沖縄の暴走族の文化継承過程と〈地元〉
一 一 パ シ リ と し て の 参 与 観 察 か ら 一 一
打 越 正 行 [email protected]
社 会 学 で は,小集団で展開される対面的相互行為の多様性や,その 多 様な現実を行為者が認識する際に用いる枠組の可変性が議論されて きた.それに対して,本稿では対面的相互行為が小集団にある資源と その集団の規模によって支えられていることに着目する.それによっ て,対面的相E行 為 の 多 様 性 や 枠組の可変性は,小集団の資源や規模
といったく土台〉によって規定されていることを示す.
現 在 の 沖 縄の暴走族少年らは,家族,学校,地域に必ずしも安定し た基盤を持たず,加えて労働市場では流動的な労働力として扱われる.
そのような彼らが,行き着く場所である〈地元〉が,直接的相互作用 を 支える資源と規模を備えた(土台)になる過程を,そこで展開され る文化の継承過程をもとにみる.
ま ずは彼らが(地元)に集まり,さまざまな活動を展開する際に必 要最低限の資源に着目する.最終的に(地元〉に行き着いた彼らは,
共 有 する文化や物語以前に,まずはそこに継続的に集うための資源が 欠かせない.続いて,それらの資源を有効に用いるために, (地元〉が 適 切 な 規 模 に あることに着目する.それらの資源はもともと廃棄物か 流通品であったが, (地元)にあることによって,有効な資源、となる. よって,規模が適切でないと,それらの資源は再び無効化されてしま
う.以上のような実体的な資源と規模を備えた(土台〉によって, (地 元〉における彼らの対面的相互行為は支えられていることを確認した.
キーワード‑暴走族, (地元>,沖縄
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はじめに本土 1)の荒れた成人式が沈静化する一方 で , 沖 縄 の 成 人 式 は い ま だ に荒れている.出身中学校ごとにお揃いの袴を纏い, 一升瓶の泡盛片 手 に 国 際 通 り に 繰 り 出 し , そ れ を 警 察 が 静 止 す る 光 景 は 毎 年 恒 例 と な っている.それを実行しているのは,平日・週末を問わず,沖縄の深 夜 の 「 ゴ ー パ チ ( 国 道 58号線)Jを盛り上げている暴走族 2)であり,
それを支えるのは暴走族を見物するギャラリーの若者の多くである.
暴走族少年の多くは,建築現場で働いており, 1週 間 の 欝 憤 を 暴 走 行 為で発散させる.それに加え,暴走行為は,仲間から一人 前 の 暴 走 族 とみなされる通過儀礼でもある.また早朝まで暴走族を追いかけるギ ャ ラ リ ー の 若 者 の 多 く は , 無 職 中 か キ セ ツ ( 季 節 労 働 )3)帰 り の 求 職 中の若者である.荒れる成人式の背景には,毎晩のように盛り上がる ゴ、ーパチの日常がある.またその日常も,暴走族の低賃金かっ厳しい,
もしくはギャラリーの流動的かっ不安定な沖縄独特の就労構造と,そ れにともなう就労先における通過儀礼の機能不全に支えられている.
ただこれらの困難を沖縄の若者の一部は,建築現場,エイサー青年 団,暴走族などの場所をもとにした実践を通じて,部分的に緩和して きた.例えば,学校や家族,安定した就労環境から弾き出された中学 生が暴走族に入り, (地元)4)のアジト(バイク倉庫)に通うなかで文 化 や 規 範 を 身 に っ け な が ら , 一 人 前 の 暴 走 族 少 年 へ と 社 会 化 さ れ (地 元)建築業に就くといった過程にそれを確認した(打越 2008,2009). また沖縄の暴走族少年らは,アジト以外にもコンビニ前の駐車場やマ クドナルドなどに毎晩のように集う.そのような場所としての{地元〉
を,中学校校区規模の同世代の若者らが一定期間にわたり集う実体的 な場所としておこう.そのような実践と場所の関係を,今までは 〈地 元〉 で形成されるメンバーの代替不可能性(かけがえのなさ)に注目
して考察してきた(打越 2008).ただそこには少なくとも2つの留意 すべき点がある.
lつ, (地元)は無条件にすべての若者を引き受ける理想郷ではない
し,また〈地元〉自体が今後も安定して継続する保証はないという点.
これについては,これまでに(地元〉から若者が弾き出される過程に ついて考察を重ねてきた(打越 2010).それにもとづけば, <地元)は 包 摂 と 排 除の機能を併せ持つことでな んとか維持されている.本稿で は,よりミクロな視点にもとづき,そこでの直接対面的な相互行為が 継続的に展開され,文化が形成され継承される過程を検証する.2つ,
(地元)が実体的な場所であることと,そこで実践が展開されること でメンバーの代替不可能性が形成されることの聞には, 幾重にもわた る過程をふむ必要があるという点.本稿はその過程を詳細な事例を積 み重ねる形で説明を試みる.<地元)に集う若者は,支配社会 へ の 対抗 的 な 視 角 や , 暴走やその見物を行うという明 確 な 目 的 , また特殊な能 力を必ずしもも'っているわけではない 5) また 多 く の 暴 走 族 は , 規 模 こそ中学校区であるが地縁や血縁だけで構成されてはいない.そのよ うな,目的や能力,そして生得的なつながりを持 た な い 若 者が, 地元 に集い,そこで対面的相互行為が継続的に可能となることで,代替困 難なメンバーとなっていく過程を,以下では具体的にみていく.
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調査方法一一パシリとしての参与観察本稿の中心となる調査は, T村 の 暴 走 族 と そ の リ ー ダ ー の 社 長 が 経 営する閉じく T村の建築業である沖組を対象として,2007年から 2011 年 ま で の 聞 の 合 計6ヶ月間にわたって実施した参与観察である.著者 は パ シ リ (使い走り・雑用)として建築業の現場はもちろん,暴走族 の ア ジ ト においても与えられた役割を遂行したの.パシリとして活動 に参加しながら調査を進めたことは本稿の展開にとって重要な役割を 果たすため,まずここではパシリの活動について説明し,それによっ て得られる調査の利点について述べておく.
基 本的にパシリとは,先輩の要求や命令に従い雑務作業を遂行する 役 割 で あ る . し か し , 雑 務 作 業 を こ な す だ け ではパシリとしての完成 度 は 高 い と は い え な い . そ れ に 加 え て , パ シ リは馬鹿にされ笑いの対
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象にされるために,定期的に命令をしくじることが重要であった. し くじった後に,命令した先輩が「どうしょうもないなこいつ,面倒み てやるか(俺がみなかったら誰もみないだろ)Jと感じれば,それは完 成 度 の 高 い パ シ リ と い え る . も し 対 照 的 に , パ シ リ が 命 令 を 完 全 に 遂 行 し た ら , 要 求 や 命 令 は 徐 々 に 拡 大 し て い き 面 倒 を み ら れ る こ と は な いだろう.著者は今までに広島市では 18チーム,沖縄では26チーム の暴走族に調査を実施したが,比較的忠実に DVD作成や写真撮影な どの役割を遂行したチームは,残念ながら調査後に音信不通となって しまった事例が多い.他方で,真撃に役割を進める過程で残念ながら 失敗し,迷惑をかけてしまったチームは,現在でも親交がある.そこ では失敗のエピソードが再会するたびに再び語られることで,関係を つ な ぎ と め る 役 割 を 果 た し て い る . 調 査 中 に 調 査 者 が 被 調 査 者 や そ の 属 す る 集 団 に お い て あ る 役 割 と し て 代 替 可 能 か , も し く は 代 替 困 難 な 存 在 か と い っ た 点 は , 本 調 査 を 展 開 す る に あ た り 重 要 な ポ イ ン ト で あ った 7) そ し て そ の 分 か れ 目 を 決 定 付 け る 主 な 要 因 は , 以 下 で 詳 述 す るように, (地元〉の規模にあった. (地元)が大きすぎず,メンバー の流動性にある程度の制限があること.これによって,パシリのしく
じりが排除の契機とならずに, 1回性の「歴史j として蓄積される.
