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産業クラスターによる都市経済発展モデルの考察

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1 研究の背景

日本経済の停滞期が続く中,国全体の経済発 展をどうするのか? を検討する場合,国全体 を検討対象として取り扱う事は基本であるが,

その国を構成するそれぞれの地域単位での経済 発展を検討する事も極めて重要である。また現 代は経済全体の急速なグローバル化が進み経済 活動がボーダーレス化しつつあり,国と国の競 争から都市と都市の競争を時代に入ってきてい るとも言える。国は地域の集合体であり,地域 の経済は活動範囲が適正であれば戦略の具体化 も判りやすく,目が行き届くという点では地域 経済はマネジメントが可能なユニットとして位 置づけられるであろう。更に地域の経済的な優

位性の維持や競争力の確保のためには,独自の イノベーションの創出が重要であるが,それを 促進する産業集積機能として「クラスター」が 注目されている。

マイケル・ポーター(1998)は,クラスター の定義について「クラスターとは,ある特定 の分野に属し,相互に関連した,企業と機関 からなる地理的に近接した集団である。これ らの企業と機関は,共通性や補完性によって 結ばれている。(A cluster is a geographically  proximate group of interconnected companies  and associated institutions in a particular field,  linked by commonalities and complementari- ties.)」1)として「クラスターの地理的な広が りは,一都市のみの小さなものから,国全

産業クラスターによる都市経済発展モデルの考察

―フランス:リヨン産業クラスターの事例から―

Research of urban economic development model by industry clusters

—Focusing on case of Lyon industry cluster in France—

杉山 章

SUGIYAMA, Akira

経済全体のグローバル化とボーダーレス化が進んでおり,国と国の競争から都市と都市の競争 の時代となった。都市を中心とした地域経済はマネジメントが可能なユニットとして位置づけら れ,地域の持続的な発展には経済的な優位性の維持には独自のイノベーションの創出が重要と なる。それらを促進する産業集積機能として「クラスター」が注目されている。マイケル・ポー ターは産業の国際競争力の比較研究から,立地の競争優位の源泉を競争環境,需要条件,要素条 件,関連産業の 4 つの要素が必要であり,その相互的な作用が産業を発展させるというクラス ターモデルを提示した。しかしながら,このモデルを取り入れた数多くの産業クラスターの取り 組みは必ずしも成功しているとは限らない。

本研究では,相互的な都市経済発展としての産業クラスターの形成について日本における取り 組み状況をふまえた上で,他の先進国事例として欧州フランスで顕著な成果が上がっているリヨ ン産業クラスターを取り上げ,そのクラスターの形成要因や運営方法の特徴を整理する。その上 でマイケル・ポーターの立地の競争優位の源泉としての 4 つの要素に加えて何らかの ドライビ ング・フォース がよりクラスターの機能を高めるという発展的な研究として将来に向けたイン プリケーションが得られないか考察を試みる。

キーワード: 産業クラスター,マイケル・ポーター,競争優位

(2)

体,あるいは隣接数か国のネットワークにま で及ぶ場合がある。(The geographic scope of  a cluster can range from a single city or state  to a country or even a network of neighboring  countries.)」2)と述べている。更にマイケル・

ポーターによれば産業の国際競争力の比較研究 から,立地の競争優位の源泉には以下の 4 つの 要素が必要であり,それらが相互的な作用を 生み出し産業が発展している事を明らかにし た3)

・企業戦略および競争環境

・需要条件

・要素(投入資源)条件

・関連産業・支援産業

これまで日本の経済産業省は国の牽引役とし て産業クラスター政策について以下のような政 策提示を 2001 年から行っており4),以下のよ うな計画を策定してきた。具体的には「産業 クラスター政策は地域の中堅中小企業・ベン チャー企業が大学,研究機関等のシーズを活用 して,産業クラスター(新事業が次々と生み出 されるような事業環境を整備することにより,

競争優位を持つ産業が核となって広域的な産業

集積が進む状態)を形成し,国の競争力向上を 図るものです。産業クラスター計画に基づき,

2001 年度から地域の経済産業局と民間の推進 組織が一体となって,18 のプロジェクト(2009 年度当時)を推進してきましたが,自律的発展 期への移行(実質的には 2010 年度より)に伴 い,現在,これらは民間・自治体等が中心と なった地域主導型のクラスターとして活動を進 めています。また,各地の自主的な取組の中で も,我が国の国際競争力確保のため,特に伸ば していくべきとする分野については,資源の集 中投下や連携の促進などにより重点的な支援を 行っていくこととしています。」とある。具体 的な計画の内容を以下に記す。

「第 1 期(2001 〜 5 年)産業クラスターの立ち 上げ期

クラスターの実態と政策ニーズを踏まえて,

国が中心となって進める産業クラスター計画プ ロジェクトとして 20 程度を立ち上げ,自治体 が独自に展開するクラスターと連携しつつ,産 業クラスターの基礎となる「顔の見えるネット ワーク」を形成する。

