PWM制御アクティブフィルタの非干渉化 2自由度制 御法とその特性
著者 杉本 英彦, 若木 晶夫
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 39
号 2
ページ 253‑265
発行年 1991‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/4227
第39巻 第2号
1991年9月
P W M 制御アクティブフィルタの非干渉化 2 自由度制御法とその特性
杉本英彦綜 若 木 晶 夫 榊
Decoupling Two Degree of Freedom Control Method of P鴨川.1Control Active Filter and its Characteristics
Hidehiko SUGIMOTO and Akio WAKAKI (Received Aug. 31
,
1991)The active filter is necessary to employ the electric power system economically and stably. This paper is concerned with current control methods of the active filter. A current control method of high performance is proposed b剖edon the decoupling two degree of freedom control method.
1 .まえがき
253
電力系統の経済的な運用や安定度向上の点から,無効電力補償装置は不可欠なものである。電圧 形P W M制御電力変換器は,高速スイッチングが可能な大容量自己消弧形パワーデバイスの著しい 発展により,優れた電流制御性を備えることができるようになったので,それを用いて,負荷が発 生する高調波電流を含む無効電流を系統に注入し,無効電力を補償するアクティブフィルタが注目 されている。
アクティブフィルタが補償すべき無効電力については既に文献 [1],[2]に報告されている ところであるが,補償においては電圧形P W M制御電力変換器が補償すべき無効電流をいかに正確 に流すかが重要な課題である。この課題に対する報告例もある3】。文献[3 ]は補償すべき電流を 指令電流とし,それと実補償電流の偏差の極性をヒステリシスコンパレータで判別して得られるオ ン・オフ信号で自己消弧形パワーデバイスを制御することにより電流を制御する方法について報告 している。これに対し本論文は,電圧形P W M制御電力変換器で直接制御できるのは電圧であると いう観点から,電圧形P W M制御電力変換器の交流側に設けた電流平滑用リアクトルを考慮に入れ て,電圧形P W M制御変換器による高性能電流制御法を検討し,非干渉制御と目標値フィードフォ
*電子工学科 料大学院電気工学専攻
ワード型2自由度制御を組合せた,非干渉化2自由度制御法提案するものである。本論文で,その 制御法を導出するとともにその制御法によるシュミレーション結果を示す。
2. 補償電流と電圧形 P W M制御電力変換器の電圧電流の関係
電源電圧が受電端で三相対称正弦波であるとし,補償すべき電流などについて考察する。
2. 1 補償電流について
三相電力系統を簡単に示すと,図 1のようになる。電源電圧は受電端で三相正弦波電圧であり,
( 1 )式で表されるものとする。
e
1t= E.s
in 8
eb
E
皿sin(8‑2π/3) ト e
cE
副sin(8+2n/3) J
ここに
()=ωt
であり,電源角周波数ω
は一定である。( 1 )
電源には電諒電圧と同相の三相正弦波電流が流れるのが望ましい。この電流が有効電流である。
したがって,負荷が発生する電流のうち,この電流を除いた電流が無効電流で補償すべき電流であ る。有効電流と補償すべき電流を分離しやすくするために,
ω
で回転するy‑o座標を導入する。( 1 )式で表された三相正弦波電圧の合成ベクトルの方向を 3軸に一致させると, y, o軸上の電 源電圧er,edはe,t1 eb, ecを次式で座標変換することで得られる。
[
ふ E . ]
(2)eTは 0で, edは直流である。同様に, γ,o軸上では電源電圧と同相の三相正弦波電流も,す なわち,有効電流も, y軸電流は 0,δ軸電流は直流になる。したがって, y, o軸上ではγ軸電 流のすべて及び3軸電流の交流分が無効電流で補償すべき電流になる。
電 源
' ‑ . 1
1 .
