場統合と同時並行的に進んできたのは, 電機電子産業および通信産業における産業融合8 である。EU市場統合と産業融合との間に因果関 係を見出すことは困難であるかもしれないが,携 帯電話とインターネットによる通信網の発達が新 たな産業分野を形成しているように見える。その 新しい産業分野は,独立した技術革新によって生 み出されたものではなく,電機,電子,有線電話,

半導体,半導体力|l工技術,ソフトウェア開発といっ た,20世紀に発達をとげた産業分野からの技術革新

8産業融合の概念については.柄草[2000]を参照されたい。

92000年2月22日,イタリア・ミラノ郊外のアグラーテ]二場でのインタビュー調査にもとづく。

(5)

総営志林第40巻3lj2003年1011107

第2表インタビュー調査企業の概要(電機・電子・ソフトウェア開発)

インタビュー先 会社名

STマイクロ エレクトロニクス

(2000年2月22}])

半導体fl:産。通信・MII車・電機・iu子の各社とアライアンス。

マルタl;&,マレーシア,シンガポール.モロッコ.’''1劃に工場。

イタリア

ディスコ・ハイテク・

ヨーロッパ

(2001年2月201J)

ドイツ 半導体製造装置のllR光。STマイクロ社の工場をサポート。

スウェーデン繍甑蝋ソ綾織の娠鴎スペイユイタリア二噸を剛鍵

エリクソン

(2002年3月2211)

エルコテック・

ネットワーク・

コーポレーション

(2002年3月1511)

フィンランド:M§j苫i'ド。,剛竺幽糎2,:鏡アニリクソン塗どが土製鬮熔。

日立コンピューター・

プロダクツ

(1999年3月2411 および 2000イド2月24日)

コンピューターのiiL`臓装慣製造版元。HP社との提挑。

ヨーロッパ全域の銀行が顧客。

フランス

ジェトロニクス

(2001イド2月161」) オランダイタリア企業。ソフトウェア開発。銀行のシステム開発。

フィンランド澱のJ会社。ノキアが瀞';'wソ鱗'ルた会社。インターネット川システム

テイームウェア

(2002年3月18日)

インターネット・コマース用セキュリティ開発。

エッセン大学数学科卒業生によるベンチャー企業。

クリプトビジョン

(2001年2月22日) ドイツ

総合家111メーカー。デジタルの分りfに注力。マトリックス組織を廃1k。

グループilillへcノキアにOEM。

フィリップス

(2001年21匹115日) オランダ シャープ,

(2001年2月281」) フランス複写機!'《産。日本,lll脚,フランスで機種間の楼み分け。

テレビ,ファックスllZ産.ヨーロッパ向けのテレビ規格用開発および 製造。

シャープ

(2001年2月1811) スペイン

ソニー

(1999年3月1511 および 2000年2月281二1)

携帯112バハビデオ,術111放送H1セットトッブ.ボックス製造。

CDプレーヤー,MbllL用ラジオなどの製造は.かつて行っていた。

フランス

ソニー

(2000年2月17日) スペインテレビ製造。年産200刀台。

三菱エレクトリック スカンジナビア

(2002年31122日)

スウニーデン防犯IlI録阿カメラのⅡM元,かつては,|i隣if電話,ビデオなども販売。

(注)()内は筆粁のインタビュー'1時。

(出所)兼者作成。

入れる技術から,半導体チップの切断を行なうメー カーに成長した。アメリカ,ドイツ,シンガポー ル,’'1国の四カ国に現地法人を有する。2001年現 在,ディスコ・ハイテク・ヨーロッパには,ドイ ツ人のサービス・エンジニア20数名,日本人4名,

フランス人1名が勤務している。ドイツ・ミュン ヘンの現地法人では,ジーメンスから独立したイ ンフイニロン社,STマイクロエレクトロニクス,

フィリップスというヨーロッパの3大半導体メー 社の研究開発センターがあったことから立地した

ものである。半導体加工の後工程は,労働集約的 プロセスであり,マルタ島,マレーシア,シンガ ポール.モロッコ,中国・深jlllに工場がある。

素材加工メーカー

ディスコ・ハイテク・ヨーロッパは,ドイツ・

ミュンヘンに立地する日系半導体製造装潰メーカー である。本社は広島にあり,ペン先のスリットを

(6)