図 1 立地の競争優位の源泉

出所:Porter(1998)p.325, 竹内訳(1999- Ⅱ)p.83 をもとに筆者作成。

企業戦略・

競争環境

投入資源・

条件/要素 需要条件

関連産業・

支援産業

・天然資源

・人的資源

・資本・物理的インフラ

・行政インフラ

・情報インフラ

・科学技術インフラ

・高度で要求の厳しい地元顧客

・ニーズの先取り

・グローバルに展開しうる 専門性(セグメント)

・優秀な地元供給業者

・競争力のある関連産業

<競業・協業>

ダイヤモンドフレーム:立地の競争優位の源泉

・投資/持続的な拡大を求める状況

・競合企業間の競争

(3)

第 2 期(2006 〜 10 年)産業クラスターの成長期 引き続きネットワークの形成を進めるととも に,具体的な事業を展開していく。また,同時 に企業の経営革新,ベンチャーの創出を推進す る。なお,必要に応じて,プロジェクトの見直 し,新たなプロジェクトの立ち上げを柔軟に行 う。

第 3 期(2011 〜 20 年)産業クラスターの自律 的発展期

ネットワークの形成,具体的な事業展開を更 に推進していくとともに,産業クラスター活動 の財政面での自立化を図っていき,産業クラス ターの自律的な発展を目指す。

地域経済の発展あるいは衰退していた地域の 再生を考える時,企業間や大学・研究機関など との組み合わせによる 産業クラスター はイ ノベーションの創出(新たな産業創出,需要創 出)として目指すべきモデルの一つとして重要 である。 企業城下町 のような旧日本モデル として従来から存在する「垂直型産業組織」は 充分に機能していた時代があったが,単一的な 企業グループな寄せ集めにはおのずと限界があ り,シリコンバレーを代表例とする国際的にも 競争優位な次世代型の「産業クラスター」(世

界モデル)を創出していく事は,環境変化に対 応していける経済発展モデルとして優れている と言われてきた5)

しかしながら,2011 年の中間期振り返りの 中で経済産業省は自ら「産業クラスター計画で は新事業・新産業の創出を目的として掲げてい るが,これまでネットワーク整備等のソフト支 援に偏重しており,大規模研究開発プロジェク ト等のハード支援との計画的な連動性が希薄 だったことから十分な政策的インパクトを導き 出せておらず,また,産業クラスターのアン カー的企業となるべき大企業の巻き込みが不十 分であったことから,クラスターのブランド化 や新製品・新事業の市場への誘導等の機能を 欠く等の課題も存在している。」6)とした。これ まで相当に準備し関係組織と充分に連携した上 で進めてきたので,一定の成果が上がったもの の,産業クラスター計画が究極的目標として掲 げていた,(1)イノベーションの連鎖反応,(2)

産業の最適化と環境変化耐性の強化,(3)ブラ ンド化による国際的集積の加速化・高質化 そ れぞれに対する達成度は低いと言わざるを得な い。

マイケル・ポーターが提示したダイヤモンド フレームには確かに成功している産業クラス

図 2 産業集積モデルと産業クラスターモデルの比較

出所:経済産業省 近畿経済産業局 WEB より。

大企業

シーズ結合

21世紀の先進国として︶

《垂直型産業組織》

大企業

行政

【旧日本モデル】 【世界モデル】

《産業クラスター》

支援機関 企画開発,

コーディネート,

販売

企画開発,

コーディネート,

シーズ結合,

生産,販売

大学

(地域)

(地域)生産 企業 企業

(4)

ターに共通している要素がある。また日本にお いての地域経済の再生,活性化の取り組みは,

この 4 つの要素を取り揃える事をゴールに活動 が進められてきた。しかしこの 4 つが揃えば,

産業クラスターが成立しクラスター経済が発展 するか,と言えば多くの失敗例がある。それは 何故か? マイケル・ポーターのフレームワー クはどこまで機能するのだろうか? さまざま なケース事例から導き出せるのは,ポーターの モデルは,あくまでビジネス要件に過ぎない,

と考えるべきではないだろうか。これらの要件 は必要であるが,同じ地域,場所に位置づけた だけでは単体としては機能するかもしれない が,全体としてビジネス連携を始めるわけでは ないのである。マイケル・ポーターはシリコン バレーやカリフォルニア州のワインクラスター など既にダイナミックなビジネス連携ができて いる状態を切り取ってモデル化した。この時,

各組織や機能をつなぐ活動系としての ドライ ビング・フォース :動かしてゆく力の力強い 存在をモデル化に明示しえなかった。つまり,

その後のポーター・モデルを下敷きにして進め てきたいろいろな地域の取り組みはその ドラ イビング・フォース が生まれたかどうかでク ラスターとしての成否を分かれてしまったので は,という推論が成り立つ。

2  先行研究レビューとしてのクラスター 事例

フィンランド:オウル産業クラスターについて 欧州の産業クラスターではフィンランド・オ ウルの IC クラスターの例が著名である。マイ ケル・ポーターが事例研究対象としたシリコン バレーやカリフォルニアのワイン産業クラス ターの要素を早くから取り入れ,欧州の中でも 最も早くから産業クラスター政策が始まった フィンランドでは,COE:Centre of Expertise  Programme と呼ばれる政策中心に進められた 戦略構造を持っている。