またそこには,既存のメンバーでなんとか(地元)をまわそうとする ブリコラージュの思考を確認できる.
またパシリとして調査に加わった利点は, 2つある. 1つ , 大 学 生 やカメラマンと比較してより多くの少年に,そしてより深く関与でき るためである.ある集団を見る際には複数の被調査者からの語りをも とに羅生門的な調査法が有効である.上下関係の厳しい暴走族で先輩 たちに取材許可を得るだけではなく,後輩たちに認められることでは じめて,この方法は有効となった.2つ , 長 期 に わ た る ア ジ ト の 日 常 の過程で,自らも社会化を経験することで,当初はなんでもないよう にみえていた資源や振る舞いの意味を,パシリとしてのしくじりを通
じて,再文脈化して考察が可能となった.これは,コミュニティの臨 界領域にある(地元)で,廃棄物や流通品の再資源化や,特殊な能力
を往々にして持たずに流動的に移動を繰り返す若者が, (地元)で代替 不可能な存在となる/なれない過程に注目する本稿の意図と合致する.
な お ,深夜の未成年との談笑やアジトでの賭博行為といった本調査 における触法行為について説明しておく.いうまでもなく,社会学が 研 究 の 対 象 と する社会は,法に囲われた社会のみではない.そのうえ で , 社会調査において重要な点は,調査対象の社会が法の内部か外部 か で は な く,何を明らかにするために,何を対象とし,どのような方 法 と 立場で問題にせまるのかについての自覚的態度であろう.本稿に 適用すると, (地元)が資源と規模を備えた〈土台〉となることで,メ ンバーの対面的相互行為を支 え る 過 程 を つ か むために,沖縄の暴走族 のアジトを対象 に , 暴 走 族 の パシリという立場での参与観察が有効で あるということになる.また本稿で用いる固有名はすべて仮名である.
3 沖縄の暴走族
まずは,沖縄の暴走族の概要を紹介したうえで,以下の議論を展開 していく.沖縄の暴走族の全体像をまとめたのが,次頁の表である.
伝 統 階 梯 型 暴 走 族は,上下関係が厳しく(地元〉の人間関係による 拘 束 が き つ い 反 面 ,先輩によって後輩の就学や就労まで徹底的に世話 をみる点で,かつての本土の暴走族と大きく重なる.それと比較して 本 稿 で 扱 う 場 所 集 合型暴走族は,成員の入れ替わりの多さと,関係性 が水平型と垂直型の並存である点が特徴である.(地元〉の建築業と密 接 な 関 係 に あ る が ,そこで安定して働く者は半数に及ばない.また半 数近くが T村出身者以外から構成されており,メンバーの移り変わり
も多い.家族,学校,就労世界,そしてトラブ、ルなどにより出身地か らも追いやられた若者にとって,この開放性と就労斡旋は魅力に映る で あ ろう.短期世代型暴走族は,場所集合型暴走族と比較してその年 齢幅の狭さが特徴的である.これによって,組織は水平型の形態をと る.ただ友好的で気軽に過ごせる一方で,カリスマ的なリーダーが不 在 で あ る .また具体的に集まる場所は,マクドナルドやコンビニとい
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表 沖 縄 の暴走 族 の 類 型
暴 走 族 の 類 型 伝 統 階梯型 場 所 集 合 型 短 期 世 代 型 集 団 の 規 模 20‑30名 20‑30名 20名 前 後
世代 15‑30歳 15‑30歳 15‑20歳 主な就職 環 境 先 輩 が 立 ち上げた (地元)の型枠解体屋 求人誌でみつける
バ イ ク 屋 仲間と行くキセツ キセツ・短期バイト 世 代 間 の 文 化 伝 承 可 能 可能 一 部 不 可 能
メンバーの移り 少ない 多い 少 な い
変わり
〈地元)出身者の 100% 50% 80% メ ン バ ー 構 成 率
集 合 場 所 バイク屋 バイク倉庫 マク ドナルド
コンビ、ニ駐車場
つ な が り の 強 度 きつい ふつう ゆるい
組 織 形 態 垂 直 型 垂 直 型 と 水 平 型 水 平 型
全体の構成比 約 10% 約 40% 約 50%
った暫定的な場所であり,取締りの対象となり不安定で、ある.それに よって,世代聞の文化伝承や就労の斡旋等が組織的に展開されておら ず,この地区では,エイサー青 年 団 が 解 散 し た . こ の よ う に 分 類 さ れ る暴走族は,徐々に伝統階梯型から,場 所 集 合 型 , そ し て 短 期 世 代 型 に移りつつある 8) 本 稿 は 場 所 集 合 型 と 短期 世代型暴走族に注目する が,それはその変遷の現代的意 味 を つ か むことを目指すためである.
本稿で中心的に扱う沖縄連合は,
T
村を拠点、とする過去 10年 以 上 続 く伝統的な暴走族である.このチームはメンバーのバイクを収納する 倉庫(通称,アジト)を 10年 以 上 に わ た り 賃 貸 し て 活 動 を 展 開 し て い る.沖縄 の 暴 走 族 の す べ て が , こ の よ う な バイク倉庫を賃貸している わ け で は な い も の の , 上 の 表 で 示 し た よ う に そ れ ぞ れ の 暴 走 族 は 組 織 形 態 や 活 動 に 適 合的な集合場所を持つ.沖 縄 連 合 の ア ジ ト は 誰 も が 出 入 り で き る 場 所 で は な い と い う 点 で 排他的である.ただし、かなる組織においても,組織を継続させるため にはある条件やそれにもとづく排他性を併せ持つ.そうであるならば,
その条件が実行される場面やその条件が構築される過程に注目するこ とが得策である.暴走族のアジトは,以下の 2つの事実を前提とした 排他性であった. 1つ,この排他性はバ イ ク が 嫌 い , 上 下 関 係 を軽視 す る と い っ た 形 で , ヤ ン キ ー ・ サ ブ カ ル チ ャ̲9)へ の 拒 否 反 応 が な い という比較的緩い条件によるものである.仮にヤンキー・サブカルチ ャーを身に付けていなくても,その後に(地元)で先輩に教わって身 に付けていくことになるので,あまり心配する必要はない.2つ,そ れ は 暗黙の内にとられる定員による排他性である.ただ定員といって も,明文化され,厳格になされているわけではない.それより小さい と活動が十分に展開できないし,またそれ以上新参者が加われば十分 な シ ゴキを受けられず,それゆえにトラブルを起こし叱責されて自然 に去っていくというなかで,暗黙の内にできあがる定員である.その 結果, (地元〉の暴走族は,上述したように近隣中学の規模が適当な大 きさとなっている.最終的にはそれぞれの世代が多くて 2名 程 度 に 絞 られていく.調査の過程で出会った多くの暴走族は,年齢構成は多様 であっても,メンバー数は20・30名に落ち着いていた.
このように(地元)の排他性は,上の条件さえ満たせば〈地元)で 生き続けることができるという意味での条件付きの排他性である.そ の 条 件は,ケンカに強いこと,バイクの技術の有無,また外見や服装 がイケている(格好いし、)ことなども重要であるが,長期的にみれば (地元)に最も顔を出した新参者がその世代に残る者となっている.