108地域統合と多国籍企業

カーを顧客としている。そのほかに,松下電子部 品とシーメンスの合弁事業であるエプコス社,ワッ カー社,日立などを顧客としている。ヨーロッパ 全域に顧客は広がっており,たとえば,STマイ

クロエレクトロニクスのマルタエ場,モロッコ・

カサブランカの工場にも製品を納入し,ディスコ からサポートに出張する10。

面がある。ソニーとは携帯電話生産における合弁 事業の開始を決定しており,ソニーの消費財部門 での経験,モバイル・インターネットにおける音 や画像などコンテンツの充実,そしてエリクソン の技術が合体されて携帯電話市場における販売を 増加させる,と期待している。携帯電話の主たる 製造についてEMS企業にアウトソーシングして いくことに変わりはない。

2002年現在,EU市場にはスウェーデンから,

アジア太平洋市場には中国から,NAFTA市場 にはアメリカから,メルコスール(Mercosur)

市場にはブラジルから供給している。1980年代半 ばから1995年ないし96年まではスペインで,また,

1997年まではイタリアで生産を行なっていたが,

生産を停止した。規制緩和と市場統合の影響であ る。同じ期間に,中国に活発な投資が行なわれ,

エリクソン関連会社は40社になっている。地理的 には南京に集中している。

携帯電話基地局製造メーカー

エリクソンは,スウェーデンの輸出のうち15%

を占める巨大企業であり,120年以上の歴史と140 カ国以上の国への進出実績を誇っている11.23カ 国に研究開発拠点を持ち,8つの証券市場に上場

している'2.生産品目は,携帯電話用システム64

%,マルチサービス・ネットワーク16%,携帯電 話12%,防衛用設備機器8%となっている。総売 上高の15%を研究開発に支出し,製品規格を獲得 する推進力としている。携帯電話については,イ

ンフラストラクチャーとしての基地局端末,およ びそのシステムをトータルに製造している。ネッ トワークの設計,基地局のデザイン,そのインター フェースが重要な課題である。携帯電話を機能さ せるためには,適切な数の基地局が利用範囲に設 置されていなければならないが,設置にノウハウ がある。エリクソンの基地局は,利用携帯電話数 の増加に応じて,処理能力を増やすことのできる フレキシブルで拡張可能な設計となっている。第 三世代の携帯事業においてデファクト・スタンダー ドの地位をえるために,1997年より日本の横須賀 にも研究開発拠点を設けている。

2001年には,エリクソンが携帯電話生産から撤 退するという報道がなされたが,携帯電話の製造 をアウトソーシングする,という決定が,携ilif電 話事業そのものからの撤退であると誤解されたIHI

PCB製造メーカー

フィンランドの配線基盤(printedcircuitboard,

PCB)製造メーカー,エルコテック.ネットワー

ク・コーポレーション(ElcoteqNetworkCor‐

poration)は,ヨーロッパで最大のEMS企業で

あることを誇っている'3゜ただし,世界では第6 位である,という剛。9,000人の従業員がおり,

1997年からヘルシンキ証券市場に上場されている。

主な顧客は,ABB,エリクソン,コーン(Kone),

ノキア,フィリップスなどである。ノキア,モト ローラ,フィリップス,エリクソンを顧客とする 携帯電話のターミナル78%,基地局,配電基盤,

アンテナなどコミュニケーション分野9%,産業 用電子部品13%という構成である。低コストで電 子部品を装着したPCBを納品することを目指し

102001年2月20日,ドイツ・ミュンヘンのディスコ・ハイテク・ヨーロッパ社でのインタビュー調査にもとづく。

11エリクソンの研究開発戦略については,高H1[1998]の研究がある。エリクソンを多国籍企業の理想形として 捉えている点に危ういものがある。

122002年3月22「Lスエーデン・ストックホルムのエリクソン本社におけるインタビューにもとづく。製品戦略 および事業開発副社長(VicePresident,P1℃。uctStrategyandBusinessDovelopment),購買部長(Director,