笹野(2014)は,フィンランド・オウル IC

クラスター研究からその成功要因を以下のよう に分析,評価している。すなわち,古くから用 いられてきた概念である産業集積と産業クラス ターの概念比較で検討すると,産業クラスター の産業集積との主な違いは,産業クラスターの 定義には,①主要なアクターとして「関連機関

(大学,規格団体,業界団体など 4))」が入っ ている点と,②アクター間の行為に「関連機関 と企業の協力」が入っている点である。つまり

「関連機関と企業の協力」が産業クラスターの 本質的な特徴であり,ここで,関連機関(例え ば大学)と企業の協力を考えると,両者の存在 目的や行動原理は大きく違うため,両者が同じ 地域にあるからといって自動的に協力が進む訳 ではなく,両者間の協力がスムースに進み,そ れが継続されるためには,それぞれが相手と協 力するインセンティブが必要であり,協力が継 続・拡大していくためには,両者の間にある程 度共通する目的が存在する事が必要である。共 通の目的とは地域として社会的・経済的に生き 残りと発展を目指すという事であり,そのよう な目的意識を地域の中で相対的に多く持ち,そ のために行動する個人や組織のグループを「活 動体」と呼べる,そうした活動体が地域に存在 し,さまざまなセクターに所属するアクターに そうした共通の目的を持つように働きかけ,そ れを広めながら,常に次の一手を模索しつつ活 動し続けるからこそ「関連機関と企業の協力」

が進むのであり,中心となる人や組織の活動体 があるからこそクラスターなのである,と指摘 している7)

笹野(2014)は,また別著でオウルの事例考 察し産業クラスターの特徴を「産業集積の定義 との大きな違いは,大学,規格団体等の関連機 関を明示的に入れていることと,競争と協力と いうアクター間の行為を定義に入れているこ と」8)としており,そのアクター間の行為を活 動体という存在に置き換えてクラスターの成功 要因として挙げている。

笹野(2014)の指摘はオウル地域のクラス

(5)

ターの特徴をとらえておりマイケル・ポーター のダイヤモンド・フレームの構成要素と合致し た内容であると言える。但し,地域内産業や企 業と地域外や外国企業の参加や直接投資を促す にはどのようなメカニズムが働いているのかな どには言及できていない。

また北嶋(2009)は,オウルを含めたフィン ランドの地域産業クラスター産業政策につい て,「1990 年代におけるフィンランドの地域産 業政策の最大の特徴は,1994 年に地域産業振 興に COE(Centre of Expertise)プログラム を導入した点にある。同プログラムの特徴は全 国各地を一律的に捉えるのではなく,地域の特 質及び潜在力を十分に考慮した地域ごとの産業 振興を志向している点にある。換言すると地域 のアイデンティティを重視した施策の立案と実 践と言うことができる」。また「有能なクラス ターと COE の関係を地域別ではなく,国家レ ベルの視点から科学技術分野別に括り直し,新 たなネットワークを構築することを目指してい る。」と述べている9)。フィンランドは狭い国 土であり,国家レベルで科学技術のイノベー ションを推進する事を目的に,国家戦略として 地域産業振興に COE プログラムを導入した事 は注目される。しかし,その成功の大きな要因 の一つは,北嶋が指摘するように「520 万人規 模の国家であるため「小回り」「即効性」「独自

性」「柔軟性」のある国家戦略を打ち出すこと が可能になっている」事にある。北嶋は,戦略 的研究内容を国家主導により広域的な視点から 結び付けるフィンランドの政策を踏まえ,「適 度な広域性の中の多様な知(knowledge)を見 つけ出し,それらを結びつけることがこれから の地域産業政策には必要である」としている。

この指摘もマイケル・ポーターのダイヤモン ド・フレームの構成要素と合致した内容である と言える。しかしながらクラスターとして産業 集積を構成する関係主体の「近接性」は,クラ スター形成の重要な要件ではあるが広域な連携 の視点から,地域内産業や企業と地域外や外国 企業の参加や直接投資を促すにはどのようなメ カニズムが働いているのかなどには,やはり言 及できていないと言わざるを得ない。

3 リヨン産業クラスターについて 本稿では他の先進諸国,とりわけ欧州フラン スで顕著な成果が上がっている事例に着目し,

どのような産業クラスターのビジネスデザイン や運営が成果を出しているかについて,調査研 究として本稿を位置づける。

フランスに先例を求めた理由は,国の競争力 比較の相対比較に着目した。スイスの国際経営 開発研究所(IMD)が,毎年「世界競争力年鑑」

(World Competitiveness Yearbook)を発表す るが,近年,日本とフランスのスコアが近接し 図 3 産業集積モデルと産業クラスターの概念図

出所:笹野(2014)p.20 より。

相互に関連の深い多くの企業が地理的に集積

(→ 「集積の経済」により部材調達や採用面などでメリット)

(上記に加え)企業と関連機関が協力

(→ イノベーションの誘発,

新規事業展開の促進など)

産業集積

産業クラスター

(6)

