平
成
20
年
度
健
全
化
判
断
比
率
及
び
資
金
不
足
比
率
審
査
意
見
書
岡 監 第 2 0 3 号 平成21年 9 月 4 日
岡山市長 髙 谷 茂 男 様
岡山市監査委員 藤 本 徹
同 若 井 逹 子
同 田 尻 祐 二
平成20年度決算に基づく健全化判断比率
及 び 資 金 不 足 比 率 審 査 意 見 に つ い て
, 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項及び同法第22条第1項の規定により
平成20年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率並びにその算定の基礎となる事項
を記載した書類について審査した結果,別紙のとおり意見を提出します。
なお,監査委員 池上 進は,平成 19年4月1日から平成21年3月31日まで会計管理者であ
目
次
平成20年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率審査意見
1
第1
審 査 の 対 象
1
第2
審 査 の 期 間
1
第3
審 査 の 方 法
1
第4
審 査 の 結 果
2 1 健全化判断比率の状況
8 2 資金不足比率の状況
9 3 ま と め
(注)1 文中の金額は,原則として万円単位で表示し,端数は切り捨てている。こ
のため計数が一致しない場合がある。
2 文中の比率は,原則として表示の1桁下位で四捨五入している。このため
計数が一致しない場合がある。
3 表中の比率は,国の算定基準に基づいている。このため計数が一致しない
場合がある。
4 文中に用いるポイントとは,パーセンテージ間又は指数間の単純差引数値
- 1
-平成20年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率審査意見
第1 審査の対象
1 平成20年度決算に基づく健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載
した書類
2 平成20年度決算に基づく資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載し
た書類
第2 審査の期間
平成21年 7 月31日から
平成21年 9 月 3 日まで
第3 審査の方法
審査に付された健全化判断比率及び資金不足比率が関係法令等に基づいて適正に
算定の基礎となる事項を記載した書類が適正に作成され 算定されているか,また,
ているかについて,歳入歳出決算関係書類,算定根拠資料等との照合及び関係職員
からの説明の聴取等により審査し,年次比較等の検討を加えた。
第4 審査の結果
健全化判断比率及び資金不足比率並びにその算定の基礎となる事 審査に付された
は,いずれも関係法令等に準拠して作成されており,計数は関係 項を記載した書類
- 2 -1 健 全 化 判 断 比 率 の 状 況
平成20年度決算に基づく健全化判断比率は,次のとおりであり,いずれも早期健全化基
準及び財政再生基準を下回っている。
(単位:%)
区 分 20年度 19年度 早期健全化基準 財政再生基準
実 質 赤 字 比 率 − − 11. 25 20. 00
連 結 実 質 赤 字 比 率 − − 16. 25 40. 00
実質 公債費 比率 17. 6 18. 1 25. 0 35. 0
将 来 負 担 比 率 154. 0 166. 8 350. 0
(注)1 実質赤字比率及び連結実質赤字比率については,実質赤字額及び連結実質赤字額がない
ため「−」と表示している。
2 連結実質赤字比率に係る財政再生基準は,法律の施行に伴う経過措置により,平成21年
度決算までは40. 00%,平成22年度決算では35. 00%とされ,平成23年度決算からは30. 00%と
なる。
- 3 -( 1) 実 質 赤 字 比 率
実質赤字比率は,一般会計等の実質赤字額の標準財政規模に対する比率である。
一般会計等に属する11会計の実質収支は,住宅新築資金等貸付事業費特別会計は赤字
であるが,他の10会計は黒字又は均衡し,全体では実質赤字額を生じていないため,実
質赤字比率は算定されない。
(単位:千円)
区 分 20年度 19年度 比 較
一 般 会 計 5, 004, 585 4, 203, 710 800, 875
一 用品調達費特別会計 498 2, 588 △ 2, 090
住宅新築資金等貸付事業費特別会計 △ 554, 016 △ 556, 185 2, 169
般 災害遺児教育年金事業費特別会計 0 0 0
公共用地取得事業費特別会計 0 0 0
会 学童校外事故共済事業費特別会計 0 0 0