Supply),東アジア地域マネージャー(RegiomalManagcr,EastAsia),および顧客担当(CustomerRelations,

SalesandBusinessManagement)からのインタビューにもとづく。

132002年3月15[|,ヘルシンキおよびグンナランカト『)・ロハヤ]二場でのインタビューに調査もとづく。

14EMS産業の国際化戦略については,ウォン(Wong[2002])を参照されたい。

(7)

経営志林第40巻31,j・2003年10月109

プに変更された。アメリカ,フランス,フィリピ ンに現地法人を有していた。フランス.オルレア ンに立地したのは,先行したアメリカ・オクラホ マでの事業において優秀な人材を確保することが 困難であったためにⅢパリから近い場所での立地 を優先させたことによる。従業員は200名弱であ り,そのうち20~30名がエンジニア,6~7名が 日本人派遣従業員である。従業員の2~4割が臨 時工であり,なかには学生もいる。基本的には人 材派遣会社を通じて雇い,契約を結んでいる。競 合他社としてはIBM,アイルランドに工場を持 つEMCがある。4~6層になるPCBのプロト タイプは日本で製造し,フランスの企業で,アン ジェにあるフランス・ブル(FranceBullハノル マンデイ,クータンスにあるアルカテル(Alcatel)

より納入される。ヘッドディスク・アッセンブリー はクリーンルームが必要であるために日本で製造 されて納入されるが,それ以外の部品は現地調達 が可能である。

2000年2月での調査結果は,以下のとおりであ る。1999年8月に社長が交替したが生産品目に変 更はない。2000年春から夏にかけて,メモリー容 還,回転数などでの変更が加えられた。コンピュー ター・システムの誤作動が懸念された「2000年問 題(Y2K)」があったために,1999年末には記 憶装置への駆け込み需要があった。メインフレー ムとネットワークによるオープンなサーバーが共 存するなかで,メインフレームはIBM,EMCを 中心としており。サーバーについてはヒューレッ ト・パッカード社と契約をし,HP社からエンド ユーザーに提供されている。部品購入は,トムソ ン,テキサス・インスツルメンツ,サムソンなど 一般的なものはメーカーにこだわらず購入し,カ スタム品については日立の武蔵工場から購入する。

PCBの設計段階には,基本設計,論理設計,実 装設計の三段階があるが,自社製品は自社で設計 する。-部PCB部品については,論理設計まで は顧客が行い,日立が実装設計をするものもある。

2000年2月時点ではⅢアメリカ,シリコンバレー ている。

フィンランド国内には,グナーラ(Gunnarla)

工場とロハヤ(Lohja)工場がある。エルコテッ

ク社が鍛初に行なった海外投資はエストニアのタ リンであり,それはフィンランド語と言語が類似 していること,地理的に近接している,という事 情があった。その後,やはり地理的に近いロシア・

セントビータースバーグに工場を設立し,2002年 3月現在では,メキシコ・モントレー,ハンガリー・

ペック,中国・北京および東莞に工場を有してい る。束莞工場は1998年にノキアから買収した。北 京工場は2000年に立ち上げた。

顧客との共同で新製品を開発するために,フィ ンランド・バーサ(Vaasa),ロハヤ,ヘルシン キ,ロシア・セントピータースバーグ,エストニ ア・タリン,ドイツ・ユーバーリンゲン,アメリ カ・ダラス,スイス・バーデン,香港に新製品開 発センター(NewProductlntroductionCenter,

NPICenter)を設けている。将来的には,スウェー デン,イギリスフランス,北京,東京に新製品 開発センターを設けたい。アメリカのダラスに拠 点を設けたのは,ノキアのアメリカ本社がダラス に立地しているためである。

コンピューター付属機器製造メーカー

日立コンピューター・プロダクツ(ヨーロッパ)

はフランス・オルレアンに立地し,1991年に設立,

92年に操業を開始した。コンピューターのストレー ジ・サブシステムを製造している。磁気システムと しては雌も大容量なものであり,ヨーロッパ全域 の銀行を主たる顧客としている。筆者の訪l1Ilは2 回であり,1999年3月および2000年2月である'5.