なぜなら,いつも顔を出す過程でく地元)の先輩への対応,ヤンキー うちなーぐち,そして暗黙のルールなどを体得していき, (地元〉にと どまる術を獲得できるようになるからである.このように〈地元)は 外 部 か ら の 観 察 や 新参者からみれば排他的であるが,同時に頻繁に顔 を出すメンバーや長期的視点に立てば開放的な場所であり,そのよう な社会化の仕組みによって活動を支えるメンバーの半数以上はT村出
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身者ではないという点で多様である.またある く地元〉であふれたと しても他の (地 元 ) に 加 わ る 若 者 も い る こ と か ら , そ の 排 他 性 は 暫 定 的なものである 10) つまりこの排他性は, (地元)を維持するために 構 築 さ れ た 「 間 引 き 制 度 」 と 考 え ら れ る . 沖 縄 連 合 の 概 要 と 沖 縄 の 暴 走族の組織の特徴をふまえ,以下ではく地元)の形成過程において,
いかに資源が有効に使用されているのかをみていく.
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最低限の資源が〈地元〉にあること一一〈地元〉の形成過程 Iここでは, (地元〉が形成する過程において,最低限の資源が〈地 元)にあるという事象に注目する.当然のことではあるが,これは(地 元 〉 が 小 さ く な り 解 体 し な い た め に 重 要 で あ る . 特 に 誰 が ど の よ う な 過 程 で 資 源 を 調 達 し , そ れ が ( 無 効 化 , 垂 れ 流 し さ れ ず に ) ア ジ ト で どのメンバーにし、かに有益に使用されているのかをみることは,本稿 の問題関心と重なる 11)
ここでいう (地元〉の資源とは,具体的にはバイクの修理,改造の た め の 工 具 , オ イ ル , ス プ レ ー , ま た 時 間 つ ぶ し の で き る ダ ー ツ マ シ ーンやトランプ,テレビ,暴走族雑誌や DVD など,そしてそれらを 合法的に保管できる倉庫をさす.バイクこそ一応 は 個 人 の 所 有 物 で あ るが,実際,所有者はバイクを改造する権利があるのみで,社会化を 経 験 し た メ ン バ ー で あ れ ば バ イ ク の 貸 し 借 り は 自 由 で あ る . そ の た め に,鍵は常にバイクに装備され,燃料は常に空の状態で保管され,乗 る者が補充して乗るシステムになっている.また倉庫の賃貸料の 4万 2千円は数名の先輩たちで賄っている.
そしてこれらの資源は,それぞれのメンバーが提供するものもある が , 工 具 や ダ ー ツ マ シ ー ン や ト ラ ン プ , 雑 誌 類 の よ う に リ ー ダ ー の 裕 太にーに 12)個人による寄付によるものがほとんどである.正確にいえ ば,彼の寄付とは,近所の飲み屋で故障したダーツマシーンや,
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階 の米軍家族が置いていったテレビを引き取り,設置したものである.ま た は 彼 が 働 く 解 体 屋 か ら 無 断 で 拝 借 し た も の で あ る . こ れ ら の 物 質
的資源、があることが,なにより(地元)をまわすためには欠かせない.
これらのなんでもない廃棄物や流通品が,アジトに配置されることで メンバーの社会化を支えている.そして,これを可能にする要因こそ,
裕 太 に ー にが 10年間にわたり解体屋に従事し,経済的な資源にやや余 裕があり,それによって配偶者との関係が比較的安定しているという 事実である 13) そのような資源と時間の剰余分が(地元〉に蓄積した 結果,沖縄連合は実体的な場所であるアジトを所有するに至った.
このような資源とその調達メカニズムによって, <地元〉のアジト は支えられている.そしてそこに, T村 だ け で は な く 近 隣 地 区 の 若 者 が毎晩集う.ここでは,最低限の資源によって く地元〉 の ア ジ トが合 法 的 か つ 比 較 的 安 定して維持していることを確認できる.そしてこの 時 点 で は , ど こ に で も 形 成 しうる(地元〉という場所が,そこにメン バ ー が 集 い , 対 面 的 相 五 行 為 が 展 開 される過程で,メンバーの社会化 とその代替不可能性を生み出すに至る.その過程を詳しくみていこう.
4 . 1
安定する〈地元〉一一沖縄連合の場合沖縄連合は, 15歳から 30歳までの約 30名 の 少 年 が 属 す る 暴 走 族 で ある.そのうち毎晩 10名 あ た り が ア ジ ト に 集 ま る . だ い たい午後 10 時から 11時に集まり始め,朝方まで誰かがいる.携帯で連絡を取り合 っ て 集 ま るのではなく,アジトに行ってみれば誰かがいるという感覚 で集まる.アジトの概略は次頁の図に示した.沖縄連合は 2009年 に 集 団 暴 走 で 一 斉 に 逮 捕・補導され,それを契機にアジトの場所を変更し た経緯がある.それからアジトへの警察による捜査を警戒しており,
バ イ ク の 出 し 入 れ 以 外 は 正 面 の シ ャ ツタ}を開けることはない.正面 側からはただの空庖舗を装っているために,シャ ッター 前 で た む ろ す ることも禁止されている 14) そのようなアジトで,行われる活動にギ ヤンブ、ノレと暴走族談義がある.そ れ ら の 活動を上述した資源との関係 に注目しながらみていこう.
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たむろ、・興埋 禁 止 匡 揖
ももも
仁王コ
図 アジトの見取り図(一部変更)
4. 1. 1 ギャンブル
アジトで行われるギャンブルには,ダーツとトランプがある.ダー ツの掛け金は 100円から始まり,盛り上がってくると 500円まであが る.それらは,ある程度のメンバーが集まる前の数名で行う時間つぶ しに丁度いい.まずダーツは,技術がその結果に影響を与えるギャン ブルで、ある.ゆえに,ダーツの能力と沖縄連合の年齢階梯はほぼ一致 する.結果として,ダーツは先輩が支払う倉庫代を後輩から徴収し,
その割り当てを平均化する機能を果たしている 15) 続いてトランプは 沖 縄 連 合 独 自 ル ー ル の 大 富 豪 や ス ピ ー ド と い う ゲ ー ム が 行 わ れ る . 掛 け金は常時 100円である.そのルーノレ習得も新参者にとってはアジト に 出 入 り す る た め に は 必 須 科 目 の ひ と つ で あ る . 当 初 は 先 輩 の 人 数 合 わせやカモであった新参者が,だんだんと存在を認められ,顔を認知
され,名前(通称)を与えられていくのが,このトランプである.
上 の ダ ー ツ が
W
Street Corner Society (以下, SCS) (w. F. Whyte1943=2000)~ におけるボーリングのように,その順位と組織内での力 関 係 が 対 応 し て い る の に 対 し て , こ こ で の ト ラ ン プ に は そ の よ う な 対 応 関 係 は 見 出 せ な い 16) むしろ毎晩通うなかで見えてきたのは, トラ
ンプが普段の先輩 後 輩 関 係 を ひ っ く り 返 す 非 日 常 を 生 み 出 す ギ ャ ン
・
ブルであるということである.その結果,運良く(悪く)先輩に勝つ
て し ま っ た 新 参 者 は , 存 在 を 認 め ら れ る と同時に先輩からのトランプ の誘いを次から断れなくなる.このような日常と非日常の循環を経て,
新 参 者 は ア ジ ト に 常連メンバーとして通うようになっていく.
こ こ で は , ア ジ ト の 資 源によって新参者がとりあえずそこにいても い い と い う 安 心 感 を 生 み 出 し , そ こ で 他のメンバーとの対面的相互行 為 が 生 ま れ て い る . ま た こ れ を よ り 安 定 化させるのが,沖組体験とい う 通 過 儀 礼 で あ る . 沖組は裕太にーにの父親が経営する型枠解体屋で ある.毎晩のようにアジトに通うようになると,ギャンブノレの資金調 達のために沖組への斡旋が行われる.著者も経験したこの通過儀礼は,
仮 に 継 続 的 に 働 く こ と ができれば,その勲章と給料を得ることでより ア ジ ト に 溶 け 込 め る . 対 照 的 に 沖組を数ヶ月で挫折しでも,先輩たち の 半 数 以 上 が 挫 折 し た た め , そ の出来事もメンバーの「歴史j として 蓄積されていく.