ており,内訳を考察しても大差のある項目が少 ない。この競争力の評価は,経済状況,政府の 効率性,ビジネスの効率性,インフラの状況を 主要項目としており総合評価されているもので ある。

すなわちアジアと欧州で民族や歴史的,地理 的な背景は異なるものの,日本とフランスそれ ぞれの経済活動を支える社会基盤やメンタリ ティ面で類似性が多くあり,同じ先進国同士で 国際競争力レベル国の事例から考察を進めるこ とで得られるインプリケーションには適応の可 能性の高い内容が含まれる事を期待して研究の 前提としている。

都市地理学の立場から高橋(2003)は都市の 経済発展について「経済のグローバル化が進展 し,加えて EU の統合が深まるにつれて,国家 という狭い枠組みで都市を位置づけることが 疑問視されるようになった。」10)と述べ,更に

「フランスの地方都市は,国境に制約されるこ となく活動領域を広げつつあり,ヨーロッパと いう空間にますます自らを位置づけようとして いる。フランスの地方中心都市のなかで,ヨー ロッパスケールでの役割を過去に演じたことが

あり,かつ将来にわたってその可能性を有する 都市をあげるならば,衆目の一致するところ,

それはリヨンであろう。」11)と述べている。こ の指摘からアジアと欧州で民族や歴史的,地理 的な背景は異なるものの,日本とフランスそれ ぞれの経済活動を支える社会基盤やメンタリ ティ面で類似性が多くあると考えられ,その中 でも,歴史ある都市の成功事例としてリヨンを 探究する事は,同じ先進国同士で国際競争力レ ベル国の事例から考察を進めることで得られる インプリケーションには適応の可能性の高い内 容が含まれる事を期待して本稿の研究対象とす る。

(1)クラスター形成の歴史

フランスは広い農耕地に恵まれた生産総量で 欧州トップの農業・畜産国であると同時に工業 発展にも力を入れている。フランス南東部にあ るリヨンはパリに続いてマルセイユと並ぶフラ ンス第二・三の都市である。ローヌ川・ソーヌ 川という大きな 2 つの川がリヨン南部で合流し ている。人口は 41 万 5,000 人。街にはユネス コ世界遺産の旧市街があり,大聖堂・大司教 館・大学などがある。都市の起源は古く紀元前 表 1 日本とフランスの国際競争力比較

IMD国別 国際競争力ランキング2014 

国際経営開発研究所(IMD; International Institute for Management Development)

2010 2011 2012 2013 2014

France 24 29 29 28 27

Japan 27 26 27 24 21

10 11 12 13 14 10 11 12 13 14 10 11 12 13 14 10 11 12 13 14 F 17 22 22 19 224244 47 44 50 35 47 45 42 37 14 1814 8 9 J 39 27 24 25 253750 48 45 42 23 27 33 21 19 13 1117 10 7

Economic 

Performance Government 

Efficiency Business 

Efficiency  Infrastructure

出所:IMD 世界競争力年鑑に基づき筆者作成。

(7)

1 世紀,ローマ時代にさかのぼることができる。

古くから印刷・繊維・機械などの工業が発達し ている。ソーヌ川の西側にはローマ時代からル ネッサンスの建物が今も息づく旧市街があり,

東側にはベルクール広場を中心とした繁華街,

ローヌ川の東側はビジネス街が広がっている。

フランスには,地方自治および公共団体とし ての地方,郡とは別に地勢的な経済圏を意識し た行政区の集合体として都市共同体(Commu- nauté urbaine)が存在している。呼び方がそ れぞれ異なるが 1966 年にまずは 4 つの大都市

(ボルドー,リール,リヨン,ストラスブール)

を拠点とし,更に 2008 年末に,ニースとトゥー ルーズを中心とする都市共同体がボルドーや トゥールーズなどと並びリヨンは行政上のいく つかの権限のほか,税収や国の補助金などの独 自の財源も持っている。フランスの特徴のひと つである複数の行政区の集合体があるが,ここ リヨンでは<リヨン都市共同体グラン・リヨ ン Le Grand Lyon>を形成し地域経済の発展

の基盤となっている。グラン・リヨンの首長は リヨン市長が兼務し,経済発展予算を行政区の 一般会計とは別に持ち中長期的な計画的な運営 を目指している。

そのグラン・リヨンは地域経済発展の仕組み として,リヨン産業クラスターを構想し実現さ せた。具体的にはクラスター運営母体【リヨ ン地方経済開発公社:ADERLY:アデレリー】

を 1974 年に創設したのがスタートである。そ れはフランス経済開発公社の草分け的な存在で あった。多くの企業や大学を呼び込み,案件に よっては企業を誘致した上で複数の産業クラス ターを統括しプロジェクト単位にマネジメント するのが地方経済開発公社の役割である。

アデレリーは公社としての明確なビジョンを 掲げている。それは 持続可能社会の実現 で ある。すなわち 持続可能社会の実現 を促進 させる産業クラスター形成を目指していると言 えるのである。リヨン産業クラスターはその地 域の地元企業にこだわらず,広く海外を含め参