1999年3月時点では,ユーロヘの移行を視野に 入れて,ドイツ,イギリスの日立系販売子会社を 通じてドイツの銀行すべてに製品の納入実繍を持っ ていた。日本では,小田原にあるストレージシス テム事業部がサポートをしてきたが,日本の|」立 製作所がグループ制を採用したことにより,事業 部からインフォメーション・システムズ・グルー

151999年3月24[1,現地Ⅱ本人社長および生藤技術担当者へのインタビューにもとづく。第2回目のインタビュー は,2000年21j241I,現地'1本人社長および化雌技術扣当粉へのインタビューにもとづく。日立の国際化戦略に ついては。洞口[2001a][2002]を参照されたい。

(8)

110地域統合と多国籍企業

での企業の成長スピードが早いために,タイムリー な戦略的提携を結ぶことが急務になっていた。フィ

リピンではへツドおよびディスクの生産をはじめ ており,日本を経由してフランスに輸出される。

日本,アメリカ,ヨーロッパ・フランス,フィリ ピンという4極体制となっている。業務統合ソフ トについては,ヨーロッパではSAP51%,オラ クル26~27%,バーン12~13%となっており,[1 立はSAPおよびオラクルとの業務提携の実績が ある。メインフレームからサーバーへの変化があ

り,HP社とサン(SUN)が強い。

リーダーによるプレゼンテーションが行なわれる。

また,300名いる副社長(vicepresident)も,年

に一回の会合を持つ。報酬システムとしてストッ ク・オプションを導入している。

フィンランドで活動する日系ソフトウェア企業 ティームウェア'7は,1988年にノキア・データと して創設された。91年にICLがノキア・データ を買収し,92年には富士通も出資した。ノキアは 桃1if電話ビジネスに集中した。96年にテイームウェ ア・グループが設立され,98年には富士通が100

%出資する子会社となった。2002年には,イギリ スに本社をおくヨーロッパ最大のベンチャー・キャ ピタルである3iが出資をして,3iの持ち分46

%,富士通43%,テイームウエアの経営陣11%と いう出資比率になった。2000年秋に富士通が認め た5カ年計画を遂行している。2001年度の総収入 は2千万ユーロであった。

ノキア,ソネラなどフィンランドの大企業のほ かに,公共部門でのインターネット用ホームペー ジを立ち上げるサービスを行い,たとえばフィン ランドでの市庁,議会,労働省なども顧客として いる。また,海外ではベルギーの鉄道,欝察,H 本のNTTドコモも顧客である。本社はヘルシン キであるが,イギリス,スウェーデン,オランダ では販売およびコンサルティングを行っている。

製品開発の比率は,フィンランドlに対してイギ リス2である。90カ国以上で200社以上のビジネ ス・パートナーを有している。

ドイツ,エッセンの近郊ゲルセンキルヘン (Gelsenkirchen)に本社をおくクリプトビジヨ ン(Cryptovision)社は,インターネットによ る情報交換のセキュリティを確保するための暗号 システムを開発する会社である。同社は,それを

「セキュリティ・ソリューション」と呼んでいる。

エッセン大学の実験数学研究所,ゲルハード・

プレイ(GerhardFrey)教授の大学院卒業生が i11つた会社である'冊・プレイ教授の専門は整数論 ネットワーク関連ソフトウェア

イタリアの大手ソフトウェア会社,ジェトロニ クス(Getronics)には,オランダの現地法人に おいてインタビューした鰯。大手顧客には,フィ リップス,ユニリーバ,グラクソがあり,顧客」二 位20社で収入の50%を占めている。総収入は400 億ユーロ程度であり,①ネットワーク,②国際会 計システム,③ビジネス・ソリューションズの3 分野で活動している。オランダでの得意顧客は銀 行であり,ABN,AMRO,ING,バークレーズ,

ABナショナル,シティ・バンクなどがある。世 界的にみると,ジェトロニクス社の収入の60%は ヨーロッパ,25%はアメリカから得られ,残りを 他の地域から得ている。ジェトロニクス社は,ウォ ン・グローバル(WongGlobal)社とオリベッ ティ(Olivetti)の資本が入っているが,それは イタリアだけでは市場が小さいために。オランダ,

フランス,ドイツの市場を目的として買収・合併 を重ねてきた結果である。日本にも現地法人があ る。世界での競合他社には,IBM,ユニシス,E DS,ICL,富士通などがある。