.,
,
01図 l三相電力系統
負 荷
r
, o軸負荷電流ir1,idlは,三抱負荷電流itJ1,ibl, iClを次式で変換することで得られ る。︒
U A Us n
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sin<8‑2π/3)
1111111
パ ゴ
︐ ︐ . z a
‑
‑ A a
・
a b e
・e ι
・es‑‑fv
rl l1 11 11 1B Il l1
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x x
ヮ n J ‑ + 十
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a︐ ︐ ・ ︑
︐ ︐. ︑
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z c s
(3)
irl, iiJl はそれぞれ直流分と交流分を持つ。
ところで, o軸負荷電流idlは有効電流である直流分と補償すべき無効電流である交流分に分げ なければならない。補償すべき6軸負荷電流
i
iHを得るためにi
d 1を次式で表されるハイパスフィ ルタに通すことにする。F(s)=‑‑‑=‑;̲ ,S2
(4)
後述のシミュレーションは ,
t =
1.0,ω=4π の条件で、行った。図 2はその条件で求めたゲイ ン線図である。このハイパスフィルタは3軸負荷電流i
81の 3Hz程度以上,すなわち,電源周波数 が60Hzのとき,三相負荷電流の63Hz程度以上(正相分)及び57Hz程度以下{逆相分)を通す。図3はy‑o座標で表した電源電圧と負荷電流のベクトル図である。
2. 2 電圧形P¥¥'M制御電力変換器の電圧電流について
三相電圧形PWM制御電力変換器を適用したアクティブフィルタの構成を図4に示す。 P W M制 御するための電力用半導体デバイスとして,近年は,自己消弧形パワーデバイスを用いる。図4で はパワートランジスタを用いている。電圧形P W M制御電力変換器の直流側には,変換器の交流側
+
日
珊
‑28
雪国48 :z:
g
‑BB‑O8
‑188
1E‑81 IE IIB IE+日 IE+82 1E+83
FREQUENCY (Hz)
1E+日4 1E+目5
図 2 ハイパスフィルタのゲイン線図
t rl
,
1C 2 J ι
図3 電源電圧と負荷電流のベクトル図
トランジゑタヘ
アクティブフィルタの構成 図4
電圧を制御するに足る電圧を有する平滑用コンデンサ
C
が備えてある。このコンデンサは無効電力 を過渡的に貯蔵する機能も備えている到。また交流側には,電源電圧と電力変換器のPWM電圧の 差電圧を分担し,電流を平滑する電流平滑用リアクトルL
を備えている。このリアクトルの電流平 滑効果によりPWM周波数のような高調波電流は平滑される。電圧形PWM制御電力変換器は, P W M周波数の1/10程度以下の周波数域では,リニアアンプとみなすことができる。 PWM周波数を 15kHz程度以上とすることで,電源周波数が60Hzのとき25次程度までの高調波に対してはリニアア ンプとみなすことができる。以下,三相電圧形PWM制御電力変換器をリニアアンプとみなしてそV cは,その三相電流をtac, t bc • の状態方程式を導出する。
三相電圧形PWM制御電力変換器の三相電圧V a• V b ,
i
ccとすると次式で表される。d
V a
L 一 一
iac+ e
4dt
d (5)V b
L 一 一 一
ibc+
ebdt
V c L ‑ ‑d i cc
+
e cdt
1節で採用したγ,o軸で表すことにし,それぞれVr., V d , t TC ,t dc これらの電流電圧を
2.
とする。座標変換は,
Qvau
s n
0・
z
﹁ 円 凶
L
E h
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cos<8‑2
π/3)
sin (8‑2n/3)︑i
J引l l川l 叶Jl
﹁ 同
μ
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Il l1 11 J
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2 2
+ +
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︐ .︑
s n
0・t
c s
(6)
(7)
でできる。
i
a.c •i
bc.i
ccは三相補償電流であるので .i
TC , i clc は1', O軸補償電流である。r .
