放射性同位元素取扱い実験
実験講義②
RI実験の概要
3つの実験の概要 いろいろな放射線計測のこと(ガラスバッジ含め) 液体シンチレーションカウンター、チェレンコフ光の説明 イメージングプレートと読み取り装置の説明 トレーサー実験の原理、計算方法の説明 汚染検査の説明(スミアチェック含め)2
3つの実験の概要
1. ピペッターを使ったRIの希釈操作と、 液体シンチレーションカウンターによる放射線測定 2. イネを用いた32Pトレーサー実験:葉面吸収と経根吸収 3. サーベイメータによる汚染検査3
使用するRI
32Pを使用する
化学形は、H
3PO
4 購入すると、 管理区域に届 けられる。4
32
Pの放射性崩壊について
• β
-崩壊(β
-decay)
原子核内の中性子(n)は壊変して陽子(p)に変わる。 このとき、電子(e)と反ニュートリノ(ν)が放出される。n
→
p
+
e +
ν
(反ニュートリノ) 32P
→
32S
+
e
+
ν
陽子15 陽子16 中性子17 中性子16半減期
14.28日
β線最大エネルギー1.71MeV (※すべてが1.71MeVではない。 ニュートリノとエネルギーを分け合う。)ピペッターを使ったRIの希釈操作と、 液体シンチレーションカウンターによる放射線測定
実習項目1.
目的 ・非密封RIの安全取扱いに関する基本的な操作を身につける。 ・溶液サンプルの希釈操作を学ぶ。 ・液体シンチレーションカウンターによる 放射線計測手法を習得する。希釈操作
32P 50 ml 100 ml 100 ml 900 ml 900 ml ② ③ 32P原液から、3段階の希釈を行う。 ① 9.95 ml 32Pを添加する前に、容器にあらかじめ 水耕液を入れておく。 この操作を通して、ピペッターの扱いに 慣れましょう。放射線の計測
32P 50 ml 100 ml 100 ml 900 ml 900 ml ② ③ 希釈した溶液の放射能を測定する。 ① 9.95 ml ・希釈操作の精度の確認 ・2種類の測定方法の、 放射線検出効率の評価 5 ml 50 ml 放射線計測様々な放射線測定機器
Ge半導体検出器
NaI(Tl)シンチレーションカウンター
イメージング・プレート サーベイメータ(GM管)
放射線測定の原理
放射線のエネルギー
蛍光に変えて光を検出
電流を検出
【シンチレータ】
放射線を受けて
発光する物質
10
シンチレーションカウンターの原理
放射線
光電子増倍管
同時計数により、シグナル/ノイズ 比 を高める。
シンチレータ光電子増倍管
シンチレータが発する光を検出している。
光
光
計数効率(%)=係数率(cpm)÷壊変率(dpm) ×100 が重要。 壊変率とは、真の放射能のこと(decay per minute)。11
シンチレーションカウンターの原理
NaI(Tl)シンチレーションカウンター 液体シンチレーションカウンター 発光物質を 有機溶媒に溶かした 液体(カクテル)に、 サンプルを混ぜておく。 ヨウ化ナトリウム結晶(固体)を 蛍光体として装置内に内蔵。 電磁放射線の検出向き。 シンチレータ と 光検出器 の組み合わせチェレンコフ光
ある物質中において、
荷電粒子の速度>光の速度
になるときに発せられる光。
水中におけるベータ線の場合、
263 keV
以上のエネルギーを持つと、発光する。
Wikipedia→
この光を光電子倍増管で検出することが可能。
放射線の計測
32P 50 ml 100 ml 100 ml 900 ml 900 ml ② ③ ① 9.95 ml シンチレーション光測定 と チェレンコフ光測定 50 ml 50 ml 放射線計測 50 μl+
3 ml 液体シンチレーションカクテル or 水クエンチング(消光)
様々な原因によって蛍光が弱くなる現象
色クエンチング
シンチレータの着色による、蛍光の吸収
化学クエンチング
サンプルに含まれる化学物質による、
放射線エネルギー吸収
補正
外部標準チャネル比法
クエンチングが強いと、弱い蛍光のカウント数
が増えることを利用。
係数率 cpm パルス波高 (エネルギー) クエンチング無し クエンチング強い 機器に内蔵している137Cs放射線源を各サンプルに照射して スペクトルの変化=クエンチングの強度 を算定して補正。イネを用いた32Pトレーサー実験:葉面吸収と経根吸収
実習項目2.