国際企業として活動するために,国際部門の管 理者による会議を例年開いている。1999年はイタ

リア,2000年はモンテ・カルロ,2001年はオラン ダで開催予定である。三日間の会合では,開発の

162001年2M161J,上級副社長(SeniorVi〔DCP1℃si(lent,Corp〔〕rateDevelopment)へのインタビューにもと づく。

172002年31k1181」,フィンランド・ヘルシンキ,テイームウエア本社での鹸高経営責任者(PresideJ]tandCEO)

および富士通リエゾン・副社長へのインタビューニ,

182001年21122日,エッセン大学において,プレイ教授およびクリプトビジヨン社のセールス・マネージャーへ のインタビューにもとづく。

(9)

経,!;↑志林第40巻3号2()03年10月111

を高めること,テレコミュニケーションをマーケ ティングの道具とすることと,ブランド・マネジ メントを重視することである。近年のM&Aと しては,ヒューレッド・パッカード社の医療部lllL ニューデック社などがある。また,半導体,液晶 画面の製造部門では韓国のLG,ラッキー・ゴー ルド社との合弁事業を開始した。携帯電話事業で は世界第8位であるが,その上位に位置するノキ ア,エリクソンの携帯電話にはOEM供給をして いる。フィリップスも携帯電話を製造しているが,

ブランド・リーダーとしての優位性を持つ企業に は,フィリップスの無形資産によって製品供給を することもありうる,としていた。フィリップス の携帯電話事業の本社は,フランス・パリ近郊の ラモンにある。2001年現在の課題としては,連結 会計を進めながら,品質の管理,市場での認知度 を高めること,そして携帯,デジタルの分野での 高い成長率を達成することである,という'9。

(zahlentheorie)であり,その研究室で研究され ている楕円形の数学的性質を,インターネットに 流れる情報のための暗号作成法(cryptography)

に応用している。従業員数50名のうち10名がマー ケティング,10名が数学,30名が物理学によるチッ プのデザインを担当している。

クリプトビジヨン社は1999年1月に設立され,

スマート・カードの普及とともに成長を遂げた。

スマート・カードとは,通常の磁気テープを付着 させたカードではなくICチップを内臓するもの で,カードの許容する情報量が多い。また,遜 子の物理的な特性を活かしたセキュリティ・シス テムも開発している。携帯電話とインターネット を利用して商取引を行なうモバイル・コマース (mobile-commerce,あるいは,m-commerce)

の普及は,さらに大きな需要をもたらすと期待さ れている。主要な顧客には,フィリップス,イン フィニロン,オーガス(ORGAS)といった企 業がある。2000年度の売上高は,950万ユーロで

あった。 複写機製造・テレビ製造メーカー

シャープについては,スペイン・バルセロナエ 場と,フランス・アルザスエ場の2カ所を訪問し たムリ。スペインへの進出は1986年に開始され,ス ペイン国内|mけテレビ生産が目的であった。その 後,EU市場lil1けに生産を行っている。バルセロ ナの地方政府による工場誘致の呼びかけに応じて 進出をしたので,土地取得に対する低金利の貸し 付け,無償補助金などのインセンティブがあった。

スペインは他のEU諸国よりも労働賃金は比較的 安いが,労働組合との協約改訂が2年に1回行わ れる。テレビ製造については,日本・アメリカの 技術標準であるNTSCとは異なって,ヨーロッ パではPAL方式が採用されており,そのなか でもフランスではSECAM方式が採用されてい る。そのために開発拠点をヨーロッパにおく必要 があった。

シャープのヨーロッパにおける製造拠点と生藤 肺目としては,①イギリス・ウェールズにおける ビデオ,髄子レンジ,タイプライター,コンパク 総合電機メーカー

フィリップスでは,「グローバル・ブランド・

マネジメント」を担当する部長クラスの管理職に インタビューをした。フィリップスは100年以上 の歴史を持つがこの5年間に大きな変貌をとげ てきた。1995年に当時CEOであったヤン・テイ