4.1.2 暴 走 族 談 義
ダーツなどのギャンブ、ルをしながら,徐々にメンバーが増え盛りあ が っ て く る と , 隣 の 部 屋 で 昨 晩 の 暴 走 族 の様子をいつものコーヒー牛 乳 17)を 飲 み な が ら 振り返る暴走族談義が始まる.昨晩暴走した者はそ の 武 勇 伝 を 自慢げに語り,見物をした者はその批評を行う.
〔昨日は暴走したの
? J
も ち ろん,おまえどこいってた ば ? (昨 日は E市いってま し た . 沖 縄 連 合 み な かったっすね.すれ違いで す か ね 〕だーる(そうかな).昨日,みんなで C市 ま で 行 ったら よ,いきなり(パトカーに)わーぎられて(追し、かけられて)か ら に 大 変 だ っ た よ .昨日のはしつこかった,ゃっさー. D市 ま で ついてきてからよ.C市の(パトカー)はしつこいばーよ. (どこ の パ ト カ ー と か わ か る の ?J
わかるさー,パトカーの運転がうま いやっ(警官)と,そうでないやつがいるさー. (へえー,そこま で わ か る ん ? すげえな〕前回捕まえられたやついたら挑発しまく るしな(笑)(そこまでわかるん?J
あたりまえさー. (良夫 2007‑65 ‑
年 11月 13日深夜, D市内のコンビニ駐車場)
〔最近は(取締りが厳しいので)警察が気合はいってるんじゃな い ?J違 う , 暴 走 族 の 気 合 が 足 り な い , 暴 走 族 は 本 気 に な れ ば 警 察は何もできないよ.[ほんとによ?
J
あたりまえさー(大山 2007 年 12月 1日深夜, D市内のコンビニ駐車場)こ の よ う に 彼 ら は ア ジ ト で 自 ら の も し く は 仲 間 の 暴 走 を 語 り 合 う . た だ そ こ で 語 ら れ る 昨 晩 の 暴 走 と は , 卓 越 し た 伝 説 と な る 走 り ば か り で は な い . 例 え ば , 琉 球 連 合 の 雅 史 さ ん の フ カ シ ( エ ン ジ ン 音 ) の 技 術 やD市 の 大 山 が 那 覇 か ら 北 谷 ま で ウ ィ リ ー 走 行 ( 前 輪 を 浮 か し 後 輪 だ け で 走 行 す る 技 ) を し た な ど の 「 伝 説 」 は 確 か に あ る.ただそれら と 比 較 し た ら , 毎 晩 行 わ れ る 暴 走 行 為 の ほ と ん ど は 物 足 り な い も の が 多 い . し か し そ れ に も か か わ ら ず , 直 接 に 暴 走 し 見 物 し た 者 は そ れ ら
との比較ではなく, 1回 限 り の 暴 走 と し て そ れ を 楽 し ん で い る. ま た こ の 批 評 に お い て , 警 察 の 役 割 が 重 要 な 位 置 を 占 め て い る.彼 ら に と っ て 警 察 は 絶 対 的 存 在 で は な く , 時 々 は 逃 亡 も で き る し , 職 務 質 問 を 強 引 に 追 い 返 し た り , か わ し た り で き る 存 在 と さ れ て い る . そ の こ と は , 実 際 に 経 験 す る こ と も あ れ ば 先 輩 か ら 伝 え ら れ る こ と で あ る . 著 者 も 調 査 中 に 警 察 か ら 免 許 証 の 提 示 を よ く 求 め ら れ , そ の な か で 数 回 ト ラ ブ ル に な る こ と が あ っ た が , そ ん な 時 に 知 り 合 い の 少 年 が 両 者 の 聞 に 入 つ て な ん と か 最 悪 の 事 態 を 脱 し て く れ た こ と が あ っ た (2007年 11月 20日, E市コンビニ駐車場).また F市 の 暴 走 族 OB の 山 城 た ち と コ ン ビ ニ で た む ろ し て い る 際 に , 私 た ち に 数 人 の 警 官 が 職 務 質 問 を 行 っ た . 実 際 の や り と り は す さ ま じ い 速 さ の う ち な ー ぐ ち で あ っ た た め に , ほ と ん ど 理 解 で き な か っ た が , 山 城 は , す ご い 勢 い で 警 察 を 追 い 払 っ た . 彼 は 警 察 の 言 葉 遣 い が 悪 か っ た こ と を 徹 底 的 に 追 及 し 最 終 的 に は 謝 罪 に 至 ら せ た (2007年 10月21日, E市交差点).
こ の よ う に や り 方 次 第 で 結 果 が 異 な っ て く る 警 察 と の や り と り は ,
〈地元 ) に お け る 仲 間 と の 語 り 合 い に お い て 格 好 の 素 材 と な る . 警 察
とのやりとりに従順に対応した者は馬鹿にされ,反抗した者は一目お かれる.ただどちらにせよ,これらの l回限りの「歴史Jは, <地元) の 仲間によって語り継がれていくものとなり,ことあるごとに思い返 されるものとなる 18) そしてこれらの l回性の「歴史」を蓄積し記憶 するために,
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村のアジトの存在は大きい.コンビニ前の駐車場やマ クドナルドでは毎晩のようにギャンブルはできないし,また暴走族談 義 は で きたとしても,警察や庖舗の判断により立入り禁止になる可能 性 は 払拭できない.それに対して,賃貸契約のアジトはその心配がな く安定している.その結果,比較の姐上に載せるとなんでもないよう な1回性の「歴史jであっても, <地元)の具体的なつながりを介する ことで,それらはあるメンバーを象徴するものとして,蓄積され継承 される.4 . 1 . 3
(地元〉における社会化ここでいう(地元)における社会化とは,ヤンキーうちなーぐちゃ,
バ イ ク 改造や操縦の技術習得といった暴走族文化 の 習 得 に 加 え て , 時 間 的・空間的な術献の視点を,実体的な〈地元〉を基盤として獲得す ることでもある.前者は新参者が暴走族に加入する際に必須の営みで あるのに対して,後者は(地元)に安定して基盤をおき外部社会から の影響を相対化させるために有効な営みである.
暴 走 族 のアジトで社会化を経たメンバーは,アジトの現状やメンバ ー の動きを傭敵してみる視角を獲得するに至る.具体的には,働いて いない他のメンバーの金銭的な振る舞いがよかったり,あまりアジト に顔を出さなくなったりすると,女性関係や「危ない 19)J人間関係の チェックが可能となる 20) また,安定して働くメンバーには,執劫に ギャンブ、ルに誘うことができる.ここで金銭の流れをもとに術轍の視 点の獲得がなされている点も重要である.