図 4 グラン・リヨンの地域構成

出所:ADERLY アデレリー WEB サイトから筆者作成。

リヨン都市共同体グラン・リヨン Le Grand Lyon

<経済圏を意識した行政区の集合体:>

・経済発展予算を計画的に運営

・首長はリヨン市長が兼務

GRAND LYON

la métropole

(8)

加企業を求めている。また,それらの企業がク ラスターでビジネスを生み出す事で雇用創出に も成功している。2014 年アデレリー年次報告 書では,全体の新規参加企業のうちフランスの 会社の数では 35%に留まり,フランス以外の 欧州が 42%を超え,欧州以外からも約 23%の クラスター参加がある。更に参加後の雇用者数 では 7 割がフランス以外の会社に雇用されてい る事が判り,海外からの直接投資とそのフラン ス外企業による雇用実績が確認される。

更に 2007 年に発足した ONLYLYON は,欧 州の主要都市のデシジョンメーカーをターゲッ トにしており,同時に市民が自分たちの都市に 誇りを持ち,自らがリヨンの親善大使となるた めに,アイデンティティのよりどころとして考 案されたコンセプトである。これにより,海外 からの直接投資をより活発に促進される事を 狙っている。

(2)当クラスターの優位性

リヨン地方経済開発公社:ADERLY:アデ レリーは,日本語を含めた 5 か国語を用いて,

クラスター参加のための積極的な対外的なア ピールをしている。以下のそれらをサマリーし 列挙する事で当クラスターの特徴を示す。

「リヨンは海外からの投資先として最も魅力 的なヨーロッパの都市のひとつである。海外か

らの投資先として,この 10 年でリヨンは欧州 の主要都市と肩を並べるに至ったが,フランス ではパリと首位を競っている。リヨンは今日,

外国企業の投資がほぼ 3 分の 1 を占めている企 業向け不動産の地方市場でトップである。2014 年から過去 3 年間を振り返って見ると,投資額 平均は 8 億 7,000 万ユーロを越える。不動産総 保有数は,10 年間で 45%の増加を示した。そ の非占有率はヨーロッパで最も低いが,このこ とが新しい不動産プロジェクトを吸収する都市 能力を示している。主な成功要因として,受入 サイトの多様性,インフラ数と品質,また大々 的な都市計画プロジェクトの実施などが挙げら れる。その他の要因として付け加えるとすれ ば,市場の透明性,需給バランス,また官民デ シジョンメーカーの緊密な連携がある。リヨン の国際的発展は,その強固な産業基盤のほか,

サノフィ・パスツール(Sanofi Pasteur),ル ノー・トラック(Renault Trucks)といった著 名な国際企業の存在によって保証されている。

都市としての魅力は,今後数年間にさらに強化 されるであろう。リヨンは,MIPIM 2015(国 際不動産マーケット)において開発計画を発表 したが,その中の象徴的なプロジェクトとして の,パール・デュー地区開発がある。最新世代 の高層ビル(Sky 56,Silex 2,Two Lyon)が 新たにお目見えし,不動産市場の多様化を推進 表 2 リヨン産業クラスターの新規参加企業と新規雇用者数

リオン産業クラスター全体 会社数 雇用者数 ライフサイエンス 会社数 雇用者数 フランス国内企業 25 35.2% 558 30.0% フランス国内企業 3 27.3% 54 18.8%

フランス以外欧州企業 30 42.3% 1,053 56.6% フランス以外欧州企業 4 36.4% 200 69.7%

欧州外:海外企業 16 22.5% 248 13.3% 欧州外:海外企業 4 36.4% 33 11.5%

71 100% 1,859 100% 11 100% 287 100%

<クラスター別の内訳>

クリーンテクノロジー&製造業 会社数 雇用者数 金融を含むビジネスサービス 会社数 雇用者数 フランス国内企業 8 27.6% 272 34.7% フランス国内企業 14 45.2% 232 29.4%

フランス以外欧州企業 14 48.3% 393 50.1% フランス以外欧州企業 12 38.7% 460 58.4%

欧州外:海外企業 7 24.1% 119 15.2% 欧州外:海外企業 5 16.1% 96 12.2%

29 100% 784 100% 31 100% 788 100%

出所:アデレリー 2012 年次報告書から筆者作成。

(9)

する。同時に,コンフリュアンス地区の再開発 が 2025 年まで継続され,新たな敷地面積とし て 42 万平方メートルが追加される。ジェルラ ン地区もまた近代化され,50 万平方メートル のビジネスパーク,世界レベルの競争拠点リヨ ン・バイオポール(Lyonbiopôle)の存在を挙 げることができる。

ONLYLYON は,欧州の主要都市のデシジョ ンメーカーをターゲットにしており,同時に市 民が自分たちの都市に誇りを持ち,自らがリヨ ンの親善大使となるために,アイデンティティ のよりどころとして考案されたコンセプトであ る。これリヨンは有名な大都市(アムステルダ ム,ニューヨークなど)が用いた手法にインス ピレーションを得て,リヨンはフランスの都市 としては初めて,自己 PR を行う戦略的な組織 を持つ都市となった。またリヨンは,こうした PR 組織を幅広いパートナーと共同で管理する 世界で初めての都市ともなり,参加している団 体は,19 の組織・機関および国際的な有名企 業に上る。