o軸で表した電圧電流を用いると. (5)式は次の状態方程式に変形で‑きる。可l
Il 'l 11 J
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一 一
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戸
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r s
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μ
1 L
U
P
(8)( 6 )式は
i
TC'.,i
dc 'IJ{ V T, V dで制御できることを示している。なお ,Vr , Vdがどんな値ま でとれるかは平滑用コンデンサC
の電圧Vdcで・決り,次式が満足される。"/Vr2+Vd2壬
kn ア芝
Vtlc (9)ここに,例えば,正弦波一三角波比較P W M方 式 の 場 削 減 = 兵/2.続時空間磁東鎖交数 ベクトル円軌跡PWivI方式の場合はk=lである。
また. (6)式から分るようにirc, i iJ Cを高速応答制御するためには ,Vr , ViJを大きくする 必要があるが,そのためにはVdcをで・きるだけ高くするのが望ましい。
3.アクティブフィルタによる無効電流補償のための電流制御法 3. 1 アクティブフィルタの構成
図4にアクティプフィルタの構成を示したが,これを無効電流補償のための電流制御法の観点か ら説明する。
前章で述べたようにアクティブフィルタは,三相負荷電流を
r
,O軸負荷電流に座標変換し,さ らに .o軸負荷電流についてはハイパスフィルタを通して得たirl,id1を補償するためのもので~ .._~-
ある。したがって ,trl ,tdlはアクァィブフィルタの電流指令である。ここで,座標変換は電源 電圧の位相8を検出し,その6を使って作った三角関数で行う。
電流制御系は,これらの電流指令に追従する電流を,電圧形P W M制御電力変換器が流すことが できるように構成する。すなわち,電圧形P W M制御電力変換器が流す三相補償電流を,前述の三 角関数で
r
,δ軸補償電流に変換したf菱電流制御器にフィードパックし,電流制御器の出力である 電圧形P W M制御電力変換器のr
,O軸電圧指令を,前述の三角関数で三相電圧指令に逆変換し,その三相電圧指令にしたがって電圧形P W M制御電力変換器の三相電圧をP W M制御するように構 成する。
なお,電圧形 P W M制御電力変換器の直流電圧を制御するための制御系も必要である。その直流 電圧を制御するためには,有効電流を流す必要があるから,直流電圧指令と実直流電圧を入力とす る電圧制御器の出力を電流指令とし,これを6軸補償電流指令から減算して {δ軸補償電話:は電圧 形p¥,¥}..f制御電力変換器から流れ出る方向を正としている)o軸電流指令とし ,o軸電流を制御す ることで直流電圧を制御する。
以下,種々の補償電流制御法を示し,その制御特性を比較する。
3. 2 電流制御法1‑フィードバックループのみによる電流制御法
この電流制御法で・は,電圧形 P Wi‑.f制御電力変換器の Y,' O軸電圧VT,Vdを次式で制御する。
V T
=
K j (i
r 1 ‑i
T C )h===kt(L‑tsc)+
五万 E m f
(1 0)ここに
.Ki
は上じ例ゲインである。図5はこの電流制御法のブロック綜図である。(10)式は補償電流を比例制御するものであり,
電流制御性をよくするために,その式の2行 目 右 辺 第2項に電源電圧をフィードフォワードで与え て い る 。 (10 )式を (8)式に代入すると,次式を得る。
1. Ki
1 1 . 1 .
卜1.rc 1
‑ , . 一
ω 111. T C 1 十1γ1Ip
I 1
=I
L ̲̲1 1 1 +
釘 (1 1)I ~
一 日 一一…ー
K川 し l' L I~ ト 11 w U " 1 L I I " o c l I L d l l
(11)式は比例ゲイン1(;を適切に設計すれば安定な制御系である。
ここで, γ,o軸電源電流
i
T, i clとr
,O軸負荷電流irl ,i
81の関係を調べる。それらの間 には, γ • o軸補償電流iT C, i (lcを含めて,[:;]=[:;;::;:]〈
12〉の関係があるから, <.4), <.11), (12)式から次式が得られる。
[
し l z l r + i L / L i P + ω z
i cl
I
lP+Ki/L)2+ω2I
(KdL)ω一 ω
(KdLJF(P)I l i
Tバ
* ‑
,.A" ~,. ,& ,1 1 " T 1 1
(13)!P+K
t !
Ll2十ω
2‑(KdL){P+KdL)F(PJ11i
iJパ
, 0 .
, , .
V40 V4c
図5 電流制御法Iのブロック線図 図10 電流制御法Hのブロック線図
図6の曲線Iは (
1 3
)式においてω=2πX60
,L/K , =3x10‑
sの条件で求めたt
γ( 5 ) / i r l ( 5 )
のゲイン線図である。ここで ,
L/Kl=3X10‑
5としたのは電圧形PWM
制御電力変換器のP W l v 1
周波数を
1 5 k H z
程度とすると,5 k H z
程度までは良好な電流追従性を得ることができるからである。また,図7の曲線Iは同じ条件で求めた id (5)/ i
d l ( 5 )
のゲイン線図である。さらに,図8,図 9は同じ条件で求めたi
d(5)/i r l
(5), ir ( 5 ) / i d l ( 5 )
のゲイン綿図である。図 6,8,及び 9 においては全域で,そして図7においては高周波域でゲインが低い程無効電流の補償性能がよいが,電流制御法Iでは,図8,図9から分るようにγ,o軸聞に相互干渉が現れ,特にi
d l
からir へ
の干渉が強く,無効電流の補償性能をよくすることが難しい。
3. 3 電流制御法 Hーフィードパックループ及び非干渉制御による電流制御法
この電流制御法では,電圧形
PWM
制御電力変換器のr
,o軸電圧Vr,Vitを次式で制御する。Vr Kt(irl‑irc)‑
ω Li
dcV d = K l (
i
u ‑i dc)+ /3ア" 2 E.+ ωL i
TC 1(14)
図
1 0
はこの電流制御法のブロック線図である。( 1 4
)式は,そのそれぞれの行の右辺の最後の項 を (11 )式に対して追加したもので,それがγ,o軸問を非干渉化するためのものである。(14 ) 式 を (8)式に代入すると,次式を得る。‑ i
川│ll川J
r a
﹁L Ml
ト
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一 L +
﹁111111d
E z
r a
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v
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山u u
o
f1 11 11 11 lk
一 ‑
1 J l t
パ
J T Sに い
P
﹂μ い
(1 5)( 1 5
)式は明らかに安定な制御系である。ここで.y, o軸電源電流
t
γ i dとy,o軸負荷電流iγ1, i d Iの関係を調べる。(4 ) , (2) , (15)式から次式が得られる。~~ = ヰ [ P O 4 ‑ i t F l P 1 ] [ : ; j
(1 6)(15).