著者["(アジトの机にある DVDをみつけて)この DVD,新しいや っじゃないですか.貸してもらっていいですか.J
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裕 太 に ー に 「見たいの?どうしょうかな.J
雅史「売ったらいいんじゃないです, 2,000円とかで.J 著者「し、いっすよ,買いますよ.J
裕太にーに「ううん,いいよ,そんなするな.誰にも見せんなら,
持ってっていいよ. (DVD を さ し て 〕 ウ ィ リ ー し な が ら 地 面 に 手 を 突 い て る よ . で ー じ ( と っ て も ) す ご い よ .J (裕太にーにと雅 史 と の 会 話 2010年 8月 12日,アジト)
こ こ か ら わ か る こ と は , 以 下 の 2点である. 1つ , 雅 史 に と っ て 著 者 は 部 外 者 で , 裕 太 に ー に に と っ て は 境 界 者 も し く は 内 部 者 と み な さ れ て い る こ と . か つ て , 著 者 は 裕 太 に ー に か ら ス テ ッ カ ー を し000円 で買った経験がある (2007年 6月 30日).ここからはお金を徴収しな い メ ン バ ー に な る , つ ま り 金 銭 的 共 有 が な さ れ る こ と が (地 元〉のメ ンバーと認められる一つの契機であることがわかる.2つ,雅史にと って , 裕 太 に ー に の 財 布 は 「 俺 た ち の 財 布 」 と の 感 覚 を 確 認 で き る . こ こ か ら は 裕 太 に ー に が ( 地 元 〉 を 精 神 的 支 住 と し て は も ち ろ ん 金 銭 的 に も 支 え る 重 要 人 物 で あ る こ と を 確 認 で き る.
これらの僻搬の視点の獲得は, <地元)における社会化によって獲 得 で き る も の で あ り , 最 終 的 に も ( 地 元 〉 を 基 軸 に し て 行 わ れ る も の で あ る こ と が 重 要 で あ る . 広 告 , メ デ ィ ア に よ っ て 流 布 さ れ た 最 新 の フ ァ ッ シ ョ ン に 魅 力 を 感 じ つ つ も , 沖 縄 の ヤ ン キ ー 独 自 の 白 い ス ニ ー カ ー や 暴 走 族 名 の プ リ ン ト さ れ た 特 別 仕 様 の ヘ ル メ ットとブーツが欠 か せ な い と す る 感 覚. 財布 や バ イ ク の 取 引 価 格 は 市 場 に お け る 適 正 価 格ではなく, <地 元) に お け る 評 判 に よ って大きく影響を受けること.
ま た 警 察 に よ る 暴 走 族 へ の ネ ガ テ ィ ブ キ ャ ンベーンや取締りも, <地 元 ) に 帰 れ ば 笑 い 飛 ば し て い る こ と . こ こ か ら は , 消 費 社 会 や 資 本 主 義,支配的社会に大きな影響を受けてはいるものの, <地元)にもとづ い た 僻 敵 の 視 点 に よ り , そ れ ら の 影 響 を 一 部 緩 和 し う る と い う 事 実 で あった.この 視 点 の 獲 得 に よ っ て , 社 会 化 の 真 っ 最 中 に あ る 不 安 定 さ だ け で な く , 外 部 社 会 の 影 響 に よ る 不 安 定 さ を 一 部 緩 和 す る こ と が 可
能となる.
4 . 2
小括(地元〉における対面的相互行為を通じて,それぞれのメンバーに 付与される 1回 性 の 「歴史」を蓄積し記憶するために,そして社会化 を経験してその後に安定して (地元〉で過ごすために,資源の存在は 大 き な 役割を果たしている.ここでトランプやダーツマシーンといっ た,もともとはどこにでもあった 資 源が,対面的相互行為を支える重 要な契機となり, それによってく地元〉に流れ着いた若者を受け入れ,
名前や役割を与え,
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歴史」を付与し,一人前の代替不可能な存在へと 導いている.5
現存する資源を有効に使うために, <地元〉が適切な規模と組織形 態にあること一一〈地元〉の形成過程 Eここまで, (地元〉のアジトに最低限の資源があることによって,
そこで新参者が常連のメ ンバ ーへと社会化されていく過程をみた.そ れらの資源は,もともとは廃棄物であったものやどこでも入手できる 流通品である.ただそれらが, (地元〉のアジトにあることによって,
有効な資源へ再利用されていた.仮にそれらは (地元〉になければ,
元々の廃棄物ゃありふれた流通品に逆戻りするものばかりである.よ って,ここでは,それらの現存する資源 が 有 効 に 使える規模に (地元〉
がある,という 2つ目の (地元〉の形成過程を検証していく.資源が あるだけでなく,それが有効に使われ対面的相互行為が営まれること が,メンバーの社会化にとって欠かせないためである.
(地元)の規模が小さ過ぎず,また大き過ぎず,適切な規模にある ことが, (地元)の資源を有効に活かすためには欠かせない.小さ過ぎ る場合は,毎晩にわたり暴走族が活動する沖縄では珍しいものの,警 察による一斉取締りなどによって,ある暴走族の人数が極端に少なく なる際に生じえる.この場合, 一人 あ た り の 資 源の割り当ては増大す
‑69 ‑
る が , そ れ を も と に し た メ ン バ ー と の 実 践 を 継 続 し , そ こ で 一 人 前 と なることは物理的に難しい.例えば, 2・3名では暴走もギャンブノレも 盛 り 上 が り に 欠 け , せっか く の 資 源 は 無 効 化 さ れ て し ま う . た だ , 少 数 の メ ン バ ー は 隣 町 の 暴 走 族 に 暫 定 的 に 加 わ る こ と で こ の 事 態 に 対 処 す る こ と も で き る . 他 方 で 大 き く な り 過 ぎ る 場 合 は , 一 人 当 た り の 資 源 は 少 な く な り , そ れ を 有 効 に 使 用 し て メ ン バ ー の 代 替 不 可 能 性 を 形 成 す る こ と は 難 し い . ど こ の 誰 か わ か ら な い メ ン バ ー が ア ジ ト に 入 り 浸 る こ と は , 警 察 に よ る ア ジ ト の 捜 査 を 警 戒 す る 暴 走 族 に と っ て 適 切 な状態ではない.最終的には何らかのトラブソレがもとで, <地元)の暴 走 族 か ら 追 い 出 さ れ る 新 参 者 で は あ る が , 実 際 に は 十 分 な 社 会 化 の 働 きかけを受けることができなかったためにトラブ、ルが生じるとの解釈 が妥当である.
5. 1 不 安 定 な 〈 地 元 〉 一 一 爆 音 連 合 の 場 合
以 下 で は , そ の 社 会 化 が な さ れ る 条 件 を み る た め に,短 期 世 代 型 暴 走 族 で あ る 爆 音 連 合 の 社 会 化 に 注 目 す る . そ こ で は 上 で 扱 っ た 沖 縄 連 合 で は 到 底 起 こ り え な い , 先 輩 か ら 後 輩 へ の 文 化 の 継 承 が 困 難 な 場 面
を確認できる.
俺も(中学生の時は高校行かずに働けば)バイク乗れると,思っ た ば あ よ . け ど 学 校 の つ ま ら な さ な ん て , 仕 事 の き っ さ と 比 べ れ ば な ん と で も な る ば あ よ . 学 校 が つ ま ら ん か っ た ら 寝 と け ば い い やし.(太一 2007年 10月31日深夜,B市のローソン駐車場にて)
爆 音 連 合 の 太 一 (16歳)は,良哉(中 3・15歳)に向かい,このよ う に 自 ら の 経 験 を 語 っ た . 良 哉 は 卒 業 す る 年 の 秋 に , 学 校 教 育 か ら の 解 放 と 働 く こ と の 希 望 を 抱 い て い た . そ れ に 対 し て , 太 ー は 自 ら も 学 校 の つ ま ら な さ か ら 脱 却 を 求 め た し , バ イ ク を 自 由 に 乗 れ る 魅 力 を 感 じ た こ と を 良 哉 に 語 っ た . し か し 実 際 の 現 場 の き っ さ は , 学 校 の つ ま ら な さ を は る か に 超 え る も の で あ っ た.きっ さ の 対 価 と し て 得 た 賃 金
も,夢見たバイク免許の取得や購入には到底及ばない.自らの見当違 いを素直に後輩へ伝えようとした.しかし, 15歳の良哉にはまったく 伝わらなかった.彼は「俺にはできる J の一点張りだった 21)
5.2 小括
2つ の 暴 走 族 の事例からは,沖組という厳しい就労環境に近くその 経 験 知 が 先 輩 に よ っ て 蓄 積 され,口述ではなく実地でみさせられる沖 縄 連 合 と , 想 像 も できなかった現場の厳しさに飛び込み,その経験を 口述によって伝えようとする爆音連合の対照性がみてとれる.そして この対照性を,ここでは暴走族組織の年齢構成によって説明を試みる. 沖 縄 連 合 は,年齢の幅が大きいわりに各世代のメンバーは少ないのに 対し,爆音連合は年齢の幅が 3・4年 で 小 さ い わ り に 各 世 代 の メ ン バ ー は多い.どちらも合計のメンバーは 20・30名 程 度 で あ る こ と を 考 慮 す れば,その差異がそれぞれの暴走族の文化に多大な影響を与えている と推測できる.つまり,前者では新参者は歴代の先輩たちにその実体 験にもとづいた知恵や技術を身体に叩き込まれながら一人前になる.