母子寡婦福祉資金貸付事業費特別会計 0 0 0
計 御津合併特例区 0 0 0
灘崎町合併特例区 0 0 0
建部町合併特例区 0 0
等 0
瀬戸町合併特例区 0 0 0
一般会計等の実質収支額 ① 4, 451, 067 3, 650, 113 800, 954
標準財政規模 ② 149, 489, 931 149, 188, 380 301, 551
① / ② × 100 ( %) 2. 97 2. 44 0. 53
( %) −
実質赤字比率 −
(注) 標準財政規模とは,一般財源の標準的な規模を示す指標で,標準税収入額等に普通交付税
額を加えたものである。
一般会計等の実質収支額は44億5, 106万円で,前年度に比べ8億95万円(21. 9%)増加
している。これは主に,一般会計の実質収支の黒字額が増加したためである。
標準財政規模は1, 494億8, 993万円で,前年度に比べ3億155万円(0. 2%)増加してい
る。これは主に,普通交付税額が増加したためである。
一
般
会
計
等
に
属
す
る
特
別
会
- 4 -( 2) 連 結 実 質 赤 字 比 率
連結実質赤字比率は,全ての会計の実質収支額又は資金剰余・不足額の合計である連
結実質赤字額の標準財政規模に対する比率である。
「一般会計等以外の特別会計のうち公営企業に係る特別会計以外の会計」の実質収支
は赤字であるが,連結実質収支では赤字を生じていないため,連結実質赤字比率は算定
されない。
(単位:千円)
区 分 20年度 19年度 比 較
一般会計等の実質収支額 ① 4, 451, 067 3, 650, 113 800, 954
国民健康保険費特別会計 △ 1, 980, 177 △ 958, 092 △ 1, 022, 085
老人保健医療費特別会計 △ 125, 983 △ 152, 397 26, 414
駐車場費特別会計 1, 708 0 1, 708
介護保険費特別会計 1, 116, 810 1, 296, 602 △ 179, 792
後期高齢者医療費特別会計 5, 969 − 5, 969
② 186, 113 △ 1, 167, 786
一般会計等以外の特別会計のうち公営企業
△ 981, 673
に係る特別会計以外の会計の実質収支額
水道事業会計 8, 468, 352 8, 325, 416 142, 936
工業用水道事業会計 516, 340 111, 101
法
627, 441
病院事業会計 1, 729, 893 588, 058
適
2, 317, 951
市場事業会計 801, 736 239, 506
用
1, 041, 242
下水道費特別会計 0 0 0
駅元町地区市街地再開発事業費特別会計 588, 160 600, 397 △ 12, 237
公営企業に係る特別会計の資金剰余・不足額 ③ 13, 043, 146 11, 973, 782 1, 069, 364
連結実質収支額 ①+②+③ 16, 512, 540 15, 810, 008 702, 532
標準財政規模 ④ 149, 489, 931 149, 188, 380 301, 551
( ①+②+③) /④ × 100 (%) 11. 04 10. 59 0. 45
(%) −
連結実質赤字比率 −
(注) 公営企業に係る特別会計の資金剰余・不足額は,資金不足の場合,負の値で表示される。
連結実質収支額は165億1, 254万円で,前年度に比べ7億253万円(4. 4%)増加している。
これは主に,国民健康保険費特別会計で実質収支の赤字額が増加したが,一般会計等の
実質収支の黒字額が8億95万円,公 営企業に係る特別会計の資金剰余額が10億6, 936万円
増加したためである。
法
非
適
- 5 -3) 実 質 公 債 費 比 率
(
実質公債費比率は,一般会計等が負担する地方債の元利償還金及び準元利償還金の標
準財政規模に対する比率で,平成 18年度から20年度の3か年平均が平成20年度の比率と
なる。
実質公債費比率は 17. 6%で,前年度の比率(平成 17年度から 19年 度 の平 均 ) に比 べ
0. 5ポイント低下している。これは主に,算定式における分子の地方債の元利償還金及
び準元利償還金が,平成17年度に比べ減少したためである。
(単位:千円)
区 分 20年度 19年度 18年度 17年度
地方債の元利償還金 ① 38, 195, 935 38, 206, 987 39, 098, 064 39, 157, 255
準元利償還金 ② 14, 336, 244 15, 634, 515 15, 168, 748 14, 628, 646
①,②に充てられる特定財源 ③ 6, 764, 123 6, 591, 337 6, 344, 086 6, 661, 518