( 1 6
)式から分るように, y, o軸聞に干渉はないので,無効電流の補償持性は単純に なる。図6,7
の曲線Hは (1 5
)式においてω=2πx60
,L/K , = 3 x I 0 ‑ : ;
の条件で求めた tγ(s)/ i r l ( S )
,i d ( S ) / i 6 1 ( 5 )
のゲイン綿図であり,ω <<KdL
なので 電流制御法Iのものとほぼ一致 する。3 . 4 電流制御法 III‑非干渉化 2自由度制御法(1 )
電流制御法
H
は高調波次数の高い無効電流の補償性能があまりよくない。これは電圧形PWM
制 御電力変換器の電流平滑用リアクトルL
が補償電流を流しにくくするためである。この問題を解消 するためには,補償すべき無効電流によってリアクトルL
に誘起する電圧をフィードフォワード制 御すればよいが,そのためには微分が必要である。補償すべき無効電流には次数の高い高調波成分 が含まれているので,この方法は実現することが困難である。そこでr微分の代りに疑似微分を行 い,フィードフォワード制御を行う。電流制御法I I
にこの制御を加え,電圧形PWM
制御電力変換 器のr
,o軸電圧Vr,
Vdを次式で制御する。+ZB
じL
レ/ v じ
ト、ト / 11 内 ¥
ピ
国ν / / V l
N 1 ,H 山
+ 日
電‑2日
%
5
・4日‑S0
‑BB
1[‑81 1[ B8 lE+81 lE+,百2 1[+83
fREQUENCY (Hz) lE+94 図 6
i
r(S)/i
rl (s)のゲイン+目
1 1
111 ~
1
,
11 日 /レク │
川 1 1 レ ν
ドド m V A
〆 Nレ' ↓ . . . . r μ ィ /
11111‑28 宅‑40
俗図
nE
合h u a M W
ZHZU
‑1自由
1[‑91 IE 9B 1Et81 lE+82 1E+B3
fREOUENCY (Hz) 1E+包4
図 7 id(S)/ifJl(S)のゲ.イン線図
+B
戸、
¥ ト、
‑28 宅‑48
%
5
‑&B‑8目 ーIBB
IE‑81 IE 88 lE+目 lE+B2 lE+83
fREOUENCY (Hz) IE+84
図8
i
iJ(s)/i
rl (s)のゲ.イン線図+11
I 刊 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 相
‑2B 宅4日
g
% ・68‑8B
‑188
lE‑81 lE B8 I[+BI 1[+82 I1:+B3 FREOUENCY (Hz)
IE+B4
図9 ir(s)/icH(S)のゲイン線図
lE寺町
lE+自5
lE+8S
lE+8S
(1 7)
U γ=Kl(irl‑irc)一
ωL
i 6c 十一一一~t. TlTP
LP 十 lr;:::-で~ L P ‑:‑
v6=Kl (i ðl~ i dc)
+
守 山 〆J3/2
E
血+ωL
i rc+一一一一;‑TP
十ltl/T
は疑似微分の折線角周波数である。. . . . 、 目 、 . . ̲ 円
v‑,( 1 7 )
式は,そのそれぞれの行の右辺の最後の項 を(14)式に対して追加したもので,それが補償すべき無効電流をフィードフォワード制御するた めのものである。図11のブロック線図の構成からも分るように,この部分があるので,この制御系 は目標値フィードフォワード型2自由度制御系である。(17)式を(8 )式に代入すると,次式を図11はこの電流制御法のブロック線図である。
( 1 8) 得る。
r e
‑Z
午Z
E1 A‑ 1‑
一 +
一 +
P 一
P 一 T 一 T P 一 P
十 十
ι 一
L v
h τ
十 T 十 S
V
山 て
v
山 一
L
一 一 一 一 一
T
一
e
・t下
z
p p
( 18 )式もまた明らかに安定な制御系である。
i/i と
r .