ンマーの経営路線が破綻し,新たな企業統治のモ デルを模索した。一連の事業部''1(linesofbusi- nessunits)を7つの製品部門制(productdivi‐

sions)に変更した。責任の経路を垂直的なもの にして,マトリックス組織による複雑さを避けた。

フィリップスにとって非中核的な事業はリストラ クチャリングの対象にした。音楽訓業のポリグラ ムがその例である。

この5年間に追求してきた経営方針の具体例と しては,財務的な安定.シックス・シグマに代表 される品質の管理,ベンチャー・キャピタルとし ての機能を強化することによって世界での認知度

192001年2111511,オランダ・アムステルダムのホテルにてインタビューc

20スペイン・バルセロナエ場には2000年2月18[1,フランス・アルザスl:場には2000年21j28Uに訪問,インタ ビューを行った。

(10)

112地域統合と多国籍企業

トデイスク,②スペイン・バルセロナにおけるテ レビ,ファックス,③フランス・アルザスにおけ る複写機の事業がある。

フランスにおける複写機事業は,イギリスから フランスに移転された。間接部門20名,オフィス での従業員100名強,直接部門120名という規模で あり,1996年の売上高60億円をピークとして1999 年には45億円程度に売上高が減少している。日本 の奈良工場から日本語の図面が送られてくるので,

それを英語に直し,また英語の作業指示書も作成 する。フランス人スタッフは,必要に応じてその 英語からフランス語に翻訳する。1分間あたりの コピー枚数では,10枚,12枚,15枚といった水準 のコピー機を欧州向け製品として製造している。

日本の工場ではカラー・コピー機および高速機種 のみを製造してあり,中国では1分間あたり8枚 の機種から高速・フルカラーの機種まで製造して いる。

テレビについては付加価値ベースで45%以上を EU域内の部品で製造しているとローカル・コン テンツ規制をクリヤーできる。2000年4月まで 23.4%の反ダンピング課税が存続し,その期限が 切れたのちに再延長の可能性がある。また,ファッ クスについては2003年4月まで22.6%の反ダンピ ング課税が存続することが決まっている。ヨーロッ パの販売拠点としては,ドイツ,イギリス,フラ ンス,イタリア,スペイン,スエーデン,スイス,

オーストリア,オランダの9カ国に拠点を設けて おり,ドイツ・ハンブルクを統括拠点としている。

Dプレーヤーといったオーディオ製品の製造を かつて行っていたが,携帯電話の製造開始にとも なって停止した。東南アジア製製品の輸入増によっ てコスト競争力がなくなったためである。①携帯 電話は月産5万から15万台であり,②自動車用ラ ジオ,同8万台,③ビデオ,同6万台の製造をし ている。1999年3月時点での従業員数は1,667名 であった。仕向地としては,ドイツ29%,フラン ス13%,イギリス13%,オランダ8%,イタリア 7%,スペイン4%,ベルギー3%となっている。

99年3月訪問時点の2~3週間前に,セル生産方 式を取り入れた,という。ビデオ,携帯電話のデ ザインセンターとしての役割を持ち,10名がその 部門にいる。日本人派遣従業員は16名である。

20002月年時点のソニー・アルザスエ場では,

アナログからデジタルヘの転換が進められていた。

工場生産額の比率としては①携帯電話が60%,② VHSビデオ40%であった。③衛星放送テレビ用 のセット・トップ・ボックスの生産がちょうど開 始されており,工場生産額の比率としては0%と なっていた。コンパクト・ディスク・プレーヤー の生産はマレーシア,自動車用ラジオの生産はタ イに移管された。2000年2月時点での従業員数は 1,200名であり,間接部門384名,直接部門816名,

日本人派遣従業員11名であり,そのうち11名はデ ザイン・設計部門,4名は管理部門である。ソニー はスロバキアとハンガリーに工場を設立しており,

アルザスエ場から技術支援を行っている。

テレビ製造メーカー

ソニーのスペイン現地法人であるバルセロナエ 場には2000年2月に訪問した22が116インチから 64インチまでのテレビを製造していた。直接部門 742名,間接部門359名であり,その他にデザイン・

設計・研究開発などで84名いる。日本人派遣従業 員数は19名であり,その多くが東京の大崎にある 本社部門から派遣されている。1999年の生産実績 ではテレビが200万台を越え,プロジェクション・

テレビが5万5千台強となっている。バルセロナ エ場は,世界最大のテレビ工場であると自負して 携帯電話製造メーカー

ソニーのフランス・アルザスエ場には,1999年 3月と2000年2月の2回訪問した21.アルザス地 方政府は日本に投資誘致事務所を開設して土地.