①,②に係る基準財政需要額算入額 ④ 24, 927, 143 25, 128, 086 24, 766, 580 24, 385, 307
標準財政規模 ⑤ 149, 489, 931 149, 188, 380 149, 986, 356 149, 913, 477
実質公債費比率(単年度:%)
17. 8 18. 4 18. 1
( ①+②−③−④) / ( ⑤−④) × 100
16. 7
(3か年平均:%) 18. 1 − −
実質公債費比率 17. 6
地方債の元利償還金は381億9, 593万円で,前年度に比べ1, 105万円(0. 0%)減少して
いる。これは主に,元利償還金から控除する繰上償還額及び借換債を財源とした償還額
の増加が,地方債の元利償還金の増加を上回ったためである。
準元利償還金は143億3, 624万円で,前年度に比べ12億9, 827万円(8. 3%)減少してい
る。これは主に,下水道費特別会計に係る準元利償還金が減少したことにより,公営企
業の地方債償還に充てたと認められる一般会計等の繰入金が減少したためである。
地方債の元利償還金及び準元利償還金に充てられる特定財源は67億6, 412万円で,前
年度に比べ1億7, 278万円(2. 6%)増加している。これは主に,都市計画事業の財源と
して発行された地方債の償還額に充当した都市計画税が増加したためである。
地方債の元利償還金及び準元利償還金に係る基準財政需要額算入額は249億2, 714万円
で,前年度に比べ2億94万円(0. 8%)減少している。これは主に,事業費補正により基
- 6 -( 4) 将 来 負 担 比 率
将来負担比率は,一般会計等が将来負担すべき額から充当可能な財源等を控除した実
質的な将来負担額の標準財政規模に対する比率である。
将来負担比率は154. 0%で,前年度に比べ12. 8ポイント低下している。これは主に,
分子の将来負担額が減少し,分母の標準財政規模が増加したためである。
(単位:千円)
区 分 20年度 19年度 比 較
将 来 負 担 額 ① 577, 164, 867 602, 771, 856 △ 25, 606, 989
充当可能財源等 ② 385, 216, 876 395, 830, 535 △ 10, 613, 659
標 準 財 政 規 模 ③ 149, 489, 931 149, 188, 380 301, 551
④ 25, 128, 086 △ 200, 943
元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額 24, 927, 143
(%) 将来負担比率
166. 8 △ 12. 8
( ①−②) / ( ③−④) × 100
154. 0
ア 将 来 負 担 額
将来負担額は,一般会計等に係る地方債現在高,債務負担行為に基づく支出予定額,
一般会計等以外の特別会計の地方債に係る繰入見込額及び組合等の地方債の償還,退職
, 。
手当支給予定額 設立法人の負債額等に係る一般会計等の負担見込額などの合計である
将来負担額は5, 771億6, 486万円で,前年度に比べ256億698万円(4. 2%)減少してい
る。これは主に,一般会計等に係る地方債現在高,債務負担行為に基づく支出予定額,
退職手当支給予定額に係る一般会計等の負担見込額が減少したためである。
なお,連結実質赤字額及び組合等の連結実質赤字額負担見込額は,どちらの連結実質
収支も赤字を生じていないため,将来負担額はない。
(単位:千円)
区 分 20年度 19年度 比 較
一般会計等に係る地方債現在高 295, 637, 967 309, 043, 379 △ 13, 405, 412
債務負担行為に基づく支出予定額 55, 803, 811 62, 210, 487 △ 6, 406, 676
一般会計等以外の特別会計の地方債に係る繰入見込額 177, 697, 074 179, 488, 967 △ 1, 791, 893
組合等の地方債の償還に係る負 担 見込額 1, 996, 782 2, 394, 078 △ 397, 296
退職手当支給予定額に係る負担見込額 45, 847, 127 49, 436, 855 △ 3, 589, 728
設立法人の負債額等に係る負担見込額 182, 106 198, 090 △ 15, 984
連結実質赤字額 0 0 0
組合等の連結実質赤字額負担見込額 0 0 0
- 7 -イ 充 当 可 能 財 源 等
充当可能財源等は,地方債の償還額等に充当可能な財政調整基金などの基金,都市計
画税などの特定の歳入見込額及び地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額の合