o軸負荷電流irl. idlの関係を調べる。 (4 ) • ここで,r
, o軸電源電流i
r •(18)式から次式が得られる。
ル
={(P‑ーとー T P+ 1
)/(P" U十
I五 L
1)IJ '}i
" rrllK i , K i
IP ¥
rr'......¥¥ 1'.......K " , . L , = [{P+ τ 一 (τ+ 予 す T ) F IPH/(P+ す
>]ilHJ図 6,7の曲線 IIIは, (19)式において
ω=2πX60
,L/Kt=T=3x10‑
sの条件で求めたi.r (S)/irl(S), id(S)/idl(S)のゲ.イン線図である。図から分るように,フィードフォワード制御 の効果により,電流制御法IIに比べて,高周波域の無効電流の補償特性がよい。電流制御法
N‑
非干渉化2自由度制御法(2 )(1 9) ( 12) ,
5
電流制御法 1'"'‑'IIIは電流制御器が比例要素で構成されていた。これを比例積分要素に変更すると,
比例積分要素の積分時間
Tt
の逆数で表される角周波数より低い角周波数域において電流追従性を 改善することができる。そこで,電流制御法血の電流制御器の比例要素の代りに比例積分要素を用 い,電圧形P W M制御電力変換器のr .
o軸電圧Vr. V6を次式で制御する。3.
Vr.
VII.
,
r"ι11"
'"
,
l" 111,
rlVr•
V".
,
r", . "
,
前v
I.", 1 . rl
電流制御法Nのブロック線図 V""
図12 電流制御法 IIIのプロック線図
V""
図11
Uγ=
K , ( 1 + , . )
Tl) (i r
1 ‑i r e ) 一 ωL i de+
一一‑;‑LP . i r l T , P' ¥ r . ( , ( . r e l
V JL.J (. oe ITP+
1ι円 , (
1 μ + 市) ( 7 九 L 心 e 一 M
I図 12~はまこの電流制御法のアプ、ロ‘ツy ク綜図でで.ある。 (20) 式を(8 )式に代入すると,次式を得る。
‑e け
ι r H
﹁1
11 11 11 1J
﹁I
ll 11 1i J
‑ a冒
E A
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一 十 一 +
P 一
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一 P 一 T 一 T
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+ +
﹁ 剖
│
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f c / f e r e r‑ t r
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L
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/ C / ' C e r e s T
‑ Z 0
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‑
‑
﹁ ぃ
11 11 L
﹁ い
il l1 1 ﹂
p p
(21) ( 21)式も明らかに安定な制御系である。
ここで,
r
, o軸電源電流iT
•i"
と'}', o軸負荷電流i T l
,i
(ll
の関係を調べる。(4 ) •(12) • (21)式から次式が得られる。
ir=[ (P2̲P2/{TP+
1)}/(P2+ (K
,/L)P
十K , L T
,}JiT l i8= [[P2 +(KilL)P+KI/LT , +P{{K , /L)
(1+ lfT , P)
+P/(TP+
1)}F(P))/{P2
十{KdL)P+K , LT I } J i
(11図6I 7の曲線Nは, (22)式において ω=2πX60,
L/K , =T , ='T=3X10‑
sの条件で求め たi T ( s ) / i T I ( S )
,i
/J( s ) / i
,,/ ( s )
のゲ‑イン線図である。図から分るように,比例積分要素の効果 により,電流制御法IIIに比べてさらに,高周波域の無効電流の補償特性がよい。(22)
4.シミュレーション結果
電流制御法の違いによる無効電流の補償特性の差を調べるために,図4において負荷を図13に示 す三相サイリスタ整流回路として,電流制御法H及び Nについてシミュレーションした。シミュレ ーションは,簡単化のため, P W M電力変換器をリニアアンプで代用し,また,三相サイリスタ整 流回路に流れる負荷電流を方形波電流の基本波から第31次調波までの合成で模挺した。電源電圧は 200V,電源周波数は60Hz,電流平滑用リアクトル