建物の造成,3年間の法人税免除といったインセ ンティブを与えた。ソニーの盛田昭夫氏が自ら視 察して工場建設を決定した。1986年に操業を開始

した。

1999年3月時点では,①携帯電話,②自動車用 ラジオ,③VHSビデオの生産を行っていた。C

211999年3月15pおよび2000年21]28日である。

222000年2月17日,バルセロナ工場でのインタビューにもとづく。

(11)

総↑;↑志林第40巻3号2003年10月113

領域として会計データを集計して,ドイツ・デュッ セルドルフでヨーロッパ全体の決算をまとめる。

スウェーデンでは,ヨーテポリに研究開発拠点 があり,そこではポルポ向けのナビゲーション,

カー・オーディオの開発を行っている。従業員数 は24名であり,日本人派遣社只は3~4名である。

1997年まではスウェーデン三菱として運営されて いたが,それ以降はカー・オーディオについて別 会社として迎↑Mrされている。エアコンの生産は,

日本約50%,タイ約30%,スコットランド約10%

となっている。

いる。プリント配線基盤(PCB)は,ソニー・

フランス・バイヨンヌエ場,同ダックスエ場およ びイタリアのロベルト社から供給されている。バ ルセロナエ場にはデジタルのデザイン・センター がおかれている。

1999年12月にはドイツのソニー現地法人が閉鎖 され,300名の人員が解雇された。ソニーは,イ ギリスに2工場,スペイン3工場,フランス3工 場,オーストリア2工場,イタリア,ポーランド,

ハンガリー,スロバキアに各1兀渤を持っている.

マレーシアのバンギにあるソニーのテレビエ場は.

バルセロナエ場よりも単純なモデルを生産し,製 AIIのバラエティも少ない。バンギニI:場では労賃の 低さというメリットはあるが,現地綱達できる部 IMIは少なく日本からの輸入に頼っている。バルセ ロナエ場からは,スロバキアおよびハンガリーへ の技術的なサポートが課題となっている。

4.仮説の提示

本稿で提示したフィールド調査の結果から,い くつかの仮説を導くことができるように思われる。

第一に,インタビュー時点において,すでに生 産拠点の集約化を行った企業と,生産拠点を維持 したままで生産品目の棲み分けを行うことで対応 しようとする企業がある。前者の代表はエリクソ ンであり,スペイン,イタリアでの生産を中止し ていた。後者の代表は日系企業に多くみられ,シャー プ,三菱電機が該当する。ソニーには,その両者 の性格があり,ドイツでの生産拠点閉鎖と,フラ ンスでの生産llif1目変更という二つの方向性を同時 に追求していることが明らかになった。

第二に,国際的な企業間での戦略的提携が,進 出当初の子会社に対する資本関係とはねじれた状 態を生み出している。ネッドカーにみられるポル ポ=フォードとダイムラーークライスラー=三菱 自動車の関連は,その一つの事例であり,ルノー=

日産自動車,トヨタ=光洋精工という日本国内で の戦略的提挑関係に対して,ルノーー光洋精工の 合弁事業が存在したことなども,もう一つの事例 である。地域経済統合が,個々の本国親企業の所 有する海外]乙会社に対して与える影響よ}〕も,親 企業のレベルで国I祭的な戦略捉挑が組まオしていく スピードのほうが,はやい,ということができる。

第三に,氾機・電子産業についてみると,モバイ ル・インターネット,すなわち携帯電話を端末と 販売代理店

三菱エレクトリック・スカンジナビア23は,1983 年に設立きれた。三菱製品は,60年代,ガデリス ウス商会を総代理店として北欧に家電製品を販売 していた。83年3月,ガデリウス商会の扱ってい たビデオ,エアコンプレッサー,エアコン事業を 引き継ぎ,92年には携帯電話事業も開始した。ガ デリウス商会は,ABBに買収された。