計である。
充当可能財源等は3, 852億1, 687万円で,前年度に比べ106億1, 365万円(2. 7%)減少し
ている。これは主に,地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額が減少したため
である。
(単位:千円)
区 分 20年度 19年度 比 較
地方債の償還額等に充当可能な基金 13, 961, 048 15, 996, 041 △ 2, 034, 993
地方債の償還額等に充当可能な特定の歳入見込額 75, 861, 354 78, 629, 042 △ 2, 767, 688
うち都市計画税充当見込額 73, 109, 680 75, 537, 173 △ 2, 427, 493
地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額 295, 394, 474 301, 205, 452 △ 5, 810, 978
- 8 -2 資 金 不 足 比 率 の 状 況
資金不足比率は,公営企業会計ごとの資金不足額のそれぞれの事業規模に対する比率で
あり,各会計とも資金不足額を生じていないため,前年度と同様に資金不足比率は算定さ
れない。
資 金 不 足 比 率 の 状 況
(単位:千円)
資金不足額 事業の規模 経営健全
特 別 会 計 の 名 称
資金不足比率
① ② ①/ ②× 100(%) 化 基 準
−
水道事業会計 − 14, 254, 093
−
法
工業用水道事業会計 − 300, 638
20. 0%
適
病院事業会計 − 7, 848, 538 −
−
用
市場事業会計 − 711, 353
−
下水道費特別会計 − 11, 131, 478
−
駅元町地区市街地再開発事業費特別会計 − 134, 660
(注) 資金不足額及び資金不足比率については,資金不足額がないため「−」を表示している。
資 金 不 足 ・ 剰 余 額 の 状 況
(単位:千円)
特 別 会 計 の 名 称 比 較
資金不足・剰余額
19年度 20年度
水道事業会計 8, 468, 352 8, 325, 416 142, 936
工業用水道事業会計 516, 340 111, 101
法
627, 441
病院事業会計 1, 729, 893 588, 058
適
2, 317, 951
市場事業会計 801, 736 239, 506
用
1, 041, 242
下水道費特別会計 0 0 0
駅元町地区市街地再開発事業費特別会計 588, 160 600, 397 △ 12, 237
(注) 資金不足・剰余額は,資金不足を生じている場合,負の値で表示される。
法
非
適
用
法
非
適
- 9 -3 ま と め
各比率の状況を見ると,実質赤字比率については,赤字を生じていないため比率は算定
されず,44億5, 106万円の実質黒字額となっているが,これは,財政調整基金の取り崩し
によるところが大きい。
連結実質赤字比率については,赤字を生じていないため比率は算定されず,165億1, 254
万円の連結実質黒字額となっているが,個別には,国民健康保険費特別会計などで赤字会
計となっている。
実質公債費比率については,直近 3か年を平均した本年度の比率は17. 6%で,前年度に
比べ0. 5ポイント低下し,単年度の比率も前年度に引き続き低下しているが,依然として
高い水準にある。
将来負担比率については,前年度に比べ12. 8ポイント低下した154. 0%となっており,
将来負担額も256億698万円減少しているが,個別には,地方債などにおいてなお多額の将
来負担が見込まれる。
資金不足比率については,各会計とも資金不足を生じていないため比率は算定されない
が,今後とも公営企業を取り巻く経営環境は厳しいものと見込まれる。
審査に付された比率全体としては,平成20年度決算に基づく健全化判断比率は早期健全
化基準を,資金不足比率は経営健全化基準をそれぞれ下回るとともに,前年度に比べ改善
している。
しかし,早期健全化基準は,財政の破綻の危険性を有すると認められる水準を数値化し
たものであり,本市の財政状況が財政健全化計画の策定を求められる水準ではないことを
示すにとどまるものである。
また,平成21年度からは,政令指定都市への移行に伴い,歳入面では地方交付税等の財
源が増加するとともに,歳出面では国・県道の維持管理など特有の行政需要が加わり,財
政規模が拡大するものである。
したがって,今後の社会経済環境の変化や財政規模の拡大などに留意しながら,自己決
定・自己責任という地方自治の本旨のもと,将来を見据えた財政運営により,引き続き健