ま た そ の 経 過 が 自 らの考えや身体の変化からだけではなく,年齢を重 ねるごとに「凄みJを増している諸先輩を日々の実践から直接にみて 学び取っている.他方で後者では,その「凄みJを感じることは極め て 難 し く , ま た 同 世代の友人から単なる経験談やエピソードとして語 られる.その結果,自ら成功と失敗を繰り返すなかで成長するしかな い . 最 終 的 に は , 安定して集うことのできる場所がある沖縄連合では 文 化 継 承 が あ る 程 度 成 立 す るのに対して,集合場所が警察や企業の影 響 を 受 け や す く 不 安定である爆音連合では,文化敬称の困難さにおけ
る対照性を確認できる.
6 考 察
今 ま で の 社 会 学 で は , 小 集団で展開される対面的相互行為の多様性 や , そ の 多 様 な 現 実 を 行 為 者 が 認 識 する際に用いる枠組の可変性が議
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論されてきた (E.Goffman 1959=1974, D. Diehl and D. Mcfarland 2010).
それに対し本稿では,沖縄の暴走族少年たちが文化を継承する対面的 相 互 行 為 が 展 開 さ れ る ( 地 元 〉 に 最 低 限 の 資 源 が あ る こ と と , そ れ が 適切な規模の集団で有効に用いられることが欠かせないことをみてき た.これらのあたりまえの事実を確認したのは,それらが (地 元 〉 で 必ずしもあたりまえではなくなってきているためである.それに従え ば, (地元)は小集団が解体する臨界状態にあるとの結論が妥当である.
ただこの悲観的かつありきたりな結論からこそ,現代社会の諸問題 を議論する前提を確定することもまた可能である.ここでは以下の 2 点を確認する. 1つ , 最 低 限 の 資 源 や そ れ を 用 い る 適 切 な 規 模 の 小 集 団 と い っ た ( 土 台 ) を 持 た な い 者 が , そ れ を 意 味 や 文 化 と い っ た 観 念 で補うのではなく,持たない者も(土台)を固めてから意味と文化を 形成しているという事実.2つ,ただその(土台〉をつくるための資 源や適切な規模の集団は,元々は廃棄物や流通品であり,また名前も 与 え ら れ て お ら ず , ほ と ん ど 何 も で き な か っ た 中 学 生 が ( 地 元 ) の 金 銭 的 循 環 に 組 み 込 ま れ る こ と に よ っ て 展 開 さ れ る 対 面 的 相 互 行 為 を 介 した社会化であるという事実.この 2つの事実を確認することで,あ りきたりな結論の意義は明確になる.これらの事実は(地元〉外部の 資本主義社会に対抗的でも迎合的でもない.(地元)に行き着いた流動 的な暴走族少年らに,外部の全体社会を意識する余裕はないし,彼ら は同ーの何かや,類似の何かによってつながっているのではなく,た だ(地元)に流れ着き,集い,そこに最低限の資源とそれを使用する 環境を備えたく土台)があることで,対面的相互行為が生み出されて いた.この(土台)によって,同一性や類似性にもとづく共有された 文 化 や 意 識 を 形 成 す る に は 至 ら な く と も , 隣 接 性 の 思 考 に よ っ て そ れ ぞれのメンバーは雑多なままに臨界状態で繋ぎ止められていた.
それを本稿では, (地 元) で 展 開 さ れ る 新 参 者 の 社 会化 に み た . そ れはバイク技術のスゴさ(熟練度合),けんかの強さ,服装や振る舞い がイケているのかといった基準を満たしたうえで,ある役割を担う存 在 と し て く 地 元 ) に 配 置 さ れ る こ と で は な か っ た . そ う で は な く , 著
者 が パ シ リ と し て 加 わ る な か で み え て き た の は , 名 前 さ え も 与 え ら れ て い な か っ た 新 参 者 の 中 学 生 が , 上 の よ う な 過 程 を 経 た 結 果 , 一 人 前 の 代 替 不 可 能 な 暴 走 族 少 年 に な っ て い く 社 会 化 の 過 程 で あ っ た . 結 果 的 に あ る 役 割 を 担 う こ と に な っ た と し て も , そ れ は 個 人 の 能 力によっ てではなく, <土台)に支えられた対面的相互行為を通じて新参者が社 会 化 さ れ た 結 果 , 身 に 付 い た 能 力 に も と づ く配置であった.
最 後 に , こ こ ま で み た く 土 台 ) は 対 面 的 相 互 行 為 に も と づ く メ ン バ ー の 社 会 化 を 支 え て い る の で あ っ て , そ れ は 変 革 を め ざ す 階 級 意 識 を 醸 成 す る 土 台 で は な い . そ の よ う な 土 台 か ら さ え も 排 除 さ れ た 若 者 の 生 き 様 が あ る の み で あ る . こ こ か ら は , そ れ を も 解 体 す る 諸 相 へ の 批 判 的 考 察 が 求 め ら れ る . 本 稿 は そ の 始 点 に 立 っ た に 過 ぎ ず , 彼 ら の 生
き 様 か ら , 学 ぶ べ き 点 はなお山積している.
[注]
1) 本土と沖縄には,歴史的/文化的に異なる背景があり,いまだに両 者の聞には非対称な関係がある.それにもとづけば,沖縄を日本の一 部とみなす本土という概念ではなく,独立した概念として扱い両者の 非対称な関係性を考察する必要がある.ただ本稿では小集団研究の文 化継承に焦点をあてており,誤解を避けるために本土という表記を限 定して用いることとする.
2) 沖縄には離島や僻地を除くすべての公立中学校に代々と受け継が れる暴走族が存在する.
3) 季節労働とは,北海道や東北地方の農家が仕事のない冬季に都会へ 出稼ぎに出ることである.ただ今日の沖縄のヤンキーは,慢性的な失 業状態ゆえに,季節によらず年聞を通して本土で働いている.彼・彼 女らは,その就労形態を 「キセツ」と呼ぶ.
4) (地元〉は調査中に出会った暴走族少年らの用語法にもとづいてい る.