<創設メンバー>

‑ ADERLY  ‑ リヨン空港   

‑ リヨン商工会議所 

‑ ローヌ県 CGPME(中小企業総連盟)  

‑ ローヌ県手工業・工芸会議所 

‑ リヨン国際会議場   ‑ ローヌ県  

‑ 見本市会場 Eurexpo 

‑ リヨン都市共同体  ‑ リヨン観光局  

‑ リヨン・ローヌ雇用者連合

‑ リヨン大学  ‑ リヨン市

<参加民間企業>

‑ EDF(フランス電力公社)  

‑ ERDF(フランス配電会社)   

‑ ルノー・トラック  サノフィ  

‑ ソネパー ‒ Le Mat’électrique  

‑ GFC 建設  ‑ KPMG  ‑ Emirates フランスで最も活力のある地方の一つであ

るローヌ=アルプ地方には,フランスの GDP の 10%が集中している。競争力向上のための クラスターは 5 つあり,(1,リヨンバイオポー ル Lyonbiopôle,2,ア ク セ レ ラ Axelera,3,

リヨン・トラック&バス Lyon Urban Trucks 

& Bus,4,テクテラ Techtera,5,イマジノヴ Imaginove)があるリヨン地域には,卓越した 数多くの多様な分野の能力が結集しており,欧 州の他の大都市と一線を画している。著名な国 際企業として,ビオメリユー bioMérieux,サ ノフィ・パスツール Sanofi Pasteur,エレクト ロニック・アーツ Electronic Arts といったリ ヨンを進出先に選んでいる。

また海外直接投資の呼び込みを含め,経済環 境の重要な側面である街づくり及び社会インフ ラであるが,数多くの博物館・美術館と歴史的 建造物が集まるリヨンは,優れた文化的環境を 提供している。1998 年にはユネスコ世界遺産 に登録され,世界的に有名な数多くのイベント やフェスティバルが開催されるリヨンは,パリ に次ぐ文化の都である。またリヨンは地理的な 優位性を特徴の 1 つに上げることができる。付 加価値の高い戦略的な場所として,不動産コス トが相対的に低く,活気に溢れ,アクセスが便 利,レベルの高い人材が確保でき,質の高い生 活環境を提供する場所であるリヨンはパリを大 きく下回る人件費と不動産コストレベルであ る。パリでは生活費が高いため,同等の労働力 を確保するには,リヨンよりも高い人件費が必 要になる。リヨンの法人向け不動産の価格は,

最も安いものではパリと比べて 3 分の 1 程度に 過ぎず,またパール・デューやリヨン・コンフ リュアンス地区などの革新的な開発プロジェク トにより,供給も多様化している。さらにリヨ ン地方はフランスで,雇用数ではパリ首都圏に 次ぐ最大規模の地域で,労働力人口が占める割 合が高いことで知られている。有資格労働力を 育てる多様な教育機会が提供されており,毎年 数多くの学生がこの地方で学んでいる。うち 12%は外国人学生で,リヨンの国際的な評判を

(10)

高めることに貢献している。有能な人材の宝庫 であるリヨンでは,プロジェクトの推進に必要 な優れた人材の確保が容易である。

ローヌ=アルプ地方は欧州の中心に位置する 戦略的なロジスティクス産業地区である。

リヨン地方は,大量の物流が交差する地点に 位置しているとともに,その活発な経済活動で 知られており,ロジスティクス産業の発展に最 適な地域と言える。当地方が擁するフランス第 2 の物流地区は,大規模な住宅および消費生活 地区,そして通信インフラストラクチャーの集 約という大きな魅力を備えている。マルチモー ダルな輸送体系の発達は,当地方の,特に鉄道 貨物輸送および河川・海上輸送における重要な 鍵となっている。」

(3)リヨン産業クラスターのイノベーション リヨン産業クラスターはスマートシティを含 めたクリーン都市計画:Building,ライフサイ エンスを中心とした製品の製造:Industry,ク リーンテクノロジーによる都市交通:Trans- port の 3 つの領域を定めてクラスター構造を

組織的に細分化している。更にその 3 つともに 中長期の具体的な目標を掲げ,それを達成する ための企業や大学を組織化してプロジェクトを 立ち上げている。2012 年度のアニュアルレポー トによれば,この年だけで 71 プロジェクトが 新たに立ち上がり,3 か年計画として 1,859 件 の業務が計画されている。内訳はクリーンテ クノロジー関連:784 件,ライフサイエンス関 連:727 件,サービスサポート関連:788 件に のぼっている。

これらの中からクリーンテクノロジーによる 都市交通:Transport 部門の産業クラスターを 例として紹介する。

LYON URBAN TRUCK & BUS = LUTB は 都市部での乗客と貨物の大規模輸送の効率化と CO2削減の両立を目指した活動を進め,105 の 開発プロジェクトを自動車会社,自動車部品会 社,通信関連企業および地元大学が連携して運 営している。

