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α位四置換炭素含有アミン類の環境調和型合成法の 開発

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

α位四置換炭素含有アミン類の環境調和型合成法の 開発

森﨑, 一宏

http://hdl.handle.net/2324/1806973

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(創薬科学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

1

α位四置換炭素含有アミン類の環境調和型合成法の開発 環境調和創薬化学分野

3PS14009N  森崎一宏

【背景・目的】

  イミン(C=N)に対する求核付 加反応は、不斉炭素-炭素結合を 構築し、医薬において重要な光学 活性アミンを合成する反応であ る。中でも、ケトン由来のイミン

(ケチミン)に対する反応は、不斉

水素化で合成不可能なα位に不 斉四置換炭素を有するアミンを 合成可能であるため、その開発は

重要である。しかし、アルデヒド由来のイミン(アルジミン)と比較して、反応性が低いこと・立 体制御が困難であることなどが原因となりその開発は遅れている。さらに、化合物群の効率的・

網羅的合成に重要な高い原子効率・官能基共存性を備えた反応の開発はさらに難易度が上昇し、

利用可能な反応が限られていた。そこで私は、高い原子効率と広い官能基共存性を備えたケチ ミンに対する不斉求核付加反応の開発を目的とし研究を行った。

【方法】

  高い原子効率及び官能基共存性を備えた反応 を実現するために、私は遷移金属の存在下穏和な 条件で選択的に脱プロトン化が可能である末端

アルキンに着目し検討を行った。また、立体的に小さい末端アルキンを求核剤として用いるた め立体障害による問題を最小限に抑えうる点、反応生成物である光学活性プロパルギルアミン が種々の光学活性アミン合成に有効な合成素子である点も有用であると考えた。

  修士課程での研究において、穏和な条件での末端アルキンの活性化が可能なロジウム錯体

1

に着目 し検討を行ったところ、ケチミノエステルに対する末端アルキンの高収率かつ高エナンチオ選択的な 直接的付加反応が進行することを見出した。本反応は、室温かつほぼ中性条件で進行するため広い官 能基共存性を示し、生物活性物質の原料として重要な非天然α位二置換アミノ酸誘導体を原子効率

100%のプロトン移動型反応にて合成する事が可能であった(Scheme 2,

参考文献

1)。

  しかしながら、本反応は反応性に制限があり、反応に用いることができる基質に制限があった。そ こで、博士課程ではまず本反応の反応機構解析を行い反応性の向上を目指した【結果

1】

。また、得 られた知見を基に、さらに有用性の高い窒素上無保護のケチミンに対する末端アルキンの直接的付加 反応の開発を行った 【結果

2】

R1 R2 N PG H2

R1 R3 N

R2 PG

* PG = protecting group (R1,R2 = H)/

R1 R2 N PG

R3 H

R3 M +

R1 R2 N PG

+ R1

R3 N

R2 M PG

H

//

Scheme 1. Approaches to α-Tertiary Amines

ketimine

Direct Addition via Proton Transfer

α-tertiary amines H

catalyst

waste metal base

waste

hydrogenation

>1 eq This Work

(3)

2

【結果

1:ロジウム触媒による直接的不斉アルキニル化反応の反応機構解析、参考文献 2】

  反応機構解析にあたって、まず反応系中で生成していると考えられたアルキニルロジウム種

2

の単 離を行い、種々の速度論解析及び当量反応行った。その結果、末端アルキンの脱プロトン化の際に生 じる酢酸(pKa

= 12.6 in DMSO)ではなく末端アルキン(pK

a

= 28.8 in DMSO)が直接プロトン源として働

き目的物を生成する触媒サイクルを示唆する結果が得られた。また、この結果は、これまで触媒とし て用いていたジアセタト錯体

1

は触媒活性種の前駆体であり、アルキニルロジウム種

2

が触媒活性種 であることを示していた。

  次に、ジアセタト錯体

1

からアルキニルロジウム種

2

への変換反応について検討を行ったところ、

錯体

1

から触媒活性種である錯体

2

への変換が遅く、触媒反応の全体の反応速度を大きく低下させて いることがわかった。

  また、錯体

2

形成後の触媒サイクルにおける速度論解析を行った。その結果、反応速度はイミンに 対してミカエリスメンテン型の速度依存をしており、inverse の同位体速度論効果が観測されたこと 及びアルキンの濃度と反応速度に一次の相関が観測されたことから、活性種形成後の

turnover-limiting step

はアルキンの配位段階であることが示唆された。また、Eyringプロットや

DFT

計算も行った結 果、速度論解析と矛盾しない結果が得られた。

  これらの結果から示される触媒サイクルを

Scheme 3

に示した。まず、ジアセタト錯体

1

のアセタ ト配位子が

Brønsted

塩基として働き末端アルキンの脱プロトン化が起こり、酢酸とアルキニル錯体

2

が生成する。また、本ステップが反応初期段階において、全体の反応速度を制御している。次に錯体

2

のアルキニル配位子がイミンへ付加しアミドもしくはアルコキシ中間体を生成する。生じた中間体 に末端アルキンが配位し(turnover-limiting step)、末端アルキンとプロトン交換を起こすことで、目的 物が生成しアルキニル錯体