2002年現在の従業員数は20名であり,うち日本 人は1名である。挑滞電話,ビデオ,エアコンな どの製品は扱っておらず,防犯111録liMiカメラを主 として扱っている。また,VIT(visualinforma-

tiontechnology)関連商品として,映画用人画

面スクリーンの販売をはじめた。エアコンのコン プレッサーについては,エロクトロラックス,デ ンマークのダンテム(Dantherm)社,ノルウェー のミーバ(Miba)社などがあり.競争が激しかっ た。92年ごろには45~46名ほどの従業員がいたが,

挑帯電話,ビデオなどの事業が赤字基調であった ために,従業員数は減少した。スウェーデン,ノ ルウェー,フィンランド,デンマーク,エストニ ア,ラトビア,リトアニア,アイスランドを販売

232002年31j22[Lスウェーデン・ストックホルムでの11本人管理部艇(administrativcmanager)ヘのインタ ビューによる,

(12)

114地域統合と多国籍企業

したインターネット網の構築が産業の変革に与え る影響が大きい。インターネットと携帯電話とは,

個別の発展をしてきたが,それが技術的に融合し たために,新たな市場を生み出している(第1図 参照)。こうした電機・電子メーカーの経営は,

ヨーロッパ全域をまたがって展開されており,E U市場統合による生産要素の可動`性を高めると ともに,その地理的広がりを拡大する効果を持つ ように思われる。

第四に,情報通信分野の市場特性として,製品・

プログラムなどを供給側で複製することが容易で あるために,-国国内需要が急速に飽和する,と いう点が挙げられる。たとえば,T型フォード自 動車とコンピューター用ソフトウェアのどちらを 簡単に複製できるだろうか。製造業による物的な 財の供給よりも,情報関連のソフトウェアは,は るかに容易に供給過剰になる。それは,プロダク ト・サイクル理論を過去のものにするようにも見 えるが,サイクルが著しく短縮化したものとみる こともできる。

第五に,EU市場をとりまく国々,具体的には モロッコ,ハンガリー,スロバキア,エストニア といった国々が企業のネットワークに取り込まれ ている。また,中国の存在は,各社の国際化戦略 に明瞭な影響を与えている。国家による地域市場 総合は,多国籍企業の生産・販売ネットワークを 包摂していない。

第六に,多国籍企業による海外直接投資の増加 が,自由貿易地域をはじめとする経済統合を生み 出すのではないように思われる。むしろ,ヨーロッ パ,アジア,北米,中国,東南アジアといった地 域を単位としたときに,海外直接投資が減少傾向 にあるときに,地域間での投資誘致競争が加速し,

地域内貿易を容易にする必要が生まれる。地域経 済統合は,海外からの投資が減少するときに,加

速するのではないか。

47巻第3号.

佐々木昇[2000]「ヨーロッパ自動車産業と過剰能力 問題」「商学論叢」(福岡大学)第45巻第1号.

高田雄司[1998]「スウェーデンの多国籍企業の研究 開発戦HVi-通信機器メーカー・Ericsson社の事例一」

「福山大学経済学論集」第22巻第2号.

洞口治夫[2001a]「国際経営一産業集積一」藤村博 之.洞口治夫編箸「現代経営学入門-21世紀の企 業経営一」ミネルヴァ書房.

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公文灘[2001]「欧州における日本型ハイブリッド組 織の形成一ネッドカーのケースー」「社会志林」第

(13)

総);↑志林第40巻3〃2003〈IilO1jll5 第1図モバイル・インターネットを中心とした産業融合の概念図

略号化技術 (クリプトビジョン)

ソフトウェア|H1発 (ジェトロニクス)

(テイームウェア)

コンピューター

周辺機器 半導体生産

(ST-マイクロエレクトロニクス)

モバィル・ (S インターネット

通信網 記憶デバイス

(日立フランス) 半導体生産設備

(ディスコ)

総合家M1の

モバイル化 PCB生藤EMS

柵イif地i;iliの生産 (ソニー・フランス)

(フィリップス)

l比`IIyllLIjIPlwlLIさ陸

(ソニー・フラン (フィリップス)

桃J1Ifilj論部。「(,の生産 (エルコテック)

総合家電の デジタル化

複写機の生産

(シャープ・フランス)

テレビの生産

(ソニー・スペイン)

(注)○印は産業分野を示し,そのZIr襖が藤業の技術的連関を示す。

(1)}所)飛滑作成。

参照

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