L
は10mHである。4. 1 電流制御法II‑フィードバックループ及び非干渉制御による電流制御法の場合 3.3節で述べた粂件でシミュレーションした。
図14に各部波形,表1に無効電流の残留率を各高 調波次数毎に示した。残留率は各高調波次数毎の (電源電流最大値/負荷電流最大値) を表してい る。表1よれば,第四次までの残留率はおよそ20
%以下である。これは図6. 7のゲイン線図が示 しているところである。第四次は正相分であるか
ら
09‑
1)X60=1080Hzの周波数でのゲ.インを見 図13 三相サイリスタ整涜回路図14 電流制御法IIを適用したアクティブフィルタの各部波形
図15 電流制御法Nを適用したアクティプフィルタの名部波形
表1 電流制御法 Hを適用した場合の 表2 電流制御法Wを適用した場合の 電源電流の無効電流の残留率 電源電流の無効電流の残留率
高 調 波 負荷電流 電源電流 残 留 率 高 調 波 負荷電流 電源電流 残 留 率 次 数 最大値 最大値 次 数 最 大 値 最大値
( A ) (A) (% ) (A) (A) (% )
基 有 効 0.5514 0.5514 100 基 有 効 0.5514 0.5514 100
本 本
j皮 無 効 0.9550
。 。
波 無 効 0.9550。 。
5 0.2205 0.014 6.5 5 0.2205 0.0012 0.56
7 0.1575 0.102 6.5 7 0.1575 0.0009 0.56 11 0.1002 0.014 13.6 11 0.1002 0.0004 0.38 13 0.0848 0.011 13.6 13 0.0848 0.0003 0.38 17 0.0648 0.013 1. 99 17 0.0648 0.0007 1. 04
19 0.0580 0.012 1. 99 19 0.0580 0.0006 1.04
23 0.0479 0.013 26.6 23 0.0479 0.0011 2.33 25 0.0441 0.012 26.6 25 0.0441 0.0010 2.33
一一ー..L..‑‑
ると約14dBで 0.2に相当する。残留率をさらに小さくするためには
L/K ,
を小さくする必要があり,例えば,
L/K ,
=1x10‑sに選ぶと第19次 の 残 留 率 は6.5%になるシミュレーション結果が得られて いる。電流平滑用リアクトル
L
の電圧は直流電圧Vd.cに関係するから重要である。このシミュレーシヨ ンでは最大値がおよそ33Vであった。また,必要なVd.cは322V以上である。4. 2
電流制御法lV‑非干渉化2
自 由 度 制 御 法 (2
)の場合3. 5節で述べた条件でシミュレーシヨンした。図15に各部波形, 表2に無効電流の残留率を各 高調波次数毎に示した。表2よれば第25次 で も 残 留 率 が2.33%で無効電流の補償が十分行われてい ることを示している。このようにこの電流制御法は補償すべき無効電流のフィードフォワード制御 及び電流制御器を比例積分微分要素とすることで,優れた無効電流の補償特性を示す。
電流平滑用リアクトル
L
の電圧の最大値はおよそ33Vであった。また,必要なVd.cは 332V以上 である。これらの値は図14の場合とほとんど同じであり,直涜電圧Vd.cを高くすることなく無効電流の補償特性を改善できることを示している。
5.あとがき
以上,電力系統に用いるアクティブフィルタによる無効電流の補償法について,電流制御の観点 から検討を加えた。負荷電流を電源電圧を合成したベクトル軸とそれと直交する軸に分解すると,
電癒電圧を合成したベクトル軸の直流分だけが有効電流になる。したがって.それ以外の電流をア クティブフィルタで補償すればよい。種々の電流制御法に対し補償特性を,電流制御系のゲイン線 図と電源電流における無効電流の残留率から比較検討し,本論文で提案した非干渉化 2自由度制御 法を採用することで,優れた補償特性が得られることを明らかにした。
参考文献
[ 1 ]赤木,金沢,藤田,難波江 r瞬時無効電力の一般化理論とその応用J 電学論B 103, 483 (1983)
[ 2 ]矢野,杉本,川岸,宇高,西内 rpWM制御電力変換器による瞬時無効電流補償の一考察J 電気学会半導体電力変換研究会資料
s p c ‑
83 ‑36 (1983)[ 3 ]金沢,赤木,難波江 r電圧形P W M変換器を用いた瞬時無効電力補償装置の動作解析と設 計法」 電気学会半導体電力変換研究会資料SPC‑84‑64 (1984)