目的 ・汚染を発生させず、さらに、 実験中の被ばくを低く抑えたRI実験手法を身につける。 ・オートラジオグラムの特性を理解する。 ・非密封RIを用いたトレーサー実験の基本手法を習得する。トレーサー実験の概念
17【トレーサー】
追跡者。
特定の物質の移動や変化を追跡するために使う、
微量添加物。
トレーサー実験の概念
18
「100万羽の群れの中に、
トレーサー実験の原理
19100万羽の群れ全体から発せられている信号が10回
群れから一部の集団が離脱
離脱集団から2回の信号を検知したなら、 その集団には20万羽いる、と算出される。物質の量 と シグナル強度 が比例関係にある
トレーサー利用の例:光合成
14
16 16 16 12 16
添加60秒後
藍藻(藍色細菌)に
14CO
2
を添加する
添加7秒後 添加2秒後
炭酸固定反応の同定
カルビン・ベンソン回路
23
藻類による鉄の吸収特性
55Fe-鉄0.1μMを培地に添加し、吸収量を測定 ●Phaeodactylum tricornutum(珪藻) ■Emiliania huxleyi (円石藻) ▲Ostreococcus tauri (プラシノ藻) クエン酸鉄 EDTA鉄イネの根によるセシウムとカリウムの吸収
K吸収速度 Cs吸収速度 溶液中のK濃度(mM)K
+とCs
+の吸収は競合関係にある
水耕液液に 42K, 137Csを添加、 20分吸収 (Csは常に0.1 mM)今回実習するトレーサー実験
イネ体内でのリン酸の動きを、32Pをトレーサーとして追跡する
根から吸収
葉面から吸収
実習では、1人1個体を使う。
実習項目1.との関連
32P 50 ml 100 ml 100 ml 900 ml 900 ml ② ③ ① 9.95 ml 5 ml 全量溶液のリン酸濃度は 92 μM
32P原液は○○ Bq/μl
27
オートラジオグラフィーによる画像化
ラジオグラフィー 物質の分布を、放射線を使って可視化する手法 オートラジオグラフィ― 試料中に含まれる放射性物質の分布を、 それが発する放射線を使って可視化する手法28 オートラジオグラフィー
イメージングプレート(IP)とは
【輝尽性発光】 エネルギーを蓄積させておける蛍光体。 レーザー光で刺激すると、蓄積していたエ ネルギーに応じて発光する。 イメージングプレートは、 プラスチック板の上に 輝尽性蛍光体を塗布したもの。 【読み取り装置】 イメージングプレートに数μ ~ 数百 μmの ピッチでレーザー光を照射しながら発光を 集光し、電気信号として出力する。出力さ れた情報は、二次元画像として表示される。イメージングプレート
:サンプリング~コンタクト
対照(リンドウ葉) ✓ 数値だけでは分からない情報を得る ✓ 核種は分別できない ✓ 標準液を使って検量線を作れば 定量することもできる実習項目1.との関連
32P 50 ml 100 ml 100 ml 900 ml 900 ml ② ③ ① 9.95 ml ・経根吸収と葉面吸収ともに、吸収溶液のリン酸濃度は 92 μM ・吸収させた溶液の32Pのシグナルは○○ 5 ml 5 ml 5 ml シグナル強度 リン酸含量( nmol )希釈溶液を用いてIP用の検量線を作る
IP画像に基づいたリンの分布の定量解析
シグナル強度 リン含量( nmol )Image J で画像解析を行う
・どの組織に、どのくらいのリンが分布しているかを算出サーベイメータによる汚染検査
実習項目3.
目的
・ GMサーベイメータの使い方と、表面汚染の検出技術を身につける。 ・ 汚染があった場合の対処方法と基本的な除染方法を習得する。