2

が再生する。また、脱プロトン化の際に生じた酢酸は目的物生成には関 与していない。これらの結果よりアルキニルロジウム種

2

を迅速に形成可能な前駆体を用いる事で反 応性の向上が可能である事がわかった。

Rh N C

O O

N

Me R Rh

N C

OAc OAc

OH2

N Rh

C N N Ph

F3C

N

O OBn

OEt O

O Me

O

O Rh C N N

Ph

CF3

N OBn

O OEt H Ph

O Me

O – AcOH

Scheme 3. Summary of Mechanistic Studies

(diacetato)(phebox)Rh 1

slow H

+ R

fast H

+ R (alkynyl)(acetato)

(phebox)Rh 2

catalytically active species

=

F3C N Cbz

OEt O

H R

F3C H N Cbz

O EtO

R

saturation kinetics

turnover-limiting step terminal alkyne proton source

=

efficient precatalyst

??

irreversible

ΔG = 17.8 kcal/mol*

(20.7 kcal/mol)

ΔG = 18.6 kcal/mol*

(24.2 kcal/mol) (ΔG = 16.7 kcal/mol)

irreversible

* at 29 °C, from Eyring Analysis (DFT: M06-2x/SDD-6-311+G(2d,2p)//B3PW91/LANL2DZ-61-3G(d,p))

kinetic profiles of catalytic cycles

• reaction rate =

k1k2[Rh-cat.]tot1[alkyne]1[imine]1 k1[imine] + k-1 + k2[alkyne]

k1 k-1

k2

• kinetic isotope effect (alkyne) kH/kD = 0.86 (inverse KIE)

(4)

3

  次にアルキニルロジウム

2

を迅速に形成可能な前 駆 体 の 開 発 を 目 指 し た 。 種々の検討の結果、

TMS

セチレンより誘導したアル キニル錯体

3

が種々の末端 アルキンとアルキニル配位

子の交換反応を起こし、対応するアルキ ニルロジウム種

2

を生成することを見 出した(eq 1)。

そこで、錯体

3

を触媒前駆体として用い た検討を行ったところ、官能基共存性を 損なう事なく反応性の向上・触媒量の低 減に成功した(Scheme 4)。また共同研究 者により、錯体 3 を用いることで基質一 般性の拡大にも成功している。

  これらの結果は、高活性な直接的触媒的求核付加反応の開発において「より酸性度の低い

pro-nucleophile

が直接プロトン源として働きうること」「一段階目の求核剤の脱プロトン化が全体の

速度を制御しうること」を考慮することが重要であること示した点においても意義があると考えてい る。

【結果

2:新規亜鉛触媒による無保護ケチミンに対する直接的アルキニル化反応の開発、参考論文 3】

  上記の検討において、高い原子効率と広い官能基共存性を有する不斉四置換炭素含有プロパルギル アミン類の合成に成功した。しかしながら、私の開発した反応を含めこれまでに報告された窒素上保 護ケチミンに対する反応は、合成素子としてより有用性の高い無保護のアミンを得るために脱保護が 必要であり、原子効率の低下・ステップ数の増加及び官能基共存性の低下を招いていた。一方、無保 護のケトイミンを求電子剤として用いる反応は無保護のアミンを直接生成物として与えるより環境 調 和 性 に 優 れ た 反 応 で

あ る と 言 え る

(Scheme 5)。しかしながら、窒素

上 置 換 基 に よ る 反 応 性 の制御が不可能な点、触 媒 の 失 活 や 副 反 応 等 が 問題となり、当量の試薬 を 用 い る 反 応 に お い て さ え 末 端 ア ル キ ン の 付 加反応は報告例がなかった。 

  まず私は、モデル基質として取り扱い容易なトリフルオロメチルケトン由来の

N

無保護ケチミン を用いて検討を開始した。始めに、上述のロジウム触媒を含めた既存の反応系を用いて検討を行った が、目的物は得られなかった。これらの原因として

N

無保護ケチミンの活性化が不十分であること・

活性種の求核性が不十分であることが考えられた。一方、高い求核性を有するアルキニルリチウムを 当量以上用いた検討を行ったが、この場合においても目的物は得られず未反応の