このクラスターの中心的役割を果たしている のがボルボ・グループとその傘下のルノート ラックスである。ボルボは会社の企業理念 持

図 5 リヨン産業クラスター全体図

出所:ADERLY アデレリー WEB サイトから筆者作成。

次世代 都市計画

次世代 都市交通

サイエンスライフ ものづくり次世代

リオン :欧州の

 クリーンテクノロジーハブ クラスターネットワークと エコビジネス全領域の 世界的リーダー企業

(11)

続可能な輸送ソリューションの世界的リーダー になること をトップに掲げた世界的トラック のリーダー企業の一つである。ボルボの企業理 念と前述したアデレリーの 持続可能社会の実 現 はとても親和性が高いと言える。この産業 クラスターの成果として 2008 年にハイブリッ ド・トラック技術を搭載したゴミ収集車の開発 とリヨンでの実証実験が大規模に実施された。

フランスのゴミ収集は深夜,早朝のゴミ収集を 行っており,CO2だけでなくトラックの騒音に ついても実証実験の中で効果が確認され現在は 既に実用化されている。この実績は持続可能社 会の実現への貢献を産業クラスターとして取り 組んだ事例として注目されている12)

(4)リヨン産業クラスターの国際ネットワーク 今回のリヨン産業クラスターの検討は,グ ローバル企業が本籍ではない地域から参加し

て地域経済の活性に成功している事例であっ た。またクラスターの運営主体である地域経済 公社も海外企業からの直接投資を積極的に呼び 込んでいる。これは従来,ポーターが提唱して いた産業クラスターの基本構成の枠を実務が飛 び越えていると言える。それも一社のみではな く,日本を含めたアジアの有力企業や積極的な アフリカ企業がリヨン産業クラスターに参加し ている。また大変ユニークな活動として日本 の NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発 機構が国際的な提携としてスマートコミニュ ティの実証実験の場所としてリヨン産業クラス ターを選択した事が挙げられる。この共同プロ ジェクトは,電気自動車の可能性と併せたリヨ ン・コンフリュアンス地区をエネルギー効率に 関するモデル地区とすることを目標にしてお り,NEDO のプロジェクト入札の結果,東芝 と東芝ソリューションが,この計画の実現を担

図 6 国際スマートモビリティの国際実証実験

出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO(2011)から。

スペイン・マラガ市

(事業可能性調査実施中)

リヨン・スマコミ 実証事業目的

環境に優しい未来型スマートコミュニティーのモデル都市の創造

欧州の厳しい環境規制に適合する日本企業の技術の導入,国際標準への貢献 事業成果及び知見の日本へのフィードバック

中国・共青城

(事業可能性調査実施中)

NEDO 国際スマートコミュニティ事業

フランス・リヨンにおけるスマートコミュニティ事業は,NEDO にとって 欧州で初めてのスマートコミュニティ案件になります。

米国・ニューメキシコ

(20106月・実証開始)

フランス・リヨン

(20121月・実証開始予定)

米国・ハワイ

(201111月・実証開始)

中国 アメリカ

東南アジア ヨーロッパ

(12)

う日本側コンソーシアムのまとめ役として選定 された。NEDO の技術支援のもとブイグ・イ モビリエ(不動産デベロッパー)/ SLC ピタン スの連携も実現し公的機関,大企業,革新的な スタートアップ業者の間の戦略的提携が,リヨ ン・スマートコミュニティ実証事業の成功の根 幹となった。この先進的な提携事業は,リヨン と日本間の多数の分野における新たな協力に道 を開き,リヨン産業クラスターの可能性の拡大 や競争力優位を導き出している13)

4 考察と今後の課題

(1)日本の地域経済の再生,活性化にむけて マイケル・ポーターが提示したダイヤモンド フレームの核となる 4 つの要素すなわち,企業 戦略および競争環境,需要条件,要素(投入資 源)条件,関連産業・支援産業は本稿で例示し たフィンランドおよびフランスの産業クラス ターに共通している要素である。また日本にお いての地域経済の再生,活性化の取り組みにも この 4 つの要素を見受けることができる。より 重要なのは何が活動の成果をより良く引き出し ているか,という点を考察すると,4 つの要素 はクラスターの基本要件として必要であるが,

同じ地域,場所に位置づけられただけでは,単 体で機能するかもしれないが,クラスター全体 としてのビジネス連携を始めるわけではない,

という事象が見受けられる。

この事象に対して笹野(2014)は,「関連機 関と企業の協力」が進むのであり,中心となる 人や組織の活動体があるからこそクラスターな のである14),と述べているが,この指摘だけ ではリヨン産業クラスターの成功や国際的な連 携拡大について充分に説明されているとは言え ない。産業クラスターとしてダイナミックなビ ジネス連携を形成する時にそれを促進する機能 とが必要であり,各組織や機能をつなぐ活動系 としての ドライビング・フォース :動かし てゆく力の力強い存在をリオン産業クラスター の事例から把握することができる。すなわちマ

イケル・ポーターのダイヤモンドモデルからの 発展的な研究として導出されるドライビング・

フォースの有無あるいは期待されたように機能 しているのかどうかが,産業クラスターが経済 活動の有効なモデルとして成果を出すというイ ンプリケーションが示唆される。