5) 暴走族少年の暴走をみせる対象は,ギャラリーの少女たちであった り,特定の所轄の警察や,地元の先輩であったりと多様である.それ
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に よ っ て , 目 的 も 彼 女 を み つ け る こ と , 欝 憤 を は ら す こ と , 地 元 で 名 前 を あ げ る こ と と 多 様 で あ る . ま た ギ ャ ラ リ ー も , 時 間 つ ぶ し , ナ ン パ , 恒 例 の イ ベ ン ト だ か ら な ど と い っ た 多 様 な動機で集まる.ただ,
こ の よ う な 動 機 も 背 景 も 異 な る お
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い 顔 見 知 り の 暴 走 族 と ギ ャ ラ リ ー で は あ る が, 時 に 団 結して暴動へと発展することもある.暴 走 族 の 身 柄 を 確 保 し よ う と 署 員 が パ ト カ ー を 降 り た 際 , 周 辺 に い た 期 待 族 約 100人 が パ ト カ ー を 囲 み , 罵 声 を 浴 び せ , 立 ち ふ さ が り 捜 査 を 妨 害 し た . 署 員 ら は 身 に 危 険 を 感 じ , や む な く 現場から離れたという.
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琉球新報j]2002. 3. 25)6) た だ 調 査 当 時 に , 裕 太 に ー に の 1歳 下 の 27歳 で , し か も 広 島 出 身 の 大 学 生 で あ っ た 著 者 が い わ ゆ る 沖 縄 の ( 地 元 〉 の 中 学 生 と 同 様 の 扱 い で パ シ リ に な れ た わ け で は な い . 最 初 は 「 奇 妙 な 部 外 者 」 と の ラ ベ ル を 貼 ら れ , そ れ を 緩 和 す べ く , す べ て の 成 員 と の ラ ポ ー ル 形 成 の た めに,積極的に雑務をこなすなかで,通常とは異なるパシリになるこ
とができた.
7) こ の 他 に 調 査 を 進 め る に あ た っ て 留 意 し た 点 は , 組 織 内 の ヒ エ ラ ル キーで下部に位置づけられる成員から関係をつくることであった.そ れ は 下 部 の 成 員 に よ っ て 上 中 部 の 成 員 に 紹 介 さ れ , そ れ ら の 成 員 と 関 係 を つ く る こ と は で き て も , そ の 逆 は 極 め て 困 難 で あ る た め で あ る . またラポール形成において,パシリとしてのしくじりが有効であるこ
とを理解した後でも,意図的にしくじったことは一度もないことは明 記しておく.
8) 沖縄の暴走族は, 15年 ほ ど 前 ま で は 縄 張 り 意 識 も 強 く , よ そ の 暴 走 族 に 加 わ っ た り , 合 同 で 暴 走 し た り は も ち ろ ん , 隣 町 に 行 く の も 難 し かったとされる.ここから,これらの類型の移り変わりを確認できる.
お れ ら が 10代の頃は,縄張り意識強くてからに,今みたいに(暴 走族同士が)仲良く走つてなかったよ.隣町とかも行けんかった.
沖 縄 市 に 制 服 取りに行くのもこわかった(裕太にーに 2011年 8 月 11日,アジト).
9) 男 性 中 心 的 , 上 下 関 係 重 視 , 地 元 重 視 と い っ た 価 値 規 範 と , 独 特 の
フ ァ ッ シ ョ ン や 用 語 が 特 徴的な日本の若者文化のひとつ.
10) こ こ で ( 地 元 〉 か ら あ ふ れ る といっても沖縄の場合は必ずしも,本 土 で 行 わ れ る 暴 走 族 脱退時の制裁的リンチのない,単なる他の暴走族 の 〈地元〉へ の 移 動 と い っ た 形 が と ら れ る こ と が 多 い . そ の 要 因 は集 団 の 外 部 と 内 部 に お け る事情から説明できる.まず,沖縄では学校教 育 や 就 労 世 界 ( 地元建築業除く)などの外部社会への包摂的働きかけ が ほ ぼ な い た め,また残ったメンバーは脱退したメンバーに待ち構え ている社会の厳しさを知っているため,
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裏 切 ら れ たJとの感覚は生 じず,むしろ心配されるほどである.11) (地元)における対面的相互行為は,メンバー聞のお金のやりとり とその文化的世界からのアプローチが有効である.なぜなら,資源が あ る か ら と い っ て 必 ず し も (地元〉が順調にまわるわけではないが,
最 低 限 の 資 源 が な い と(地元)をまわすことは不可能であるためであ る . た だ その資源もあらかじめ定まった目的と役割を持ったものでは なく,廃棄物や流通品であったものばかりである.分析にあたっては,
K. Marxと F.Engelsの 議 論を 参 照 し た (K.Marx and F. Engels 1846=2002) .
12)
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にーにJと は う ち な ー ぐ ち で 兄 さ ん の 意 味 . ア ジ トで名前に敬称 を付けて呼ばれるのは彼だけであり,敬称が呼称の一部となっている ためここでもそのように表記する.13) より詳細に記すと,彼は土曜の深夜に後輩の暴走を手伝った後でも,
日曜の朝から開催される娘のピアノ発表会に参加する.また後輩の手 伝 い の み で 彼 は 暴 走 し て い な い こ と を 彼 女 が 確 認 す る た め に 彼 の 携 帯 電 話 に はG問機能が付与されている.これらの条件をのむことで,
彼 は あ る 程 度 の 小 遣 い と 遊 べ る 時 間 を 配 偶 者 か ら 与 え て も ら っ て お り,それが(地元〉の資源を調達する基礎となっている.なおピアノ 発 表 会 へ の 参 加 や GPS機 能 の 付 与 は , 男 性 中 心的であるヤンキー・
サ ブ カ ル チ ャ ー の 世 界 で は , 異 例の出来事である.
14) 以 前 , シ ャ ッ タ ー 前 で 喫 煙 し て い た新参者は,裕太にーにに蹴りを 入 れ ら れ ア ジ ト へ の 出 入 り を 禁 止 さ れ た (2009年 6月 9日深夜,ア
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ジト).
15) i (差し入れをする著者に)悪いけど,ギャンブノレ(でもらうお金) は,これとは別だからね. (わかってますよ)J (裕太にーに 2010年 8月21日,
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市の建築現場).ここからわかるように,ギャンブノレで動くお金と,倉庫代やその他 の 経 費 は ま っ た く 別 物 と 考 え ら れ て い る か ら こ そ , 結 果 と し て こ の 均 衡 は 無 意 識 の う ち に 保 た れ て い る . 敗 者 が 勝 者 に 軽 食 代 を 要 求 し た り
(勝者が振舞うのは問題ない), 先 輩 が ギ ャ ン ブ ル で 意 図 的 に 後 輩 か ら倉庫代を徴収したりするなら,ギャンブルの興奮とその後の敗北感,
達 成 感 は 一 気 に 消 滅 す る だ ろ う .
16) 沖縄の暴走族には,
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とは異なり年齢階梯を覆すよ うなギャンブ ルがある.その要因として,s c s
で 描 か れ る 定 常 的 な 都 市 下 層 と 比 較 して,沖縄の暴走族は流動的で、不安定であるため,覇権争いをするだ け の 余 力 が な い こ と が 挙 げ ら れ る. s c s
で は 能 力 や チ ー ム 内 で の 覇 権 争 い に よ っ て , ト ッ プ を 争 う の に 対 し て , 沖 縄 で は 時 聞 と 労 力 を か け て ト ッ プ を 含 め た メ ン バ ー の 社 会 化 で 精 一 杯 で あ る .17) 森 永 の コ ー ヒ ー 牛 乳 を お い し く 感 じ る と み せ る こ と が , 沖 縄 連 合 の 通 過 儀 礼 の ひ と つ で あ る . 炭 酸 飲 料 を 飲 ん で い た 新 参 者 が 数 年 後 に は コ ー ヒ ー 牛 乳 を 積 極 的 に 注 文 す る よ う に な る . こ れ は , 小 集 団 内 の 価 値 が 味 覚 と い う 身 体 の レ ベ ル を 介 し て 共 有 さ れ る 過 程 で あ り , 集 団 内 の 規 範 , メ ン バ ー の 一 体 感 を 共 有 す る も の と な っ て い る .