N

無保護ケチミン が確認された。これは、アルキニルリチウムが

Brønsted

塩基として働き、ケチミンの窒素上のプロ トンを脱プロトン化したためであると考えている。これらの結果から私は、

N

無保護ケチミンに対す るアルキニル化反応に有効な新たな触媒系の開発を行うこととした。 

R1 N

R2

N R2 R1

H +

H H

N-unprotected ketimines

• low modulality of N-unprotected imines

• generation of reactive unprotected amines

• presence of E/Z isomerization

• deprotonative proton on nitrogen

• unstabilily of N-unprotected imines challenges

H

Direct Addition via Proton Transfer

&

Direct Access to Unprotected Amines R

R Scheme 5. Direct Catalytic Alkynylation of N-Unprotected Ketimines and Their Challenges

(5)

4

  反応の開発にあたり、私は当量反応ではあるものの保護 されたトリフルオロメチルケチミンへの付加が報告されて いるアルキニル亜鉛種に着目した。また、プロトン移動型 の反応を実現するために次の仮説を立てた。まず、末端ア ルキンの存在下、触媒量のジエチル亜鉛とカルボン酸を 1:1 の比で用いることで、

2

分子のエタンの生成を伴 ってカルボキシラトアル キニル亜鉛種が迅速に生 成 す る と 考 え た

(Scheme 5)。また、カルボキシラト

アルキニル亜鉛種は、【結

1】で明らかにした反応

機構と同じように触媒活 性種として働きうると考 えた。カルボキシラトアル キニル亜鉛種が触媒とし て機能するためには、亜鉛

π

酸性・Lewis 酸性、ア ルキニル配位子の求核性 などのバランスが重要と

なるが、カルボン酸を種々検討することで容易に調節可能であると予想した。 

  実際に検討を行ったところ、パラニトロ安息香酸とジエチル亜鉛を 1:1 の比率で用いることで、

無保護ケトイミンに対する直接的触媒的アルキニル化反応が効率よく進行することを見出した

(Scheme 6)。本反応は広い官能基共存性を示す上に、一般的なアルキニル化反応の触媒である一価

銅と逆の化学選択性を示し、保護アルドイミンの存在下において無保護ケトイミン選択的に反応が 進行する事が分かった。本結果は、これまでほとんど用いられてこなかった無保護イミンの反応性 を明らかにする意味でも興味深い。さらに得られた生成物は脱保護を行うことなく直接生物活性物 質のアルキニルアナログへと変換が可能であった。最後に、キラルなリン酸を用いることで不斉反 応への適用にも成功した(Scheme 7)。 

【総括】

  本研究において開発したロジウム触媒・亜鉛触媒は、既存の反応系では合成困難であった種々 のα位四置換炭素含有アミン類を高い原子効率・広い官能基共存性で合成可能であった。さら に、反応機構解析で得られた知見は、基礎研究としての学術的な価値も高いと自負しており、

実際に、得られた知見を基にアルキニル化反応には当量必要であったジエチル亜鉛の触媒量へ の低減に成功し、本反応系を用いてより難易度の高い無保護ケチミンに対する反応の開発に成 功した。

【発表論文】

1. K. Morisaki, M. Sawa, J.-y. Nomaguchi, Y. Takeuchi, H. Morimoto, K. Mashima, T. Ohshima Chem.

Eur. J. 2013, 19, 8417. (highlighted by Synfacts 2013, 9, 976.)

2. K. Morisaki,* M. Sawa,* R. Yonesaki, H. Morimoto, K. Mashima, T. Ohshima J. Am. Chem. Soc.

2016, 138, 6194. (* contributed equally)

3. K. Morisaki, H. Morimoto, T. Ohshima Submitted.

R CF3 N

+

NH R

F3C 2.5–10 mol%

H

over 25 examples up to >99 % yield

NH2 Ph

F3C

N H

PMP H

FG FG

R = aryl, alkyl

N Ph

F3C

Ph H

Scheme 6. Zn-Catalyzed Direct Alkynylation of N-Unprotected Trifluoromethyl Ketimines Et2Zn

p-nitrobenzoic acid H

Direct Addition via Proton Transfer

&

Direct Access to Unprotected Amines over PMP-protected

aldimine

NH O

N Me derivatization without deprotection

Ph

N H

Ph +

H chiral acid 10 mol%

Et2Zn 10 mol%

PhCl (0.5 M) 80°C, 24 h

CF3 O

O P OH

O TBDPS Ph

N

F3C H

Ph H

88% yield 60% ee

Scheme 7. Enantioselective Alkynylation of N-Unprotected Trifluoromethyl Ketimines

chiral acid

参照

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