リヨン産業クラスター成功から特徴的な事を 整理すると,以下の 3 点が前述したクラスター 成功に重要な要素であるドライビング・フォー スの役割を果たしていると言える。

1)ミッションとアクションの整合性

クラスター取りまとめ役である地方経済開発 公社のミッションと呼応したかのように参加企 業が持っていたミッションのベクトルが一致し ている。クラスター構成の中心と周囲のミッ ションの一致あるいは整合している事は極めて 有効と言える,更にミッション実現のための各 アクションが目的から方策のカスケードダウン を展開している事が具体的なプロジェクトが ミッションの実現に直結していると言えるので ある。

2)地域のありたい姿の共有

地方経済開発公社はベースの都市共同体のあ りたい姿を常に発信しクラスター参加企業を 募っている。志を掲げ,ありたい姿を示すのが クラスター形成には不可欠であり,ありたい姿 に対する協調と合意がクラスターの求心力その ものになる。開発公社は経済原則から見て回収 がそもそも見込めないような企画は行わず,地 域のありたい姿に直結する企画を実行する事 で,参加企業,組織がポジティブにクラスター 事業に貢献できる。

3)プロジェクト単位での事業完結

クラスター事業に限らず欧米企業ではプロ ジェクト単位での事業運営が多い。外部環境 の変化に対する対応や,事業目標の効率的な 達成に向けてプロジェクト単位での進捗管理は わかりやすいマネジメント体制と言える。組織 はプロジェクトとして最適なメンバーを選定し リソースを確保する。プロジェクト目標を具体

(13)

的に定め日程の入った計画とマイルストーンを 組織全体で共有している。参加企業や機関はプ ロジェクト単位での意思決定ができるので,た だ何となく参加しているような立場は取らな い。地方経済開発公社は各プロジェクトの成果 を判断しプロジェクトを重ねるかどうかをマネ ジメントできるので結果的に効率よく産業クラ スター戦略の全体マネジメントができるのであ る。

(2)今後の課題として

今回のリヨン産業クラスターの検討は,欧州 での産業クラスター事例を比較考察し,そこで のビジネスの結果や表面化している実績に着目 したものである。「クラスター戦略とは,先進 的なモデル地域をコピーする戦略ではない。個 性的な産業地域を形成すること,他の地域との 間に差異を確立することである。」15)と言われ るように,積極的なオリジナリティーを志向す るケースも多い。しかしながら,成功事例に学 び,日本およびグローバルの企業がそれぞれの 特徴を生かして今後の日本の地域経済の再生,

活性化を目指した産業クラスターに参加できる ような制度設計や効率的な運営を取り入れた,

リヨンのような欧州の産業クラスター成功モデ ルの要素を取り入れたクラスターデザインが有 効に機能する可能性が高くなるケースの出現が 予測される。

どのような要件を持った産業クラスターが今 回のリヨンのようなケースに該当するのか,あ るいは更に発展したクラスター形成の組織間 ネットワークのプロセスについて経緯を含めた 研究の必要がある。今後は他の欧州地域もしく は他の地域にも視野を広げて研究を進めたい。

【注】

1) Porter(1998)p.198,竹内訳(1999-Ⅱ)p.70.

2) Porter(1998)p.198,竹内訳(1999-Ⅱ)p.70.

3) Porter(1998)p.325,竹内訳(1999-Ⅱ)p.83.

4) 経済産業省地域経済産業グループ(2011).

5) 経済産業省 近畿経済産業局「産業クラスター戦

略」(2011).

6) 内閣府(2004)pp.22-24.

7) 笹野(2014)p.214.

8) 笹野(2006)p.4.

9) 北嶋(2009)pp.1-16.

10) 高橋・手塚・村山・ピット編(2003)p.11.

11) 高橋・手塚・村山・ピット編(2003)p.11.

12) AB Volvo(2013).

13) リヨンの紹介プレスブック(2015).

14) 注 7)と同じ。

15) 笹野(2006)p.4.

【参考文献】

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McCann, Philip (1998), 

, Springer-Verlag Berlin Heidelberg.(坂 下昇訳(2002)『産業立地の経済学』流通経済大 学出版会)

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,  Harvard University Press.(酒井泰介訳(2008)

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杉浦章介(2009)『トランスナショナル化する世界―

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(14)

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【資料】

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  http://www.imd.org/uupload/imd.website/

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  http://www.kansai.meti.go.jp/1-5cluster/cl.html

(2015 年 5 月 31 日閲覧日)

フランス・リヨン地方経済開発公社:ADERLY アデ レリー 公式 WEB サイト

  http://www.aderly.com/only̲lyon/index,p,204,  JP.jsp(2015 年 5 月 31 日閲覧日)

フランス・メディア・プラットフォーム:リヨンの 紹介プレスブック 2013 年 7 月

  http://jp.media.rendezvousenfrance.com/sites/

default/files/document/press̲kit/Lyon̲Pressbo ok̲Japanese(2013)̲0.pdf(2015年5月31日閲覧日)

参照

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