( ト ラ ン プ 中 に , 後 輩 か ら 電 話 が か か っ て き て ) お う , 飲 物 頼 むわ. ( ア ジ ト に い る メ ン バ ー に む か つ て ) 飲 物 い る 人 ?1, 2, 3,・・・8人な . 打 越 は ? (炭酸系たのんでいいっすか?)だめ.
こ こ ( ア ジ ト ) で は 森 永 の コ ー ヒ ー 牛 乳 以 外 な い よ . (わかりま した. じゃあそれお願いします.
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(後輩が到着して,みんなで 飲みながら)だー, う ま い で し ょ ? (はい,おいしいです)(裕 太 に ー に 2009年6月 10日深夜,アジト)18) 著 者 も 調 査 中 に , こ の 通 過 儀 礼 を 受 け た . あ る 娩 , 私 は 暴 走 す る 拓 也に遭遇し,パシリとして暴走を盛り上げる役割を真撃に遂行しよう
と考え,交差点で「たくやー!Jと声援を送った (2007年6月30日 深夜, C市の国道交差点).その出来事は後日,彼がr(名前を叫ぶ声 援は)あふぁーだった(大変でびっくりした)Jとみんなが集まるア ジトで笑い話として語った.彼は,その晩に顔を隠すマスクこそして いなかったものの,パトカーやそれに装着したカメラの位置を把握す ることで顔を隠して逃亡していたと後日語った.そうすることで,警 察対策とギャラリ ーへのアピールが同時に可能となる.しかしその意 図を,私はその場で理解できず,彼が顔を隠していないなら,私が拓 也 で あ る 事 を き ち ん と わ か つ て 見 物 し て い る こ と を彼に伝えたかっ たし,またそれを他のギャラリーにも知らせようと考えていた.そし てこのエピソードは,その後も頻繁に(特に初めて会う先輩に私を紹 介してくれる時などに)語られるもののひとつとなっていった.
19)
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危ない」人間関係とは,具体的には暴力団との関係をさす.裕太 にーにや暴走族少年の多くは,暴力団との接触を避けており,著者も 頻繁に注意された.それにもとづき,ここでは「危なしリとの表現を 用いた.20)
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良夫は,あしばー(暴力団)の知り合いたくさんいるよ.[良夫,あぶなつかしいですね.大丈夫ですか?)あいつは大丈夫,できんよ.
〔そうなんですか,どういうやつが,あしばーにな る ん で す か ?)あ し ば ー は 本 当 の ワ ル か , ほ ん と の 馬 鹿 に し か で き んJ(裕太にーに 2010年 8月21日昼休み, C市の建築現場にて)
21) 2007年 当 時 , そ の よ う に語った彼は,卒業後から現在まで鳶とし て働き続けている.その点で,彼個人の例でいえば成功例といえるか もしれない.ただあくまでもここでは,爆音連合の組織の形態により,
彼が経済的な自立をしたのではなく,個人として行われたものである.
よって,生活や雇用を一部保障する沖縄連合と比較して,爆音連合は 不安定である.
[文献]
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(=
ヴt
巧t
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r
仕事 な い し , 沖 縄嫌い,人も嫌い一一ー沖縄のヤンキー の共同性とネオリベラリズムJW 理論と動態~ 1: 21・38.一一一一, 2009,
r
植民地沖縄におけるネオリベラリズムと反抗一一ヤンキ 一・サブカルチャーズ研究序説JW 部溶解放~ 15: 73・90.一一一一, 2010,
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(地元〉の不変性とダイナミズム一一 (地元)周 縁 に 生 きる沖縄の下層若者からJW 理論と動態~ 3: 19・37.一一一一, 2011,
r
型枠解体屋の民族誌一一建築現場における機械的連帯の 意 義JW
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イースト・ヨーク住民の親密なネットワーク」勤草書房, 159・200.) Whyte, William Foote, 1943, Street Corner Society: the Social Structure 01 an Italian Slum, Chicago: The University of Chicago Press. (= 2000,奥田道 大 ・有里典三訳『ストリート・コーナー・ ソサエティ』有斐閣.)
(うちとし まさゆき・社会理論・動態研究所)
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S u c c e s s i o n P r o c e s s e s of Okinawan Bosozoku Cultures and Jimoto
Through P a r t i c i p a n t O b s e r v a t i o n Attended a s Errand Boy
UCHIKOSHI Masayuki
1 n s t i t u t e on S o c i a l Theory and Dynamics k a r p @ m a i l . g o o . n e . j p
1 n s o c i o l o g i c a l s m a l l g r o u p s s t u d i e s , d i v e r s i t y of f a c e ‑ t o
・f a c ei n t e r a c t i o n and v a r i a b i l i t y of frame which a c t o r s u s e i n r e c o g n i z i n g t h e d i v e r s e r e a l i t i e s have been d i s c u s s e d . On t h e o t h e r hand , i n t h i s t h e s i s we f o c u s on t h e p o i n t t h a t f a c e ‑ t o
・f a c e i n t e r a c t i o n s a r e s u p p o r t e d by r e s o u r c e s i n t h e group and i t s s c a l e . T h e r e f o r e we r e v e a l t h a t d i v e r s i t y of f a c e ‑ t o ‑ f a c e i n t e r a c t i o n s and v a r i a b i l i t y of f r a m e a r e d e t e r m i n e d by b a s e , r e s o u r c e s i n t h e group and i t s s c a l e .
Now Okinawan B o s o z o k u y o u t h s do n o t n e c e s s a r i l y have s t a b l e f o u n d a t i o n s i n f a m i l y , s c h o o l and r e g i o n . 1 n a d d i t i o n , t h e y a r e t r e a t e d a s f r e q u e n t l a b o r f o r c e s i n l a b o r m a r k e t . B o s o z o k u i s a m o t o r c y c l e gang group i n J a p a n . Based on s u c c e s s i o n p r o c e s s e s of c u l t u r e s i n J i m o t o , we i n s p e c t t h e p r o c e s s t h a t J i m o t o t h e y f i n i s h becomes b a s e f u r n i s h i n g r e s o u r c e and s c a l e s u p p o r t i n g f a c e ‑ t o ‑ f a c e i n t e r a c t i o n . J i m o t o i s a p l a c e t h e y s u r v i v e w i t h r e g u l a r members a t f i x e d p e r i o d s .
F i r s t we aim a t b a r e r e s o u r c e s i n
点moto f o r t h e y g a t h e r
t h e r e , and p r a c t i c e some a c t i v i t i e s . For them f i n i s h i n g i n J i m o t o ,
b e f o r e s h a r i n g c u l t u r e s and n a r r a t i v e s , r e s o u r c e s a r e n e c e s s a r y f o r
c o n t i n u o u s l y g a t h e r i n g t h e r e . Next f o r u s i n g them u s e f u l l y , we aim
a t a p p r o p r i a t e s c a l e of J i m o t o . Those r e s o u r c e s were o r i g i n a l l y
o f f ‑ s c o u r i n g s i n c a p i t a l i s t s o c i e t y o r u b i q u i t o u s goods i n
c i r c u l a t i o n , b u t i n Jimoto a r e u s e f u 1 . C o n s e q u e n t l y i f t h e s c a l e i s n o t a p p r o p r i a t e , t h o s e r e s o u r c e s become i n v a l i d a g a i n . U l t i m a t e l y we c o n f i r m e d t h a t t h e i r f a c e ‑ t o ‑ f a c e i n t e r a c t i o n s a r e s u p p o r t e d by b a s e f u m i s h i n g m a t e r i a l r e s o u r c e s i n Jimoto and i t s s c a l e .
Key w o r d s : Bosozoku
,J i m o t o
,Okinawa
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